(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[1 実施形態1]
以下、本発明に係るクレーンの取付装置の実施形態1を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「上下方向」、「前後方向」、および「車幅方向」といった場合には、特に断らない限り車両に関する各方向をいう。
【0011】
[1.1 トラッククレーンについて]
図1には、クレーンの取付装置を適用した作業機としてのトラッククレーン10が示されている。
【0012】
トラッククレーン10は、車両であるトラック11と、クレーンの一例であるカーゴクレーン50と、を有する。カーゴクレーン50は、後述する本実施形態のクレーンの取付装置によりトラック11に取り付けられている。
【0013】
トラック11は、車両の前後方向に延びるとともに車幅方向に所定間隔をとって配置された少なくとも2本(本実施形態では一対)の車両フレーム30(
図2参照)を備えている。一対の車両フレーム30には、カーゴクレーン50が取り付けられている。また、車両フレーム30には、前輪13、後輪14、荷台15、およびキャビン16などが設けられている。
【0014】
各車両フレーム30は、側方(本実施形態の場合、車幅方向の内側)が開放された矩形断面(つまり、略U字状の断面)のシャーシフレーム31と、シャーシフレーム31に重畳された閉断面の補強フレーム32とから構成されている。本実施形態の場合、補強フレーム32はシャーシフレーム31の上方に配置されている。車両フレーム30を構成する各部材については後述する。
【0015】
[1.2 クレーンの取付装置について]
まず、本実施形態に係るクレーンの取付装置の概要を説明する。本実施形態に係るクレーンの取付装置は、クレーン(例えば、カーゴクレーン50)を車両フレーム(例えば、車両フレーム30)に取り付けるためのクレーンの取付装置である。このようなクレーンの取付装置は、上記クレーンに固定されるとともに、上記車両フレームの上方に配置される上側取付部材(例えば、後述するボルト取付部54、120)と、上記車両フレームの下方に配置される下側取付部材(例えば、後述する連結部材37)と、上記車両フレームを車幅方向から挟んで配置され、それぞれが上記上側取付部材と上記下側取付部材とを上下方向に連結する一対のボルト(例えば、後述するボルトB1〜B4)と、上記一対のボルトのうち少なくとも一方のボルト(例えば、後述するボルトB1〜B4のうちのひとつ)に設けられ、上記一方のボルトと上記車両フレームとの間の車幅方向の隙間に配置されるスペーサ(例えば、後述するスペーサ60)と、を備える。
【0016】
図2は、具体的なクレーンの取付装置を示す。この取付装置は、2本の車両フレーム30の上方にカーゴクレーン50の基部をなす取付フレーム51が交差して置かれている。すなわち、取付フレーム51は、車幅方向に平行な状態で車両フレーム30の上側に配置されている。
【0017】
一方、車両フレーム30の下方には、下側取付部材である連結部材37が配置されている。連結部材37は取付フレーム51と上下方向に対向している。具体的には、取付フレーム51と車両フレーム30とが交差する位置において、取付フレーム51と連結部材37とが車両フレーム30を上下方向に挟んでいる。
【0018】
この状態で、取付フレーム51と連結部材37とは、車両フレーム30を車幅方向に跨いだ両側位置をボルトB1、B2およびボルトB3、B4(
図3参照)により上下方向に連結されている。
【0019】
すなわち、ボルトB1、B2(または、ボルトB3、B4)、取付フレーム51、および連結部材37は、車両フレーム30を四方から囲む略矩形枠状に連結されている。
【0020】
上述のように取付フレーム51が車両フレーム30に固定されることにより、カーゴクレーン50が車両フレーム30に取り付けられている。そして、車両フレーム30と各ボルトB1〜B4との隙間にスペーサ60が設けられている。
【0021】
スペーサ60は、取付フレーム、ボルトB1〜B4、および連結部材37の車両フレーム30に対する車幅方向のずれを防止している。本実施形態の場合、スペーサ60は各ボルトB1〜B4に挿通されている。
【0022】
取付フレーム51はカーゴクレーン50の基部を構成している。取付フレーム51は、外筒部110と、基部本体52と、取付サブフレーム53と、を有する。外筒部110、基部本体52、および取付サブフレーム53は一体に設けられている。
【0023】
基部本体52は、外筒部110の車幅方向における中心位置に、外筒部110と一体に設けられている。取付サブフレーム53は外筒部110と平行な状態で、基部本体52と一体に設けられている。取付フレーム51を構成する各部材の具体的構造については後述する。
【0024】
[1.2.1 シャーシフレームについて]
以下、車両フレーム30を構成する各部材について説明する。まず、シャーシフレーム31は、
図3ないし
図5に示すように、側方(本実施形態の場合、車幅方向の内側)が開放された矩形断面(つまり、略U字状の断面)を有する。このようなシャーシフレーム31は、縦壁部31Aと、上壁部31Bと、下壁部31Cと、を有する。
【0025】
上壁部31Bと下壁部31Cとの間には、シャーシフレーム31の潰れを防止するための潰れ防止部材33が設けられている。具体的には、潰れ防止部材33は、シャーシフレーム31の上壁部31Bと下壁部31Cとの間の開放位置(つまり、シャーシフレーム31の幅方向内側の開口部)のうち、前後方向においてボルトB1〜B4の締結位置と整合する部分に設けられている。
【0026】
潰れ防止部材33の下端には、プレート34およびストッパ35が溶接されている(
図6参照)。一方、潰れ防止部材33の上端には、L字形のサポート部材36が溶接されている(
図4参照)。
【0027】
潰れ防止部材33は、シャーシフレーム31の上壁部31Bと下壁部31Cとの間に叩きながら圧入されて取り付けられる。このとき、ストッパ35がシャーシフレーム31の下壁部31Cの前端縁に当接する。一方、サポート部材36が上壁部31Bと当接する。この当接により、シャーシフレーム31の上壁部31Bと下壁部31Cとの間に、潰れ防止部材33が入り込み過ぎないようにしている。上述のように配置された状態で、潰れ防止部材33はシャーシフレーム31の上下方向の潰れを防止している。
【0028】
また、サポート部材36の上部の折曲部36Bがシャーシフレーム31または補強フレーム32に溶接されることにより、潰れ防止部材33のずれが防止されている。
【0029】
[1.2.2 補強フレームについて]
補強フレーム32は、矩形断面形状の筒状部材である。補強フレーム32は、シャーシフレーム31の上壁部31Bの上面に溶接または締結用部品(例えば、ボルト、ボルトおよびナットの組)などの固定手段により固定されている。
【0030】
具体的には、補強フレーム32は、外壁部32Aと、上壁部32Bと、下壁部32Dと、内壁部32Cと、を有する。
【0031】
外壁部32Aは前後方向に長い矩形板状である。外壁部32Aは、長手方向が前後方向に一致するとともに短手方向が上下方向に一致した状態で設けられている。
【0032】
上壁部32Bは前後方向に長い矩形板状である。上壁部32Bは、外壁部32Aの上端部から車幅方向内側に折れ曲がった状態で設けられている。
【0033】
下壁部32Dは前後方向に長い矩形板状である。下壁部32Dは、外壁部32Aの下端部から車幅方向内側に折れ曲がった状態で設けられている。
【0034】
内壁部32Cは前後方向に長い矩形板状である。内壁部32Cは、上壁部32Bの車幅方向の内端と下壁部32Dの車幅方向の内端との間に、外壁部32Aと平行な状態で配置されている。
【0035】
上述のような補強フレーム32における下壁部32Dの下面は、溶接または締結用部品などの固定手段によりシャーシフレーム31における上壁部31Bの上面に固定されている。
【0036】
補強フレーム32の上壁部32Bの上面には、台座42、43が前後方向に離間した状態で設けられている。台座42、43は、上壁部32Bの上面のうち前後方向においてボルトB1〜B4と整合する部分に溶接されている台座42には、
図2に示すように、取付サブフレーム53が置かれている。
【0037】
一方、台座43には外筒部110のボルト取付部120が置かれている。台座42、43の突起40、41が
図8の取付フレーム51の前後方向位置を規制することにより、カーゴクレーン50の前後方向(車両に対する前後方向)へのずれが防止される。
【0038】
[1.2.3 連結部材について]
連結部材37の車幅方向の両端は、
図6に示すように、車両フレーム30よりも車幅方向の両側に突出している。換言すれば、連結部材37の車幅方向の寸法は、車両フレーム30の車幅方向の寸法よりも大きい。連結部材37における車幅方向の両端にはボルトB1〜B4を挿通可能なボルト孔37Aが形成されている。すなわち、ボルト孔37Aは、連結部材37のうち車両フレーム30よりも車幅方向の両側に突出した部分に形成されている。
【0039】
[1.2.4 スペーサについて]
スペーサ60は、多角形状の外周面と、ボルトB1〜B4と螺子係合する螺子孔61と、を有する。螺子孔61の中心Oから外周面の各辺までの距離は互いに異なっている。具体的には、スペーサ60は、
図7に示すように、偏心多角形(本実施形態の場合、六角形)を呈している。そして、スペーサ60のうち重心(つまり、
図7に示すスペーサ60の図心)から偏心した部分に螺子孔61が形成されている。
【0040】
螺子孔61の内面には、ボルトB1〜B4に螺子係合するメネジ61aが形成されている。螺子孔61の中心Oから各辺60A〜60Fまでの距離がそれぞれ異なる。したがって、螺子孔61のメネジ61aの谷から各辺60A〜60Fまでの距離がそれぞれ異なる。本実施形態の場合、上記各距離の大小関係は、Lf>Le>La>Ld>Lb>Lcである。
【0041】
スペーサ60は、本実施形態の六角形に限定されない。スペーサ60は六角形以外の多角形であってよい。また、本実施形態の場合、距離La〜Lfがそれぞれ異なるように設定されているが、距離La〜Lfは少なくとも2つだけ異なっていればよい。
【0042】
さらに、スペーサの外周面を
図7に示す平面視で円形に形成してもよい。この場合にも、スペーサのうち重心(つまり、
図7に示すスペーサ60の図心)から偏心した部分に、螺子孔が形成されていてよい。
【0043】
[1.3 クレーンについて]
カーゴクレーン50は、
図1及び
図2に示すように、取付フレーム51と、旋回ポスト65と、伸縮ブーム70と、起伏シリンダ80などと、を有する。取付フレーム51は車両フレーム30に固定されている。旋回ポスト65は取付フレーム51の基部本体52に旋回自在に支持されている。
【0044】
伸縮ブーム70は旋回ポスト65に起伏可能に装着されている。伸縮ブーム70は、ベースブーム71と、中間ブーム72と、先端ブーム73と、を有する。中間ブーム72および先端ブーム73は、この順序でベースブーム71内に外側から内側に入れ子式に組み合わされている。伸縮ブーム70の伸縮動作は伸縮シリンダ(図示せず)により行われる。一方、伸縮ブーム70の起伏動作は起伏シリンダ80により行われる。
【0045】
旋回ポスト65には、吊荷を吊るワイヤを巻き上げたり巻き下げたりするためのウインチ及び減速機(図示省略)が配置されている。
【0046】
[1.3.1 取付フレームについて]
取付フレーム51は、
図8ないし
図10に示すように、筒状の基部本体52と、外筒部110と、取付サブフレーム53と、を有している。
【0047】
外筒部110は基部本体52の車幅方向における両側の下部に基部本体52と一体に設けられている。外筒部110は基部本体52から車幅方向に延在している。外筒部110の車幅方向における両端部側には、それぞれアウトリガ装置100のアーム111が収納されている。
図2に示すように、アーム111が外筒部110内を進退することにより、アウトリガ装置100の下部に設けられたジャッキ装置112が車幅方向に伸縮する。
【0048】
[1.3.2 取付サブフレームについて]
取付サブフレーム53は、基部本体52の後部側の下部に基部本体52と一体に設けられている。取付サブフレーム53は外筒部110と平行に配置されている。
【0049】
具体的には、取付サブフレーム53は、
図8及び
図9に示すように、前壁部53Aと、後壁部53Bと、上壁部53Cと、底壁部53Dと、を有する。前壁部53Aと後壁部53Bとの間には前後方向における所定の隙間が形成されている。
【0050】
上壁部53Cにおける車幅方向の2箇所には、ボルトB1、B2を取り付けるためのボルト取付部54がそれぞれ形成されている。ボルト取付部5にボルトB1、B2を取り付けた状態でホルトB1、B2が車両フレーム30を車幅方向から挟める位置に、ボルト取付部5は設けられている。
【0051】
ボルト取付部54は、上側取付部材であって、長手方向が車幅方向(左右方向)に一致する長孔55を有する。長孔55はボルト取付部54を構成する上壁部53Cに形成されている。長孔55はボルトB1、B2を挿通可能な大きさおよび形状を有する。長孔55の長手方向の長さ寸法は車両フレーム30の車幅方向の寸法より大きい。すなわち、長孔55の車幅方向における両端は車両フレーム30よりも車幅方向の両側に突出している。
【0052】
なお、上側取付部材は取付フレーム51と別体として設けられてもよい。この場合には上側取付部材は、溶接、締結用部品などの固定手段により取付フレーム51に固定される。あるいは、上側取付部材は取付フレーム51と一体に設けられてもよい。
【0053】
なお、取付サブフレーム53のうち、長孔55と上下方向に対向する部分は下方に開口している。また、
図3に示すように、ボルトB1、B2における軸方向(
図3の上下方向)の両端部にはオネジB1a、B2a、B1b、B2bが形成されている。
【0054】
[1.3.3 外筒部について]
外筒部110は、
図8ないし
図10に示すように、矩形閉断面の筒状である。外筒部110は、前壁部110Aと、後壁部110Bと、上壁部110Cと、底壁部110Dと、を有する。前壁部110Aの前面の2箇所には、ボルトB3、B4を取り付けるためのボルト取付部120が設けられている。ボルト取付部120は上側取付部材である。
【0055】
ボルト取付部120は車幅方向(左右方向)に長い長孔121を有する。ボルト取付部120は取付サブフレーム53と前後方向に対向している。具体的には、ボルト取付部120は取付サブフレーム53のボルト取付部54と車幅方向に整合した位置に設けられている。また、ボルト取付部120の長孔121とボルト取付部54の長孔55とが車幅方向に整合している。
【0056】
また、
図3に示すように、ボルトB3、B4の両端部には、オネジB3a、B4a、B3b、B4bが形成されている。
【0057】
[1.4 カーゴクレーンの取り付け方について]
次に、カーゴクレーン50の取り付け方について説明する。なお、各車両フレーム30のシャーシフレーム31の所定位置には、
図4及び
図6に示すように潰れ防止部材33が予め取り付けられている。また、各補強フレーム32の所定位置には、
図3に示すように台座42、43が溶接によって予め取り付けられている。
【0058】
先ず、
図2に示すように、カーゴクレーン50の取付フレーム51を一対の車両フレーム30上に直交して置く。すなわち、取付フレーム51の取付サブフレーム53は各補強フレーム32の台座42上に置かれている。
【0059】
一方、取付フレーム51における外筒部110のボルト取付部120は各補強フレーム32の台座43上(
図3参照)に置かれている。このとき、台座42の突起40は取付サブフレーム53の前壁部53Aに当接している(
図2参照)。一方、台座43の突起41はボルト取付部120の前面に当接している。以上のように、ボルト取付部54、120と、台座42、43の突起40、41との係合により、取付フレーム51の前後方向のずれが防止される。
【0060】
次に、ボルトB1、B2の所定位置にスペーサ60を係合する。具体的には、ボルトB1、B2の下端部に形成されたオネジB1b、B2bに、スペーサ60のメネジ61aを螺合することにより、スペーサ60をボルトB1、B2に係合する。
【0061】
次いで、ボルト取付部54の長孔55における車幅方向の両端に、ボルトB1、B2を下方から挿通する。この状態で、長孔55に挿通されたボルトB1、B2は車両フレーム30を車幅方向から挟んでいる。
【0062】
次いで、ボルトB1、B2のうち長孔55よりも上方に突出した部分にそれぞれ座金Kを挿通する。次いで、ボルトB1、B2の上端部のうち座金Kよりも上方の部分にナットN1a、N2aを螺合する。本実施形態の場合、ボルトB1、B2のそれぞれに2個のナットN1a、N2aが螺合されている(つまり、ダブルナット)。なお、この状態では、ボルトB1、B2とナットN1a、N2aとは仮固定である。
【0063】
次いで、ボルトB1、B2の下端を連結部材37の孔37Aに上方から挿通する。そして、ボルトB1、B2のうち連結部材37よりも下方に突出した部分にナットN1b、N2bを螺合する。本実施形態の場合、ボルトB1、B2のそれぞれに2個のナットN1b、N2bが螺合されている(つまり、ダブルナット)。なお、この状態では、ボルトB1、B2とナットN1b、N2bとは仮固定である。
【0064】
次いで、例えば、ボルトB1に取り付けられたスペーサ60の外周面(つまり、各辺60A〜60F)の何れかの面を、シャーシフレーム31の縦壁面である縦壁部31Aに当接させる。このような作業は、長孔55の内側でボルトB1の上端部を車幅方向に移動させる動作と、スペーサ60を回転させる動作とを組み合わせて行う。本実施形態の場合、例えば
図12に示すように、スペーサ60の辺60Dがシャーシフレーム31の縦壁部31Aに当接している。
【0065】
同様に、ボルトB2に取り付けられたスペーサ60の外周面(つまり、各辺60A〜60F)の何れかの面を、潰れ防止部材33の車幅方向の側面に当接させる。このような作業は、ボルトB2の上端部を長孔55の内側で車幅方向に移動させる動作と、スペーサ60を回転させる動作とを組み合わせて行う。
【0066】
本実施の形態の場合、例えば
図12に示すように、スペーサ60の辺60Dが潰れ防止部材33に当接している。この状態でボルトB1、B2に螺合されたナットN1a、N2a、N1b、N2bを締め付けることにより、ナットN1a、N2a、N1b、N2bを完全固定する。
【0067】
以上のように、仮固定によりスペーサ60と車両フレーム30との間の隙間がなくなった状態で、ダブルナットを構成するナットN1a、N2a、N1b、N2bを完全固定する。この際、スペーサ60の上下両側からナット(図示せず)で挟み込んで、スペーサ60の回転を防止してもよい。なお、上記完全固定する際、座金Kはボルト取付部54、120に溶接により固定する。
【0068】
なお、上述のスペーサ60を回転させる動作はボルトB2を回転させて行う。ただし、スペーサ60を回転させる動作はスペーサ60を直接回転させて行ってもよい。
【0069】
上述のような取り付け作業は、ボルトB3、B4に関しても同様である。すなわち、上述の説明のうちボルトB1、B2をボルトB3、B4に、ナットN1a、N2a、N1b、N2bをナットN3a、N3b、N4a、N4aに、それぞれ読み替えればよい。このため、車両フレーム30と連結部材37とをボルトB3、B4により連結する作業に関する説明は省略する。
【0070】
上述のように完全固定した状態で、車両フレーム30と各ボルトB1、B2、B3、B4との隙間にはスペーサ60が設けられている。
【0071】
ところで、車種によってボルトB1、B3とシャーシフレーム31の縦壁部31Aとの隙間の離間距離やボルトB2、B4と潰れ防止部材33との隙間の離間距離が異なる。本実施形態の場合、スペーサ60の回転位置を調整することにより、スペーサ60の各辺60A〜60Fの何れかを縦壁部31Aまたは潰れ防止部材33に当接できる。このため、トラック11の車種に拘りなくスペーサ60をシャーシフレーム31の縦壁部31Aや潰れ防止部材33に当接させられる。または、スペーサ60と縦壁部31Aや潰れ防止部材33との間の隙間が最小となるように設定することができる。
【0072】
上述の取り付け作業により、カーゴクレーン50の取付フレーム51が一対の車両フレーム30に固定される。
【0073】
また、取付フレーム51の基部本体52に予め組み付けられた旋回ポストに対して、伸縮ブーム70および起伏シリンダ80などを組付けることにより、カーゴクレーン50が一対の車両フレーム30に組み付けられる。
【0074】
以上のように、本実施形態の場合、
図11に示すように、ボルトB1、B3に取り付けられた各スペーサ60の辺60Dをシャーシフレーム31の縦壁部31Aに当接させるとともに、ボルトB2、B4に取り付けた各スペーサ60の辺60Dを潰れ防止部材33に当接させている。このため、カーゴクレーン50の取付フレーム51は車幅方向へのずれが防止される。この結果、カーゴクレーン50、ボルトB1〜B4、および連結部材37の車両フレーム30に対する車幅方向へのずれが防止される。
【0075】
また、長孔55および長孔121の内側でボルトB1〜B4を車幅方向に移動させる動作と、スペーサ60を回転させる動作とを組み合わせてスペーサ60の回転位置を調整することにより、スペーサ60の各辺60A〜60Fの何れかをシャーシフレーム31の縦壁部31Aや潰れ防止部材33に当接させられる。このため、トラック11の車種に拘りなくカーゴクレーン50、ボルトB1〜B4、および連結部材37の車両フレーム30に対する車幅方向へのずれを効果的に防止できる。
【0076】
あるいは、上述のようにスペーサ60の回転位置を調整することにより、スペーサ60と縦壁部31Aや潰れ防止部材33との間の隙間を最小となるように設定することができる。このため、トラック11の車種に拘りなくカーゴクレーン50、ボルトB1〜B4、および連結部材37の車両フレーム30に対する車幅方向へのずれを低減できる。また、本実施形態の構造は、スペーサ60を各ボルトB1〜B4に取り付けただけの簡単な構造であるため、安価なクレーンの取付装置を提供できる。
なお、スペーサ60は、ボルトB1〜B4のオネジB1b〜B4bに螺子係合により取り付けられている。このため、スペーサ60の上下方向の移動を規制する構造を別途設ける必要がない。
【0077】
[1.5 変形例について]
図13に示す変形例1の構造の場合、ボルトB1、B3にはスペーサ60が設けられていない。ボルトB1、B3はシャーシフレーム31の縦壁部31Aに直接当接している。
【0078】
一方、ボルトB2、B4にはスペーサ60が設けられている。すなわち、
図13に示す構造の場合、ボルトB2、B4にのみスペーサ60が設けられている。そして、ボルトB2、B4に固定されたスペーサ60の辺60A〜60Fのうちのいずれかの辺が、潰れ防止部材33に当接している(
図13においては辺60Eを当接させた場合を示す)。このような構造により、カーゴクレーン50、ボルトB1〜B4、および連結部材37の車両フレーム30に対する車幅方向へのずれが防止あるいは低減される。この場合も、上述のようにスペーサ60と潰れ防止部材33との間の隙間が最小となるように設定してもよい。
【0079】
また、変形例2として、ボルトB1、B3のみにスペーサ60を設けてもよい。この場合には、ボルトB2、B4を潰れ防止部材33の車幅方向の側面に当接させる。
【0080】
また、変形例3として、一対の車両フレーム30よりも車幅方向の内側に設けられたボルトB2、B4にのみスペーサ60を設けてもよい。あるいは、一対の車両フレーム30よりも車幅方向の外側に設けられたボルトB1、B3にのみスペーサ60を設けてもよい。上述の変形例2乃至4の構造も、カーゴクレーン50、ボルトB1〜B4、および連結部材37の車両フレーム30に対する車幅方向へのずれを防止あるいは低減できる。
【0081】
また、各ボルトB1〜B4にスペーサ60を1つだけ設けているが、各ボルトB1〜B4に複数のスペーサ60を設けてもよい。この場合には、各ボルトB1〜B4のオネジ部B1b〜B4bを長く形成するとともに、複数のスペーサ60を互いに所定間隔をあけて設けてもよい。このような構造によれば、カーゴクレーン50の車両フレーム30に対する車幅方向へのずれをより効果的に防止するあるいは低減できる。
【0082】
上述の実施形態では、シャーシフレーム31と補強フレーム32とを有する車両フレーム30に対してカーゴクレーン50を取り付ける取付装置について説明した。これに限らずシャーシフレーム31のみから構成される車両フレームに取り付ける取付装置であってもよい。
【0083】
また、この発明は、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更をも包含するものであり、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0084】
2016年03月17日出願の特願2016−054418の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
クレーンの取付装置を、クレーンを車両フレームに取り付けるためのクレーンの取付装置であって、クレーンに固定されるとともに、車両フレームの上方に配置される上側取付部材と、車両フレームの下方に配置される下側取付部材と、車両フレームを車幅方向から挟んで配置され、それぞれが上側取付部材と下側取付部材とを上下方向に連結する一対のボルトと、一対のボルトのうち少なくとも一方のボルトに設けられ、一方のボルトと車両フレームとの間の車幅方向の隙間に配置されるスペーサと、を備えるように構成する。