【文献】
桑野 雅彦,大研究!BeagleBone Black パソコンと通信するための準備3ステップ,Interface,日本,CQ出版株式会社,2013年10月29日,第39巻、第12号,70-77
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された技術では、USBインタフェースによって接続された装置からブロックアクセスがあった場合に、メモリプールを表すグラフデータ構造(例えば、FAT)に、そのブロックアクセスを変換する処理が必要であり、処理内容が複雑であった。そのため、より簡易な手法で、USBインタフェース等のシリアルインタフェースによって接続された装置と、無線LANインタフェースによって接続された装置とでストレージ装置を同時に利用可能とする技術が望まれていた。そのほか、従来のストレージ装置においては、処理負担の軽減や通信量の削減、使い勝手の向上などが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の第1の形態は、ストレージ装置であって;第1のホスト装置が接続されるシリアルインタフェースと;前記第1のホスト装置に対して、前記シリアルインタフェースを通じてネットワークによる通信を行うために、前記シリアルインタフェースで用いられる通信プロトコルとネットワークで用いられる通信プロトコルとの変換を行う変換部と;無線を介して第2のホスト装置が接続され、前記第2のホスト装置に対してネットワークによる通信を行う無線LANインタフェースと;ファイルを記憶する記憶部と;前記第1のホスト装置と前記第2のホスト装置とに対して、ネットワークを介した前記ファイルの共有を制御する制御部と;を備え、前記制御部は、前記無線LANインタフェースを通じてアクセスポイントを検出した場合に、前記ストレージ装置を前記アクセスポイントのステーションとして動作させ、更に、前記ストレージ装置に電力を供給するバッテリと、前記バッテリに蓄えられた電力を、他の装置に供給するためのコネクタと、を備えるストレージ装置である。また、本発明は、以下の形態としても実現可能である。
【0006】
(1)本発明の第1の形態によれば、ストレージ装置が提供される。このストレージ装置は、第1のホスト装置が接続されるシリアルインタフェースと;前記第1のホスト装置に対して、前記シリアルインタフェースを通じてネットワークによる通信を行うために、前記シリアルインタフェースで用いられる通信プロトコルとネットワークで用いられる通信プロトコルとの変換を行う変換部と;無線を介して第2のホスト装置が接続され、前記第2のホスト装置に対してネットワークによる通信を行う無線LANインタフェースと;ファイルを記憶する記憶部と;前記第1のホスト装置と前記第2のホスト装置とに対して、ネットワークを介した前記ファイルの共有を制御する制御部と、を備える。このような形態のストレージ装置であれば、シリアルインタフェースを介して接続された第1のホスト装置に対して、ネットワーク通信を行うことができる。そのため、USBインタフェース等のシリアルインタフェースを通じて接続された第1のホスト装置と、無線LANインタフェース介して接続された第2のホスト装置とは、どちらも、ストレージ装置をNAS(Network Attached Storage)として扱うことができる。よって、従来よりも簡易な手法によって、シリアルインタフェースによって接続された第1のホスト装置と、無線LANインタフェースによって接続された第2のホスト装置と、からストレージ装置を同時に利用可能とすることができる。
【0007】
(2)上記形態のストレージ装置において、前記制御部は、前記シリアルインタフェースと前記無線LANインタフェースとを異なるネットワークセグメントに所属させてもよい。このような形態であれば、ストレージ装置は、ファイルの送信に用いるインタフェースを確実に特定することができる。
【0008】
(3)上記形態のストレージ装置において、前記制御部は、前記第1のホスト装置と前記第2のホスト装置とに対して、異なるアクセス権を付与してもよい。このような形態であれば、第1のホスト装置と第2のホスト装置とに対して、それぞれ、異なるファイルにアクセスさせることができる。
【0009】
(4)上記形態のストレージ装置において、前記制御部は、前記第2のホスト装置に対して、前記第1のホスト装置よりも限定的なアクセス権を付与してもよい。このような形態であれば、例えば、無線を通じて、重要なファイルに不正アクセスされることを抑制することができる。
【0010】
(5)上記形態のストレージ装置において、前記制御部は、前記無線LANインタフェースを通じてアクセスポイントを検出した場合に、前記ストレージ装置を前記アクセスポイントのステーションとして動作させてもよい。このような形態であれば、自宅や会社内、あるいは、外出先などの環境に応じて、自動的にネットワーク構成を変更することができる。
【0011】
(6)上記形態のストレージ装置において、前記記憶部は、前記ストレージ装置に外部接続されていてもよい。このような形態であれば、様々な記憶媒体を記憶部として適用することができる。
【0012】
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
【0013】
本発明は、ストレージ装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、ストレージ装置が実行する方法、コンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
A.実施形態:
図1は、本発明の一実施形態としてのストレージ装置の概略構成を示すブロック図である。ストレージ装置100は、CPU110を備えている。CPU110には、RAM120と、ROM130と、USBインタフェース140と、無線LANインタフェース150と、記憶部160と、が接続されている。これらの各デバイスには、バッテリ170から電力が供給される。バッテリ170は、例えば、USBインタフェース140を通じて供給される電力や商用電源によって充電される。
【0016】
USBインタフェース140は、USBケーブルを介してパーソナルコンピュータ等のホスト装置が接続されるシリアルインタフェースである。USBインタフェース140を介して接続されるホスト装置は、特許請求の範囲における「第1のホスト装置」に相当する。
【0017】
無線LANインタフェース150は、IEEE802.11規格に基づき、無線を介してパーソナルコンピュータ等のホスト装置が接続されるインタフェースである。無線LANインタフェース150を介して接続されるホスト装置は、特許請求の範囲における「第2のホスト装置」に相当する。
【0018】
記憶部160は、USBインタフェース140や無線LANインタフェース150によって接続されたホスト装置から転送されたファイルを記憶する装置である。記憶部160としては、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリを適用することができる。本実施形態では、記憶部160は、プライベート領域とオープン領域とを備えている。記憶部160は、所定の接続インタフェース(例えば、USBインタフェースやメモリカードインタフェース)を介してストレージ装置100に外部接続(外付け)されても良い。記憶部160が外付けされていれば、外付けハードディスクやUSBフラッシュメモリ、メモリカードなどの様々な記憶媒体を記憶部160として適用することができる。また、ストレージ装置100は、記憶部として、内蔵タイプの記憶部と外付けタイプの記憶部とを両方備えても良い。
【0019】
ROM130には、ストレージ装置100を動作させるためのコンピュータプログラム(ファームウェア)が記録されている。CPU110は、ROM130に記録されたファームウェアをRAM120にロードして実行することで、変換部112および制御部114として動作する。また、CPU110は、ROM130に記録された所定のプログラムに基づいて、後述する動作設定処理や接続処理を実行する。
【0020】
変換部112は、USBインタフェース140に接続されたホスト装置と、ネットワーク通信を行うために、USBインタフェース140で用いられる通信プロトコルとネットワークで用いられる通信プロトコルの変換を行うソフトウェアモジュールである。具体的には、変換部112は、USB規格に基づき、コミュニケーションデバイスクラスのイーサネット(登録商標)アダプタとして動作することで、USBインタフェース140で用いられるUSBプロトコルと、ネットワークで用いられるTCP/IPプロトコルとの変換を行う。このように、変換部112がイーサネットアダプタとして動作すると、ホスト装置からは、ストレージ装置100がNAS(Network Attached Storage)として認識される。なお、変換部112は、ゲートアレイ等のハードウェア回路によって実現することも可能である。
【0021】
制御部114は、変換部112を介してUSBインタフェース140に接続されたホスト装置と、無線LANインタフェース150に接続されたホスト装置とに対して、記憶部160に記憶されたファイルのネットワークを介した共有を制御する。例えば、制御部114は、Sambaと呼ばれるファイル共有プログラムを実行することによって、ファイルの共有を実現することができる。例えば、制御部114は、プライベート領域とオープン領域とのそれぞれに対して、異なるSambaプログラムを同時並列的に実行することで、これらの領域の共有制御を個別に行うことができる。もちろん、Sambaを用いることは一例であり、制御部114は、任意のネットワークファイル共有システム(プログラム)を用いてファイルの共有を制御することが可能である。
【0022】
制御部114は、USBインタフェース140に接続されたホスト装置と、無線LANインタフェース150に接続されたホスト装置と、に対して異なるアクセス権限を付与する機能を有する。また、制御部114は、ストレージ装置100を、無線LANのアクセスポイント(親機)として動作させる機能と、無線LANのステーション(子機)として動作させる機能とを有する。
【0023】
図2は、CPU110が実行する動作設定処理のフローチャートである。この動作設定処理は、ストレージ装置100の電源が投入された直後、および、その後に定期的(例えば、1分に1回)に実行される処理である。
【0024】
動作設定処理が実行されると、CPU110は、無線LANインタフェース150を通じて、アクセスポイントの検索を行う(ステップS100)。CPU110は、予め登録されたSSID(Service Set Identifier)を有するアクセスポイントが検知されたか否かを判断する(ステップS102)。CPU110は、予め登録されたSSIDを、パッシブスキャンによって検知しても良いし、アクティブスキャンによって検知しても良い。アクティブスキャンによって検知すれば、アクセスポイントがステルスモードで動作している場合にも、予め登録されたSSIDを検知することができる。パッシブスキャンとは、アクセスポイントが定期的に発信するビーコン信号に基づきSSIDを検知する方法である。一方、アクティブスキャンとは、検知したいSSIDをプローブリクエスト信号によって送信し、プローブレスポンスが返信されたか否かに基づき、SSIDを検知する方法である。
【0025】
CPU110は、登録されたSSIDを検知すると(ステップS102:YES)、ストレージ装置100が、現在、ステーションとして動作しているか否かを判断する(ステップS104)。ステーションとして既に動作していれば(ステップS104:YES)、CPU110は、以降の処理をスキップして、当該動作設定処理を終了させる。一方、現在、ストレージ装置100がステーションとして動作していない場合には(ステップS104:NO)、CPU110は、ストレージ装置100を、ステップS102で検知したSSIDに対応するステーションとして動作させる(ステップS106)。なお、ステーションとして動作させるための暗号化キー(パスワード)は、SSIDとともに予めストレージ装置100に登録されていることとする。
【0026】
図3は、ストレージ装置100がステーションとして動作する場合のネットワーク構成を示す説明図である。
図3に示した例では、インターネットに接続されたルータ機能付きアクセスポイント200に対して、ストレージ装置100と、ホスト装置301と、ホスト装置302とが、それぞれ無線によって接続されている。ストレージ装置100とホスト装置301とは、アクセスポイント200を介して間接的に接続されている。また、ストレージ装置100とアクセスポイント200とは、USBによって直接的にも接続されている。ホスト装置301としては、例えば、USBインタフェースを有するパーソナルコンピュータを適用することができる。ホスト装置302としては、例えば、スマートフォンを適用することができる。このようなネットワーク構成は、例えば、アクセスポイント200が設置された自宅内や会社内において構築される。
【0027】
上記ステップS106において、ストレージ装置100をステーションとして動作させると、CPU110は、無線LANインタフェース150用のDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)クライアントプログラムを起動する(ステップS108)。無線LANインタフェース150用のDHCPクライアントプログラムが起動されると、CPU110は、無線LANインタフェース150を用いてネットワーク通信を行うためのIPアドレスを、ネットワーク内のDHCPサーバ(例えば、アクセスポイント200)から取得することができる。
【0028】
無線LANインタフェース用のDHCPクライアントプログラムが起動されると、続いて、制御部114が、USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して割り当てるネットワークセグメントを決定する(ステップS110)。具体的には、無線LANインタフェース150に対して割り当てられたIPアドレスのセグメントと異なるセグメントを、USBインタフェース140に接続されたホスト装置301に対して割り当てるセグメントとして決定する。
【0029】
USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して割り当てるネットワークセグメントを決定すると、制御部114は、USBインタフェース用のDHCPサーバプログラムを起動する(ステップS112)。USBインタフェース用のDHCPサーバプログラムが起動されると、制御部114は、ステップS110において決定されたセグメントに属するIPアドレスを、USBインタフェース140を用いてネットワーク通信を行うためのIPアドレスとして、USBインタフェース140(変換部112)、および、USBインタフェース140に接続されたホスト装置301に対して割り当てることが可能になる。
【0030】
上記ステップS108,S110,S112の処理が実行されると、例えば、
図3に示すように、ストレージ装置100の無線LANインタフェース150には、ネットワーク内のDHCPサーバ(例えば、アクセスポイント200)から、「192.168.0.2」というIPアドレスが割り当てられ、ホスト装置301には、「192.168.0.3」というIPアドレスが割り当てられる。これに対して、ストレージ装置100のUSBインタフェース140(変換部112)には、制御部114によって、無線LANインタフェース150側とはセグメントの異なる「192.168.1.1」というIPアドレスが割り当てられ、ホスト装置301のUSBインタフェースには、「192.168.1.2」というIPアドレスが割り当てられる。このように、無線LANインタフェース150とUSBインタフェース140とで異なるセグメントのIPアドレスが割り当てられることで、ホスト装置301は、無線LANインタフェース150およびUSBインタフェース140のどちらのインタフェース経由でも、ストレージ装置100にアクセスすることができる。
【0031】
上記ステップS112において、USBインタフェース140用のDHCPサーバプログラムが起動されると、続いて、制御部114は、記憶部160に対するアクセス権の設定を行う(ステップS114)。本実施形態では、制御部114は、USBインタフェース140経由でアクセスするホスト装置に対しては、記憶部160の全ての領域(オープン領域およびプライベート領域)に対してアクセス可能なアクセス権を付与する。一方、制御部114は、無線LANインタフェース150経由でアクセスするホスト装置に対しては、記憶部160のオープン領域に対してアクセス可能なアクセス権を付与する。つまり、本実施形態では、制御部114は、無線LANインタフェース150に接続されたホスト装置に対して、USBインタフェース140に接続されたホスト装置よりも限定的なアクセス権を付与する。本実施形態では、このようにアクセス権が設定されることによって、USBインタフェース140に接続されたホスト装置と、無線LANインタフェース150に接続されたホスト装置とは、オープン領域に記録されたファイルを共有することができる。これに対して、プライベート領域に記録されたファイルは、USBインタフェース140に接続されたホスト装置だけが利用可能になる。
【0032】
上記ステップS102において、CPU110が、登録されたSSIDを検知しなかった場合には(ステップS102:NO)、CPU110は、ストレージ装置100が、現在、アクセスポイントとして動作しているか否かを判断する(ステップS116)。アクセスポイントとして既に動作していれば(ステップS116:YES)、CPU110は、以降の処理をスキップして、当該動作設定処理を終了させる。一方、ストレージ装置100がアクセスポイントとして動作していない場合には(ステップS116:NO)、CPU110は、ストレージ装置100を、アクセスポイントとして動作させる(ステップS118)。なお、アクセスポイントとして動作した場合のストレージ装置100のSSIDと暗号化キー(パスワード)は、予めストレージ装置100に登録されているものとする。
【0033】
図4は、ストレージ装置100がアクセスポイントとして動作する場合のネットワーク構成を示す説明図である。
図4に示した例では、ストレージ装置100とホスト装置301とは、無線およびUSBによってそれぞれ直接的に接続されている。また、ストレージ装置100とホスト装置302とは、無線によって接続されている。ホスト装置301としては、例えば、USBインタフェースを有するパーソナルコンピュータを適用することができる。ホスト装置302としては、例えば、スマートフォンを適用することができる。このようなネットワーク構成は、例えば、アクセスポイント200が設置されていない外出先等において構築される。本実施形態のストレージ装置100は、バッテリ170を備えているため、電源が確保できない場所でも利用することができる。
【0034】
上記ステップS118において、ストレージ装置100をアクセスポイントとして動作させると、CPU110は、無線LANインタフェース150用のDHCPサーバプログラムを起動する(ステップS120)。無線LANインタフェース150用のDHCPサーバプログラムが起動されると、CPU110は、無線LANインタフェース150、および、無線LANインタフェース150を介してストレージ装置100に接続するホスト装置に対して、IPアドレスを割り当てることが可能になる。
【0035】
無線LANインタフェース150用のDHCPサーバプログラムを起動すると、制御部114は、USBインタフェース140に接続されたホスト装置301に対して割り当てるネットワークセグメントを決定する(ステップS110)。具体的には、ステップS120で起動されたDHCPサーバプログラムによって配布されるIPアドレスのセグメントとは異なるセグメントを、USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して割り当てるセグメントとして決定する。
【0036】
USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して割り当てるネットワークセグメントを決定すると、制御部114は、USBインタフェース用のDHCPサーバプログラムを起動し(ステップS112)、記憶部160に対するアクセス権の設定を行う(ステップS114)。アクセス権の設定については既に述べたとおりである。
【0037】
上記ステップS120,S110,S112の処理が実行されると、例えば、
図4に示すように、ストレージ装置100の無線LANインタフェース150には、制御部114によって、「192.168.0.1」というIPアドレスが割り当てられる。また、無線LANインタフェース150に接続されたホスト装置301の無線LANインタフェースには、「192.168.0.2」というIPアドレスが割り当てられる。これに対して、ストレージ装置100のUSBインタフェース140(変換部112)には、制御部114によって、無線LANインタフェース150側とはセグメントの異なる「192.168.1.1」というIPアドレスが割り当てられる。また、ホスト装置301のUSBインタフェースには、制御部114によって、「192.168.1.2」というIPアドレスが割り当てられる。このように、無線LANインタフェース150とUSBインタフェース140とで異なるセグメントのIPアドレスが割り当てられることで、ホスト装置301は、無線LANインタフェース150およびUSBインタフェース140のどちらのインタフェース経由でも、ストレージ装置100にアクセスすることができる。
【0038】
図5は、
図2に示した動作設定処理が実行された後で、ホスト装置がUSBインタフェース140に接続された場合にCPU110によって実行される接続処理のフローチャートである。
【0039】
接続処理が実行されると、CPU110の変換部112は、USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して、ストレージ装置100を、USBイーサネットアダプタを備えるNASとして認識させる(ステップS200)。そして、
図2のステップS110と同様の手法により、制御部114は、USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して割り当てるネットワークセグメントを決定する(ステップS202)。つまり、無線LANインタフェース150に対して付与されたIPアドレスのセグメントと異なるセグメントを、USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して割り当てるセグメントとして決定する。
【0040】
USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して割り当てるネットワークセグメントを決定すると、制御部114は、
図2の動作設定処理において起動されたUSBインタフェース140用のDHCPサーバプログラムにより、USBインタフェース140(変換部112)、および、USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して、ステップS202において決定されたセグメントに属するIPアドレスを割り当てる(ステップS204)。そして、制御部114は、
図2の動作設定処理において設定されたアクセス権に従い、USBインタフェース140に接続されたホスト装置に対して、記憶部160のオープン領域とプライベート領域とを公開する(ステップS206)。以上で説明した一連の処理により、接続処理が完了する。
【0041】
以上で説明した本実施形態のストレージ装置100は、USBインタフェース140を介してホスト装置が接続された場合に、そのホスト装置に対して、ストレージ装置100をUSBマスストレージではなく、USBイーサネットアダプタを備えるNASとして認識させる。そのため、USBインタフェース140を通じて接続されたホスト装置と、無線LANインタフェース150を介して接続されたホスト装置とは、どちらも、ストレージ装置100に対してネットワークを通じてアクセスすることができる。よって、従来よりも簡易な手法によって、ストレージ装置100を、USBインタフェース140によって接続されたホスト装置と、無線LANインタフェース150によって接続されたホスト装置と、から同時に利用可能とすることができる。
【0042】
また、本実施形態のストレージ装置100は、USBインタフェース140と無線LANインタフェース150とを、それぞれ、異なるネットワークセグメントに所属させる。そのため、ストレージ装置100は、ファイルの送信に用いるインタフェースを確実に特定することができる。
【0043】
また、本実施形態のストレージ装置100は、USBインタフェース140によって接続されたホスト装置と、無線LANインタフェース150によって接続されたホスト装置とに対して、異なるアクセス権を付与する。そのため、各ホスト装置に対して、それぞれ、異なるファイルや領域にアクセスさせることができる。具体的には、本実施形態では、無線LANインタフェース150によって接続されたホスト装置に対して、USBインタフェース140によって接続されたホスト装置よりも、限定的なアクセス権限を付与する。そのため、無線を通じて、重要なファイルに不正アクセスされることを抑制することが可能になる。
【0044】
また、本実施形態のストレージ装置100は、ネットワーク内にアクセスポイントが検知された際には、そのアクセスポイントのステーション(子機)として動作する。また、アクセスポイントが検知されなかった場合には、アクセスポイントとして動作する。そのため、自宅や会社内、あるいは、外出先などの環境に応じて、自動的にネットワーク構成を変更することができる。
【0045】
B.変形例:
B1.変形例1:
ストレージ装置100は、電源がオンにされた際に、アクセスポイントとして動作してもよい。また、ストレージ装置100は、電源がオンにされた際に、ステーションとして動作してもよい。また、ストレージ装置100は、電源がオンにされた際に、前回、電源がオフにされた際に動作していたモード(アクセスポイントまたはステーション)で動作してもよい。
【0046】
B2.変形例2:
記憶部160には、ストレージ装置100を、USBイーサネットアダプタを備えるNASとして認識させるためのドライバを格納する領域が確保されていてもよい。ホスト装置は、USBインタフェース140を介してストレージ装置100に接続された場合に、記憶部160に記憶されたドライバを読み込んで自身にインストールすることで、ストレージ装置100を、NASとして認識することができる。この場合、ホスト装置の自動実行機能を動作させるためのファイル(Autorun.inf)を記憶部160内に記憶させておくことで、ホスト装置に、自動的にドライバをインストールさせることが可能である。もちろん、ホスト装置に、既にドライバがインストールされていれば、接続の度にドライバのインストールを行う必要はない。
【0047】
B3.変形例3:
上記実施形態では、接続されるインタフェースに応じて、ホスト装置に対して、アクセス可能な領域を変更している。これに対して、例えば、接続されるインタフェースに応じて、読取専用、書き込み禁止、実行禁止など、ファイルに対するアクセス権を変更しても良い。
【0048】
B4.変形例4:
上記実施形態では、ストレージ装置100が備える各デバイスには、バッテリ170から電力が供給されている。これに対して、ストレージ装置100の構成からバッテリ170を省略し、各デバイスには、商用電源から電力を供給してもよい。また、ストレージ装置100は、バッテリ170に蓄えられた電力を、他の装置(例えば、携帯電話やスマートフォン、ポータブルルータ等)に供給できるように、電力供給用のUSBコネクタや他の形態の電源コネクタを備えていてもよい。
【0049】
B5.変形例5:
上記実施形態では、ホスト装置とストレージ装置100とはUSBインタフェースによって接続されている。しかし、ホスト装置とストレージ装置100とが接続されるインタフェースは、USBインタフェースに限られない。例えば、Thunderboltや、PCI Express等、種々のシリアルインタフェースによって接続することが可能である。この場合、変換部112は、これらシリアルインタフェースとネットワークとのプロトコル変換を行う。なお、本明細書において、「シリアルインタフェース」には、有線LANインタフェースは含まれない。また、本明細書におけるシリアルインタフェースとは、いわゆる高速シリアルインタフェースであり、RS−232CやPS/2などのいわゆるレガシーシリアルインタフェースは含まれない。
【0050】
B6.変形例6:
上記実施形態のストレージ装置は、例えば、外部記憶装置の形態として適用することができる。しかし、それ以外にも、例えば、シリアルインタフェースと無線LANインタフェースと記憶部とを備えるスマートフォンやタブレット端末、携帯情報端末、ゲーム機、パーソナルコンピュータなどの種々の装置を、ストレージ装置として適用することが可能である。
【0051】
B7.変形例7:
上記実施形態において、ソフトウェアによって実現した機能は、ハードウェアによって実現しても良い。また、ハードウェアによって実現した機能は、ソフトウェアによって実現しても良い。
【0052】
本発明は、上述の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。