(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一箇所以上の前記タグ振分け機構が、回転運動により、タグ整列機構からの送り通路の開閉を行い、ICタグの進行を一時的に停止させるストッパ部材と、該ストッパ部材と同期させた回転運動によりそれぞれの分岐通路の開閉を行い、ICタグをいずれかの分岐通路へ導く通路案内部材とを有してなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の、ICタグへの情報の書き込み装置。
前記無線通信機構に、回転運動により、情報の書き込み位置でタグを停止させるための分岐通路の閉鎖及び、情報が書き込まれたタグを通過させるための分岐通路の開放を行う回転式アーム部材を設けてなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の、ICタグへの情報の書き込み装置。
前記無線通信機構で情報を書き込まれたICタグを、前記無線通信機構で検知されたエラーの有無に基き、タグ送出位置もしくはタグ排出位置のいずれかに振り分ける、送排出の振分け機構をさらに備え、
前記送排出の振分け機構が、ICタグを保持するとともに、回転運動してICタグをタグ送出位置もしくはタグ排出位置に運ぶ保持部を有するものとし、
前記タグ送出位置及びタグ排出位置のそれぞれを、前記無線通信機構から送られるICタグを受け取るタグ把持位置に対し、前記保持部の回転運動方向の一方側及び他方側のそれぞれに配置してなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の、ICタグへの情報の書き込み装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の自動整列機は、特許文献1にも記載されているように、ボウル状の収納容器内に供給された複数個の整列対象物に対する振動作用により、それらの整列対象物を所定の状態に整列させつつ、前記収納容器の周囲の円形搬出路に向けて送り出すものが一般的である。
【0006】
しかるに、このような振動式の自動整列機は、収納容器の下面側に、比較的大きな厚みを有する電磁式等の振動体を配設しているので、全体として大型化を余儀なくされる他、収納容器のサイズを大きくすると、それに伴って、容器を加振する振動体もまた大幅に大きくすることが必要になる。
従って、振動式の自動整列機では、所要量の整列対象物を収納できる容器のサイズを確保しつつ、全体としてコンパクトなものとすることができなかった。そしてそれ故に、その自動整列機を設ける装置等の十分な小型化もまた実現できなかった。
【0007】
また、かかる自動整列機は、振動作用に基く、整列対象物の滑りないし跳躍現象を利用して、整列対象物を自然に送り出すことから、容器内の整列対象物の配置状態等により、整列対象物が、意図せずして一度に大量に送り出されることがある等、整列対象物の送り出し量のばらつきが大きく、それ故に、この振動整列機は、それを設ける装置によっては適切ではない場合があった。
そしてまた、この整列機では、容器への振動作用に起因して、収納容器内に配置した多数個の整列対象物が、容器内面に繰り返し衝接することによる、たとえばICタグ等の欠けや割れの発生が否めない。
【0008】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、整列対象物の送り出し量のばらつきを小さく抑えるとともに、動作時の発生振動による、ICタグ等の整列対象物の欠けや割れの発生の抑制及び、サイズの小型化を実現することのできる自動整列機
をタグ整列機構として備えるICタグへの情報の書き込み装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の
、ICタグへの情報の書き込み装置は、
装置内に供給される、整列対象物としての複数個のICタグを所定の姿勢に整列させて順次に送り出すタグ整列機構と、該タグ整列機構から送られるICタグを、二叉に分岐した通路のいずれかに振り分ける少なくとも一箇所のタグ振分け機構と、各分岐通路の進行方向の前方側に配設されて、振り分けられた前記ICタグに対し、該ICタグに対応する情報の書き込みを行う複数箇所の無線通信機構とを備えるものであって、
前記タグ整列機構が、好ましくは、ICチップを樹脂材料で被覆してなる
ものであっていずれも同一形状の複数個の
ICタグを、所定の姿勢に整えて順次に送り出すものであって、円盤部材と、該円盤部材の周縁部の外周側を取り囲む筒型側壁部を有する筐体と、前記円盤部材を中心軸線の周りに回転駆動させる回転駆動手段とを備えてなり、使用状態で、前記円盤部材及び筐体を、該円盤部材の中心軸線が鉛直方向に対して傾斜する向きに傾けて配置し、該筐体の内側に、前記筒型側壁部と円盤部材とで区画される
ICタグの収容スペースを設け、前記円盤部材の周縁部に、前記収容スペース内の
ICタグが所定の姿勢で入り込む溝部を、その周方向に間隔をおいて複数設けてな
り、
ICタグを装置内へ供給するためのホッパーをさらに備え、該ホッパーが、前記タグ整列機構に供給するICタグを蓄える貯蔵領域と、前記タグ整列機構の有する筐体の収容スペースに向けて延びる、通路高さを狭めた吐出通路と、該吐出通路の先端側に形成された吐出口とを有し、前記吐出通路に、該吐出通路でのICタグの詰まりを阻止する詰まり防止手段、及び、吐出通路を経て吐き出されるICタグの吐出量を制御する吐出量制御手段のそれぞれが、ICタグの吐出方向に並べて設けられており、
前記吐出量制御手段及び詰まり防止手段のそれぞれを、回転駆動される軸部の周囲に、一枚以上の回転翼部を取り付けて構成してなるものである。
【0010】
この発明の
書き込み装置では、
前記タグ整列機構の前記円盤部材の、前記収容スペース側を向く表面に、該収容スペース内の
ICタグを攪拌するための、円盤部材の半径方向に延びるリブ状突起部を一本以上設けることが好ましい。
またこの
書き込み装置では、
前記タグ整列機構の前記筐体が、前記筒型側壁部の、前記使用状態で下方側に位置する一端側に設けた円盤状の底部を有し、前記円盤部材を、前記底部から、円柱状をなす
ICタグの高さより短い距離で離隔させて配置することが好ましい。
【0011】
ここで
、前記タグ整列機構の前記筐体に、円盤部材の回転駆動下で、円盤部材の前記溝部により収容スペースから拾い上げた
ICタグを、円盤部材から引き取って筐体の外側へ送り出す送り通路を設けることが好ましく、この場合においては、前記送り通路の少なくとも一部を、
ICタグの送り方向に沿って連続して延びる複数本のガイドワイヤーと、該送り方向の途中に配設されて、複数本のガイドワイヤーの相対位置を維持させるワイヤー支持部材とで構成することが好ましい。
【0014】
ここで、
この発明の書き込み装置では、上記のタグ振分け機構の少なくとも一箇所は、回転運動により、タグ整列機構からの送り通路の開閉を行い、ICタグの進行を一時的に停止させるストッパ部材と、該ストッパ部材と同期させた回転運動によりそれぞれの分岐通路の開閉を行い、ICタグをいずれかの分岐通路へ導く通路案内部材とを有するものとして構成することが好ましい。
このストッパ部材は、該ストッパ部材の回転運動方向に沿って湾曲するプレート形状を有するものとすることが好ましい。
【0015】
また
、この発明の書き込み装置では、前記無線通信機構に、回転運動により、情報の書き込み位置でタグを停止させるための分岐通路の閉鎖及び、情報が書き込まれたタグを通過させるための分岐通路の開放を行う回転式アーム部材を設けることが好ましく、この回転式アーム部材は、その先端部に、回転運動方向に沿って湾曲する形状で該回転運動方向に向けて突出する湾曲爪部を有するものとすることが好ましい。
【0016】
そしてまた、この発明の書き込み装置は、前記無線通信機構で情報を書き込まれたICタグを、前記無線通信機構で検知されたエラーの有無に基き、タグ送出位置もしくはタグ排出位置のいずれかに振り分ける、送排出の振分け機構をさらに備えるものであって、該送排出の振分け機構が、ICタグを保持するとともに、回転運動してICタグをタグ送出位置もしくはタグ排出位置に運ぶ保持部を有するものとし、前記タグ送出位置及びタグ排出位置のそれぞれを、前記無線通信機構から送られるICタグを受け取るタグ把持位置に対し、前記保持部の回転運動方向の一方側及び他方側のそれぞれに配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明の
、ICタグへの情報の書き込み装置によれば、自動整列機
としてのタグ整列機構によ
り、収容スペース内の整列対象物を順次に、回転駆動手段によって回転駆動される円盤部材の周縁部の各溝部で掴んで、その際の所定の姿勢を維持したまま送り出すことができるので、従来の振動式の自動整列機のような、大きな振動体の配設が不要となり、振動体に代えて比較的小さな回転駆動手段を設けることによる全体の小型化を実現することができる。
またこの自動整列機
としてのタグ整列機構では、個々の整列対象物を、円盤部材の各溝部で掴んで運ぶという動作により、従来の振動式の自動整列機よりも高い精度の下、整列対象物を順次に送り出すことができる。しかも、従来の自動整列機のような振動作用によらないので、整列対象物への振動の作用に起因する欠けや割れは生じることがない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面に示すところに基き、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1(a)及び(b)に例示する自動整列機1は、たとえば、円筒をその延在途中で斜めに切断した形状をなす筒型側壁部2aを有する筐体2と、筒型側壁部2aの内側に、その筒型側壁部2aの中心軸線と同軸に配置されて、筒型側壁部2aの内径より若干小さい外径を有するディスク状の円盤部材3と、円盤部材3を、その中心軸線の周りに回転駆動する、図示しないモーター等としての回転駆動手段とを備えてなる。
【0020】
この自動整列機1を使用するに当っては、
図1(b)に示すところから解かるように、円盤部材3の、同図に破線で示す中心軸線Cが、図では上下方向の鉛直方向に対して、たとえば、45°〜65°の範囲内で傾斜するように、円盤部材3及び筐体2の双方を傾けて配置する。なお、図示の自動整列機1では、筐体2は、かかる使用状態で下方側に位置することになる、筒型側壁部2aの一端側に設けた円盤状の底部2dを有し、そして、円盤部材3と、この底部2dを隔てた位置に、上記の回転駆動手段を配置することにより、回転駆動手段が、円盤部材3を、底部2dを貫通してそれらを連結する回転軸の周りに回転駆動することができる。
【0021】
このように円盤部材3及び筐体2を傾斜配置することで、筒型側壁部2aの内側には、
図2に平面図で示すように、筒型側壁部2aの内面及び円盤部材3の表面によって区画される、整列対象物の収容スペース4が形成されることになる。なおここで、筒型側壁部2aを、円筒を斜めに切断した形状としたことで、筒型側壁部2aの他端側に位置する開口部2bは、収容スペース4の略真上に位置することになり、それ故に、この収容スペース4に対しては、上方側からの整列対象物の供給が可能になる。
なおここでは、収容スペース4に収容された整列対象物の、収容スペース4からの流出を防ぐため、筒型側壁部2aの他端側開口部2bの一部には、鉛直方向に略平行な鉛直側壁部分2cを設けている。収容スペース4には、たとえば500個程度の整列対象物を収容可能な大きさとすることができる。
【0022】
そして、この自動整列機1では、円盤部材3の周縁部に、該円盤部材3の外周面に開口するとともに、円盤部材3の表面から裏面まで延びる溝部3aを、たとえば円盤部材3の周方向に等間隔で複数本設ける。
このことによれば、収納スペース4内に蓄えられた多数の整列対象物は、所定の速度で回転駆動される円盤部材3の溝部3aに入り込んだものから順次に、円盤部材3の回転方向に沿って所定の姿勢で運ばれて送り出されることになるので、整列対象物の、筐体2の外側への個別の送り出しを確実に行うことができる。しかも、円盤部材3の回転動作により、対象物の整列及び送り出しを行うこととしたので、従来の自動整列
機のような振動に起因する、欠けや割れ等の対象物の破損を小さく抑えることができる。
【0023】
なお、円盤部材3に設ける溝部3aの大きさは、それによって保持する整列対象物の寸法に基いて決定することができる。ここで、整列対象物が円柱形状を有するものである場合、円盤部材3は、筐体2が有する底部2dから、円柱状の整列対象物の高さよりも短い距離で離れた位置に配置することが好ましい。これにより、円盤部材3の各溝部3aと、筒型側壁部2aの内面とで、溝部3aに入り込んだ円柱状の整列対象物の外周面の周囲を取り囲み、かつ、円柱状の整列対象物の一端面が前記底部2dに接触した状態で、これを保持することができるからである。なおここでは、整列対象物が溝部3aに入り込んだ状態で、整列対象物の、収容スペース4側を向く他端面が、円盤部材3の表面と略同一平面上に位置することになるように、円盤部材3の厚み、円盤部材3の裏面と底面2dとの離隔距離、対象物の高さ等を決定することが好ましい。
【0024】
また溝部3aの形状は、そこで保持する整列対象物の形状に合わせたものとすることができる。この
自動整列機1では、溝部3aは、円柱状の整列対象物の外周面形状に対応させて、半長円形状を有するものとしている。
ここで、収容スペース4に収容される整列対象物を、溝部3aで捕捉し易くするため、収容スペース4側を向く円盤部材3の表面には、図示の
例のように、該表面から突出する態様で、円盤部材3の中心付近から周縁部に向けて半径方向に沿って、たとえば直線状に延びる一本以上のリブ状突起部3bを設けることが好ましい。これにより、図示の自動整列機1では放射状をなす複数本のリブ状突起部3bが、円盤部材3の回転下で、収容スペース4の整列対象物を有効に攪拌することになり、その結果として、整列対象物が溝部3aに入り込み易くなるからである。なお、リブ状突起部3bは、全体として円盤部材3の半径方向に延びるものであればよいので、上記の直線状の形態の他、延在途中の一箇所もしくは複数箇所で屈曲ないし湾曲する形態とすることもできる。但し、このようなリブ状突起部3bの配設は必須の構成ではない。
【0025】
ところで、整列対象物は、回転駆動される円盤部材3の溝部3aにより、円盤部材3の下方側で、収容スペース4から拾い上げられて、上方側に運ばれることになるも、筐体2には、このようにして運ばれた整列対象物を、筐体2の外側に送り出す送り通路5を設けることが好適である。
【0026】
かかる送り通路5は、図示の
例では、筒型側壁部2aのくり貫いた部分を通過するべく配設されており、筒型側壁部2aを通過する前後の部分では、
図3(a)及び(b)に示すように、筐体2の底部2dと円盤部材3との間の隙間に配置される、たとえば金属板の塑性加工になる板状レール部材5aで構成することができる。また、この送り通路5は、筒型側壁部2aの外側の部分では、整列対象物の送り方向に沿って連続して延びる複数本のガイドワイヤー5bと、その送り方向の途中に、たとえば相互に所定の間隔をおいて複数個配設されて、それらのガイドワイヤー5bの相対位置の維持に寄与するワイヤー支持部材5cとで構成されている。
【0027】
より詳細には、この自動整列機1では、円盤部材3の溝部3aに入り込んで上方側に運ばれた円柱状の整列対象物は、送り通路5の板状レール部材5aの配設位置で、自身の略半部が板状レール部材5a上を転がり始め、円盤部材3の更なる回転により、板状レール部材5a側に完全に受け渡される。そしてその後は、板状レール部材5aに繋がるガイドワイヤー5bの部分で、
図4に、送り方向に直交する断面図で示すように、円柱状の整列対象物Wは、横向きに倒れた姿勢で、その両端面のそれぞれを、側方のガイドワイヤー5bに支持されるとともに、その外周面を、下側の二本のガイドワイヤー5bに支持された状態で送り出されることになる。
【0028】
このように、送り通路5の少なくとも一部、たとえば、筐体2の外側部分を、ガイドワイヤー5bで構成することにより、たとえば雨樋形状のレールで構成した場合のような、レール内への粉塵や破片等の堆積が生じることがなく、それにより、整列対象物が常に、送り通路を円滑に通過することができる。
【0029】
以上に述べた自動整列機1は、上記の整列対象物をICタグとして、そのICタグに所定の情報を書き込むための、
図5に全体を斜視図で示すような、ICタグへの情報の書き込み装置10に組み込んで用いることができる。
この書き込み装置10は、たとえば、周囲を取り囲む略直方体状をなすケース11と、
図6に、ケース11を除去して正面図で示すように、複数個のICタグTを装置内へ供給するためのホッパー20と、タグ整列機構として機能する上記の自動整列機1と、該自動整列機1から所定の姿勢で送られるICタグTを、二叉に分岐した通路のいずれかに振り分ける、たとえば一箇所のタグ振分け機構30と、それらの分岐通路のそれぞれの進行方向前方側(図では下方側)に配設されて、振り分けられたICタグTに対し、そのICタグTに対応する所定の情報を書き込む、ここでは二箇所の無線通信機構40A、40Bと、各無線通信機構40A、40Bで書き込まれたICタグTの情報のエラーの有無に基いて、ICタグの送り先を選別する、送排出の振分け機構50A、50Bとを備えるものである。
【0030】
ここで、図示の装置10では、ホッパー20は、
図7に拡大断面図で示すように、装置10に投入される多数個のICタグTを貯蔵可能な、略立方体状の内外輪郭形状の貯蔵領域21を有し、そして、この貯蔵領域21の下方側部分に、タグ整列機構1の収容スペース4に向けて斜め下向きに延びる吐出通路22を設けている。この吐出通路22は、タグ貯蔵領域21の各側壁に連続していずれも鉛直方向に対して傾斜する向きに延びる床面22a及び上面22bのそれぞれにより区画され、貯蔵領域21から通路高さを狭めた形態をなす。
このような吐出通路22を設けた場合、ホッパー20の上方側の開口部分から貯蔵領域21に向けて投入されて、貯蔵領域21に蓄えられたICタグTは、
図7に矢印で示すように、貯蔵領域21の下方側の、通路高さの低い吐出通路22を経て、吐出通路22の先端側の吐出口23から、タグ整列機構1の収容スペース4に向けて順次に吐出される。
【0031】
上述したようにして吐出されるICタグTの吐出量を制御して、タグ整列機構1へのICタグTの供給を、常に適正速度で行うため、吐出通路床面22aの、吐出口23への隣接部分をくり貫いて、そこに吐出量制御手段24を設けることが好ましい。この装置10では、吐出量制御手段24を、該床面22aに平行な平面内で
図7に矢印で示す吐出方向に直交する方向に延びる軸部24aの周囲に、該軸部24aに平行に延びるとともに軸部24aの周りに回転可能な、たとえば二枚の回転翼部24bを取り付けてなるものとしている。なお、各回転翼部24bは、吐出通路22の通路高さよりも低い回転半径を有するものとすることができる。
かかる吐出量制御手段24を設けることにより、貯蔵領域21内のICタグTは、たとえば定速で回転される回転翼部24bに、吐出口23からの吐出をある程度妨げられつつも、回転翼部24bを乗り越えて一定量で吐出されることになるので、ICタグTの、吐出口23からの定量排出を、高い精度で実現することができる。
【0032】
なお、一枚または、三枚以上設けることも可能な当該回転翼部24bは、
図8に装置10の平面図で示すように、長方形状をなす平板の外周側の側部を、所定の間隔をおいて複数箇所で切り欠いてなる凹凸状に連なる歯部を有する形状とすることができる。この場合、通路床面22aの縁部にも、回転翼部24bの上記歯部とは凹凸位置を入れ替えた、対応する歯部を設けることにより、回転翼部24bと通路床面22aとの相互の干渉なしに、回転翼部24bが回転することができ、また、回転翼部24b及び通路床面22aのそれぞれの歯部が互いに入れ違うことで、そこでのICタグTの落下を防止することができる。
【0033】
特に吐出量制御手段24を設ける場合は、ICタグTの吐出量が制限されることに起因する、通路高さの狭い吐出通路22での、ICタグTの詰まりを防止するため、たとえば、回転翼部25bの回転半径が相対的に小さいことを除いて吐出量制御手段24と略同様の構成とすることができる詰まり防止手段25を設けることが好ましい。この詰まり防止手段25は、回転翼部25bの回転に基き、周囲に存在するICタグTを攪拌させて、吐出通路22での詰まりを防止するべく機能する。
また、詰まり防止手段は、上述したような、軸部25aと平行に延びる回転翼部25bを有するものの他、図示は省略するが、複数枚の円板カムを軸部に沿って並べて配置してなるもの等とすることができる。
【0034】
図示の実施形態では、たとえば人手による、装置10へのICタグTの供給回数を減らすこと等を目的として、より多くのICタグを貯蔵可能にするホッパー20を設けているも、この発明の書き込み装置では、ホッパー20を設けることは必ずしも必要ではない。ホッパー20を設けない場合は、タグ整列機構1の収容スペース4に直接的に、ICタグを供給することができる。
【0035】
なお、ホッパー20に残留しているICタグTの個数を間接的に管理するため、たとえば、タグ整列機構1の筐体2の下部に、筐体2内に存在するICタグTの重量を計測することのできる、ひずみゲージ式等のロードセルその他の重量計を設置することができる。また、ホッパー20内のICタグTの個数を、より正確に管理するため、ホッパー20に重量計を取り付けることも可能である。
【0036】
またここで、この装置10では、ICタグTが、先に述べた自動整列機としてのタグ整列機構1を経た後に整列姿勢で送られるタグ振分け機構30において、
図9に部分拡大正面図で示すように、たとえば、タグ整列機構1からの送り通路31が、分岐点Bで、いずれも下方に向けて延びるそれぞれの分岐通路32、33に、二叉に分岐して連続している。
送り通路31に送られたICタグTを、このような分岐通路32、33のいずれかに、所定の時間間隔で適正に振り分けるため、このタグ振分け機構30は、送り通路31のICタグTを通過もしくは停止させるべく、該送り通路31を開閉可能なストッパ部材34と、ストッパ部材34を通過したICタグTを二本の分岐通路32、33の一方に案内する通路案内部材35とを有する。
【0037】
そしてここでは、それらのストッパ部材34及び通路案内部材35のそれぞれの作動を、それらの部材が互いに同期して回転運動することにより行わせるものとする。それにより、特許文献1〜3等に記載されたスライド式の振分け手段に比して、各部材及び駆動手段を小型化することができ、その結果として、装置10全体のコンパクト化に寄与することができる。また、このような回転式のものは、スライド式のもののような、部材間への粉塵、砂利その他の異物の詰まりのおそれがないので、様々な環境下でも、故障の発生割合の増加なしに用いることが可能になる。
【0038】
なお、ストッパ部材34は、図示のように、自身の回転運動の方向に沿って湾曲するプレート形状とすることが好ましく、またこの実施形態では、通路案内部材35は、実質的に、中心角が鋭角の扇形形状をなす。ストッパ部材34の配設個数は、
図9に示すように、その回転運動の方向に沿って、所要の間隔おいて配置した三個とすることの他、一もしくは二個または、四個以上とすることも可能である。
【0039】
このようなタグ振分け機構30の動作の一例を詳説すれば、はじめに、
図10(a)に示すように、ストッパ部材34が送り通路31を閉鎖した状態から、ストッパ部材34及び、それに同期する通路案内部材35を、
図10(b)に矢印で示す如く、略扇形状の該通路案内部材35の中心位置の近傍の周りで、たとえば正面視で反時計回りに一定量回転させる。それにより、ストッパ部材34による送り通路31の閉鎖状態が解放されて、ICタグTは前進することになるも、該通路案内部材35の円弧状周面に当接して、そこで停止することになる。
【0040】
そして、ストッパ部材34及び通路案内部材35をさらに反時計回りに回転させることで、ICタグTは、
図10(c)に示すように、円弧状周面を図の左側に向けて傾倒した扇形状の通路案内部材35の右側面によるガイド下で、図の右側の分岐通路32に送られる。
このとき、送り通路31は、上述したような、通路案内部材35の、円弧状周面が左側を向く傾倒動作に同期して回動したストッパ部材34によって閉鎖されるので、上記のように分岐通路32に送られたものの次に続くICタグTは、当該ストッパ部材34により、送り通路31で停止されることになる。なおここでは、ストッパ部材34を上記のような湾曲形状としたことにより、回転運動するストッパ部材34が、互いに隣接するICタグTの相互間に入り込み易くなるという利点がある。
【0041】
次いで、ストッパ部材34及び通路案内部材35を、
図11(a)に矢印で示すように、これまでとは逆の時計回りに回転させると、ストッパ部材34で停止されていた前記のICタグTは、若干前進した後に、通路案内部材35の円弧状周面に接触してストップする。
しかる後は、ストッパ部材34及び通路案内部材35をさらに時計回りに回転させることにより、当該ICタグTは、通路案内部材35の左側面にガイドされて、今度は図の左側の分岐通路33に送られる。
ストッパ部材34及び通路案内部材35のこのような動作を繰り返し行うことにより、送り通路31に整列して送られてくるICタグTを順次に、二叉分岐通路32、33のいずれかに振り分けることができる。
【0042】
図示の装置10では、タグ振分け機構30を一箇所だけ有するものとしているが、たとえば、
図12(a)に示すように、タグ振分け機構を二箇所設けて三本の分岐通路としたり、または、
図12(b)に示すように、四本の分岐通路とするために三箇所のタグ振分け機構を設けたりというように、タグ振分け機構は複数箇所に設けることができる。
【0043】
以上に述べたようにして、いずれかの分岐通路32、33に振り分けられたICタグTは、ICタグへの情報の書き込みを行う無線通信機構40A、40Bに送られる。この無線通信機構40A、40Bでは、ICタグTに対し、たとえば、イニシャライズ、情報の書き込み、当該情報の読み込み、及び、その確認その他の所要の操作を行う。
ここでは、各分岐通路32、33の進行方向前方側に設けた二箇所の無線通信機構40A、40Bのそれぞれに、基端部を分岐通路32もしくは33に隣接する位置に支持させるとともに、先端部を前記基端部の周りに回転可能とした回転式アーム部材41、42のそれぞれを設ける。これらの回転式アーム部材41、42のそれぞれの先端部には、図示のように、その回転運動方向に沿って湾曲する形状で、回転運動方向の一方側、図ではいずれも左側に向けて突出する湾曲爪部43、44を設けることができる。
【0044】
このことによれば、回転式アーム部材41、42の長手方向が、
図9に示すように鉛直方向に近づく向きでは、回転式アーム部材41、42の先端部の湾曲爪部43、44が、分岐通路32、33に入り込んで該通路を閉鎖することにより、湾曲爪部43、44上のICタグTを情報の書き込み位置Pで停止させることができる。また、ICタグTへの情報の書き込みが終了した場合等は、回転式アーム部材41、42を、湾曲爪部43、44が分岐通路32、33から離隔する向きに回転させることにより、湾曲爪部43、44による閉鎖状態であった分岐通路32、33を解放して、情報の書き込み位置PをICタグTが通過できるようになる。
【0045】
このような回転式アーム部材41、42とすることにより、従来の、スライド式のものに比して、スムーズな動作を実現することができるとともに、装置10のコンパクト化に寄与することができる。
【0046】
無線通信機構40A、40Bにて所定の情報が書き込まれたICタグTは、この装置10では、分岐通路32、33のさらに先に設けた、送排出の振分け機構50A、50Bに到る。
それらの送排出の振分け機構50A、50Bには、
図13に拡大して示すように、分岐通路32、33を経たICタグTを掴んで保持するU字状先端部51a、52aを有する保持部51、52を設け、これらのそれぞれを、たとえば略180°にわたって回転運動可能とする。なお、図示の装置では、保持部51、52は、無線通信機構40A、40Bから送られるICタグTを、直立姿勢で受け取るものとしており、保持部51、52によるこのICタグTの受け取り位置を、タグ把持位置Peとする。
【0047】
またここでは、書き込まれた情報にエラーがあったICタグTを貯める、図示しない容器に送るためのタグ排出位置Pd、及び、エラーがあったICタグTを次工程等に搬送するためのタグ送出位置Pcをそれぞれ設ける。
ここにおいて、図示の実施形態では、上記のタグ排出位置Pd、タグ把持位置Pe及びタグ送出位置Pcをいずれも、保持部51、52の回転運動によってU字状先端部51a、52aが通る軌跡上に配置する。より詳細には、タグ排出位置Pdは、タグ把持位置Peより当該回転運動方向の一方側の回転限界位置に位置させ、この一方で、タグ送出位置Pcは、タグ把持位置Peより回転運動方向の他方側の回転限界位置に位置させている。
【0048】
このような振分け機構50A、50Bによれば、ICタグTの、エラーの有無による分別を、直線運動なしで、保持部51、52の、時計回り・反時計回りの回転運動のみで円滑に行うことができる。それにより、装置10のさらなる小型化を図ることができる。
なおこの実施形態では、保持部51、52のU字状先端部51a、52aで保持されるICタグTは、装置10のケース11のすぐ内側の、比較的奥まっていない箇所で、タグ排出位置Pdもしくはタグ送出位置Pcに運ばれるので、仮に停電時に装置10への電力供給が途切れた場合であっても、ICタグTを容易に取り出すことができる。また、保持部51、52の本体部分に、オペレーターの素手による操作が可能なハンドル部分を設けているので、非常時における保持部51、52の、電気によらない操作が可能になる。
【0049】
この実施形態では、上記のタグ排出位置Pdには、背面側への貫通穴を設け、そこから、エラー有りのICタグTを、下方側に設置した容器に向けて落下させる。なおここで、それぞれの送排出の振分け機構50A及び50Bのそれぞれのタグ排出位置Pdをともに、各タグ把持位置Peより装置10の幅方向内側に配置しているので、いずれのタグ排出位置Pdから排出されるICタグTも、単一の容器に貯めることができる。なお、この容器は装置10の正面側から取り出し可能とすることができ、それにより、底面を平坦形状とし、装置10の外形からの、不必要な出っ張り形状を除去することができる。
またこの実施形態では、タグ送出位置Pcに、エア噴射口を設けるとともに搬送用ホースを設けており、それにより、エラー無しでタグ送出位置Pcに運ばれたICタグTに対してエアを噴きつけることで、ICタグTは、前記ホース内を通過して、たとえば、生コンクリートを収容したミキサー車の円筒形の回転ドラム内に送り込むことができる。ホースは、設置面から210mm以下の高さに配設することで、そこでのオペレーター等の通過が容易となる。