特許第6270139号(P6270139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三浦工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6270139-加熱冷却システム 図000002
  • 特許6270139-加熱冷却システム 図000003
  • 特許6270139-加熱冷却システム 図000004
  • 特許6270139-加熱冷却システム 図000005
  • 特許6270139-加熱冷却システム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6270139
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】加熱冷却システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/04 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
   F01K23/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-56068(P2014-56068)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2015-178789(P2015-178789A)
(43)【公開日】2015年10月8日
【審査請求日】2016年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】金丸 真嘉
【審査官】 高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−057305(JP,A)
【文献】 特開2013−181511(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0168973(US,A1)
【文献】 特開2012−215319(JP,A)
【文献】 特開昭61−149507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置された複数のランキンサイクルを備え、
前記各ランキンサイクルの蒸発器に、与熱流体が順に通され、前記各ランキンサイクルの作動流体が加熱される一方、与熱流体を冷却して降温し、
前記各ランキンサイクルの凝縮器に、前記与熱流体が通される順序とは逆の順序で受熱流体が順に通され、前記各ランキンサイクルの作動流体が冷却される一方、受熱流体を加熱して昇温する加熱冷却システムであって、
並列に配置された複数のランキンサイクルは、それぞれ二段のランキンサイクルを備え、一方のランキンサイクルの上段ランキンサイクルと、他方のランキンサイクルの下段ランキンサイクルとが、一つのランキンサイクルにまとめられ、
このまとめられたランキンサイクルは、第一凝縮器と第二凝縮器とを備えると共に、第一蒸発器と第二蒸発器とを備え、
前記第一凝縮器は、前記一方のランキンサイクルの下段ランキンサイクルの蒸発器を兼ねており、
前記第一蒸発器は、前記他方のランキンサイクルの上段ランキンサイクルの凝縮器を兼ねており、
前記他方のランキンサイクルの上段ランキンサイクルの蒸発器と、前記第二蒸発器とに与熱流体が順に通され、
前記一方のランキンサイクルの下段ランキンサイクルの凝縮器と、前記第二凝縮器とに受熱流体が順に通される
ことを特徴とする加熱冷却システム。
【請求項2】
前記各ランキンサイクルの蒸発器を通過後の前記与熱流体の出口温度(T2L)が、前記各ランキンサイクルの凝縮器を通過後の前記受熱流体の出口温度(T1H)よりも低い
ことを特徴とする請求項1に記載の加熱冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のランキンサイクルを用いて、凝縮器において流体を加熱して昇温する一方、蒸発器において流体を冷却して降温する、加熱冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、蒸発器(6)、膨張機(7)、凝縮器(9)および循環ポンプ(10)を備えたランキンサイクル(2)が知られている。ランキンサイクル(2)の作動流体は、蒸発器(6)において熱源水(5)から吸熱して気化し、膨張機(7)を回転させて被動機としての発電機(3)を駆動し、凝縮器(9)において冷却水(8)に放熱して液化する。そして、作動流体は、再び、循環ポンプ(10)により、蒸発器(6)へ送られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−100971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ランキンサイクルを単独で用いた場合、膨張機において取り出せる仕事量には限界がある。特に、凝縮器においてランキンサイクルの作動流体で加熱される受熱流体を昇温する一方、蒸発器においてランキンサイクルの作動流体を加熱する与熱流体を降温する場合、一つのランキンサイクルを用いただけでは、取り出せる仕事量に限界があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、凝縮器において受熱流体を加熱して昇温する一方、蒸発器において与熱流体を冷却して降温する加熱冷却システムにおいて、被動機へ取り出せる仕事量を増加させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、並列に配置された複数のランキンサイクルを備え、前記各ランキンサイクルの蒸発器に、与熱流体が順に通され、前記各ランキンサイクルの作動流体が加熱される一方、与熱流体を冷却して降温し、前記各ランキンサイクルの凝縮器に、前記与熱流体が通される順序とは逆の順序で受熱流体が順に通され、前記各ランキンサイクルの作動流体が冷却される一方、受熱流体を加熱して昇温する加熱冷却システムであって、並列に配置された複数のランキンサイクルは、それぞれ二段のランキンサイクルを備え、一方のランキンサイクルの上段ランキンサイクルと、他方のランキンサイクルの下段ランキンサイクルとが、一つのランキンサイクルにまとめられ、このまとめられたランキンサイクルは、第一凝縮器と第二凝縮器とを備えると共に、第一蒸発器と第二蒸発器とを備え、前記第一凝縮器は、前記一方のランキンサイクルの下段ランキンサイクルの蒸発器を兼ねており、前記第一蒸発器は、前記他方のランキンサイクルの上段ランキンサイクルの凝縮器を兼ねており、前記他方のランキンサイクルの上段ランキンサイクルの蒸発器と、前記第二蒸発器とに与熱流体が順に通され、前記一方のランキンサイクルの下段ランキンサイクルの凝縮器と、前記第二凝縮器とに受熱流体が順に通されることを特徴とする加熱冷却システムである。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、並列に配置された複数のランキンサイクルについて、一部の段を一つにまとめることで、加熱冷却システム全体の構成を簡略化することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記各ランキンサイクルの蒸発器を通過後の前記与熱流体の出口温度(T2L)が、前記各ランキンサイクルの凝縮器を通過後の前記受熱流体の出口温度(T1H)よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の加熱冷却システムである。
【0009】
与熱流体の出口温度(T2L)が受熱流体の出口温度(T1H)よりも低い場合、従来の単段のランキンサイクルは適用できないが、請求項2に記載の発明によれば、そのような条件にも適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、凝縮器において受熱流体を加熱して昇温する一方、蒸発器において与熱流体を冷却して降温する加熱冷却システムにおいて、被動機へ取り出せる仕事量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の加熱冷却システムの一実施例を示す概略図である。
図2図1の加熱冷却システムのT−S線図の一例であり、縦軸が温度T、横軸がエントロピSを示している。
図3図1の加熱冷却システムのT−S線図の他の例であり、縦軸が温度T、横軸がエントロピSを示している。
図4図1の加熱冷却システムの変形例を示す概略図である。
図5図4の加熱冷却システムのT−S線図の一例であり、縦軸が温度T、横軸がエントロピSを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の加熱冷却システム1の一実施例を示す概略図である。また、図2および図3は、本実施例の加熱冷却システム1のT−S線図の一例と他の例であり、縦軸が温度T、横軸がエントロピSを示している。
【0017】
本実施例の加熱冷却システム1は、第一ランキンサイクル2と第二ランキンサイクル3とを備える。
【0018】
第一ランキンサイクル2は、本実施例では単段のランキンサイクルから構成される。具体的には、第一ランキンサイクル2は、給水ポンプ4、蒸発器5、膨張機6および凝縮器7が順次環状に接続されて構成され、この回路内には作動流体が相変化を伴って循環される。なお、作動流体は、たとえば水または冷媒である。
【0019】
給水ポンプ4は、凝縮器7にて液化した作動流体を、蒸発器5へ供給する。
【0020】
蒸発器5は、作動流体を与熱流体で加熱して気化する。つまり、蒸発器5は、作動流体と与熱流体との間接熱交換器であり、与熱流体の熱で作動流体を加熱して蒸気とする。この際、与熱流体は、作動流体により冷却されて降温する。なお、図1において、流路8に、与熱流体が通される。
【0021】
膨張機6は、蒸発器5にて気化した作動流体が通され、作動流体の圧力と温度を低下させる。膨張機6は、特に問わないが、たとえば、タービン、スクリュ式膨張機またはスクロール式膨張機である。膨張機6は、典型的には、蒸発器5からの作動流体で回転され、被動機(図示省略)を稼働させる。被動機は、特に問わないが、典型的には発電機または圧縮機(たとえば空気圧縮機)である。
【0022】
凝縮器7は、作動流体を受熱流体で冷却して液化する。つまり、凝縮器7は、作動流体と受熱流体との間接熱交換器であり、作動流体を受熱流体で冷却して凝縮させる。この際、受熱流体は、作動流体により加熱されて昇温する。なお、図1において、流路9に、受熱流体が通される。
【0023】
蒸発器5において作動流体を加熱する与熱流体は、作動流体で冷却され降温される。つまり、与熱流体は、蒸発器5において顕熱を放出する。たとえば、与熱流体は排温水であり、蒸発器5において作動流体により冷却され、排水される。
【0024】
凝縮器7において作動流体で加熱される受熱流体は、作動流体で加熱され昇温される。つまり、受熱流体は、凝縮器7において顕熱を取得する。たとえば、受熱流体は水であり、凝縮器7において作動流体により加熱され、温水として導出される。
【0025】
第二ランキンサイクル3は、本実施例では単段のランキンサイクルから構成される。具体的には、第二ランキンサイクル3は、給水ポンプ10、蒸発器11、膨張機12および凝縮器13が順次環状に接続されて構成され、この回路内には作動流体が相変化を伴って循環される。第二ランキンサイクル3を構成する給水ポンプ10、蒸発器11、膨張機12および凝縮器13は、第一ランキンサイクル2を構成する給水ポンプ4、蒸発器5、膨張機6および凝縮器7と同様であるため、説明を省略する。
【0026】
各ランキンサイクル2,3の蒸発器5,11に与熱流体が通される順序と、各ランキンサイクル2,3の凝縮器7,13に受熱流体が通される順序とは、逆になっている。具体的には、与熱流体は、第二ランキンサイクル3の蒸発器11に通された後、第一ランキンサイクル2の蒸発器5に通される一方、受熱流体は、第一ランキンサイクル2の凝縮器7に通された後、第二ランキンサイクル3の凝縮器13に通される。与熱流体は、各ランキンサイクル3,2の蒸発器11,5を順に通されることで、順次冷却され降温される一方、受熱流体は、各ランキンサイクル2,3の凝縮器7,13を順に通されることで、順次加熱され昇温される。
【0027】
なお、第一ランキンサイクル2の膨張機6、および第二ランキンサイクル3の膨張機12では、たとえば発電機や空気圧縮機などの被動機を稼働させるが、この際、各膨張機6,12からの動力をまとめて一つの(つまり共通の)被動機を稼働させてもよいし、各膨張機6,12において被動機を個別に稼働させてもよい。
【0028】
本実施例の加熱冷却システム1は、図2に示すように、T−S線図において、二つの略台形として示される。二つの略台形の内、左側の略台形が第一ランキンサイクル2を示し、右側の略台形が第二ランキンサイクル3を示す。そして、各ランキンサイクル2,3において、作動流体は、a1−b1、a2−b2間で給水ポンプ4,10による断熱圧縮、b1−b1´−c1、b2−b2´−c2間で蒸発器5,11による等圧加熱、c1−d1、c2−d2間で膨張機6,12による断熱膨張、d1−a1、d2−a2間で凝縮器7,13による等圧冷却される。なお、図から明らかなとおり、ここでは、c1=a2の関係にある。さらに、典型的には、S3=(S1+S2)/2の関係にある。
【0029】
また、蒸発器11,5において作動流体に熱を与える与熱流体をT2HからT2Lまで降温し、凝縮器7,13において作動流体から熱を受ける受熱流体をT1LからT1Hまで昇温し、膨張機6,12において被動機(たとえば発電機)を稼働して仕事を取り出すことができる。
【0030】
図3のT−S線図に基づき、本発明の加熱冷却システム1のメリットについて説明する。ここでは、蒸発器11,5において作動流体に熱を与える与熱流体をT2HからT2Lまで降温し、凝縮器7,13において作動流体から熱を受ける受熱流体をT1LからT1Hまで昇温し、膨張機6,12において被動機(たとえば発電機)を稼働して仕事を取り出す場合を考える。
【0031】
本発明の加熱冷却システム1は、図3に示すように、T−S線図において、実線で示される二つの略台形として示される。実線で示される二つの略台形の内、左側の略台形が第一ランキンサイクル2を示し、右側の略台形が第二ランキンサイクル3を示す。一方、二点鎖線で示される略台形は、従来のランキンサイクルを示す。
【0032】
二点鎖線で示される従来のランキンサイクルは、周知のとおり、理想状態では、作動流体は、a−b間で給水ポンプによる断熱圧縮、b−b´−c間で蒸発器による等圧加熱、c−d間で膨張機による断熱膨張、d−a間で凝縮器による等圧冷却される。また、受熱流体の状態を示す傾斜線L1、および与熱流体の状態を示す傾斜線L2は、物質に応じて定まり既知である。
【0033】
さて、ランキンサイクルの作動流体は、与熱流体との熱交換で加熱される関係上、与熱流体の温度勾配を示す傾斜線L2よりも高くはできない。そのため、ランキンサイクルの作動流体の蒸発温度は、理論上、前記傾斜線L2と接する点が限界である。もちろん、実際には、与熱流体と作動流体との熱交換には所定の温度差が必要であるから、作動流体の蒸発温度は、前記傾斜線L2よりも低くなる。
【0034】
一方、膨張機において、断熱熱落差があるほど、仕事量を取り出すことができる。しかし、ランキンサイクルの作動流体は、受熱流体との熱交換で冷却される関係上、受熱流体の温度勾配を示す傾斜線L1よりも低くはできない。そのため、ランキンサイクルの作動流体の凝縮温度は、理論上、前記傾斜線L1と接する点が限界である。もちろん、実際には、受熱流体と作動流体との熱交換には所定の温度差が必要であるから、作動流体の凝縮温度は、前記傾斜線L1よりも高くなる。
【0035】
また、ランキンサイクルで囲まれた面積は、仕事量であるから、最大限に仕事を引き出すには、T−S線図上で可能な限り大きくランキンサイクルを組むのが好適である。このようなことから、従来、二点鎖線で示すように、ランキンサイクルが組まれる。
【0036】
一方、本実施例のランキンサイクル2,3は、実線で示されるものであるから、二点鎖線で示される従来のランキンサイクルよりも、さらに仕事を取り出すことができる。たとえば、膨張機6,12で発電機を稼働させる場合、システム全体の発電効率を向上することができる。しかも、従来のランキンサイクルの場合、図3に示すように、与熱流体の出口温度T2Lが、受熱流体の出口温度T1Hよりも高くなければ適用することができない(ランキンサイクルを組めない)が、本発明によれば、図2に示すように、与熱流体の出口温度T2Lが、受熱流体の出口温度T1Hよりも低くても適用することができる。
【0037】
本発明の加熱冷却システム1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。たとえば、前記実施例において、第一ランキンサイクル2および第二ランキンサイクル3は、それぞれ単段のランキンサイクルから構成したが、場合により、一方または双方を複数段のランキンサイクルから構成してもよい。その場合、隣接する上下のランキンサイクルは、下段(低温側サイクル)の蒸発器を兼ねる上段(高温側サイクル)の凝縮器が、作動流体同士を混ぜることなく熱交換する間接熱交換器であってもよいし、作動流体同士を直接に接触させて熱交換する直接熱交換器であってもよい。また、複数段の場合、最上段の蒸発器において、作動流体と与熱流体とが熱交換され、最下段の凝縮器において、作動流体と受熱流体とが熱交換される。
【0038】
第一ランキンサイクル2と第二ランキンサイクル3とが、それぞれ複数段のランキンサイクルで構成される場合について説明する。この場合、第一ランキンサイクル2の最下段のランキンサイクルは、第二ランキンサイクル3の最下段のランキンサイクルよりも低温でのサイクルとされる。また、第二ランキンサイクル3の最上段のランキンサイクルは、第一ランキンサイクル2の最上段のランキンサイクルよりも高温でのサイクルとされる。たとえば、第一ランキンサイクル2と第二ランキンサイクル3とが、それぞれ二段のランキンサイクルから構成され、第一ランキンサイクル2の上段ランキンサイクルと、第二ランキンサイクル3の下段ランキンサイクルとは、典型的には、蒸発器における作動流体の温度が同等(同一または設定範囲内)とされ、凝縮器における作動流体の温度が同等(同一または設定範囲内)とされる。いずれにしても、第二ランキンサイクル3の最上段の蒸発器と、第一ランキンサイクル2の最上段の蒸発器とに、与熱流体が順に通され、第一ランキンサイクル2の最下段の凝縮器と、第二ランキンサイクル3の最下段の凝縮器とに、受熱流体が順に通される。なお、後述するように、第二ランキンサイクル3が並列に設置された複数のランキンサイクルから構成される場合において、隣接して配置されるランキンサイクル同士も同様の関係で構成することができる。
【0039】
また、図2図3では、受熱流体の温度勾配を示す傾斜線L1と、与熱流体の温度勾配を示す傾斜線L2とが平行であったが、必ずしも平行である必要はない。
【0040】
また、前記実施例において、第二ランキンサイクル3は、並列に設置された複数のランキンサイクルから構成されてもよい。言い換えれば、前記実施例において、第一ランキンサイクル2や第二ランキンサイクル3に加えて、第三ランキンサイクルを設けてもよい他、さらに第四ランキンサイクル、第五ランキンサイクル、…というように、全体としてn個(n≧2)のランキンサイクルを並列に設置してもよい。この場合も、このn個のランキンサイクルは、各最上段の蒸発器に与熱流体が順に通され、これとは逆の順序で、各最下段の凝縮器に受熱流体が順に通される。そして、各蒸発器において与熱流体を冷却して降温し、各凝縮器において受熱流体を加熱して昇温する。
【0041】
さらに、前記実施例の変形例として、図4に示す構成とすることもできる。この加熱冷却システム1では、第一ランキンサイクル2と第二ランキンサイクル3とが、それぞれ二段のランキンサイクル2A,2B、3A,3Bから構成され、第一ランキンサイクル2の上段ランキンサイクル2Bと、第二ランキンサイクル3の下段ランキンサイクル3Bとが、一つのランキンサイクル14にまとめられている。このまとめられたランキンサイクル14は、第一凝縮器15と第二凝縮器16とを備えると共に、第一蒸発器17と第二蒸発器18とを備える。第一凝縮器15は、第一ランキンサイクル2の下段ランキンサイクル2Aの蒸発器を兼ねており、第一蒸発器17は、第二ランキンサイクル3の上段ランキンサイクル3Aの凝縮器を兼ねている。そして、第二ランキンサイクル3の上段ランキンサイクル3Aの蒸発器11Aと、第二蒸発器18とに与熱流体が順に通され、第一ランキンサイクル2の下段ランキンサイクル2Aの凝縮器7Aと、第二凝縮器16とに受熱流体が順に通される。この変形例のT−S線図を図5に示すが、右上の略台形と左下の略台形の分だけ、従来の単段のランキンサイクルと比べて仕事を取り出すことができる。その他は、前記実施例やその変形例と同様のため、説明を省略する。
【0042】
なお、図4において、第一ランキンサイクル2の下段ランキンサイクル2Aをさらに複数段としてもよい。たとえば、第一ランキンサイクル2の下段ランキンサイクル2Aを二段として、その内の上段のランキンサイクルは、第一凝縮器と第二凝縮器とを備え、第一凝縮器で下段のランキンサイクルと接続する。そして、受熱流体は、最下段の凝縮器7Aを通された後、下段から上段へと順次、第二凝縮器に通される。第一ランキンサイクル2の下段ランキンサイクル2Aを三段以上とする場合も、最下段を除く各段に、第一凝縮器と第二凝縮器とを設ければよい。
【0043】
同様に、図4において、第二ランキンサイクル3の上段ランキンサイクル3Aをさらに複数段としてもよい。たとえば、第二ランキンサイクル3の上段ランキンサイクル3Aを二段とし、その内、下段のランキンサイクルは、第一蒸発器と第二蒸発器とを備え、第一蒸発器で上段のランキンサイクルと接続する。そして、与熱流体は、最上段の蒸発器を通された後、上段から下段へと順次、第二蒸発器に通される。第二ランキンサイクル3の上段ランキンサイクル3Aを三段以上とする場合も、最上段を除く各段に、第一蒸発器と第二蒸発器とを設ければよい。
【符号の説明】
【0044】
1 加熱冷却システム
2 第一ランキンサイクル
3 第二ランキンサイクル
4 給水ポンプ
5 蒸発器
6 膨張機
7 凝縮器
8 与熱流体の流路
9 受熱流体の流路
10 給水ポンプ
11 蒸発器
12 膨張機
13 凝縮器
14 まとめられたランキンサイクル
15 第一凝縮器
16 第二凝縮器
17 第一蒸発器
18 第二蒸発器
図1
図2
図3
図4
図5