(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る出発予定時刻通知システム、出発予定時刻通知方法、及び出発予定時刻通知プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
〔実施の形態の基本的概念〕
まず、実施の形態の基本的概念を説明する。この実施の形態は、概略的に、車両が出発地から目的地に至る経路を走行する上での出発予定時刻を通知するシステムである。ここで、
図1は、出発地から目的地に至る経路を概略的に示す図である。ここで、「出発地」とはユーザが走行を開始する地点であって、「目的地」とはユーザの走行の目的となる地点である。なお、以下では、出発地を自宅とし、目的地を会社とし、自宅から会社へと走行を行う際の出発予定時刻の通知を行う場合を想定して各種の処理について説明する。なお、本実施の形態においては、
図1に示すように、いずれも出発地から目的地に至る経路である経路A、経路B、経路C、及び経路Dの4種類の経路を例に挙げて説明する。また、「走行する」とは、車両が実際に移動している状態に限られず、信号待ち等のために一時的に停止している状態を含む概念である。
【0013】
〔実施の形態の具体的内容〕
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0014】
本実施の形態では、車載用ナビゲーション装置(以下、車載器)に出発予定時刻通知プログラムをインストールすることにより、車載器が出発予定時刻通知システムとして機能する場合について説明する。なお、この他にも、スマートフォンや携帯用ナビゲーション装置を含む任意の装置に出発予定時刻通知プログラムをインストールすることによって出発予定時刻通知システムを構成してもよい。また、出発予定時刻通知システムにおける車載器としての機能については、公知の車載器と同様の構成により得ることができるので、その説明は省略することとし、特に出発予定時刻を通知する機能を達成するための構成について説明する。なお、以下ではこの出発予定時刻通知システムを搭載した特定の同一車両(車載器を操作するユーザが搭乗する車両)を単に「車両」と称して説明する。なお、「車両」には、自動四輪車、自動二輪車、及び自転車が含まれるが、以下では、車両が自動四輪車である場合について説明する。
【0015】
(構成)
最初に、車載器1の構成を説明する。
図2は、本実施の形態に係る出発予定時刻通知システムを例示するブロック図である。
図2に示すように、車載器1は、概略的に、スピーカ2、タッチパネル3、ディスプレイ4、現在位置取得部5、通信部6、制御部7、及びデータ記録部8を備えている。
【0016】
(構成−スピーカ)
スピーカ2は、制御部7の制御に基づいて情報を音声にて出力する音声出力手段であり、特に、車載器1に備えられた出発予定時刻特定部7dにより特定された出発予定時刻を通知する通知手段である。スピーカ2から出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0017】
(構成−タッチパネル)
タッチパネル3は、ユーザの指等で押圧されることにより、当該ユーザから各種手動入力を受け付けるものである。このタッチパネル3は、透明又は半透明状に形成され、ディスプレイ4の前面において当該ディスプレイ4の表示面と重畳するように設けられている。このタッチパネル3としては、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等による操作位置検出手段を備えた公知のタッチパネルを使用することができる。
【0018】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ4は、出発予定時刻通知システムによって案内された画像を表示する表示手段であり、特に、地
図DB8aに格納された地図情報に基づいて地図を表示する表示手段である。このディスプレイ4の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0019】
(構成−現在位置取得部)
現在位置取得部5は、車両の現在位置を取得する現在位置取得手段である。例えば、現在位置取得部5は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つにより検出した現在の車載器1の位置(座標)及び方位等を、公知の方法にて取得する。
【0020】
(構成−通信部)
通信部6は、センター装置(図示省略)との間でネットワークを介した通信を行う通信手段である。この通信手段の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、公知の移動体無線通信手段や、FM多重放送やビーコンを介した公知のVICS(登録商標)システム用の無線通信手段を用いることができる。
【0021】
(構成−制御部)
制御部7は、車載器1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る出発予定時刻通知プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して車載器1にインストールされることで、制御部7の各部を実質的に構成する。
【0022】
この制御部7は、機能概念的に、走行履歴取得部7a、地点特定部7b、経路特定部7c、及び出発予定時刻特定部7dを備えて構成される。走行履歴取得部7aは、車両の実際の走行に基づいて取得された走行履歴情報を格納する走行履歴格納手段である。地点特定部7bは、データ記録部8の走行履歴DB8b(後述する)に格納された走行履歴情報に基づいて、車両の出発地及び目的地を特定する地点特定手段である。経路特定部7cは、出発地から目的地に至る経路を特定する経路特定手段である。なお、この経路特定部7cにより特定された経路、すなわちユーザに対して走行を促す経路を特に「走行経路」と称して以下では説明する。出発予定時刻特定部7dは、経路特定部7cにて特定された走行経路を走行する上での出発予定時刻を特定する出発予定時刻特定手段である。なお、これら制御部7の各部により行われる具体的な処理については後述する。
【0023】
(構成−データ記録部)
データ記録部8は、車載器1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。このデータ記録部8は、地図データベース(以下、データベースを「DB」と称する)8a、及び、走行履歴DB8bを備えている。
【0024】
地
図DB8aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。ここで、「地図情報」とは、道路、道路構造物、施設等を含む各種の位置の特定に必要な情報であり、例えば、道路上に設定された各ノードに関するノードデータ(ノード番号、座標)や、道路上に設定された各リンクに関するリンクデータ(リンクID、リンク名、始点側接続ノード番号、終点側接続ノード番号、道路座標、道路種別(例えば有料道路、一般道路等)、道路情報、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、施設等)、及び地形データ等を含んで構成されている。
【0025】
走行履歴DB8bは、同一車両の実際の走行に基づいて取得された走行履歴情報を格納する走行履歴格納手段である。ここで、この走行履歴情報を格納するタイミングは任意で、例えば、本実施の形態においては、車両が実際に走行を行う際に、走行履歴取得部7aが当該走行に関する情報(以下、「走行情報」と称する。例えば、走行した経路、曜日、出発時刻、到着時刻、走行日時等に関する情報を含む)を収集し、車両が走行を終了した後に、この走行情報に基づいて走行履歴DB8bを更新することにより、走行情報を走行履歴情報として格納していくものとして説明する。すなわち、走行情報とは一回の走行で取得されたいわゆる「元データ」であり、走行履歴情報とは複数の元データに基づいて編集されたいわゆる「編集データ」である。
【0026】
ここで、
図3は、走行履歴DB8bに格納されている走行履歴情報を例示した表である。この
図3に示すように、走行履歴DB8bには、項目「候補情報ID」、「曜日」、「出発地」、「経路」、「目的地」、「走行回数」、「出発時刻」、「所要時間」、及び「到着時刻」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「候補情報ID」に対応して格納される情報は、対応するレコードを一意に特定する情報であって、例えば「A0001」、「A0002」、・・・「D0001」のように、走行した経路に対応するアルファベットを冒頭に付した符号が用いられている。ここで、以下では走行履歴情報における一つのレコードが示す情報を「候補情報」と称して説明する。すなわち、例えば
図3においては、A0001からD0001までの計7つの候補情報が示されており、以下では必要に応じて各候補情報を「A0001の候補情報」、「A0002の候補情報」といったように称して説明する。この候補情報とは、経路特定部7cによって走行経路を特定する際に用いられる情報である。具体的には、各候補情報はいずれも一種類の走行を示しており、それぞれの候補情報が示す走行は、曜日、出発地、経路、目的地、出発時刻、所要時間、又は到着時刻のいずれかが相互に異なる。なお、経路特定部7cが、この候補情報に基づいて走行経路を特定する具体的な方法については後述する。
【0027】
項目「曜日」に対応して格納される情報は、走行が行われた曜日を示す情報であって、日曜日から土曜日までのいずれかが格納される。項目「出発地」に対応して格納される情報は、走行の出発地を示す情報であって、例えば自宅や会社等といった具体的な地点名称が格納されている。項目「経路」に対応して格納される情報は、経路を一意に特定するための情報であって、例えば「A」、「B」、「C」、又は「D」といった経路を特定する符号が格納されている。項目「目的地」に対応して格納される情報は、走行の目的地を示す情報であって、例えば自宅や会社等といった具体的な地点名称が格納されている。項目「走行回数」とは、同一の候補情報が示す走行を実際に行った回数を示し、例えば
図3においては、A0001の候補情報が示す走行(すなわち、7時30分に出発し、経路Aを走行し、30分の所要時間をかけて、8時00分に到着した走行)を11回行ったことを示しており、A0002の候補情報が示す走行(すなわち、7時40分に出発し、経路Aを走行し、30分の所要時間をかけて、8時10分に到着した走行)を5回行ったことを示している。項目「出発時刻」に対応して格納される情報は、車両が出発地を出発した時刻を示す情報である。項目「所要時間」に対応して格納される情報は、車両が出発地を出発してから目的地に到着するまでに要した時間を示す情報である。項目「到着時刻」に対応して格納される情報は、車両が目的地に到着した時刻を示す情報である。
【0028】
なお、本実施の形態では説明の簡略化のために、項目「出発地」及び項目「目的地」には、上述したように具体的な地点名称が格納されているものとして説明するが、実際には具体的な地点名称に対応する位置座標が関連付けられて格納されている。また、この「地点名称に対応する位置座標」としては、各地点の厳密な1つの位置座標のみに限定されず、各地点を中心とする所定範囲内の位置座標が格納されているものとし、例えば項目「出発地」及び項目「目的地」に対応して格納された「自宅」とは、実際には、自宅を示す位置座標の周囲所定範囲(例えば、自宅を中心とする半径100m以内の範囲)に含まれる位置座標が格納されている。
【0029】
なお、走行履歴DB8bに走行履歴情報を格納するための具体的な処理の詳細については後述する。
【0030】
(処理)
次に、このように構成される出発予定時刻通知システムによって実行される処理について説明する。
【0031】
(処理−走行履歴情報格納処理)
まずは、走行履歴情報格納処理について説明する。この走行履歴情報格納処理は、概略的には、車両の実際の走行に基づいて取得された走行情報に基づいて、走行履歴DB8bに走行履歴情報を格納するための処理である。なお、この走行履歴情報格納処理を実行するタイミングは任意であり、例えば、本実施の形態では車載器1の電源がオンになった際に自動的に実行されるものとして説明する。
【0032】
図4は、走行履歴情報格納処理のフローチャートである。まず、走行履歴取得部7aは、車両が発進したか否かを判定する(SA1)。なお、この判定の具体的な方法は任意であり、例えば、車両に搭載された車速センサ(図示省略)から出力された車速情報や、現在位置取得部5にて取得された車両の現在位置情報に基づいて車両の発進を検知する公知の方法で特定することができる。そして、走行履歴取得部7aは、車両が発進するまで待機し(SA1、No)、車両が発進した場合(SA1、Yes)、走行情報の取得を開始する(SA2)。具体的には、車載器1に搭載された公知の計時手段(図示省略)に基づいて、車両が走行を行った日時、曜日、及び車両が発進した時刻(すなわち出発時刻)を特定し、このように特定された走行情報をデータ記録部8に記憶する。なお、本実施の形態においては5分刻みの時刻として出発時刻を特定するものとし、例えば7時30分から7時34分までに出発した場合には出発時刻は7時30分であると特定し、7時35分から7時39分までに出発した場合には出発時刻は7時35分であると特定する。ただし必ずしもこのように時刻を刻む必要はなく、例えば1分刻みや10分刻みの時刻として出発時刻を特定しても構わない。また、車両が発進した際における車両の位置座標(以下、出発位置座標)を特定し、このように特定された走行情報をデータ記録部8に記憶する。
【0033】
次に、走行履歴取得部7aは、車両が走行を終了したか否かを判定する(SA3)。この判定の具体的な方法は任意であり、例えば本実施の形態においては、走行履歴取得部7aは、車両のギアがニュートラルとなり、かつ車両のサイドブレーキが作動されたと判定した場合に、車両が走行を終了したと判定する。そして、走行履歴取得部7aは、車両が走行を終了するまで待機し(SA3、No)、車両が走行を終了した場合(SA3、Yes)、走行情報の取得を終了する(SA4)。具体的には、車載器1に搭載された公知の計時手段(図示省略)に基づいて車両が走行を終了した時刻(すなわち到着時刻)を特定し、出発時刻から到着時刻に至るまでの現在位置の推移に基づいて走行した経路を特定し、このように特定された走行情報をデータ記録部8に記憶する。なお、本実施の形態においては5分刻みの時刻として到着時刻を特定するものとし、例えば8時00分から8時04分までに到着した場合には到着時刻は8時00分であると特定し、8時05分から8時09分までに到着した場合には到着時刻は8時05分であると特定する。次に、特定した出発時刻及び到着時刻に基づいて所要時間を特定し、走行情報としてデータ記録部8に記憶する。具体的には、到着時刻から出発時刻を差し引いた時間を所要時間として特定する。また、車両が走行を終了した際における車両の位置座標(以下、到着位置座標)を特定し、このように特定された走行情報をデータ記録部8に記憶する。
【0034】
最後に、走行履歴取得部7aは、走行履歴DB8bに走行履歴情報を格納する(SA5)。具体的には、データ記録部8に一時的に格納された走行情報と、走行履歴DB8bに既に格納されている走行履歴情報(すなわち、過去の走行において格納された走行履歴情報)とを比較し、その比較結果に基づいて走行履歴情報を格納する。
【0035】
より具体的には、まず、走行履歴取得部7aは、走行履歴DB8bに格納された走行履歴情報の各候補情報を参照し、データ記録部8に走行情報として記憶された曜日、出発位置座標、経路、到着位置座標、出発時刻、所要時間、及び到着時刻と合致する情報を含む候補情報が存在するか否かを判定する。なお、出発位置座標、及び到着位置座標に関しては、データ記録部8に走行情報として記憶された出発位置座標、及び到着位置座標が、走行履歴情報に格納された出発地及び目的地が示す位置座標の範囲に含まれる場合には、両者は合致するものと判定する。そして、このような候補情報が存在すると判定した場合、当該候補情報の走行回数に対応付けられて格納された数字に「1」を加算する。また、このような候補情報が存在しないと判定した場合、新たに候補情報IDを採番して、データ記録部8に走行情報として記憶された曜日、出発位置座標、経路、到着位置座標、出発時刻、所要時間、及び到着時刻に基づいて新たな候補情報を作成する。この際に、当該新たな候補情報に係る項目「走行回数」には「1」を格納する。
【0036】
以上のように、走行情報に基づいて走行履歴情報を更新し、これにて走行履歴情報格納処理を終了する。なお、一回の走行において走行情報としてデータ記録部8に格納された情報は、当該走行履歴情報格納処理を終了した後に削除しても良い。
【0037】
(処理−出発予定時刻通知処理)
次に、出発予定時刻通知処理について説明する。この出発予定時刻通知処理は、概略的には、出発地から目的地に至る経路の走行を要するユーザに対して、当該走行の出発予定時刻を通知するための処理である。なお、この出発予定時刻通知処理を実行するタイミングは任意であり、例えば、本実施の形態では車載器1の電源がオンになった際に実行されるものとして説明する。
【0038】
図5は、出発予定時刻通知処理のフローチャートである。まず、地点特定部7bは、走行履歴DB8bに格納された走行履歴情報に基づいて、車両の出発地及び目的地を特定する(SB1)。なお、この特定の具体的な方法は任意であるが、例えば、同一の曜日及び同一の時間帯においては、ユーザは同一の出発地から同一の目的地に至る走行を行うものと推定し、以下の処理を行う。すなわち、まず、走行履歴情報の項目「曜日」に対応する情報として、現在の曜日と合致する曜日が格納された候補情報であって、かつ、項目「出発時刻」に対応する情報として、現在時刻と同一の時間帯の時刻(例えば、現在時刻の前後30分に含まれる時刻)が格納された全ての候補情報を抽出する。例えば、現在が月曜日の7時30分である場合、項目「曜日」に対応する情報として「月曜日」が格納されており、かつ項目「出発時刻」に対応する情報として、「7時00分」から「8時00分」に含まれる時刻が格納されている全ての候補情報を抽出する。次に、地点特定部7bは、このように抽出された候補情報の項目「出発地」、「目的地」、及び「走行回数」に対応する情報として格納されている情報を参照して、最も多い出発地及び目的地を特定する。なお、本実施の形態では出発地として「自宅」、目的地として「会社」を特定したものとして説明する。このようにして、ユーザの固有の走行履歴情報に基づく出発地及び目的地を特定することが可能である。
【0039】
(処理−出発予定時刻通知処理−走行経路特定処理)
次に、経路特定部7cは、走行経路特定処理を実行する(SB2)。
図6は、走行経路特定処理のフローチャートである。この走行経路特定処理は、概略的に、ユーザに対して出発予定時刻を通知する上で、当該出発予定時刻の基準となる走行経路を特定するための処理である。
【0040】
まず、経路特定部7cは、出発地及び目的地に基づいて候補情報を抽出する(SC1)。この抽出の具体的な方法は任意であるが、本実施の形態では、走行履歴DB8bに格納された走行履歴情報を参照し、項目「出発地」及び項目「目的地」に対応する情報として、
図5に示すSB1の処理において特定された出発地(すなわち、「自宅」)及び目的地(すなわち、「会社」)が格納された全ての候補情報を抽出するものとする。
【0041】
次に、経路特定部7cは、SC1において抽出した候補情報の中から到着時刻が最も早い候補情報を特定する(SC2)。具体的には、各候補情報の項目「到着時刻」に対応して格納された情報を参照し、最も早い到着時刻が格納された候補情報を特定する。例えば
図3に示す走行履歴情報においては、最も早い到着時刻である8時00分が格納された候補情報であるA0001の候補情報を、最も早い到着時刻が格納された候補情報として特定する。
【0042】
次に、SC2の処理において特定された候補情報(あるいは、後述するSC5の処理において特定された候補情報)の中に、現在時刻を基準として各候補情報が示す経路を走行することを想定した場合に、到着時刻に間に合う候補情報が有るか否かを判定する(SC3)。この判定方法は任意であるが、例えば各候補情報が示す経路に関して制御部7に含まれる経路探索部(図示省略)により公知の方法により経路探索を実行し、出発地から目的地に至るまでに要する所要時間を算定し、このように算定した所要時間を到着時刻から差し引いた時刻を求め、この時刻が現在時刻を超過しているか否かを判定することにより行っても良い。また、単に、各候補情報の項目「出発時刻」に対応して格納された時刻を参照し、この時刻が現在時刻を超過しているか否かを判定することにより行っても良い。例えば、現在時刻が7時35分である場合、A0001の候補情報の出発時刻は7時30分であり既に経過しているため間に合わないと判定する。
【0043】
そして、間に合う候補情報が無いと判定した場合(SC3、No)、SC1において抽出した全ての候補情報のうち、到着時刻が次に早い候補情報が有るか否かを判定し(SC4)、有ると判定した場合(SC4、Yes)、当該候補情報を特定する(SC5)。例えば、本実施の形態においては、
図3に示すように、到着時刻が次に早い候補情報は、到着時刻が8時10分を示す候補情報(すなわち、A0002の候補情報、B0001の候補情報、及びC0001の候補情報)であり、これらの候補情報を特定する。続いて、このように特定した候補情報に対して、同様にSC3の処理を実行する。以降同様に、到着時刻に間に合う候補情報が有ると判定するか(SC3、Yes)、到着時刻が次に早い候補情報が無いと判定するまで(SC4、No)、上記のSC3からSC5の処理を繰り返し実行する。
【0044】
そして、現在時刻から間に合う候補情報が有ると判定した場合(SC3、Yes)、このような候補情報が複数有るかを判定する(SC6)。例えば、上述したように、SC5においてA0002の候補情報、B0001の候補情報、及びC0001の候補情報の3つの候補情報を特定した場合、候補情報が複数(この例では3つ)有ると判定する。そして、候補情報が複数有ると判定した場合(SC6、Yes)、この複数の候補情報の中から走行回数が最も多い経路候補を特定する(SC7)。具体的には、各候補情報の項目「走行回数」に対応付けられて格納された情報を特定し、この中から最も走行回数が多い候補情報を特定する。例えば、A0002の候補情報の走行回数は「5」であり、B0001の候補情報の走行回数は「3」であり、C0001の候補情報の走行回数は「8」であるので、最も走行回数が多い候補情報として、C0001の候補情報を特定する。
【0045】
そして、最後に、経路特定部7cは、このように特定した候補情報の項目「経路」を参照して、走行経路を特定する(SC8)。例えばC0001の候補情報の項目「経路」には経路Cを示す情報が格納されているため、経路Cを走行経路として特定する。なお、候補情報が複数無い場合(SC6、No)、SC7の処理を実行する必要はなく、SC2又はSC5の処理において特定した単一の候補情報の項目「経路」に対応して格納された経路を走行経路として特定する。これをもって、走行経路特定処理を終了し、出発予定時刻通知処理に戻る。
【0046】
また、到着時刻が次に早い候補情報が無い場合(SC4、No)、出発時刻の通知を行うために必要な情報が走行履歴DB8bに格納されていないため出発時刻を通知する必要性が無いと判断し、走行経路を特定せずに(SC9)、これをもって走行経路特定処理を終了し、出発予定時刻通知処理に戻る。
【0047】
図5に戻り、出発予定時刻特定部7dは、
図6に示す走行経路特定処理において走行経路が特定された場合(すなわち、SC8の処理を経た場合)には、当該特定された走行経路を走行する上での出発予定時刻を特定する(SB3)。この特定の具体的な方法は任意であり、例えば、制御部7に含まれる経路探索部(図示省略)によって、出発地から当該特定された走行経路を通って目的地に至るまでに要する所要時間を公知の方法により特定し、このように特定された所要時間を到着時刻から差し引くことにより、出発予定時刻を算出しても良い。
【0048】
最後に、制御部7は、SB3にて特定した出発予定時刻の通知を行い(SB4)、これをもって出発予定時刻通知処理を終了する。なお、「出発予定時刻を通知する」とは、ユーザが出発予定時刻を認識可能な態様である限りにおいて、任意の通知方法を採用することができる。例えば、スピーカ2から出発予定時刻を音声出力して通知しても良いし、ディスプレイ4に出発予定時刻を表示して通知しても良い。また、通知内容は具体的な出発予定時刻に限定されず、例えば出発予定時刻までの残り時間を通知しても良いし、
図6に示す走行経路特定処理のSC8の処理において特定された走行経路を併せて通知しても良い。このように走行経路も併せて通知することにより、ユーザは、通知された出発予定時刻において走行を開始する上で最適な経路を認識することができる。
【0049】
なお、出発予定時刻特定部7dは、
図6に示す走行経路特定処理において走行経路が特定されなかった場合(すなわち、SC9の処理を経た場合)には、出発予定時刻の特定(SB3)、及び出発予定時刻の通知(SB4)を行わず、これをもって出発予定時刻通知処理を終了する。以上にて、本実施の形態に係る出発予定時刻通知処理の説明を省略する。
【0050】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0051】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。例えばユーザに固有の走行情報を加味した出発予定時刻を通知することが出来ない場合であっても、従来と異なる技術により出発予定時刻を通知出来ている場合には、本願発明の課題が解決されている。
【0052】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。例えば、車載器1と通信可能に接続された携帯端末にスピーカ2やディスプレイ4等の通知手段を設け、車載器1にて上述したように特定した出発予定時刻を通信にて携帯端末に送信し、これを受信した携帯端末が出発予定時刻の通知を行っても良い。また、例えば車載器1と通信可能に接続されたセンター装置(図示省略)に走行履歴DB8bを設け、車両にて取得された走行情報を通信にてセンター装置に対して送信し、これを受信したセンター装置が当該走行情報に基づいて走行履歴DB8bを更新するものとしても良い。
【0053】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0054】
(走行履歴情報について)
本実施の形態では、走行履歴情報として走行を行った曜日に関する情報を格納し、
図6に示す走行経路特定処理において、現在の曜日と合致する曜日に関する情報を含む候補情報に基づいて、候補情報を抽出する(SC1)ものとして説明したが、これに限定されない。例えば、曜日ではなく、平日か休日かの2種類に関する情報を格納し、この情報に基づいて候補情報を抽出しても良い。
【0055】
(走行履歴情報格納処理について)
本実施の形態では、
図4に示す走行履歴情報格納処理において、車両にて取得された全ての走行情報に基づいて走行履歴情報を更新していくものとして説明したが、これに限定されない。例えば、現在時刻を基準として所定期間(例えば、半年)以内に取得された走行情報のみに基づいて、走行履歴情報を更新しても良い。具体的には、走行情報を取得する際に、上述した情報の他に走行情報を取得した日時を当該走行情報に関連付けてデータ記録部8に格納し、このように取得した日時から現在日時までに予め設定された所定期間が経過している場合には、当該走行情報をデータ記録部8から削除しても良い。
【0056】
(出発地及び目的地の特定について)
本実施の形態では、
図5に示す出発予定時刻通知処理において、経路特定部7cが走行履歴情報に基づいて出発地及び目的地を自動的に特定するものとして説明したが(SB1)、これに限られず、ユーザが手動で出発地や目的地を入力しても良い。また、走行履歴情報に基づくことなく、車両の現在位置を出発地として自動的に特定しても良い。
【0057】
(走行経路特定処理について)
本実施の形態では、
図6に示す走行経路特定処理において、到着時刻が早い順に候補情報を特定していくものとして説明したが、これに限定されない。例えば、項目「出発時刻」に対応して格納されている時刻が現在時刻から近い順に候補情報を特定していっても良く、このようにして特定された候補情報が複数有る場合には項目「所要時間」に対応して格納されている時間が最も短い候補情報を走行情報として特定しても良い。
【0058】
〔実施の形態の特徴と効果の一部〕
最後に、これまでに説明した実施の形態の特徴と効果の一部を、以下に例示する。ただし、実施の形態の特徴と効果は、以下の内容に限定されず、以下の特徴の一部のみを具備することによって以下の効果の一部のみを奏する場合や、以下の特徴以外の他の特徴を具備することによって以下の効果以外の他の効果を奏する場合がある。
【0059】
実施の形態の1つの側面1に係る出発予定時刻通知システムは、同一車両の実際の走行に基づいて取得された走行履歴情報を格納する走行履歴格納手段と、前記同一車両の出発地及び目的地が特定された場合に、前記走行履歴情報、又は前記走行履歴情報に基づいて特定された情報に基づいて、前記特定された出発地から目的地に至る経路を特定する経路特定手段と、前記経路特定手段にて特定された経路を走行する上での出発予定時刻を特定する出発予定時刻特定手段と、前記出発予定時刻特定手段にて特定された出発予定時刻を通知する通知手段と、を備え
、前記走行履歴格納手段は、前記走行履歴情報として、前記同一車両が走行した経路、及び到着時刻を相互に関連付けて格納し、前記経路特定手段は、前記走行履歴情報に含まれる前記到着時刻のうち最も早い到着時刻に関連付けて格納された経路を抽出し、現在時刻を基準として当該抽出した経路を走行することを想定した場合に前記到着時刻に間に合うか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて前記経路を特定する。
【0060】
上記側面1に係る出発予定時刻通知システムによれば、同一車両の実際の走行に基づいて取得された走行履歴情報、又は走行履歴情報に基づいて特定された情報に基づいて特定した経路を走行する上での出発予定時刻を通知するので、同一車両の走行に固有の走行履歴情報に則した通知を行うことができ、ユーザに固有の走行情報を加味して出発予定時刻を通知することが可能になる。
また、走行履歴情報に含まれる到着時刻のうち最も早い到着時刻に関連付けて格納された経路を走行することを想定した場合に前記到着時刻に間に合うか否かを判定した結果に基づいて経路を特定するので、ユーザが最も早く目的地に到着するように出発予定時刻を通知することができ、ユーザの意に則した通知を行うことが可能となる。
【0061】
実施の形態の他の側面2に係る出発予定時刻通知システムは、上記側面1に係る出発予定時刻通知システムにおいて、前記走行履歴格納手段に格納された走行履歴情報に基づいて、前記同一車両の出発地及び目的地を特定する地点特定手段を備え、前記経路特定手段は、前記地点特定手段にて前記同一車両の出発地及び目的地が特定された場合に、前記走行履歴情報、又は前記走行履歴情報に基づいて特定された情報に基づいて、前記特定された出発地から目的地に至る経路を特定する。
【0062】
上記側面2に係る出発予定時刻通知システムによれば、走行履歴情報に基づいて出発地及び目的地を特定し、当該特定された出発地から目的地に至る経路を特定するので、ユーザに固有の走行情報を加味して出発地及び目的地を特定することでき、ユーザが自ら出発地及び目的地を入力する手間を省略することが可能となる。
【0065】
実施の形態の他の側面
3に係る出発予定時刻通知システムは、上記側面1又は上記側面2に係る出発予定時刻通知システムにおいて、前記経路特定手段は、前記走行履歴情報に含まれる前記到着時刻のうち最も早い到着時刻に関連付けて格納された経路を抽出し、現在時刻を基準として当該抽出した経路を走行することを想定した場合に前記到着時刻に間に合うか否かを判定し、間に合わないと判定した場合、前記走行履歴情報に含まれる前記到着時刻のうち次に早い到着時刻に関連付けて格納された経路を抽出し、当該抽出された経路に関して同様の判定を行い、以降同様に、間に合わないと判定する毎に、次順の到着時刻に関連付けて格納された経路を抽出して当該抽出された経路に関して同様の判定を行い、各判定の結果に基づいて前記経路を特定する。
【0066】
上記側面
3に係る出発予定時刻通知システムによれば、到着時刻の早い順に経路を抽出し、抽出された経路を走行することを想定した場合に到着時刻に間に合うか否かを判定した結果に基づいて経路を特定するので、ユーザが可能な限り早く目的地に到着するように出発予定時刻を通知することができ、ユーザの意に則した通知を行うことが可能となる。
【0067】
実施の形態の他の側面
4に係る出発予定時刻通知システムは、上記側面1から上記側面
3のいずれかの側面に係る出発予定時刻通知システムにおいて、前記走行履歴格納手段は、前記走行履歴情報として、前記同一車両が走行した経路、及び経路の走行回数を相互に関連付けて格納し、前記経路特定手段は、各経路の走行回数に基づいて前記経路を特定する。
【0068】
上記側面
4に係る出発予定時刻通知システムによれば、経路の走行回数に基づいて経路の特定を行うので、例えばユーザの走行回数が多い経路を優先的に特定することができ、ユーザに固有の走行情報を一層加味した経路の特定が可能となる。