特許第6269931号(P6269931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6269931-内容物の漏れ検査方法と装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6269931
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】内容物の漏れ検査方法と装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/89 20060101AFI20180122BHJP
   G01N 21/94 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   G01N21/89 Z
   G01N21/94
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-256686(P2013-256686)
(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公開番号】特開2015-114216(P2015-114216A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】山岸 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】化生 徹
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−064526(JP,A)
【文献】 特表2008−521453(JP,A)
【文献】 特開2011−033612(JP,A)
【文献】 特表2008−524579(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0320237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01、21/17−21/74、
21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容した包装体に紫外線を照射するとともに該包装体をRGBカラーカメラで撮影し、得られた画像から内容物の漏れを検査するようにした包装体の検査方法において、
第1検査モードと第2検査モードとを設け、第1検査モードにおいては、上記包装体に紫外線を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのB倍率をR倍率及びG倍率よりも小さく設定した状態で、RGBカラーカメラによって得られた画像から内容物の漏れを検査し、
また第2検査モードにおいては、上記包装体に可視光を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのR倍率、G倍率及びB倍率をそれぞれ1倍、1倍、1倍に設定した状態で、RGBカラーカメラによって得られた画像から包装体の外観を検査することを特徴とする包装体の検査方法。
【請求項2】
上記第1検査モードにおいては、上記RGBカラーカメラのB倍率を0.1〜0.5倍の範囲に設定するとともに、R倍率とG倍率とをそれぞれ2〜10倍の範囲に設定したことを特徴とする請求項1に記載の包装体の検査方法。
【請求項3】
内容物を収容した包装体に紫外線を照射する紫外線照射手段と、上記包装体を撮影するRGBカラーカメラと、該RGBカラーカメラによって得られた画像から内容物の漏れを検査する制御手段とを備えた包装体の検査装置において、
該包装体の検査装置は、可視光を照射する可視光照射手段を備えており、また上記制御手段は、RGBカラーカメラのR倍率、G倍率及びB倍率をそれぞれ調整可能となっており、
上記制御手段は第1検査モードにおいて、上記紫外線照射手段により包装体に紫外線を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのB倍率をR倍率及びG倍率よりも小さく設定して、RGBカラーカメラによって得られた画像から内容物の漏れを検査し、
また第2検査モードにおいて、上記可視光照射手段により包装体に可視光を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのR倍率、G倍率及びB倍率をそれぞれ1倍、1倍、1倍に設定して、該RGBカラーカメラによって得られた画像から包装体の外観を検査することを特徴とする包装体の検査装置。
【請求項4】
上記第1検査モードにおいて、RGBカラーカメラのB倍率は0.1〜0.5倍の範囲に、またR倍率とG倍率とはそれぞれ2〜10倍の範囲に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の包装体の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容した包装体の検査方法と装置に関し、より詳しくは、包装体に紫外線を照射することにより内容物の漏れを検査する包装体の検査方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物を収容した包装体に紫外線を照射するとともに該包装体をRGBカラーカメラで撮影し、得られた画像から内容物の漏れを検査するようにした包装体の検査方法と装置が知られている(特許文献1)。
この特許文献1においては、上記内容物として例えば皮膚疾患治療に用いられる外用薬が用いられており、該外用薬は、蛍光物質としての白色ワセリンを含んだ基材と、該基材中に分散された薬効成分とによって組成されている。その他の蛍光物質としては、例えばチーズ等の乳製品に含まれる牛脂が挙げられている。
上記蛍光物質に紫外線を照射するとその他の部分よりも明るくなるので、その明るさの有無によって内容物の漏れを検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−64526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内容物がチーズの場合には、従来一般にチーズの充填機によってチーズをアルミフィルムで包装しているが、アルミフィルムの折り込みがうまくいかなかった場合には、包装体の外部へのチーズの漏れや付着が発生することがある。
チーズは上記特許文献1に例示されている蛍光物質として牛脂を含んでいるので、紫外線を照射することによりその他の部分よりも明るくなるが、明るくなる程度が小さく、漏れがあるにも拘わらず正常であると判定される危険性があった。
本発明はそのような事情に鑑み、従来に比較してより確実に内容物の漏れを検査することができる包装体の検査方法と装置とを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明は、内容物を収容した包装体に紫外線を照射するとともに該包装体をRGBカラーカメラで撮影し、得られた画像から内容物の漏れを検査するようにした包装体の検査方法において、
第1検査モードと第2検査モードとを設け、第1検査モードにおいては、上記包装体に紫外線を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのB倍率をR倍率及びG倍率よりも小さく設定した状態で、RGBカラーカメラによって得られた画像から内容物の漏れを検査し、
また第2検査モードにおいては、上記包装体に可視光を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのR倍率、G倍率及びB倍率をそれぞれ1倍、1倍、1倍に設定した状態で、RGBカラーカメラによって得られた画像から包装体の外観を検査するようにしたことを特徴とするものである。
また請求項3発明は、内容物を収容した包装体に紫外線を照射する紫外線照射手段と、上記包装体を撮影するRGBカラーカメラと、該RGBカラーカメラによって得られた画像から内容物の漏れを検査する制御手段とを備えた包装体の検査装置において、
該包装体の検査装置は、可視光を照射する可視光照射手段を備えており、また上記制御手段は、RGBカラーカメラのR倍率、G倍率及びB倍率をそれぞれ調整可能となっており、
上記制御手段は第1検査モードにおいて、上記紫外線照射手段により包装体に紫外線を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのB倍率をR倍率及びG倍率よりも小さく設定して、RGBカラーカメラによって得られた画像から内容物の漏れを検査し、
また第2検査モードにおいて、上記可視光照射手段により包装体に可視光を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのR倍率、G倍率及びB倍率をそれぞれ1倍、1倍、1倍に設定して、該RGBカラーカメラによって得られた画像から包装体の外観を検査することを特徴とするものである。
なお、上記B倍率(R倍率、G倍率)とは、入力されたB(R、G)の明るさ(輝度)に対して、出力するB(R、G)の明るさの倍率の意味である。
【発明の効果】
【0006】
上記第1検査モードにおいて、包装体に紫外線を照射させるとともに、RGBカラーカメラのB倍率を、R倍率及びG倍率よりも小さく設定した場合には、通常のRGBカラーカメラのRGB倍率をそれぞれ1倍、1倍、1倍とした場合に比較して内容物をより鮮明に撮影することができ、したがって内容物の漏れや付着を確実に検出することができる。
これに対し、第2検査モードにおいては、上記包装体に可視光を照射させるとともに、上記RGBカラーカメラのR倍率、G倍率及びB倍率をそれぞれ1倍、1倍、1倍に設定した状態で、RGBカラーカメラによって得られた画像から包装体の外観を検査させているので、該包装体の外観の良否も確実に検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施例を示す正面図。
図2図1のRGBカラーカメラ4を省略して示す平面図。
図3】制御手段11を含めた回路図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1図2において、内容物としてのチーズをアルミフィルムで包装して収容した直方体形状の包装体1は搬送コンベヤ2によって図の左方から右方へ連続的に搬送されるようになっている。
上記搬送コンベヤ2の上方には下方を開放させた箱型の遮蔽部材3が設けられており、包装体1はこの遮蔽部材3の下方を通過することができるようになっている。
上記遮蔽部材3内の上部中央にはRGBカラーカメラ4が鉛直下方に向けて設けられており、該RGBカラーカメラ4によって下方を通過する包装体1を撮影することができるようになっている。
【0009】
上記遮蔽部材3内の中間高さ位置には紫外線を照射する円形リング状の紫外線照射手段7が設けられており、該紫外線照射手段7によって包装体1に紫外線を照射することができるようになっている。そして包装体1に紫外線を照射することによって、包装体1からの内容物の漏れや付着の有無を検査することができるようになっている。
また本実施例では、上記遮蔽部材3内の中下方位置に可視光を照射する可視光照射手段8が設けられており、該可視光照射手段8によって包装体1に可視光を照射して、該包装体1を明るく照明することができるようになっている。そして包装体1を明るく照明することによって、包装体1のシワの有無等の外観を検査することができるようになっている。
上記可視光照射手段8は直線状の白色LEDランプを方形の各辺に組み合わせて構成してあり、上記RGBカラーカメラ4は、リング状の紫外線照射手段7と方形の可視光照射手段8の中心部の空間を介して上記包装体1を撮影することができるようになっている。
【0010】
図3に示すように、上記RGBカラーカメラ4によって撮影された画像は制御手段11の画像処理部11aに入力されて画像処理されるようになっている。
また制御手段11の指令部11bは、上記RGBカラーカメラ4による包装体1の撮影と、RGBカラーカメラ4のRGBバランスの調整と、さらに上記紫外線照射手段7のON/OFF、及び可視光照射手段のON/OFFとをそれぞれ制御することができるようになっている。
さらに図2において、上記遮蔽部材3を設けた位置には包装体1がRGBカラーカメラ4の直下まで搬送されてきたことを検出するセンサ14が設けられ、また遮蔽部材3の下流側には、不良品を搬送コンベヤ2上から外部に排出するリジェクト手段15が設けられている。
図示実施例では、上記リジェクト手段15は搬送コンベヤ2の一側に設けられたエアジェット16と、搬送コンベヤ2の他側に設けられた回収ボックス17とを備えている。
上記指令部11bは、画像処理部11aに入力された画像から内容物の漏れやシワが検出された場合には、上記リジェクト手段15のエアジェット16からエアを噴射させ、内容物の漏れやシワが検出された包装体1を不良品1’として搬送コンベヤ2の他側に設けられた回収ボックス17に吹き飛ばしてそこに回収させるようになっている。
【0011】
以上の構成において、上記指令部11bは、包装体の検査装置の運転が開始されると紫外線照射手段7をONとし、当該装置の運転中は紫外線照射手段7から搬送コンベヤ2に向けて常時紫外線を照射させる。他方、上記指令部11bは包装体の検査装置の運転が開始されても可視光照射手段8をONとすることはない。
この状態で搬送コンベヤ2によって包装体1がRGBカラーカメラ4の直下まで搬送されてきたことがセンサ14によって検出されると、その信号を入力した指令部11bは、RGBカラーカメラ4のRGB倍率を調整するとともに、RGB倍率を調整した後のRGBカラーカメラ4によって、上記紫外線照射手段7によって紫外線が照射された包装体1を撮影させる(第1検査モード)。
上記第1検査モードによって紫外線が照射された状態で撮影された包装体1の画像は画像処理部11aに入力され、該画像処理部11aによって、紫外線が照射された状態の包装体1の画像から内容物の漏れや付着の有無を検査することができる。この際の画像処理としては、例えば上記特許文献1に記載されている方法や、その他公知の方法を採用することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0012】
上記第1検査モードでは、上記指令部11bはRGBカラーカメラ4のB倍率をR倍率及びG倍率よりも小さく設定し、この状態で紫外線が照射された包装体1を撮影させるようになっている。RGBカラーカメラ4のB倍率をR倍率及びG倍率よりも小さく設定した場合には、通常のRGBカラーカメラ4のRGB倍率がそれぞれ1倍、1倍、1倍にセットされている場合に比較して、特に蛍光物質をより鮮明に撮影することができ、したがって内容物の漏れや付着を確実に検出することが可能となる。
上記B倍率、R倍率及びG倍率は、通常のRGB倍率を1倍、1倍、1倍としたときに比較して、B倍率を0.1〜0.5倍の範囲に、またR倍率とG倍率とをそれぞれ2〜10倍の範囲に設定することが望ましく、より好ましくは上記各倍率を0.3倍、5倍、5倍とするのがよい。
【0013】
上記第1検査モードによって撮影された画像が制御手段11の画像処理部11aに入力されると、上記指令部11bは可視光照射手段8をONとして包装体1に可視光を照射させ、この状態で再びRGBカラーカメラ4によって包装体1を撮影させる(第2検査モード)。つまり制御装置11は、同一の包装体1に対して第1検査モードにおける撮影と第2検査モードにおける撮影とを順次実行できるようになっている。
上記第2検査モードでは、上記指令部11bはRGBカラーカメラ4の各倍率を通常の1倍、1倍、1倍に調整し、この状態で包装体1を撮影させる。
この第2検査モードでは、紫外線と可視光とが同時に照射された状態で撮影された包装体1の画像が画像処理部11aに入力されるようになるが、紫外線による影響は小さいので包装体1は可視光のみによって照射されたのと実質的に同一の画像が得られるようになり、該画像から包装体1の外観の状態を検査することができる。この際の画像処理としては、例えばシワは白色に反射するのでそれが多いと白色に反射する箇所が多くなり、したがってその面積を算出してシワの有無を検出することができる。このような画像処理も従来種々の方法が提案されているので、その詳細な説明は省略する。
【0014】
上記第2検査モードにおいて得られた画像が制御手段11の画像処理部11aに入力されると、指令部11bは可視光照射手段をOFFとする。そして次の包装体1がセンサ14によって検出されると、該包装体1に対して上述の作業が繰り返される。
他方、上記指令部11bは、画像処理部11aに入力された画像から内容物の漏れやシワ等が検出された場合には、上述したように上記リジェクト手段15を作動させて当該包装体1を不良品1’として搬送コンベヤ2の他側に設けられた回収ボックス17に吹き飛ばしてそこに回収させるようになる。
【0015】
なお、上記実施例では内容物がチーズの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、紙容器やプラスチック容器に充填された牛乳やヨーグルトであってもよく、或は特許文献1に記載されている皮膚疾患治療に用いられる外用薬であってもよい。
【符号の説明】
【0016】
1 包装体 4 RGBカラーカメラ
7 紫外線照射手段 8 可視光照射手段
11 制御手段 11a 画像処理部
11b 指令部
図1
図2
図3