(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記補助ユニットは、当該補助ユニットを前記天井搬送車に装着した装着状態において平面視で前記天井搬送車の走行方向に直交する横幅方向での重心位置に、前記被支持部における吊下げ支点が位置するように構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の物品搬送設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、故障した天井搬送車に対して補助ユニットを取り付けるための具体的構成については何ら開示されていない。天井搬送車は、天井から吊り下げられて床面から離れた高所に存在する走行レール上を走行するため、故障した天井搬送車も高所に位置している場合が殆どである。高所に停止している天井搬送車に対して補助ユニットを取り付ける場合、例えば、脚立等を用いて作業者が天井搬送車の高さ付近まで登った状態で取付け作業を行うことになる。このため、補助ユニットの取り付け作業は、作業を行い難い環境で行うことになるため、天井搬送車に対する補助ユニットの取り付け作業は、極力簡易な作業であることが望ましい。
また、天井搬送車に対して補助ユニットを取り付けた状態で天井搬送車を走行させるので、天井搬送車に取付けられた補助ユニットは天井搬送車に対して安定して取り付けられていることが望まれる。
そこで、極力簡易に天井搬送車に取り付けられ、かつ、取り付け後の姿勢が安定する補助ユニットを備えた物品搬送設備が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る物品搬送設備は、天井側に設けられた走行レールに沿って走行する天井搬送車が複数設けられたものであって、
前記天井搬送車は、搬送対象の物品を保持する保持部と、前記保持部を昇降自在に支持する本体部と、前記天井搬送車を走行駆動する電力駆動式の走行駆動部と、前記保持部を昇降駆動する電力駆動式の昇降駆動部と、制御信号を出力して前記走行駆動部及び前記昇降駆動部の作動を制御する制御部と、を備え、前記走行駆動部及び前記昇降駆動部を駆動するための電力と前記制御信号との一方又は両方を前記天井搬送車に供給する補助ユニットが前記天井搬送車に着脱自在に設けられ、前記補助ユニットは、前記天井搬送車に設けられた支持部に吊下げ状態で支持される被支持部と、前記天井搬送車に対して平面視で異なる複数の当接箇所で当接する当接部を備え、前記当接箇所が、前記支持部よりも上下方向で下方に設けられている点を特徴とする。
【0006】
すなわち、天井搬送車に補助ユニットを取り付ける場合、作業者は、例えば、自力で天井搬送車の下方から補助ユニットを持ち上げるようにして補助ユニットを天井搬送車に取付けることになるが、本発明によれば、天井搬送車に設けられた支持部に補助ユニットが備える被支持部を引掛けるだけのごく簡単な動作により、補助ユニットを天井搬送車に吊下げ状態で支持させることができる。そして、補助ユニットを天井搬送車に吊下げ状態で支持させた後は、作業者は補助ユニットの荷重を支持せずに済むため、作業者はその後の必要な取り付け作業を行い易い。
また、補助ユニットは、天井搬送車に対して平面視で異なる複数の当接箇所で当接する当接部を備えているので、補助ユニットの天井搬送車に対する姿勢(特に水平方向での補助ユニットの天井搬送車に対する相対位置)を安定させることができる。
また、当接部が当接する当接箇所は、支持部よりも上下方向で下方であるから、補助ユニットが支持部を揺動支点として揺動する事態を抑制することができ、補助ユニットを天井搬送車に取り付けた後の補助ユニットの姿勢を安定させることができる。
このように、本特徴構成によれば、極力簡易に天井搬送車に取り付けられ、かつ、取り付け後の姿勢が安定する補助ユニットを備えた物品搬送設備を提供できる。
【0007】
本発明に係る物品搬送設備においては、前記支持部と前記当接箇所の双方が前記本体部に設けられていることが好ましい。
【0008】
すなわち、補助ユニットは本体部に支持されるとともに、本体部にと設けられた当接箇所に当接しているため、天井搬送車が走行に伴って振動したとしても補助ユニットの姿勢をより安定させることができる。
【0009】
本発明に係る物品搬送設備においては、前記当接部は、前記補助ユニットを前記天井搬送車に装着した装着状態において、平面視で前記天井搬送車の走行方向に直交する横幅方向の両側に設けられ、前記一対の当接部の夫々は、上下軸心を中心に揺動して当該当接部を前記当接箇所に当接させる保持用姿勢と、当該当接部を前記当接箇所から離間させる保持解除用姿勢とに切換え自在に構成されていることが好ましい。
【0010】
すなわち、一対の当接部の夫々を保持解除用姿勢に切換えることによって、一対の当接部が邪魔になることなく、天井搬送車の支持部に補助ユニットの被支持部を引掛ける作業を行うことができる。
また、天井搬送車の支持部に補助ユニットの被支持部を引掛けて吊り下げ支持させた状態において一対の当接部の夫々を保持用姿勢に切換えることによって、一対の当接部の夫々が天井搬送車の横幅方向両側に設けられる当接箇所に当接するから、一対の当接部が本体部を横幅方向両側から挟み込むようにして、補助ユニットの位置が保持される。
そのため、天井搬送車の走行に伴って当該天井搬送車が振動しても、補助ユニットが天井搬送車に対して横幅方向に相対移動する事態を防止できる。
【0011】
本発明に係る物品搬送設備においては、前記一対の当接部の夫々が、前記保持用姿勢である状態において前記当接箇所を押圧するように構成され、前記一対の当接部の夫々に、前記当接箇所を押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構が備えられていることが好ましい。
【0012】
一対の当接部の夫々が、保持用姿勢において当接箇所を押圧するから、天井搬送車に対して補助ユニットをしっかり保持させることができる。
また、一対の当接部の夫々が当接箇所を押圧する場合、その押圧力が強すぎると、当接部や天井搬送車の当接箇所等が損傷する可能性がある。このため、当接部や天井搬送車の当接箇所の材質等を考慮して、当接部が当接箇所を押圧する押圧力を適切な力とすることが好ましい。本特徴構成によれば、押圧力調整機構によって、一対の当接部の夫々が当接箇所を押圧する押圧力を調整することができるから、当接部が当接箇所を押圧する押圧力を適切な力として、当接部や天井搬送車の当接箇所が損傷する事態を抑制することができる。
すなわち、本特徴構成によれば、天井搬送車に対して補助ユニットをしっかり保持させることができ、しかも、当接部が当接箇所を押圧する押圧力を適切な力として、当接部や天井搬送車の当接箇所が損傷する事態を抑制することができる。
【0013】
本発明に係る物品搬送設備においては、前記補助ユニットは、当該補助ユニットを前記天井搬送車に装着した装着状態において平面視で前記天井搬送車の走行方向に直交する横幅方向での重心位置に、前記被支持部における吊下げ支点が位置するように構成されていることが好ましい。
【0014】
すなわち、補助ユニットを装着状態としたときに、補助ユニットの吊下げ支点が当該補助ユニットの横幅方向での重心位置となるから、横幅方向で安定した姿勢で、補助ユニットを天井搬送車に装着することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の物品搬送設備を天井搬送設備に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び2に示すように、天井搬送設備は、天井Tから吊下支持体TSで吊り下げられた状態で天井T側に設けられた走行レールR1と、当該走行レールR1に沿って走行する天井搬送車Vとが設けられている。また、図示は省略するが、天井搬送設備には複数の天井搬送車Vが設けられている。
天井搬送車Vは、走行レールR1上を走行自在な走行輪W1を備える走行部V1と、走行部V1から吊り下げ支持される本体部V2とを備えている。走行部V1には、走行輪W1を回転させて天井搬送車Vを走行駆動する電力駆動式の走行モータM1と、案内ローラW2を駆動する案内ローラソレノイドM2とが設けられている。また、本体部V2は、搬送対象の物品F(本実施形態では、半導体基板を積層状態で収容するFOUP)を保持する保持部VSを昇降自在に支持するように構成されている。そして、天井搬送車Vは、保持部VSにて搬送対象の物品Fを保持したまま走行可能に構成されている。なお、保持部VSには、物品Fの上端に備えられているフランジを把持するための把持部が備えられているが、この保持部については公知の構成を採用しているので説明を省略する。
【0017】
なお、走行モータM1の回転出力を走行輪W1に伝達する伝達軸を備えた伝達機構に、ネガティブブレーキN(
図5参照)が備えられている。ネガティブブレーキNは、電力が供給されていない状態において、走行モータM1に内蔵する付勢体の付勢力により伝達軸の回転を制動する制動状態となっており、電力が供給されることにより制動状態が解除されるようになっている。
【0018】
案内ローラW2は、走行部V1の走行方向視(
図2の奥行き方向視)で左右方向に移動自在に構成されている。また、案内ローラW2の位置を左右方向における左側位置と右側位置とに切換え且つその位置に保持する電力駆動式の案内ローラソレノイドM2が設けられている。案内ローラW2は、上記左側位置に位置するときに走行部V1の走行方向視で案内レールR2の左側面に当接し、上記右側位置に位置するときに走行部V1の走行方向視で案内レールR2の右側面に当接するように構成されている。図示は省略するが、上記、案内ローラW2を案内レールR2の右側面に当接させるか左側面に当接させるかにより、走行レールの分岐部分にて、天井搬送車Vを右方側の分岐ルートを走行するように進行させるか、左方側の分岐ルートを走行するように進行させるかを切換えることができる。
【0019】
また、本体部V2には、保持部VSを降駆動する電力駆動式の昇降駆動部M3と、制御信号を出力して走行モータM1、案内ローラソレノイドM2、昇降駆動部M3、及びネガティブブレーキNの作動を制御する制御部H(
図5参照)とが設けられている。なお、制御部Hの制御対象は上記4つの駆動部に限定されるものではなく、天井搬送車Vの作動や運用に必要な各種の装置を制御するように構成してもよい。
【0020】
すなわち、物品搬送設備は、天井T側に設けられた走行レールR1に沿って走行する天井搬送車Vを備え、天井搬送車Vは、搬送対象の物品Fを保持する保持部VSと、保持部VSを昇降自在に支持する本体部V2と、天井搬送車Vを走行駆動する電力駆動式の走行モータM1と、保持部VSを昇降駆動する電力駆動式の昇降駆動部M3と、制御信号を出力して走行モータM1及び昇降駆動部M3の作動を制御する制御部Hとを備えている。
【0021】
図1に示すように、本体部V2は、走行方向の前後にカバー部50Cを備えている。カバー部50Cは、側面視(走行部11の走行方向と直交し且つ水平方向に沿う方向視)で下方に開口したC字状に形成されている。
【0022】
また、カバー部50Cの上端でかつ天井搬送車Vの走行方向の一端側には、
図1〜4に示すように、後述する補助ユニットUの被支持部20を吊り下げ支持する支持部60が取り付けられている。支持部60は、
図1及び2に示すように、カバー部50Cの走行方向の一端側の側面に沿う第1部分61と、第1部分61から天井搬送車Vの走行方向でカバー部50Cの非存在側に延出する第2部分62と、第2部分62におけるカバー部50Cとは逆側の端部と第1部分61におけるカバー部50Cの左右方向に離間した位置とを接続する第3部分63とを備えている。
【0023】
次に、
図5を参照して、天井搬送車Vの制御構成を説明する。
本実施形態の天井搬送設備において、天井搬送車Vには、走行レールR1に沿って設けられた給電レールRE(
図2参照)から非接触方式で電力が供給されるようになっている。天井搬送車Vには、給電レールREから電力を集電する集電部E1と、集電部E1にて集電した電力を当該天井走行車の各部の駆動用電力とすべく整流及び所定の電圧への昇降圧を行う電源基板E2とが設けられている。また、天井搬送車Vには、上述した走行モータM1、案内ローラソレノイドM2、昇降駆動部M3、及びネガティブブレーキN等の他に、電波や光を用いて送信される搬送指令等の指令情報を受信する通信部Gが設けられている。加えて、天井搬送車Vには、通信部Gが受信した指令情報に基づいて当該天井搬送車Vの各部の作動を制御する制御部Hが設けられている。通信部Gと制御部Hとの間は、通信用制御線LJで接続されている。
【0024】
制御部Hには電源基板E2が内部電力供給線LE1を介して電気的に接続されており、電源基板E2によって動作用の電力が供給されている。また、制御部Hには、マイクロコンピュータや演算装置等で構成された制御基板や、走行モータM1、案内ローラソレノイドM2、昇降駆動部M3、及びネガティブブレーキN等への電力の供給状態を切換えるためのリレーを備えた電力制御基板等を備えている。
また、通信部Gは、天井搬送車Vの動作結果等の情報を上位の管理装置に送信するようになっている。
【0025】
制御部Hには、走行モータM1に対する駆動電力の供給状態の制御を行う走行モータ制御部H1、案内ローラソレノイドM2に対する駆動電力の供給状態の制御を行う案内ローラソレノイド制御部H2、昇降駆動部M3に対する駆動電力の供給状態の制御を行う昇降制御部H3、ネガティブブレーキNを解除するための電力の供給状態の制御を行うネガティブブレーキ制御部HNが備えられている。
また、走行モータ制御部H1と走行モータM1との間は、制御線L1で接続され、案内ローラソレノイド制御部H2と案内ローラソレノイドM2との間は制御線L2で接続され、昇降制御部H3と昇降駆動部M3との間は制御線L3で接続され、ネガティブブレーキ制御部HNとネガティブブレーキNとの間は制御線LNで接続されている。本実施形態においては、走行モータM1、案内ローラソレノイドM2、昇降駆動部M3、及び、ネガティブブレーキNを作動させる為の電力は、制御線L1、L2、L3、L4を介して制御部Hから供給される。
【0026】
走行部V1の走行方向の一方側に位置するコネクタ部CNのコネクタ端子Qに補助用内部電力供給線LE2の一端が接続されており、補助用内部電力供給線LE2の他端は、内部電力供給線LE1における電源基板E2と制御部Hとの間に設けられた切換リレーLRに接続されている。切換リレーLRは、制御部Hに対する電力の供給経路を、内部電力供給線LE1から制御部Hへの電力の供給を行う経路と、補助用経路を補助用内部電力供給線LE2から制御部Hへの電力の供給を行う経路とに切換えるために用いられる。具体的には、コネクタ部CNのコネクタ端子Qからの電力の供給が開始されると、自動的に補助用内部電力供給線LE2から制御部Hへの電力の供給経路を形成するとともに、内部電力供給線LE1から制御部Hへの電力の供給経路を切り離すようになっている。
【0027】
本実施形態において、天井搬送車Vの給電系統が故障した場合には、補助ユニットUを天井搬送車に装着する。以下、天井搬送設備の給電レールREに電力を供給する給電装置(図示省略)に故障が発生したり、天井搬送車Vの集電部E1や電源基板E2に故障が発生したりして、天井搬送車Vが走行経路途中で停止した場合に、当該停止した天井搬送車Vを他の箇所(所定の補修用待機箇所や目的の走行位置等)に走行移動させるための補助ユニットUの装着方法について説明する。
なお、補助ユニットUは、
図3及び4に示すように、後述するフック状の被支持部20が上方に突出する姿勢で天井搬送車Vに取付けられる。以降、被支持部20が上方に突出する姿勢を装着姿勢と略称する。
【0028】
補助ユニットUは、蓄電池と昇圧装置と整流装置とブレーカとを備えた補助給電装置(図示省略)を筐体10に一体に組み込んで構成されている。
図6に示すように、筐体10から外部に補助給電ケーブルKが引き出され、補助給電ケーブルKの筐体10外部側の端部には、上述のコネクタ部CNに着脱可能なプラグKPが設けられている。プラグKPを天井搬送車Vに設けられたコネクタ部CNに装着すると、補助ユニットU内の補助給電装置と天井搬送車Vの補助用内部電力供給線LE2が電気的に接続されるようになっている。これにより、上述した切換リレーLRが作動して補助用内部電力供給線LE2から制御部Hへの電力の供給経路が形成されるとともに、補助用内部電力供給線LE2から制御部Hに電力が供給される。制御部Hに電力が供給されることによって、制御部Hは、通信部Gを介して指令情報の受信又は作動結果情報の送信を行うことや、走行モータM1、案内ローラソレノイドM2、昇降駆動部M3、及び、ネガティブブレーキNを作動させることができるようになる。
【0029】
補助ユニットUの筐体10は、金属板の折り曲げ成形にて、
図6及び7に示すように箱状に形成されている。筐体10の上面板14は、放熱用のパンチング孔が複数設けられている。また、上面板14には、持ち運び用の上部持手10HUが取り付けられている。
筐体10の左右の側面板12の夫々には、装着姿勢における上下方向で同じ高さの位置に、側部持手10HSが取り付けられている。
【0030】
また、
図7及び10に示すように、左右の側面板12の夫々には、装着姿勢における上下方向で側部持手10HSが取り付けられている位置よりも下方に、一対の当接アーム30が設けられている。当接アーム30は、補助ユニットUを天井搬送車Vに装着した装着状態において、平面視で天井搬送車Vの走行方向に直交する横幅方向の両側に位置する。当接アーム30の夫々は、
図7〜9に示すように、筐体10との相対姿勢が固定された固定アーム部30Aと、上下軸心を中心に揺動する蝶番30Cで固定アーム部30Aに連結されて、筐体10に対して上下軸心を中心に揺動する揺動アーム部30Bとを備えている。
【0031】
図8及び9に示すように、固定アーム部30Aは、上下方向視において側面板12に沿う第1部分31と、第1部分31に連続して、第1部分31から遠ざかるほど左右方向で筐体10から遠ざかる側に位置するように延出する第2部分32と、第2部分32に連続して、第1部分31と平行な姿勢に形成される第3部分33とを備えている。また、第3部分33には、後述する締込ネジ30Sが螺合するナット部30Tが設けられている。蝶番30Cの一端は、第2部分32における第3部分33側の端部で、かつ筐体10とは逆側の面に固定されている。
【0032】
揺動アーム部30Bの夫々は、揺動第1部分34と、揺動第1部分34に対して上下方向視で互いに接近する向きに直角に折り曲げられた揺動第2部分35とを備えている。また、揺動第1部分34における揺動第2部分35と逆側の端部に、蝶番30Cの他端が固定されている。これにより、揺動アーム部30Bは固定アーム部30Aに対して
図8に示す保持解除用姿勢と
図9に示す保持用姿勢とに揺動可能となる。
また、揺動第1部分34及び揺動第2部分35の面のうち、上下方向視において揺動第1部分34が沿う面と揺動第2部分35が沿う面とがなす角において小さい角度となる側に位置する面には、発泡ゴム等の緩衝体30Kが取り付けられている。
【0033】
被支持部20は、補助ユニットUを天井搬送車Vに装着した装着状態において、天井搬送車V側となる筐体10の腹面板15(
図7参照)に下端部を固定された第1部分21と、上面板14よりも上方に向けて鉛直方向に沿って延びる第2部分22と、第2部分22の上端で直角に折り曲げられて形成された第3部分23と、下方に向けて折り曲げられた第4部分24とを備えている。したがって、第2部分22の上端で直角に折り曲げられて形成された第3部分23と、下方に向けて折り曲げられた第4部分24とでフック形状に形成されている。第4部分24の下方への延出長さは、支持部60の第2部分62に引掛けて補助ユニットUを天井搬送車Vに吊り下げ支持させたとき(
図3、4参照)に、揺動に伴って第2部分62と被支持部20との係合が外れない長さとすればよく、第2部分62の上下方向の厚さと同じ長さか、それより若干長い長さに形成することが好ましい。また、被支持部20は、補助ユニットUを天井搬送車Vに装着した装着状態において、平面視で天井搬送車Vの走行方向に直交する横幅方向での重心位置に、被支持部20における吊下げ支点が位置するように構成されている。なお、腹面板15において補助ユニットUを天井搬送車Vに装着したときに天井搬送車Vと当接する部分には、
図7に示すように発泡ゴム等の緩衝体10Kが取り付けられている。
【0034】
このような補助ユニットUを天井搬送車Vに装着する場合には、走行経路途中で停止している天井搬送車Vの近傍に接近可能となるように脚立や作業台などを床面に設置し、作業者が、上部持手10HUや側部持手10HSを把持して補助ユニットUを天井搬送車V近傍まで持ち上げる。なお、補助ユニットUの持ち上げは、上記のように作業者によらなくてもよく、例えばリフタ―当の各種の装置を用いてもよい。
【0035】
補助ユニットUの天井搬送車Vへの装着に先立って、作業者は、
図8に示すように、補助ユニットUの当接アーム30における揺動アーム部30Bを保持解除用姿勢に切り換える。その後、
図3の二点鎖線に示すように、補助ユニットUの被支持部20における第3部分23が天井搬送車Vの支持部60における第2部分62と平面視で重複しない位置となるようにして、補助ユニットUの被支持部20における第4部分24部分の下端が天井搬送車Vの支持部60における第2部分62の上端よりも高い位置となるように補助ユニットUを上方に移動させる。そして、
図3の実線に示すように、補助ユニットUの被支持部20における第3部分23が天井搬送車Vの支持部60における第2部分62と平面視で重複する位置に補助ユニットUを移動させ、その後補助ユニットUを下方に移動させる。これにより、
図4に示すように、補助ユニットUを天井搬送車Vに吊下げ状態で支持させることができる。
【0036】
補助ユニットUを天井搬送車Vに吊下げ状態で支持させた後、作業者は、補助ユニットUの当接アーム30における揺動アーム部30Bを保持用姿勢(
図9)に切り換え、締込ネジ30Sとナット部30Tとを螺合させる。これにより、
図3における斜線部分(50Tで示す箇所。以降、当接箇所50Tと称する。)に、揺動アーム部30Bに取付けた緩衝体30Kが当接する。
以上の作業により、
図10及び11に示すように、一対の当接アーム30における揺動アーム部30Bが本体部V2におけるカバー部50Cを抱き込む状態で、補助ユニットUが天井搬送車Vに装着される。作業者は、上方に突出する被支持部20を支持部60に引掛けるように補助ユニットUを移動させるだけで、補助ユニットUを天井搬送車Vに吊下げ状態で支持させることができ、さらに、揺動アーム部30Bを保持解除用姿勢から保持用姿勢に切換えるだけで、補助ユニットUの天井搬送車Vに対する相対位置を固定することができる。このため、作業者による作業が行い難い高所で煩雑な作業を行う必要がないものでありながら、補助ユニットUを装着した状態で天井搬送車Vを走行させても、補助ユニットUが揺動する等して補助ユニットUの天井搬送車Vに対する姿勢が安定しないようなことがない補助ユニットUを備えた天井搬送設備が実現できる。
【0037】
本実施形態において、走行モータM1が本発明における走行駆動部に相当し、揺動第1部分34及び揺動第2部分35における緩衝体30Kが備えられている当接アーム30が本発明における当接部に相当し、
図3においてカバー部50Cに一点鎖線で示した部分が本発明における当接箇所50Tに相当する。
【0038】
すなわち、走行モータM1及び昇降駆動部M3を駆動するための電力を天井搬送車Vに供給する補助ユニットUが天井搬送車Vに着脱自在に設けられ、補助ユニットUは、天井搬送車Vに設けられた支持部60に吊下げ状態で支持される被支持部20と、天井搬送車Vに対して平面視で異なる複数の当接箇所50Tで当接する当接アーム30を備え、当接箇所50Tが、支持部60よりも上下方向で下方に設けられている。また、支持部60と当接箇所50Tとの双方が本体部V2に設けられている。さらに、一対の当接アーム30の夫々は、上下軸心を中心に揺動して当該当接アーム30を当接箇所50Tに当接させる保持用姿勢と、当該当接アーム30を当接箇所50Tから離間させる保持解除用姿勢とに切換え自在に構成されている。
【0039】
また、本実施形態においては、締込ネジ30Sとナット部30Tとが、当接アーム30の揺動アーム部30Bが当接箇所50Tを押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構に相当する。すなわち、一対の当接アーム30の夫々が、保持用姿勢である状態において当接箇所50Tを押圧するように構成され、一対の当接アーム30の夫々に、当接箇所50Tを押圧する押圧力を調整する締込ネジ30S及びナット部30Tが備えられている。
作業車が当接アーム30の揺動アーム部30Bを保持解除用姿勢から保持用姿勢に切換えたのち、締込ネジ30Sを作業者が手動で回動させてナット部30Tに螺合させることにより、揺動アーム部30Bを保持用姿勢に維持することができる。また、締込ネジ30Sとナット部30Tとの螺合させる際の締込ネジ30Sの回転数を調整して、締込ネジ30Sの長手方向でのナット部30Tとの相対位置を調整することによって、揺動アーム部30Bが当接箇所50Tを押圧する押圧力を調整することができる。
【0040】
上記のようにして補助ユニットUを天井搬送車Vに取付けることによって、天井搬送車Vの電源基板E2には、補助給電ケーブルKを介して電力が供給される。これにより、天井搬送車Vの走行モータM1、案内ローラソレノイドM2、昇降駆動部M3、ネガティブブレーキN、及び通信部G等へ電力が供給される。したがって、通信部Gに対してリモコン(図示省略)等により走行指令情報を送信することによって、天井搬送車Vを目的の走行位置(例えば故障時の退避箇所等)に自走させることができる。
【0041】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、補助ユニットUが、天井搬送車Vの走行モータM1及び昇降駆動部M3を駆動するための電力の供給を行う形態としたが、補助ユニットUが、走行モータM1及び昇降駆動部M3を駆動するための電力に加えて、走行モータM1及び昇降駆動部M3の作動を制御する制御信号を天井搬送車Vに供給するように構成してもよい。また、補助ユニットUが、走行モータM1及び昇降駆動部M3の作動を制御する制御信号のみを天井搬送車Vに供給するように構成してもよい。
【0042】
(2)上記実施形態では、支持部60を、カバー部50Cにおける走行方向の一方の端部に設ける形態を説明したが、支持部60をカバー部50Cにおける走行方向の両方の端部に設けてもよい。
【0043】
(3)上記実施形態では、当接箇所50Tが、支持部60よりも上下方向で下方に設けられる形態を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、当接箇所50Tが支持部60と上下方向で重複するように設けられる形態や、当接箇所50Tが支持部60に対して上下方向で上方となるように設けられる形態としてもよい。
【0044】
(4)上記実施形態では、被支持部20を鉛直方向に沿う第2部分22、水平方向に延出する第3部分23、及び下方に折り曲げられた第4部分24を備えたフック形状とする例を示したが、例えば、第4部分24を設けないL字形状に形成してもよい。この場合、支持部60における第2部分62と被支持部20における第3部分23との相対移動を規制する為、摩擦係数の大きな素材の移動規制材を第2部分62の上面及び第3部分23の下面の一方又は双方に取付けてもよい。また、上記実施形態では、被支持部20における第3部分23の下面、及び、支持部60における第2部分62の上面を断面形状で直線状に形成する例を示したが、被支持部20における第3部分23の下面を断面形状で上方に向かって凹入する湾曲形状とし、支持部60における第2部分62の上面を断面形状で上方に向って突出する湾曲形状としてもよい。
【0045】
(5)上記実施形態では、一対の当接アーム30の夫々に、当接アーム30が当接箇所50Tを押圧する押圧力を調整する押圧力調整機構としての締込ネジ30S及びナット部30Tが備えられている構成を説明したが、押圧力調整機構を設けず、保持用姿勢においてはバネ等の付勢体で当接箇所50Tを所定の強さで押圧する構成してもよい。この場合、揺動アーム部30Bが、死点を境界として保持用姿勢と保持解除用姿勢とのいずれかに向けて付勢される構成とすることが好ましい。
【0046】
(6)上記実施形態では、当接部として補助ユニットUを天井搬送車Vに装着した装着状態において平面視で天井搬送車Vの走行方向に直交する横幅方向の両側に位置する一対の当接アーム30を設ける構成としたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば当接部として天井搬送車Vの本体部V2に設けられた1つ以上の固定用具に締結又は係合させる係合部を備える構成としてもよい。この場合、本体部V2に設けられた固定用具が当接箇所となる。