特許第6270424号(P6270424)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6270424固体撮像素子用着色組成物およびカラーフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6270424
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】固体撮像素子用着色組成物およびカラーフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
   G02B5/20 101
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-236939(P2013-236939)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96913(P2015-96913A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原口 一道
(72)【発明者】
【氏名】日岐 憲司
(72)【発明者】
【氏名】北村 智史
(72)【発明者】
【氏名】中島 洋美
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−054081(JP,A)
【文献】 特開2013−015817(JP,A)
【文献】 特開2012−198408(JP,A)
【文献】 特開2009−204816(JP,A)
【文献】 特開2005−173287(JP,A)
【文献】 特開2002−354491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色顔料と、黄色顔料とを含む固体撮像素子用着色組成物であって、該緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン58を含み、該黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー150を含み、
顔料の含有量が、固体撮像素子用着色組成物中の全固形分量に対して35〜50重量%であり、
顔料全量(100重量%)中、C.I.ピグメントグリーン58の含有量が70重量%以下であり、
顔料全量(100重量%)中、C.I.ピグメントイエロー150の含有量が12重量%以上であることを特徴とする固体撮像素子用着色組成物。
【請求項2】
顔料全量(100重量%)中、C.I.ピグメントグリーン58の含有量が60〜70重量%であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像素子用着色組成物。
【請求項3】
黄色顔料が、さらにC.I.ピグメントイエロー139を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の固体撮像素子用着色組成物。
【請求項4】
基材上に、請求項1〜3いずれか1項に記載の固体撮像素子用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶ディスプレイやデジタルカメラ、ビデオカメラ、コピー、スキャナーなどの固体撮像素子に装着されるカラーフィルタ、カラーフィルタの形成に用いる固体撮像素子用着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶ディスプレイやデジタルカメラ、ビデオカメラ、コピー、スキャナーなどの固体撮像素子に装着されるカラーフィルタは、一般的にガラスや固体撮像素子上に赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色やシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の補色などの色を微細パタ−ンとして設けることにより製造されている。
【0003】
カラーフィルタの製造方法には、色材に染料を使った染色法、染料分散法や、色材に顔料を使った顔料分散法、印刷法、電着法などがある。このうち染色法、あるいは染色分散法は色素が染料であることから、耐熱性や耐光性にやや劣る欠点がある。よってカラーフィルタの色材としては耐熱性や耐光性に優れる顔料が用いられ、製造方法としては形成方法の精度や安定性から顔料分散法を用いる場合が多い。
【0004】
顔料分散法は、透明樹脂中に色素である顔料粒子を分散させたものに感光剤や添加剤などを混合・調合することによってカラーレジスト化し、このカラーレジストを基板上にスピンコーターなどの塗布装置により塗膜形成し、アライナーやステッパー等によりマスクを介して選択的に露光を行い、アルカリ現像、熱硬化処理をすることによりパターニングし、この操作を繰り返すことによってカラーフィルタを作製する方法である。
【0005】
しかしながら、近年、カラーフィルタにおいて、特にデジタルカメラ用、固体撮像素子用カラーフィルタにおいて、より高精細化、高輝度化、高色再現性が要求されており、カラーフィルタの更なる高透過率、優れた色分離性が望まれている。従来の固体撮像素子用組成物では、このような優れた色分解性と、高透過率を達成できる着色組成物とするのは非常に困難なのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−267792号公報
【特許文献2】特開2008−040404号公報
【特許文献3】特開2006−104243号公報
【特許文献4】特開2011−075759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明は、固体撮像素子用カラーフィルタに要求される、分光特性を制御することを可能とし、色分解性に優れ、かつ高透過率である着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の着色組成物は、特定の緑色顔料と黄色顔料とを含むことで、分光特性の制御が可能となり、それにより、色分解性に優れ、かつ高透過率の固体撮像素子用に優れたものとなることを見出したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、緑色顔料と、黄色顔料とを含む固体撮像素子用着色組成物であって、該緑色顔料がフタロシアニン系緑色顔料を含み、該黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー150を含むことを特徴とする固体撮像素子用着色組成物に関する。
【0010】
また、本発明は、フタロシアニン系緑色顔料が、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメントグリーン58からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記固体撮像素子用着色組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、黄色顔料が、さらにC.I.ピグメントイエロー139を含むことを特徴とする前記固体撮像素子用着色組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、基材上に、前記固体撮像素子用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、特定の緑色顔料と、特定の黄色顔料を用いることにより、膜厚0.5〜1.5μmで波長595nmの透過率が50%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜における短波長側の分光透過率50%となる波長が470nm〜510nmの範囲にあり、波長450nmの透過率が10%以下とすることができるものである。そのため、色分離が良いカラーフィルタの形成が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明の固体撮像素子用着色組成物について詳細に説明する。ここでは一般的に多く用いられる顔料分散法を用いた場合について具体的に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。
また、以下に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0015】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、フタロシアニン系緑色顔料と特定の黄色顔料を含むものであり、該黄色顔料がC.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー150を含むものである。
なかでも、フタロシアニン系緑色顔料が、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7およびC.I.ピグメントグリーン58からなる群より選ばれる少なくとも1種であることにより、色分解性に優れたものとすることができる。
【0016】
各顔料の含有量は、顔料全量(100重量%)中、フタロシアニン系緑色顔料の含有量が10〜85重量%、C.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー150の黄色顔料が、合計で15〜90重量%にあることが、膜厚0.5〜1.5μmで595の透過率が50%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜における短波長側の分光透過率50%となる波長が470nm〜510nmの範囲にあり、450nmの透過率が10%以下とすることができるために好ましい。
【0017】
特に、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン58、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー185と、C.I.ピグメントイエロー150を含むことが好ましい。
C.I.ピグメントグリーン58と、C.I.ピグメントイエロー185と、C.I.ピグメントイエロー150とを含む顔料を用いることで、450nm〜500nm波長領域の好ましくない透過ピークを抑えることができ、分光特性に優れたものとなるためである。
【0018】
これらの顔料を用いる場合には、各顔料の含有量は、顔料全量(100重量%)中、ピグメントグリーン58の含有量が10〜85重量%、C.I.ピグメントイエロー185が1〜40重量%、C.I.ピグメントイエロー150が1〜40重量%であることが膜厚0.5〜1.5μmで595の透過率が50%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜における短波長側の分光透過率50%となる波長が470nm〜510nの範囲にあり、450nmの透過率が10%以下の範囲となるために好ましい。
【0019】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、さらにその他の無機および有機の顔料、または染料を併用して用いることができる。その他の顔料および染料は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
なかでもその他の顔料として、黄色顔料を含むことが好ましい。
【0020】
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208等を挙げることができる。
なかでも、C.I.ピグメントエロー139を含むことが好ましく、短波長側50%透過率の波長が490nm〜510nmとすることが可能となり、色分離の良い分光を取ることができる。
【0021】
その他の顔料の含有量は、顔料全量(100重量%)中、1〜40重量%であることが好ましい。
【0022】
そして、本発明の固体撮像素子用着色組成物を用いることにより、波長595nmの透過率が50%になるように塗膜を形成したとき、該塗膜における短波長側の分光透過率50%となる波長が470nm〜510nmの範囲にあり、450nmの透過率が10%以下の範囲となる、優れた色分離性及び高透過率を併せ持つカラーフィルタを提供できる。
【0023】
つまり、本発明の固体撮像素子用着色組成物において、フタロシアニン系緑色顔料、C.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー150を含むことで、該着色組成物を用いて膜厚0.5〜1.5μmの緑色塗膜またはカラーフィルタを形成すると、前記の分光特性を達成できる。なお、緑色塗膜とは、本発明の固体撮像素子用着色組成物を基材に塗工・塗布したものをいい、公知の塗工・塗布手段により得ることができる。当然に、本発明の緑色塗膜は緑色フィルタセグメントまたはカラーフィルタに流用することができる。
【0024】
本発明に用いる顔料は、微細化して用いることが好ましいが、微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法いずれも使用でき、本発明で例示するように湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理を行うことができる。
【0025】
微細化した顔料の一次粒子径は、着色剤担体中への分散が良好なことから、20nm以上であることが好ましい。また、コントラスト比が高いフィルタセグメントを形成できることから、100nm以下であることが好ましい。特に好ましい範囲は、25〜85nmの範囲である。
なお、顔料の一次粒子径は、顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)による電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で行った。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積を、求めた粒径の立方体と近似して平均体積を求め、この平均体積を有している立方体の一辺の長さを平均一次粒子径とする。
【0026】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、トリミックス、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
【0027】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜2000重量部用いることが好ましく、300〜1000重量部用いることが最も好ましい。
【0028】
水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対し、5〜1000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0029】
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対し、5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
【0030】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される顔料担体を含むことが好ましい。顔料を良好に分散させるためである。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および活性エネルギー線硬化性樹脂が含まれ、その前駆体には、活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
固体撮像素子用着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化するときには、光重合 開始剤等が添加される。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0032】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0033】
モノマー、オリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0034】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、紫外線照射による硬化のために、光重合開始剤等を含むことができる。光重合開始剤を使用する際の配合量は、顔料の合計100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から10〜150重量部であることがより好ましい。
【0035】
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、または3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0036】
さらに、本発明の着色組成物には、増感剤を含有させることができる。
増感剤としては、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、ビイミダゾール誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,又は4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの増感剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0037】
さらに具体的には、大河原信ら編、「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編、「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編、及び「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、その他、紫外から近赤外域にかけての光に対して吸収を示す増感剤を含有させることもできる。
【0038】
増感剤の含有量は、着色組成物中に含まれる光重合開始剤100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0039】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調整されることができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂とモノマーを含む顔料担体中に顔料を分散させたものであり、顔料または2種以上の顔料からなる顔料組成物を、必要に応じて光開始剤と共に、顔料担体中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、本発明の着色組成物は、数種類の顔料を別々に顔料担体に分散したものを混合して製造することもできる。
【0040】
顔料を顔料担体中に分散する際には、適宜、色素誘導体、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。
【0041】
色素誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられ、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報、特開2001−335717号公報、特開2003−128669号公報、特開2004−091497号公報、特開2007−156395号公報、特開2008−094873号公報、特開2008−094986号公報、特開2008−095007号公報、特開2008−195916号公報、特許第4585781号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独または2種類以上を混合して用いることができる。色素誘導体を使用する場合、明度の観点から、キノフタロン骨格、アゾ骨格を有するものが好ましい。
【0042】
これらのなかでも、下記一般式(1)の塩基性基、一般式(2)の塩基性基、一般式(3)の塩基性基および一般式(4)の塩基性基から選ばれる少なくとも1つの塩基性基(以下、「特定の塩基性基」ということがある)を有する、顔料誘導体、アントラキノン誘導体、トリアジン誘導体またはアクリドン誘導体から選ばれる少なくとも一種の誘導体を含有することが好ましい。
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【0043】
一般式(1)〜(4)において、Xは、−SO−、−CO−、−CHNHCOCH−、−CH−または直接結合を表す。
nは、1〜10の整数を表し、好ましくは1〜3の整数である。
およびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基もしくは置換されていてもよいフェニル基を表すか、またはRとRとが結合して更なる窒素、酸素または硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環を形成する。RおよびRは、好ましくは、1〜5個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキル基である。
は、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。Rは、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキル基である。
【0044】
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。R、R、RおよびRは、好ましくは、1〜4個の炭素原子を有する非置換もしくは置換アルキル基である。
Yは、−NR−Z−NR−または直接結合を表す。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよい炭素数2〜36のアルケニル基または置換されていてもよいフェニル基を表す。RおよびRは、好ましくは、それぞれ、水素原子である。
Zは、炭素数1〜36の置換されていてもよいアルキレン基、炭素数2〜36の置換されていてもよいアルケニレン基、または置換されていてもよいフェニレン基を表す。Zは、好ましくは、非置換もしくは置換フェニレン基である。
【0045】
Rは、下記一般式(5)で示される置換基または下記一般式(6)で示される置換基を表す。下記一般式(5)および一般式(6)において、R〜R、およびnは、上に定義したとおりである。
Qは、水酸基、アルコキシル基、下記一般式(5)で示される置換基または下記一般式(6)で示される置換基を表す。Qは、好ましくは、下記一般式(5)で示される置換基である。
【0046】
【化5】
【化6】
【0047】
塩基性基を有する顔料誘導体を構成する有機色素としては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、金属錯体系色素が挙げられる。また、先に例示した有機顔料でもよい。
【0048】
塩基性基を有する顔料誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、有機色素に、下記式(7)〜(10)で表される置換基を導入した後、該置換基と反応して一般式(1)〜(4)で表される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチルピペラジン、ジエチルアミンまたは4−[4−ヒドロキシ−6−[3−(ジブチルアミノ)プロピルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]アニリン等を反応させることによって得られる。
【0049】
式(7) −SOCl
式(8) −COCl
式(9) −CHNHCOCHCl
式(10) −CHCl
【0050】
有機色素がアゾ系色素である場合は、一般式(1)〜(4)で表される置換基をあらかじめジアゾ成分またはカップリング成分に導入し、その後カップリング反応を行うことによって塩基性基を有するアゾ系顔料誘導体を製造することもできる。
また、本発明の塩基性基を有するトリアジン誘導体は、種々の合成経路で合成することができる。例えば、塩化シアヌルを出発原料とし、塩化シアヌルの少なくとも1つの塩素に一般式(1)〜(4)で表される置換基を形成するアミン成分、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンまたはN−メチルピペラジン等を反応させ、次いで塩化シアヌルの残りの塩素と種々のアミンまたはアルコール等を反応させることによって得られる。
【0051】
一般式(1)〜(4)で表される置換基を形成するために使用されるアミン成分としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N,N−エチルイソプロピルアミン、N,N−エチルプロピルアミン、N,N−メチルブチルアミン、N,N−メチルイソブチルアミン、N,N−ブチルエチルアミン、N,N−tert−ブチルエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、N,N−sec−ブチルプロピルアミン、ジブチルアミン、ジーsec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、N,N−イソブチル−sec−ブチルアミン、ジアミルアミン、ジイソアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、ジオクチルアミン、N,N−メチルオクタデシルアミン、ジデシルアミン、ジアリルアミン、N,N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、N,N−メチルヘキシルアミン、ジオレイルアミン、ジステアリルアミン、N,N−ジメチルアミノメチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルアミン、N,N−ジメチルアミノアミルアミン、N,N−ジメチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノエチルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノヘキシルアミン、N,N−ジエチルアミノブチルアミン、N,N−ジエチルアミノペンチルアミン、N,N−ジプロピルアミノブチルアミン、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン、N,N−ジブチルアミノエチルアミン、N,N−ジブチルアミノブチルアミン、N,N−ジイソブチルアミノペンチルアミン、N,N−メチルーラウリルアミノプロピルアミン、N,N−エチルーヘキシルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノエチルアミン、N,N−ジオレイルアミノエチルアミン、N,N−ジステアリルアミノブチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、3−ピペリジンメタノール、ピペコリン酸、イソニペコチン酸、イソニペコチン酸メチル、イソニペコチン酸エチル、2−ピペリジンエタノール、ピロリジン、3−ヒドロキシピロリジン、N−アミノエチルピペリジン、N−アミノエチル−4−ピペコリン、N−アミノエチルモルホリン、N−アミノプロピルピペリジン、N−アミノプロピル−2−ピペコリン、N−アミノプロピル−4−ピペコリン、N−アミノプロピルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−ブチルピペラジン、N−メチルホモピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン、1−アミノ−4−メチルピペラジン、1−シクロペンチルピペラジン等が挙げられる。
顔料誘導体は、単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0052】
特定の塩基性基を有する顔料誘導体の含有量は、顔料を基準として、好ましくは0.001〜40重量%、さらに好ましくは1〜25重量%である。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0053】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0054】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、顔料を充分に顔料担体中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、溶剤を含有することができる。
溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、顔料の合計100重量部に対して800〜4000重量部の量で用いることができる。
【0055】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有することができる。
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
本発明の固体撮像素子用着色組成物には、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0056】
本発明の固体撮像素子用着色組成物は、顔料を1.5〜20重量%の割合で含有することが好ましい。また、本発明のカラーフィルタにおいては、その最終フィルタセグメント中に、顔料は、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは35〜50重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。
【0057】
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0058】
本発明のカラーフィルタは、少なくとも1つの赤色フィルタセグメント、少なくとも1つの緑色フィルタセグメント、および少なくとも1つの青色フィルタセグメントを具備してなる。ここで、少なくとも1つの緑色フィルタセグメントは、本発明の固体撮像素子用着色組成物を用いて形成される。
【0059】
青色フィルタセグメントは、公知の青色着色組成物を用いて形成される。青色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を含むことができる。青色着色組成物には、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0060】
また、赤色フィルタセグメントは、公知の赤色着色組成物を用いて形成される。赤色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントレッド 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色着色組成物、オレンジ色着色組成物を併用することができる。
【0061】
黄色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199等の黄色顔料を用いることができる。
【0062】
オレンジ色着色組成物には、例えばC.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。
【0063】
続いて、本発明の固体撮像素子用着色組成物から形成されてなるフィルタセグメントを具備するカラーフィルタについて説明する。
【0064】
本発明のカラーフィルタは、基材上に、印刷法、電着法またはフォトリソグラフィー法等により、本発明の着色組成物を用いて透明基板上に各色のフィルタセグメントを形成することにより製造することができる。
【0065】
基材としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板やシリコンウェハーなどが用いられる。
【0066】
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0067】
フォトリソグラフィー法により各色フィルタセグメントを形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μm、より好ましくは0.5〜1.5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0068】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0069】
なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【実施例】
【0070】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中、「部」および「%」は、「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。
まず、実施例および比較例に用いた樹脂溶液の製造方法と、顔料のソルトミリング処理方法と、顔料分散体の製造方法と、青色着色組成物および赤色着色組成物の製造方法とについて説明する。
【0071】
<樹脂溶液の製造方法>
(アクリル樹脂溶液)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メチルメタクリレート 65.0部
ブチルメタクリレート 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
【0072】
<顔料のソルトミリング処理方法>
(黄色ソルトミリング処理顔料製造例)
黄色顔料(C.I.ピグメントイエロー 139、BASF社製「パリオトールエローD1819」)250g、塩化ナトリウム700g、マレイン酸樹脂(荒川化学社製「マルキードNo.3002」、酸価:100)107gおよびポリエチレングリコール300g(東京化成社製)160gをステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、3時間混練した。次にこの混合物を約3リットルの温水に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及び溶剤を除き、60℃の熱風オーブンで約24時間乾燥して「P.Y.139ソルトミリング処理顔料」を得た。
【0073】
<顔料分散体の製造方法>
(緑色顔料分散体1の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色顔料分散体1を作製した。

ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料
(C.I.ピグメントグリーン58) 12.0部
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 52.0部
(以下PGMAcと略すことがある。)
【0074】
(緑色顔料分散体2の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色顔料分散体2を作製した。

C.I.ピグメントグリーン36 12.0部
(トーヨーカラー(株)社製「CF−G−6YK」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0075】
(緑色顔料分散体3の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、緑色顔料分散体2を作製した。

C.I.ピグメントグリーン7 12.0部
(DIC(株)社製「ファストゲングリーンS」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0076】
(黄色顔料分散体1の製造例)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで10時間分散した後、1.0μmのフィルタで濾過し、黄色顔料分散体1を作製した。

C.I.ピグメントエロー185 10.0部
(BASF(株)社製「PALIOTOL YELLOW D1155」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 45.0部
PGMAc 44.0部
【0077】
(黄色顔料分散体2の製造例)
黄色顔料分散体1の製造例のC.I.ピグメントエロー185(BASF(株)社製「PALIOTOL YELLOW D1155」)をC.I.ピグメントエロー150(ランクセス(株)社製「E4GN」)に変更した以外は、黄色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体2を作製した。
【0078】
(黄色顔料分散体3の製造例)
黄色顔料分散体1の製造例のC.I.ピグメントエロー185(BASF(株)社製「PALIOTOL YELLOW D1155」)を「P.Y.139ソルトミリング処理顔料」に変更した以外は、黄色顔料分散体1と同様にして、黄色顔料分散体3を作製した。
【0079】
<青色着色組成物および赤色着色組成物の製造方法>
(青色着色組成物の製造例)
[青色着色組成物1]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して青色顔料分散体1を作製した。

C.I.ピグメントブルー15:6 12.0部
(トーヨーカラー(株)社製「リオノールブルーES」)
分散剤 1.0部
(日本ルーブリゾール社製「ソルスパーズ20000」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0080】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.45μmのフィルタで濾過して青色着色組成物1を得た。

青色顔料分散体1 63.8部
光重合性モノマー 4.1部
(東亞合成社製「アロニックスM402」)
アクリル樹脂溶液 2.8部
光重合開始剤 1.1部
(BASF社製「OXE-01」:オキシムエステル系開始剤)
PGMAc 29.8部
【0081】
(赤色着色組成物の製造例)
[赤色着色組成物1]
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色顔料分散体1を作製した。

C.I.ピグメントレッド254 10.0部
(トーヨーカラー(株)社製「B−CF」)
C.I.ピグメントレッド177 2.0部
(BASF社製「クロモフタールレッド A2B」)
分散剤 1.0部
(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」)
アクリル樹脂溶液 35.0部
PGMAc 52.0部
【0082】
その後、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.45μmのフィルタで濾過して赤色着色組成物1を得た。
赤色着色分散体1 63.8部
光重合性モノマー 2.5部
(東亞合成社製 アロニックスM402)
アクリル樹脂溶液 2.8部
光重合開始剤 1.1部
(BASF社製「OXE-01」:オキシムエステル系開始剤)
PGMAc 29.8部
【0083】
[実施例1]
(レジスト材1)
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、0.6μmのフィルタで濾過して、緑色着色組成物1(レジスト材1)を得た。

緑色顔料分散体1 34.0部
黄色顔料分散体1 10.2部
黄色顔料分散体2 17.0部
アクリル樹脂溶液 5.8部
光重合性モノマー 2.5部
(東亞合成社製 アロニックスM402)
光重合開始剤 0.9部
(BASF社製「イルガキュアー907」)
増感剤 0.2部
(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」)
PGMAc 29.4部
【0084】
[実施例2〜8、比較例1〜2]
(レジスト材2〜10)
表1に示す組成、および配合量(部)に変えた以外は実施例1の緑色着色組成物1と同じ方法で攪拌混合及びろ過を行い、緑色着色組成物(レジスト材2〜10)を得た。
【0085】
【表1】
【0086】
レジスト材1〜10の顔料比を表2に示す。
【表2】
【0087】
得られたレジスト材をスピンコーターでガラス基板に塗布し、乾燥、露光後、現像し、再度乾燥して、膜厚0.5〜1.5μmで波長590nmの透過率が50%になるように塗膜を形成した。得られた塗膜の透過率を顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて、分光透過率を測定した。結果を表3に示す。
【0088】
【表3】
【0089】
[実施例1]〜[実施例5]のレジスト材1〜5で得られた緑色塗膜は短波長側の分光透過率50%となる波長が470nm〜510nmであり、かつ450nmの透過率が10%以下の波長領域の間を満たしており、色分解性に優れるものであった。
【0090】
[比較例1]〜[比較例4]のレジスト材6〜9で得られた緑色塗膜は、450nmの透過率が10%を上回り、色分離が悪くなった。
【0091】
[比較例5]のレジスト材10で得られた緑色塗膜は、短波長側の分光透過率50%となる波長が515nmとなり、570nm〜510nmの範囲を満たさず、色分離が悪くなった。
【0092】
すなわち、本発明の固体撮像素子用緑色着色組成物から得られた塗膜、およびカラーフィルタは、色分離の良い分光透過率を有するものであった。