(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の蓄電素子では、注液栓を容器に溶接する際に、溝部に滞留した電解液にレーザ光線が誤って照射された場合には、溶接不良が発生するという問題がある。
【0007】
つまり、上記特許文献1に開示された蓄電素子では、注液口の周囲の溝部に電解液を滞留しているため、注液口の周囲の溶接部分にレーザ光線を照射した場合に、レーザ光線が当該溝部に滞留している電解液に照射される虞がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、注液栓を容器に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる蓄電素子及び当該蓄電素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、電解液が収容された容器を備える蓄電素子であって、前記容器に形成され、前記電解液を注液するための注液口を有する注液部と、前記注液口を塞ぐように配置された注液栓と、前記注液部と前記注液栓との間に配置され、前記電解液を吸収可能な吸収材とを備える。
【0010】
これによれば、蓄電素子において、注液口を有する注液部と注液栓との間に、電解液を吸収可能な吸収材が配置されている。ここで、注液栓を容器に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着していると、溶接不良が発生する虞がある。これに対し、当該蓄電素子は、注液部と注液栓との間に配置された吸収材で電解液を吸収することができるので、注液栓を容器に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着するのを抑制することができる。このため、当該蓄電素子によれば、注液栓を容器に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0011】
また、前記注液部には、凹部が形成されており、前記吸収材は、前記凹部に配置されていることにしてもよい。
【0012】
これによれば、吸収材は、注液部に形成された凹部に配置されている。これにより、吸収材を凹部に配置することで、吸収材を位置決めしたり吸収材の位置ずれを抑制したりすることができる。このため、吸収材を所定位置に配置することができるので、吸収材によって電解液を適切に吸収することができる。また、吸収材を凹部に配置してから、注液栓を容器に配置することで、注液栓を安定して容器に載置することができる。これらにより、蓄電素子において、注液栓を容器に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0013】
また、前記吸収材には、前記注液口と対応する位置に、開口部が形成されていることにしてもよい。
【0014】
ここで、注液口の出口に吸収材が配置されていると、電解液を吸収し過ぎてしまう虞がある。このため、吸収材において、注液口と対応する位置に開口部が形成されていることで、吸収材で電解液を吸収する際に、電解液を吸収し過ぎないようにすることができる。
【0015】
また、前記注液部は、前記注液口の周囲に突起部を有し、前記吸収材は、前記突起部の外方に配置されていることにしてもよい。
【0016】
これによれば、突起部が注液部の注液口の周囲に配置され、吸収材は、当該突起部の外方に配置されている。これにより、突起部によって、電解液が溶接箇所へ侵入するのを抑制することができる。また、突起部上に注液栓を配置することで、注液栓を安定して容器に載置することができる。また、吸収材を突起部の外方に配置することで、吸収材を位置決めしたり吸収材の位置ずれを抑制したりして吸収材を所定位置に配置することができるので、吸収材によって電解液を適切に吸収することができる。これらにより、蓄電素子において、注液栓を容器に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0017】
また、さらに、前記吸収材と前記注液部との間に配置され、前記吸収材と前記注液部とを接着する接着部材を備えることにしてもよい。
【0018】
これによれば、蓄電素子において、接着部材で吸収材と注液部とを接着することで、吸収材と注液部との間から電解液がすい上がるのを抑制することができる。このため、注液栓を容器に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着するのを抑制することができ、溶接の際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子の製造方法は、電解液を注液するための注液口を有する注液部が形成された容器に注液栓を溶接することで蓄電素子を製造する蓄電素子の製造方法であって、前記注液部に、前記電解液を吸収可能な吸収材を配置する吸収材配置工程と、前記注液栓を、前記注液部とで前記吸収材を挟むように配置して前記容器に溶接する溶接工程とを含む。
【0020】
これによれば、注液口を有する注液部と注液栓との間に、電解液を吸収可能な吸収材を配置して、注液栓を容器に溶接する。ここで、注液栓を容器に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着していると、溶接不良が発生する虞がある。これに対し、当該蓄電素子の製造方法では、注液部と注液栓との間に配置された吸収材で電解液を吸収することができるので、注液栓を容器に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着するのを抑制することができる。このため、当該蓄電素子の製造方法によれば、注液栓を容器に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0021】
また、さらに、前記吸収材配置工程と前記溶接工程との間に、前記蓄電素子の予備充電を行う予備充電工程を含むことにしてもよい。
【0022】
これによれば、吸収材を配置してから、溶接を行う前に、蓄電素子の予備充電を行う。これにより、予備充電を行う前に吸収材を配置することで、予備充電を行う際に注液口から出る電解液を吸収することができるので、注液栓を容器に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明における蓄電素子によれば、注液栓を容器に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子及びその製造方法について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。
【0026】
(実施の形態)
まず、蓄電素子10の構成について、説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の外観を模式的に示す斜視図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10が備える各構成要素を示す斜視図である。
【0028】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0029】
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300と、注液部400と、注液栓600とを備えている。また、
図2に示すように、容器100内方には、正極集電体120と、負極集電体130と、電極体140とが収容されている。また、注液部400と注液栓600との間には、吸収材500が配置されている。なお、蓄電素子10の容器100の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
【0030】
容器100は、矩形筒状で底を備える容器本体111と、容器本体111の開口を閉塞する板状部材である蓋体110とで構成されている。また、容器100は、電極体140等を内部に収容後、蓋体110と容器本体111とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。なお、蓋体110及び容器本体111の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0031】
また、容器100の蓋体110には、
図2に示すように、注液部400が形成されている。ここで、注液部400は、蓄電素子10の製造時に電解液を注液するための注液口(後述の注液口411)を有している部位である。つまり、注液部400は、容器100の蓋体110の一部分であって、蓋体110のうちの電解液を注液する機能を有する部位である。
【0032】
具体的には、注液部400は、当該注液口が形成された部分及びその近傍を含む部位であり、また、吸収材500及び注液栓600が配置される部分及びその近傍が含まれる例えば円形状の部位である。本実施の形態では、注液部400は、蓋体110の中央部分(X軸方向の中央及びY軸方向のプラス側寄り)に配置されている。
【0033】
なお、注液部400は、蓋体110のどの位置に配置されていてもよいし、容器100の容器本体111に形成されていてもかまわない。この注液部400の詳細な説明については、後述する。
【0034】
また、注液部400には、吸収材500が載置され、また注液部400の当該注液口を塞ぐように、注液栓600が配置されている。つまり、蓄電素子10の製造時に、注液口から容器100内に電解液を注液し、吸収材500を配置して、注液栓600を蓋体110に溶接して注液口を塞ぐことで、電解液が容器100内に収容される。吸収材500と注液栓600の詳細な説明については、後述する。
【0035】
なお、容器100に封入される電解液(非水電解質)としては、蓄電素子10の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく様々なものを選択することができる。
【0036】
電極体140は、正極と負極とセパレータとを備え、電気を蓄えることができる部材である。正極は、アルミニウムやアルミニウム合金などからなる長尺帯状の正極基材箔上に正極活物質層が形成されたものである。負極は、銅や銅合金などからなる長尺帯状の負極基材箔上に負極活物質層が形成されたものである。セパレータは、樹脂からなる微多孔性のシートである。
【0037】
ここで、正極活物質層に用いられる正極活物質、または負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質または負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。
【0038】
そして、電極体140は、負極と正極との間にセパレータが挟み込まれるように層状に配置されたものが巻き回されて形成されている。なお、同図では、電極体140の形状としては長円形状を示したが、円形状または楕円形状でもよい。また、電極体140の形状は巻回型に限らず、平板状極板を積層した積層型であってもよい。
【0039】
正極端子200は、電極体140の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、電極体140の負極に電気的に接続された電極端子である。つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体140に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体140に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子200及び負極端子300は、電極体140の上方に配置された蓋体110に取り付けられている。
【0040】
正極集電体120は、電極体140の正極と容器100の容器本体111の側壁との間に配置され、正極端子200と電極体140の正極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体120は、電極体140の正極基材箔と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成されている。
【0041】
負極集電体130は、電極体140の負極と容器100の容器本体111の側壁との間に配置され、負極端子300と電極体140の負極とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体130は、電極体140の負極基材箔と同様、銅または銅合金などで形成されている。
【0042】
次に、注液部400、吸収材500及び注液栓600の構成について、詳細に説明する。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態に係る注液部400、吸収材500及び注液栓600の構成を示す斜視図である。また、
図4は、本発明の実施の形態に係る注液部400の構成を示す断面図である。具体的には、同図は、
図3における注液部400をA−A断面で切断した場合の断面を示す図である。また、
図5は、本発明の実施の形態に係る注液部400、吸収材500及び注液栓600の構成を示す断面図である。具体的には、同図は、
図1における注液部400、吸収材500及び注液栓600をB−B断面で切断した場合の断面を示す図である。
【0044】
これらの図に示すように、注液部400は、容器100の蓋体110に形成された電解液を注液するための部位であり、注液部本体部410と溶接用突出部420とを有している。ここで、注液部本体部410は、注液部400の本体を構成する平板状の部位であり、中央部分に注液口411及び凹部412が形成され、凹部412の周囲には平面部413が配置されている。
【0045】
注液口411は、電解液を注液するための貫通孔であり、注液部本体部410の中央部分に配置されている。具体的には、注液口411は、注液部本体部410の凹部412の内方かつ中央部分に配置された円柱形状の貫通孔である。なお、注液口411は、電解液を注液できるのであれば、形状及び大きさは限定されず、例えば角柱形状などであってもよい。
【0046】
凹部412は、注液口411の外方に形成された凹形状の部位である。具体的には、凹部412は、注液口411を囲うように注液口411の周囲に形成された円環形状(ドーナツ形状)の部位である。また、凹部412には、吸収材500が配置される。なお、凹部412は、吸収材500を配置できるのであれば、形状及び大きさは限定されず、例えば外形が矩形状などを有していてもよい。
【0047】
平面部413は、凹部412の外方に形成された平面状の部位である。具体的には、平面部413は、凹部412を囲うように凹部412の周囲に形成された円環形状(ドーナツ形状)の部位である。また、平面部413には、注液栓600が載置される。なお、平面部413は、注液栓600を載置できるのであれば、形状及び大きさは限定されず、例えば外形が矩形状などを有していてもよい。
【0048】
溶接用突出部420は、注液部本体部410に対して垂直方向に延びるように、注液部本体部410から上方(Z軸方向プラス側)に突出した部位であって、上部が注液栓600と溶接される部位である。具体的には、溶接用突出部420は、平面部413を囲うように平面部413の周囲に形成された円筒形状の部位である。なお、溶接用突出部420は、注液栓600と溶接することができるのであれば、形状及び大きさは限定されず、例えば角筒形状などであってもよい。
【0049】
吸収材500は、注液部400と注液栓600との間に配置される、電解液を吸収可能な部材である。具体的には、吸収材500は、注液部400の凹部412に配置されるとともに、吸収材500上には注液栓600が配置されている。つまり、吸収材500は、注液部400と注液栓600とで挟まれるように、注液部400と注液栓600とに当接して配置されている。
【0050】
また、吸収材500は、中央に開口を有する円盤形状(偏平な円柱形状)を有している。つまり、吸収材500には、注液口411と対応する位置に、開口部510が形成されている。開口部510は、円形状の貫通孔であり、本実施の形態では、開口部510は、注液口411と同程度の大きさを有している。
【0051】
なお、開口部510の大きさは、注液口411よりも大きい、または小さい大きさであってもよい。また、開口部510の形状は、矩形状など円形状以外の貫通孔であってもよく、また、貫通孔ではなく、半円形状や矩形状の切り欠きなどであってもかまわない。また、吸収材500は、中央に開口を有する円盤形状には限定されず、例えば中央に開口を有する角盤形状などであってもよい。また、吸収材500の大きさは、注液部400の凹部412に配置することができる大きさであればよく、特に限定されない。
【0052】
また、吸収材500は、電解液を吸収可能な材質であれば特に限定されないが、例えば、繊維質、スポンジ等の多孔性の材料、紙類、ガーゼ等の布材など吸液性の高い部材であるのが好ましい。また、吸収材500は、電解液の付着によって劣化しない材質であるのがさらに好ましい。
【0053】
注液栓600は、注液口411を塞ぐための部材であり、注液口411を塞ぐように注液口411上に配置されている。つまり、注液栓600は、注液口411を塞ぐように、蓋体110の注液部400に溶接によって固定される円盤形状の部材である。なお、注液栓600の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など蓋体110の注液部400に溶接可能な金属で形成されている。ここで、注液栓600は、注液栓本体部610と、注液栓溶接部620とを有している。
【0054】
注液栓本体部610は、注液栓600の本体を構成する円盤形状の部位であり、注液部400の凹部412内に配置された吸収材500と、注液部400の平面部413の上方に配置される。本実施の形態では、注液栓本体部610は、注液部400とで吸収材500を挟み込むとともに、平面部413上に載置されている。つまり、注液栓本体部610は、吸収材500の上面と平面部413とに当接して配置されている。なお、注液栓本体部610の形状は、注液口411を塞ぐことができる形状であれば、矩形状の平板形状などどのような形状であってもよい。
【0055】
注液栓溶接部620は、注液栓本体部610から上方(Z軸方向プラス側)に突出した部位であって、上部が注液部400の溶接用突出部420と溶接される部位である。具体的には、注液栓溶接部620は、注液栓本体部610の外縁に形成された、注液栓本体部610に対して垂直方向に延びる円筒形状の部位である。なお、注液栓溶接部620は、注液部400と溶接することができるのであれば、形状及び大きさは限定されず、例えば角筒形状などであってもよい。
【0056】
また、
図5に示すように、吸収材500と注液部400との間には、接着部材700が配置されている。接着部材700は、吸収材500と注液部400とを接着する部材である。具体的には、接着部材700は、接着剤や両面テープなどであり、吸収材500の下面と注液部400の注液部本体部410の上面(凹部412の上面)とを接着する。なお、接着部材700は、吸収材500と注液部400とを接着することができる部材であれば、どのような材質のものを用いてもかまわないが、電解液の付着によって劣化しない材質であるのが好ましい。
【0057】
次に、蓄電素子10の製造方法について、説明する。
【0058】
図6は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法を示すフローチャートである。具体的には、同図は、蓄電素子10を製造するために、容器100に電解液を注液して注液栓600を取り付ける工程を説明するフローチャートである。また、
図7は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法を説明するための図である。具体的には、同図は、容器100に電解液を注液して注液栓600を取り付ける工程を説明するために、注液部400周りの構成を示す断面図である。
【0059】
まず、
図6に示すように、電解液注液工程として、容器100に電解液を注液する(S102)。具体的には、
図7の(a)に示すように、容器100の蓋体110の注液部400に形成された注液口411から、電解液を注液する。
【0060】
次に、
図6に戻り、吸収材配置工程として、注液部400に吸収材500を配置する(S104)。具体的には、
図7の(b)に示すように、注液部400の凹部412の内方に、吸収材500を配置する。
【0061】
次に、
図6に戻り、溶接工程として、注液栓600を、注液部400とで吸収材500を挟むように配置して、容器100に溶接する(S106)。
【0062】
具体的には、
図7の(c)に示すように、注液栓本体部610が吸収材500の上面及び平面部413上に載置されるように、注液栓600を吸収材500及び注液部400上に配置する。
【0063】
そして、注液栓600の注液栓溶接部620と注液部400の溶接用突出部420との境界部分にレーザ光線を照射して、注液栓溶接部620と溶接用突出部420とを溶接する。これにより、注液栓600が、容器100の蓋体110の注液部400に溶接固定される。
【0064】
以上のようにして、蓄電素子10の製造方法において、容器100に電解液を注液して注液栓600を溶接する工程は、終了する。
【0065】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、注液口411を有する注液部400と注液栓600との間に、電解液を吸収可能な吸収材500が配置されている。ここで、注液栓600を容器100に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着していると、溶接不良が発生する虞がある。
【0066】
これに対し、
図8に示すように、蓄電素子10は、注液部400と注液栓600との間に配置された吸収材500で電解液を吸収することができるので、注液栓600を容器100に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着するのを抑制することができる。このため、蓄電素子10によれば、注液栓600を容器100に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
図8は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10が奏する効果を説明するための図である。
【0067】
また、吸収材500は、注液部400に形成された凹部412に配置されている。これにより、吸収材500を凹部412に配置することで、吸収材500を位置決めしたり吸収材500の位置ずれを抑制したりすることができる。このため、吸収材500を所定位置に配置することができるので、吸収材500によって電解液を適切に吸収することができる。また、吸収材500を凹部412に配置してから、注液栓600を容器100に配置することで、注液栓600を安定して容器100に載置することができる。これらにより、蓄電素子10において、注液栓600を容器100に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0068】
また、注液口411の出口に吸収材500が配置されていると、電解液を吸収し過ぎてしまう虞がある。このため、吸収材500において、注液口411と対応する位置に開口部510が形成されていることで、吸収材500で電解液を吸収する際に、電解液を吸収し過ぎないようにすることができる。
【0069】
また、蓄電素子10において、接着部材700で吸収材500と注液部400とを接着することで、吸収材500と注液部400との間から電解液がすい上がるのを抑制することができる。このため、注液栓600を容器100に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着するのを抑制することができ、溶接の際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0070】
また、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法によれば、注液部400と注液栓600との間に吸収材500を配置して、注液栓600を容器100に溶接する。ここで、注液栓600を容器100に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着していると、溶接不良が発生する虞がある。これに対し、蓄電素子10の製造方法では、注液部400と注液栓600との間に配置された吸収材500で電解液を吸収することができるので、注液栓600を容器100に溶接する際に、溶接箇所に電解液が付着するのを抑制することができる。このため、蓄電素子10の製造方法によれば、注液栓600を容器100に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0071】
(変形例1)
次に、上記実施の形態の変形例1について、説明する。上記実施の形態では、吸収材500には、開口部510が形成されていることとした。しかし、本変形例では、吸収材には、開口部は形成されていない。
【0072】
図9は、本発明の実施の形態の変形例1に係る注液部400、吸収材501及び注液栓600の構成を示す断面図である。具体的には、同図は、上記実施の形態における
図5に対応した図である。
【0073】
図9に示すように、注液部400の凹部412には吸収材501が配置されているが、吸収材501は、開口部を有していない円盤形状の部材である。なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
【0074】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様に、溶接箇所に電解液が付着するのを抑制することができるため、注液栓600を容器100に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0075】
(変形例2)
次に、上記実施の形態の変形例2について、説明する。上記実施の形態では、吸収材500は、凹部412で位置決めされて配置されていることとした。しかし、本変形例では、吸収材は、位置決めするような凹部には配置されていない。
【0076】
図10は、本発明の実施の形態の変形例2に係る注液部401、吸収材500及び注液栓600の構成を示す断面図である。具体的には、同図は、上記実施の形態における
図5に対応した図である。
【0077】
図10に示すように、注液部401の注液部本体部410には、上記実施の形態のような凹部412及び平面部413は形成されておらず、注液栓600との間に空間414が形成されている。なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
【0078】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0079】
(変形例3)
次に、上記実施の形態の変形例3について、説明する。上記実施の形態では、吸収材500は、注液部400の凹部412に配置されていることとした。しかし、本変形例では、吸収材は、注液栓の凹部に配置される。
【0080】
図11は、本発明の実施の形態の変形例3に係る注液部401、吸収材500及び注液栓601の構成を示す断面図である。具体的には、同図は、上記実施の形態における
図5に対応した図である。
【0081】
図11に示すように、注液栓601には、凹部612を形成する注液栓突出部611が、注液栓本体部610に対して垂直方向に延びるように、下方(Z軸方向マイナス側)に突出して配置されている。これにより、注液栓601は、注液部401上に載置されるとともに、吸収材500は凹部612に配置される。なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
【0082】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
(変形例4)
次に、上記実施の形態の変形例4について、説明する。上記実施の形態では、吸収材500は、注液部400の凹部412に配置されていることとした。しかし、本変形例では、注液部に突起部が形成され、吸収材は当該突起部によって形成される凹部に配置される。
【0084】
図12は、本発明の実施の形態の変形例4に係る注液部402の構成を示す図である。具体的には、同図は、上記実施の形態における
図5に対応した図である。また、
図13は、本発明の実施の形態の変形例4に係る注液部402、吸収材500及び注液栓600の構成を示す断面図である。具体的には、同図は、上記実施の形態における
図5に対応した図である。
【0085】
これらの図に示すように、注液部402は、注液口411の周囲に突起部415を有している。つまり、突起部415は、注液部本体部410に対して垂直方向に延びるように、注液口411の縁の周囲から上方(Z軸方向プラス側)に突起した円柱形状の部位である。これにより、注液部402には、凹部416が形成され、吸収材500は、凹部416に配置される。
【0086】
つまり、吸収材500は、突起部415の外方に配置される。具体的には、吸収材500は、突起部415の周囲を囲うように配置される。言い換えれば、突起部415は、吸収材500の開口部510の内方に配置される。そして、注液栓600は、突起部415上に載置される。なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
【0087】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例4に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、突起部415が注液部402の注液口411の周囲に配置され、吸収材500は突起部415の外方に配置されているため、突起部415によって、電解液が溶接箇所へ侵入するのを抑制することができる。また、突起部415上に注液栓600を配置することで、注液栓600を安定して容器100に載置することができる。また、吸収材500を突起部415の外方に配置することで、吸収材500を位置決めしたり吸収材500の位置ずれを抑制したりして吸収材500を所定位置に配置することができるので、吸収材500によって電解液を適切に吸収することができる。これらにより、蓄電素子10において、注液栓600を容器100に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0088】
なお、上記変形例4に、上記変形例2または3の変形を施すことにしてもよい。
図14Aは、本発明の実施の形態の変形例4に変形例2の変形を施した場合の構成を示す断面図である。また、
図14Bは、本発明の実施の形態の変形例4に変形例3の変形を施した場合の構成を示す断面図である。
【0089】
図14Aに示すように、注液部403の注液部本体部410には、上記変形例4のような凹部416及び平面部413は形成されておらず、注液栓600との間に凹部417が形成されている。なお、その他の構成については、上記変形例4と同様であるため、説明は省略する。
【0090】
また、
図14Bに示すように、注液栓601には、凹部612を形成する注液栓突出部611が、注液栓本体部610に対して垂直方向に延びるように、下方(Z軸方向マイナス側)に突出して配置されている。これにより、注液栓601は、注液部403上に載置されるとともに、吸収材500は凹部612に配置される。なお、その他の構成については、上記変形例4と同様であるため、説明は省略する。
【0091】
以上のように、変形例4の他の形態に係る蓄電素子によっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0092】
(変形例5)
次に、上記実施の形態の変形例5について、説明する。上記実施の形態では、注液部400は、溶接用突出部420を有していることとした。しかし、本変形例では、注液部は、溶接用突出部を有していない。
【0093】
図15A〜
図15Cは、本発明の実施の形態の変形例5に係る注液部、吸収材及び注液栓の構成を示す断面図である。具体的には、
図15Aは、上記実施の形態において注液部が溶接用突出部を有していない形態を示しており、
図15Bは、上記変形例2において注液部が溶接用突出部を有していない形態を示しており、
図15Cは、上記変形例4において注液部が溶接用突出部を有していない形態を示している。
【0094】
まず
図15Aに示すように、注液部404の凹部412内に吸収材500が配置され、吸収材500及び平面部413上に注液栓602が載置される。ここで、注液部404は、上記実施の形態のような溶接用突出部420を有しておらず、注液栓602は、注液栓溶接部620の代わりに、注液栓本体部610の外周端部に注液栓溶接部613を有している。つまり、注液栓溶接部613が平面部413に溶接されて、注液栓602が注液部404に固定される。なお、吸収材500は、上記変形例1のように、開口部が形成されていない構成でもかまわない。
【0095】
また、
図15Bに示すように、注液部405上に吸収材500が配置され、吸収材500及び注液部405上に注液栓602が載置される。ここで、注液部405は、上記実施の形態のような溶接用突出部420を有しておらず、注液栓603は、注液栓溶接部620の代わりに、注液栓本体部610の外周端部に注液栓溶接部614を有している。つまり、注液栓溶接部614が注液部405に溶接されて、注液栓603が注液部405に固定される。なお、吸収材500は、上記変形例1のように、開口部が形成されていない構成でもかまわない。
【0096】
また、
図15Cに示すように、注液部406の突起部415の外方に吸収材500が配置され、吸収材500及び注液部406上に注液栓603が載置される。その他の構成については、
図15Bにおける構成と同様であるため、説明は省略する。なお、注液部406は、
図15Aで示したように、凹部412及び平面部413を有している構成でもかまわない。
【0097】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例5に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0098】
(変形例6)
次に、上記実施の形態の変形例6について、説明する。上記実施の形態では、吸収材配置工程(
図6のS104)の後に溶接工程(
図6のS106)を行うこととした。しかし、本変形例では、吸収材配置工程と溶接工程との間に、予備充電工程を行う。
【0099】
図16は、本発明の実施の形態の変形例6に係る蓄電素子10の製造方法を示すフローチャートである。具体的には、同図は、
図6に対応する図である。
【0100】
図16に示すように、吸収材配置工程(S104)と溶接工程(S106)との間に、予備充電工程として、蓄電素子10の予備充電を行う(S105)。つまり、注液栓600を注液部400に溶接して注液口411を塞ぐ前に、1回以上の予備充電を行うことで、充電時に発生するガスを蓄電素子の外部へ放出する。なお、電解液注液工程(S102)、吸収材配置工程(S104)及び溶接工程(S106)は、
図6での説明と同様のため、説明は省略する。
【0101】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例6に係る蓄電素子の製造方法によれば、吸収材500を配置してから、溶接を行う前に、蓄電素子の予備充電を行う。これにより、予備充電を行う前に吸収材500を配置することで、予備充電を行う際に注液口411から出る電解液を吸収することができるので、注液栓600を容器100に溶接する際の溶接不良の発生を抑制することができる。
【0102】
(変形例7)
次に、上記実施の形態の変形例7について、説明する。上記実施の形態では、蓄電素子10は、角型の容器100を備えていることとした。しかし、本変形例では、蓄電素子は、長円形筒状の容器を備えている。
【0103】
図17は、本発明の実施の形態の変形例7に係る蓄電素子11の外観を模式的に示す斜視図である。
【0104】
同図に示すように、蓄電素子11は、断面(XY平面での断面)が長円形状の容器101を備えており、例えば人工衛星用などに使用される。つまり、容器101は、長円形状の断面を有する側面と長円形状の底面部とを備える容器本体113と、容器本体113の開口を閉塞する長円形状の板状部材である蓋体112とで構成されている。そして、蓋体112に、注液部400が形成されており、吸収材500及び注液栓600が配置されている。
【0105】
なお、容器101内には、正極集電体120、負極集電体130、電極体140等が配置されているが、これらは、電極体140の巻回軸が鉛直方向(Z軸方向)に向くように配置されている。そして、正極集電体120は正極端子201に接続され、負極集電体130は負極端子301に接続されている。なお、その他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、説明は省略する。
【0106】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例7に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0107】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子及びその製造方法について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0108】
また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。