【実施例】
【0076】
<実施例1>
〔保護基で保護されたカテコールセグメントを含むブロック共重合体の合成〕
・下記式(11)で表されるジメトキシスチレン(DMSt;アルドリッチ社製154466)を300mg、
・下記式(12)で表される2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボネート(アルドリッチ社製723037)を6.3mg、
・アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;和光純薬工業株式会社製019−04932)を1.0mg、
・ジオキサン(和光純薬工業株式会社製042−03766)を500mg、
を試験管内に投入し、液体窒素を用いて溶液を凍結させポンプで吸引後、溶液を溶解させ内部を窒素で置換した。この操作を2回繰り返した後、70℃で20時間反応させた。反応後の溶液をヘキサン中に滴下し、その後遠心分離機において1500rpm、10分の条件で遠心しモノマーを取り除き、真空乾燥した。乾燥後のポリマーはGPCにより分子量を測定した。GPCの測定結果よりポリマーの重量平均分子量(Mw)は4800であった。
次に、
・乾燥後のポリマーを110mg、
・下記式(13)で表されるスチレン(St;和光純薬工業株式会社製191−08206)を1000mg、
・アゾビスイソブチロニトリルを1.6mg、
・ジオキサンを500mg、
を試験管内に投入し液体窒素を用いて溶液を凍結させ、ポンプで吸引後溶液を溶解させ内部を窒素で置換した。この操作を2回繰り返した後、70℃で61時間反応させた。反応後の溶液をヘキサン中に滴下し、その後遠心分離機において1500rpm、10分の条件で遠心しモノマーを取り除き、真空乾燥した。乾燥後のブロック共重合体はGPCにより分子量を測定し、ブロック共重合体の化学構造をNMRにより決定した。
GPCの結果より、合成したブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は32000であ、重合比はSt:DMSt=8.5:1であった。また、
図1はブロック共重合体のNMR測定結果を示しており、ベンゼン環およびメトキシ基に由来するピークが確認できた。このピーク比より、重合比はSt:DMSt=9.7:1であり、GPCの結果とほぼ一致した。
なお、本発明における「ブロック共重合体の分子量」とは、東ソー製HLC−8320GPCを用いてポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。
図1中のトリクロロメタンは重溶媒中に含まれる水素交換されたものであり、アセトンはNMR管を洗浄した際に残ってしまったものであると考えられる。
【0077】
【化16】
【0078】
【化17】
【0079】
【化18】
【0080】
〔カテコールセグメントを含むブロック共重合体の合成〕
上記の手順で得られた乾燥ブロック共重合体100mgを、ジクロロメタン(和光純薬工業株式会社製135−02446)5mlに溶解させ、窒素バブリングを行った後、75.7g/lの臭化ホウ素(アルドリッチ社製202207)溶液0.3mlを投入し一晩室温で撹拌した。この溶液に水2.5mlを投入し、その後、2Mの塩化ナトリウム水溶液5mlを10000rpm、15min、5℃の条件で遠心分離を行った。その後メタノール5mlを用いて10000rpm、15min、5℃の条件で遠心分離を行った。得られたブロック共重合体を真空条件で乾燥させることで、下記式(9)で表されるカテコールセグメントを含むブロック共重合体を合成した。
【0081】
【化19】
【0082】
<実施例2>
スチレンの重合時間を14時間とした以外は、実施例1と同様の手順でブロック共重合体を合成した。GPCの結果より合成したブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は13,358で、重合比はSt:DMSt=2.5:1であった。
【0083】
<実施例3>
〔Agナノ粒子の作製〕
実施例1で合成したブロック共重合体を、テトラヒドロフラン(THF:和光純薬工業株式会社製200−00486)1mlとクロロホルム(和光純薬工業株式会社製038−02606)1mlの混合溶液に溶解させた。溶解後10g/LのAgNO
3水溶液1mlおよび純水1mlと混合・撹拌し、25℃の条件で12時間静置した。溶液0.5mlおよびメタノール0.5mlを加えた後、10000rpm、15min、5℃の条件で遠心分離を行い洗浄した。洗浄後、得られた沈殿物はTHFに再分散させた。再分散溶液に関して、吸収波長をUV−Visを用いて測定(日本分光株式会社製V−670)した。また、形成されたAgナノ粒子はTEMを用いて観察した。
【0084】
図2は、UV−Visの測定結果及び再分散溶液を示している。再分散溶液はオレンジ色を呈しており、UV−Visの測定結果より416nmに吸収極大を有していた。この波長は銀ナノ粒子の吸収波長と一致していた。
【0085】
図3AはTEMにより撮像した写真で、
図3Bは、
図3Aを更に拡大した写真である。写真から明らかなように、銀ナノ粒子が形成しているのが観察され、銀ナノ粒子の直径は平均16nmであり、粒子径も揃っていた。また、
図3AのTEM像より、銀ナノ粒子は有機物中に存在しており(
図3Aの白丸中の黒い小さな粒子が銀ナノ粒子で、銀ナノ粒子の周りの濃い灰色部分が有機物を示している。)、合成したブロック共重合体で被覆されている事が示唆された。
【0086】
図4は、再分散溶液中のミセルの粒径分布を示すグラフである。なお、粒径分布は、ミセルをTHFに分散させた状態でガラスセルに投入後、温度25℃の条件下で動的光散乱法により測定(マルバーン社製Nano−ZS)した。本発明のブロック共重合体を用いると、
図4に示すように、バラツキの少ない粒径の揃ったミセルを形成することができ、その結果、
図3Bに示すように、還元して作製したナノ粒子の粒径も、バラツキが少なくなることが明らかとなった。
【0087】
<実施例4>
〔Ag/Auナノ粒子の作製〕
実施例3で作製した銀ナノ粒子のTHF分散液1mlに、HAuCl
3(和光純薬工業株式会社製077−00931)を30mg加え25℃の条件で12h静置した。静置後のナノ粒子分散液はTHFを用いて10000rpm、15min、5℃の条件で遠心分離を行い未反応のAuイオンを除去した。洗浄後のナノ粒子分散液の吸収波長をUV−Visにより測定し、TEMを用いて粒子を観察した。
【0088】
図5は、UV−Visの測定結果及び再分散溶液を示している。粒子分散液は紫色を呈しており、UV−Visの測定結果より548nmに吸収極大を有していた。この波長は、粒径約50nmの金ナノ粒子の吸収波長と同程度である。
【0089】
図6はTEMにより撮像した写真である。TEM像よりコントラストの異なる2種類の粒子が観察された。コントラスト差よりコントラストの低い粒子が銀ナノ粒子であり、コントラストの高い粒子が金ナノ粒子であることが示唆されている。
【0090】
〔カテコールセグメントを含むブロック共重合体とナノ粒子の粒径との関係〕
<実施例5>
3,4−ジメトキシスチレン(DMSt, technical grade, 99%)及び2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボネート(CPDTTC,97%)はSigma−Aldrichから購入した。DMSt及びCPDTTCは購入したものをそのまま用いた。アンヒドラス 1,4−ジオキサン(Anhydrous 1,4−dioxane;
>99.0%)、三臭化ほう素(BBr
3,99.85%),N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF,
>99.5%)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN,
>98.0%)及びジクロロメタン(CH
2Cl
2,
>99.5%)は仙台和光純薬株式会社から購入した。AIBNは使用する前にメタノールで再結晶を行い、真空乾燥させたものを用いた。スチレン(St,
>99.0%,和光純薬株式会社)は活性アルミナカラムを通してから使用した。
【0091】
ブロック共重合体の重合はRAFT重合を用い、以下の手順で行った。
【0092】
【化20】
【0093】
DMSt(2.03g,12.4mmol)及びCPDTTC(27.8mg,8.04×10
-2mmol),1,4−ジオキサン(1,4−dioxane;1.03g)、AIBN(7.1mg,4.32×10
-2mmol)を試験管に投入後、4回凍結脱気を行い、試験管内を窒素ガスで満たした。その後、凍結脱気した試験管を密閉し60℃のアルミバス中で10時間重合を行った。重合後、液体窒素に投入することで反応液を急冷し反応を停止させた。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行い精製した。真空乾燥後、黄色の粉体を得た。GPCの測定結果より、数平均分子量(M
n)は7.10×10
3であり分子量分布(M
w/M
n)は1.08であった。
1H NMRよりフェニル基およびメトキシ基のプロトンに由来するピークが観察され、マクロRAFT剤(CTA−PDMSt)が重合できたことがわかった。
【0094】
次に重合したマクロRAFT剤(CTA−PDMSt;97.4mg,1.28×10
-2mmol)及びStモノマー(3.06g,29.3mmol)、1,4−ジオキサン(3.00g)、AIBN(1.15mg,7×10
-3mmol)を試験管に投入し、4回凍結脱気を行った。この試験管を60℃のアルミバス中で50時間重合を行った。反応後、液体窒素で冷却することで反応を停止させた。反応液はメタノールを用いて精製し、遠心分離により回収した。真空下で乾燥後、白色の粉体(PDMSt−b−PSt)を得た。
【0095】
次に、重合した共重合体(PDMSt−b−PSt)の脱保護を行った。PDMSt−b−PSt(150mg)とジクロロメタン(5ml)をガラスバイアル中に投入後、セプタム栓を用いて封止した。溶液を0℃に冷却後、BBr
3を含むジクロロメタン(0.5ml,1.0M)溶液を滴下した。滴下後の溶液は常温で12時間静置した。反応後1Mの塩酸水溶液中に滴下した。3時間攪拌後、遠心分離により回収し、真空下で乾燥させた。回収した粉体(PDHSt−b−PSt)は
1H NMRによってメトキシ基のプロトン由来のピークが消失しているのを確認した。なお、脱保護後の共重合体は有機溶媒への溶解性が低いため分子量の測定は行っていない。
【0096】
<比較例1>
以下の手順により、フリーラジカル重合によりランダム共重合体を合成した。Stモノマー(2.00g,19.2mmol)及びDMSt(1.05g,6.39mmol)、1,4−ジオキサン(3.00g)、AIBN(42.0mg,0.256mmol)を試験管に投入後、4回凍結乾燥を行った。反応液は60℃のアルミバスを用いて重合した。重合後、液体窒素で急冷した。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行い、真空下で乾燥させ、白色の粉体を得た。GPCの測定結果よりM
nは5.33×10
4、及びM
w/M
nは1.62であった。
1H NMR測定結果より共重合比は2.92(St/DMSt)であった。
得られた白色の粉体を、<実施例5>の「脱保護」と同様の手順で脱保護を行うことで、DHStとStのランダム共重合体を得た。
【0097】
<実施例6>
実施例6は、実施例5のDMStの重合時間を21時間とした以外は実施例5と同様の手順でジメチルスチレンセグメント(脱保護後のカテコールセグメント)とスチレンセグメントの比が異なるブロック共重合体を合成した。
【0098】
<実施例7>
実施例7は、実施例5のDMStの重合時間を5時間とし、Stの重合時間を34時間とした以外は実施例5と同様の手順でジメチルスチレンセグメント(脱保護後のカテコールセグメント)とスチレンセグメントの比が異なるブロック共重合体を合成した。
【0099】
以下に、実施例5〜7及び比較例1で合成した共重合体を示す。
【0100】
【表1】
【0101】
<実施例8>
上記実施例5で合成したブロック共重合体を用い、以下の手順で銀ナノ粒子を作製した。
脱保護した共重合体をクロロホルム(1ml)およびDMFに溶解させ、その溶液にAgNO
3水溶液(2mL,102.5mM)を加えた。AgNO
3水溶液を加えると溶液は直ぐにオレンジ色に変色した。その溶液を25℃で12時間静置した。反応液にメタノールを加え、遠心分離することにより余分な銀イオンおよび共重合体を取り除いた。遠心分離後DMFを加え再分散させた後、水を加えて凝集させ遠心分離によってナノ粒子を回収した。作製した銀ナノ粒子はTHFに分散させた。
【0102】
<実施例9>
実施例5のブロック共重合体に代え、実施例6のブロック共重合体を用いた以外は実施例8と同様の手順で銀ナノ粒子を作製した。
【0103】
<実施例10>
実施例5のブロック共重合体に代え、実施例7のブロック共重合体を用いた以外は実施例8と同様の手順で銀ナノ粒子を作製した。
【0104】
図7Aは実施例10、
図7Bは実施例8、
図7Cは実施例9で作製した銀ナノ粒子を分散させた粒子の写真及びTEM像を表す。分散液はオレンジから茶色を呈していた。
図8は、実施例8〜10で作製した分散液のUV−Vis測定結果を表す。作製した粒子は波長400nmに吸収を有しており、この波長は銀ナノ粒子の表面プラズモンの吸収と一致した。このことから銀ナノ粒子が形成していることがわかった。また、実施例9は600nm付近にも吸収を持っているのが観察された。この波長は銀ナノ粒子のプラズモンのカップリングによる吸収と一致した。
【0105】
粒子の粒径はTEM像からイメージ解析ソフト(Image J)を用いて計測した。
図9は、実施例8〜10で作製した銀ナノ粒子の測定結果のヒストグラムを表す。実施例8〜10を用いて作製した銀ナノ粒子のヒストグラムは単峰性を有しており、平均粒径は、実施例8が8.6nm、実施例9が10.9nm、実施例10が6.6nmであった。粒径はカテコール基を有するセグメントの形成するミセルのサイズに比例すると考えられる。そこでカテコール基を有するセグメントの分子量の三乗根の比を算出した。三乗根の比は、数1に示すように、実施例8〜10のPDMStの分子量の三乗根を実施例10のPDMStの分子量の三乗根と比較した際の比率で求めた。そして、求めた比率を実施例10の平均粒子径(測定結果)に積算することで粒子径(計算値)を求めた。表2は算出した結果を示す。算出した銀ナノ粒子の粒子径(計算値)は実際の測定値とおおよそ一致した。以上の結果より、粒子径の計算値と実際の測定値がほぼ一致するため、PDMStの分子量で銀ナノ粒子のサイズが制御可能である。
【0106】
【数1】
【0107】
【表2】
【0108】
<比較例2>
比較例1のランダム共重合体を用いた以外は、実施例8と同様の手順で銀ナノ粒子を作製した。
図10は、比較例2で作製した銀ナノ粒子のTEM像を表す。また、
図11は、比較例2で作製した銀ナノ粒子の粒度分布のヒストグラム(参考のため、実施例9のヒストグラムを重ねて表示。)である。
図10及び
図11から明らかなように、ランダム共重合体を用いて銀ナノ粒子を作製した場合、粒径が1〜25nmと幅広い粒子が形成していた。
【0109】
実施例8〜10及び比較例2の結果より、ブロック共重合体を用いることによりランダム共重合体を用いた場合と比較して、均一な粒径のナノ粒子が作製できた。また、カテコールセグメントの分子量を調整することで、ナノ粒子の平均粒子径も調整できた。
【0110】
〔トリブロック共重合体の合成〕
<実施例11>
窒素雰囲気下でメチルメタクリレート(MMA,2000mg,20.0mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(10.8mg,6.58×10
-2mmol),2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボネート(34.5mg,9.98×10
-2mmol),ジオキサン(1000mg)を試験管に投入した。この試験管を60℃で6h加熱後、液体窒素を用いて急冷し、重合を停止させた。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行った。回収したポリマーは真空下で乾燥させ、薄く黄色味がかった白色の粉末(マクロRAFT剤 PMMA−RAFT)を得た。回収物はGPCを用いて分子量および分子量分散度を、NMRを用いて回収物の同定を行った。GPCの結果よりMnは9.88kg/mol、及びMwは12.6kg/molであり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.27であった。
図12はマクロRAFT剤 PMMA−RAFTの
1H NMR測定結果を表す。
1H NMR測定結果から主鎖のメチル基(−CH
2−C(CH
3)(COOCH
3)−)に由来するピークが0.85および1.02ppmに、側鎖のメチル基のプロトン(−COO−CH
3)に由来するピークが3.60ppmに観察された。
【0111】
次に窒素雰囲気下で3,4−ジメトキシスチレン(DMSt,2000mg,12.2mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(6.9mg,4.20×10
-2mmol),PMMA−RAFT(633mg,6.41×10
-2mmol),ジオキサン(1000mg)を試験管に投入した。この試験管を60℃で6h加熱後、液体窒素を用いて急冷し、重合を停止させた。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行った。回収したポリマーは真空下で乾燥させ、薄く黄色味がかった白色の粉末(ジブロックコポリマーであるPMMA−b−PDMSt−RAFT)を得た。回収物はGPCを用いて分子量および分子量分散度を、NMRを用いて回収物の同定を行った。GPCの結果より、Mnは17.8kg/mol、Mwは21.4kg/molであり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.20であった。
図13はPMMA−b−PDMSt−RAFTの
1H NMR測定結果を表す。
1H NMR測定結果から、3、4−ジメトキシスチレンのメトキシ基(−C
6H
3)−(OCH
3)
2)のプロトン由来のピークが3.78及び3.57ppmに観察された。またフェニル基(−CH
2−CH(C
6H
5)(CH
3)
2−)のプロトン由来のブロードなピークが5.7−6.8ppmに観察された。MMAに由来する主鎖のメチル基(−CH
2−C(CH
3)(COOCH
3)−)に由来するピークが0.85および1.02ppmに、側鎖のメチル基のプロトン(−COO−CH
3)に由来するピークが3.60ppmに、観察された。
【0112】
次に窒素雰囲気下でスチレン(St,2.06g,19.8mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(5.2mg,3.17×10
-2mmol),PMMA−b−PDMSt−RAFT(856.4mg,4.81×10
-2mmol),ジオキサン(1000mg)を試験管に投入した。この試験管を60℃で6h加熱後、液体窒素を用いて急冷し、重合を停止させた。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行った。回収したポリマーは真空下で乾燥させ、薄く黄色味がかった白色の粉末(トリブロック共重合体であるPMMA−b−PDMSt−b−PSt−RAFT)を得た。回収物はGPCを用いて分子量および分子量分散度を、NMRを用いて回収物の同定を行った。GPCの結果より、Mnは28.3kg/mol、Mwは33.0kg/molであり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.16であった。
図14はPMMA−b−PDMSt−b−PSt−RAFTの
1H NMR測定結果を表す。
1H NMR測定結果から、StおよびDMStのフェニル基のプロトン由来のピークが5.7−7.2ppmに観察された。3,4−ジメトキシスチレンのメトキシ基(−(C
6H
3)−(OCH
3)
2)のプロトン由来のピークが3.78及び3.57ppmに観察された。MMAに由来する主鎖のメチル基(−CH
2−C(CH
3)(COOCH
3)−)に由来するピークが0.85および1.02ppmに、側鎖のメチル基のプロトン(−COO−CH
3)に由来するピークが3.60ppmに観察された。
【0113】
図15は、トリブロック共重合体の各重合段階におけるGPCの測定結果をまとめたグラフである。