(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような内部に空気が充填されない非空気入りタイヤは、製造に手間がかかる、タイヤの変形と強度との両立が難しい等の課題がある。本発明は、新たなタイヤ/ホイール組立体及びトレッドリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために本発明のタイヤ/ホイール組立体は、回転軸に連結されるホイールと、前記ホイールの径方向外側に配置され、内部に空気が充填された弾性体のチューブと、前記チューブの前記径方向外側に配置され、かつ、前記ホイールと離間して配置された剛体のプロテクトリングと、前記プロテクトリングの前記径方向外側に、内周面が前記プロテクトリングの外周面と接触して配置されたトレッドリングと、を有することを特徴とする。
【0006】
ここで、前記トレッドリングは、前記内周面から前記外周面に貫通する貫通穴が形成されていることが好ましい。
【0007】
また、前記トレッドリングは、前記内周面に前記外周面側に凹となる内周面溝が形成され、前記内周面溝は、前記貫通穴と繋がっていることが好ましい。
【0008】
また、前記プロテクトリングは、前記回転軸に平行な方向である幅方向において、前記幅方向外側に向かうに従って前記内周面の径が小さくなることが好ましい。
【0009】
また、前記ホイールは、前記回転軸に平行な方向である幅方向において、前記幅方向外側に向かうに従って前記外周面の径が大きくなることが好ましい。
【0010】
また、前記チューブは、前記外周面に前記プロテクトリングとの密着力を向上させる多数の突起部を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記チューブは、タイヤ幅方向の変形を規制する形状規制構造が設けられていることが好ましい。
【0012】
また、前記チューブは、複数に分割された分割チューブを含むことが好ましい。
【0013】
また、前記分割チューブは、前記回転軸周りの方向である周方向に隣接して配置されていることが好ましい。
【0014】
また、前記分割チューブは、前記幅方向に隣接して配置されていることが好ましい。
【0015】
また、前記チューブは、空気が充填される内部空間を分割する隔壁が設けられていることが好ましい。
【0016】
また、前記チューブは、前記隔壁に、隣接する前記内部空間を繋げ、かつ一方に空気を流す逆止弁が設けられていることが好ましい。
【0017】
また、前記トレッドリングは、前記プロテクトリングから着脱可能であることが好ましい。
【0018】
また、前記チューブは、前記内周面が前記ホイールの前記外周面と接触していることが好ましい。
【0019】
また、前記ホイール及び前記チューブと接触し、前記ホイールに対して前記チューブを保持する内周側支持部をさらに有することが好ましい。
【0020】
また、前記チューブは、前記外周面が前記プロテクトリングの前記内周面と接触していることが好ましい。
【0021】
また、前記プロテクトリング及び前記チューブと接触し、前記プロテクトリングに対して前記チューブを保持する外周側支持部をさらに有することが好ましい。
【0022】
上述した課題を解決するために本発明のトレッドリングは、弾性体で形成され、リング状の剛体と接触する内周面と地面と接触する外周面を有する円環形状のトレッドリングであって、前記内周面から前記外周面に貫通する貫通穴が形成されていることを特徴とする。ここで、リング状の剛体とは、本実施形態のプロテクトリングに相当する。
【0023】
また、前記内周面に前記外周面側に凹となる内周面溝が形成され、前記内周面溝は、前記貫通穴と繋がっていることが好ましい。
【0024】
また、前記内周面溝は、当該内周面の中心軸に平行な方向である幅方向の端部から端部まで延在することが好ましい。
【0025】
前記外周面に前記内周面側に凹となる外周面溝が形成され、前記外周面溝は、前記内周面溝と繋がっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るタイヤ/ホイール組立体及びトレッドリングは、走行時に路面から車体に向けて加えられる衝撃をチューブで吸収することができる。また、プロテクトリングでチューブを保護することができるため、タイヤのパンクを抑制することができる。また、プロテクトリングでトレッドリングを支持することで、トレッドリングの変形を抑制でき、走行性能を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0029】
(実施形態1)
図1は、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体の一例の概略構成を示す側面図である。
図2は、
図1のA−A線断面図である。
図3は、
図1に示すタイヤ/ホイール組立体の分解斜視図である。ここで、A−A線断面図は、タイヤ/ホイール組立体の子午線断面図である。子午線断面とは、タイヤ/ホイール組立体10の回転軸と平行かつ回転軸を含む平面で、タイヤ/ホイール組立体10を切ったときの断面である。子午断面において、タイヤ/ホイール組立体10は回転軸に対して軸対象なので、本実施形態では、対象となる一方を図示する。
【0030】
タイヤ/ホイール組立体10は、中心軸(Y軸)を回転軸として回転する。Y軸は、タイヤ/ホイール組立体10の中心軸かつ回転軸である。タイヤ/ホイール組立体10の中心軸(回転軸)であるY軸に直交し、かつタイヤが接地する路面と平行な軸をX軸、Y軸とX軸とに直交する軸をZ軸とする。Y軸と平行な方向がタイヤ/ホイール組立体10の幅方向である。Y軸を通り、かつY軸に直交する方向がタイヤ/ホイール組立体10の径方向である。また、Y軸を中心とする周方向がタイヤ/ホイール組立体10の周方向である。タイヤ赤道面RPとは、タイヤ/ホイール組立体10の回転軸(Y軸)に直交するとともに、タイヤ/ホイール組立体10の幅方向における中心を通る平面である。タイヤ赤道線とは、タイヤ赤道面上にあってタイヤ/ホイール組立体10の外周面と前記赤道面とが交差する線である。また、タイヤ/ホイール組立体10は、
図1中下側の一部が路面8と接触する。タイヤ/ホイール組立体10は、路面8と接触している部分が接地部(接地面)となる。また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体10は、乗用車、バス、トラック等種々の車両に装着することができる。
【0031】
図1から
図3に示すタイヤ/ホイール組立体10は、ホイール12と、チューブ14と、プロテクトリング16と、トレッドリング18と、を有する。タイヤ/ホイール組立体10は、回転軸から径方向外側に向かって、ホイール12、チューブ14、プロテクトリング16、トレッドリング18の順で配置されている。ホイール12は、外周面12aがチューブ14の内周面14aと接触している。チューブ14は、上述したように内周面14aがホイール12の外周面12aと接触し、外周面14bがプロテクトリング16の内周面16aと接触している。プロテクトリング16は、内周面16aがチューブ14の外周面14bと接触し、外周面16bがトレッドリング18の内周面18aと接触している。トレッドリング18は、内周面18aがプロテクトリング16の外周面16bと接触し、外周面18bが地面と接触する接地面となる。ホイール12とチューブ14とプロテクトリング16とトレッドリング18との中心軸は、タイヤ/ホイール組立体10の回転軸(Y軸)と共通する。タイヤ/ホイール組立体10は、チューブ14とプロテクトリング16とトレッドリング18とが、タイヤ/ホイール組立体10のタイヤに相当する。
【0032】
ホイール12は、車両の回転軸(車軸)に連結される部材である。本実施形態のホイール12は、回転軸と連結するハブに複数のスポーク22が連結されている。スポーク22は、径方向内側から外側に向けて放射状に配置されている。なお、ハブには、当該ホイール12を回転軸に締結するための締結部材(ネジ等)を挿入するためのネジ穴24が設けられている。ホイール12は、スポーク22の外径側の端部にリング形状(円筒形状)の部材が連結している。また、ホイール12の外周面12aは、幅方向(タイヤ幅方向、Y軸方向)の外側(端部側)に向かうに従って、径が大きくなる。具体的には、外周面12aは、断面の形状が径方向内側に凸で、幅方向の中心が最も径が小さくなる曲線(本実施形態では、円弧)となる。なお、ホイール12の形状は、スポーク22を備える形状に限定されない。ホイール12は、ディスク形状であってもよい。また、ホイール12は、本実施形態に適用した形状で作成することが好ましいが、空気入りタイヤに使用される一般的なホイールを用いることもできる。また、ホイール12は、一般的なホイールのリム(外周側)にチューブ14との接触面となる専用の冶具を設けてもよい。つまり、一般的なホイールと専用の冶具の組み合わせをホイールとしてもよい。
【0033】
本実施形態において、ホイール12は、金属で製造されるが、これに限定されるものではない。例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)やGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)等の繊維強化プラスチック等でホイール12が製造されてもよい。本実施形態において、ホイール12は、アルミニウム合金で製造される。金属材料は、これに限定されるものではなく、例えば、鋼(炭素鋼やステンレス鋼等)であってもよい。アルミニウム合金は、鋼と比較して比重が小さいため、タイヤ/ホイール組立体10の質量を小さくできるので好ましい。
【0034】
チューブ14は、ホイール12とプロテクトリング16との間に介在し、かつホイール12及びプロテクトリング16の周方向に向かって延在する。チューブ14は、ホイール12の外周及びプロテクトリング16の内周を一周する無端のチューブである。チューブ14の内部空間14cには、所定の圧力で気体(空気や窒素またはこれらの混合気体)が充填されている。チューブ14は、圧縮に対して反発力を発生する部材である。本実施形態において、チューブ14は、伸縮、変形する弾性体であり、例えば、ゴムや可撓性を有する樹脂で製造される。チューブ14がゴムで製造される場合、例えば、上述したトレッドリング18と同様なゴム材料を用いることができる。チューブ14の機能について後述する。
【0035】
プロテクトリング16は、円筒形状の部材であり、チューブ14の径方向外側に配置される。また、プロテクトリング16は、径方向において、最も内側の部分が、ホイール12の最も外側の部分よりも、外側にある。これにより、プロテクトリング16は、ホイール12に対して所定距離離れて配置される。また、プロテクトリング16の内周面16aは、幅方向(タイヤ幅方向、Y軸方向)の外側(端部側)に向かうに従って、径が小さくなる。これにより、ホイール12の外周面12aとプロテクトリング16の内周面16aとで囲われた領域は、
図2に示すように、幅方向の外側に向かうに従って、径方向の間隔が狭くなる。
【0036】
本実施形態において、プロテクトリング16は、ホイール12と同様に金属で製造されるが、これに限定されるものではない。例えば、CFRP(Carbone Fiber Reinforced Plastics)やGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)等の繊維強化プラスチック等でプロテクトリング16が製造されてもよい。本実施形態において、ホイール12は、アルミニウム合金で製造されるが、これに限定されるものではない。理由はホイール12に対するものと同様である。
【0037】
トレッドリング18は、内周面18aがプロテクトリング16の外周面16bと接触している。トレッドリング18は、タイヤ/ホイール組立体10のタイヤのトレッド部に相当する。トレッドリング18は、円環状のプロテクトリング16の外周面16bを、周方向に向かって一周分覆っている。すなわち、トレッドリング18は、プロテクトリング16の外周面16bに嵌め込まれるゴム製の輪である。トレッドリング18は、径方向に複数種類のゴムを積層してもよい。トレッドリング18はゴムであるので、タイヤ/ホイール組立体10のタイヤに相当するプロテクトリング16とトレッドリング18とは、非空気入りタイヤに相当するものになる。
【0038】
本実施形態において、トレッドリング18の幅方向における寸法は、プロテクトリング16の幅方向における寸法と略同じ大きさであるが、前者が後者以下であることが好ましい。このようにすれば、トレッドリング18の幅方向両端部の過度な変形が抑制できるので、トレッドリング18の偏摩耗やRR悪化を抑制できる。トレッドリング18は、合成ゴムや天然ゴム又はこれらを混合したゴム材料と、当該ゴム材料に補強剤として添加される炭素(C)や二酸化シリコン(SiO
2)等を含む。
【0039】
トレッドリング18の外周面18b、すなわち、タイヤ/ホイール組立体10の最も径方向外側の面は、直接路面8に接する面(踏面)である。本実施形態において、トレッドリング18とプロテクトリング16とは、例えば、圧入によって固定される。つまり、トレッドリング18は、収縮する方向に力が作用する状態で、プロテクトリング16の外周面に装着されている。このような構造により、プロテクトリング16とトレッドリング18とは、密着し、相互に力を伝達できる。
【0040】
本実施形態において、タイヤ/ホイール組立体10は、所定の空気圧で膨らまされたチューブ14がホイール12とプロテクトリング16との間に配置されることで、チューブ14がホイール12とプロテクトリング16とに圧着される。これにより、チューブ14を介してホイール12とプロテクトリング16との間で力が伝達され、連動して回転する。
【0041】
チューブ14は、所定の圧力で気体(空気や窒素またはこれらの混合気体)が充填されていることで、
図2に示すように断面の外側方向に広がろうとする力が作用し、膨らもうとする。ここで、チューブ14は、内径側(径方向内側)に剛体のホイール12が配置され、外径側(径方向外側)にプロテクトリング16が配置されていることで、膨らむことができず、ホイール12及びプロテクトリング16の両方に接触する。このとき、チューブ14は、所定の圧力で気体(空気や窒素またはこれらの混合気体)が充填されていることで、ホイール12及びプロテクトリング16に対して所定の圧力で押し付けられる。このような構造により、ホイール12またはプロテクトリング16が回転すると、チューブ14は、ホイール12との間及びプロテクトリング16との間で摩擦力等を発生する。その結果、タイヤ/ホイール組立体10は、チューブ14を介して、ホイール12とプロテクトリング16との間で力を伝達できる。
【0042】
本実施形態において、トレッドリング18は、プロテクトリング16に圧入等で組み立てられている。これによりトレッドリング18とプロテクトリング16とは、連動して移動する。つまり、プロテクトリング16またはトレッドリング18が回転すると、プロテクトリング16とトレッドリング18との間で摩擦力等が発生し、両者の位置がずれないように回転していない側の物体に回転方向に移動する力が伝達される。その結果、タイヤ/ホイール組立体10は、プロテクトリング16とトレッドリング18との間で力を伝達でき、一体で回転させることができる。
【0043】
これにより、タイヤ/ホイール組立体10は、ホイール12とチューブ14とプロテクトリング16とトレッドリング18とが互いの接触部分で連動して回転する程度以上の力で支持されており、一体で回転する。
【0044】
ここで、タイヤ/ホイール組立体10は、チューブ14が、タイヤ/ホイール組立体10の径方向(
図1中矢印αの方向)に向かって圧縮されて変形すると、反発力を発生する。これによって、チューブ14は、タイヤ/ホイール組立体10に作用する荷重を支持することができる。さらに、チューブ14が弾性変形することで、タイヤ/ホイール組立体10に入力される衝撃を吸収する。すなわち、チューブ14は、タイヤ/ホイール組立体10の縦バネとして機能する。これにより、タイヤ/ホイール組立体10は、走行時の振動や路面の凹凸によって力が加わった場合、チューブ14が変形して振動等を減衰させる。チューブ14は、圧縮方向において、タイヤ/ホイール組立体10の縦バネとして必要なバネ定数を有することが好ましい。
【0045】
また、タイヤ/ホイール組立体10のプロテクトリング16は、剛体であるため、チューブ14が変形した場合でもほぼ変形せず、円環形状を維持することができる。これにより、タイヤ/ホイール組立体10は、プロテクトリング16の外周側、つまりタイヤ/ホイール組立体10の外周側の偏芯変形を促進することができる。具体的には、ZX平面において、タイヤ/ホイール組立体10は、プロテクトリング16により外周側の形状に、接地回転による曲げおよび圧縮(
図1中の矢印βの方向)の繰り返し変形がほとんど生じない。このため、タイヤ/ホイール組立体10は、トレッドリング18の曲げ及び圧縮の繰り返し変形に起因するエネルギーロスを抑制することができる。これにより、転がり抵抗を抑制することができる。なお、チューブ14は、ホイール12とプロテクトリング16の相対位置を変動させつつ変形し、さらに、Z方向に変形することで、Z軸方向に加わる力を減衰させる。
【0046】
従来の空気入りタイヤは、カーカスやベルト等の繊維材料とゴムとの複合材料であるので、子午断面内における剛性は低い。一方、タイヤ/ホイール組立体10は、金属材料や繊維強化プラスチックで製造される、円筒形状の構造体であるプロテクトリング16を骨格として、プロテクトリング16にトレッドリング18が支持される。プロテクトリング16は、周方向に板状部材が連続した環状の構造体であり、形状の面から、子午断面内における剛性は高い。このため、タイヤ/ホイール組立体10は、子午断面内における剛性が従来の空気入りタイヤよりも高くなる。また、プロテクトリング16は、子午断面内における剛性が高いことから、プロテクトリング16の外周部の子午断面における形状も、高い精度を維持できる。このため、タイヤ/ホイール組立体10は、従来の空気入りタイヤと比較して、接地面の形状(矢印βで挟まれた領域の形状)を所定の形状に保ちやすい。このように、接地部であるトレッドリング18の曲げおよび圧縮変形を抑制でき、転がり抵抗を低減することができる。
【0047】
また、プロテクトリング16は、金属や繊維強化プラスチック等で製造されるので、繊維材料の組み合わせと比較すると、様々な形状のものを得ることができる。このため、タイヤ/ホイール組立体10は、プロテクトリング16の外周面16bの子午断面における形状を変更することで、所望の接地形状に調整することも比較的容易である。その結果、タイヤ/ホイール組立体10は、例えば、幅方向における接地圧分布を均一化したり、接地長(周方向における接地面の長さ)を長くして旋回性能を調整したりすることもできる。
【0048】
タイヤ/ホイール組立体10は、チューブ14の径方向外側にプロテクトリング16が配置され、プロテクトリング16の径方向外側に、路面8と接地するトレッドリング18が取り付けられる。このため、トレッドリング18が損傷したとしても、プロテクトリング16によってトレッドリング18の損傷の影響は食い止められる。その結果、プロテクトリング16の径方向内側に配置されるチューブ14に前記損傷の影響が及ぶことはほとんどなく、走破性に優れる。つまり、タイヤ/ホイール組立体10は、プロテクトリング16で気体が充填されているチューブ14を保護することができ、走行時に釘、割れたガラス等の鋭利な物体を踏んだ場合でも、チューブ14に穴が開くことを防ぐことができる。これにより、タイヤ/ホイール組立体10は、いわゆるパンクした状態になりにくくなる。
【0049】
タイヤ/ホイール組立体10のトレッドリング18は、少なくとも従来の空気入りタイヤのキャップトレッドに相当する部分だけあればよい。このため、タイヤ/ホイール組立体10は、従来の空気入りタイヤと比較して使用するゴムの量を少なくすることができる。その結果、タイヤ/ホイール組立体10は、転がり抵抗を低減させることができる。
【0050】
また、タイヤ/ホイール組立体10は、トレッドリング18が摩耗した場合、トレッドリング18のみを交換することができる。つまり、プロテクトリング16からトレッドリング18を取り外し、新たなトレッドリング18を装着することができる。これにより、タイヤ/ホイール組立体10は、空気入りタイヤよりも交換部分を少なくすることができ、環境負荷を低減できる。さらに、タイヤ/ホイール組立体10は、トレッドリング18のみを取り替えることができるので、プロテクトリング16はそのままで、異なるトレッドパターンや異なるコンパウンドのトレッドリング18に交換することもできる。つまり、交換用のトレッドリングを用意しておくのみでよく、交換用の部品を設置するスペースを少なくすることができる。例えば、夏用タイヤと冬用タイヤの交換もトレッドリングの交換のみでよくなる。
【0051】
また、タイヤ/ホイール組立体10は、仮にチューブ14がパンクした場合であってもチューブのみを交換することで、再び利用することが可能となる。これにより、パンクが生じた場合、ホイール以外の全部を交換する必要がある空気入りタイヤ、ランフラットタイヤ(パンクしても一定距離、走行が可能なタイヤ)よりも簡単に対応することができる。また交換部品を少なくできるため、交換コストも低減することができる。
【0052】
また、タイヤ/ホイール組立体10は、ホイールとして、空気入りタイヤ用のホイールを用いることができる。これにより、既存の空気入りタイヤを交換するのと同様に、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体10を装着させることができる。
【0053】
ここで、チューブ14の材料は、特に限定されるものではないが、ゴムや樹脂等を主体とすることが好ましい。一般に、高分子材料は、ホイール12及びプロテクトリング16の材料である金属材料や繊維強化プラスチックと比較して弾性率が数十分の一以下である。このため、チューブ14は、ホイール12とプロテクトリング16とに挟持されると、変形して、タイヤ/ホイール組立体10に入力される衝撃を吸収し、減衰させる。その結果、タイヤ/ホイール組立体10は十分な乗心地性能を確保できる。
【0054】
タイヤ/ホイール組立体10は、チューブ14に充填される気体の圧力を調整することにより、タイヤ/ホイール組立体10の径方向におけるチューブ14のバネ定数(圧縮方向におけるバネ定数)を変更できる。その結果、タイヤ/ホイール組立体10は、縦剛性が変更される。このように、チューブ14を用いると、簡易にタイヤ/ホイール組立体10の縦剛性を変更できるという利点がある。また、チューブ14は、バネ特性及び気体保持性能に特化できるので、タイヤ/ホイール組立体10の設計が比較的容易になる。また、チューブ14に充填される気体の圧力を調整することにより、チューブ14とホイール12及びプロテクトリング16との間で発生する摩擦力等の大きさを調整でき、密着力を調整することができる。
【0055】
本実施形態において、チューブ14は、内部空間14cに気体を充填又は排出するためのバルブ(弁)を備えることが好ましい。バルブは、チューブ14に直接設けてもよいが、ホイール12が有する貫通穴に挿通された状態で設置してもよい。この場合、ホイール12の貫通穴とチューブ14とを繋げる通路がホイール内に形成される。バルブの設置の態様はこれに限定されるものではない。このような構造により、チューブ14がホイール12とプロテクトリング16との間に配置された状態で、バルブを介してチューブ14に充填された気体の圧力を調整することができる。その結果、保守・点検、気体の補充や、タイヤ/ホイール組立体10の縦剛性の調整が容易になる。
【0056】
次に、
図4及び
図5を用いて、トレッドリング18の表面形状(トレッドパターン)について説明する。
図4は、トレッドリングの概略構成を示す斜視図である。
図5は、トレッドリングの概略構成を示す拡大斜視図である。トレッドリング18は、外周面18bに外周面溝30が形成されている。外周面溝30は、断面が径方向内側に向かって凹んだ形状であり、周方向に沿って延在する複数の周方向溝である。外周面溝30は、幅方向に複数本形成されている。トレッドリング18の外周面18bは、複数の外周面溝30よって区画され、かつ周方向に沿って延びる複数の陸部を有することになる。ここで、トレッドリング18は、空気入りタイヤと同様に外周面18bに、外周面溝30として周方向溝に交差するラグ溝が設けられていてもよい。また、トレッドリング18は、空気入りタイヤと同様に外周面18bに、外周面溝30としてサイプが設けられていてもよい。
【0057】
次に、トレッドリング18は、内周面18aに内周面溝32が形成されている。内周面溝32は、断面が径方向外側に向かって凹んだ形状であり、幅方向に延在する。内周面溝32は、周方向に所定間隔離間して複数配置されている。内周面溝32は、外周面溝30と重なる部分が外周面溝30と繋がっている。これにより、内周面溝32と外周面溝30とは繋がっている。内周面溝32は、幅方向の一方の端部から他方の端部まで伸びた溝であり、幅方向の中央に向けて周方向の一方の凸となるV字形状である。内周面溝32の形状は特に限定されないが、タイヤ幅方向に延在した形状とすることが好ましい。また、内周面溝32は、少なくとも一方の端部が幅方向の端部まで延在していることが好ましく、両方の端部が幅方向の端部まで延在していることがより好ましい。つまり、内周面溝32は、少なくとも一方の端部が側面に露出していることが好ましい。
【0058】
次に、トレッドリング18は、外周面18bから内周面18aまで延在する、つまり径方向に貫通した貫通穴34が形成されている。貫通穴34は、内周面溝32が形成されている位置に形成されている。つまり、貫通穴34は、内周面18a側の端部が内周面溝32と繋がっている。
【0059】
このように、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体10のトレッドリング18は、径方向内側の面である内周面18aに内周面溝32を設けることができ、外周面18bから内周面18aに貫通した貫通穴34を設けている。これにより、トレッドリング18は、例えば、ウェット路面の走行時に外周面溝30に矢印40に示すように水が流れる。また、貫通穴34にも矢印42に示すように水が流れ込む。矢印40、矢印42に示すように、外周面溝30及び貫通穴34に流入した水の一部は、外周面溝30及び貫通穴34とそれぞれ繋がっている内周面溝32に流入する。内周面溝32に流入した水は、矢印44に示すように、内周面溝32に沿って幅方向外側に案内され、トレッドリング18の幅方向の端部から外部に排出される。このように、トレッドリング18は、内周面溝32、さらには内周面溝32及び貫通穴34の組み合わせが、空気入りタイヤのラグ溝と同様の機能を実現することができる。また、トレッドリング18は、内周面18aが剛体のプロテクトリング16で支持されているため、内周面18aの内周面溝32の形状を保持することができる。また、内周面18aに溝を設けても、チューブ14に影響を与えないため、チューブ14内に空気を充填した状態を維持することができる。
【0060】
これにより、トレッドリング18は、外周面溝30に加え、従来の空気入りタイヤでは、内部領域の気体(空気等)が抜けてしまい形成できなかった内周面溝32及び貫通穴34を用いて、空気入りタイヤのトレッドパターンで実現していた性能を実現することができる。これにより、トレッドパターンの設計自由度を向上させることができ、より高機能なトレッドパターンとすることが可能となる。例えば、接地面であるトレッドリング18の外周面18bに形成する溝を少なくしつつ、内周面溝32で溝に入った水を排出することができる。これにより、ブロック剛性を高くしつつ、排水性能を高くできる。つまり、ドライ性能とウェット性能の両方を高いレベルで両立させることができる。
【0061】
また、トレッドリング18は、上述したように、少なくともキャップトレッドに相当する部分を設け、空気入りタイヤのサイドウォール部に相当する部分は必要なくなるため、筒型の形状とすることができる。これにより、金型を用いて、トレッドリング18の内周面18aと外周面18bの両方に溝を形成することができる。これにより、内周面と外周面に溝が形成されたトレッドリングも比較的簡単に製造することができる。
【0062】
なお、本実施形態では、トレッドリング18をプロテクトリング16に圧入して装着するとしたが、トレッドリング18をプロテクトリング16に固定する方法は、特に限定されない。例えば、接着剤で接着させることでトレッドリング18をプロテクトリング16に固定してもよい。なお接着剤で接着したトレッドリング18を交換する場合、プロテクトリング16と一緒にトレッドリング18を回収してトレッドリング18を除去することで、プロテクトリング16を再利用することができる。また、回収したトレッドリング18付きのプロテクトリング16のトレッドリング18を除去して、新しいトレッドリング18をプロテクトリング16に取り付けること(リトレッド)も容易である。トレッドリング18とプロテクトリング16との接着に用いる接着剤は、特に限定されないが、刺激応答タイプの接着剤(例えば熱や電気等の刺激により可逆反応する接着剤)を用いることができる。これにより、プロテクトリング16とトレッドリング18の解体・取り付けをさらに容易にすることが可能となる。
【0063】
また、トレッドリング18は、プロテクトリング16に装着することでリング形状(筒形状)となるが、装着前はリング形状でなくてもよい。トレッドリング18は、例えば、板状の形状で製造し、当該板形状の部材をプロテクトリング16に巻きつけることでリング形状となるようにしてもよい。この場合、トレッドリング18は接着剤や、マジックテープ(登録商標)を用いてプロテクトリング16に固定することで装着することができる。また、トレッドリング18をプロテクトリング16に固定する手段として、マジックテープ(登録商標)を用いることで着脱を簡単にすることができる。トレッドリングを板形状で生産することで、外周面、内周面への溝の加工をより簡単にすることができる。また、装着も簡単にすることができる。
【0064】
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体10は、チューブを交換することもできる。これにより、例えば求める性能に合わせてチューブを交換することができる。また、ユーザの好みに合わせてチューブの色を変えることもできる。また、タイヤ/ホイール組立体10は、性能に応じてチューブの色を変えることで、チューブの色を見れば現状のチューブの性能を理解することができる。
【0065】
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体10は、径方向において、ホイール12とプロテクトリング16とを所定間隔離した形状とすることで、ホイール12とプロテクトリング16とが相対的に移動可能となり、ホイール12とプロテクトリング16との間でチューブ14が径方向、幅方向に変形することができる。これにより、タイヤ/ホイール組立体10に加わるZ方向等の力をチューブ14で減衰させることができる。
【0066】
また、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体10は、子午断面において、ホイール12の外周面12aを幅方向端部に行くほど径が大きくなる曲面とすることで、チューブ14をホイール12からはずれにくくすることができる。また、タイヤ/ホイール組立体10は、断面において、プロテクトリング16の内周面16aを幅方向端部に行くほど径が小さくなる曲面とすることで、チューブ14をプロテクトリング16からはずれにくくすることができる。
【0067】
(他の実施形態)
図6は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体の一例の概略構成を示す斜視図である。
図7は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体の断面図である。
図8は、チューブの他の例の概略構成を示す斜視図である。他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体10aは、ホイール112と、チューブ114と、プロテクトリング116と、トレッドリング118と、を有する。
【0068】
ホイール112は、外周面の幅方向の両方の端部に、径方向外側に突出した突起部130が設けられている。ホイール112は、突起部130を設けることで、外周面に接触するチューブ114をより安定して保持することができる。また、プロテクトリング116は、外周面の幅方向の両方の端部に、径方向内側に突出した突起部132が設けられている。プロテクトリング116は、突起部132を設けることで、内周面に接触するチューブ114をより安定して保持することができる。このように、タイヤ/ホイール組立体10aは、突起部130、132を設けることで、幅方向外側の両端のホイール112とプロテクトリング116との距離(径方向の距離)を幅方向内側の部分よりも短くすることができる。これにより、チューブ114がホイール112とプロテクトリング116との間の幅方向端部から抜けにくい状態とすることができ、チューブ114をより安定して保持することができる。
【0069】
次に、チューブ114は、
図8示すように、ゴム140の内部に骨として繊維142が配置されている。つまり、チューブ114は、繊維142にゴム140をコートして、中空のリング形状となる。繊維142は、ゴム140よりも強度の高い部材で形成されている。また、チューブ114は、外周面の幅方向の中心に周方向に円環上に補強部材144が配置されている。補強部材144は、ゴム140よりも径が小さいリングである。また、補強部材144は、ゴム140よりも強度の高い部材で形成されている。
【0070】
タイヤ/ホイール組立体10aは、チューブ114を繊維142で強化することで、チューブの耐久性を向上させることができ、さらにチューブ114の一部だけが過剰に変形することを抑制できる。これにより、チューブ114がホイール112とプロテクトリング116との間から大きくはみ出て戻ることができない、所謂、脱腸状態になることを抑制することができる。なお、繊維142は、断面における全周に設けることが好ましいが、一部のみに設けてもよい。また、繊維142は、少なくともチューブ114の幅方向の変形を規制できるように配置することが好ましい。また、タイヤ/ホイール組立体10aは、チューブ114を繊維142で強化し、さらに補強部材144を設けることで、チューブ114がパンクした場合でも形状を一定の状態に維持することができ、しぼみすぎることを抑制できる。これにより、チューブ114がパンクしてもホイール112とプロテクトリング116との間隔を維持できるため、走行を継続することが可能となる。
【0071】
図9は、チューブの他の例の概略構成を示す斜視図である。
図9に示すチューブ214は、表面に多数の突起230が設けられている。突起230は、チューブ214が接触する対象であるホイール、プロテクトリングとの接触面に配置されており、ホイールの外周面またはプロテクトリングの内周面と接触する。突起230は、ホイール、プロテクトリングに対してチューブ214が移動しないように支持するアンカーとなる。つまり突起230は他の部分よりも突出しているため、より強い力でホイール、プロテクトリングと接触する。これにより、相対位置がずれにくくなり、アンカーとして機能する。
【0072】
ここで、タイヤ/ホイール組立体は、チューブとして、複数に分割された分割チューブを用いてもよい。タイヤ/ホイール組立体は、複数に分割した分割チューブを用いることで、仮に1つの分割チューブがパンクした場合でも他の分割チューブでホイールとプロテクトリングとを保持することができる。これにより、パンクが発生しても走行を継続することができ、パンクに対する耐性をより高くすることができ、安全性を向上させることができる。また、パンクが発生した場合も、当該パンクした分割チューブを交換することで元の状態にできる。これにより交換も簡単にでき、交換する部分も最小にすることができる。
【0073】
図10は、チューブ及びホイールの他の例の概略構成を示す斜視図である。
図10に示すチューブ314は、チューブ314が幅方向に3つ分割された分割チューブ330、332、334を有する。また、ホイール312は、分割チューブ330、332、334に対応して、径方向外側に突出しし、周方向に伸びている隔壁340が4つ設けられ、幅方向が3つの部屋342に分割されている。分割チューブ330、332、334は、3つの部屋342のそれぞれに配置されている。
図10に示すように、チューブ314を分割チューブ330、332、334とすることで、1つのチューブがパンクしても残りのチューブが残るため、走行を継続することが可能となる。また、
図10に示す例では、チューブ314を幅方向に分割した分割チューブ330、332、334としているため、1つの分割チューブがパンクしても、周方向の全域に空気が充填された分割チューブ330、332、334のいずれか2つが残っている状態とすることができる。これにより、より安定した走行を維持することができる。
【0074】
図11は、チューブの他の例の概略構成を示す斜視図である。
図11に示すチューブ414は、チューブ414に空気を供給するバルブ430が設けられている。また、チューブ414は、周方向の各位置に配置された複数の隔壁432で複数に分割されている。また、各隔壁432は、逆止弁434が設けられており、チューブ414の隔壁432で分割された内部空間のうち、隔壁432を介して隣接する内部空間の間で、一方の内部空間から他方の内部空間に空気が流れることができる。
【0075】
チューブ414は、隔壁432で複数の内部空間に区切ることで、それぞれを分割チューブとすることができる。また逆止弁434を設けて空気が一方向に流通できるようにすることで、1つのバルブ430から供給した空気を各内部空間に供給することができる。これにより、1つのバルブ430で全ての分割チューブに空気を供給することができる。また、逆止弁434で空気が流れるようにすることで、空気のバランスを自動的に調整することができる。また、隔壁432および逆止弁434を複数設けて、チューブ414を複数の気室に区切っている為、1つの分割チューブがパンクしても、パンクした分割チューブの気室内に、残りのパンクしていない分割チューブの空気が流入する速度を抑制することができ、結果としてチューブ414全体の空気圧低下速度を抑制することができる。これによりパンク発生時の空気圧の急激な低下を抑制することができ、パンク発生時の安全性を高くすることができる。
【0076】
図12は、チューブの他の例の概略構成を示す斜視図である。
図12に示すチューブ514は、分割の分割チューブ530が周方向に複数に配置されている。つまりチューブ514は、複数の分割チューブ530で周方向に複数に分割されている。1つの分割チューブ部530は、周方向の一部の領域のみに配置される。チューブ514は、
図12に示すように、周方向に複数に分割しても1つの分割チューブ530のパンクの影響が他の分割チューブ530に与える影響を小さくすることができる。これにより、1つのチューブがパンクしても残りのチューブが残るため、走行を継続することが可能となる。
【0077】
上記実施形態のトレッドリング18は、外周面18bに形成された外周面溝30と内周面18aに形成された内周面溝32と、外周面18bから内周面18aに貫通した貫通穴34とを備えることで、上述したようにタイヤ性能をより高くすることができるがこれに限定されない。トレッドリングに形成するトレッドパターン(溝のパターン)は、種々のパターンとすることができる。
【0078】
図13は、トレッドリングの他の例の概略構成を示す拡大斜視図である。
図13に示すトレッドリング218は、外周面18bに外周面溝30が形成されている。また、トレッドリング218は、外周面18bから内周面18aに貫通した貫通穴34も形成されている
。タイヤ/ホイール組立体は、トレッドリング218のように、内周面溝18aを形成していない形状のトレッドリングも用いることができる。また、トレッドリングは、貫通穴34を設けないパターンとしてもよい。また、トレッドリングは、Wet性能をより向上できるため、内周面溝32が外周面溝30及び貫通穴34と繋がっていることが好ましいが、いずれか一方のみと繋がっているパターンとしてもよいし、両方と繋がっていないパターンとしてもよい。また、トレッドリングは、外周面溝30を設けないパターンとしてもよい。
【0079】
ここで、上記実施形態のタイヤ/ホイール組立体は、チューブとホイールとを接触させ、チューブとプロテクトリングとを接触させたが、これに限定されない。つまり、チューブの内周面がホイールの外周面と接触し、前記チューブの外周面がプロテクトリングの内周面と接触している構造に限定されない。
【0080】
図14は、他の実施形態のタイヤ/ホイール組立体の一例の概略構成を示す断面図である。
図15は、
図14に示すタイヤ/ホイール組立体の分解斜視図である。
図14及び
図15に示すタイヤ/ホイール組立体310は、ホイール12と、チューブ14と、プロテクトリング16と、トレッドリング18と、内周側支持部350と、外周側支持部354と、を有する。ホイール12と、チューブ14と、プロテクトリング16と、トレッドリング18とは、タイヤ/ホイール組立体10と同様の構成であるので説明は省略する。
【0081】
内周側支持部350は、リング状の形状であり、内周面350aが、ホイール12の外周面12aと接し、外周面350bがチューブ14の内周面14aと接している。内周面支持部350は、ゴム等、摩擦率が高く、弾性を有する材料で形成されている。内周側支持部350は、ホイール12とチューブ14の両方と接触し、ホイール12に対してチューブ14を保持する。
【0082】
外周面側支持面354は、リング状の形状であり、内周面354aが、チューブ14の外周面14aと接し、外周面354bがプロテクトリング16の内周面16aと接している。外周面支持部354は、ゴム等、摩擦率が高く、弾性を有する材料で形成されている。外周側支持部354は、チューブ14とプロテクトリング16の両方と接触し、プロテクトリング16に対してチューブ14を保持する。
【0083】
タイヤ/ホイール組立体310は、内周側支持部350を設けることで、チューブ14がホイール12に対してずれることを抑制し、かつ、ホイール12によってチューブ14が傷つくことを抑制することができる。タイヤ/ホイール組立体310は、外周側支持部354を設けることで、チューブ14がプロテクトリング16に対してずれることを抑制し、かつ、ホイール12によってプロテクトリング16が傷つくことを抑制することができる。
【0084】
ここで、内周側支持部350は、ホイール12に固定されていてもよい。また、外周側支持部354は、プロテクトリング16に固定されていてもよい。固定方法は種々の方法を用いることができ、例えば、接着剤等で接着されていてもよい。内周側支持部350をホイール12に固定し、また、外周側支持部354をプロテクトリング16に固定することで、両者がずれることを抑制でき、ホイール12またはプロテクトリング16に対してチューブ14がずれることをより確実に抑制することができる。内周側支持部350、また、外周側支持部354は、ホイール12またはプロテクトリング16の幅方向の全域に配置されていることが好ましいが、少なくとも一部に配置されていればよい。なお、内周側支持部350、また、外周側支持部354は、ホイール12またはプロテクトリング16のチューブ14と接触する部分の全域に設けられていることが好ましい。また、内周側支持部350、また、外周側支持部354は、タイヤ幅方向に複数に分割されていてもよい。内周側支持部350、また、外周側支持部354は、リング形状に限定されず、ホイール12、プロテクトリング16の周方向に分離して配置されていてもよい。つまり、内周側支持部350または外周側支持部354は、ホイール12またはプロテクトリング16の表面の周方向の一部に貼りつけた構造としてもよい。タイヤ/ホイール組立体は、内周側支持部350と外周側支持部354とのうちいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0085】
次に、
図16を用いて、タイヤ/ホイール組立体の組み立て方法(製造方法)について説明する。
図16は、タイヤ/ホイール組立体の組み立て方法の一例を示すフローチャートである。なお、ホイール12と、チューブ14とプロテクトリング16と、トレッドリング18は、それぞれ製造される。
【0086】
まず、ステップS12として、ホイール12の周囲にチューブ14を配置する。このときチューブ14は、空気がインフレートされていない状態であり、容易に変形させることができる。次に、ステップS14として、チューブ14の外側にプロテクトリング16を配置する。このとき、チューブ14は、空気がインフレートされていない状態であるため、プロテクトリング16の内側に容易に配置することができる。
【0087】
次に、ステップS16として、プロテクトリング16にトレッドリング18を配置する。例えば、プロテクトリング16にトレッドリング18を圧入する。その後、ステップS18として、チューブ14に空気をインフレートする。これにより、チューブ14の内部の所定の圧力が付与され、チューブ14がホイール12とプロテクトリング16と密着する。タイヤ/ホイール組立体は、以上の工程で組み立てられる。
【0088】
ここで、
図16のステップS16は、ステップS14より前に実行してもよいし、ステップS12とステップS14の処理も順序を逆にしてもよい。また、内周側支持部を設ける場合、内周側支持部をホイールに装着してからチューブを内周支持部の外周に配置する。もしくは、内周側支持部とチューブを予め一体としてからホイールに装着してもよい。また、外周側支持部を設ける場合、外周側支持部をプロテクトリングに装着してから、チューブの外側にプロテクトリングを配置する。もしくは、外周側支持部とチューブを予め一体としてから組み付けてもよい。
【0089】
タイヤ/ホイール組立体10は、カーカスやベルト層が存在しないため、従来の空気入りタイヤと比較して容易に製造することができる。すなわち、タイヤ/ホイール組立体10は、リング状のトレッドリング18をプロテクトリング16に取り付け、かつ、チューブ14を用いてプロテクトリング16をホイール12に組み付ければ完成する。このため、タイヤ/ホイール組立体10を製造する(組み立てる)場合、従来の空気入りタイヤと比較して、製造工程を大幅に自動化できる。また、タイヤ/ホイール組立体10は、チューブ14から空気を抜くことで、チューブ14とホイール12とプロテクトリング16とを分離することができる。これにより、各部品の交換も容易となる。さらに、プロテクトリング16に対してトレッドリング18を着脱することも容易となる。また、従来の空気入りタイヤは、タイヤ交換にはタイヤを交換するための専用機を必要としていたが、本実施形態のタイヤ/ホイール組立体は、特殊な交換設備を必要とせず、タイヤ交換にもスキルを必要としない。したがって、専門や、熟練の作業者でなくても交換が可能となる。