(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6269219
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】乗り場行先階登録システムを具えるエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20180122BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
B66B1/14 K
B66B1/14 M
B66B3/00 K
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-57603(P2014-57603)
(22)【出願日】2014年3月20日
(65)【公開番号】特開2015-182819(P2015-182819A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2016年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
【審査官】
今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/016924(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/058624(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/070124(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00 − 1/52
B66B 3/00 − 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の階床に設置され、乗り場への進入を制限する1又は複数のセキュリティゲートと、
前記各セキュリティゲートに設置され、利用者の所持する媒体に記憶された識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取った前記識別情報を取得し、前記利用者の所定の操作の有無に基づいて、前記識別情報の送信を実行する又はキャンセルする送信判断手段と、
前記送信判断手段から前記識別情報を受信すると、前記識別情報に対応付けられた行先階を乗り場行先階呼びとして号機に割り当てる号機割当手段と、を具え、
前記利用者の所定の操作は、所定時間内に前記読取手段に複数回前記識別情報を読み取らせる操作であって、
前記送信判断手段は、前記読取手段から所定時間内に同じ識別情報を複数回取得すると、前記識別情報の送信を実行又はキャンセルする、
乗り場行先階登録システムを具えるエレベータ。
【請求項2】
少なくとも1の階床に設置され、乗り場への進入を制限する1又は複数のセキュリティゲートと、
前記各セキュリティゲートに設置され、利用者の所持する媒体に記憶された識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取った前記識別情報を取得し、前記利用者の所定の操作の有無に基づいて、前記識別情報の送信を実行する又はキャンセルする送信判断手段と、
前記送信判断手段から前記識別情報を受信すると、前記識別情報に対応付けられた行先階を乗り場行先階呼びとして号機に割り当てる号機割当手段と、を具え、
前記セキュリティゲートには、複数の読取手段が設置され、
前記利用者の所定の操作は、1の読取手段に前記識別情報を読み取らせた後、所定時間内に他の読取手段に同じ識別情報を読み取らせる操作であって、
前記送信判断手段は、1の読取手段から前記識別情報を取得した後、所定時間内に他の読取手段から同じ識別情報を取得すると、前記識別情報の送信を実行又はキャンセルする、
乗り場行先階登録システムを具えるエレベータ。
【請求項3】
前記乗り場に設置され、前記送信判断手段が、前記識別情報の送信をキャンセルしたときに、前記利用者による行先階の入力を受け付け、入力された前記行先階を前記号機割当手段に送信する行先階入力装置、
を具える、請求項1又は請求項2に記載の乗り場行先階登録システムを具えるエレベータ。
【請求項4】
少なくとも1の階床に設置され、乗り場への進入を制限する1又は複数のセキュリティゲートと、
前記各セキュリティゲートに設置され、利用者の所持する媒体に記憶された識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取った前記識別情報を取得し、前記利用者の所定の操作の有無に基づいて、前記識別情報の送信を実行する又はキャンセルする送信判断手段と、
前記送信判断手段から前記識別情報を受信すると、前記識別情報に対応付けられた行先階を乗り場行先階呼びとして号機に割り当てる号機割当手段と、を具え、
前記乗り場に設置され、前記送信判断手段が、前記識別情報の送信をキャンセルしたときに、前記利用者による行先階の入力を受け付け、入力された前記行先階を前記号機割当手段に送信する行先階入力装置、
を具える、乗り場行先階登録システムを具えるエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の所持するIDカードの如き媒体の識別情報に対応付けられた行先階を登録する乗り場行先階登録システムを具えるエレベータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
セキュリティゲートと、乗り場行先階登録システムとを連動させたエレベータが提案されている(例えば特許文献1)。このようなエレベータでは、利用者が所持するIDカード等に格納された識別情報をセキュリティゲートで認証し、その識別情報に対応付けられた行先階(例えば利用者のオフィス階)を乗り場行先階呼びとして登録し、その乗り場行先階呼びに号機(かご)を割り当てている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2012/008024号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、セキュリティゲートを通過することで、自動的に行先階が登録される。このため、登録される行先階とは異なる階床、たとえば食堂階や更衣室階などに移動したい場合には、セキュリティゲートの通過によって行先階が自動的に登録された上で、所望の行先階を直接乗り場に設置された行先階入力装置に入力する必要がある。そして、自動的に登録された行先階と行先階入力装置に入力された行先階の2つが登録される結果、自動的に登録された行先階は、無駄な乗り場行先階呼びとなり、この行先階に号機が割り当てられることで、エレベータの輸送性能が低下してしまう。
【0005】
とくに、更衣室や食堂階等へ利用者が集中する場合など、無駄な乗り場行先階呼びが多数発生し、最適な号機の割当てを阻害するから、エレベータの輸送性能は大きく低下する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、無駄な乗り場行先階呼びの登録を低減できる乗り場行先階登録システムを具えたエレベータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の乗場呼び登録システムを具えたエレベータは、
少なくとも1の階床に設置され、乗り場への進入を制限する1又は複数のセキュリティゲートと、
前記各セキュリティゲートに設置され、利用者の所持する媒体に記憶された識別情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段の読み取った前記識別情報を取得し、前記利用者の所定の操作の有無に基づいて、前記識別情報の送信を実行する又はキャンセルする送信判断手段と、
前記送信判断手段から前記識別情報を受信すると、前記識別情報に対応付けられた行先階を乗り場行先階呼びとして号機に割り当てる号機割当手段と、
を具える。
【0008】
前記利用者の所定の操作は、所定時間内に前記読取手段に複数回前記識別情報を読み取らせる操作であって、
前記送信判断手段は、前記読取手段から所定時間内に同じ識別情報を複数回取得すると、前記識別情報の送信を実行又はキャンセルする、
ことができる。
【0009】
前記セキュリティゲートには、複数の読取手段が設置され、
前記利用者の所定の操作は、1の読取手段に前記識別情報を読み取らせた後、所定時間内に他の読取手段に同じ識別情報を読み取らせる操作であって、
前記送信判断手段は、1の読取手段から前記識別情報を取得した後、所定時間内に他の読取手段から同じ識別情報を取得すると、前記識別情報の送信を実行又はキャンセルする、
ことができる。
【0010】
前記読取手段と同じセキュリティゲートに設置され、利用者の所定の操作を受け付ける操作手段を具え、
前記送信判断手段は、前記読取手段が前記識別情報を読み取った後、所定時間内に前記操作手段が利用者の所定の操作を受け付けると、前記識別情報の送信を実行又はキャンセルする
ことができる。
【0011】
前記乗り場に設置され、前記送信判断手段が、前記識別情報の送信をキャンセルしたときに、前記利用者による行先階の入力を受け付け、入力された前記行先階を前記号機割当手段に送信する行先階入力装置、
を具えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の乗場行先階登録システムを具えるエレベータによれば、送信判断手段は、セキュリティゲートを通過する利用者の操作の有無に基づいて、号機割当手段に識別情報を送信又はキャンセルする。すなわち、送信判断手段からの識別情報の送信がキャンセルされた場合には、号機割当手段は乗り場行先階呼びを号機に割り当てないから、無駄な乗り場行先階呼びが号機に割り当てられることはない。従って、無駄な乗り場行先階呼びの発生によるエレベータの輸送性能の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る乗り場行先階登録システムを具えるエレベータの乗り場の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る乗り場行先階登録システムの概略ブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る乗り場行先階登録システムを具えるエレベータの動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る乗り場行先階登録システムを具えたエレベータについて、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本発明の乗り場行先階登録システムの適用されるセキュリティゲート40の設置された階床12の乗り場10近傍の概略構成を示している。
【0016】
図1に示すように、階床12には、建物内に就役する複数基の号機20(かご)に乗降する乗り場10が設けられており、乗り場10と建物の通路14との間は、許可された利用者のみを通過させて乗り場10への進入を許容するセキュリティゲート40によって区画されている。また、乗り場10には、行先階を手入力する行先階入力装置50が設置されており、各号機20の乗場ドア付近には、自号機の番号(たとえばA〜F)を表示するインジケータ60が設置されている。インジケータ60は、号機番号の他、到着する号機20の昇降方向を示すホールランタン62やその号機に割り当てられた行先階などを表示することができる。
【0017】
図示の実施形態では、号機20は、A号機からF号機の6基であり、セキュリティゲート40は、aゲートからcゲートの3基である。なお、号機数やセキュリティゲート数はこれらに限定されるものではない。たとえば、セキュリティゲート40は1基のみでもよい。
【0018】
セキュリティゲート40が設置される階床12は、建物の基準階となるエントランス階床とすることができる。また、低層用と高層用のエレベータを設置した建物では、その乗り換え階床であってもよい。
【0019】
セキュリティゲート40は、利用者が通過するゲート通路16の側方に設置される。
図1の実施形態ではフラップ式ゲートであり、ゲート本体41に支持され、水平面内で回転してゲート通路16に出没するフラップ42(扉)を有する。フラップ42の開閉は、
図2に示すゲート開閉制御手段47により制御される。
【0020】
ゲート本体41には、利用者の所持する媒体の識別情報を読み取る読取手段44を具える。読取手段44は、利用者が所持する媒体の識別情報を読み取る接触式又は非接触式のリーダとすることができる。たとえば、利用者が所持する媒体として、ICチップを内蔵したIDカードやスマートフォンなどの携帯型電子機器を例示することができ、識別情報は、これら媒体に電子的に格納される。識別情報は、バーコードやQRコード(登録商標)とすることもできる。また、読取手段44として、指紋認証や顔認証などの認証システムを採用した場合には、これら認証システムにおける各種情報も識別情報に含まれる。
【0021】
読取手段44によって読み取られた識別情報は、あらかじめ登録された識別情報と一致するか判定される。その判定は、セキュリティゲート40に設置されたコンピュータや、セキュリティゲート40を統括的に管理するサーバ(何れも図示せず)にて実行することができる。そして、読み取られた識別情報が、登録された識別情報と一致する場合には、その識別情報は、後述する送信判断手段45に送信される。
【0022】
また、ゲート本体41には、識別情報に基づいて、対応付けられた行先階に移動する号機20が割り当てられた場合に、その割り当てられた号機20を表示する割当号機表示部46を具える。割当号機表示部46は、後述するとおり、号機20の割当てがキャンセルされた場合には、その旨を表示する。たとえば、その表示として、行先階が登録されていないこと、号機20が割り当てられていないこと、または、行先階を行先階入力装置50から手入力する案内等を例示できる。
【0023】
行先階入力装置50は、
図1及び
図2に示すように、利用者が手入力により行先階を入力する装置である。行先階入力装置50は、セキュリティゲート40から号機20に向かう経路上に設けることが望ましい。行先階入力装置50は、
図1に示すように、行先階を入力する入力ボタン等からなる行先階入力部52と、その入力された行先階に割り当てられた号機を表示する割当号機表示部54とを具えている。
【0024】
エレベータの号機20の制御は、
図2に示す群管理制御装置30及び各号機20毎に設置された運行制御装置36により行なわれる。
【0025】
群管理制御装置30は、複数の号機20の運行を群管理制御する。群管理制御装置30は、セキュリティゲート40から送信される識別情報や、行先階入力装置50から入力された行先階を入出力インターフェース32を介して受け付ける。より詳細には、号機割当手段34は、セキュリティゲート40から識別情報を受信すると、その識別情報に対応付けられてあらかじめ登録された行先階を乗り場行先階呼びとして最適な号機20に割り当てる。識別情報と、その対応付けられた行先階は、群管理制御装置30又はこれらを統括的に管理するサーバ(図示せず)に格納しておくことができる。割り当てられた号機20は、入出力インターフェース32を介してセキュリティゲート40に送信される。また、行先階入力装置50から乗り場行先階呼びを受信した場合にも、最適な号機20を割り当てる。割り当てられた号機20は、入出力インターフェース32を介して行先階入力装置50に送信される。
【0026】
そして、乗り場行先階呼びが割り当てられた運行制御装置36は、その呼びに応答し、自号機20を運行する。
【0027】
前述した読取手段44に電気的に接続され、セキュリティゲート40に配置される送信判断手段45は、読取手段44の読み取った識別情報を取得し、その識別情報を群管理制御装置30に送信するか否かを判断する手段である。送信判断手段45は、読取手段44が識別情報を読み取った後、所定時間内に、利用者の所定の操作の有無を検知し、その操作の有無に応じて、識別情報の号機割当手段34への送信を実行するかキャンセルするかを判断する。すなわち、利用者が、識別情報に対応付けられた行先階への移動を所望する場合、あるいは、その行先階以外への移動を所望する場合に、所定の操作を実行する。以下では、識別情報に対応付けられた行先階以外への移動を所望する場合に、利用者は所定の操作を実行するものとするが、識別情報に対応付けられた行先階への移動を所望する場合に、所定の操作を実行するようにしてもよい。
【0028】
利用者の所定の操作とは、たとえば、読取手段44に識別情報を2回またはそれ以上の回数再読み取りさせる操作を例示できる。すなわち、利用者は、識別情報に対応付けられた行先階以外への移動を所望する場合には、読取手段44にダブルタップの如く媒体を接近や接触等させて、識別情報を再読み取りさせる。
【0029】
また、セキュリティゲート40に、複数の読取手段を設置し、利用者の所定の操作として、1の読取手段で識別情報を読み取らせた後、所定時間内に他の読取手段に同じ識別情報を読み取らせるようにしてもよい。
【0030】
さらに、読取手段44と同じセキュリティゲート40にボタンやタッチパネルの如き操作手段を設置し、利用者の所定の操作として、読取手段44が識別情報を読み取った後、所定時間内に操作手段を操作するようにしてもよい。
【0031】
以下、フローチャート
図3を参照しながら、本発明の乗り場行先階登録システムの動作フローについて説明する。なお、フローチャート
図3は、読取手段44が識別情報を読み取ってから、セキュリティゲート40のフラップ42が開くまでの制御の流れを示している。
【0032】
送信判断手段45は、利用者が所持する媒体を読取手段44に接触又は非接触により識別情報を読み取らせると(ステップS1)、その読み取り時刻Tから所定時間(x秒、たとえば0.5秒)以内に利用者の上記所定の操作が行なわれたかどうかを判断する(ステップS2及びステップS3)。たとえば、所定の動作として、上記した読取手段44への識別情報の再読み取りであった場合には、識別情報の再読み取りを受け付けると(ステップS2のNo)、後述するステップS8及びステップS9で説明するとおり、識別情報の号機割当手段34への送信をキャンセルする。一方、所定時間以内に利用者の所定の操作がなかった場合には(ステップS3のYes)、送信判断手段45は、識別情報を送信してもよいと判断し(ステップS4)、群管理制御装置30に利用者の識別情報の送信を実行する(ステップS5)。
【0033】
上記では、読取手段44が時刻Tに識別情報を読み取った後、利用者の所定の操作の有無を判断するまでの所定時間は0.5秒の短い時間としている。これは、利用者がセキュリティゲート40を通過するまでの間にステップS2〜ステップS9の制御を実行するためである。
【0034】
群管理制御装置30は、識別情報を受信すると、その識別情報に対応付けられてあらかじめ登録された行先階を乗り場行先階呼びとして最適な号機20に割り当てると共に、割り当てられた号機20の番号をセキュリティゲート40に送信する。そして、セキュリティゲート40の割当号機表示部46は、割り当て号機20の番号を受信すると(ステップS6のYes)、その号機番号を表示する(ステップS7)。
【0035】
一方、上記ステップS2において、利用者が所定の操作、すなわち、識別情報の再読み取りを行なった場合には(ステップS2のYes)、送信判断手段45は、識別情報に対応付けられた行先階の登録が不要であると判断し、識別情報の群管理制御装置30への送信をキャンセルする(ステップS8)。そして、割当号機表示部46は、識別情報の号機割当手段34への送信がキャンセルされた場合には、乗り場10に設置された行先階入力装置50で行先階を手入力するように案内を表示する(ステップS9)。
【0036】
また、送信判断手段45は、群管理制御装置30への識別情報の送信の実行又はキャンセルの何れの場合であっても、ゲート開閉制御手段47にフラップ42を開くよう信号を送信し、ゲート開閉制御手段47は、フラップ42を開く(ステップS10)。
【0037】
利用者は、割当号機表示部46に表示された号機20又は行先階入力装置50への手入力の案内を参照しつつ、フラップ42の開いたセキュリティゲート40を通過して、乗り場10に入る。
【0038】
乗り場10に入った利用者は、識別情報に対応付けられた行先階に移動する場合、すなわち、割当号機表示部46に号機20が表示されている場合には、その指示に従って、対応する号機20の前で待機すればよい。
【0039】
そして、号機20の乗場ドアの近傍に設置されたインジケータ60は、自号機20の昇降方向や停止する行先階を表示し、利用者は、割り当てられた号機20の到着を待って、号機20に乗車すればよい。
【0040】
所定の操作を行なって、識別情報に対応付けられた行先階以外の行先階に移動する場合には、乗り場10に設置された行先階入力装置50の入力部52に行先階を手入力すればよい。行先階入力装置50は、入力された行先階を群管理制御装置30に送信し、その行先階を乗り場行先階呼びとして最適な号機20に割り当てると共に、割り当てられた号機20の番号を行先階入力装置50に送信して、行先階入力装置50の割当号機表示部54に表示させる。そして、利用者は、その指示に従って、対応する号機20の前で待機すればよい。
【0041】
本発明の乗り場行先階登録システムを具えたエレベータによれば、上記のように、利用者の所定の操作によって、セキュリティゲート40を通過する際に必要な識別情報に基づいて、その識別情報に対応付けられた行先階の登録の実行又はキャンセルを行なうことができる。従って、利用者が、識別情報に対応付けられた行先階に移動しない場合には、たとえセキュリティゲート40を通過しても、その行先階が無駄な乗り場行先階呼びとして登録されることはない。このように、無駄な乗り場行先階呼びが発生しないから、エレベータの輸送性能の低下を抑えることができる。
【0042】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0043】
20 号機
30 群管理制御装置
34 号機割当手段
40 セキュリティゲート
44 読取手段
45 送信判断手段
46 割当号機表示部
50 行先階入力装置