(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検体を収容した検体容器を搬送する搬送部、試薬を収容した複数の試薬容器が設置される試薬テーブル、前記搬送部によって所定位置まで搬送された検体容器から検体を採取し、その検体に前記試薬テーブルに設置されたいずれかの試薬を添加して分析を行なう分析動作部、前記搬送部と前記分析動作部に必要な電力を供給する電源装置、及び前記搬送部と前記分析動作部の動作を制御する分析制御部をそれぞれ有する複数の自動分析装置からなる分析装置群と、
互いに隣接している2台の自動分析装置の間を連結して両自動分析装置間で検体容器の輸送を行なう検体輸送装置と、
互いが前記検体輸送装置によって連結されている複数の自動分析装置を稼働状態にするマルチ動作モードと1つの自動分析装置のみを稼働状態にするシングル動作モードのいずれか一方のモードを選択により切り替えるモード切替手段と、
前記マルチ動作モードと前記シングル動作モードのそれぞれのモード時に前記分析装置群の各自動分析装置で実行すべき分析項目として前記各自動分析装置に対して予め割り当てられた分析項目割当情報を保持する割当情報保持部と、
前記各モード時に、前記割当情報保持部に保持されている前記分析項目割当情報に基づいて、前記各自動分析装置に割り当てられている分析項目のいずれかを分析対象の検体に対して実行すべき分析項目として設定する分析項目設定手段と、
前記分析項目設定手段により設定された分析項目の情報を各自動分析装置の前記分析制御部に与え、その分析項目を実行すべき検体に対してその分析項目を実行させる分析項目実行手段と、を備えた自動分析システム。
前記シングル動作モード時に動作させる一の自動分析装置の前記試薬テーブルに、他の自動分析装置の試薬テーブルに設置されている試薬と共通する試薬が設置されており、その共通する試薬を用いる分析項目は、前記マルチ動作モード時については前記他の自動分析装置に、前記シングル動作モード時については前記一の自動分析装置に割り当てられている請求項1に記載の自動分析システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態において、シングル動作モード時に動作させる一の自動分析装置の試薬テーブルに、他の自動分析装置の試薬テーブルに設置されている試薬と共通する試薬が設置されており、その共通する試薬を用いる分析項目は、マルチ動作モード時については他の自動分析装置に、シングル動作モード時については一の自動分析装置に割り当てられていることが好ましい。そうすれば、シングル動作モード時に休止状態にされる自動分析装置がマルチ動作モード時に実行していた分析項目が、シングル動作モード時に稼働する一の自動分析装置によって実行されるので、シングル動作モード時に実行不可能な分析項目が発生することを防止できる。
【0013】
各自動分析装置の分析制御部との間で電気的に接続され、各自動分析装置の動作管理を行なうシステム制御部をさらに備え、モード選択手段、割当情報保持部、分析項目設定手段及び分析項目実行手段はシステム制御部に設けられている。かかる態様により、システム制御部によってすべての自動分析装置を統括的に管理することができ、オペレータによる該自動分析システムの管理が容易である。
【0014】
システム制御部との間で電気的に接続され、システム制御部から出力される情報を表示する情報表示部をさらに備え、モード切替手段は、情報表示部にマルチ動作モードとシングル動作モードのいずれか一方のモードの選択をオペレータに促すモード選択画面を表示し、モード選択画面上でマルチ動作モードとシングル動作モードのいずれか一方のモードをオペレータに選択させるように構成されている。これにより、オペレータはマルチ動作モードとシングル動作モードの切替えを情報表示部の表示画面上で行なうことができ、モードの切替えが容易である。
【0015】
各自動分析装置の分析制御部は、電源装置から
搬送部及び分析動作部への電力供給も制御し、システム制御部は、稼働状態にする自動分析装置以外の自動分析装置を、電源装置から搬送部及び分析動作部への電力供給が遮断された休止状態にする信号を該当する分析制御部に与える非稼働装置休止手段をさらに備えていることが好ましい。そうすれば、稼働させる予定のない自動分析装置が自動的に休止状態になり、電力など無駄な消費を
低減することができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の態様では、各自動分析装置に設けられている搬送部は、それぞれが始端と終端を有し、検体容器を始端側から終端側へ一方向に搬送するベルトコンベアであり、互いに隣接する2台の自動分析装置は、一方の自動分析装置のベルトコンベアの終端と他方の自動分析装置に設けられているベルトコンベアの始端が近接しかつ対向するように配置されており、検体輸送装置は、互いに隣接する2台の自動分析装置のベルトコンベアの間に配置され、一方のベルトコンベアの終端に到達した検体容器を保持して他方のベルトコンベアの始端へ輸送する輸送機構を備えている。かかる構成により、分析システム全体の大きさを小型化することができる。
【0017】
図1及び
図2を用いて自動分析システムの一実施例について説明する。
図1及び
図2には、自動分析システムを構成する2台の自動分析装置及びそれらの自動分析装置を連結する検体輸送装置が示されており、これらの装置の動作を管理する制御装置については後述する。
【0018】
この自動分析システム1は、2つの自動分析装置2a,2bからなる分析装置群、検体輸送装置12、これらの装置2a,2b,12に接続された制御装置34(
図3参照)により構成されている。分析装置群を構成する2台の自動分析装置2a,2bは水平面内の一方向であるX方向に並んで配置され、両自動分析装置2a,2bのそれぞれの搬送部6aと6bの間が検体輸送装置12によって連結されている。この実施例では、分析装置群を2台の自動分析装置2a及び2bによって構成しているが、3台以上の自動分析装置によって構成してもよい。n台(n≧3)の自動分析装置を直列に連結して分析装置群を構成する場合には、n−1台の検体輸送装置12が必要となる。
【0019】
自動分析装置2aは、分析動作部4a、搬送部6a及び検体導入機構18aを備えている。自動分析装置2bも同様に、分析動作部4a、搬送部6a及び検体導入機構18aを備えている。自動分析装置2aと自動分析装置2bのそれぞれは独自の電源装置33a,33b(
図3参照)を備えており、電源スイッチ15a,15bによってオペレータが各装置2a,2bのそれぞれの電源のオン・オフを行なうことができるようになっている。自動分析装置2aと2bは互いに独立して動作することが可能であり、いずれか一方の自動分析装置の電源がオフになっても、他方の自動分析装置のみで分析動作を実行することができる。
【0020】
自動分析装置2aと2bは同じ構成を有する装置である。自動分析装置2aの各構成について説明すると、搬送部6aは検体容器を保持した検体ラック20をX方向の一方向(
図1及び
図2において右側から左側へ向かう方向)へ搬送するベルトコンベア7aを備えている。ベルトコンベア7aの周囲はカバーで覆われている。搬送部6aの始端側(
図1及び
図2において右側)に検体ラック配置部8aが設けられ、終端側(同図において左側)に検体ラック回収部10aが設けられている。検体ラック配置部8aと検体ラック回収部10aのカバーは開閉可能であり、オペレータが検体ラック配置部8aのカバーを開けて検体ラックをベルトコンベア7a上に配置したり、検体ラック回収部10aのカバーを開けてサンプリングの終了した検体ラックを取り出したりすることができる。
【0021】
検体導入機構18aは水平面内においてX方向と直交するY方向へ移動し、ベルトコンベア7a上の検体ラック20を保持して分析動作部4a側へ導入したり、サンプリングの終了した検体ラック20をベルトコンベア7a上に戻したりするものである。搬送部6aの検体ラック配置部8aと検体ラック回収部10aの間に検体ラック導入部9aが設けられている。図示は省略されているが、この検体ラック導入部9aには、ベルトコンベア7aによって搬送される検体ラック20の停止とその解除を行なうストッパが設けられている。検体導入機構18aは、そのストッパにより所定位置で停止させられた検体ラック20を保持して分析動作部4a内に移送する。また、検体導入機構18は、検体ラック導入部9aにおいて分析動作部4aにおける処理が終了した検体ラック20をベルトコンベア7a上に戻す。
【0022】
分析動作部4aは、検体導入機構18aにより移送された検体容器から検体を採取するための吸入プローブなどを有する検体採取機構(図示は省略)のほか、試薬設置部22a、検体ラック収容部24a及び測定部26aを備えている。検体ラック収容部24aには、検体導入機構18aによってベルトコンベア7a上から移送された検体ラック20が複数収容される。検体ラック収容部24aはターンテーブルになっていて、検体ラック20上の検体容器を、吸入プローブが検体を採取するときの所定位置に配置する。
【0023】
試薬設置部22aには、試薬を収容した試薬容器を設置するための複数の試薬ホルダー23aが設けられている。試薬設置部22aの各試薬ホルダー23aに設置される試薬容器の試薬情報は、設置した試薬容器の試薬情報をオペレータが制御装置34(
図3参照)に入力することで、又は、各試薬容器に添付された情報媒体としてのバーコードの情報が情報読取器としてのバーコードリーダによって読み取られることで、制御装置34に入力され、どの試薬ホルダー23aにどのような試薬が収容されているかが制御装置34に登録されるようになっている。
【0024】
測定部26aには、吸入プローブによって採取された検体と試薬を混合する容器が複数個設けられており、容器内の反応を光学的に測定するように構成されている。かかる構成により、分析動作部4aでは、検体ラック20が検体導入機構18aによって検体ラック収容部24aに収容され、その検体ラック20に保持されている検体容器が所定位置に配置され、吸入プローブによって検体が採取される。採取された検体は測定部26aに設けられた容器に注入され、分析項目に応じた試薬が吸入プローブによって添加された後、検体と試薬の反応が吸光度や蛍光強度など光学的に測定される。
【0025】
自動分析装置2bのベルトコンベア7bは自動分析装置2aのベルトコンベア7aと同一直線上に配置され、ベルトコンベア7bの始端がベルトコンベア7aの終端と対向して配置されている。
【0026】
検体輸送装置12はベルトコンベア7aと7bの間に配置され、両ベルトコンベア7aと7bの間を連結している。検体輸送装置12は、ベルトコンベア7aの終端にきた検体ラック20を保持してベルトコンベア7bの始端に配置する輸送機構100(
図6−
図8参照)を備えており、その輸送機構は開閉式の遮蔽カバー14によって覆われている。検体輸送装置12はベルトコンベア7aの終端に到達した検体ラック20を検出する第1センサ110と、ベルトコンベア7bの始端に到達した検体ラック20を検出する第2センサ112を備えている(
図6−
図8参照)。検体輸送装置12は、第1センサによってベルトコンベア7aの終端に検体ラック20が到達したことを検知すると自動的にその検体ラック20の輸送を開始するようになっている。
【0027】
次に、この自動分析システム1全体の制御系統について
図3を用いて説明する。
【0028】
自動分析装置2aは、分析動作部4a、ベルトコンベア7a及び検体導入機構18aの動作制御と状態の管理を行なう分析制御部32aとそれら各部に対して必要な電力を供給する電源装置33aを備えている。電源装置33aに電源スイッチ15aが設けられており、電源スイッチ15aによって分析動作部4a、ベルトコンベア7a、検体導入機構18a及び分析制御部32aへの電力の供給のオン・オフが切り替えられるようになっている。
【0029】
同様に、自動分析装置2bは、分析動作部4b、ベルトコンベア7b及び検体導入機構18bの動作制御と状態の管理を行なう分析制御部32bとそれら各部に対して必要な電力を供給する電源装置33bを備えている。電源装置33bに電源スイッチ15aが設けられており、電源スイッチ15bによって分析動作部4b、ベルトコンベア7b、検体導入機構18b及び分析制御部32bへの電力の供給のオン・オフが切り替えられるようになっている。
【0030】
検体輸送装置12は、検体ラックの輸送動作を行なう輸送機構100、ベルトコンベア7aの終端に到達した検体ラック20を検知するための第1センサ110、ベルトコンベア7bの始端に到達した検体ラック20を検知するための第2センサ112及び輸送機構100の動作制御を行なう輸送制御部101を備えている。第1センサ110と第2センサ112の検知信号は輸送制御部101を介して制御装置34に取り込まれ、検体輸送装置12における検体ラック20の輸送状態が制御装置34によって管理されるように構成されている。
【0031】
分析制御部32a,32b及び輸送制御部101は通信ケーブルを介して制御装置34と接続されており、制御装置34との間で相互に情報の通信が行われる。制御装置34はこの自動分析システム全体の管理及び制御を行なうシステム制御部をなしている。制御装置34は、この自動分析システムの専用コンピュータにより、又は汎用のパーソナルコンピュータにより実現することができる。
【0032】
制御装置34は、分析項目割当手段35、分析項目表示手段36、分析項目設定手段37、分析項目実行手段38、モード切替手段39、割当情報保持部40、及び非稼働装置休止手段42を備えている。
【0033】
分析項目割当手段35は各自動分析装置2a,2bにおいて実行させる分析項目の割当てをオペレータに設定させ、又は外部から入力された情報(例えば、記録媒体に記録された情報)に基づいて自動的に設定するものである。通常、自動分析装置2a,2bには、両分析装置が同時に稼働することを前提として、互いに異なる分析項目が割り当てられ、複数の検体の分析に対するスループットの向上が図られる。したがって、試薬設置部22aと22bには、各自動分析装置2a,2bのそれぞれにおいて実行させたい分析項目に使用する試薬が設置される。
【0034】
他方、この自動分析システムには、動作モードとしてマルチ動作モードとシングル動作モードの2つの動作モードが用意されている。マルチ動作モードは、自動分析装置2a,2bの両方を動作させて分析を行なうモードであり、シングル動作モードは、自動分析装置2a,2bのうちいずれか一方の自動分析装置を単体で動作させて分析を行なうモードである。オペレータは分析すべき検体の数や種類に応じていずれかのモードを選択することができるようになっている。シングル動作モード時には1台の自動分析装置のみが稼働するため、その1台の自動分析装置2a又は2bにおいて多数の(2台分の)分析項目を実行できることが好ましい。そのため、シングル動作モード時に稼働する一方の自動分析装置2a又は2bには、他方の自動分析装置2b又は2aに搭載されている試薬と共通の試薬を搭載し、シングル動作モード時に稼働する自動分析装置2a又は2bに対しては、マルチ動作モード時とシングル動作モード時について2種類の分析項目の割当てを行なっておく必要がある。
【0035】
分析項目割当手段35は、マルチ動作モード時とシングル動作モード時のそれぞれの場合について各自動分析装置2a,2bに対し分析項目の割当てを行なうようになっている。分析項目割当手段35により行われた分析項目の割当てに関する情報は、割当情報として割当情報保持部40に保持される。
【0036】
動作モードの切替えを行なうためにモード切替手段39が設けられている。モード切替手段39は、オペレータが動作モードの切替えを選択すると、モード切替手段39は情報表示部44にモード選択画面を表示し、マルチ動作モード又はシングル動作モードのいずれか一方の動作モードを情報表示部44上でオペレータに選択させるように構成されている。
【0037】
この自動分析システムに導入された検体は、例えば検体容器に貼られたバーコードを読み取るなどして識別化され、その検体に対して実行すべき分析項目と関連付けられて管理される。制御装置34は、各検体がそれぞれに設定されている分析項目を実行すべき自動分析装置2a又は2bに導入されるように、分析制御部32a,32b及び輸送制御部101を通じてベルトコンベア7a,7b及び輸送機構100の動作を制御する。
【0038】
分析項目表示手段36は、実行可能な分析項目をオペレータからの要求に応じて情報表示部44に表示するように構成されている。情報表示部44は、例えばタッチパネル方式の液晶表示装置からなる。分析項目設定手段37は、情報表示部44に表示された分析項目の中からオペレータが選択した分析項目を対象の検体に対して実行する分析項目として設定するように構成されている。分析項目実行手段38は、分析項目設定手段37により設定された分析項目についての情報を、その分析項目を担当する自動分析装置2a又は2bに送信して実行させるように構成されている。
【0039】
オペレータは、検体容器をこの自動分析システムに設置する際に又は設置した後で、情報表示部44に実行可能な分析項目を表示させ、表示された分析項目の中から実行すべき分析項目を情報表示部44上で選択する。オペレータが分析項目を選択すると、その分析項目に関する情報と設置した検体容器に関する情報とが関連付けられて制御装置34から自動分析装置2a,2bに送信される。自動分析装置2a,2bは制御装置34からの情報に基づいて対象の検体に対し選択された分析項目を実行する。
【0040】
非稼働装置休止手段42は、この自動分析システムの動作モードがシングル動作モードに切り替えられたときに、動作しない自動分析装置に対して休止状態になるように信号を送り、その自動分析装置を休止状態にする。休止状態とは、例えば常時稼働させておく必要のあるモジュール以外のモジュールに対する電力供給を停止した状態をいう。常時稼働させておく必要のあるモジュールとは、例えば試薬を一定温度で保つために必要な試薬設置部22a,22bのペルチェ素子などの温調素子などである。休止状態になった自動分析装置は消費電力が最小となるほか、稼働状態では常時消費される洗浄液やイオン交換水の消費が抑制される。
【0041】
休止状態となった自動分析装置は、制御装置34との間の通信が遮断された状態となり、電源スイッチ15a又は15bによりその自動分析装置の電源をオフにしても制御装置34でエラーとして認識しないようになっている。
【0042】
また、非稼働装置休止手段42は、動作モードがシングル動作モードとなったときに検体輸送装置12の輸送機構100や第1センサ110、第2センサ112への電力供給も停止させるように構成されていてもよい。そうすれば、シングル動作モード時の消費電力のさらなる低減を図ることができる。
【0043】
この自動分析システムの立上げから分析開始までの流れについて
図3とともに
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0044】
自動分析装置2a(分析装置1)と自動分析装置2b(分析装置2)を立ち上げ、各分析装置の試薬設置部22a,22bに試薬容器を設置する。試薬容器には、例えば底面にそれぞれの固有情報を含んだ識別子(バーコードなど)が貼られており、例えば各自動分析装置2a,2bに設けられたバーコードリーダなどの読取り器によってその識別子が読み取られて試薬マップが作成され、試薬設置部22a,22bのどの試薬保持部23a,23bにどのような試薬が設置されているかが各自動分析装置2a,2bや制御装置34によって認識される。その後、マルチ動作モード時とシングル動作モード時のそれぞれについて、各自動分析装置2a,2bに分析項目の割当てが行なわれる。各自動分析装置2a,2bに割り当てられた分析項目の情報は、割当情報として割当情報保持部40に保持される。
【0045】
例えば、A,B,C,D,E及びFという分析項目が存在する場合に、マルチ動作モード時については、分析項目A,B及びCが自動分析装置2aに割り当てられ、分析項目D,E及びFが自動分析装置2bに割り当てられる。一方、シングル動作モード時については、自動分析装置2aには分析項目A,B,C,D,E及びFが割り当てられ、自動分析装置2bには分析項目D,E及びFが割り当てられる。この場合、自動分析装置2aの試薬設置部22aには分析項目A,B,C,D,E及びFに用いられる試薬がすべて設置されている必要がある。自動分析装置2aの試薬設置部22aに設置されている分析項目D,E及びF用の試薬はシングル動作モード時にのみ使用され、マルチ動作モード時に使用されることはない。なお、自動分析装置2bの試薬設置部22bにも分析項目A,B,C,D,E及びFに用いられる試薬のすべてを設置しておき、シングル動作モード時の分析項目としてA,B,C,D,E及びFを自動分析装置2bにも割り当てておいてもよい。そうすれば、シングル動作モード時にいずれの自動分析装置2a又は2bのみを稼働状態としても、すべての分析項目を実行することができる。
【0046】
次に、モード切替手段39は情報表示部44にモード選択画面を表示させ、オペレータに動作モードを選択させる。
【0047】
マルチ動作モードが選択された場合、割当情報保持部40に保持されている割当情報に基づいて各自動分析装置2a及び2bに、実行すべき分析項目を割り当てる。その後、オペレータが検体を設置してその検体に対して実行すべき分析項目を選択すると、選択された分析項目が割り当てられている自動分析装置2a又は2bにその検体が導入され、その分析項目がその検体に対し実行される。
【0048】
シングル動作モードが選択された場合、情報表示部44にいずれの自動分析装置2a又は2bを単独動作させるかをオペレータに選択させる画面を表示させ、動作させる一方の自動分析装置2a又は2bを選択させる。動作させる一方の自動分析装置2a又は2bが選択されると、割当情報保持部40に保持されている割当情報に基づいてその自動分析装置2a又は2bに対して分析項目が割り当てられる。非稼働装置休止手段42は、オペレータにより選択されなかった他方の自動分析装置2b又は2aを休止状態にするように、該当する自動分析装置2b又は2aに対して信号を送信する。その後、オペレータが、単独動作させる一方の自動分析装置2a又は2bに検体を設置してその検体に対して実行すべき分析項目を選択すると、単独稼働している自動分析装置2a又は2bにおいて選択された分析項目が実行される。
【0049】
なお、この実施例では、シングル動作モードにおいて単独動作する自動分析装置2a又は2bをオペレータが選択するようになっているが、シングル動作モードにおいて単独動作する自動分析装置は常に同じ自動分析装置(例えば、自動分析装置2a)に設定されるようになっていてもよい。
【0050】
次に、動作モードの切替えから分析開始までの流れについて、
図3とともに
図5を用いて説明する。
【0051】
この自動分析システムでは、オペレータが所望のタイミングで動作モードの切替えを行なうことができるようになっている。オペレータが動作モードの切替えを制御装置34に入力すると、モード切替手段39は現在の動作モードを確認し、現在の動作モードがマルチ動作モードであれば、単独動作させる自動分析装置の選択、使用する試薬マップの設定、実行可能な分析項目の抽出及び設定、動作させない自動分析装置の休止状態化を行ない、シングル動作モードでの分析を開始する。
【0052】
他方、現在の動作モードがシングル動作モードであれば、休止中の自動分析装置を稼働状態に復帰させ、マルチ動作モード用試薬マップの作成、実行可能な分析項目の抽出、各分析項目を実行させる自動分析装置の設定を行ない、マルチ動作モードでの分析を開始する。シングル動作モードからマルチ動作モードに動作モードを切り替える際、稼働状態に復帰させるべき自動分析装置の電源がオフになっている場合には、情報表示部44に該当する自動分析装置の電源を投入するようオペレータに促す表示を行なうようになっていることが好ましい。
【0053】
次に、検体輸送装置12に設けられた輸送機構100の一例について
図6から
図8を用いて説明する。
【0054】
輸送機構100は水平面を有するテーブル102を備えている。テーブル102は基台118によって支持されている。テーブル102の水平面は両端に配置されるベルトコンベア7a,7bの搬送面とほぼ同じ高さに設定されている。テーブル102のX方向における一方側(図において右側)の端部近傍の位置は検体ラックの搬送を開始する搬送開始位置103aであり、この搬送開始位置103aに前段側のベルトコンベア7aの終端がくるように配置されている。テーブル102のX方向における他方側(図において左側)の端部近傍の位置は検体ラックの搬送完了位置103bであり、この搬送完了位置103bに後段側のベルトコンベア7bの始端がくるように配置されている。
【0055】
テーブル102上の両側縁部にX方向に延びた腕部材104と腕部材106が対向して配置されている。腕部材104と腕部材106はテーブル102の側縁部においてX方向とY方向へ駆動される。腕部材104と腕部材106は、X方向に対しては同時に同方向へ連動して移動し、Y方向に対してテーブル102を中心として対称な方向へ連動して移動する。図には示されていないが、腕部材104と腕部材106を駆動するモータ等の機構は基台118の内部に収容されている。
【0056】
腕部材104は、搬送開始位置103a側の端部に内側(Y方向でテーブル102側)を向く突起104aを備え、輸送完了位置103b側の端部にも内側を向く突起104bを備えている。突起104aと突起104bはY方向でテーブル102側へ突出している。検体ラック20の側面には凹部(図示は省略)が設けられている。検体ラック20は、その凹部がY方向で外側を向くようにテーブル20上に載置される。突起104aと104bは検体ラック20のその凹部に嵌め込まれて検体ラックと係合するものである。腕部材104のY方向への移動は、突起104a,104bが検体ラックの凹部に嵌め込まれる位置と検体ラック自体に接触しない位置との間で行なわれる。
【0057】
腕部材106は、搬送開始位置103a側の端部に内側(Y方向でテーブル102側)を向く突起106aを備え、輸送完了位置103b側にも内側を向く突起106bを備えている。突起106aと突起106bは検体ラックの後背面(進行方向に対して)と係合するものである。腕部材106のY方向への移動は、突起106a,106bが検体ラックの背面に係合する位置と突起106a,106bが検体ラックに接触しない位置との間で行なわれる。
【0058】
腕部材104と106は、検体ラックを保持して搬送開始位置103aから輸送完了位置103bまでテーブル102上をスライドさせて輸送するハンドラを構成している。このハンドラは、搬送開始位置103a側と輸送完了位置103b側の2箇所で保持部を構成する。搬送開始位置103a側の保持部は腕部材104の突起104aと腕部材106の突起106aで構成され、輸送完了位置103b側の保持部は腕部材104の突起104bと腕部材106の突起106bで構成される。
【0059】
以下において、腕部材104と腕部材106をまとめて「ハンドラ104,106」、ハンドラ104,106の搬送開始位置103a側の保持部を「第1保持部104a,106a」、輸送完了位置103b側の保持部を「第2保持部104b,106b」と称する。
【0060】
第1保持部104a,106aは、ハンドラ104と106の搬送開始位置103a側の端部で検体ラックを両側から挟むことによって、検体ラックの一方側の側面の凹部に突起104aを嵌め込むとともに検体ラックの反対側後背面を突起106aで支持する。第2保持部104b,106bは、腕部材104と106の搬送開始位置103b側の端部で検体ラックを両側から挟むことによって、検体ラックの一側面の凹部に突起104bを嵌め込むとともに検体ラックの反対側後背面を突起106bで支持する。ハンドラ104,106は、検体ラックを保持した状態でX方向へ移動し、検体ラックをテーブル102上でスライドさせて輸送する。
【0061】
テーブル102の腕部材106側の側縁部には、テーブル102上をスライドする検体ラックの側面に設けられた溝に嵌め込まれて検体ラックの転倒を防止するガイドレール108が設けられている。
【0062】
搬送開始位置103aの側方には、搬送開始位置103aへの検体ラックの到達を検知する第1センサ110が設けられている。輸送完了位置103bの側方には、輸送完了位置103bへの検体ラックの到達を検知する第2センサ112が設けられている。
【0063】
搬送開始位置103aの近傍にストッパ114が設けられており、ベルトコンベア7aによって搬送されてきた検体ラック20を搬送開始位置103aで停止させる。ストッパ114は、ハンドラ104,106が検体ラック20を保持する直前までは検体ラック20を搬送開始位置103aで停止させ、ハンドラ104,106が検体ラック20を保持して輸送を開始する際にはストッパ114が解除されるようになっている。
【0064】
基台118の側部に回路基板116が設けられている。回路基板116はハンドラ104,106の動作を制御する輸送制御部101をなしている。第1センサ110及び第2センサ112は配線によって回路基板116に接続され、それらの検知信号が回路基板116に取り込まれるようになっている。回路基板116は、第1センサ110が検体ラックの到達を検知したときの検知信号に基づいて検体ラックの輸送動作を開始するように構成されている。
【0065】
回路基板116は制御装置34と接続されており、第1センサ110と第2センサ112の検知信号が回路基板116を介して制御装置34に取り込まれ、検体輸送装置12における検体ラックの輸送状態が制御装置34によって管理されている。
【0066】
なお、
図7では配線や回路基板116に搭載されているモジュールの図示を省略している。
図8では回路基板116に搭載されているモジュールの一部は図示しているが、配線の図示を省略している。