(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両の運転席とは異なる他席側に設けられ、前記車両の原動機の始動及び停止用のスイッチと連動してオン/オフする電源開閉部を介して前記車両の電源の正極に接続されている他席用ユニットであって、
前記他席側の窓を閉める場合に操作される第1の接点、及び、前記他席側の窓を開ける場合に操作される第2の接点を有するモメンタリ型の他席用サブスイッチを
含み、
前記第1の接点は、
前記他席側の窓を開閉する他席用モータの一端に接続されている第1の共通端子と、
第1の配線及び前記電源開閉部を介して前記電源の正極に接続され、前記他席側の窓を閉める操作により前記第1の共通端子と接続される第1の常開端子と、
第1の常閉端子と
を備え、
前記第2の接点は、
前記他席用モータの他端に接続されている第2の共通端子と、
前記第1の配線及び前記電源開閉部を介して前記電源の正極に接続され、前記他席側の窓を開ける操作により前記第2の共通端子と接続される第2の常開端子と、
第2の常閉端子と
を備える他席用ユニットと第2の配線及び第3の配線を介して接続されるとともに、前記車両の運転席側に設けられ、前記運転席側の窓及び前記他席側の窓の開閉を制御する窓開閉制御装置において、
前記運転席側の窓を開閉操作するための運転席用メインスイッチと、
前記他席側の窓を閉める場合に操作される第3の接点、及び、前記他席側の窓を開ける場合に操作される第4の接点を有し、前記他席側の窓を開閉操作するための他席用メインスイッチと、
前記他席用モータに流れる電流を検出するモータ電流検出部と、
第1のリレー接点であって、
前記第2の配線により前記第1の常閉端子と接続されている第1の共通リレー端子と、
前記電源開閉部を介さずに前記電源の正極に接続されている第1の常開リレー端子と、
グラウンドに接続されている第1の常閉リレー端子と
を備える第1のリレー接点を有し、前記他席側の窓を閉める場合に駆動される第1のリレー回路と、
第2のリレー接点であって、
前記第3の配線により前記第2の常閉端子と接続されている第2の共通リレー端子と、
前記電源開閉部を介さずに前記電源の正極に接続されている第2の常開リレー端子と、
グラウンドに接続されている第2の常閉リレー端子と
を備える第2のリレー接点を有し、前記他席側の窓を開ける場合に駆動される第2のリレー回路と、
前記運転席用メインスイッチ及び前記他席用メインスイッチから信号が入力され、前記運転席用メインスイッチ及び前記他席用メインスイッチに対する操作を検出する操作検出部と、
前記他席用メインスイッチに対する操作に応じて、前記第1のリレー回路及び前記第2のリレー回路を制御する開閉制御部と、
前記モータ電流検出部により検出されたモータ電流に基づいて、前記他席側の窓の挟み込みを検出する挟み込み検出部と
を含み、
前記開閉制御部は、前記他席側の窓の挟み込みが検出された場合、前記第1の共通リレー端子と前記第1の常閉リレー端子を接続するとともに、前記第2の共通リレー端子と前記第2の常開リレー端子を接続し、前記他席側の窓を反転させる反転動作を実行する
窓開閉制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0026】
<1.実施の形態>
{パワーウインドウシステム1の構成例}
図1は、本発明を適用したパワーウインドウシステムの第1の実施の形態であるパワーウインドウシステム1の構成例を示す回路図である。なお、以下、パワーウインドウシステム1が、車両の運転席側、助手席側、右後部座席側、及び、左後部座席側の4つの窓の開閉を行う場合について説明する。
【0027】
なお、以下、運転席側の窓、助手席側の窓、右後部座席側の窓、及び、左後部座席側の窓を、それぞれ単に運転席の窓、助手席の窓、右後部座席の窓、及び、左後部座席の窓とも称する。また、以下、運転席とは異なる席を他席と総称する。
【0028】
パワーウインドウシステム1は、窓開閉制御システム11、モータ12、モータ13a乃至13c、メインリレー14、BCM(Body Control Module)15、イグニッションスイッチ16、及び、電源Bを含むように構成される。
【0029】
窓開閉制御システム11は、車両の窓の開閉を行うための操作部を含み、操作部に対する操作に応じて、モータ12及びモータ13a乃至13cに流れるモータ電流のオン/オフ及び方向を制御し、車両の各窓の開閉を制御する。なお、モータ12は、運転席の窓の開閉を行うモータであり、モータ13a乃至13cは、それぞれ助手席、右後部座席、及び、左後部座席の窓の開閉を行うモータである。
【0030】
メインリレー14は、BCM15の制御の下に、電源Bからモータ13a乃至13cへの電路を開閉する電源開閉部である。より具体的には、BCM15は、メインリレー14のオン/オフをイグニッションスイッチ16と連動させる。例えば、BCM15は、イグニッションスイッチ16がオンされたとき、メインリレー14をオンする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給が可能になり、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉が可能になる。一方、BCM15は、イグニッションスイッチ16がオフされたとき、メインリレー14をオフする。これにより、電源Bからモータ13a乃至13cへのモータ電流の供給ができなくなり、他席用ユニット22a乃至22cを操作しても、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉ができなくなる。
【0031】
電源Bは、例えば、車両に設けられているバッテリからなり、パワーウインドウシステム1の各部の駆動用の電力を供給する。
【0032】
窓開閉制御システム11は、窓開閉制御装置21、及び、他席用ユニット22a乃至22cを含むように構成される。なお、他席用ユニット22a乃至22cは、メインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。
【0033】
窓開閉制御装置21は、運転席付近(例えば、運転席側のドアの内側)に設けられ、運転席の窓及び他席の窓の開閉を運転席から行うための装置である。窓開閉制御装置21は、例えば、1つの筐体内に各部品が納められた1つのユニットとして提供される。
【0034】
他席用ユニット22aは、助手席付近(例えば、助手席側のドアの内側)に設けられ、助手席において助手席の窓の開閉を行うためのユニットである。
【0035】
他席用ユニット22bは、右後部座席付近(例えば、右後部座席側のドアの内側)に設けられ、右後部座席において右後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
【0036】
他席用ユニット22cは、左後部座席付近(例えば、左後部座席側のドアの内側)に設けられ、左後部座席において左後部座席の窓の開閉を行うためのユニットである。
【0037】
窓開閉制御装置21は、制御部31、運転席用メインスイッチ32、他席用メインスイッチ33a乃至33c、運転席用制御回路34、他席用制御回路35a乃至35c、及び、電源回路36を含むように構成される。
【0038】
制御部31は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。制御部31は、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作に応じて、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cを制御し、車両の各窓の開閉を制御する。また、制御部31は、運転席用制御回路34及び他席用制御回路35a乃至35cから供給されるモータ電流の検出結果等に基づいて、各窓の動作方向(開いているか閉じているか)、各窓の開閉方向の位置(以下、単に各窓の位置と称する)、及び、挟み込みの検出を行う。
【0039】
運転席用メインスイッチ32は、運転席において運転席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。運転席用メインスイッチ32は、接点51L、51U、51D及び51A、並びに、入力回路52を含むように構成される。
【0040】
接点51Lは、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cの操作によるモータ13aの動作を無効にするロック機能の設定を行う場合に操作される常開型の接点である。接点51Lは、ロック機能を設定する操作を行った場合にオンし、解除する操作を行った場合にオフする。
【0041】
接点51Uは、運転席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点51Uは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
【0042】
接点51Dは、運転席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点51Dは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
【0043】
接点51Aは、運転席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点51Aは、運転席用メインスイッチ32に対して運転席の窓を自動的に閉めるための開操作(以下、オート閉操作と称する)又は自動的に開けるための開操作(以下、オート開操作と称する)が行われた場合にオンする。また、接点51Aは、例えば、運転席の窓が全閉若しくは全開した場合、又は、運転席の窓を自動的に開閉するオート動作を解除する操作が行われた場合にオフする。
【0044】
なお、以下、オート閉操作に対して、マニュアルで窓を閉めるための閉操作をマニュアル閉操作とも称し、マニュアルで窓を開けるための開操作をマニュアル開操作とも称する。
【0045】
なお、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作の方法は、スイッチの仕様により異なる。例えば、運転席用メインスイッチ32の操作ノブ(不図示)に対する操作の強弱により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを軽く引き上げる操作がマニュアル閉操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く引き上げる操作がオート閉操作とされる。一方、例えば、操作ノブを軽く押す操作がマニュアル開操作とされ、さらに力を加え、操作ノブをもう一段階強く押す操作がオート開操作とされる。
【0046】
或いは、例えば、運転席用メインスイッチの操作ノブに対する操作時間により、マニュアル操作とオート操作が区別される。例えば、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間未満である場合、マニュアル閉操作とされ、操作ノブを引き上げる時間が所定の時間以上である場合、オート閉操作とされる。一方、操作ノブを押す時間が所定の時間未満である場合、マニュアル開操作とされ、操作ノブを押す時間が所定の時間以上である場合、オート開操作とされる。
【0047】
入力回路52は、接点51L、51U、51D及び51Aの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
【0048】
他席用メインスイッチ33aは、運転席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33aは、接点61Ua、61Da及び61Aa、並びに、入力回路62aを含むように構成される。
【0049】
接点61Uaは、助手席の窓を閉める場合に操作される常開型の接点である。接点61Uaは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合にオンし、閉操作が行われていない場合にオフする。
【0050】
接点61Daは、助手席の窓を開ける場合に操作される常開型の接点である。接点61Daは、他席用メインスイッチ33aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合にオンし、開操作が行われていない場合にオフする。
【0051】
接点61Aaは、助手席の窓を自動で開閉する場合に操作される常開型の接点である。接点61Aaは、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作又はオート開操作が行われた場合にオンする。また、接点61Aaは、例えば、助手席の窓が全閉若しくは全開した場合、又は、助手席の窓のオート動作を解除する操作が行われた場合にオフする。
【0052】
なお、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル操作とオート操作は、例えば、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル操作とオート操作と同様の方法により行われる。
【0053】
入力回路62aは、接点61Ua、61Da及び61Aaの各接点の状態を示す信号を制御部31に供給する。
【0054】
他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、それぞれ運転席において右後部座席及び左後部座席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用メインスイッチ33b及び他席用メインスイッチ33cは、他席用メインスイッチ33aと同様の回路構成を有しており、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用メインスイッチ33bの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用メインスイッチ33cの各部の符号には、他席用メインスイッチ33aの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
【0055】
運転席用制御回路34は、モータ12の制御を行う回路である。運転席用制御回路34は、切替回路71、駆動回路72、増幅回路73、及び、抵抗器R11を含むように構成される。
【0056】
切替回路71は、運転席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路71U(リレー接点71YUのみ図示)、並びに、運転席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路71D(リレー接点71YDのみ図示)を含むように構成される。
【0057】
リレー回路71Uは、コイル71XU(不図示)、及び、コイル71XUを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YUを備えている。リレー接点71YUの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YUの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YUの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L1を介してモータ12の一端に接続されている。
【0058】
リレー回路71Dは、コイル71XD(不図示)、及び、コイル71XDを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点71YDを備えている。リレー接点71YDの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に接続されている。リレー接点71YDの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R11を介してグラウンドに接続されている。リレー接点71YDの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L2を介してモータ12の他端に接続されている。
【0059】
駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71U及び71Dを駆動する。すなわち、駆動回路72は、制御部31の制御の下に、リレー回路71Uのコイル71XU、及び、リレー回路71Dのコイル71XDへの駆動電流を制御することにより、リレー接点71YU及び71YDの状態を制御する。
【0060】
増幅回路73は、抵抗器R11の両端に接続されている。増幅回路73は、切替回路71から出力されるモータ12のモータ電流により抵抗器R11の両端に生じる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路73からの入力電圧に基づいて、モータ12のモータ電流の監視を行う。
【0061】
なお、以下、モータ12のリレー接点71YUのc接点が接続されている一端から、リレー接点71YDのc接点が接続されている他端の方向にモータ電流が流れる方向を順方向と称し、その逆のモータ12の他端から一端の方向にモータ電流が流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ12に順方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が上方向に移動し、運転席の窓が閉まり、モータ12に逆方向のモータ電流が流れた場合、運転席の窓が下方向に移動し、運転席の窓が開くものとする。
【0062】
他席用制御回路35aは、他席用ユニット22aを介して、モータ13aの制御を行う回路である。他席用制御回路35aは、切替回路81a、駆動回路82a、増幅回路83a、及び、抵抗器R21aを含むように構成される。
【0063】
切替回路81aは、助手席の窓を閉める場合に駆動されるリレー回路81Ua(リレー接点81YUaのみ図示)、並びに、助手席の窓を開ける場合に駆動されるリレー回路81Da(リレー接点81YDaのみ図示)を含むように構成される。
【0064】
リレー回路81Uaは、コイル81XUa(不図示)、及び、コイル81XUaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YUaを備えている。リレー接点81YUaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に直接接続されている。リレー接点81YUaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R21aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YUaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L4aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Uaの端子bに接続されている。
【0065】
リレー回路81Daは、コイル81XDa(不図示)、及び、コイル81XDaを流れる駆動電流により状態が切り替わる切替接点からなるリレー接点81YDaを備えている。リレー接点81YDaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L3を介して電源Bの正極に直接接続されている。リレー接点81YDaの常閉端子(NC端子)である端子bは、抵抗器R21aを介してグラウンドに接続されている。リレー接点81YDaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L5aを介して、他席用サブスイッチ91aの接点91Daの端子bに接続されている。
【0066】
駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Ua及び81Daを駆動する。すなわち、駆動回路82aは、制御部31の制御の下に、リレー回路81Uaのコイル81XUa、及び、リレー回路81Daのコイル81XDaへの駆動電流を制御し、リレー接点81YUa及び81YDaの状態を制御する。
【0067】
増幅回路83aは、モータ13aに流れるモータ電流を検出するモータ電流検出部としての抵抗器R21aの両端に接続されている。そして、増幅回路83aは、切替回路81aから出力されるモータ13aのモータ電流により抵抗器R21aの両端に生じる電圧を増幅して、制御部31に入力する。制御部31は、増幅回路83aからの入力電圧に基づいて、モータ13aのモータ電流の監視を行う。
【0068】
他席用制御回路35bは、他席用ユニット22bを介して、モータ13bの制御を行う回路であり、他席用制御回路35cは、他席用ユニット22cを介して、モータ13cの制御を行う回路である。他席用制御回路35b及び他席用制御回路35cの回路構成は、他席用制御回路35aと同様であり、その説明及び図示は省略する。なお、図示を省略した他席用制御回路35bの各部の符号には、他席用制御回路35aの各部の符号の末尾の”a”を”b”に置き換えた符号を用いる。また、図示を省略した他席用制御回路35cの各部の符号には、他席用制御回路35cの各部の符号の末尾の”a”を”c”に置き換えた符号を用いる。
【0069】
なお、図示は省略するが、切替回路81bのリレー接点81YUbの端子a及びリレー接点81YDbの端子a、並びに、切替回路81cのリレー接点81YUcの端子a及びリレー接点81YDcの端子aも、配線L3を介して電源Bの正極に直接接続されている。
【0070】
電源回路36は、配線L3を介して電源Bの正極に接続され、電源Bからの電力を窓開閉制御装置21の各部に供給する。
【0071】
他席用ユニット22aは、他席用サブスイッチ91aを含むように構成される。
【0072】
他席用サブスイッチ91aは、助手席において助手席の窓を開閉操作するためのモメンタリ型の操作スイッチである。他席用サブスイッチ91aは、接点91Ua及び91Daを含むように構成される。
【0073】
接点91Uaは、助手席の窓を閉めるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Uaの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Uaの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L4aを介してリレー接点81YUaの端子cに接続されている。接点91Uaの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L7aを介してモータ13aの一端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を閉めるための閉操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、閉操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
【0074】
接点91Daは、助手席の窓を開けるために他席用サブスイッチ91aが操作された場合に切り替わる切替接点である。接点91Daの常開端子(NO端子)である端子aは、配線L6及びメインリレー14を介して電源Bの正極に接続されている。接点91Daの常閉端子(NC端子)である端子bは、配線L5aを介してリレー接点81YDaの端子cに接続されている。接点91Daの共通端子(コモン端子)である端子cは、配線L8aを介してモータ13aの他端に接続されている。例えば、他席用サブスイッチ91aに対して助手席の窓を開けるための開操作が行われている場合、端子aと端子cが接続され、開操作が行われていない場合、端子bと端子cが接続される。
【0075】
なお、以下、モータ13aの接点91Uaのc接点が接続されている一端から、リレー接点91Daのc接点が接続されている他端の方向にモータ電流が流れる方向を順方向と称し、その逆のモータ13aの他端から一端の方向にモータ電流が流れる方向を逆方向と称する。また、以下、モータ13aに順方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が上方向に移動し、助手席の窓が閉まり、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れた場合、助手席の窓が下方向に移動し、助手席の窓が開くものとする。
【0076】
なお、他席用ユニット22b及び22cの回路構成は、他席用ユニット22aと同様であり、その説明は省略する。
【0077】
ここで、窓開閉制御装置21とモータ12とは、配線L1,L2の2本の配線で接続され、窓開閉制御装置21と各他席用ユニット22a乃至22cとは、配線L4a乃至L4c及び配線L5a乃至L5cの6本の配線で接続されている。すなわち、窓開閉制御装置21は、車両に設けられているモータ12及び他席用ユニット22a乃至22cと少ない配線で簡単に接続することが可能である。
【0078】
また、メインリレー14と他席用ユニット22a乃至22cとが、配線L6を介して接続されている。
【0079】
なお、以下、モータ13a乃至13cを個々に区別する必要がない場合、単にモータ13と称する。また、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35cをそれぞれ個々に区別する必要がない場合、それぞれ単に他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35と称する。
【0080】
さらに、以下、他席用ユニット22a乃至22c、他席用メインスイッチ33a乃至33c、及び、他席用制御回路35a乃至35c内の各部を個々に区別する必要がない場合、末尾の”a”乃至”c”を除いた符号を用いる。例えば、他席用ユニット22a乃至22cの他席用サブスイッチ91a乃至91cを個々に区別する必要がない場合、単に他席用サブスイッチ91と称する。
【0081】
また、以下、切替接点の端子aと端子cを接続すること(a接点をオンすること)を、切替接点をオンすると称する。例えば、接点91Uaの端子aと端子cを接続することを、接点91Uaをオンすると称する。また、以下、切替接点の端子bと端子cを接続すること(b接点をオンすること)を、切替接点をオフすると称する。例えば、接点91Uaの端子bと端子cを接続することを、接点91Uaをオフすると称する。
【0082】
{制御部31の機能の構成例}
図2は、制御部31の機能の構成例を示している。制御部31は、操作検出部101、窓位置検出部102、挟み込み検出部103、及び、開閉制御部104を含むように構成される。なお、この図には、制御部31の機能の一部であり、以下の説明に必要な機能のみを図示している。
【0083】
操作検出部101は、入力回路52及び62a乃至62cから供給される信号に基づいて、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作を検出する。また、操作検出部101は、増幅回路83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。そして、操作検出部101は、モータ13a乃至13cのモータ電流に基づいて、他席用サブスイッチ91a乃至91cに対する操作を検出する。操作検出部101は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
【0084】
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。窓位置検出部102は、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流、並びに、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作の検出結果に基づいて、車両の各席の窓の位置及び動作方向を検出する。窓位置検出部102は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
【0085】
挟み込み検出部103は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流を監視する。挟み込み検出部103は、モータ12及びモータ13a乃至13cのモータ電流、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作の検出結果、並びに、車両の各席の窓の位置及び動作方向の検出結果に基づいて、各窓の挟み込みの検出を行う。挟み込み検出部103は、検出結果を制御部31の各部に供給する。
【0086】
開閉制御部104は、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cに対する操作、各窓の位置及び動作方向、並びに、各窓の挟み込みの有無の検出結果に基づいて、車両の各窓の開閉を制御する。具体的には、開閉制御部104は、駆動回路72を制御して、リレー回路71U及び71Dを制御することにより、モータ12のモータ電流を制御し、運転席の窓の開閉を制御する。また、開閉制御部104は、駆動回路82a乃至82cを制御して、リレー回路81Ua乃至81Uc及び81Da乃至81Dcを制御することにより、モータ13a乃至13cのモータ電流を制御し、助手席及び左右の後部座席の窓の開閉を制御する。
【0087】
{パワーウインドウシステム1の基本動作}
次に、
図3乃至
図8を参照して、パワーウインドウシステム1の基本的な動作について説明する。なお、
図3乃至
図8では、特に説明に必要のない部分及び符号の図示を省略している。
【0088】
(運転席用メインスイッチ32に対して閉操作が行われた場合)
図3は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0089】
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点51Uがオンする。そして、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YUの端子a、モータ12、リレー接点71YDの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。
【0090】
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点51Uがオフする。そして、操作検出部101が接点51Uのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の閉動作が停止する。
【0091】
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート閉操作が行われた場合、接点51U及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YUがオンし、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が閉まる。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート閉操作が停止され、接点51U及び接点51Aがオフしても、開閉制御部104は、運転席の窓が全閉されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YUがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全閉する。
【0092】
なお、例えば、運転席の窓のオート閉動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフする。これにより、運転席のオート閉動作が停止する。
【0093】
(運転席用メインスイッチ32に対して開操作が行われた場合)
図4は、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0094】
運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル開操作が行われた場合、接点51Dがオンする。そして、操作検出部101が接点51Dのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YDの端子a、モータ12、リレー接点71YUの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。
【0095】
一方、運転席用メインスイッチ32に対するマニュアル開操作が停止された場合、接点51Dがオフする。そして、操作検出部101が接点51Dのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、モータ12へのモータ電流の供給が停止し、運転席の窓の開動作が停止する。
【0096】
また、運転席用メインスイッチ32に対してオート開操作が行われた場合、接点51D及び接点51Aがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点71YDがオンし、モータ12に逆方向のモータ電流が流れ、運転席の窓が開く。その後、運転席用メインスイッチ32に対するオート開操作が停止され、接点51D及び接点51Aがオフしても、開閉制御部104は、運転席の窓が全開されるまで、駆動回路72を介して、リレー接点71YDがオンした状態を維持する。これにより、運転席の窓が自動的に全開する。
【0097】
なお、例えば、運転席の窓のオート開動作の最中に、運転席用メインスイッチ32に対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点51Uのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路72を介して、リレー接点71YDをオフする。これにより、運転席のオート開動作が停止する。
【0098】
(他席用メインスイッチ33aに対して閉操作が行われた場合)
図5は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0099】
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作が行われた場合、接点61Uaがオンする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点81YUaの端子a、接点91Uaの端子b、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
【0100】
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル閉操作が停止された場合、接点61Uaがオフする。そして、操作検出部101が接点61Uaのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
【0101】
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート閉操作が行われた場合、接点61Ua及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル閉操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YUaがオンし、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート閉操作が停止され、接点61Ua及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部104は、助手席の窓が全閉されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全閉する。
【0102】
なお、例えば、助手席の窓のオート閉動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作又はオート開操作が行われ、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフする。これにより、助手席のオート閉動作が停止する。
【0103】
(他席用メインスイッチ33aに対して開操作が行われた場合)
図6は、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0104】
他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル開操作が行われた場合、接点61Daがオンする。そして、操作検出部101が接点61Daのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
【0105】
一方、他席用メインスイッチ33aに対するマニュアル開操作が停止された場合、接点61Daがオフする。そして、操作検出部101が接点61Daのオフを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
【0106】
また、他席用メインスイッチ33aに対してオート開操作が行われた場合、接点61Da及び接点61Aaがオンする。そして、マニュアル開操作が行われた場合と同様に、リレー接点81YDaがオンし、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。その後、他席用メインスイッチ33aに対するオート開操作が停止され、接点61Da及び接点61Aaがオフしても、開閉制御部104は、助手席の窓が全開されるまで、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンした状態を維持する。これにより、助手席の窓が自動的に全開する。
【0107】
なお、例えば、助手席の窓のオート開動作の最中に、他席用メインスイッチ33aに対してマニュアル閉操作又はオート閉操作が行われ、操作検出部101が接点61Uaのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオフする。これにより、助手席のオート開動作が停止する。
【0108】
なお、詳細な説明は省略するが、他席用メインスイッチ33b又は33cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右又は左の後部座席の窓を開閉することができる。
【0109】
(他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合)
図7は、他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0110】
他席用サブスイッチ91aに対して閉操作が行われた場合、接点91Uaがオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Uaの端子a、モータ13a、接点91Daの端子b、リレー接点81YDaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が閉まる。
【0111】
一方、他席用サブスイッチ91aに対する閉操作が停止された場合、接点91Uaがオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の閉動作が停止する。
【0112】
(他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合)
図8は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合のパワーウインドウシステム1の状態を示している。
【0113】
他席用サブスイッチ91aに対して開操作が行われた場合、接点91Daがオンする。これにより、電源Bから、メインリレー14、接点91Daの端子a、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向のモータ電流が流れ、助手席の窓が開く。
【0114】
一方、他席用サブスイッチ91aに対する開操作が停止された場合、接点91Daがオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
【0115】
このように、他席用サブスイッチ91aに対する操作が行われた場合、窓開閉制御装置21の制御によらずに、助手席の窓の開閉を行うことができる。
【0116】
(ロック機能が設定された場合)
運転席用メインスイッチ32に対してロック機能の設定操作が行われた場合、接点51Lがオンされる。そして、操作検出部101が接点51Lのオンを検出すると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUa及び81YDaをオンする。これにより、他席用サブスイッチ91aに対する操作が行われ、接点91Ua又は91Daのいずれがオンしても、モータ13aの両端の電位がともに電源Bの電圧とほぼ等しくなるため、モータ電流が流れず、助手席の窓は動かない。すなわち、他席用サブスイッチ91aに対する操作が無効になる。
【0117】
一方、運転席用メインスイッチ32に対してロック機能の設定解除操作が行われ、接点51Lがオフされると、開閉制御部104は、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUa及び81YDaをオフする。これにより、他席用サブスイッチ91aに対する操作が有効になる。
【0118】
なお、詳細な説明は省略するが、他席用サブスイッチ91b又は91cに対して操作を行った場合も、同様の方法により右又は左後部座席の窓を開閉することができる。
【0119】
{車両の各窓の位置の検出方法}
次に、
図9を参照して、車両の各窓の位置の検出方法について説明する。
【0120】
窓位置検出部102は、増幅回路73及び83a乃至83cからの入力電圧に基づいて、モータ12及びモータ13a乃至13cを流れるモータ電流を常時監視している。また、各モータを流れるモータ電流には、リップルが含まれている。そして、挟み込みが発生していない状態では、モータ電流のリップルの波形は、
図9の上のグラフに示すような安定した波形となる。
【0121】
窓位置検出部102は、このモータ電流のリップルを
図9の下のグラフに示すようなパルス列に変換する。そして、窓位置検出部102は、
図9のパルス列に基づいて、各モータの回転数を算出し、算出したモータの回転数に基づいて、運転席及び他席の各窓の位置を検出する。このため、各窓の位置を検出するためのセンサが不要となる。
【0122】
ここで、他席用サブスイッチ91aの接点91Ua及び接点91Daの状態を示す信号が制御部31に供給されないため、制御部31は、接点91Ua及び接点91Daの状態を検出することができない。従って、操作検出部101は、他席用サブスイッチ91aに対して開操作又は閉操作のいずれの操作が行われているかを、接点91Ua及び接点91Daの状態により直接検出することができない。
【0123】
一方、助手席の窓を閉める場合の方が、助手席の窓を開ける場合より、窓を持ち上げる分だけモータ13aにかかる負荷が大きくなる。従って、窓を閉める場合の方が、窓を開ける場合より、モータ13aを流れるモータ電流が大きくなる。
【0124】
そこで、操作検出部101は、他席用サブスイッチ91aにより助手席の窓の開閉を行っている場合、モータ13aのモータ電流の大きさに基づいて、他席用サブスイッチ91aの操作方向(閉操作又は開操作)を検出する。同様に、窓位置検出部102は、モータ13aのモータ電流の大きさに基づいて、窓の動作方向(閉めているのか開けているのか)を検出する。また、操作検出部101は、モータ13aのモータ電流が継続して流れる時間に基づいて、他席用サブスイッチ91aに対する操作時間を検出することができる。
【0125】
これは、他席用サブスイッチ91bにより右後部座席の窓の開閉を行っている場合、及び、他席用サブスイッチ91cにより左後部座席の窓の開閉を行っている場合も同様である。
【0126】
なお、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cにより窓の開閉が行われている場合、各スイッチの接点の状態を示す信号が制御部31に供給される。従って、窓位置検出部102は、モータ電流の大きさによらずに、各窓の動作方向を検出することが可能である。なお、運転席用メインスイッチ32及び他席用メインスイッチ33a乃至33cにより窓の開閉が行われている場合も同様に、モータ電流の大きさにより、窓の動作方向を検出するようにすることも可能である。
【0127】
{車両の各窓の挟み込みの検出方法}
次に、
図10を参照して、各窓の挟み込みの検出方法の例について説明する。
【0128】
挟み込みが発生すると、モータ電流のリップルは、
図10の上のグラフに示すように、電流レベルが増大しかつリップルの周期が伸びる不安定な波形となる。
【0129】
ここで、挟み込み検出部103は、このリップルの周期Tの変化を監視し、周期Tが一定以上になった場合に、挟み込みが発生したと判定する。あるいは、周期Tに代えて、パルスの幅Wが一定以上になった場合に、挟み込みが発生したと判定するようにしてもよい。このようにして、モータ電流のリップルに基づいて、挟み込みを検出することができる。
【0130】
なお、挟み込み検出部103は、運転席用メインスイッチ32及び各他席用メインスイッチ33に対する操作の検出結果、並びに、各席の窓の位置及び動作方向の検出結果に基づいて、挟み込みが発生し得ない状況であると判定した場合、上記の条件を満たしていても、挟み込みは発生していないと判定する。例えば、窓を開けている場合等である。
【0131】
{挟み込み検出時の動作}
次に、
図11乃至
図14を参照して、車両の各窓において挟み込みが検出された場合の動作について説明する。なお、
図11乃至
図14では、特に説明に必要のない部分及び符号の図示を省略している。
【0132】
(運転席の窓の挟み込みが発生した場合)
まず、
図11を参照して、
図3を参照して上述したように運転席用メインスイッチ32を操作して、運転席の窓のオート閉動作又はマニュアル閉動作を実行している場合に挟み込みが発生したときの動作について説明する。すなわち、
図3に示されるように、リレー接点71YUがオンされ、リレー接点71YDがオフされ、モータ12に順方向のモータ電流が流れ、運転席の窓の閉動作が行われている場合に挟み込みが発生したときの動作について説明する。
【0133】
開閉制御部104は、挟み込み検出部103により運転席の窓の挟み込みが検出された場合、
図11に示されるように、駆動回路72を介して、リレー接点71YUをオフし、接点71YDをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点71YDの端子a、モータ12、リレー接点71YUの端子b、及び、抵抗器R11を介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ12に逆方向の電流が流れ、運転席の窓が開く方向に反転する。そして、開閉制御部104は、挟み込みが解除される程度の所定の位置まで運転席の窓が開いた時点で、リレー接点71YDをオフする。これにより、モータ12への電流の供給が停止し、運転席の窓の開動作が停止する。
【0134】
ここで、運転席の窓用のモータ12並びに切替回路71には、メインリレー14を介さずに直接電源Bから電流が供給される。従って、運転席の窓の反転動作中に、イグニッションスイッチ16がオフされ、メインリレー14がオフされても、切替回路71のリレー回路71U,71Dの状態が維持されるとともに、モータ電流の供給が継続される。その結果、運転席の窓の反転動作が停止することなく継続し、挟み込みが解除される。また、運転席の窓の挟み込みが検出された後、運転席の窓の反転動作が開始される前に、イグニッションスイッチ16がオフされ、メインリレー14がオフされた場合も同様に、運転席の窓の反転動作を実行し、挟み込みを解除することが可能である。
【0135】
なお、運転席の窓の反転動作は、運転席用メインスイッチ32の各接点の状態に関わらず実行することが可能である。
【0136】
以上のようにして、運転席の窓の挟み込みが発生した場合に、自動的に反転動作を行い、挟み込みを確実に解除することができる。
【0137】
(助手席の窓の挟み込みが発生した場合)
次に、
図12及び
図13を参照して、
図5を参照して上述したように他席用メインスイッチ33aを操作して、助手席の窓のオート閉動作又はマニュアル閉動作を実行している場合に挟み込みが発生したときの動作について説明する。すなわち、
図5に示されるように、リレー接点81YUaがオンされ、リレー接点81YDaがオフされ、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が行われている場合に挟み込みが発生したときの動作について説明する。
【0138】
開閉制御部104は、挟み込み検出部103により助手席の窓の挟み込みが検出された場合、
図12に示されるように、駆動回路82aを介して、リレー接点81YUaをオフし、リレー接点81YDaをオンする。これにより、電源Bから、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向の電流が流れ、助手席の窓が開く方向に反転する。そして、開閉制御部104は、挟み込みが解除される程度の所定の位置まで助手席の窓が開いた時点で、リレー接点81YDaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
【0139】
ここで、助手席の窓用のモータ13a並びに切替回路81aには、メインリレー14を介さずに直接電源Bから電流が供給される。従って、
図13に示されるように、助手席の窓の反転動作中に、イグニッションスイッチ16がオフされ、メインリレー14がオフされても、切替回路81aのリレー回路81Ua,81Daの状態が維持されるとともに、モータ電流の供給が継続される。その結果、助手席の窓の反転動作が停止することなく継続し、挟み込みが解除される。また、助手席の窓の挟み込みが検出された後、助手席の窓の反転動作が開始される前に、イグニッションスイッチ16がオフされ、メインリレー14がオフされた場合も同様に、助手席の窓の反転動作を実行し、挟み込みを解除することが可能である。
【0140】
なお、イグニッションスイッチ16がオフされた場合、例えば、反転動作終了後に他席用サブスイッチ91aを操作し、接点91Ua又は接点91Daがオンしても、電源Bから配線L6を介してモータ13aに電流が供給されないため、助手席の窓は動かない。
【0141】
また、助手席の窓の反転動作は、他席用メインスイッチ33aの各接点の状態に関わらず実行することが可能である。
【0142】
次に、
図14を参照して、
図7を参照して上述したように他席用サブスイッチ91aを操作して、助手席の窓を閉めている場合に挟み込みが発生したときの動作について説明する。すなわち、
図7に示されるように、接点91Uaがオンされ、接点91Daがオフされ、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓の閉動作が行われている場合に挟み込みが発生したときの動作について説明する。
【0143】
開閉制御部104は、挟み込み検出部103により助手席の窓の挟み込みが検出された場合、
図14に示されるように、駆動回路82aを介して、リレー接点81YDaをオンする。ここで、他席用サブスイッチ91aに対する操作が停止されると、
図12を参照して上述した場合と同様に、電源Bから、リレー接点81YDaの端子a、接点91Daの端子b、モータ13a、接点91Uaの端子b、リレー接点81YUaの端子b、及び、抵抗器R21aを介して、グラウンドに電流が流れる。その結果、モータ13aに逆方向の電流が流れ、助手席の窓が開く方向に反転する。そして、開閉制御部104は、挟み込みが解除される程度の所定の位置まで助手席の窓が開いた時点で、リレー接点81YDaをオフする。これにより、モータ13aへのモータ電流の供給が停止し、助手席の窓の開動作が停止する。
【0144】
この助手席の窓の反転動作は、
図13を参照して上述した理由と同様の理由により、イグニッションスイッチ16がオフされ、メインリレー14がオフされても、停止することなく継続する。また、助手席の窓の挟み込みが検出された後、助手席の窓の反転動作が開始される前にイグニッションスイッチ16がオフされ、メインリレー14がオフされた場合も同様に、助手席の窓の反転動作を実行することが可能である。
【0145】
なお、例えば、他席用サブスイッチ91aに対して所定の操作が行われた場合にリレー接点81YUa又はリレー接点81YDaをオンすることにより、助手席の窓のオート動作を実現する場合にも、上述した方法と同様の方法により、挟み込みを解除することができる。例えば、他席用サブスイッチ91に対して所定の第1の規定時間未満の操作(以下、短押しと称する)、又は、所定の第2の規定時間以上の操作(以下、長押しと称する)を行うことにより助手席の窓のオート動作を実現する場合等である。
【0146】
例えば、他席用サブスイッチ91に対する短押しが検出され、リレー接点81YUaがオンされ、モータ13aに順方向のモータ電流が流れ、助手席の窓のオート閉動作が行われている場合に挟み込みが発生したとき、
図12を参照して上述した方法と同様に、リレー接点81YUaをオフし、リレー接点81YDaをオンすることにより、反転動作を実現することができる。また、この場合も、イグニッションスイッチ16がオフされ、メインリレー14がオフされても、反転動作を停止することなく継続することができる。
【0147】
また、助手席の窓の挟み込みが発生した場合に、運転席用メインスイッチ32に対してロック機能の設定操作が行われ、接点51Lがオンされても、開閉制御部104は、反転動作が完了するまで反転動作を継続する。そして、開閉制御部104は、反転動作が完了した後、リレー接点81YUaをオンする。これにより、リレー接点81YUa及び81YDaがオンした状態になり、上述したようにロック機能が有効になる。すなわち、助手席の窓の反転動作中にロック機能が設定されても、反転動作を停止することなく継続することができ、その後、確実にロック機能を設定することができる。
【0148】
以上のようにして、助手席の窓の挟み込みが発生した場合に、自動的に反転動作を行い、挟み込みを確実に解除することができる。
【0149】
なお、左右の後部座席の窓の挟み込みが発生した場合も、助手席の窓の挟み込みが発生した場合と同様の動作が行われる。
【0150】
<2.変形例>
以下、上述した本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0151】
以上の説明では、他席の窓の数が3つである例を示したが、他席の窓の数は任意に設定することが可能である。そして、他席の窓の数に応じて、モータ13、他席用ユニット22、他席用メインスイッチ33、及び、他席用制御回路35の数を増減させるようにすればよい。
【0152】
なお、本発明は、車両の種類によらず、パワーウインドウ機能を有する車両に適用することが可能である。また、本発明は、イグニッションスイッチ16以外の車両の原動機(例えば、エンジン、モータ等)の始動及び停止用のスイッチ(例えば、パワースイッチ)が設けられた車両にも適用することができる。
【0153】
さらに、本発明は、例えば、原動機の始動及び停止用のスイッチの状態が3段階以上に分かれる場合にも適用できる。例えば、イグニッションスイッチ16の状態が、オフ、ACC(アクセサリ)、オンの3段階のレベルに分かれる場合、BCM15は、イグニッションスイッチ16がオンに設定されたとき、リレー14をオンにする。また、例えば、BCM15は、イグニッションスイッチ16がオンの状態からACCに設定されたとき、メインリレー14をオフする。従って、この場合、イグニッションスイッチ16をオンからACCの状態に設定する操作が、上述した説明における、イグニッションスイッチ16をオフする操作に相当する。
【0154】
さらに、モータ13のモータ電流の検出に用いる抵抗器(モータ電流検出部)の位置は、上述した位置に限定されるものではない。例えば、リレー接点81YUaの端子bとグラウンドとの間に抵抗器を設け、さらに81YDaの端子bとグラウンドとの間にも抵抗器設けて、各抵抗器に増幅回路を接続することにより、モータ13aのモータ電流の検出を行うことが可能である。或いは、例えば、リレー接点81YUaの端子cと接点91Uaの端子bとの間に抵抗器を設け、さらに81YDaの端子cと接点91Daの端子bとの間にも抵抗器設けて、各抵抗器に増幅回路を接続することにより、モータ13aのモータ電流の検出を行うことが可能である。すなわち、他席用モータ13に流れる電流の経路上であれば、どこに抵抗器を設けてもよい。
【0155】
また、各モータのモータ電流の検出方法は、上述したように抵抗の両端に生じる電圧を測定する以外の方法を採用することも可能である。
【0156】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。