特許第6269314号(P6269314)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6269314
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/058 20100101AFI20180122BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20180122BHJP
【FI】
   H01M10/058
   H01M10/0562
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-103032(P2014-103032)
(22)【出願日】2014年5月19日
(65)【公開番号】特開2015-220104(P2015-220104A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高井 充
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】岡野 靖久
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−535802(JP,A)
【文献】 特開2010−003654(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/099508(WO,A1)
【文献】 特開2011−198692(JP,A)
【文献】 特開2008−251219(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058
H01M 10/0562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極活物質と負極活物質の間に固体電解質を有する二次電池において、
前記正極活物質と前記負極活物質が積み重なる方向と直交する方向を長手方向としたときに、
前記正極活物質、前記負極活物質及び前記固体電解質の長手方向の両端部に正極集電体及び負極集電体を備えており、
前記正極活物質、前記負極活物質及び前記固体電解質が長手方向に帯状形状、かつ、螺旋形状となるように巻回されていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記正極活物質、前記負極活物質及び前記固体電解質を一対として、それらが前記積み重なる方向に2対以上積層されていることを特徴とする請求項1記載の二次電池。
【請求項3】
前記二次電池が、少なくとも二つ以上電気的に直列、並列もしくは直並列に接続されていることを特徴とする請求項2記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、ニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池等と比較して、軽量かつ高容量であるため、電子機器用電源として広く利用されている。しかしながら、有機電解液を用いるため液漏れや液の枯渇についての不安は拭い切れない。
【0003】
電解質を固体電解質から構成する二次電池は、液漏れ、液の枯渇の心配がなく、信頼性が高いことから注目されている。その反面、有機電解液を用いた二次電池と比較して、電気化学抵抗が大きくなり、出力電流が小さなものとなる傾向にある。
【0004】
電解質を固体電解質から構成する二次電池において、電気化学抵抗を小さくして出力電流を大きくするために、構成材料である活物質と固体電解質を高温で焼結することで結晶化させて、活物質と固体電解質の接触面積を増やすことが一般的に行われている。
【0005】
しかしながら、その焼結プロセスにおいては、セラミックスである固体電解質の中心部と外縁部で焼結温度は異なってしまうため、均一な品質の二次電池を得ることは困難だった。
【0006】
上記課題を解決するために、構成材料である正極活物質、負極活物質、固体電解質の組み合わせを帯状にして巻回体とする二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許文献1 特開2001−167798号公報
特許文献2 特開2005−222887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1では、二次電池形状を巻回体とすることで、二次電池が外部からの圧迫された場合の破損を低減できることが示されているが、単に巻回体とすることでは焼結プロセスにおける焼結温度の不均一は解決されていない。
【0009】
また特許文献2では、巻回体とすることで電池容量を増大することが示されているが、上記同様に単に巻回体とすることで焼結プロセスにおける焼結温度の不均一は解決されていない。
【0010】
本発明は上記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、均一かつ優れた電池特性を有する二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の二次電池は、正極活物質と負極活物質の間に固体電解質を有する二次電池において、前記正極活物質と前記負極活物質が積み重なる方向と直交する方向を長手方向としたときに、前記正極活物質、前記負極活物質及び前記固体電解質の長手方向の両端部に正極集電体及び負極集電体を備えており、前記正極活物質、前記負極活物質及び前記固体電解質が長手方向に帯状形状、かつ、螺旋形状となるように巻回されていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、二次電池内部と外縁部の焼結温度差を小さくすることが出来るため、均一で良質な二次電池を得ることができる
【0013】
本発明の二次電池は、前記正極活物質、前記負極活物質及び前記固体電解質を一対として、それらが前記積み重なる方向に2対以上積層されていることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、均一で良質な二次電池を得ることができると共に、積層することで電池容量を増量することが出来る。
【0015】
本発明の二次電池は、前記二次電池が、少なくとも二つ以上電気的に直列、並列もしくは直並列に接続されていることが好ましい。
【0016】
本発明によれば、均一で良質な二次電池を得ることができると共に、直並列接続することで任意の電圧及び容量設定が可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、均一かつ優れた電池特性を有する二次電池を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、二次電池の構成図である。
図2図2は、螺旋型二次電池である。
図3図3は、積層型二次電池の構成図である。
図4図4は、螺旋型二次電池を電気的に直列接続した二次電池の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
【0020】
二次電池100の代表的構成図を図1に示す。二次電池100は、正極活物質101、負極活物質102、固体電解質103、正極集電体104及び負極集電体105よって構成される。正極と負極の間をイオンが移動して吸蔵、脱離反応が行われることで充電や放電が可能となる。
【0021】
螺旋型二次電池200の代表的構成図を図2に示す。螺旋型二次電池200は、正極活物質101と負極活物質102の間に固体電解質103を有する二次電池において、正極活物質101と負極活物質102が積み重なる方向と直交する方向を長手方向106としたときに、正極活物質101、負極活物質102及び固体電解質103の長手方向106の両端部に正極集電体104及び負極集電体105を備えており、正極活物質101、負極活物質102及び固体電解質103が長手方向106に帯状形状、かつ、螺旋形状となるように巻回されていることを特徴とする。
【0022】
螺旋型二次電池200は、良好な電池特性を得るために均一な焼結環境が必要である。螺旋型二次電池200は、長手方向106に帯状形状、かつ、螺旋形状であり、さらに中央部が中空で有ることから、螺旋型二次電池200の比表面積を著しく増大させることが出来る。その結果、焼結雰囲気温度を電池内部、外縁部を問わず等しくすることが可能となる。
螺旋形状は円状、四角、その他の多角形など特に限定されない。また螺旋の直径が変化する円錐形、紡錘形であっても良い。直径の異なる螺旋型二次電池200を複数組み合わせる構造であっても良い。
【0023】
螺旋型二次電池200において、正極活物質101、負極活物質102及び固体電解質103を一対として、それらが積み重なる方向107に2対以上積層されている構成である積層型二次電池300の構造図を図3に示す。
本発明によれば、均一で良質な二次電池を得ることができると共に、積層することで電池容量を増量することが出来る。
【0024】
螺旋型二次電池200を電気的に直列接続した二次電池400の構成図を図4に示す。螺旋型二次電池200を電気的に直列接続した二次電池400は、螺旋型二次電池200を少なくとも二つ以上電気的に直列に接続することで構成される。
直列の接続配線401は、導電性を有する材料で正極集電体104と負極集電体105を電気的に接続できれば良く、特に限定されない。
図4に示した例は電気的に直列接続した場合の例であるが、螺旋型二次電池200が少なくとも二つ以上電気的に並列、もしくは直並列に接続されても良い。
【0025】
固体電解質103は正極と負極の間でリチウムイオンを輸送する機能を担う。電子は伝導しないが、リチウムイオンは伝導する材料であることが好ましい。
本発明において、固体電解質103は、Li3+x1ix11−x1(0.4≦x1≦0.6)、Li1+x2Alx2Ti2−x2(PO(0≦x2≦0.5)、リン酸ゲルマニウムリチウム(LiGe(PO)、LiO−V−SiO、LiO−P−Bよりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0026】
また、正極集電体104及び負極集電体105の構成材料としては、電子伝導性を有するものであれば特に制限されない。例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、タンタル、鉄、チタニウム等が用いられ、好ましくはニッケル、アルミニウム、タンタルが用いられる。
【0027】
正極活物質101及び負極活物質102は、二次電池100の正極及び負極に用いられ、リチウムイオンを吸蔵脱離可能な材料であることが好ましい。
本発明において、正極活物質101及び負極活物質102は、リチウムマンガン複合酸化物LiMnx3Ma1−x3(0.8≦x3≦1、Ma=Co、Ni)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNix4Coy4Mnz4(x4+y4+z4=1、0≦x4≦1、0≦y4≦1、0≦z4≦1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMbPO(ただし、Mbは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素又)、リン酸バナジウムリチウム(Li(PO又はLiVOPO)、Li過剰系固溶体正極LiMnO−LiMcO(Mc=Mn、Co、Ni)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNix5Coy5Alz5(0.9<a<1.3、0.9<x5+y5+z5<1.1)で表される複合金属酸化物のいずれかであることが好ましい。
【0028】
二次電池100の製造方法としては、特に限定は無いが、正極活物質材料、負極活物質材料、固体電解質及び集電体をシート状に形成したのちに積層して未焼結の二次電池前駆体を作製する。次に、未焼結の前駆体が帯状形状を呈するように成型したのち、棒状心材に螺旋状に巻いて螺旋型二次電池200を作製する。
螺旋型二次電池200は、図2に示したように隣接する二次電池どうしが接触しないように形成することが好ましいが、正極及び負極活物質が短絡しない範囲であれば二次電池の間隔が近接していても問題はない。
【0029】
螺旋型二次電池200の焼結は、酸素存在下で500℃以上の温度で行うことが好ましく、600〜800℃の温度で行うことがより好ましい。また、焼結を行う前に、焼結よりも低温で乾燥を行うことも好ましい。乾燥は、前駆体に含有される溶剤の種類や量にもよるが、80〜250℃で行うことが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
活物質として、以下の方法で作製したLiMnOを用いた。LiCOとMnCOとを出発材料とし、これらをモル比2:1となるように秤量し、水を溶媒としてボールミルで16時間湿式混合を行った後、脱水乾燥した。得られた粉体を800℃で2時間、空気中で仮焼した。仮焼品を粗粉砕し、水を溶媒としてボールミルで16時間湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して活物質粉末を得た。活物質粉末をバインダーと混練、塗布して、正極活物質前駆体及び負極活物質前駆体を作製した。
【0032】
固体電解質として、以下の方法で作製したLi3.5Si0.50.5を用いた。LiCOとSiOとLiPOを出発材料として、これらをモル比2:1:1となるように秤量し、水を溶媒としてボールミルで16時間湿式混合を行った後、脱水乾燥した。得られた粉体を950℃で2時間、空気中で仮焼した。仮焼品を粗粉砕し、水を溶媒としてボールミルで16時間湿式粉砕を行った後、脱水乾燥して固体電解質の粉末を得た。固体電解質粉末をバインダーと混練、塗布して、固体電解質前駆体を作製した。
【0033】
この正極活物質前駆体、負極活物質前駆体の間に固体電解質前駆体を有する構成を層の1単位として100層積層して、未焼結の二次電池前駆体シートを作製した。前駆体シートの正極活物質端面、及び負極活物質端面にNiペーストを塗布し、正極集電体及び負極集電体を形成した。
【0034】
<実施例1>
二次電池前駆体シートを長手方向に延伸したのち、幅5mmの帯状に裁断した。裁断した帯状二次電池前駆体シートを棒状心材に巻きつけて、焼結前の帯状形状、かつ、螺旋形状の螺旋型二次電池を作製した。次に、100℃で24時間乾燥させたのちに棒状心材を除き、酸素雰囲気中において600℃で1時間焼結することで、螺旋型二次電池を得た。
【0035】
<比較例1>
二次電池前駆体シートを裁断したのちに、棒状心材に巻きつけて、焼結前の巻回型二次電池を作製した。次に、100℃で24時間乾燥させたのちに棒状心材を除き、酸素雰囲気中において600℃で1時間焼結することで、巻回型二次電池を得た。この時、巻回型二次電池の体積が実施例1の体積と同等になるように、二次電池前駆体シートの裁断面積を調整した。
【0036】
<サイクル特性の評価>
実施例1、及び比較例1で得られた二次電池について、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合を示す容量保持率(%)を測定した。充電方法は2C−CCCV充電(定電流定電圧充電)、2C−CC放電(定電流放電)を用いた。この充放電を1サイクルとして500サイクル繰り返して容量保持率(%)として求めた。測定は、実施例1、比較例1をそれぞれ100個について実施した。
容量保持率(%)の良否判定は、500サイクルの充放電後に初期放電容量の80%以上を保持出来たものを良品と判定した。比較例1では、500サイクルの充放電後に良品が25個得られて、良品比率は25%であった。それに対して、実施例1では500サイクルの充放電後の良品が98個得られて、良品比率は98%であった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明によれば、均一かつ優れた電池特性を有する二次電池を提供することが可能になる。
【符号の説明】
【0038】
100 二次電池
101 正極活物質
102 負極活物質
103 固体電解質
104 正極集電体
105 負極集電体
106 長手方向
107 積み重なる方向
200 螺旋型二次電池
300 積層型二次電池
400 螺旋型二次電池を電気的に直列接続した二次電池の構成図
401 接続配線
図1
図2
図3
図4