(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記2回目及びそれ以降の前記計測工程は、当該工程において計測された摩耗量の現在値と前記1回目の前記計測工程で計測された偏心量の初期値とに基づいて、演算により偏心量の現在値を計測する工程を含み、
前記研削加工工程は、その直前に計測された偏心量の現在値に基づいて前記加工条件を補正する工程を含む、請求項4に記載の研削方法。
前記装着具は加工エリア内で保持され、前記位置決め装置はワークを解放可能に保持して移動させ、前記研削加工工程では、前記位置決め装置に保持された未加工のワークが前記加工エリア内の前記装着具及びこれに装着された砥石に向かって移動し、
前記研削加工工程の後に、加工済のワークを前記加工エリアから搬出する工程を更に備え、前記計測工程は、前記搬出工程と前記研削加工工程の間に実行され、
前記計測工程は、前記位置決め装置が加工済のワークを搬出及び解放した後、前記形状パラメータの計測に必要なセンサを保持し、当該センサを前記加工エリア内の前記装着具及びこれに装着された砥石に向かって移動させる工程を含む、請求項5に記載の研削方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、同一の又は対応する要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る研削装置1の概念図である。研削装置1は、複数のワーク2に対して自動的に順次に砥石3で研削加工を施す。研削装置1は、砥石3を保持する第1ロボット10と、ワーク2を搬送する第2ロボット20とを備える。
【0016】
第2ロボット10は、アームアクチュエータ12(
図2参照)で駆動される可動のロボットアーム11と、ロボットアーム11の先端に装着される研削エフェクタ13とを備える。研削エフェクタ13は、ロボットアーム11の先端に装着されるグリップ部14と、グリップ部14の先端に所定の回転軸線15cの周りに回転可能に支持される装着具15と、装着具15を回転駆動する回転アクチュエータ16(
図2参照)とを備える。
【0017】
砥石3は円形状である。つまり、砥石3は、例えばディスク状及びホイル状のように、中心軸方向に視たときに円を成す外周面を有する。砥石3は、その中心3cが装着具15の回転軸線15cと同軸状となるようにして、装着具15に交換可能に装着される。装着具15が回転すると、装着具15に装着されている砥石3が、回転軸線15cの周りに回転する。ロボットアーム11が作動すれば、砥石3がロボットアーム11の可動域内で移動する。
【0018】
ロボットアーム11及びアームアクチュエータ12は、装着具15及びこれに装着されている砥石3をワーク2に対して位置決めしながら相対的に移動させる位置決め装置を構成している。位置決め装置の具体的構成は、ロボットアーム11及びアームアクチュエータ12に限定されない。本実施形態では、位置決め装置(ロボットアーム11及びアームアクチュエータ12)が、装着具15を移動させるよう構成され、ワーク2が静止していても砥石3のワーク2に対する相対的な位置を変化させることができる(静止している砥石3に対しワーク2を移動させる場合は、第4実施形態を参照)。
【0019】
第2ロボット20は、アームアクチュエータ22(
図2参照)により駆動される可動のロボットアーム21と、ロボットアーム21の先端に装着される搬送エフェクタ23とを備える。搬送エフェクタ23は、ワーク2を解放可能に保持できればどのように構成されていてもよく、例えば、互いに近接及び離隔する複数のフィンガを含むハンド24と、ハンド24を駆動するハンドアクチュエータ26(
図2参照)とで構成される。ロボットアーム21が作動すると、搬送エフェクタ23がロボットアーム21の可動域内で移動する。
【0020】
ワーク2に研削加工を施す加工エリアA1は、ロボットアーム11,21の可動域の重複部分にあり、研削エフェクタ13も搬送エフェクタ23も加工エリアA1にアクセス可能である。加工エリアA1には、ワーク2を保持するワーク保持台4が設けられている。未加工ワーク2の搬入元である未加工エリアA2と、加工済ワーク2の搬出先である加工済エリアA3とは、ロボットアーム21の可動域内にあり、搬送エフェクタ23は、未加工エリアA2及び加工済エリアA3にアクセスすることができる。
【0021】
この研削装置1では、第2ロボット20が作動し、未加工ワーク2が未加工エリアA2から加工エリアA1へと搬送される。未加工ワーク2は、ワーク保持台4に対して所定の位置及び姿勢で、ワーク保持台4に保持される。次に、第1ロボット10が作動し、ワーク保持台4に保持されているワーク2に研削加工が施される。つまり、回転アクチュエータ16が作動し、装着具15及び砥石3が所定の回転速度で回転する。併せて、位置決め装置が作動し、装着具15及び砥石3がワーク2に移動する。砥石3の外周面が回転しながらワーク2の所要の部位に押し当てられ、それによりワーク2に所要の研削加工が施される。研削加工が終わると、第2ロボット20が作動し、加工済ワーク2が加工エリアA1から加工済エリアA3へと搬送される。このような動作が繰り返されることで、複数の未加工ワーク2に対して自動的に順次に研削加工が施され、複数の加工済ワーク2が自動的に順次に加工済エリアA3へと搬送される。
【0022】
研削加工を施すに際し、ワーク2の位置及び姿勢は所定のものに整えられる。原則的にいって、装着具15が加工エリアA1内で所定の位置に位置決めされながら所定の経路に沿って移動すれば、砥石3の外周面は前記所要の部位に適切に押し当てられ、それによりワーク2に所要の研削加工が施されることとなる。
【0023】
一方、研削加工回数が増えるにつれ、砥石3は半径方向に摩耗していく。そのため、摩耗が進行していけば、装着具15が前記のように位置決めされながら移動しても、砥石3の外周面を前記所要の部位に適切に押し当てることができない。例えば、砥石3のワーク2への押付け力又は砥石3のワーク2への進入量が不足し、研磨不足を生じる可能性がある。よって、研削加工回数が大きくなると、所要の加工品質を得られなくなる可能性がある。
【0024】
また、
図1は、砥石3の中心3cが装着具15の回転軸線15cと完全に同軸に配置されている状態を便宜的に示しており、現実にそのように配置することは難しい。回転アクチュエータ16から装着具15に回転駆動力を伝達する機構や、砥石3を装着具15に装着する機構においてバックラッシュを完全になくすことも難しい。砥石3の真円度に個体差が生じることも避けがたい。これらを要因に、装着具15が回転するときに、砥石エッジが半径方向に往復振動するようにして回転する可能性がある。以降では単なる説明の便宜のため、実際の要因に関わらず(例えば、砥石3の中心3cと装着具15の回転軸線15cとのズレのみを実際の要因とするのか否かに関わらず)、砥石エッジが半径方向に往復振動しながら砥石3が回転することを指して「砥石3の偏心回転」と呼ぶ。砥石3が1回転する間における砥石エッジの振動幅を指して「偏心量」と呼ぶ。例えば、回転軸線15cが水平に向けられていれば、砥石3の下端エッジ3aは上下方向に往復振動し、砥石3が1回転する間における砥石3の下端エッジ3aの最上点と最下点との間の距離が偏心量となる。
【0025】
砥石3の偏心回転が認められる場合、装着具15は前記のとおり位置決めされながら移動しても、砥石3の外周面を前記所要の部位に適切に押し当てることができない。例えば、ある1つのワーク2に砥石3を押し付けるとき、その砥石3が1回転する間にワーク2への押付け力が変化して加工面にバリが生じるなど、加工品質上の不具合が発生する可能性がある。また、偏心量は、摩耗の進行によって徐々に小さくなる。このため、複数のワーク2に対して順次に研削加工が施されると、これらワーク2の加工品質にばらつきが生じる可能性がある。
【0026】
研削装置1は、砥石3の形状パラメータであって、加工品質に影響を及ぼす形状パラメータを計測する。形状パラメータには、砥石3の摩耗量及び偏心量が含まれ、本実施形態では、砥石3の摩耗量と偏心量とを両方とも測定しており、摩耗量の計測では偏心量の計測結果を考慮し、偏心量の計測では摩耗量の計測結果を考慮する。
【0027】
複数のワーク2に順次に研削加工を施していくにあたって、研削加工と計測とは交互に繰返し実行される。「交互」は、ある回の計測とその次回の計測との間に実行される1回の研削加工で、1つのワーク2のみに研削加工を施す場合も、2以上のワーク2に順次に研削加工を施す場合も含む。
【0028】
計測を実行すると、その計測結果は、その後に実行される研削加工における加工条件に反映される。つまり、加工条件が計測結果に応じて補正されていく。これにより、砥石3の偏心回転が認められる場合でも、加工品質の低下を抑えることができる。また、研削加工回数が増えるにつれて砥石3の摩耗量及び偏心量が変化していっても、加工品質の変化を抑えることができる。よって、新品の砥石3が装着されてから当該砥石3を使い古すまでに、当該砥石3で研削加工を施された複数のワーク2について、これらワーク2の加工品質のばらつきを抑えることができる。
【0029】
本実施形態に係る研削装置1では、形状パラメータの計測を行うための計測エリアA4が、ロボットアーム11の可動域内にある。計測エリアA4には、偏心量を計測するための偏心センサ31と、摩耗量を計測するための摩耗センサ32とが配置される。装着具15に装着されている砥石3は、位置決め装置(例えば、ロボットアーム11及びアームアクチュエータ12)の作動によって、測定エリアA4にアクセスすることができる。
【0030】
第1実施形態では、偏心センサ31と摩耗センサ32とが別体で構成されているが、一例である。第2実施形態のように、偏心センサと摩耗センサとを単体のセンサで構成することも可能である。
【0031】
図2は、
図1に示す研削装置1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、研削装置1は制御装置40を備えている。制御装置40は、回転アクチュエータ16と、位置決め装置を構成するアームアクチュエータ12とを制御することができる。なお、回転アクチュエータ16及びアームアクチュエータ12は、一例として電気モータで構成される。制御装置40は、エンコーダ17からの入力に基づいて装着具15及び砥石3の回転軸線15cの周りの回転角を検知することができ、エンコーダ18からの入力に基づいてロボットアーム11及び装着具15の位置及び姿勢(以降、これらを「ロボット位置」と総称する)を検知することができる。
【0032】
制御装置40は、第2ロボット20のアームアクチュエータ22と、搬送エフェクタ23のハンドアクチュエータ26の動作を制御することができる。すなわち、制御装置40は、ロボットアーム21及びハンド24の位置及び姿勢を制御することができ、ハンド24を用いてワーク2を保持するか否かを制御することができる。
【0033】
制御装置40は、研削加工及び計測を実行するための研削プログラム41を記憶している。本実施形態では、第1及び第2ロボット10,20は産業用ロボットである。つまり、研削プログラム41は、制御装置40に通信可能に接続されたティーチペンダント45を用いて又はオフラインティーチング法を用いて作業員によって作成され、このようにして作成された研削プログラム41をプレイバックすることで第1及び第2ロボット10,20が作動する。
【0034】
研削プログラム41では、例えば、研削加工を実行するときにおけるロボット位置を示す複数の教示点が設定されている。研削プログラム41のプレイバックにより、装着具15は設定されている教示点間を順次に経由するよう移動する。研削プログラム41では、研削加工を実行するときにおける装着具15の移動速度、装着具15の回転速度も設定される。装着具15の教示点ひいては経路、装着具15の移動速度、及び装着具15の回転速度は、研削加工の加工条件である。
【0035】
図3は、第1実施形態に係る研削方法を示すフローチャートである。
図3に示すように、先ず、装着具15に新品の砥石が装着され(S1)、研削プログラム41を作成するためのティーチング作業が行われる(S2)。ティーチング作業が終わると、研削プログラム41をプレイバックすることで、複数のワーク2に順次に自動的に研削加工を施すことができるようになる。
【0036】
この自動の研削加工に先立ち、装着具15に新品の砥石3が装着される(S3)。砥石3が装着されて研削加工の開始指令がなされると、先ず、偏心量初期値De(1)が測定され(S10)、次いで、初期位置情報X(1)が取得される(S20)。初期位置情報X(1)は、摩耗量の測定で基準値として利用されるロボット位置に関する情報であり、装着具15に装着された砥石3を使って研削加工を1度も実行しておらずその砥石3が全く摩耗していない状態で取得される。そして、計測された偏心量初期値De(1)に応じて、1回目の研削加工の前に、加工条件が補正される(S31)。
【0037】
次に、第2ロボット20が作動し、未加工ワーク2が未加工エリアA2から加工エリアA1に搬入される(S32)。未加工ワーク2は、ワーク保持台4で保持され、そのワーク保持台4に対する位置及び姿勢が予め定められたものに整えられる。次に、第1ロボット10が作動し、直前に補正された加工条件の下、未加工ワーク2に研削加工が施される(S33)。研削加工(S33)が終わると、第2ロボット20が作動し、加工済ワーク2が、加工エリアA1から加工済エリアA3へ搬出される(S34)。フローチャートに示す手順を一部飛ばして第2ロボット20に関連した説明を続けると、砥石3の交換が不要であると判断されれば(S35:NO)、第2ロボット20が作動し、再度未加工ワーク2が搬入され(S32)、次回の研削加工対象である未加工ワーク2がワーク保持台4に保持される。
【0038】
一方で、研削加工(S33)が終わると、第1ロボット10が作動し、摩耗量現在値Dw(N)が計測される(S40)。この計測において、S20で取得された初期位置情報X(1)が用いられる。砥石3の交換要否の判断処理(S35)では、摩耗量現在値Dw(N)の計測処理(S40)で計測された摩耗量現在値Dw(N)を制御装置40に予め記憶された許容値と比較してもよい。なお、砥石3の交換要否の判断処理(S35)では、新品の砥石3が装着されてからの研削加工回数を許容値と比較してもよい。その場合、判断後に摩耗量現在値の計測処理(S40)を行ってもよい。砥石3の交換が不要であると判断されれば(S35:YES)、第1ロボット10が作動し、偏心量現在値De(N)が計測される(S50)。そして、計測された摩耗量及び偏心量の現在値Dw(N),De(N)に応じて、加工条件が再度補正される(S31)。第2ロボット20を用いた未加工ワーク2の搬入が終わると、直前に補正された加工条件の下、次回の研削加工が実行される(S33)。
【0039】
図3のフローでは、加工済ワーク2が搬出された後、摩耗量及び偏心量の現在値Dw(N),De(N)が計測され、計測の終了を待って未加工ワーク2が搬入されるかのように図示されている。このような手順で処理を進めてもよいが、第2ロボット20を用いたワーク2の搬出及び搬入と、第1ロボット10を用いた計測とが並行して実行されてもよい。それにより、計測中の第2ロボット20の待機及び搬送中の第1ロボット10の待機を抑えることができるので、あるワーク2に対する研削加工の開始から次のワーク2に対する研削加工の開始までの時間が短くなる。本実施形態では、1つのワーク2に研削加工が施されるたびにワーク2の搬出及び搬入が行われており、その搬送時間を利用して、1つのワーク2の研削加工を施すたびに摩耗量及び偏心量の現在値Dw(N),De(N)が計測される。よって、研削加工は、毎回、その直前に計測された摩耗量及び偏心量に対応した加工条件の下で実行される。
【0040】
砥石3の交換が必要と判断されれば(S35:YES)、S3に戻る、使い古された砥石3が装着具24から取り外され、別の新品の砥石3が装着具24に装着される。
【0041】
図4は、第1実施形態に係る偏心量初期値De(1)の測定処理S10を示すフローチャートである。
図4に示すように、先ず、回転アクチュエータ16が作動し、装着具15及び砥石3が回転駆動される(S11)。このとき、装着具15及び砥石3が回転軸線15cの周りに等速で回転する。次に、第1ロボット10のロボットアーム11が作動し、砥石3を偏心センサ31の検出域31a内に移動させる(S12)。そして、制御装置40が、偏心センサ31から、検出域31a内に位置している砥石エッジの位置時系列データを取得する(S13)。
【0042】
図5は、第1実施形態に係る偏心量初期値De(1)の測定処理S10を説明する説明図である。偏心量初期値De(1)は砥石3を回転させながら測定されるので、偏心センサ31は損傷を避けるために非接触式であることが好ましい。第1実施形態に係る偏心センサ31は、測定エリアA4内に検出域31aを形成し、検出域31a内に位置している砥石エッジの位置を検出することができればよい。
【0043】
以上の機能を有するセンサの一例として、偏心センサ31は寸法測定器で構成される。偏心センサ31は、センシング光を走査方向に発光する発光素子31bと、当該走査方向に発光素子31bから離れており発光素子31bからのセンシング光を受光する受光素子31cとを備える。センシング光は帯状であり、検出域31aは、走査方向と素子縦方向の2方向に延び、素子横方向に小さい幅を有している。
【0044】
S12では、回転軸線15cは走査方向と平行に向けられ、検出域31aの延在方向のうち残余方向である素子縦方向に装着具15及び砥石3が移動する。例えば、走査方向は水平な一方向であり、素子縦方向(砥石3の移動方向)は鉛直方向であり、検出域31aは水平方向及び鉛直方向の2方向に延在する。検出域31a内には、砥石3の下端エッジ3aを位置させる。
図5(b)に示すように、砥石3が偏心回転すると、ロボットアーム11が静止していても砥石3の下端エッジ3aは鉛直方向に往復振動する。偏心センサ31は、この下端エッジ3aの位置を逐次検知する。S13では、制御装置40が、偏心センサ31が逐次検知する位置データを入力し、それにより下端エッジ3aの位置時系列データ(
図5(c)参照)を取得する。
【0045】
図4に戻ると、制御装置40は、砥石3の下端エッジ3aの位置時系列データに基づき、砥石3が1回転する間の砥石エッジの移動量を計測し(S14)、計測された移動量を偏心量初期値De(1)として記憶する(S15)。例えば、移動量は、位置時系列データから砥石の下端エッジ3aの最下点X1と最上点X2とを抽出し、抽出された2点間距離を演算することによって、計測される。
【0046】
図6は、第1実施形態に係る初期位置情報X(1)の取得処理S20を示すフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態では、初期位置情報X(1)の取得に偏心量Deを考慮しており、偏心量初期値De(1)の測定後に当該取得処理を実行し、当該取得処理において直前に測定された偏心量初期値De(1)を用いる。偏心量初期値De(1)の測定結果を用いずに初期位置情報X(1)を取得する場合は、測定処理S10と取得処理S20との順序が逆でもよい。
【0047】
図6に示すように、位置情報の誤差Eb,Ecが許容値Ea未満であるとの条件(以下「許容誤差条件」)を満たす砥石3の回転速度gr及び砥石3の移動速度rbを導出する(S21)。導出された回転速度grで砥石3を回転駆動するように回転アクチュエータ16が作動し(S22)、導出された移動速度rbで砥石3を移動させるように位置決め装置が作動する(S23)。そして、エンコーダ18の入力に基づいて、砥石エッジが摩耗センサ32の検出域32aに到達した時点のロボット位置(例えば、第1ロボット10の基台に原点を設定した座標系での装着具15の位置)を取得し(S33)、制御装置40は、この位置を初期位置情報X(1)として記憶する。
【0048】
図7は、第1実施形態に係る摩耗量現在値Dw(N)の計測処理S40を示すフローチャートである。
図7に示すように、摩耗量現在値Dw(N)の測定では、先ず、初期位置情報X(1)の取得処理S20(
図6参照)と同じ手順を踏む。つまり、許容誤差条件を満たす砥石3の回転速度gr及び移動速度rbが導出され(S41)、導出された回転速度grで砥石3が回転駆動され(S42)、導出された移動速度rbで砥石3が移動する(S43)。そして、砥石エッジが摩耗センサ32の検出域32aに到達した時点のロボット位置を現在位置情報X(N)として取得する(S44)。そして、記憶されている初期位置情報X(1)を読み出し(S45)、初期位置情報X(1)と現在位置情報X(N)とから摩耗量現在値Dw(N)を計測する(S46)。
【0049】
図8は、第1実施形態に係る初期位置情報X(1)の取得処理S20及び摩耗量現在値Dw(N)の測定処理S40を説明する図である。本実施形態では、初期位置情報X(1)及び現在位置情報X(N)が砥石3を回転させながら取得されるので、摩耗センサ32は損傷を避けるために非接触式であることが好ましい。第1実施形態に係る摩耗センサ32は、測定エリアA4内に検出域32aを形成し、検出域32a内に物体が存在することを検知することができればよい。
【0050】
図8(a)に示すように、以上の機能を有したセンサの一例として、摩耗センサ32は光電センサで構成される。透過型であれば、摩耗センサ32は、センシング光を走査方向に発光する発光素子32bと、当該走査方向に発光素子32bから離れて配置されて発光素子32bからのセンシング光を受光する受光素子32cとを備える。センシング光は線状であり、検出域32aは走査方向に直線状に延びる。
【0051】
S23及びS43では、先ず、装着具15は、砥石3が検出域32aから十分に離れるように位置づけられる。回転軸線15cは走査方向に向けられる。この状態から、装着具15は、回転軸線15cの方向に見て回転軸線15cを点状の検出域32aと結ぶ直線の延在方向に移動させる。当該延在方向は、砥石3の半径方向すなわち摩耗方向に相当する。例えば、走査方向は水平であり、回転軸線15cを検出域31aと結ぶ直線は鉛直に延在する。装着具15は鉛直方向に移動し、砥石3の下端エッジ3aを検出域32aに近付けていく。
【0052】
図8(b)及び(c)に示すように、装着具15の移動方向は砥石3の摩耗方向に相当するので、摩耗が進行すると、砥石3を検出域32aに到達させるまでに必要な移動量が大きくなっていく。この移動量が摩耗量現在値Dw(N)に相当し、現在位置情報X(N)は、装着具15の移動方向に摩耗量現在値Dw(N)だけ、初期位置情報X(1)から離れた位置を示す情報となる。このため、現在位置情報X(N)と初期位置情報X(1)との差分をとれば、摩耗量現在値Dw(N)が計測されることになる。
【0053】
図8(d)を参照してS21及びS41について説明する。位置情報の取得では、摩耗センサ32が所定のセンサ応答時間srおきに砥石エッジ3aが検出域32a内に存在するか否かを検知する。センサ応答時間srが経過する間、装着具15及び砥石3は検出域32aに向かって移動し続けており、この移動量はセンサ検出遅れによる位置情報の第1誤差Ebとなる。砥石3が偏心回転していれば、センサ応答時間srが経過する間、砥石3の下端エッジ3aが鉛直方向に移動し、その移動量はセンサ検出遅れによる位置情報の第2誤差Ecとなる。
【0054】
第1誤差Ebは、センサ応答時間srと砥石3の移動速度rbとの積である(Eb=sr×rb)。第2誤差Ecは、偏心量Deを、砥石3が回転軸線15cの周りに半回転する間の摩耗センサ32の計測回数で除算した値であり、砥石3が1回転する間の摩耗センサの計測回数Mは、センサ応答時間srの逆数を砥石3の回転速度grで除算した値である(M=(1/sr)/gr=1/(sr×gr))。よって、第2誤差Ecは、偏心量Deとセンサ応答時間srと砥石3の回転速度grとの積に2を乗算した値である(Ec=De/(M/2)=De/[{1/(sr×gr)}/2]=2×De×sr×gr)。
【0055】
本実施形態では、これら2つの誤差Eb,Ecが両方とも考慮され、許容誤差条件は、誤差の許容値Eaがこれら誤差Eb,Ecの総和未満であるとの条件となっている(Ea<Eb+Ec=sr(br+2×De×gr))。センサ応答条件srは摩耗センサ32の仕様に応じた定数であり、偏心量Deは直近の測定値が用いられる。そこで、移動速度br及び回転速度grが許容誤差条件を満たすように調整される。
【0056】
偏心量Deの最大値を予め想定しておき、制御装置40は、偏心量Deがどのような値であっても許容誤差条件が満たされるように予め調整された移動速度br及び回転速度grを記憶していてもよい。また、計測される偏心量Deに応じて移動速度br及び回転速度grが可変的に設定されてもよい。研削加工回数が増えるほど偏心量Deは少なくなっていくので、第2誤差Ecが小さくなっていく。これに併せて移動速度brを徐々に上げていくよう設定してもよく、それにより摩耗が進行するにつれて砥石3の移動量は大きくなるにも関わらず摩耗量現在値Dwの測定時間が長くなるのを抑えることができる。
【0057】
砥石3の回転速度gr及び移動速度rbが上記のように調整されるので、位置情報の精度が許容範囲内に収まり、それにより摩耗量Dw及び偏心量Deの計測精度が向上する(後述のとおり、偏心量現在値De(N)は摩耗量現在値Dw(N)に基づいて計測される)。よって、精度よく計測された摩耗量及び偏心量に応じて加工条件も適切に補正され、加工品質を安定させることができる。
【0058】
図9は、偏心量現在値De(N)の測定処理S50を示すフローチャートである。砥石3の摩耗は偏心回転の解消に寄与し、偏心量Deは摩耗によって漸次減少していく。本実施形態に係る偏心量現在値De(N)の測定処理S50では、この考えを前提として、偏心センサ31を用いず演算によって現在値De(N)が求められる。
図9に示すように、先ず、記憶している偏心量初期値De(1)を読み出し(S51)、直前の測定処理S40で測定された摩耗量現在値De(N)を読み出す(S52)。そして、読み出された2つの値De(1),De(N)の差分を求め、これを偏心量現在値De(N)とする(S53)。なお、摩耗量現在値De(N)が偏心量初期値De(1)以上になれば、偏心量現在値De(N)はゼロである。
【0059】
加工条件は、直前に測定された形状パラメータに基づいて補正される。摩耗量現在値Dw(N)が計測されると、その後研削加工を実行する前に、この計測結果に応じて、加工条件の一例として装着具15の教示点ひいては移動経路が補正される。前述のとおり、摩耗が進行すると研磨不足が生じる可能性がある。そこで、摩耗量現在値Dw(N)が大きくなるほど、教示点がよりワーク2に近付けられるようにして加工条件が補正される。これにより、摩耗が漸次大きくなっていても、加工品質を保つことができる。
【0060】
偏心量初期値及び偏心量現在値が計測されると、その後研削加工が実行される前に、その計測結果に応じて、加工条件の一例として砥石3の移動速度及び回転速度が補正される。前述のとおり、砥石3が偏心回転すると砥石3とワーク2との接触不均一が生じ、加工面にバリが発生するなどの不具合を生じる可能性があるところ、その不具合の程度が偏心量によって変わる。そこで偏心量が大きいときほど、砥石3の移動速度及び回転速度が小さくなるように加工条件が補正される。それにより、接触不均一を抑えることができ、加工品質を安定させることができる。偏心量Deは研削加工回数が増えて摩耗が進行していくにつれて減少していき、偏心量現在値De(N)がゼロになれば砥石3の移動速度及び回転速度は初期値に戻る。
【0061】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態に係る偏心量初期値De(1)の計測処理S210を示すフローチャートである。
図11は、第2実施形態に係る偏心量初期値De(1)の計測処理S210を説明する図である。第2実施形態は、研削装置の全体構成及び研削方法の全体フローは第1実施形態(
図1及び
図3参照)と同様であり、第2実施形態に係る計測処理S210は、
図3に示す計測処理S10に代わって実行される。第2実施形態は、偏心センサ231が第1実施形態の摩耗センサ32(
図8参照)と同様の光電センサで構成される点、そのような偏心センサ231を用いて偏心量初期値De(1)を計測する点で、第1実施形態と相違する。なお、偏心量現在値De(N)は、第1実施形態と同様、偏心量初期値De(1)と摩耗量現在値Dw(N)との差分を演算することによって測定される(
図9参照)。以下、第1実施形態との相違を中心に第2実施形態について説明する。
【0062】
図10に示すように、先ず、砥石3が回転駆動され(S211)、砥石3を検出域231aに向けて移動させる(S212)。次に、偏心センサ231が検出域231a内に砥石3が存在する旨示す信号(以下「ON信号」)を出力した時点のロボット位置(特に、第1ロボット10の基台に原点を設定した座標系における装着具15の位置)を最小位置情報XMINとして記憶する(S213)。砥石3を移動させ続け、偏心センサ231がON信号を連続して出力し始めた時点のロボット位置を最大位置情報XMAXとして記憶する(S214)。次いで、これら2つの位置情報XMIN,XMAXの差分絶対値を演算し、その値を偏心量初期値De(1)として記憶する(S215)。
【0063】
図11を参照すると、S212では、第1実施形態に係る位置情報の取得時と同様にして砥石3を移動させる。偏心センサ231の検出域231a及び回転軸線15cは水平に延びる。回転軸線15cの方向に視たときに、回転軸線15cを点状の検出域231aと結ぶ直線が鉛直に延び、装着具15及び砥石3は鉛直方向に移動して砥石3の下端エッジ3aが検出域231aに近付けられていく。この下端エッジ3aが最初に検出域231aに到達することになる。砥石3の下端エッジ3aは検出域231aの上から鉛直下向きに移動するところ、
図11(a)〜(c)では、実線で、下端エッジ3aが最上点に位置している状態を示し、破線で下端エッジ3aが最下点に位置している状態を示している。
【0064】
図11(a)及び(d)に示すように、砥石3が偏心回転している場合、下端エッジ3aの最下点が検出域231aに到達すると、砥石3が1回転する間で、砥石3の回転角が下端エッジ3aを最下点に位置させる角度であるときにのみ、偏心センサ231がON信号を出力する。砥石3の回転角がそれ以外の角度であるときには、偏心センサ231は、検出域231a内に砥石エッジが存在していない旨示す信号(以下「OFF信号」)を出力する。S213では、この時点におけるロボット位置が最小位置情報XMINとして記憶される。
【0065】
その状態から装着具15が下方に移動すると、
図11(b),(e)及び(f)に示すように、砥石3が1回転する間に、下端エッジ3aは検出域231aを跨ぐように上下に振動する。砥石3の下端エッジ3aが下向きに検出域231aに到達して検出域231aを跨いでから、検出域231aよりも下方の最下点で折り返し、上向きに検出域231aに到達するまでの間、偏心センサ231はON信号を出力する。砥石3の下端エッジ3aが上向きに検出域231aに到達して検出域231aを跨いでから、検出域231aよりも上方の最上点で折返し、下向きに検出域231aに到達するまでの間、偏心センサ231はOFF信号を出力する。
図11(e)及び(f)に示すように、装着具15が下方に移動していくにつれ、砥石3が1回転する間でON信号を出力している時間は徐々に長くなっていく。
【0066】
図11(c)及び(g)に示すように、下端エッジ3aの最上点が検出域231aに到達すると、砥石3が1回転する間、偏心センサ231はON信号を出力し続け、OFF信号を出力しなくなる。S214では、この時点におけるロボット位置が最大位置情報XMAXとして記憶される。最小位置情報XMINと最大位置情報XMAXとの差は偏心量に相当するので、S215では、偏心量初期値De(1)をこれら2位置情報XMIN,XMAXに基づいて測定する。
【0067】
このように偏心量初期値De(1)を測定する場合、偏心センサ231と摩耗センサ32(
図8参照)とを単一のセンサで構成することができ、研削装置の構成が簡素になる。
【0068】
(第3実施形態)
図12は、第3実施形態に係る偏心量初期値De(1)の測定方法の原理を説明する図である。
図13は、第3実施形態に係る偏心量初期値De(1)の測定処理S310を示すフローチャートである。
図14は、第3実施形態に係る偏心量初期値De(1)の測定処理S310の手順を説明する図である。
図15は、砥石3の中心3cと装着具15の回転軸線15cとの間の距離(中心間距離)eを求める処理S317を説明する図である。
【0069】
第3実施形態は、研削装置の全体構成及び研削方法の全体フローは第1実施形態(
図1及び
図3参照)と同様であり、第3実施形態に係る計測処理S310は、
図3に示す計測処理S10に代わって実行される。なお、偏心量現在値De(N)は、上記実施形態と同様、偏心量初期値De(1)と摩耗量現在値Dw(N)との差分を演算することによって測定される(
図9参照)。以下、上記実施形態との相違を中心に第3実施形態について説明する。
【0070】
図12に示すように、砥石3の中心3cが装着具15の回転軸線15cからずれた位置にあって回転軸線15cが水平である場合、砥石3の下端エッジ3aは、装着具15の回転角θに応じて鉛直方向に単振動する。中心間距離をeとすれば下端エッジ3aの位置はe(1−cosθ)で表される。この中心間距離eは偏心量Deの半分に相当する(De=2e)。この関係を用いて、
図13に示すフローに沿って偏心量Deを推定演算する。
【0071】
図13及び
図14に示すように、先ず、位置計測回数kを1とし(S311)、砥石3を偏心センサ331の検出部331aに向けて移動させる(S312、
図14(b)参照)。砥石エッジが検出部331aに到達した時点のロボット位置を位置情報X(k)として記憶する(S313)。位置計測回数kが上限nに達していなければ(S314:NO)、位置計測回数kをインクリメントし(S315)、測定エリアA4内に設けられている転動台305(
図14(a)参照)に砥石3を押し付けた状態にして装着具15を並進させ、砥石3を転動させる(S316、
図14(c)参照)。そして、S312に戻り、位置計測回数kが上限nに達するまで同じ動作を繰り返す(
図14(d)参照)。上限nに達すると(S314:YES)、n個の位置情報X(1),X(2),…X(n)から収束演算で中心間距離eを推定する(S317)。推定された中心間距離eを2倍し、その値を偏心量初期値De(1)として記憶する(S318)。
【0072】
S312では、装着具15は、第1実施形態における位置情報の取得と同様に移動し、砥石3が偏心センサ331に近付けられていく。回転アクチュエータ16は停止しており砥石3は回転していない。
【0073】
S316では、砥石3の回転角をエンコーダ17で検知し、砥石3が所定の回転角だけ移動したときに装着具15の並進を止めてもよい。ロボット位置から装着具15の並進量を測定し、その並進量から砥石3の回転角を測定してもよい。転動台305の表面は例えばゴム材やスポンジ材で成形され、弾性及び高摩擦係数を有する。このため、装着具15を並進させたとき、砥石3が転動台305に対して滑ったり浮いたりするのを防止することができ、装着具15の並進移動量が砥石3の回転軸線15c周りの回転量と等しいとして演算することは充分に許容される。並進量から砥石3の回転角を測定するには、砥石3の半径を必要とするが、偏心量初期値De(1)の測定時点では摩耗が全くないため、砥石3の半径は容易に正確に把握することができる。
【0074】
合計n回の位置計測が行われるまでの間、S316にて砥石3はn−1回転動する。このn−1回の転動による回転角の積算値は360度以下である。つまり、砥石3が1回転するまでの間の複数の角度位置で砥石3の回転が止められ、その都度ロボット位置情報が取得される。
【0075】
図15は、
図13に示す測定処理S310で取得される位置情報X(1),X(2),…を示すグラフである。位置情報X(1),X(2),…X(n)は、それぞれ下記式で表される(
図15参照)。
【0076】
X(1)=e×cosθ+b
X(2)=e×(cosθ+α(1))+b
X(3)=e×(cosθ+α(2))+b
・・・
X(k)=e×(cosθ+α(k−1))+b
・・・
X(n)=e×(cosθ+α(n−1))+b
ここで、α(k−1)は、位置測定回数kまでの砥石3の回転角積算値である(k=1,2,…n,α(0)=θ)。
【0077】
S317では、これらn個の式から最小二乗法などの収束演算を用いて、中心間距離eを求める。1回目の位置計測において、砥石3の下端エッジ3aが最下点又は最上点に位置しているとは限らない。そこで、
図15(b)に示すように、1つ目の位置情報X(1)をゼロにオフセットした状態で、中心間距離eの算出に必要な未知数を設定する。上記式におけるbは、このオフセット量である。
【0078】
位置情報の個数が3以下であると、条件によっては解が無限に存在する可能性がある。また、n個目の位置情報X(n)に係る回転角積算値α(n−1)が小さければ、推定誤差が大きくなる可能性がある。そのため、
図15に示すように、位置情報X(k)の個数を4個以上とし、1つ目の位置情報X(1)に係る回転角からn個目の位置情報X(n)に係る回転角積算値α(n−1)までの間に、余弦曲線の山及び谷のように、位置変化が顕著な部分が含まれるように設定される。これにより中心間距離eひいては偏心量初期値De(1)の推定精度が高くなる。
【0079】
本実施形態では、ロボット位置を取得するため砥石3を移動させるときに、砥石3を回転させていない。このため、偏心センサ331は接触式センサでもよく、その場合、砥石3が偏心センサ331の検出部331aに接触すると、偏心センサ331はその旨示す信号を出力する。これにより、測定エリアA4をコンパクトにすることができる。偏心センサ331は非接触で砥石3との距離を計測する測距センサでもよい。砥石3を偏心センサ331の検出域まで移動させる必要がなくなり、そのためロボット位置を速く取得することができるようになる。
【0080】
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態に係る研削装置401の構成を示す概念図である。
図16に示すように、第4実施形態は、装着部415が、加工エリアA1内に設けられた装着具保持台406に保持されている。位置決め装置420がワーク2を解放可能に保持して移動させるように構成されている。位置決め装置420は、第1実施形態に係る第2ロボット20と同様に構成される。位置決め装置420は、ワーク2を解放し、代わりに偏心センサ31及び摩耗センサ32を保持することができる。
【0081】
この場合も、
図3に示すフローに沿った研削方法が実行される。位置決め装置420は、研削加工時に、未加工ワーク2を未加工エリアA2から加工エリアA1に搬送し、保持している未加工ワーク2を加工エリアA1内で回転している砥石3に向けて移動させる(
図3のS32参照)。それにより、砥石3でワーク2の所要の部位に所要の研削加工を行うことができる。研削加工が終わると、位置決め装置420は、加工済ワーク2を加工エリアA1から加工済エリアA3に搬送し(
図3のS33参照)、加工済エリアA3にて加工済ワーク2が解放される。その後、摩耗量現在値を計測処理(S40)のため、摩耗センサ432を保持し、摩耗センサ32の検出域32aを砥石に近づける。初期位置情報の取得処理(S20)も同様である。偏心量初期値の計測処理(S10)でも、ワーク2の代わりに偏心センサ31を保持し、その検出域31aを加工エリアA1内で回転状態に保持されている砥石3に近づければよい。
【0082】
これまで実施形態について説明したが、上記構成及び方法は本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。