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特許6269939非接触給電システム、非接触給電方法及び二次電池充電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6269939
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】非接触給電システム、非接触給電方法及び二次電池充電方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20180122BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   H02J50/12
   H02J7/00 301D
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-20293(P2014-20293)
(22)【出願日】2014年2月5日
(65)【公開番号】特開2015-149803(P2015-149803A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2017年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(73)【特許権者】
【識別番号】391006049
【氏名又は名称】株式会社ベルニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100100918
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 公治
(74)【代理人】
【識別番号】100108729
【弁理士】
【氏名又は名称】林 紘樹
(72)【発明者】
【氏名】阿部 茂
(72)【発明者】
【氏名】金子 裕良
(72)【発明者】
【氏名】仲達 崇一郎
(72)【発明者】
【氏名】今野 純也
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐輔
【審査官】 稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−176914(JP,A)
【文献】 特開平08−265986(JP,A)
【文献】 特開2013−212034(JP,A)
【文献】 特開2007−181162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00−50/90
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空隙を隔てて置かれた一次コイル及び二次コイルで構成されるトランスを備え、交流電源で駆動される前記一次コイルから、前記二次コイルに電磁誘導作用により電力が給電される非接触給電システムであって、
前記一次コイルに直列に接続された直列コンデンサCsと、
前記二次コイルに並列に接続された並列コンデンサCpと、
前記交流電源の周波数を制御する周波数制御手段と、
を備え、
前記交流電源の周波数がf0であるときの前記一次コイルの自己インダクタンスをL1、前記二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、
前記並列コンデンサの値Cpが、
1/Cp≒(2π×f02×L2
に設定され、前記直列コンデンサの値Csが、
1/Cs≒(2π×f02×(L1−M2/L2
に設定され、
給電中の少なくとも一部期間に亘り、前記交流電源の周波数が、前記周波数制御手段により、前記f0と異なる周波数であって、前記トランスの出力が定電流出力となる周波数fXに設定されることを特徴とする非接触給電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電システムであって、前記周波数制御手段が、給電の途中で、前記交流電源の周波数を、前記fXから前記f0、または、その逆に切換えることを特徴とする非接触給電システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の非接触給電システムであって、前記トランスの結合係数を、
k=M/(L1×L21/2
として、
(1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
を満たす異なる正の値y1、y2を求め、
前記fXを、
X≒y11/2×f0
または、
X≒y21/2×f0
に設定することを特徴とする非接触給電システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の非接触給電システムであって、前記一次コイルの巻数をN1、前記二次コイルの巻数をN2とし、前記交流電源の周波数がf0であるときの一次入力電圧をVIN、二次出力電圧をVLとするとき、前記トランスの結合係数を、
k≒c×(N2/N1)×(VIN/VL) (但し、cは一定の定数)
として、
(1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
を満たす異なる正の値y1、y2を求め、
前記fXを、
X≒y11/2×f0
または、
X≒y21/2×f0
に設定することを特徴とする非接触給電システム。
【請求項5】
空隙を隔てて置かれた一次コイル及び二次コイルで構成されるトランスを備え、交流電源で駆動される前記一次コイルから、前記二次コイルに電磁誘導作用により電力が給電される非接触給電システムであって、
前記一次コイルに直列に接続された直列コンデンサCS1と、
前記二次コイルに直列に接続された直列コンデンサCS2と、
前記交流電源の周波数を制御する周波数制御手段と、
を備え、
前記交流電源の周波数がf0であるときの前記一次コイルの自己インダクタンスをL1、前記二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、
前記一次コイルに接続された直列コンデンサの値CS1が、
1/CS1≒(2π×f02×L1
に設定され、前記二次コイルに接続された直列コンデンサの値CS2が、
1/CS2≒(2π×f02×L2
に設定され、
給電中の少なくとも一部期間に亘り、前記交流電源の周波数が、前記周波数制御手段により、前記f0と異なる周波数であって、前記トランスの出力が定電圧出力となる周波数fYに設定されることを特徴とする非接触給電システム。
【請求項6】
請求項5に記載の非接触給電システムであって、前記周波数制御手段が、給電の途中で、前記交流電源の周波数を、前記fYから前記f0、または、その逆に切換えることを特徴とする非接触給電システム。
【請求項7】
請求項5または6に記載の非接触給電システムであって、前記トランスの結合係数を、
k=M/(L1×L21/2
として、
前記fYを、
Y≒f0/(1+k)1/2
または、
Y≒f0/(1−k)1/2
に設定することを特徴とする非接触給電システム。
【請求項8】
空隙を隔てて置かれた一次コイル及び二次コイルで構成されるトランスを備えた非接触給電システムにより、交流電源で駆動される前記一次コイルから、前記二次コイルに電磁誘導作用により電力を給電する非接触給電方法であって、
前記一次コイルに直列に直列コンデンサCsを接続し、
前記二次コイルに並列に並列コンデンサCpを接続し、
前記交流電源の周波数がf0であるときの前記一次コイルの自己インダクタンスをL1、前記二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、
前記並列コンデンサの値Cpを、
1/Cp≒(2π×f02×L2
に設定し、前記直列コンデンサの値Csを、
1/Cs≒(2π×f02×(L1−M2/L2
に設定し、
給電中の少なくとも一部期間に亘り、前記交流電源の周波数を、前記f0と異なる周波数であって、前記トランスの出力が定電流出力となる周波数fXに設定することを特徴とする非接触給電方法。
【請求項9】
請求項8に記載の非接触給電方法であって、給電の途中で、前記交流電源の周波数を、前記fXから前記f0、または、その逆に切換えることを特徴とする非接触給電方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の非接触給電方法であって、前記トランスの結合係数を、
k=M/(L1×L21/2
として、
(1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
を満たす異なる正の値y1、y2を求め、
前記fXを、
X≒y11/2×f0
または、
X≒y21/2×f0
に設定することを特徴とする非接触給電方法。
【請求項11】
請求項8または9に記載の非接触給電方法であって、前記一次コイルの巻数をN1、前記二次コイルの巻数をN2とし、前記交流電源の周波数がf0であるときの前記交流電源の周波数がf0であるときの一次入力電圧をVIN、二次出力電圧をVLとするとき、前記トランスの結合係数を、
k≒c×(N2/N1)×(VIN/VL) (但し、cは一定の定数)
として、
(1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
を満たす異なる正の値y1、y2を求め、
前記fXを、
X≒y11/2×f0
または、
X≒y21/2×f0
に設定することを特徴とする非接触給電方法。
【請求項12】
空隙を隔てて置かれた一次コイル及び二次コイルで構成されるトランスを備えた非接触給電システムにより、交流電源で駆動される前記一次コイルから、前記二次コイルに電磁誘導作用により電力を給電する非接触給電方法であって、
前記一次コイルに直列に直列コンデンサCS1を接続し、
前記二次コイルに直列に直列コンデンサCS2を接続し、
前記交流電源の周波数がf0であるときの前記一次コイルの自己インダクタンスをL1、前記二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、
前記一次コイルに接続された直列コンデンサの値CS1を、
1/CS1≒(2π×f02×L1
に設定し、前記二次コイルに接続された直列コンデンサの値CS2を、
1/CS2≒(2π×f02×L2
に設定し、
給電中の少なくとも一部期間に亘り、前記交流電源の周波数を、前記f0と異なる周波数であって、前記トランスの出力が定電圧出力となる周波数fYに設定することを特徴とする非接触給電方法。
【請求項13】
請求項12に記載の非接触給電方法であって、給電の途中で、前記交流電源の周波数を、前記fYから前記f0、または、その逆に切換えることを特徴とする非接触給電方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の非接触給電方法であって、前記トランスの結合係数を、
k=M/(L1×L21/2
として、
前記fYを、
Y≒f0/(1+k)1/2
または、
Y≒f0/(1−k)1/2
に設定することを特徴とする非接触給電方法。
【請求項15】
空隙を隔てて置かれた一次コイル及び二次コイルで構成されるトランスを備えた非接触給電システムにより、交流電源で駆動される前記一次コイルから、前記二次コイルに電磁誘導作用により電力を給電し、二次電池を充電する二次電池の充電方法であって、
前記一次コイルに直列に直列コンデンサCsを接続し、
前記二次コイルに並列に並列コンデンサCpを接続し、
前記交流電源の周波数がf0であるときの前記一次コイルの自己インダクタンスをL1、前記二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、
前記並列コンデンサの値Cpを、
1/Cp≒(2π×f02×L2
に設定し、前記直列コンデンサの値Csを、
1/Cs≒(2π×f02×(L1−M2/L2
に設定し、
前記二次電池の電圧が所定電圧に達するまでは、前記交流電源の周波数を、前記f0と異なる周波数であって、前記トランスの出力が定電流出力となる周波数fXに設定し、前記二次電池の電圧が所定電圧に達した後は、前記交流電源の周波数をf0に設定することを特徴とする二次電池の充電方法。
【請求項16】
請求項15に記載の二次電池の充電方法であって、前記トランスの結合係数を、
k=M/(L1×L21/2
として、
(1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
を満たす異なる正の値y1、y2を求め、
前記fXを、
X≒y11/2×f0
または、
X≒y21/2×f0
に設定することを特徴とする二次電池の充電方法。
【請求項17】
請求項15に記載の二次電池の充電方法であって、前記一次コイルの巻数をN1、前記二次コイルの巻数をN2とし、前記交流電源の周波数がf0であるときの前記交流電源の周波数がf0であるときの一次入力電圧をVIN、二次出力電圧をVLとするとき、前記トランスの結合係数を、
k≒c×(N2/N1)×(VIN/VL) (但し、cは一定の定数)
として、
(1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
を満たす異なる正の値y1、y2を求め、
前記fXを、
X≒y11/2×f0
または、
X≒y21/2×f0
に設定することを特徴とする二次電池の充電方法。
【請求項18】
空隙を隔てて置かれた一次コイル及び二次コイルで構成されるトランスを備えた非接触給電システムにより、交流電源で駆動される前記一次コイルから、前記二次コイルに電磁誘導作用により電力を給電し、二次電池を充電する二次電池の充電方法であって、
前記一次コイルに直列に直列コンデンサCS1を接続し、
前記二次コイルに直列に直列コンデンサCS2を接続し、
前記交流電源の周波数がf0であるときの前記一次コイルの自己インダクタンスをL1、前記二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、
前記一次コイルに接続された直列コンデンサの値CS1を、
1/CS1≒(2π×f02×L1
に設定し、前記二次コイルに接続された直列コンデンサの値CS2を、
1/CS2≒(2π×f02×L2
に設定し、
前記二次電池の電圧が所定電圧に達するまでは、前記交流電源の周波数を、前記f0に設定し、前記二次電池の電圧が所定電圧に達した後は、前記f0と異なる周波数であって、前記トランスの出力が定電圧出力となる周波数fYに設定することを特徴とする二次電池の充電方法。
【請求項19】
請求項18に記載の二次電池の充電方法であって、前記トランスの結合係数を、
k=M/(L1×L21/2
として、
前記fYを、
Y≒f0/(1+k)1/2
または、
Y≒f0/(1−k)1/2
に設定することを特徴とする二次電池の充電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流電源で駆動される一次コイルから、空隙を隔てて置かれた二次コイルに電磁誘導作用により電力を給電する非接触給電システム、及び、その非接触給電方法、並びに、その方法を利用して二次電池を充電する二次電池充電方法に関し、定電圧及び定電流での給電を簡単に変換できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
非接触給電は、電動歯ブラシや電気シェーバー等の電化製品、或いはコードレス電話機や携帯電話機等の電子機器で実用化されており、また、電気自動車や産業用機器への給電手段として注目を集めている。
図7(a)は、この非接触給電システムの回路構成の一例を示している。
給電側は、商用電源41の交流を直流に変換する直流供給部42と、直流供給部42の出力を平滑化する平滑コンデンサ43と、直流を高周波交流に変換するインバータ44と、この高周波交流が入力する一次コイル(送電コイル)46と、インバータ44と一次コイル45との間に直列接続された一次側直列コンデンサ45とを備えている。
一方、受電側は、電磁誘導作用により送電コイル46から電力が給電される二次コイル(受電コイル)47と、二次コイル47と並列に接続された二次側並列コンデンサ48と、二次コイル47で受電された交流を整流する整流回路49と、整流回路49の出力を平滑化する平滑コンデンサ50と、整流された電流で充電される二次電池51とを備えており、非接触給電トランスを構成する一次コイル46及び二次コイル47を介して、給電側から受電側に給電が行われる。
【0003】
一次側直列コンデンサ45及び二次側並列コンデンサ48は、一次コイルと二次コイルとの間に空隙を有する非接触給電トランスの漏れリアクタンスを補償して給電効率を高めるために接続されている。一次側に直列コンデンサを接続し、二次側に並列コンデンサを接続する方式は“SP方式”と呼ばれる。
図7(b)に示す非接触給電システムでは、一次側に直列コンデンサ55を接続し、二次側に直列コンデンサ58を接続している。この方式は“SS方式”と呼ばれる。
【0004】
SP方式の非接触給電トランスは、図8(a)に示す簡略等価回路で表される。
図8(a)では、一次コイルの巻数をN1、二次コイルの巻数をN2として、一次側諸量は、巻数比a=N1/N2で二次側に換算しダッシュをつけて表している。インバータ出力電圧(一次入力電圧)をVIN、インバータ出力電流(一次入力電流)をIIN、負荷電圧(二次出力電圧)をVL、負荷電流(二次出力電流)をILで表すと、
V'IN=VIN/a I’IN=a×IIN
となる。また、一次自己インダクタンスをL1、二次自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとしている。
SP方式では、二次側のCpの値は、非接触給電トランスへの入力周波数f0(=ω0/2π)においてL2と共振するように、
(数1) 1/Cp=ω022
と設定され、一次側のCsの値は、一次側電源の出力力率が1となるように、
(数2) 1/Cs=a2/C’s=ω02(L1−M2/L2
と設定される。
【0005】
一次入力電圧V'IN、一次入力電流I'IN、二次出力電圧VL、二次出力電流ILの関係は、F行列を用いて(数3)のように表すことができる。
【数3】
図8(a)に示すように、簡略等価回路をA、B、C、D、Eに5分割すると、F行列は、(数4)に示すように、A・B・C・D・Eの積で表される。
【数4】
また、A、B、C、D、Eの各行列は、f0=ω0/2πのとき(数5)で表される。
【数5】
【0006】
SP方式のF行列は、(数6)のようになる。
【数6】
このF行列では、
12=F21=0
11=1/F22=M/(aL2
であるため、
(数7) V'IN=VIN/a=(M/(aL2))VL
IN=(M/L2)VL
となる。
(数7)は、SP方式の非接触給電トランスを定電圧電源で駆動した場合、二次側の出力が定電圧出力になることを示している。
なお、非接触給電トランスの結合係数kは、
k=M/(L1×L21/2
で表されるが、M/aL2は、一般に結合係数kに近い値となる(M/aL2≒k)。
【0007】
図8(b)は、SS方式の非接触給電トランスの簡略等価回路を示している。
SS方式では、一次側のCS1の値は、入力周波数f0においてL1と共振するように、
(数8) 1/CS1=ω021
と設定され、二次側のCS2の値は、入力周波数f0においてL2と共振するように、
(数9) 1/CS2=ω022
と設定される。
簡略等価回路をA、B、C、D、E’に5分割すると、A、B、C、D、E’の各行列は、f0=ω0/2πのとき(数10)のようになり、
【数10】
A・B・C・D・E’の積で表されるF行列を求めると、(数11)のようになる。
【数11】
【0008】
このF行列では、
11=F22=0
12=1/F21=−jω0M/a
であるため、
(数12) V'IN=VIN/a=F12・IL
IN=a・F12・IL
となる。
(数12)は、SS方式の非接触給電トランスを定電圧電源で駆動した場合、二次側の出力が定電流出力になることを示している。
【0009】
ところで、二次電池、特に、リチウム系二次電池では、充電効率を高め、且つ、過充電を防止するため、定電流で所定電圧まで充電した後、充電終了まで定電圧を保持する“定電流定電圧充電”が行われる。
例えば、下記特許文献1には、非接触給電の受電側の整流器と二次電池との間に充電器を配置して、この充電器が、二次電池に対する定電流定電圧充電を制御するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012−182887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、非接触給電において二次電池を充電する際の充電制御は複雑である。
本発明は、こうした事情を考慮して創案したものであり、非接触給電の出力を定電圧出力または定電流出力に簡単に切換えることができる非接触給電システム、及び、非接触給電方法を提供し、また、それを利用した二次電池充電方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、空隙を隔てて置かれた一次コイル及び二次コイルで構成されるトランスを備え、交流電源で駆動される一次コイルから、二次コイルに電磁誘導作用により電力が給電される非接触給電システムであって、一次コイルに直列に接続された直列コンデンサCsと、二次コイルに並列に接続された並列コンデンサCpと、交流電源の周波数を制御する周波数制御手段と、を備え、交流電源の周波数がf0であるときの一次コイルの自己インダクタンスをL1、二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、並列コンデンサの値Cpが、
1/Cp≒(2π×f02×L2
に設定され、直列コンデンサの値Csが、
1/Cs≒(2π×f02×(L1−M2/L2
に設定され、給電中の少なくとも一部期間に亘り、交流電源の周波数が、周波数制御手段により、f0と異なる周波数であって、トランスの出力が定電流出力となる周波数fXに設定されることを特徴とする。
このSP方式の非接触給電システムでは、定電圧で駆動される非接触給電トランスの交流電源の周波数をf0に設定すれば、(数3)のF行列のF12が0になって、二次側の出力が定電圧出力になり、交流電源の周波数を、(数3)のF行列のF11=0、F12≠0を満たす周波数fXに設定すれば、二次側の出力が定電流出力になる。
【0013】
また、本発明の非接触給電システムでは、周波数制御手段が、給電の途中で、交流電源の周波数を、fXからf0、または、その逆に切換える。
この切換えにより、二次側の出力を定電流出力から定電圧出力に変えたり、その逆に変えたりすることができる。
【0014】
また、本発明のSP方式の非接触給電システムでは、トランスの結合係数を、
k=M/(L1×L21/2
として、
(1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
を満たす異なる正の値y1、y2を求めることにより、fXを、
X≒y11/2×f0
または、
X≒y21/2×f0
として設定することができる。
【0015】
また、本発明のSP方式の非接触給電システムでは、一次コイルの巻数をN1、二次コイルの巻数をN2とし、交流電源の周波数がf0であるときの一次入力電圧をVIN、二次出力電圧をVLとするとき、トランスの結合係数を、
k≒c×(N2/N1)×(VIN/VL) (但し、cは一定の定数)
として、
(1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
を満たす異なる正の値y1、y2を求めることにより、fXを、
X≒y11/2×f0
または、
X≒y21/2×f0
として設定することもできる。
【0016】
また、本発明の非接触給電システムは、一次コイルに直列に接続された直列コンデンサCS1と、二次コイルに直列に接続された直列コンデンサCS2と、交流電源の周波数を制御する周波数制御手段と、を備え、交流電源の周波数がf0であるときの一次コイルの自己インダクタンスをL1、二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、一次コイルに接続された直列コンデンサの値CS1が、
1/CS1≒(2π×f02×L1
に設定され、二次コイルに接続された直列コンデンサの値CS2が、
1/CS2≒(2π×f02×L2
に設定され、給電中の少なくとも一部期間に亘り、交流電源の周波数が、周波数制御手段により、f0と異なる周波数であって、トランスの出力が定電圧出力となる周波数fYに設定されることを特徴とする。
このSS方式の非接触給電システムでは、定電圧で駆動される非接触給電トランスの交流電源の周波数をf0に設定すれば、(数3)のF行列のF11が0になって、二次側の出力が定電流出力になり、交流電源の周波数を、(数3)のF行列のF11≠0、F12=0を満たす周波数fYに設定すれば、二次側の出力が定電圧出力になる。
【0017】
また、本発明のSS方式の非接触給電システムでは、トランスの結合係数を、
k=M/(L1×L21/2
として、fYを、
Y≒f0/(1+k)1/2
または、
Y≒f0/(1−k)1/2
として設定することができる。
【0018】
また、本発明の非接触給電方法は、一次コイルに直列に直列コンデンサCsを接続し、二次コイルに並列に並列コンデンサCpを接続し、交流電源の周波数がf0であるときの一次コイルの自己インダクタンスをL1、二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、並列コンデンサの値Cpを、
1/Cp≒(2π×f02×L2
に設定し、直列コンデンサの値Csを、
1/Cs≒(2π×f02×(L1−M2/L2
に設定し、給電中の少なくとも一部期間に亘り、交流電源の周波数を、f0と異なる周波数であって、トランスの出力が定電流出力となる周波数fXに設定することを特徴とする。
このSP方式の非接触給電では、トランスの交流電源の周波数を、(数3)のF行列のF11=0、F12≠0を満たす周波数fXに設定することで、二次側の出力を定電流出力とすることができる。
【0019】
また、本発明の非接触給電方法は、一次コイルに直列に直列コンデンサCS1を接続し、二次コイルに直列に直列コンデンサCS2を接続し、交流電源の周波数がf0であるときの一次コイルの自己インダクタンスをL1、二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、一次コイルに接続された直列コンデンサの値CS1を、
1/CS1≒(2π×f02×L1
に設定し、二次コイルに接続された直列コンデンサの値CS2を、
1/CS2≒(2π×f02×L2
に設定し、給電中の少なくとも一部期間に亘り、交流電源の周波数を、f0と異なる周波数であって、トランスの出力が定電圧出力となる周波数fYに設定することを特徴とする。
このSS方式の非接触給電では、トランスの交流電源の周波数を、(数3)のF行列のF11≠0、F12=0を満たす周波数fYに設定することで、二次側の出力を定電圧出力とすることができる。
【0020】
また、本発明は、非接触給電システムにより二次電池を充電する二次電池の充電方法であって、一次コイルに直列に直列コンデンサCsを接続し、二次コイルに並列に並列コンデンサCpを接続し、交流電源の周波数がf0であるときの一次コイルの自己インダクタンスをL1、二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、並列コンデンサの値Cpを、
1/Cp≒(2π×f02×L2
に設定し、直列コンデンサの値Csを、
1/Cs≒(2π×f02×(L1−M2/L2
に設定し、二次電池の電圧が所定電圧に達するまでは、交流電源の周波数を、f0と異なる周波数であって、トランスの出力が定電流出力となる周波数fXに設定し、二次電池の電圧が所定電圧に達した後は、交流電源の周波数をf0に設定することを特徴とする。
このように、SP方式を採る非接触給電トランスの交流電源の周波数を給電途中で変えるだけで、二次電池に対する定電流定電圧充電が可能になる。
【0021】
また、本発明は、非接触給電システムにより二次電池を充電する二次電池の充電方法であって、一次コイルに直列に直列コンデンサCS1を接続し、二次コイルに直列に直列コンデンサCS2を接続し、交流電源の周波数がf0であるときの一次コイルの自己インダクタンスをL1、二次コイルの自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、一次コイルに接続された直列コンデンサの値CS1を、
1/CS1≒(2π×f02×L1
に設定し、二次コイルに接続された直列コンデンサの値CS2を、
1/CS2≒(2π×f02×L2
に設定し、二次電池の電圧が所定電圧に達するまでは、交流電源の周波数をf0に設定し、二次電池の電圧が所定電圧に達した後は、f0と異なる周波数であって、トランスの出力が定電圧出力となる周波数fYに設定することを特徴とする。
このように、SS方式を採る非接触給電トランスの交流電源の周波数を給電途中で変えるだけで、二次電池に対する定電流定電圧充電が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、非接触給電の出力を定電圧出力または定電流出力に簡単に切換えることができる。
また、この特性を利用して、二次電池の定電流定電圧充電を簡単に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る非接触給電システムの回路構成を示す図
図2】給電実験に用いたSP方式の非接触給電回路を示す図
図3】給電実験に用いた非接触給電トランスの定数を示す図
図4】給電実験の結果を示す図
図5】トランス入力インピーダンスの周波数特性を示す図
図6】SS方式の非接触給電トランスでのシミュレーションの結果を示す図
図7】従来の非接触給電システムの回路構成を示す図
図8図7の回路の簡易等価回路を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るSP方式の非接触給電システム(a)、及び、SS方式の非接触給電システム(b)の回路構成を示している。
これらのシステムでは、インバータ44を構成するIGBTのスイッチングのタイミングを切換えてインバータ44から出力される交流の周波数を制御する周波数制御手段60を備えている。
これらの回路構成の簡易等価回路は、図8(a)(b)に示した回路になる。
【0025】
SP方式の非接触給電システムでは、インバータ44の出力周波数がf0(=ω0/2π)であるときの一次コイル46の自己インダクタンスをL1、二次コイル47の自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、並列コンデンサ48の値Cpは、
(数1) 1/Cp=(2π×f02×L2
に設定され、直列コンデンサ45の値Csは、
(数2) 1/Cs=(2π×f02×(L1−M2/L2
に設定される。
この場合、インバータ44の出力周波数がf0であれば、先に説明したように、(数3)のF行列のF12が0になり、二次側の出力が定電圧出力になる。
【0026】
この回路では、周波数f0以外の周波数で駆動した場合に、(数3)のF行列のF11が0になる周波数fXが存在する。
Xは(数4)に(数5)を代入し、一般的な周波数fにおけるF行列を求めた後、周波数f0で(数1)(数2)を用いて決めたCS、CPの値を代入し、F11の値を0とする周波数fを求めることで導出できる。
ここでは、fX=f1(=ω1/2π)と置く。f1とf0の周波数比を、
1/f0=αSP
とするとき、周波数f1でのF行列は、(数13)のようになる。
【数13】
【0027】
この周波数f1は、結合係数kを、
k=M/(L1×L21/2
として、kのみを係数として含み、(αSP)2を変数yとする二次元方程式(数14)から求められる。
(数14) (1−k2)y2−(2−k2)y+1−k2=0
(数14)の解は、
1={2−k2+k(4−3k21/2}/2(1−k2
2={2−k2−k(4−3k21/2}/2(1−k2
の二つであり、求める周波数f1は、
1=y11/2×f0
1=y21/2×f0
となる。
交流電源の周波数がf1の場合、(数13)のF行列のF11が0であるため、二次側の出力は定電流出力になる。
【0028】
このように、このSP方式の非接触給電システムでは、周波数制御手段60が、定電圧駆動するインバータ44の出力周波数をf0に設定すると、非接触給電トランスの出力が定電圧出力になり、また、インバータ44の出力周波数をf1に設定すると、非接触給電トランスの出力が定電流出力になる。
そのため、SP方式の非接触給電システムにより二次電池を充電する場合、二次電池の電圧が所定電圧に達するまで、交流電源の周波数をf1に設定し、二次電池の電圧が所定電圧に達した後、交流電源の周波数をf0に維持することで定電流定電圧充電が可能になる。
【0029】
なお、SP方式の非接触給電システムでは、一次コイルの巻数がN1、二次コイルの巻数がN2、交流電源の周波数がf0のときの一次入力電圧がVIN、二次出力電圧がVLであるとき、トランスの結合係数kを、
k=c×(N2/N1)×(VIN/VL) (但し、cは一定の定数)
として求め、このkを用いて(数14)からy1及びy2を求めても良い。
【0030】
一方、SS方式の非接触給電システムでは、インバータ44の出力周波数がf0(=ω0/2π)であるときの一次コイル46の自己インダクタンスをL1、二次コイル47の自己インダクタンスをL2、相互インダクタンスをMとするとき、一次コイル46に接続される直列コンデンサ55の値CS1は、
(数8) 1/CS1=(2π×f02×L1
に設定され、二次コイル47に接続された直列コンデンサ58の値CS2は、
(数9) 1/CS2=(2π×f02×L2
に設定される。
この場合、インバータ44の出力周波数がf0であれば、先に説明したように、(数3)のF行列のF11が0になり、二次側の出力が定電流出力になる。
【0031】
この回路では、周波数f0以外の周波数で駆動した場合に、(数3)のF行列のF12が0になる周波数fYが存在する。
Yは(数4)に(数10)を代入し、一般的な周波数fにおけるF行列を求めた後、周波数f0で(数8)(数9)を用いて決めたCS1、CS2の値を代入し、F12の値を0とする周波数fを求めることで導出できる。
ここでは、fY=f1(=ω1/2π)と置く。f1とf0の周波数比を、
1/f0=αSS
とするとき、周波数f1でのF行列は、(数15)のようになる。
【数15】
【0032】
この周波数f1は、結合係数kを、
k=M/(L1×L21/2
として、
1=f0/(1+k)1/2
または、
1=f0/(1−k)1/2
となる。
交流電源の周波数がf1の場合、(数15)のF行列のF12が0であるため、二次側の出力は定電圧出力になる。
【0033】
このように、SS方式の非接触給電システムでは、周波数制御手段60が、定電圧駆動するインバータ44の出力周波数をf0に設定すると、非接触給電トランスの出力が定電流出力になり、また、インバータ44の出力周波数をf1に設定すると、非接触給電トランスの出力が定電圧出力になる。
そのため、SS方式の非接触給電システムで二次電池を充電する場合、二次電池の電圧が所定電圧に達するまで、交流電源の周波数をf0に設定し、二次電池の電圧が所定電圧に達した後、交流電源の周波数をf1に維持することで定電流定電圧充電が可能になる。
【0034】
次に、本発明を検証した実験結果について説明する。
図2は、給電実験を行ったSP方式の回路を示し、その定数を図3に示している。r1、r2は一次コイル、二次コイルの各抵抗を示している。
駆動周波数は、f0=100kHz、f1=68.5kHz、145kHzとしている。
図4は、トランス入力電圧を一定に保ち、負荷抵抗RBを14Ω、28Ω、56Ωに変えたときの各部の電圧、電流、電力PB及び給電効率ηと駆動周波数との関係を示している。
駆動周波数がf0=100kHzの場合、負荷抵抗RBが変化しても負荷電圧VLが略一定であり、定電圧出力特性が確認できる。また、駆動周波数がf1=68.5kHz及び145kHzの場合、負荷抵抗RBが変化しても負荷電流ILが略一定であり、定電流出力特性が確認できる。
【0035】
図5は、トランス入力インピーダンスZINの周波数特性を示している。|ZIN|は、定電圧出力となるf0=100kHzにおいて極大となり、定電流出力となるf1=68.5kHz及び145kHzにおいて極小となる。
図5から、SP方式の非接触給電では、駆動周波数をトランス入力インピーダンスの山部に設定すれば、トランス出力が定電圧出力となり、谷部に設定すれば、トランス出力が定電流出力になることが分かる。
【0036】
また、図6は、別の非接触給電トランスでSS方式の給電シミュレーションを行った結果を示している。
駆動周波数は、f0=85kHz、f1=77.8kHz、95kHzとしている。
駆動周波数f0=85kHzの場合は、インバータ出力電圧を一定(VIN=166V)に保ち、負荷抵抗RBを4.6Ω、9.2Ω及び18.4Ωに変えても、負荷電流ILはほぼ20Aで一定しており、定電流出力特性が確認できる。
また、駆動周波数を、定電圧出力特性を示す駆動周波数のf1=77.8kHz、95kHzに設定して、負荷抵抗RBを4.6Ω、9.2Ω及び18.4Ωに変えた場合は、負荷電圧VLが約160Vで一定しており、定電圧出力特性が確認できる。いずれの場合も給電効率ηは高く実用上問題はない。
【0037】
このように、この非接触給電システムでは、電源周波数の変更だけで、出力側を定電圧駆動から定電流駆動に変更可能であり、充電制御を大幅に簡略化できる。
なお、ここでは、CS、CP、CS1、CS2、f1及びkを求めるための等式を示しているが、本発明の実施に際しては、それらの値が、等式から得られる値から多少ずれていても実際上支障がない。
また、ここでは、kの値を用いてf1を算出する例を示したが、厳密なトランス定数を用いてf1を決定しても良い。
また、二次電池の充電に当たり、二次電池の電圧を検出して周波数制御手段に伝える検出手段を追加し、周波数制御手段が、検出手段の検出結果に基づいて駆動周波数の切換えを行うようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の非接触給電システムは、トランス出力を定電流出力から定電圧出力に切換えたり、その逆に切換えたりすることが簡単に実行可能であり、各種の充電方式を採る二次電池や電気二重層キャパシタ等を充電するために広く用いることができる。
【符号の説明】
【0039】
41 商用電源
42 直流供給部
43 平滑コンデンサ
44 インバータ
45 一次側直列コンデンサ
46 一次コイル(送電コイル)
47 二次コイル(受電コイル)
48 二次側並列コンデンサ
49 整流回路
50 平滑コンデンサ
51 二次電池
55 一次側直列コンデンサ
58 二次側直列コンデンサ
60 周波数制御手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8