(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス導入部は、前記流動層反応器の底部のうち、中心側より側壁側に設けられたガス導入口から、前記流動化ガスとして、前記生成ガス、または、不活性ガスを導入することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の流動層反応システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
(第1の実施形態:流動層反応システム100)
図1は、第1の実施形態にかかる流動層反応システム100を説明するための図であり、
図2は、
図1のII−II線断面を上面視した図である。本実施形態の
図1、
図2では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。また、
図1中、ガスの流れを実線の矢印で、信号の流れを破線の矢印で示す。なお、ここでは、流動層反応システム100を利用し、下記式(1)に示す反応に基づいて原料ガスとしてのメタン(CH
4)から生成ガスとしての水素(H
2)を製造する構成を例に挙げて説明する。
CH
4(気体) → 2H
2(気体) + C(固体)
…式(1)
【0015】
流動層反応器110には、固体粒子で構成された流動媒体として、上記式(1)に示すメタンから水素への分解反応(以下、熱分解反応と称する)を促進する触媒(例えば、カーボンブラック)が収容されている。また、流動層反応器110内には、鉛直方向(
図1〜
図3中、Z軸方向)に延伸した整流板114が設けられる。
【0016】
整流板114は、流動層反応器110を構成する、天板112a、側壁112b、底部112cの少なくともいずれかの一部に固定されているものの、
図1に示すように、整流板114の下方と上方において流動媒体が流動可能な固定構造で流動層反応器110内に配される。また、
図1、
図2に示すように、流動層反応器110内の中央部分は、整流板114によって、中心側の内部屋110Aと、側壁112b側の外部屋110Bとに区画される。具体的に説明すると、内部屋110Aは、整流板114に囲繞された領域であり(
図1中、破線で囲繞した領域)、鉛直方向の長さは、整流板114と実質的に等しい。また、外部屋110Bは、整流板114と側壁112bとに囲繞された領域(
図1中、破線で囲繞した領域)であり、鉛直方向の長さは、整流板114と実質的に等しい。
【0017】
なお、本実施形態において、内部屋110Aの水平断面積(
図1〜
図3、XY断面積)を、外部屋110Bの水平断面積より大きくし、内部屋110A(流動層反応器110の中心側)および内部屋110Aの鉛直上方の部分と鉛直下方の部分において主に熱分解反応が遂行されるように構成している。
【0018】
図1に戻って説明すると、流動層反応器110の下方には、風箱120A、120Bが設けられており、ガス導入部130によって、風箱120Aを通じて内部屋110A内に少なくとも原料ガスを含む流動化ガスが導入されるとともに、風箱120Bを通じて外部屋110B内に、同流動化ガスが導入される。
【0019】
ガス導入部130は、風箱120Aに接続された配管132Aと、配管132A上に設けられたバルブ134Aと、風箱120Bに接続された配管132Bと、配管132B上に設けられたバルブ134Bと、配管132A、132Bに流動化ガスを供給する流動化ガス供給源136とを含んで構成される。
【0020】
流動層反応システム100を運転する際には、後述する制御部150によってガス導入部130が制御され、ガス導入部130によって、流動化ガスが風箱120A、120Bに導入される。導入された流動化ガスは、風箱120A、120Bに一時的に貯留され、この風箱120A、120Bに貯留された流動化ガスが、流動層反応器110の底部112cに配されたノズル116に形成されたガス導入口116aから当該流動層反応器110内に導入される。このように、流動層反応器110に収容されている流動媒体に流動化ガスを導入することにより、流動層反応器110内において流動媒体の流動層が形成されることとなる。
【0021】
ここで、固体粒子で構成された流動媒体の下方から流動化ガスを導入した場合の流動媒体の状態について説明すると、流動化ガスの流速が小さく流動化ガスが流動媒体の間隙を流れるものの流動媒体が静止した状態を固定層と呼び、流動化ガスの流速が固定層の場合より大きく流動媒体が流動化ガス中に浮遊した状態を流動層と呼び、流動化ガスの流速が流動層の場合より大きく流動媒体が流動化ガスとともに飛散する状態を輸送層と呼ぶ。
【0022】
加熱部140は、流動層反応器110の側壁112bの外方から、流動層反応器110内の流動媒体を加熱する。
【0023】
加熱部140によって流動媒体が加熱されると、流動層反応器110内で熱分解反応が遂行され、生成ガスとしての水素と、固体炭素が生成されることとなる。こうして生成された水素は、流動層反応器110における流動層より上方(ここでは、流動層反応器110の天板112a)に形成されたガス排出口118を通じて外部に排出される。また、生成された固体炭素は、流動層反応器110内に留まり、熱分解反応を促進する触媒として、また、流動媒体として機能する。
【0024】
制御部150は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して流動層反応システム100全体を管理および制御する。本実施形態において、制御部150は、ガス導入部130を構成するバルブ134A、134Bの開度制御を遂行して、流動層反応器110に導入した流動化ガスの流速が、流動層反応器110の中心側よりも側壁112b側の方が大きくなるようにガス導入部130を制御する。
【0025】
本実施形態において、内部屋110Aには、風箱120Aを通じて流動化ガスが導入され、外部屋110Bには風箱120Bを通じて流動化ガスが導入される。したがって、制御部150は、バルブ134A、134Bの開度を制御することで、外部屋110B(流動層反応器110の側壁112b側)に導入した流動化ガスの流速を、内部屋110A(中心側)に導入した流動化ガスの流速よりも大きくすることができる。ここで、流速は、単位時間あたりに流動層反応器110の単位断面積(ここでは、XY断面積)を通過するガスの量を示し、空塔速度(体積流量(m
3/s)/断面積(m
2))と言われる速度である。
【0026】
具体的に説明すると、制御部150は、風箱120Bから外部屋110Bに導入した流動化ガスの流速が、終端速度Ut未満となるようにバルブ134Bの開度を制御する。また、制御部150は、風箱120Aから内部屋110Aに導入した流動化ガスの流速が、最小流動化速度Umf以上となるようにバルブ134Aの開度を制御する。ここで、終端速度Utは、流動層から輸送層へ移行させる流速、すなわち、流動層を維持できなくなる(輸送層を維持するための)流速の最小値である。また、最小流動化速度Umfは、固定層から流動層へ移行させる流速、すなわち、流動層を維持するための(固定層を維持できなくなる)流速の最小値である。
【0027】
なお、流動層反応器110内の流動媒体全体の流速は、風箱120Bから外部屋110Bに導入した流動化ガスの流速と、風箱120Aから内部屋110Aに導入した流動化ガスの流速との平均値となるため、制御部150は、その平均値が適切な流速(バブリング速度)となるように、内部屋110Aに導入した流動化ガスの流速および外部屋110Bに導入した流動化ガスの流速を調整する。
【0028】
図3は、流動媒体の流れを説明するための図であり、
図3(a)は本実施形態にかかる流動層反応システム100における流動媒体の流れを、
図3(b)は比較例の流動層反応システム10における流動媒体の流れを示す。本実施形態の
図3では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。また、
図3中、流動媒体の流れを太線の矢印で示す。
【0029】
制御部150が上記流速で流動化ガスを導入することで、流動層反応器110内で流動層を維持したまま、
図3(a)に示すように、流動媒体を、外部屋110Bから内部屋110Aに向けて循環させることが可能となる。
【0030】
仮に、流動層反応器110内で流動媒体を循環させずに流動層を維持する場合、外部屋110B(側壁112b側)は内部屋110A(中心側)よりも加熱部140と近い距離に位置するため、内部屋110Aよりも外部屋110Bの方(特に側壁112bの内面112d近傍)が局所的に高温場となる。そうすると、側壁112bの内面112d近傍において熱分解反応の進行程度が大きくなり、反応生成物としての固体炭素が多く生成される。したがって、流動層反応システム100の運転を継続すると、固体炭素が、側壁112bの内面112dに固着し易くなる。側壁112bの内面112dに固体炭素が固着すると、加熱部140による流動媒体への伝熱効率が低下し、熱分解反応の反応効率が低下してしまう。
【0031】
そこで、制御部150が流動層反応器110に導入する流動化ガスの流速を上記のように制御して、流動層反応器110内で流動媒体を循環させる構成により、外部屋110Bの高温の流動媒体を内部屋110Aに循環させることができる。これにより、局所的に高温場が形成される事態を回避することができ、すなわち、側壁112bの内面112d近傍のみで偏って熱分解反応が進行してしまう事態を回避することができ、内面112dへの固体炭素の固着を低減することが可能となる。
【0032】
さらに、本実施形態の流動層反応システム100は、流動層反応器110内に整流板114を備えている。制御部150が流動層反応器110に導入する流動化ガスの流速を上記のように制御することで、整流板114を備えずとも、流動媒体を循環させることはできるが、内部屋110A、外部屋110B間で流動媒体が水平方向(
図3中、X方向やY方向)へ移動する。そうすると、流動媒体の循環(内部屋110Aで下降流となり、外部屋110Bで上昇流となる循環)が一部阻害されてしまう。そこで、流動層反応器110内に整流板114を備えることで、流動媒体の良好な循環を促すことができ、局所的な高温場の形成を抑制して、側壁112bの内面112dへの固体炭素の固着を低減することが可能となる。
【0033】
また、
図3(a)に示すように、本実施形態の流動層反応システム100では、流動媒体の流れを、外部屋110B(流動層反応器110の側壁112b側)において上昇流とし、内部屋110A(中心側)において下降流として、流動媒体を、外部屋110Bから内部屋110Aに向けて循環させている。
【0034】
仮に、流動媒体の循環の方向を逆にした流動層反応システム10を比較例として説明すると、流動層反応システム10では、流動層反応器110に導入した流動化ガスの流速が、流動層反応器110の側壁112b側よりも中心側の方が大きくなるようにガス導入部130を制御して、
図3(b)に示すように、流動層反応器110内における流動媒体の流れが、外部屋110Bにおいて下降流となり、内部屋110Aにおいて上昇流となるように流動媒体を循環させる。この場合、流動化ガスの流速の平均値が、
図3(a)と等しいとすると、本実施形態の流動層反応システム100と比較して、側壁112b側を通過する流動媒体の移動速度が相対的に小さくなるため、側壁112bの内面112dにおいて局所的な高温場が形成され易くなる。そうすると、側壁112bの内面112dにおいて固体炭素が固着し易くなってしまう。
【0035】
これに対し、本実施形態の流動層反応システム100では、流動化ガスの流速が、流動層反応器110の中心側よりも側壁112bの方が大きくなるため、比較例の流動層反応システム10と比較して、側壁112b側を通過する流動媒体の移動速度を相対的に大きくすることができ、側壁112bの内面112dにおいて局所的な高温場が形成される事態を回避することが可能となる。これにより、側壁112bの内面112dにおける固体炭素の固着を低減することができる。
【0036】
さらに、
図3(b)に示すように、比較例の流動層反応システム10では、外部屋110Bで加熱された流動媒体が流動層反応器110の底部112cを通って内部屋110Aに移動するため、底部付近110Cにおいて流動媒体が最も高温となる。すなわち、流動層反応器110の底部付近110Cにおいて熱分解反応が最も遂行されることとなるため、底部付近110Cにおいて固体炭素が多く生成されることとなる。そうすると、底部112cに配されるガス導入口116aが固体炭素で閉塞されるおそれが生じる。これに対し、本実施形態の流動層反応システム100では、
図3(a)に示すように、外部屋110Bで加熱された流動媒体が流動層反応器110の上部(流動層の上部)110Dを通って内部屋110Aに移動するため、上部110Dにおいて熱分解反応が最も遂行されることとなる。このため、底部付近110Cにおいて生成される固体炭素の量を、比較例の流動層反応システム10と比較して極めて少なくすることができ、ガス導入口116aが固体炭素で閉塞されてしまう事態を抑制することが可能となる。
【0037】
また、流動層反応システム100では、外部屋110Bから内部屋110Aに向けて流動媒体を循環させているため、外部屋110Bの流速を、流動層を維持できる最大限(終端速度Ut未満)まで上昇させることができる。これにより、外部屋110Bの流動媒体の移動速度を向上させることができ、側壁112bの内面112dにおける局所的な高温場の形成を抑制することが可能となる。したがって、側壁112bの内面112dにおいて、固体炭素の固着をさらに低減することができる。
【0038】
さらに、仮に固体炭素が固着した場合であっても、側壁112bの内面112dと流動媒体とが衝突する力が大きくなるため、固着した固体炭素を流動媒体で削剥することが可能となる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態にかかる流動層反応システム100によれば、制御部150が流動層反応器110に導入した流動化ガスの流速を、内部屋110Aよりも外部屋110Bの方が大きくなるようにガス導入部130を制御して、流動層反応器110内で流動媒体を循環させる構成により、側壁112bの内面112dへの固体炭素の固着を抑制することが可能となる。
【0040】
(第1の実施形態の変形例:流動層反応システム200)
図4は、第1の実施形態の変形例にかかる流動層反応システム200を説明するための図である。本実施形態の
図4では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。また、
図4中、ガスの流れを実線の矢印で、信号の流れを破線の矢印で示す。
【0041】
図4に示すように、流動層反応システム200は、流動層反応器210と、風箱120A、120Bと、ガス導入部130と、加熱部140と、制御部150とを含んで構成される。なお、上述した流動層反応システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、形状の異なる流動層反応器210について詳述する。
【0042】
図4に示すように、流動層反応システム200は、流動層反応器210内の水平断面積(
図4中、XY断面積)が、下方から上方に向かうに従って漸減した流動層反応器210を備える。つまり、流動層反応器210の側壁112bが、鉛直上方に向かうに従って流動層反応器210の中心側に傾いている。
【0043】
上述したように、本実施形態では、流動層反応器110内における流動媒体の流れを、外部屋110Bにおいて上昇流として流動媒体を循環させるため、外部屋110Bの流動媒体は、鉛直上方に流れることとなる。したがって、流動層反応器210を、側壁112bが鉛直上方に向かうに従って中心側に傾いた形状とすることで、外部屋110Bの上昇流として移動する流動媒体と、側壁112bの内面112dとの衝突頻度を増加させることができる。これにより、側壁112bの内面112dに固着した固体炭素を流動媒体で効率よく削剥することが可能となる。
【0044】
(第2の実施形態:流動層反応システム300)
上述した第1の実施形態では、流動層反応器110内に流動媒体の流動層を形成させるための流動化ガスとして、原料ガスのみを例に挙げて説明した。しかし、流動化ガスの一部を原料ガス以外に変更することで、さらに側壁112bの内面112dへの固体炭素の固着を抑制することができる。第2の実施形態ではかかる構成について説明する。
【0045】
図5は、第2の実施形態にかかる流動層反応システム300を説明するための図である。本実施形態の
図5では、垂直に交わるX軸(水平方向)、Y軸(水平方向)、Z軸(鉛直方向)を図示の通り定義している。また、
図5中、ガスの流れを実線の矢印で、信号の流れを破線の矢印で示す。
【0046】
図5に示すように、流動層反応システム300は、流動層反応器110と、風箱120A、120Bと、ガス導入部330と、加熱部140と、制御部350とを含んで構成される。なお、上述した流動層反応システム100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、ここでは、構成の異なるガス導入部330および制御部350について詳述する。
【0047】
ガス導入部330は、風箱120Aに接続された配管332Aと、配管332A上に設けられたバルブ334Aと、配管332Aに原料ガスを供給する原料ガス供給源336と、ガス排出口118より延伸した配管から分岐され、風箱120Bに接続された配管332Bと、配管332B上に設けられたバルブ334Bとを含んで構成される。つまり、本実施形態において、風箱120A(内部屋110A)には原料ガスが導入され、風箱120B(外部屋110B)には生成ガス(水素)が導入されることとなる。
【0048】
制御部350は、CPU(中央処理装置)を含む半導体集積回路で構成され、ROMからCPU自体を動作させるためのプログラムやパラメータ等を読み出し、ワークエリアとしてのRAMや他の電子回路と協働して流動層反応システム300全体を管理および制御する。本実施形態において、制御部350は、ガス導入部330を構成するバルブ334A、334Bの開度制御を遂行して、流動層反応器110に導入した生成ガスの流速が、導入した流動化ガスの流速よりも大きくなるようにガス導入部330を制御する。
【0049】
具体的に説明すると、制御部350は、風箱120Bから外部屋110Bに導入した生成ガスの流速が、終端速度Ut未満となるようにバルブ334Bの開度を制御する。また、制御部350は、風箱120Aから内部屋110Aに導入した原料ガスの流速が、最小流動化速度Umf以上となるようにバルブ334Aの開度を制御する。
【0050】
制御部350が上記流速で原料ガスおよび生成ガスを導入することで、流動層を維持したまま、流動層反応器110内において流動媒体の流れを、外部屋110B(流動層反応器110の側壁112b側)において上昇流とし、内部屋110A(中心側)において下降流として、流動媒体を、外部屋110Bから内部屋110Aに向けて循環させることが可能となる。
【0051】
また、ガス導入部330が、加熱しても固体炭素が生成されることのない生成ガス(水素)を外部屋110Bに導入する構成により、外部屋110Bにおける熱分解反応(メタンの熱分解反応)の遂行を抑制することができる。これにより、側壁112bの内面112dへの固体炭素の固着を抑制することが可能となる。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0053】
例えば、上記実施形態において、流動層反応システム100、200、300を利用し、上記式(1)に示す反応に基づいて原料ガスとしてのメタンから生成ガスとして水素を製造する構成を例に挙げて説明した。しかし、流動層反応システム100は、他の反応に基づいて、原料ガスから生成ガスを製造してもよい。例えば、原料ガスとしてのシラン(SiH
4)や、ジシラン(Si
2H
6)を熱分解させて、生成ガスとしての水素と、シリコン(Si)を製造してもよい。
【0054】
また、上記実施形態において、整流板114を備える構成について説明したが、整流板114を備えずとも、ガス導入部130、330、制御部150、350によって流動媒体は循環することとなるため、整流板114は必須の構成ではない。
【0055】
また、上記実施形態において、流動層反応器110、210が円筒形状である場合を例に挙げて説明したが、流動層反応器110、210の形状に限定はない。
【0056】
また、上記実施形態において、ガス排出口118が、流動層反応器110の天板112aに形成される構成を例に挙げて説明した。しかし、ガス排出口118は、流動層反応器110、210における流動層より上方であれば、側壁112bに形成されるとしてもよい。
【0057】
また、上記第2の実施形態において、ガス導入部330は、流動層反応器110の底部112cのうち、中心側より側壁112b側に設けられたガス導入口116aから外部屋110Bに生成ガスを導入する構成について説明した。しかし、ガス導入部330は、生成ガスに代えて、窒素、アルゴン等の不活性ガスを導入してもよい。