(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る電子機器1の構成を示したブロック図である。本実施形態では、電子機器1として、例えばクロノグラフ機能を搭載した腕時計型の電子時計を例に説明する。
【0024】
図1に示すように、電子機器1は、基準クロック発生部101、計時部102、加速度センサ103、走行状態検出部104、処理部105、入力部106、表示部107、記憶部108、報知部109、及び通信部(取得部)110を備える。
【0025】
基準クロック発生部101は、所定周波数の基準クロックを発生する。
計時部102は、基準クロック発生部101からの基準クロックを基に、時間計測を行う。計時部102からは、クロノグラフ計測時には、計時情報として、スプリット時間やラップ時間の情報が取得できる。
【0026】
加速度センサ103は、電子機器1に加えられた加速度を検出し、検出した検出信号を走行状態検出部104に出力する。すなわち、ユーザが歩行又は走行すると、その振動により、加速度センサ103から検出信号が得られる。
走行状態検出部104は、加速度センサ103の検出信号から、走行状態を検出する。
【0027】
処理部105は、各動作モードの制御、及び電子機器1を構成する各電子回路要素の制御等を行う。動作モードとしては、通常の時計モードと、クロノグラフモードとが設定できる。処理部105は、動作モードの切り替え、各動作モードにおける動作の選択を行う。また、処理部105は、トレーニングプランの指示値に応じた走行ピッチの指示値を算出する処理を行う。この処理については、後に詳述する。
【0028】
入力部106は、利用者からの指示の入力を検出し、検出した検出結果を検出信号として処理部105に出力する。入力部106は、利用者からの指示の入力を受け付けるボタンA〜ボタンCを含む。
表示部107は、走行距離、走行時間、トレーニング種別、ピッチ等の表示を行う。表示部107は、例えば、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)である。
【0029】
記憶部108は、例えば、RAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)及び、ROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)により構成される。記憶部108には、処理部105が実行するプログラムが記憶されている。また、記憶部108には、トレーニングプランの指示値として、走行距離の指示値、走行ペースの指示値、走法の指示値が記憶される。トレーニングプランの指示値は、例えば、トレーニングプランを作成するインターネット上のトレーニングサイトから通信部110によって取得され、処理部105によって記憶される。また、記憶部108には、ユーザの当日の走行データが保存される。なお、トレーニングサイトとは、日々のランニングによるトレーニングデータ(計測時間等)を登録できるデータベースの提供サービスを行うウェブサイトである。そして、このトレーニングサイトでは、利用者の目標(ランニング能力:例えば、走行距離、所要時間、期日)を利用者が入力することで、目標を達成するためのトレーニングプランを生成する。
【0030】
報知部109は、処理部105の制御により報知音を発する。報知部109は、例えばスピーカーである。報知部109は、走行ピッチの指示値に応じて断続する報知音を出力する。
通信部110は、インターネット等のネットワークに接続可能な機器との通信を行う。通信部110は、処理部105の指示に応じて、トレーニングサイトで作成されたトレーニングプランの指示値をトレーニングサイトから取得し、取得した指示値を処理部105に出力する。
【0031】
なお、本実施形態では、通信部110は、第3世代移動体通信システム(3G)、第4世代移動体通信システム(4G)、無線LAN(Local Area Network;ローカル・エリア・ネットワーク)等の通信装置であってもよい。この場合、通信部110は、トレーニングサイトに接続して、トレーニングプランの指示値をダウンロードするようにしてもよい。
また、通信部110は、トレーニングサイトに接続可能なPC(パーソナルコンピュータ)と無線または有線で通信を行うようにしてもよい。この場合、例えば利用者がPCをトレーニングサイトに接続し、PCにトレーニングプランの指示値をダウンロードする。そして、通信部110は、PCと通信を行って、PCにダウンロードされたトレーニングプランの指示値を取得するようにしてもよい。
【0032】
あるいは、通信部110は、PCと接続しトレーニングサイトからトレーニングプランの指示値をダウンロードする指示を、PCに送信するようにしてもよい。そして、PCは、電子機器1からの指示に応じて、ダウンロードしたトレーニングプランの指示値を電子機器1に送信するようにしてもよい。
また、通信部110は、電子機器1の拡張機器であるクレードルと通信を行うようにしてもよい。この場合、クレードルがPCと相互に通信を行ってトレーニングプランの指示値を取得し、取得したトレーニングプランの指示値を電子機器1に送信するようにしてもよい。また、電子機器1とクレードルとの接続は、有線接続または無線接続であってもよい。
【0033】
また、通信部110が通信を行うタイミングは、処理部105からの指示に応じて行う。または、通信部110が3G、4G、無線LAN等の通信装置の場合、通信部110は、予め定められている時間、または所定の時間毎にトレーニングサイトに接続するようにしてもよい。予め定められている時間は、利用者が入力したトレーニングを行う時間に基づいて、例えばトレーニングを行う1時間前に通信を行うようにしてもよい。予め定められている時間及び所定の時間毎は、予め記憶部108に記憶されていてもよく、この場合、処理部105は、記憶部108に記憶されている予め定められている時間及び所定の時間毎に通信を行うようにしてもよい。
あるいは、電子機器1が上述したクレードルに置かれている場合、通信部110は、所定の周期(例えば5分毎)に、クレードルとの通信を行うようにしてもよい。
【0034】
図2は、本実施形態に係る電子機器1の外形の一例を示す図である。
図2に示すように電子機器1は、本体10、表示部107、ボタンA〜Cを備えている。
図2において、本体10は、電子機器1のケースであり、内部に制御基板を有している。ボタンAは、例えば、計測を開始するボタンである。ボタンBは、例えば、計測終了のボタンである。ボタンCは、例えば、ピッチ指示出力開始のボタンである。
【0035】
図3は、本実施形態において用いられる各部のデータを示すものである。
図3に示すように、計時部102からは、計時情報として、スプリット時間とラップ時間の情報とが得られる。スプリット時間は、開始位置から所定区間までの途中経過時間である。ラップ時間は、区間と区間との経過時間である。
【0036】
走行状態検出部104からは、現在距離と、現在ペースの情報が得られる。現在距離は、現在までに走行した距離である。現在ペースは、所定の走行時間(例えば1分間)当たりの走行距離である。
【0037】
記憶部108には、当日トレーニングプランが記憶される領域108−1と、当日データが記憶される領域108−2を備える。当日トレーニングプランは、インターネットのトレーニングサイトで作成される。すなわち、利用者の目標(ランニング能力:例えば、走行距離、所要時間、期日)がトレーニングサイトに入力されると、トレーニングサイトは、目標を達成するためのトレーニングプランを生成する。このトレーニングプランは、インターネットのサイトから通信部110によって取得され、処理部105によって記憶部108に記憶される。当日トレーニングプランが記憶される領域108−1には、走行距離の指示値、走行ペースの指示値、及び走法の指示値が記憶される。また、当日データが記憶される領域108−2には、データ番号1〜nのデータが記憶される。
【0038】
当日データは、当日のユーザの走行データである。この当日データは、時間順に、n(nは1以上の任意の整数)回分、記憶される。例えば、データ番号1は、走行を行った日の1回目に測定されたデータであり、データ番号nは、走行を行った日のn回目測定されたデータである。
また、
図3の符号201が示す領域の画像のように、データ番号nの中には、日付を示すデータ、走行距離を示すデータ、走行時間を示すデータ、ラップデータ1を示すデータ、ラップデータ2を示すデータ、・・・、ラップデータnを示すデータが含まれる。
なお、
図3に示した情報は一例であり、これに限られない。記憶部108に記憶される情報は、例えば当日データの各データ番号のデータが、性別を示す情報、温度や湿度を示す情報、トレーニングを行ったときを示す情報(例えば午後3時20分45秒〜午後3時41分31秒)等の情報を含むようにしてもよい。
【0039】
次に、
図4〜
図6を用いて、当日トレーニングプランが記憶される領域108−1に記憶されるデータの一例を説明する。
図4は、本実施形態における走行距離の指示値の一例を説明する図である。
図5は、本実施形態における走行ペースの指示値の一例を説明する図である。
図6は、本実施形態に係る走法の指示値の一例を説明する図である。
【0040】
図4に示すように、走行距離の指示値は、例えば15kmのように、トレーニングのための走行距離を示す。
【0041】
図5に示すように、走行ペースの指示値は、走行ペース範囲の上限値及び走行ペース範囲の下限値を含む。走行ペースは、例えば1分当たりの距離で示す。走行ペース範囲の上限値は、例えば200m/分、走行ペース範囲の下限値は、例えば150m/分である。
【0042】
図6に示すように、走法の指示値は、通常トレーニングを示す指示値、ビルドアップトレーニングを示す指示値、インターバルトレーニングを示す指示値、組合せトレーニングを示す指示値を含む。例えば、走法の指示値「1」は通常トレーニングを示し、走法の指示値「2」はビルドアップトレーニングを示し、走法の指示値「3」はインターバルトレーニングを示し、走法の指示値「4」は組合せトレーニングを示す。
【0043】
図7は、本実施形態に係る表示部107の表示例を説明する図である。符号211で示す領域の画像は、時計モードのときに表示される画像、符号212で示す領域の画像は、クロノグラフモードのときに表示される画像、符号213で示す領域の画像は、走行ピッチが表示される画像である。
符号211で示す領域の画像のように、時計モードでは、表示部107に現在時刻11aが表示されている。
時計モードのとき利用者がボタンAを押すと、符号212で示す領域の画像に示すように、クロノグラフモードとなり、表示部107にクロノグラフ計測時間11bが表示される。
クロノグラフ計測状態で、利用者がボタンCを押すと、符号213で示す領域の画像に示すように、走行ピッチ11cが表示部107に表示されると共に、走行ピッチを示す報音(例えば断続音)が出力される。
【0044】
走行ピッチの表示状態は、所定時間(例えば10秒)の後に終了して、符号212で示す領域の画像に示すような通常のクロノグラフモードに戻る。また、クロノグラフ計測状態で、ユーザがボタンBを押すと、クロノグラフモードが終了し、符号211で示す領域の画像に示すような時計モードになる。
【0045】
次に、
図8のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施形態の動作について説明する。
図8は、本実施形態に係る全体動作を説明するためのフローチャートである。なお、処理部105は、通信部110からの通信要求に応答(または通信部110に対して通信要求)することで、インターネットのサイトからトレーニングプランを取得し、適宜、表示部107に表示すると共に、記憶部108へ保存する。以下の説明では、記憶部108には、このようなトレーニングプランが既に記憶されているものとする。
【0046】
(ステップS1)処理部105は、通常状態では時計モードに設定し、表示部107に、現在時刻を表示させる。
(ステップS2)処理部105は、ボタンAが押されたか否かを判別する。処理部105は、ボタンAが押されたと判別した場合(ステップS2;YES)、ステップS3に進む。処理部105は、ボタンAが押されていないと判別した場合(ステップS2;NO)、ステップS1に戻り、現在時刻表示を維持する。
【0047】
(ステップS3)処理部105は、動作モードをクロノグラフモードにして、計時部102をオン状態にする。
(ステップS4)処理部105は、走行状態検出部104をオン状態にする。
(ステップS5)処理部105は、表示部107に対してクロノグラフ計測開始状態を示す表示を出力する。
【0048】
(ステップS6)処理部105は、クロノグラフ計測中に、走行状態検出部104から出力される走行状態情報(現在距離、現在ペース)を、適宜、表示部107へ出力して表示するとともに、記憶部108へ保存する。
(ステップS7)処理部105は、クロノグラフ計測中に、計時部102から出力される計時情報(スプリット時間、ラップ時間)を、適宜、表示部107へ出力して表示するとともに、記憶部108へ保存する。
【0049】
(ステップS8)処理部105は、クロノグラフ計測中に、ボタンCが押されたか否かを判別する。処理部105は、ボタンCが押されたと判別した場合(ステップS8;YES)、ステップS9に進み、ボタンCが押されていないと判別した場合(ステップS8;NO)、ステップS12に進む。
【0050】
(ステップS9)処理部105は、記憶部108に記憶されているトレーニングプラン情報を読み出す。
(ステップS10)処理部105は、トレーニングプラン情報と現在状況とから、走行ピッチの指示値を生成する。
(ステップS11)処理部105は、この走行ピッチの指示値を、適宜、表示部107へ出力するとともに、報知部109に対して出力する。
【0051】
(ステップS12)処理部105は、ボタンBが押されたか否かを判別する。処理部105は、ボタンBが押されたと判別した場合(ステップS12;YES)、ステップS15に進み、ボタンBが押されていないと判別した場合(ステップS12;NO)、ステップS13に進む。
【0052】
(ステップS13)処理部105は、ステップS11においてピッチ音の出力を開始してから所定時間(例えば10秒)が経過したか否かを判別する。処理部105は、所定時間が経過したとを判別した場合(ステップS13;YES)、ステップS14に進み、所定時間が経過していないを判別した場合(ステップS13;NO)、ステップS6に戻る。ステップS11及びS13の処理により、報知部109からは、所定時間(例えば10秒間)、表示部107に指示されたピッチの情報が表示されると共に、報知部109からは、指示されたピッチ間隔で、報音が出力される。
【0053】
(ステップS14)処理部105は、計時部102をオフ状態にする。処理部105は、ステップS14終了後、処理をステップS6に戻す。
(ステップS15)処理部105は、計時部102をオフ状態にする。
(ステップS16)処理部105は、走行状態検出部104をオフ状態にする。
(ステップS17)処理部105は、表示部107に対してクロノグラフ計測終了状態を示す表示を出力する。そして、処理部105は、ステップS1に処理を戻す。これにより、時計モードに処理が移行する。
【0054】
上述したように、本実施形態の電子機器1は、クロノグラフ計測中に、ボタンCを押すことで、トレーニングプランと現在状況とに応じた走行ピッチの指示値を得ることができる。ユーザは、この走行ピッチの指示値とピッチ音とに基づいてランニングを行うことで、実際のランニング時の走行ペースを走行ペースの指示値に一致させることができる。
【0055】
また、求められた走行ピッチの指示値をユーザが変更できるようにしてもよい。例えば、クロノグラフ非計測中に、ユーザがボタンCを押すことにより、処理部105は、記憶部108に保存されているトレーニングプラン情報と、現在状況とに応じて走行ピッチの指示値を生成し、ボタンAを押すと、表示されている走行ピッチの指示値を増加し、ボタンBを押すと、表示されている走行ピッチの指示値を減少し、ボタンCを押すと、加減変更した走行ピッチの指示値を記憶部108に記憶するとともに、クロノグラフ非計測状態を示す表示に戻る、というように処理させてもよい。これにより、ユーザは、走行ピッチの指示値を変更することができる。
【0056】
次に、
図8におけるステップS10のトレーニングプランと現在状況とに応じて走行ピッチの指示値を生成する処理について詳述する。
図9〜
図11は、
図8におけるステップS10のトレーニングプランと現在状況とに応じた走行ピッチを生成する処理のフローチャートである。
【0057】
図8におけるステップS10の処理では、先ず、走法の指示値に応じてピッチの算出方法を選択する処理が行われる。
図9は、本実施形態における走法の指示値に応じてピッチの算出方法を選択する処理のフローチャートである。
(ステップS51)処理部105は、記憶部108から、当日トレーニングプランの走法の指示値を読み出す。
図6に示したように、走法の指示値としては、「通常トレーニング(走法の指示値=1)」、「ビルドアップトレーニング(走法の指示値=2)」、「インターバルトレーニング(走法の指示値=3)」、「組合せトレーニング(走法の指示値=4)」の4種類が指定できる。
【0058】
(ステップS52)処理部105は、走法の指示値が通常トレーニングであるか否かを判別する。処理部105は、走法の指示値が通常トレーニングであるか否かを、例えば、走法の指示値が「1」か否かにより判別する。処理部105は、走法の指示値が通常トレーニングであると判別した場合(ステップS52;YES)、ステップS53に進み、走法の指示値が通常トレーニングではないと判別した場合(ステップS52;NO)、ステップS54に進む。
(ステップS53)処理部105は、通常トレーニングのピッチ算出処理を行う。処理部105は、ステップS53の処理が終了後、走法の指示値に応じてピッチの算出方法を選択する処理を終了する。
【0059】
(ステップS54)処理部105は、走法の指示値がビルドアップトレーニングであるか否かを判別する。処理部105は、走法の指示値がビルドアップトレーニングであるか否かを、例えば、走法の指示値が「2」か否かにより判別する。処理部105は、走法の指示値がビルドアップトレーニングであると判別した場合(ステップS54;YES)、ステップS55に進み、走法の指示値がビルドアップトレーニングではないと判別した場合(ステップS54;NO)、ステップS56に進む。
(ステップS55)処理部105は、ビルドアップトレーニングのピッチ算出処理を行う。処理部105は、ステップS55の処理が終了後、走法の指示値に応じてピッチの算出方法を選択する処理を終了する。
【0060】
(ステップS56)処理部105は、走法の指示値がインターバルトレーニングであるか否かを判別する。処理部105は、走法の指示値がインターバルトレーニングであるか否かを、例えば、走法の指示値が「3」か否かにより判別する。処理部105は、走法の指示値がインターバルトレーニングであると判別した場合(ステップS56;YES)、ステップS57に進み、走法の指示値がインターバルトレーニングではないと判別した場合(ステップS56;NO)、ステップS58に進む。
(ステップS57)処理部105は、インターバルトレーニングのピッチ算出処理を行う。処理部105は、ステップS57の処理が終了後、走法の指示値に応じてピッチの算出方法を選択する処理を終了する。
【0061】
(ステップS58)処理部105は、走法の指示値が組合せトレーニングであるか否かを判別する。処理部105は、走法の指示値が組み合わせトレーニングであるか否かを、例えば、走法の指示値が「4」か否かにより判定する。処理部105は、走法の指示値が組合せトレーニングであると判別した場合(ステップS58;YES)、ステップS59に進み、走法の指示値が組合せトレーニングではないと判別した場合(ステップS58;NO)、ステップS52に戻る。
(ステップS59)処理部105は、組合せトレーニングのピッチ算出処理を行う。処理部105は、ステップS59の処理が終了後、走法の指示値に応じてピッチの算出方法を選択する処理を終了する。
【0062】
[通常トレーニングにおけるピッチ算出処理の説明]
次に、
図9のステップS53の通常トレーニングのピッチ算出の処理について説明する。
図10は、本実施形態における通常トレーニングのピッチの場合の算出処理のフローチャートである。
【0063】
(ステップS101)処理部105は、記憶部108から、当日トレーニングプランの走行距離の指示値と、走行ペースの指示値と、走法の指示値を読み出す。
(ステップS102)処理部105は、走行ペースの指示値を基に、走行ペースの平均値を算出する。
(ステップS103)処理部105は、走行ペースの平均値を基に、走行ピッチの指示値を算出する。
以上で、通常トレーニングのピッチの場合の算出処理を終了する。
【0064】
例えば、トレーニングプランからの走行指示値が、
図4及び
図5に示したように、トレーニングのための走行距離が15km、走行ペースの指示値の上限値が200m/分、下限値が150m/分、となっていたとする。この場合、ステップS102で、処理部105は、走行ペースの指示値の上限値である200m/分、下限値である150m/分とから、走行ペースの平均値((150+200)/2=175m/分)を算出する。そして、ステップS103で、処理部105は、走行ペースの平均値(175m/分)に対応する走行ピッチの指示値を算出する。走行ペースから走行ピッチへ算出方法については、どのように求めてもよい。例えば、ランナーの走幅が分かっていれば、ピッチの回数と走幅とを乗算すれば、距離を求めることができる。また、走行ペースと時間とを乗算すれば、距離を求めることができる。この関係を用いれば、走行ペースから走行ピッチを算出できる。その他、ランナーが所定区間走ったときの走行ピッチと走行ペースとの関係を記憶しておき、このとき走行ピッチと走行ペースとの関係を使って、走行ペースから走行ピッチを算出してもよい。
【0065】
このように、通常トレーニングの走行ピッチの指示値は、トレーニングプランの走行ペースの上限値と、走行ペースの下限値との平均値(中間値)から求めることができる。処理部105は、ステップS103で、通常トレーニングの走行ピッチの指示値を求めた後、
図8において処理をステップS10からステップS11に移す。そして、処理部105は、この走行ピッチの指示値を表示部107へ出力するとともに、報知部109に対して出力する。これにより、報知部109からは、通常トレーニングを行うための走行ピッチの指示値に基づいて、断続音が出力される。
【0066】
[ビルドアップトレーニングにおけるピッチ算出処理の説明]
次に、
図9のステップS55のビルドアップトレーニングのピッチ算出処理について説明する。
図11は、本実施形態におけるビルドアップトレーニングの場合のピッチの算出処理のフローチャートである。ここで、ビルドアップトレーニングは、所定の走行距離毎に、走行ペースを上げていくようなトレーニング方法である。すなわち、ビルドアップトレーニングは、距離毎に負荷が変化するトレーニングである。
【0067】
(ステップS201)処理部105は、記憶部108から、当日トレーニングプランの走行距離の指示値と、走行ペースの指示値と、走法の指示値を読み出す。
(ステップS202)処理部105は、走行ペースの指示値を所定数に分割し、所定数の走行ペースの指示値を算出し、この所定数の走行ペースの指示値から、所定数の走行ピッチの指示値を算出する。なお、この所定数は、予め記憶部108に記憶させておいてもよく、ユーザが入力できるようにしてもよい。
【0068】
(ステップS203)処理部105は、走行距離の指示値を所定数に分割し、所定数に分割された走行距離の指示値と先に算出した所定数の走行ピッチの指示値と対応付けて、記憶部108に記憶する。
(ステップS204)処理部105は、走行状態検出部104が出力する現在走行距離を取得する。
(ステップS205)走行状態検出部104から取得された現在走行距離に応じて、記憶部108から走行ピッチの指示値P1、P2、P3(
図12参照)を読み出す。
以上で、ビルドアップトレーニングの場合のピッチの算出処理を終了する。
【0069】
例えば、トレーニングプランからの走行指示値が、
図4〜
図6に示したように、走行ペースの指示値の上限値が200m/分、下限値が150m/分、となっていたとする。そして、所定数が例えば「3」であるとする。この場合、ステップS202で、走行ペースの指示値の上限値の200m/分と下限値の150m/分との間が所定数「3」で分割され、150m/分、175m/分、200m/分の所定数「3」の走行ペースの指示値が算出される。この所定数「3」の走行ペースの指示値から、所定数「3」の走行ピッチの指示値P1、P2、P3が求められる。そして、ステップS203で、15kmの走行距離の指示値が所定数「3」で分割され、5km毎の走行距離の指示値が求められる。この5km毎の所定数「3」の走行距離の指示値と、ステップS202で求められた所定数「3」の走行ピッチの指示値P1、P2、P3とが、
図12に示すように対応付けられて、記憶部108に記憶される。
【0070】
図12は、本実施形態に係るビルドアップトレーニングにおいて記憶部108に記憶される情報を説明する図である。
図12に示すように、記憶部108には、所定数に分割した走行距離の指示値、所定数に分割した走行ペースの指示値、及び所定数に分割した走行ピッチの指示値が関連づけられて記憶される。
図12に示すように、各走行距離の指示値と走行ピッチの指示値とが対応付けられている場合、走行状態検出部104から得られた現在の走行距離が最初の5km(0〜5km)なら、走行ピッチの指示値はP1となる。走行状態検出部104から得られた現在の走行距離が次の5km(5〜10km)なら、走行ピッチの指示値はP2となる。走行状態検出部104から得られた現在の走行距離が最後の5km(10〜15km)なら、走行ピッチの指示値はP3となる。
【0071】
このように、ビルドアップトレーニングの走行ピッチの指示値は、トレーニングプランの走行ペースの上限値と、走行ペースの下限値とを所定数で分割し、所定数の走行ペースの指示値を求め、所定数の走行ペースの指示値から所定数の走行ピッチの指示値を求めると共に、走行距離の指示値を所定数に分割し、所定数の走行距離の指示値と、所定数の走行ピッチの指示値とを対応付けて記憶し、走行状態検出部104から得られた現在の走行距離に応じて、走行ピッチの指示値を読み出すことにより実現できる。
【0072】
ステップS205で、ビルドアップトレーニングの走行ピッチの指示値を求めた後、処理部105は、処理を
図8のステップS10からS11に移す。そして、処理部105は、ステップS11で、この走行ピッチの指示値を、適宜、表示部107へ出力するとともに、報知部109に対して出力する。これにより、報知部109からは、ビルドアップトレーニングを行うための走行ピッチの指示値に基づく断続音が出力される。
【0073】
なお、上述の説明では、走行距離の指示値を所定数に分割し、所定数の走行距離の指示値と、所定数の走行ピッチの指示値とを対応付けて記憶したが、走行時間を指示値とし、走行時間の指示値を所定数に分割し、所定数の走行時間の指示値と、所定数の走行ピッチの指示値とを対応付けて記憶してもよい。
図13は、本実施形態にかかるビルドアップトレーニングにおいて記憶部108に記憶される情報の他の例を説明する図である。
図13の示す例では、走行時間の指示値を1時間30分とし、1時間30分の走行時間の指示値を3分割し、3分割の走行時間の指示値と、3種類の走行ピッチの指示値P11、P12、P13とを対応付けて記憶したものである。この場合、処理部105は、計時部102から得られた経過時間に応じて、走行ピッチの指示値P11、P12、P13を読み出す。
【0074】
[インターバルトレーニングにおけるピッチ算出処理の説明]
次に、
図9のステップS57のインターバルトレーニングのピッチ算出処理を説明する。
図14は、本実施形態におけるインターバルトレーニングの場合のピッチの算出処理のフローチャートである。ここで、インターバルトレーニングは、所定の時間毎に、高負荷のトレーニングと低負荷のトレーニングとを繰り返すようなトレーニング方法である。すなわち、インターバルトレーニングは、時間毎に負荷が変化するトレーニングである。
【0075】
(ステップS301)処理部105は、記憶部108から、当日トレーニングプランの走行距離の指示値と、走行ペースの指示値と、走法の指示値を読み出す。
(ステップS302)処理部105は、走行ペースの指示値から走行ピッチの上限値及び下限値を算出し、算出した走行ピッチの上限値及び下限値を記憶部108に記憶させる。
(ステップS303)処理部105は、計時部102からスプリット時間情報を取得する。
(ステップS304)処理部105は、取得したスプリット時間に基づいて、所定の時間毎に、走行ピッチの上限値と下限値を切り替えて読み出す。
以上で、インターバルトレーニングのピッチ算出処理を終了する。
【0076】
例えば、トレーニングプランからの走行指示値が、
図4及び
図5に示したように、トレーニングのための走行距離が15km、走行ペースの指示値の上限値が200m/分、下限値が150m/分、となっていたとする。この場合、ステップS302で、処理部105は、走行ペースの指示値の上限値である200m/分に対応する走行ピッチを走行ピッチの上限値として求め、また、走行ペースの指示値の下限値である150m/分に対応する走行ピッチを走行ピッチの下限値として求め、算出した走行ピッチの上限値及び下限値を記憶部108に記憶させる。例えば、スプリット時間を30分とすると、処理部105は、計時部102からスプリット時間情報を取り込み、30分毎に、200m/分に対応する走行ピッチと、150m/分に対応する走行ピッチとを交互に切り替えて、記憶部108から読み出す。
【0077】
このように、インターバルトレーニングの走行ピッチの指示値は、トレーニングプランの走行ペースの上限値と、走行ペースの下限値とから、走行ピッチの上限値と、走行ピッチの下限値を求め、計時部102からスプリット時間毎に、走行ピッチの上限値と走行ピッチの下限値とを交互に切り替えて読み出すことにより実現できる。
【0078】
図14のステップS304で、インターバルトレーニングの走行ピッチの指示値を求めた後、処理を
図8のステップS10からS11に移す。そして、処理部105は、ステップS11で、この走行ピッチの指示値を、適宜、表示部107へ出力するとともに、報知部109に対して出力する。これにより、報知部109からは、インターバルトレーニングを行うための走行ピッチの指示値に基づく断続音が出力される。
【0079】
[組み合わせトレーニングの場合のピッチの算出処理の説明]
次に、
図9のステップS59の組み合わせトレーニングのピッチ算出処理を説明する。
図15は、本実施形態における組み合わせトレーニングの場合のピッチの算出処理のフローチャートである。ここで、組合せトレーニングは、複数種類のトレーニングを組み合わせるものである。すなわち、組合せトレーニングは、回数毎に負荷が変化するトレーニングである。ここでは、2種類のトレーニングを組み合わせる例について説明する。
【0080】
(ステップS401)処理部105は、記憶部108から、当日トレーニングプランの走行距離の指示値と、走行ペースの指示値と、走法の指示値を読み出す。
(ステップS402)処理部105は、走行ペースの指示値から、1回目の走行ピッチの上限値及び下限値を算出し、算出した1回目の走行ピッチの上限値及び下限値を記憶部108に記憶させる。
(ステップS403)処理部105は、走行ペースの指示値から、2回目の走行ピッチの上限値及び下限値を算出し、算出した2回目の走行ピッチの上限値及び下限値を記憶部108に記憶する。
【0081】
(ステップS404)処理部105は、記憶部108から、当日データを読み出す。
(ステップS405)処理部105は、当日データ走行距離と、トレーニングプランの走行距離を基に、1回目の走行ピッチ上限指示値または走行ピッチ下限指示値と、2回目の走行ピッチ上限指示値または走行ピッチ下限指示値とを選択する。なお、処理部105は、当日データに記録されている走行距離(当日データが複数ある場合、その総計でも良い)が、トレーニングプランの走行距離の指示値を超えているか、あるいは所定の比率を満たす条件(例えば80%以上等)で達成しているか否かに応じて、一回目の走行ピッチか二回目の走行ピッチかを選択する。
以上で、トレーニングの場合のピッチの算出処理を終了する。
【0082】
組合せトレーニングの場合、例えば2種類のトレーニングを組み合わせるとすると、走行ピッチの指示値は、2種類となる。この例では、記憶部108から読み出された当日トレーニングデータと、トレーニングプランの走行距離指示値とにより、この2種類の走行ピッチの指示値から、1種類の走行ピッチの指示値を選択している。例えば、1回目のトレーニングプランが10kmであり、記憶部108から当日トレーニングデータとして10kmの走行距離が読み出せれば、最初のトレーニングは終了しているので、2回目の走行ピッチの指示値を選択すればよい。10kmの走行距離を示す当日トレーニングデータが記憶部108に保存されていなければ、最初のトレーニングは行われていないので、1回目の走行ピッチの指示値を選択すればよい。
【0083】
処理部105は、
図15のステップS405で、組合せトレーニングの走行ピッチの指示値を求めた後、処理を
図8のステップS10からS11に移す。そして、処理部105は、ステップS11で、この走行ピッチの指示値を、適宜、表示部107へ出力するとともに、報知部109に対して出力する。これにより、報知部109からは、組合せトレーニングを行うための走行ピッチの指示値に基づく断続音が出力される。
【0084】
上記の説明のうち、
図10のステップS101〜S102、
図11のステップS201〜S203、
図14のステップS301〜S302、及び
図15のステップS401〜S403を、処理部105は、トレーニングプランの指示値を取得した時点で実行し、算出された結果を予め記憶部108に保存しておいてもよい。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の電子機器1(電子時計)は、トレーニング間隔の指示値と走行ペースを示す指示値とを含むトレーニング情報を取得する取得部(通信部110)と、取得部によって取得されたトレーニング情報と、トレーニングにおける現在状況とに基づいて、走り方を指示する情報を生成する処理部105と、生成された走り方を指示する情報を報知する報知部109と、を備える。
なお、現在状況とは、現在の走行距離(現在距離ともいう)、現在の走行時間(経過時間ともいう)、及び現在までのトレーニングデータ(現在までに蓄積されたトレーニングデータともいう)のうち、少なくとも1つである。
【0086】
この構成によって、本実施形態の電子機器1は、トレーニングプランの情報と、現在距離や経過時間、現在までに蓄積されたトレーニングデータを用いることで、通常トレーニング、ビルドアップトレーニング、インターバルトレーニング、組合せトレーニング等、種々の走法での走行ピッチの指示値を出力できる。これにより、様々な走法が指示されるようなトレーニングプランの場合でも、実際のランニング時の走行ペースを指示値に一致させることができる。
【0087】
なお、上述の例では、トレーニングプランとして、トレーニングの走行距離と、走行ペースが指示されているが、走行距離の代わりに、トレーニングの走行時間が指示されていてもよい。すなわち、トレーニングプランとして、トレーニング間隔(走行距離又は走行時間)が指示されていればよい。また、走行ペースの代わりに、走行ピッチが指示されていてもよい
【0088】
また、上述の例では、トレーニングプランは、通信部110により外部装置から取得しているが、製品出荷時等に、予め、トレーニングプランのデフォルト値を記憶部108に記憶させておくようにしてもよい。また、ユーザが適宜トレーニングプランを入力できるようにしてもよい。
なお、処理部105は、通信部110により外部装置から取得したトレーニングプランを記憶部108に記憶させずに、取得したトレーニングプランに基づいて走行ピッチを算出するようにしてもよい。
【0089】
また、上述の例では、走行ピッチに基づいて断続する報音を報知部109から出力させているが、走行ピッチの速さに対応するリズムの音楽を出力させるようにしてもよい。すなわち、報知部109からは、求められた走行ピッチで走行できるような、走り方を指示する情報を出力できればよい。この場合、処理部105は、通信部110を介して利用者が使用しているPCと接続して、PCから走行ピッチの速さに対応するリズムの音楽を取得するようにしてもよい。または、電子機器1の記憶部108に予め楽曲が記憶されている場合、処理部105は、記憶部108に記憶されている楽曲の中から走行ピッチの速さに対応するリズムの音楽を選択し、選択した音楽を出力するようにしてもよい。また、報知部109は、例えば出力端子を備える場合、この出力端子に接続されたイヤホンやヘッドホンに上述した報音や音楽を出力するようにしてもよい。
また、報知部109がバイブレータである場合、報知部109は、走行ピッチの速さに対応する振動を発生するようにしてもよい。
【0090】
また、上述の例では、電子機器1の例として電子時計を例に説明したが、これに限られない。腕等に装着可能な携帯機器、眼鏡型の携帯機器、ネックレス型の携帯機器、歩数計等に、上述した機能部を組み込むようにしてもよい。
【0091】
また、上述の例では、当日データを記憶部108に記憶させる例を説明したが、処理部105は、日付が変わったことを検出して当日データを消去するようにしてもよい。または、処理部105は、当日データをトレーニングが行われた日付毎に記憶部108に順次記憶させていき、記憶部108の残りの容量を検出して、検出した残りの容量に応じて日付の古い当日データから消去していくようにしてもよい。あるいは、処理部105は、記憶部108に記憶させた当日データを、通信部により外部装置と接続したときに、外部装置に送信するようにしてもよい。
【0092】
なお、本発明における電子機器1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより電子機器1の制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0093】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。