特許第6269948号(P6269948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6269948
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】電力制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/32 20060101AFI20180122BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20180122BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   H02J3/32
   H02J3/38 130
   H02J7/35 K
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-88295(P2014-88295)
(22)【出願日】2014年4月22日
(65)【公開番号】特開2015-208158(P2015-208158A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2016年9月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100200159
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 仁志
(72)【発明者】
【氏名】芝田 利広
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 光好
(72)【発明者】
【氏名】星野 智史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寿明
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/017936(WO,A1)
【文献】 特開2013−176190(JP,A)
【文献】 特開2013−236518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−7/12
H02J 7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と、
放電時間帯、この放電時間帯と対応づけられた第1の放電容量、前記放電時間帯の中で設定される第1の時間帯、この第1の時間帯と対応づけられた第1の蓄電残量および第2の放電容量が設定されるとともに、前記第1の時間帯の開始時刻より前の前記放電時間帯に前記蓄電池の蓄電残量が第1の蓄電残量に達した場合、前記第1の時間帯に前記蓄電池の蓄電残量が第2の放電容量に達した場合、および放電時間帯であって前記第1の時間帯の後に前記蓄電池の蓄電残量が第1の放電容量に達した場合に前記蓄電池の放電を停止させる管理部と、
を備え
前記管理部は、
前記放電時間帯の中で前記第1の時間帯の開始時刻より前に設定される第2の時間帯および第2の時間帯と対応づけられた前記第1の蓄電残量よりも多い第2の蓄電残量をさらに設定し、前記第2の時間帯の開始時刻より前の前記放電時間帯に前記蓄電池の蓄電残量が第2の蓄電残量に達した場合、に前記蓄電池の放電を停止させる
ことを特徴とする電力制御システム。
【請求項2】
前記管理部は、
前記第1の時間帯および前記第2の時間帯における買電が所定の電力以下となるように、前記蓄電池の放電を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は電力制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
系統電力を蓄電池に充電し、必要な時間帯に放電する電力制御システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-369406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1によると、放電時間帯に蓄電を消費してしまい、ピーク時には使用できる蓄電が残っていない、という問題がある。また、その場合ピーク電力を確保しなければいけないため、契約電力を下げることが難しい。さらに、ピーク時のみに蓄電を放電すると、ピーク時以外の時間帯で有効活用できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の電力制御システムは、蓄電池と、第1の時間帯の開始時刻に、第1の時間帯と対応づけられた第1の蓄電残量を保有するよう前記蓄電池を制御可能である管理部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本実施形態によれば、ピーク電力を抑制しながら残量を有効に使用することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態にかかる電力制御システムの一例を示すシステム構成図
図2】第1の実施形態にかかる管理部のブロック図
図3】第1の実施形態にかかる操作部監視画面
図4】第1の実施形態にかかる操作部設定画面
図5】第1の実施形態にかかる操作部設定画面
図6】第1の実施形態にかかる設定条件例
図7】第1の実施形態にかかる電力制御システムの動作例を示すフロー
図8】第2の実施形態にかかる設定条件例
図9】第2の実施形態にかかる電力制御システムの動作例を示すフロー
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明にかかる実施形態の電力制御システムは、蓄電池と、放電時間帯、この放電時間帯と対応づけられた第1の放電容量、前記放電時間帯の中で設定される第1の時間帯、この第1の時間帯と対応づけられた第1の蓄電残量および第2の放電容量が設定されるとともに、前記第1の時間帯の開始時刻より前の前記放電時間帯に前記蓄電池の蓄電残量が第1の蓄電残量に達した場合、前記第1の時間帯に前記蓄電池の蓄電残量が第2の放電容量に達した場合、および放電時間帯であって前記第1の時間帯の後に前記蓄電池の蓄電残量が第1の放電容量に達した場合に前記蓄電池の放電を停止させる管理部と、を備える。また、管理部は、放電時間帯の中で前記第1の時間帯の開始時刻より前に設定される第2の時間帯および第2の時間帯と対応づけられた前記第1の蓄電残量よりも多い第2の蓄電残量をさらに設定し、前記第2の時間帯の開始時刻より前の前記放電時間帯に前記蓄電池の蓄電残量が第2の蓄電残量に達した場合、に前記蓄電池の放電を停止させる
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係る電力制御システムの一例を示すシステム構成図である。本実施形態に係る電力制御システムは、例えば住宅などの施設に設けられ、蓄電システム1、電力系統2、配電システム3を備える。
【0011】
蓄電システム1は蓄電池11、管理部12、および操作部13を備える。管理部12は、電力系統2に基づく蓄電池11の充電、および蓄電池11から配電システム3への放電を管理する。蓄電池11、管理部12および操作部13は、物理的に一体でもよいし、有線または無線で接続されている複数の個体でもよい。たとえば、蓄電池11を屋外に設置した場合、操作部13はユーザの利便性を考慮し、屋内に設置してもよい。操作部13で行われた操作入力の内容は、管理部12に引き渡される。管理部12は、前記操作入力の内容に基づいて蓄電池11の動作制御を行う。
【0012】
蓄電池11は、管理部12の指示に従い、電力系統2からの給電を蓄電し、非常時または所定のパターンで放電する。
【0013】
管理部12は、図2のような構成を有する。通信部120は、無線または有線通信回線を用いて蓄電池11および操作部13と通信を行う。記憶部121は、蓄電池11の運転条件、スケジュール、充放電パターンなど設定情報を格納する。測定部122は、蓄電池11の蓄電残量を測定する機能を有する。制御部123は、記憶部121および測定部122の情報を用いて、蓄電池11に所定のモードを用いた制御命令を送信する。なお、通信部120、記憶部121、測定部122、制御部123は、蓄電システム1のいずれの構成に位置してもよく、蓄電池11または操作部13と一体に構成してもよいし、独立していてもよい。
【0014】
操作部13はユーザの操作入力を受け付けるインターフェイスを有し、たとえば図3のように、蓄電システム1の監視画面を表示することもできる。また、図4図5のように、充電容量や放電容量等のパラメータの設定画面を表示し、操作入力を受け付けることもできる。ここでは、充電容量または放電容量を例えばレベル1から最大まで設定することができる。
【0015】
電力系統2は、電力会社が電力を住戸に供給または買取するためのシステムである。
【0016】
配電システム3は、分電盤31および少なくとも一つの負荷32からなる。分電盤31は、蓄電システム1、電力系統2、配電システム3の配電をそれぞれ管理する別個の分電盤であってもよいが、図1において簡略化して表す。負荷32は、たとえば家庭用電気機器など、電力消費を必要とする機器である。
【0017】
なお、図1に示すように、本実施形態の電力制御システムは、たとえば自家発電を行う太陽光発電システム5を備え、管理部12によって自家発電を蓄電システム1、電力系統2または配電システム3へ送電してもよい。また、蓄電システム1をHEMS(Home Energy Management System)または外部の情報と連系させるため、通信機能を操作部13または管理部12に具備させ、HGW4(Home Gateway)と情報の受け渡しを可能にしてもよい。本実施形態において、HGW4は宅内の無線または有線のネットワークを介し、配電システム3に属する負荷32などと通信可能であり、公衆回線にも接続可能な通信機器である。
【0018】
(第1の実施形態)
図1および図2に示した電力制御システムにおいて、ピーク時間18:00〜21:00の電力使用量が多く、ピーク電力を抑える場合のシステム動作を説明する。
【0019】
まず、管理部12に図6のような設定情報をもたせる。充電時間帯は00:00〜05:00と設定し、この時間帯では蓄電池11の蓄電残量(以下、蓄電残量)が「最大」に達するまで充電運転を行う。放電時間帯は05:00〜24:00と設定し、この時間帯では必要に応じて蓄電池11を放電させ、宅内の電力使用を賄う。なお、放電容量とは、残しておきたい蓄電量であり、緊急時に備えて保有したい蓄電量を設定する。本実施形態では「レベル1」と設定する。
【0020】
次に、ピーク前残量を「レベル4」と設定する。これは、ピーク抑制に利用できる電力であり、ピーク時間が始まる時刻である18:00までに最低限残しておきたい蓄電残量となる。また、ピーク買電力を「高」「中」「低」から、「中」を選択して設定する。ピーク買電力とは、ピーク時間帯に電力系統から購入する最大電力であり、契約電力内に収まる値である。すなわち、蓄電池11の放電制御を用いピーク時間帯の購入電力を下げることによって、契約電力を下げることが可能となる。本実施形態では、契約電力から一定の電力を減算した値を買電力とするよう、蓄電池11を制御し、前記一定の電力は、ピーク買電力が「高」であれば低い値、「低」であればより高い値を設定する。本実施形態では「中」を設定した場合、契約電力から2kW減算した値になるよう、蓄電池11の放電を制御するとしたが、項目ごとの数値はこれに限らず、設定値を自由に変更できてもよい。また、たとえば蓄電池11の定格出力を選択可能としてもよい。
【0021】
さらに、本実施形態の電力制御システムが発電システム5を具備している場合、発電システム5の出力に応じてピーク抑制の蓄電池放電力を制御してもよい。
【0022】
図7は、第1の実施形態にかかるシステムの放電時間帯(05:00〜24:00)の動作フローを示す。
【0023】
図7の動作フローは、時刻が05:00を超えると開始する(S700)。
【0024】
まず、システムは時刻が18:00を超過しているか判断する(S701)。すなわち、ピーク時間前であればS702に、ピーク時間帯であればS705に移行する。このとき、蓄電残量がピーク前残量と設定した「レベル4」以上あるか判断し(S702)、残量が「レベル4」以上あれば放電運転を行い、消費電力を賄う(S704)。残量が「レベル4」に達すると、運転を停止し(S703)、ピーク抑制に必要である蓄電残量を保留する。
【0025】
すなわち、ピーク時間帯開始前の動作S701からS704は、ピーク時間が開始したとき(18:00を超えたとき(S701))、または蓄電残量が「ピーク前残量」に達したとき(S702)に終了し、S705に移行する。
【0026】
次に、システムは時刻が21:00を超過しているか判断し(S705)、ピーク時間帯であればS706に、21:00を超過していればS709に移行する。S706では蓄電残量が放電容量に設定した「レベル1」以上あるか判断し、残量が「レベル1」以上あれば買電力が契約電力より設定値「2kW」減算した値になるよう、蓄電池の放電を制御してピーク抑制を行う(S708)。S706の判断で残量が「レベル1」に達すると、運転を停止(S707)する。つまり、緊急時に向けて最低限保有したい放電容量の設定値が「レベル1」であるため、蓄電残量が「レベル1」に達するまで運転を継続する(S707)。
【0027】
すなわち、ピーク時間帯の動作S705からS708は、ピーク時間帯が終了したとき(21:00を超えたとき(S705))、または蓄電残量が「放電容量」に達したとき(S706)に終了し、S709に移行する。
【0028】
次に、システムは時刻が放電時間帯であるか判断し(S709)、放電時間帯が終了していればフローを終了し、終了していなければ、残っている蓄電残量を放電容量の設定値「レベル1」まで使い切る(S710)。
【0029】
すなわち、ピーク時間帯終了後の動作S709からS712は、放電時間が終了したとき(24:00を超えたとき(S709))に終了する。
【0030】
(第1の実施形態の効果)
【0031】
第1の実施形態によると、電力消費のピークである時間帯に、買電力を抑制するための蓄電を保有することができ、かつ、非ピーク時間帯においても、蓄電を有効的に利用することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、早朝と夕方の消費電力が多い場合、二つのピーク時間帯においてピーク抑制を行いたい場合のシステムを説明する。
【0033】
まず、管理部12に図8のような設定情報をもたせる。充電時間帯は00:00〜05:00と設定し、この時間帯では蓄電池11の蓄電残量(以下、蓄電残量)が「最大」に達するまで充電運転を行う。放電時間帯は05:00〜24:00と設定し、この時間帯では必要に応じて蓄電池11を放電させ、宅内の電力使用を賄う。なお、放電容量とは、残しておきたい蓄電量であり、緊急時に備えて保留したい蓄電量を設定する。本実施形態では「レベル1」と設定する。
【0034】
次に、05:00〜08:00の朝のピーク(第1ピーク)前残量を「レベル5」、17:00〜20:00の夕方のピーク(第2ピーク)前残量を「レベル4」と設定する。これは、各ピーク時間帯において、ピーク抑制に利用できる電力であり、それぞれのピーク時間が始まるまでに最低限残しておきたい蓄電残量となる。なお、本実施形態では朝のピーク時間帯の開始時間が放電時間帯の開始時間と同じであるため、前夜に充電された充電容量分の蓄電が利用でき、設定の効力が発揮されないが、たとえば朝のピーク時間を09:00開始と設定した場合、5:00〜09:00の間で予想以上に蓄電池を使用すると、一回目のピーク時間でピーク抑制ができない恐れがある。このため、ピーク1前残量をレベル5として設定すれば、05:00〜09:00の間で蓄電残量が最大からレベル5の間まで使用することができる。
【0035】
また、ピーク買電力を「高」「中」「低」から、「中」を選択して設定する。電力系統から購入する最大電力、すなわち契約電力を下げたければ、より小さい値を設定する。さらに、本実施形態の電力制御システムが発電システム5を具備している場合、発電システム5の出力に応じてピーク抑制の蓄電池放電力を制御してもよい。
【0036】
図9は、第2の実施形態にかかるシステムの放電時間帯(05:00〜24:00)の動作フローを示す。
【0037】
図9の動作フローは、時刻が05:00を超えると開始する(S900)。
【0038】
まず、システムは時刻が08:00を超過しているか判断する(S901)。すなわち、朝のピーク時間帯であればS902に、朝のピーク時間後であればS905に移行する。このとき、蓄電残量がピーク前残量と設定した「レベル4」以上あるか判断し(S902)、残量が「レベル4」以上あればピーク抑制運転を行い、消費電力を賄う(S904)。このとき、買電力が契約電力から2kWを減算した値になるよう、蓄電池の放電を制御してピーク抑制を行う(S904)。残量が「レベル4」に達すると、運転を停止し(S903)、夕方のピーク抑制に必要である蓄電残量を保留する。
【0039】
すなわち、朝のピーク時間帯の動作S901からS904は、朝のピーク時間が終了したとき(08:00を超えたとき(S901))、または蓄電残量が次の「ピーク前残量」に達したとき(S902)に終了し、S905に移行する。
【0040】
次に、システムは時刻が次のピーク時間帯であるか判断し(S905)、同じく夕方のピーク抑制に必要である蓄電残量を保留するよう放電運転を行う(S906〜S908)。
【0041】
すなわち、ピーク時間帯の間に行われるシステムの動作S905からS908は、次のピーク時間帯が開始するとき(17:00を超えたとき(S905))、または蓄電残量が次の「ピーク前残量」に達したとき(S906)に終了し、S909に移行する。
【0042】
S909からS916の動作は、第1の実施形態におけるS705からS712の動作と同様であるため、説明を省く。
【0043】
(第2の実施形態の効果)
【0044】
第2の実施形態によると、電力使用のピーク時間が2つ以上ある場合でも、それぞれ必要となる買電力を抑制するための蓄電を保有することができ、かつ、非ピーク時間帯においても、蓄電を有効的に利用することができる。


【符号の説明】
【0045】
1…蓄電システム
11…蓄電池
12…管理部
13…操作部
2…電力系統

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9