(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
物品、特に精密部品などを搬送する場合、物品同士が干渉したり外部からの衝撃を受けないように梱包ケースの隙間に発泡スチロール等の緩衝材を充填して、物品が緩衝材に囲まれた位置で動かないようにして搬送されている。しかしながら、細長い物品や異形ないし複雑な構造の物品などは緩衝材が充填されていても位置が動きやすく、搬送に伴い梱包ケースの端まで移動して外部から衝撃を受けたり、物品同士が干渉したりする虞がある。これを防止するため、従来から梱包ケースを大きくして緩衝材を大量に詰めたり、物品を移動しないように保持する特別な構造を有する緩衝材を併せて使用している。
【0003】
しかし、これら大量の緩衝材や特別構造の緩衝材は、搬送された後に不要となるもので、環境負荷が大きく、大型化したケースも必要以上に場所をとり、コストも嵩み、効率が悪い。これに対し、内外二重の包装体の間に空気等が充填される密閉した膨張空間を設け、該膨張空間へ流体を充填して内側に収納される物品を保持可能とした緩衝包装具が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、物品によってはたとえば細長い物品などは膨張空間で囲まれた内部で動いてしまい、緩衝効果が低下したり、緩衝包装具から離脱して破損したりする虞があった。また物品を収納した緩衝包装具を搬送用のケースに収納した場合、隙間が生じやすい。よって、結局は緩衝材を隙間に充填する必要が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、細長い物品なども所定の位置に強固に保持でき、緩衝効果を確実に維持でき、梱包ケースにも隙間を最小限にして効率よく収納することができ、ケースの小型化を可能にするとともに従来の緩衝材を不要とすることができる緩衝包装具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述の課題解決のために、内外二重の包装体の間に、空気等の流体が充填される密閉した膨張空間を設けてなり、該膨張空間への流体の充填により内側に張り出す内側包装体によって内側に収納される物品を保持可能とした緩衝包装具であって、物品の周囲を取り囲む前記膨張空間の周方向の三か所に、軸方向に沿って連続又は断続的に内外包装体を接合した接合部を設け、これら三列の接合部により前記膨張空間を周方向に三つの小膨張空間に区分し、前記流体の充填により、各小膨張空間を構成する内側包装体の各部位が三方向から内側に張り出し、内側に収納される物品を当該三方向から保持可能としたことを特徴とする緩衝包装具を構成した。
【0007】
ここで、前記三列の接合部のうち少なくとも二列の接合部を、区分する小膨張空間同士が連通するように軸方向に沿った少なくとも一部に非接合の箇所を設け、これにより前記小膨張空間のすべてが連通した空間とされることが好ましい。
【0008】
更に、前記三列の接合部を、周方向にほぼ等間隔となる位置に設けたものが好ましい。
【0009】
また、前記膨張空間の軸方向の所定の位置に、周方向に沿って連続又は断続的に内外包装体を接合した接合部を設けたものも好ましい。
【0010】
また、内側の物品を収納する空間が二つ以上、軸平行に並設されているものも好ましい。
【0011】
特に、二つ以上の前記内外包装体を、軸方向に沿った前記接合部の位置で互いに熱溶着することにより軸平行に連結してなるものが好ましい。
【0012】
更に、前記熱溶着を前記軸方向に沿った接合部における部分的な熱溶着とし、これにより前記部分的な熱溶着部を破断して各膨張空間の密閉状態を維持したまま分離可能に構成したものが好ましい。
【0013】
また本発明は、上記した緩衝包装具に物品を収納し、該緩衝包装具の軸方向寸法と略同じ長さの縦方向寸法を有する内部収納空間を有する梱包ケースに、前記物品を収納した緩衝包装具を単又は横方向に複数並べて収納することを特徴とする緩衝包装具の使用方法をも提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上にしてなる本願発明に係る緩衝包装具は、物品の周囲を取り囲む膨張空間の周方向の三か所に、軸方向に沿って連続又は断続的に内外包装体を接合した接合部を設け、これら三列の接合部により膨張空間を周方向に三つの小膨張空間に区分し、流体の充填により各小膨張空間を構成する内側包装体の各部位が三方向から内側に張り出し、内側に収納される物品を当該三方向から保持可能としたので、内側包装体の三方向からの内側への張り出しによって極限まで小さい余剰空間にすることができ、当該略中央の位置において細長い物品なども動くことなく強固に安定した姿勢に保持することができる。
【0015】
四方向以上の方向から内側に張り出すと、隣り合う内面同士が干渉して余剰空間が小さくなるにも限界がある。二方向だと余剰空間は無くなるが面接触となり、その間に物品を挟んでも動きやすい。本発明は三方向からとすることで余剰空間が小さく、細長い物品であっても動くことなく強固に保持できることを見出して完成したものである。したがって、本発明では物品を中央付近に安定姿勢で保持できるため緩衝効果を維持でき、他の緩衝材を併用する必要がない。外形も外側包装体により断面視で略三角形の各辺が外側に膨張した形となるので、安定かつ方向を決めて卓上等に載置することができ、このままの状態で搬送でき、別途梱包ケースに収納する場合にも隙間を最小限にして効率よく収納することができ、ケースの小型化を可能にするとともに従来の緩衝材を不要とすることができる。
【0016】
また、前記三列の接合部のうち少なくとも二列の接合部を、区分する小膨張空間同士が連通するように軸方向に沿った少なくとも一部に非接合の箇所を設け、これにより前記小膨張空間のすべてが連通した空間とされているので、内外連通する封入口を一か所に設けておけば、当該封入口から流体を封入してすべての小膨張空間に効率よく充填することができる。
【0017】
また、前記三列の接合部を、周方向にほぼ等間隔となる位置に設けてなるので、内側包装体の内側の物品を収納する空間を極限まで小さい余剰空間にすることができ、細長い物品などもより強固に安定した姿勢に保持することができる。
【0018】
また、前記膨張空間の軸方向の所定の位置に、周方向に沿って連続又は断続的に内外包装体を接合した接合部を設けてなるので、当該接合部は内側包装体が内側に張り出さない部分、すなわち節部となり、この節部にたとえば物品の大径部を位置させることで、その軸方向前後の内側包装体の膨出によって当該物品を軸方向に移動することなく安定した姿勢に保持することが可能となる。また、このような接合部の部分は、流体がないため部分的に保形性が無くなるため、当該接合部で全体が屈曲しやすくなる。したがって屈曲した物品を収納する場合などに適所にこのような接合部を設けておけば、物品の屈曲に追随して全体が無理なく屈曲し、緩衝効果を損なうことなく物品を中心位置に安定姿勢で保持することができる。
【0019】
また、内側の物品を収納する空間が二つ以上、軸平行に並設されてなるので、複数の物品を緩衝効果を維持しつつ効率よく収納することができる。
【0020】
また、二つ以上の前記内外包装体を、軸方向に沿った前記接合部の位置で互いに熱溶着することにより軸平行に連結してなるので、当該接合部で分離すれば、緩衝効果を維持したまま物品を分けて管理等することが可能となり便利である。
【0021】
また、前記熱溶着を前記軸方向に沿った接合部における部分的な熱溶着とし、これにより前記部分的な熱溶着部を破断して各膨張空間の密閉状態を維持したまま分離可能に構成したので、容易に分離することができ、作業性が向上する。
【0022】
また、上述の緩衝包装具に物品を収納し、該緩衝包装具の軸方向寸法と略同じ長さの縦方向寸法を有する内部収納空間を有する梱包ケースに、前記物品を収納した緩衝包装具を単又は横方向に複数並べて収納することを特徴とする緩衝包装具の使用方法によれば、緩衝包装具によって物品が強固に安定した姿勢で中央付近に保持され、緩衝効果も高く維持されることから、他に緩衝材を併用する必要がなく、外形も断面視略三角形の膨張した形状であることから複数並べて収納する場合でも梱包ケース内に隙間を最小限にして無駄なく効率よく収納することができ、ケースの小型化を可能にするとともに従来の緩衝材を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)は本発明の第1実施形態に係る緩衝包装具を示す縦断面図、(b)は同じく緩衝包装具のA−A横断面図(空気を少し入れて軽く膨らんだ状態)、(c)は同じくB−B横断面図(空気を少し入れて軽く膨らんだ状態)。
【
図3】同じく緩衝包装具に物品を収納した使用状態を示す縦断面図。
【
図6】同じく物品を収納した緩衝包装具を梱包ケースに収納した状態を示す説明図。
【
図7】(a)〜(c)は同じく他の使用状態を示す説明図。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る緩衝包装具の要部を示す斜視図。
【
図10】本発明の第3実施形態に係る緩衝包装具を示す横断面図(空気を少し入れて軽く膨らんだ状態)。
【
図11】同じく緩衝包装具に物品を収納した使用状態を示す側面図。
【
図13】(a),(b)は同じく使用の際に用いる別の緩衝包装具を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0025】
まず、
図1〜
図7に基づき、本発明の第1実施形態を説明する。
【0026】
本実施形態の緩衝包装具1は、
図1(a)〜(c)に示すように、内外二重の包装体(内側包装体2、外側包装体3)の間に、空気等の流体が充填される密閉した膨張空間Sが設けられている。そして、膨張空間Sへの流体の充填により、
図2〜
図4に示すように、内側に張り出す内側包装体2によって囲まれた内側の空間Pに収納される物品Gが保持される。
【0027】
物品Gの周囲を取り囲む膨張空間Sの周方向の三か所には、
図1(b)に示すように軸方向に沿って連続又は断続的に内外包装体2、3を接合した接合部41、42、43が設けられている。膨張空間Sは、これら三列の接合部41〜43によって周方向に三つの小膨張空間s1、s2、s3に区分されている。そして流体の充填により、各小膨張空間を構成する内側包装体2が内側へ、外側包装体3が外側へそれぞれ張り出し、
図4に示すように、小膨張空間s1、s2、s3がそれぞれクッション材として機能すると同時に内側に張り出した内側包装体2の各部位(内面21、22、23)が内側の空間Pに収納される物品Gを当該三方向から押して安定した姿勢に保持する。
【0028】
本例では三列の接合部41、42、43が周方向にほぼ等間隔の位置に設けられており、内側包装体2、外側包装体3はそれぞれ断面視略正三角形を為している。したがって、特に流体を充填して内側包装体2を内側へ張り出させる際に各部位(内面21、22、23)で囲まれる余剰空間Pをきわめて小さい空間とすることができ、しかも周囲三方から均等に押し付けるため、物品Gが細いものであっても中心位置に安定した姿勢で且つ強固に保持することができる。
【0029】
三列の接合部41〜43のうち少なくとも二列の接合部42、43は、区分する小膨張空間がそれぞれ連通するように軸方向に沿った少なくとも一部に非接合の箇所を設けた軸方向に断続的な接合とされ、小膨張空間のすべてが連通した空間とされている。具体的には、
図1〜
図4に示すように、接合部41は軸方向に連続して熱溶着して内外包装体2,3を一体的に接合したもの、接合部42、43はそれぞれ断続的に熱溶着して内外包装体2、3を一体的に接合したものとされている。
【0030】
これにより、
図1(c)や
図4からも分かるように、小膨張空間s1、s2、s3は接合部42間の非接合部および接合部43間の非接合箇所を通じて連通する一つの連通空間を為し、したがって小膨張空間の一つ(本例ではs2)に外部に連通する封入口5を設ければ、該封入口5を通じて一度にすべての小膨張空間に効率よく流体を充填することができる。接合部は熱融着以外に接着剤で接合してもよい。
【0031】
尚、本実施形態では後記のとおり内外の包装体2,3を一か所の接合部(接合部41)で同時に筒状に形成しているため、当該接合部41が連続的に接合されているが、別途に予め個々に筒状に形成した内外の包装体2、3を二重に重ね、上記三か所を接合する場合などは、接合部41、42、43のすべてを断続的に接合して同じように一つの連通空間を為した構造とすることが可能である。また、接合部41、42、43のうち二つまたはすべての接合部を連続的に接合したものとし、これにより小膨張空間の一つ又はすべてを独立した密閉空間としてもよく、その場合は流体の封入口5を各独立空間ごとに設ければよい。
【0032】
物品Gは、特に限定されないが、特に本発明によれば、従来梱包ケース内に安定姿勢でコンパクトに緩衝材を配置することが難しく必要以上に嵩が増していた細長い物品に対しても、コンパクトに安定姿勢で確実に緩衝機能を発揮できるものである。勿論、
図7の(a)のように太い物品や(b)のように矩形の物品、(c)のように異形の物品も小膨張空間s1、s2、s3の三方向からの張り出しによって安定した姿勢に保持することができる。
【0033】
内側包装体2、外側包装体3は、たとえばポリエチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂シートよりなる。単一素材のシートでもよいし、多種類の樹脂層、又は樹脂層と金属層等との複合シートでもよい。膨張空間Sに充填される流体は、空気、不活性ガス等の気体や、水等の液体でもよい。その流体に応じて内外包装体を構成するシートを選択すればよい。
【0034】
封入口5は逆止弁構造を備えている。具体的には、合成樹脂シートを重ねて中央部を除いて両端辺を熱溶着した部材より構成されており、中央部の非熱溶着部が小膨張空間と外部とを連通する流通路となる。流体封入の際には、該流通路に管を挿入し、この管を通じて流体を封入する。封入後に管を抜くと、内部充填された流体の圧によって流通路のシート同士が密着し、流通路が閉じる。これが逆止弁構造である。流体を抜くときは再度管を差し込むことで該管を通じて流体が外部に排出される。
【0035】
本実施形態の緩衝包装具1の製造手順を、
図5に基づき説明する。
【0036】
まず、図中(a)、(b)に示すように、内側包装体2を構成することとなる矩形の合成樹脂シート20と、該合成樹脂シート20と同一形状及び寸法で、外側包装体3を構成することとなる合成樹脂シート30とを重ね合わせ、緩衝包装具1の軸方向の両端部11、12となる端辺24、31および端辺25、32をそれぞれ連続的に熱溶着して一体化させた接合部44、45を形成する。
【0037】
この際、端辺24、31の間に上記封入口5を構成する部材、すなわち予め合成樹脂シートを重ねて中央部を除いて両端辺を熱溶着した部材を挟み込んだ状態で熱溶着する。ただし、そのまま熱溶着すると当該部材の流路も塞がってしまうため、熱溶着の際には紙等の熱溶着防止材を挿着する。
【0038】
次に、図中(c)に示すように、緩衝包装具の軸方向となる方向に沿った平行な二位置に、それぞれ合成樹脂シート20、30を断続的に熱溶着して複数の接合部42、43を形成する。次に、図中(c)、(d)に示すように、同じく緩衝包装具の軸方向となる方向に沿った端辺26、33および端辺27、34がすべて重なるように両シート20、30を二つに折り、重なった端辺26、33、27、34を連続的に熱溶着して一体化した接合部41を形成して緩衝包装具1が完成する。
【0039】
尚、本例では封入口5を構成する部材を接合部44に挟み込んでいるが、接合部41に挟み込んでもよい。また、本例では2枚の合成樹脂シート20、30を重ねて作成しているが、一枚の合成樹脂シートを二つ折りして接合部45の代わりに折返し部としたり、或いは接合部41を折返し部と端辺26、33との熱融着で構成することもできる。また、本例では軸方向の両端部11が開口した形態とされているが、一方が閉じた構造でもよい。この場合、たとえば接合部45の熱溶着を
図5(d)の接合部41の形成と同時に行うことで当該部位が閉じた構造とすることができる。
【0040】
緩衝包装具1は、物品を収納してそのままの状態で搬送してもよいし、或いは梱包ケースの中に収納して搬送することもできる。たとえば、緩衝包装具1の軸方向寸法と略同じ長さの縦方向寸法を有する内部収納空間を有する梱包ケースに、前記物品を収納した緩衝包装具を単又は横方向に複数並べて収納することで、従来のような他の緩衝材を用いることなく緩衝効果を維持できる。
【0041】
すなわち、緩衝包装具1は外側包装体3で形成される外形も断面視で三角形の各辺が外側に弓なりに膨らんだ形となり、複数収納する場合にも、
図6に示すように梱包ケースC内にコンパクトに収納でき、且つ3つの小膨張空間s1、s2、s3が物品を中心位置に安定姿勢で保持した状態でクッション材として機能し、余剰空間に他の緩衝材を詰めることなく十分な緩衝効果を維持できるのである。
【0042】
次に、
図8及び
図9に基づき、本発明の第2実施形態を説明する。
【0043】
本実施形態の緩衝包装具1Aは、膨張空間Sの軸方向の所定の位置に、周方向に沿って連続又は断続的に内外包装体を接合した接合部46を設けたものである。このような接合部46は、接合部42、43と同じタイミングで熱溶着により形成することができる。
【0044】
このような接合部46は
図9に示すように軸方向途中部に内側包装体2が内側に張り出さない部分、すなわち節部となり、この節部に物品の大径部を位置させればその軸方向前後の内側包装体2の膨出によって当該物品を軸方向に移動することなく安定した姿勢に保持することができる。このような物品の大径部は物品の軸方向端部にある場合が多いため、当該接合部46も軸方向端部11又は12付近、具体的には端部11又は12から所定距離だけ内側に位置する箇所に形成することが好ましい。一端側のみでなく両端側に設けてもよい。
【0045】
また、このような接合部46の部分は、流体がないため部分的に保形性が無くなるため、当該接合部46で全体が屈曲しやすくなる。したがって屈曲した物品を収納する場合などに適所にこのような接合部を設けておけば、物品の屈曲に追随して全体が無理なく屈曲し、緩衝効果を損なうことなく物品を中心位置に安定姿勢で保持することができる。
【0046】
次に、
図10〜
図14に基づき、本発明の第3実施形態を説明する。
【0047】
本実施形態の緩衝包装具1Bは、上記第1、第2実施形態で示した緩衝包装具1や1Aを二つ平行に並んだ状態に一体化したものであり、本例では
図10に示すように内外包装体2、3の組を二組、軸方向に沿った接合部41、41の位置で互いに熱溶着することにより軸平行に連結され、内側に物品を収納する膨張空間S、Sが二つ以上、軸平行に並設され、これにより同じく平行に並んだ物品収納空間P、Pのそれぞれに物品Gを収納できるように構成されている(
図11、
図12参照)。
【0048】
接合部41、41の熱溶着は軸方向に部分的、本例では両端と中央付近の三か所などに部分的(たとえば点状)で断続的な熱溶着とされており、これにより前記部分的な熱溶着部を破断して各膨張空間の密閉状態を維持したまま分離可能に構成されている。この場合、各接合部41をまず作成してから当該接合部41同士を部分的に熱溶着することになるが、部分的でなく連続的に接合することも勿論可能であり、その場合は各接合部41を作成する際に同時に熱溶着すること、すなわち接合部41、41を一度に一体的に形成することもできる。
【0049】
尚、接合部同士で熱溶着すること以外に、外側包装体の接合部以外の箇所で外側包装体同士を熱溶着して並設することも可能である。本実施形態の緩衝包装具1Bによれば端部に大径部を有する物品についても互いに反対の端部から細径部を差し込んで収納し、両端に各物品の大径部が位置するように収納することで効率よく収納することができ、端部にはみ出てしまうような大径部を有する物品についても、別途
図13及び
図14に示すような同様の緩衝包装具5(本発明と異なり六角形となるように構成されている。)を用いて当該大径部及び緩衝包装具1Bの当該端部を収納することで対応することが可能である。
【0050】
このような緩衝包装具1Bについても、第1実施形態の緩衝包装具1と同様、物品を収納してそのままの状態で搬送してもよいし、或いは梱包ケースの中に収納して搬送することもできる。そして、同じく緩衝包装具1Bの軸方向寸法と略同じ長さの縦方向寸法を有する内部収納空間を有する梱包ケースに、前記物品を収納した緩衝包装具1Bを単又は横方向に複数並べて収納することで、従来のような他の緩衝材を用いることなく緩衝効果を維持できる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。