特許第6269301号(P6269301)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6269301
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20180122BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20180122BHJP
   H01M 8/12 20160101ALI20180122BHJP
【FI】
   H01M8/04 J
   H01M8/00 Z
   H01M8/12
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-95410(P2014-95410)
(22)【出願日】2014年5月2日
(65)【公開番号】特開2015-213021(P2015-213021A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2017年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】三瀬 尚史
(72)【発明者】
【氏名】田中 靖国
【審査官】 笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−186662(JP,A)
【文献】 特開2008−243555(JP,A)
【文献】 特開2011−49020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00−8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
触媒上で燃料と水とを反応させて、前記燃料電池に供給される改質ガスを生成する改質器と、
前記改質器で生成された改質ガスが前記燃料電池に向けて流通する改質ガス供給ラインと、
前記燃料電池から排出されたオフガスと熱交換水ラインを流通する温水との間で熱交換する熱交換器と、
オフガスが前記熱交換器において熱交換されて得られた凝縮水が流通する凝縮水供給ラインと、
前記凝縮水供給ラインを介して供給される凝縮水を改質水として貯留する水貯留部と、
前記水貯留部に貯留された改質水が前記改質器に向けて流通する改質水供給ラインと、
前記凝縮水供給ラインを介さずに前記水貯留部に水を改質水として補給する第1補給水補給手段と、
前記熱交換器に前記熱交換水ラインを介して接続される貯湯タンクであって、前記貯湯タンク又は前記熱交換水ライン内の温水の温度を検出する温度検出部を備え、前記熱交換水ラインを流通し前記熱交換器において熱交換された温水を貯留する貯湯タンクと、
前記温度検出部で検出された温水の温度が基準温度以上であるときに、水を前記水貯留部に補給するように前記第1補給水補給手段を制御する制御部と、を備える燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度検出部で検出された温水の温度が基準温度以上である状態が設定時間以上継続するときに、水を前記水貯留部に補給するように前記第1補給水補給手段を制御する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記水貯留部は、前記水貯留部の内部の上部に配置された高水位検出部と、前記水貯留部の内部の下部に配置された低水位検出部とを備え、
前記制御部は、前記低水位検出部が前記水貯留部内の水位を検知したときに、水を前記水貯留部に補給するように前記第1補給水補給手段を制御し、前記高水位検出部が前記水貯留部内の水位を検知したときに、前記水貯留部への水の補給を停止するように前記第1補給水補給手段を制御する、請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
水を前記貯湯タンクに補給する第2補給水補給手段と、
前記貯湯タンク内の温水を外部へ排出する温水排出手段と、を更に備え
前記制御部は、水を前記貯湯タンクに補給すると共に前記貯湯タンク内の温水を外部へ排出するように、前記第2補給水補給手段及び前記温水排出手段を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温型燃料電池を備える燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高温型燃料電池を備える燃料電池システムは、燃料電池において、アノードに供給される水素を含む改質ガスと、カソードに供給される空気中の酸素とが化学反応することにより発電を行う。改質ガスは、一般的に、外部から改質器に供給される燃料と水とが改質器の触媒上で反応して生成される。一方、外部からの水の供給を必要としない燃料電池システムも考えられる。例えば、ラジエーターを備える燃料電池システムにおいては、ラジエーターは、高温型燃料電池から排出される水蒸気を含むオフガスを冷却して水(ドレン水)を生成する。生成された水は、改質水として再び改質器で利用される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−243555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような燃料電池システムでは、改質器において改質ガスを生成するために、改質水を改質器へ確実に供給する必要がある。従って、改質水を貯留するタンクに、改質器へ供給可能な量の改質水が貯留されていなければならない。しかし、ドレン水の生成が不十分であると、改質用の水が不足し、改質器において十分な改質ガスを生成することができなくなり、燃料電池の劣化を促進させる可能性があった。
【0005】
本発明は、燃料電池から排出される水蒸気を含むオフガスを冷却して改質水を得る燃料電池システムにおいて、安定して改質水を改質器に供給できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、燃料電池と、触媒上で燃料と水とを反応させて、前記燃料電池に供給される改質ガスを生成する改質器と、前記改質器で生成された改質ガスが前記燃料電池に向けて流通する改質ガス供給ラインと、前記燃料電池から排出されたオフガスと熱交換水ラインを流通する温水との間で熱交換する熱交換器と、オフガスが前記熱交換器において熱交換されて得られた凝縮水が流通する凝縮水供給ラインと、前記凝縮水供給ラインを介して供給される凝縮水を改質水として貯留する水貯留部と、前記水貯留部に貯留された改質水が前記改質器に向けて流通する改質水供給ラインと、前記凝縮水供給ラインを介さずに前記水貯留部に水を改質水として補給する第1補給水補給手段と、前記熱交換器に前記熱交換水ラインを介して接続される貯湯タンクであって、前記貯湯タンク又は前記熱交換水ライン内の温水の温度を検出する温度検出部を備え、前記熱交換水ラインを流通し前記熱交換器において熱交換された温水を貯留する貯湯タンクと、前記温度検出部で検出された温水の温度が基準温度以上であるときに、水を前記水貯留部に補給するように前記第1補給水補給手段を制御する制御部と、を備える燃料電池システムに関する。
【0007】
また、前記制御部は、前記温度検出部で検出された温水の温度が基準温度以上である状態が設定時間以上継続するときに、水を前記水貯留部に補給するように前記第1補給水補給手段を制御することが好ましい。
【0008】
また、前記水貯留部は、前記水貯留部の内部の上部に配置された高水位検出部と、前記水貯留部の内部の下部に配置された低水位検出部とを備え、前記制御部は、前記低水位検出部が前記水貯留部内の水位を検知したときに、水を前記水貯留部に補給するように前記第1補給水補給手段を制御し、前記高水位検出部が前記水貯留部内の水位を検知したときに、前記水貯留部への水の補給を停止するように前記第1補給水補給手段を制御することが好ましい。
【0009】
また、水を前記貯湯タンクに補給する第2補給水補給手段と、前記貯湯タンク内の温水を外部へ排出する温水排出手段と、を更に備え前記制御部は、水を前記貯湯タンクに補給すると共に前記貯湯タンク内の温水を外部へ排出するように、前記第2補給水補給手段及び前記温水排出手段を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、燃料電池から排出される水蒸気を含むオフガスを冷却して改質水を得る燃料電池システムにおいて、安定して改質水を改質器に供給できる燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態における燃料電池システム1を示す概略図である。
図2】本発明の第1実施形態における燃料電池システム1の制御部8の制御を示すフローチャートである。
図3】本発明の第2実施形態における燃料電池システム1Aを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態における燃料電池システム1を示す概略図である。
図1に示すように、第1実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池2と、燃焼器21と、熱交換器3と、貯湯タンク4と、水貯留部としての改質水タンク5と、改質器7と、セパレータ51と、第1不純物除去部52と、第2不純物除去部53と、制御部8と、を備える。
【0013】
また、燃料電池システム1は、オフガスラインL1と、熱交換水ラインL2と、温水使用ラインL3と、貯湯タンク給水ラインL4と、改質水循環ラインL5と、燃料供給ラインL61と、空気供給ラインL62と、改質ガス供給ラインL63とを備える。本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0014】
オフガスラインL1は、燃焼前オフガスラインL111と、燃焼後オフガスラインL112と、下流側オフガスラインL12とを有する。
燃焼前オフガスラインL111の一端部は、燃料電池2に接続されており、燃焼前オフガスラインL111の他端部は、燃焼器21に接続されている。燃料電池2から排出されるオフガスG1は、オフガスラインL1を通じて燃焼器21に供給される。
【0015】
燃焼後オフガスラインL112の一端部は、燃焼器21に接続されており、燃焼後オフガスラインL112の他端部は、熱交換器3に接続されている。燃焼器21においてオフガスG1が燃焼されて生成された高温の燃焼ガスG2は、燃焼後オフガスラインL112を通じて熱交換器3に供給される。
【0016】
下流側オフガスラインL12の一端部は、熱交換器3に接続されており、下流側オフガスラインL12の他端部は、燃料電池システム1の外部へ解放されている。下流側オフガスラインL12の途中には、セパレータ(気水分離器)51が接続されている。燃焼ガスG2は、セパレータ(気水分離器)51を介して排気ガスとして、下流側オフガスラインL12を流通して燃料電池システム1の外部へ排出される。
【0017】
熱交換水ラインL2は、高温側ラインL21と、低温側ラインL22と、を有する。高温側ラインL21の一端部は熱交換器3に接続されており、高温側ラインL21の他端部は、貯湯タンク4に接続されている。高温側ラインL21は、熱交換器3により熱交換された高温の温水W1を貯湯タンク4に流通させる。熱交換水ラインL2としての高温側ラインL21には、温水W1が流通することに限られず、例えば、水道水が流通してもよい。
【0018】
低温側ラインL22の一端部は、貯湯タンク4に接続されており、低温側ラインL22の他端部は、熱交換器3に接続されている。低温側ラインL22の途中には、ポンプ43が接続されている。低温側ラインL22は、ポンプ43の駆動により、貯湯タンク4に貯留されている温水W1を熱交換器3に流通させる。低温側ラインL22には、貯湯タンク4に貯留されている水W1(温水W1)が流通することに限られず、例えば、水道水が流通してもよい。
【0019】
温水使用ラインL3の一端部は、貯湯タンク4に接続されており、温水使用ラインL3の他端部は、温水使用設備(図示せず)に接続されている。また、温水使用ラインL3の途中には、ポンプ44が接続されている。温水使用ラインL3及びポンプ44は、貯湯タンク4内の温水を外部へ排出する温水排出手段を構成する。ポンプ44が駆動することにより、温水使用ラインL3は、貯湯タンク4に貯留されている温水W1を温水使用設備(図示せず)に流通させる。
【0020】
貯湯タンク給水ラインL4の一端部は、供給水W2の供給源(図示せず)に接続されており、貯湯タンク給水ラインL4の他端部は、貯湯タンク4に接続されている。貯湯タンク給水ラインL4の途中には、ポンプ45が接続されている。貯湯タンク給水ラインL4は、供給水W2の供給源(図示せず)からの供給水W2を貯湯タンク4に流通させる。貯湯タンク給水ラインL4及びポンプ45は、供給水W2を貯湯タンク4に補給する第2補給水補給手段を構成する。供給水W2は、常温又は高温の水でもよいし、水道水でもよい。
【0021】
改質水循環ラインL5は、凝縮水供給ラインL51と、改質水供給ラインL52と、改質水浄化上流ラインL53と、改質水浄化下流ラインL54と、改質水タンク給水ラインL55と、を有している。
【0022】
凝縮水供給ラインL51の一端部は、セパレータ51に接続されており、凝縮水供給ラインL51の他端部は、改質水タンク5に接続されている。凝縮水供給ラインL51は、燃焼ガスG2中に混在している水(ドレン水)を、セパレータ51により燃焼ガスG2から分離して凝縮水として改質水タンク5へ流通させる。即ち、凝縮水供給ラインL51には、オフガスG1から生成された燃焼ガスG2が熱交換器3において熱交換されて得られた凝縮水(改質水W3)が、流通する。
【0023】
改質水供給ラインL52の一端部は、改質水タンク5に接続されており、改質水供給ラインL52の他端部は、改質器7に接続されている。また、改質水供給ラインL52の途中には、改質水供給ラインL52の一端部側から他端部側に向かって第1不純物除去部52、ポンプ55がこの順でそれぞれ接続されている。改質水供給ラインL52は、水貯留部としての改質水タンク5に貯留された改質水W3を、改質器7に向けて流通させる。
【0024】
改質水浄化上流ラインL53の一端部は、改質水タンク5に接続されており、改質水浄化上流ラインL53の他端部は、第2不純物除去部53に接続されている。改質水浄化上流ラインL53の途中には、ポンプ57が接続されている。改質水浄化上流ラインL53は、ポンプ57の駆動により、改質水タンク5内の改質水W3を第2不純物除去部53に流通させる。
【0025】
改質水浄化下流ラインL54の一端部は、第2不純物除去部53に接続されており、改質水浄化下流ラインL54の他端部は、改質水タンク5に接続されている。改質水浄化下流ラインL54は、第2不純物除去部53においてイオン交換樹脂を通された改質水W3を、改質水タンク5に流通させる。
【0026】
改質水タンク給水ラインL55の一端部は、供給水W4の供給源(図示せず)に接続されており、改質水タンク給水ラインL55の他端部は、改質水タンク5に接続されている。改質水タンク給水ラインL55の途中には、ポンプ56が接続されている。改質水タンク給水ラインL55は、ポンプ56の駆動により、供給水W4の供給源(図示せず)からの供給水W4を改質水タンク5に流通させる。供給水W4の供給源(図示せず)、改質水タンク給水ラインL55、及び、ポンプ56は、第1補給水補給手段を構成する。従って、第1補給水補給手段は、凝縮水供給ラインL51を介さずに水貯留部としての改質水タンク5に供給水W4を、改質水として補給する。供給水W4は、常温又は高温の水でもよいし、水道水でもよい。
【0027】
燃料供給ラインL61の一端部は、都市ガス等の燃料G3を供給可能な燃料供給部(図示せず)に接続されており、燃料供給ラインL61の他端部は、改質器7に接続されている。燃料供給ラインL61は、燃料供給部(図示せず)からの燃料G3を改質器7へ流通させる。
【0028】
空気供給ラインL62の一端部は、空気A1を燃料電池2に供給するための空気供給部としてのブロワ(図示せず)及びフィルタ(図示せず)に接続されている。空気供給ラインL62の他端部は、燃料電池2に接続されている。空気供給ラインL62は、ブロワ及びフィルタを通過した空気A1を、燃料電池2に流通させる。
【0029】
改質ガス供給ラインL63の一端部は、改質器7に接続されており、改質ガス供給ラインL63の他端部は、燃料電池2に接続される。改質ガス供給ラインL63は、改質器7において生成された水素を含む改質ガスG4を、燃料電池2に向けて流通させる。
【0030】
燃料電池2は、高温型の燃料電池であるSOFC(固体酸化物形燃料電池)である。燃料電池2においては、改質器7から供給される水素を含む改質ガスG4と、空気供給ラインL62から供給される空気A1中の酸素とが反応することにより、発電が行われる。燃料電池2において発電を行うときの温度である運転温度は、700℃〜1000℃と高温である。燃料電池2によって発電された電気は、パワーコンディショナ(図示せず)に送られ、AC電圧に変換される。
【0031】
燃焼器21は、バーナーや炉等により構成される。燃焼器21では、燃焼前オフガスラインL111を通して供給されたオフガスG1が燃焼されて、即ち、アノードオフガス及びカソードオフガスが燃焼されて、高温の燃焼ガスG2が生成される。
【0032】
熱交換器3は、燃料電池2から排出されたオフガスG1から生成された燃焼ガスG2と、熱交換水ラインL2を流通する温水W1等との間で熱交換する。即ち、熱交換器3は、燃焼器21から供給される高温の燃焼ガスG2の熱を、低温側ラインL22を流通した貯湯タンク4からの温水W1に伝達させる。これにより、燃焼ガスG2中には、水(ドレン水)が混在した状態となる。セパレータ51は、熱交換器3における熱交換により生成され燃焼ガスG2中に混在している水を、セパレータ51により燃焼ガスG2から分離し、改質水W3として改質水タンク5へ流通させる。
【0033】
貯湯タンク4は、熱交換器3に熱交換水ラインL2を介して接続されている。貯湯タンク4は、熱交換水ラインL2を構成する高温側ラインL21を流通する、熱交換器3により熱交換された温水W1を貯留する。貯湯タンク4に貯留された温水W1は、ポンプ43により低温側ラインL22を通して熱交換器3に向けて送り出される。
【0034】
貯湯タンク4内には、温度検出部としての温度検出センサ41が配置される。温度検出センサ41は、貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度が基準温度である所定の温度閾値T1を上回るか否かを、検出する。温度検出センサ41は、制御部8と電気的に接続されている。温度検出センサ41で検出された、貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度は、制御部8へ検出信号として送信される。
【0035】
改質水タンク5は、凝縮水供給ラインL51を介して流通した凝縮水を改質水W3として貯留する。改質水タンク5は、高水位検出部としての第1水位検出センサ501と、低水位検出部としての第2水位検出センサ502と、を備えている。
【0036】
第1水位検出センサ501は、改質水タンク5内の上部に配置されている。第2水位検出センサ502は、改質水タンク5内の下部に配置されている。第1水位検出センサ501は、改質水タンク5に貯留された改質水W3の水位が、第1水位検出センサ501の配置されている位置を下回っていた状態から上回ったことを検出する。第2水位検出センサ502は、改質水タンク5に貯留された改質水W3の水位が、第2水位検出センサ502の配置されている位置を上回っていた状態から下回ったことを検出する。第1水位検出センサ501及び第2水位検出センサ502は、制御部8と電気的に接続されている。第1水位検出センサ501及び第2水位検出センサ502により検出された改質水タンク5内の改質水W3の水位の検出の有無は、制御部8へ検出信号として送信される。
【0037】
第1不純物除去部52、第2不純物除去部53は、混床イオン交換樹脂(ポリッシャ)を有している。第1不純物除去部52は、改質水供給ラインL52を流通する改質水W3から不純物を除去して、改質水W3を浄化(純水化)する。第2不純物除去部53は、改質水浄化上流ラインL53から改質水浄化下流ラインL54へ流通する改質水W3から不純物を除去して、改質水W3を浄化(純水化)する。
【0038】
改質器7は、触媒を有している。改質水供給ラインL52を通して供給される改質水W3と、燃料供給ラインL61を通して供給される燃料G3とは、改質器7の触媒上で反応する。この反応により、改質器7において、改質ガスG4が生成される。生成された改質ガスG4は、改質ガス供給ラインL63を通して燃料電池2に供給される。
【0039】
制御部8は、CPU(図示せず)と記憶媒体(図示せず)とを主として有している。記憶媒体には、前述のように、制御部8に電気的に接続された各部に対して、各種の制御を行うためにCPUを動作させるためのプログラムがそれぞれ記憶されている。また、制御部8は、ポンプ43、44、45、55、56、57に電気的に接続されており、ポンプ43、44、45、55、56、57に対して駆動及び駆動停止の制御を行う。
【0040】
次に、上記構成の燃料電池システム1の制御部8による制御について、図2を参照して説明する。図2は、本発明の第1実施形態における燃料電池システム1の制御部8の制御を示すフローチャートである。
燃料電池2において発電が行われているときには、熱交換器3において熱交換が行われることにより、水は、生成され、燃焼ガスG2中に混在している。この水は、セパレータ51により燃焼ガスG2から分離され、改質水W3として改質水タンク5へ流通し、改質水タンク5に貯留される。
【0041】
このとき、熱交換器3において熱交換が行われることにより、貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度は上昇する。制御部8の処理は、ステップS11に進む。ステップS11において、温度検出センサ41は、貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度を検出する。貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度が所定の温度閾値T1を上回った状態が所定の設定時間以上継続したことを、温度検出センサ41が検出しない場合(NO)には、制御部8の処理は、ステップS12に進む。貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度が所定の温度閾値T1を上回った状態が所定の設定時間以上継続したことを、温度検出センサ41が検出した場合(YES)には、制御部8の処理は、ステップS13に進む。
【0042】
ステップS12において、第2水位検出センサ502は、改質水タンク5に貯留された改質水W3の水位を検出する。改質水タンク5に貯留された改質水W3の水位が、第2水位検出センサ502の配置されている位置P2を上回っていた状態から下回ったことを第2水位検出センサ502が検出しない場合(NO)には、制御部8の処理は、再びステップS11へ戻る。改質水タンク5に貯留された改質水W3の水位が、第2水位検出センサ502の配置されている位置P2を上回っていた状態から下回ったことを第2水位検出センサ502が検出した場合(YES)には、制御部8の処理は、ステップS13に進む。
【0043】
ステップS13において、制御部8は、ポンプ56に対して、ポンプ56が駆動して改質水タンク5に供給水W4の供給源(図示せず)から供給水W4が供給されるように、制御を行う。
また、制御部8は、ポンプ44に対して、ポンプ44が駆動して貯湯タンク4内の温水W1が外部へ排出されるように、制御を行うと共に、ポンプ45に対して、ポンプ45が駆動して貯湯タンク4に供給水W2の供給源(図示せず)から供給水W2が供給されるように、制御を行う。そして制御部8の処理は、ステップS14へ進む。
【0044】
ステップS14において、温度検出センサ41は、貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度を検出する。貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度が所定の温度閾値T1を下回った状態が所定の設定時間以上継続したことを温度検出センサ41が検出しない場合(NO)には、制御部8の処理は、ステップS15へ進む。貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度が所定の温度閾値T1を下回った状態が所定の設定時間以上継続したことを温度検出センサ41が検出した場合(YES)には、制御部8の処理は、ステップS16へ進む。
【0045】
ステップS15において、第1水位検出センサ501は、改質水タンク5に貯留された改質水W3の水位を検出する。改質水タンク5に貯留された改質水W3の水位が、第1水位検出センサ501の配置されている位置P1を下回っていた状態から上回ったことを第1水位検出センサ501が検出しない場合(NO)には、制御部8の処理は、再びステップS14へ戻る。改質水タンク5に貯留された改質水W3の水位が、第1水位検出センサ501の配置されている位置P1を下回っていた状態から上回ったことを第1水位検出センサ501が検出した場合(YES)には、制御部8の処理は、ステップS16へ進む。
【0046】
ステップS16において、制御部8は、ポンプ44、45、56に対して、ポンプ44、45、56の駆動を停止させる制御を行う。これにより、貯湯タンク4内の温水W1の外部への排出、及び、貯湯タンク4への供給水W2の供給が停止される。また、改質水タンク5への供給水W4の供給が停止される。
【0047】
本実施形態の燃料電池システム1によれば、以下の効果を得ることができる。
燃料電池システム1は、燃料電池2と、触媒上で燃料G3と水としての改質水W3とを反応させて、燃料電池2に供給される改質ガスG4を生成する改質器7と、改質器7で生成された改質ガスG4が燃料電池2に向けて流通する改質ガス供給ラインL63と、燃料電池2から排出されたオフガスG1と熱交換水ラインL2を流通する温水W1との間で熱交換する熱交換器3と、オフガスG1が熱交換器3において熱交換されて得られた凝縮水が流通する凝縮水供給ラインL51と、凝縮水供給ラインL51を介して供給される凝縮水を改質水W3として貯留する水貯留部としての改質水タンク5と、水貯留部に貯留された改質水W3が改質器7に向けて流通する改質水供給ラインL52と、凝縮水供給ラインL51を介さずに水貯留部に水を改質水W3として補給する第1補給水補給手段としてのポンプ56及び改質水タンク給水ラインL55と、熱交換器3に熱交換水ラインL2を介して接続される貯湯タンク4であって、貯湯タンク4又は熱交換水ラインL2内の温水W1の温度を検出する温度検出部としての温度検出センサ41と、熱交換水ラインL2を流通し熱交換器3において熱交換された温水W1を貯留する貯湯タンク4と、温度検出センサ41で検出された温水W1の温度が基準温度である所定の温度閾値T1以上であるときに、水を改質水タンク5に補給するように第1補給水補給手段としてのポンプ56を制御する制御部8と、を備える。
【0048】
このため、燃料電池2において発電が行われ、熱交換器3において熱交換が行われることにより、貯湯タンク4内の温水W1の温度が上昇し、得られる凝縮水(改質水W3)の量が減少した場合であっても、改質水タンク5内の改質水W3がなくなることを、簡易な構成により防ぐことができる。この結果、改質水W3を改質器7に供給できず、改質器7において十分な改質ガスG4を生成することができなくなることを、簡易な構成により防ぐことができる。
【0049】
また、制御部8は、温度検出部としての温度検出センサ41で検出された温水W1の温度が基準温度としての所定の温度閾値T1以上である状態が設定時間以上継続するときに、水を水貯留部に補給するように第1補給水補給手段としてのポンプ56を制御する。
【0050】
このため、貯湯タンク4内の温水W1の温度が所定の温度閾値T1の付近で僅かに上下した場合であっても、制御部8がポンプ44、45、56に対して、ポンプ44、45、56の駆動及び駆動停止を、短時間に頻繁に繰り返すことを抑えることができる。
【0051】
また、水貯留部は、水貯留部の内部の上部に配置された高水位検出部としての第1水位検出センサ501と、水貯留部の内部の下部に配置された低水位検出部としての第2水位検出センサ502とを備える。制御部8は、第2水位検出センサ502が水貯留部内の水位を検知したときに、供給水W4を水貯留部に補給するように第1補給水補給手段としてのポンプ56を制御し、第1水位検出センサ501が水貯留部内の水位を検知したときに、水貯留部への供給水W4の補給を停止するように第1補給水補給手段としてのポンプ56を制御する。
【0052】
このため、貯湯タンク4内の温水W1の温度が所定の温度閾値T1を上回らないときに、改質水タンク5内の改質水W3の量が極端に少なくなった場合であっても、改質水タンク5内の改質水W3の量を、改質器7に供給して改質器7において十分な改質ガスG4を生成することができる程度の量に維持することができる。
【0053】
また、燃料電池システム1は、水を貯湯タンク4に補給する第2補給水補給手段としてのポンプ45及び貯湯タンク給水ラインL4と、貯湯タンク4内の温水W1を外部へ排出する温水排出手段としてのポンプ44及び温水使用ラインL3と、を更に備える。制御部8は、水としての供給水W2を貯湯タンク4に補給すると共に貯湯タンク4内の温水W1を外部へ排出するように、第2補給水補給手段及び温水排出手段を制御する。
【0054】
このため、燃料電池2において発電が行われ、熱交換器3において熱交換が行われることにより、貯湯タンク4内の温水W1の温度が上昇した場合に、高温の温水W1を低温の供給水W2に、制御部8の制御により速やかに交換することができ、貯湯タンク4内の温水W1の温度を短時間で低くすることができる。
【0055】
次に、本発明の第2実施形態による燃料電池システム1Aについて説明する。図3は、本発明の第2実施形態における燃料電池システム1Aを示す概略図である。
第2実施形態では、温度検出部としての温度検出センサ41Aの配置されている位置が、第1実施形態における温度検出センサ41の配置されている位置とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態と同一であるため、同一の部材については、同一の符号で図示し、説明を省略する。
【0056】
温度検出部としての温度検出センサ41Aは、図3に示すように、熱交換水ラインL2内に配置されている。温度検出センサ41Aは、熱交換水ラインL2内を流通する温水W1(水W1)の温度を検出可能である。温度検出センサ41Aによって、熱交換水ラインL2内を流通する温水W1の温度を検出することにより、制御部8は、第1実施形態と同様の制御を行う。
【0057】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
例えば、本実施形態では、ステップS11では、温度検出センサ41が貯湯タンク4に貯留された温水W1の温度が所定の温度閾値T1を上回った状態が所定の設定時間以上継続したか否かの判断をしたが、これに限定されない。例えば、温度検出部としての温度検出センサ41で検出された温水W1の温度が基準温度としての所定の温度閾値T1以上であるか否かの判断をすればよい。
【符号の説明】
【0058】
1、1A 燃料電池システム
2 燃料電池
3 熱交換器
4 貯湯タンク
5 改質水タンク(水貯留部)
7 改質器
8 制御部
41、41A 温度検出センサ(温度検出部)
44 ポンプ(温水排出手段)
45 ポンプ(第2補給水補給手段)
56 ポンプ(第1補給水補給手段)
501 第1水位検出センサ(高水位検出部)
502 第2水位検出センサ(低水位検出部)
L2 熱交換水ライン
L3 温水使用ライン(温水排出手段)
L4 貯湯タンク給水ライン(第2補給水補給手段)
L51 凝縮水供給ライン
L52 改質水供給ライン
L55 改質水タンク給水ライン(第1補給水補給手段)
L63 改質ガス供給ライン
G4 改質ガス
W1 温水(水)
W2、W4 供給水
W3 改質水(凝縮水)
図1
図2
図3