(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
顧客からの注文を受け付けて株式の売買取引を行う企業において、前記企業が保有する株式の各銘柄の保有株数と、前記企業が外部から借株により借り入れた株式の各銘柄の借入株数とのバランスをチェックする株式貸借バランスチェックシステムであって、
前記企業が保有する株式の各銘柄についての保有株数を含むポジションの情報を管理するポジション管理システムから、各銘柄の前記保有株数の情報を取得して集計する保有株数算出部と、
前記企業が外部から借り入れた株式の各銘柄についての借入株数を含む貸借契約の情報を管理するレンディングシステムから、各銘柄の前記借入株数の情報を取得して集計する借入株数算出部と、
前記保有株数算出部により集計した前記保有株数の情報と、前記借入株数算出部により集計した前記借入株数の情報とを銘柄毎に比較して、前記保有株数がマイナス値である売りポジションの銘柄について、前記マイナス値の絶対値が当該銘柄についての前記借入株数よりも大きい場合に、追加の借株が必要である旨を通知するバランスチェック部と、
を有する、株式貸借バランスチェックシステム。
顧客からの注文を受け付けて株式の売買取引を行う企業において、前記企業が保有する株式の各銘柄の保有株数と、前記企業が外部から借株により借り入れた株式の各銘柄の借入株数とのバランスをチェックする株式貸借バランスチェックシステムとしてコンピュータを動作させる株式貸借バランスチェックプログラムであって、
前記企業が保有する株式の各銘柄についての保有株数を含むポジションの情報を管理するポジション管理システムから、各銘柄の前記保有株数の情報を取得して集計する保有株数算出処理と、
前記企業が外部から借り入れた株式の各銘柄についての借入株数を含む貸借契約の情報を管理するレンディングシステムから、各銘柄の前記借入株数の情報を取得して集計する借入株数算出処理と、
前記保有株数算出処理により集計した前記保有株数の情報と、前記借入株数算出処理により集計した前記借入株数の情報とを銘柄毎に比較して、前記保有株数がマイナス値である売りポジションの銘柄について、前記マイナス値の絶対値が当該銘柄についての前記借入株数よりも大きい場合に、追加の借株が必要である旨を通知するバランスチェック処理と、
を実行させる、株式貸借バランスチェックプログラム。
【背景技術】
【0002】
証券会社の自己売買部門がある銘柄の空売り(保有していない株式の売却)を行う場合、決済時のフェイルを防ぐために、当該銘柄を保有している外部の投資家等と契約を締結して株式を借り入れる(借株)ことが行われる。株式の借り入れに係る処理や、借り入れた株数等のデータの管理に係る処理は、通常、情報処理システム(以下では「レンディングシステム」と記載する場合がある)により行われる。
【0003】
このレンディングシステムは、証券会社が売却(空売り)した株数を管理する情報処理システム(以下では「ポジション管理システム」と記載する場合がある)とは異なるシステムとして構築されているのが一般的である。これは、株式の保有状態を管理するためにポジション管理システムにおいて必要となるデータが、例えば、株数、簿価、損益などであるのに対して、借株を管理するためにレンディングシステムにおいて必要となるデータは、例えば、株数、契約期間(借入期間)、契約相手(貸主)、貸借料などであり、必要となるデータや管理方法等がそれぞれ異なるためである。
【0004】
株式の貸借の処理に係る技術として、例えば、特開2002−304528号公報(特許文献1)には、ネットワークを介して、取引仲介者(証券金融会社)と貸出者(機関投資家等)、取引仲介者と借入者(証券会社等)、取引仲介者と(財)証券保管振替機構とをそれぞれ交信可能にし、借入者から取引仲介者に対する借入打診・申込、貸出者から取引仲介者に対する貸出申出・申込、受寄株式の在庫有無の確認、約定、決済等、借入者と貸出者との間の借入打診・申込、貸出申出・申込の仲介処理、取引仲介者と(財)証券保管振替機構との間での担保差入の確認処理、担保差入の確認と同時の貸し出し実行をコンピュータにて処理する株式貸借取引支援システムが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、証券会社が売却した株数を管理するポジション管理システムと、借り入れた株数を管理するレンディングシステムは、通常個別に構築されているが、売却した株数と、借り入れた株数とは、決済時のフェイルを防ぐため、当該証券会社としては運営上常にバランスされている(もしくは借株の方が多い)必要がある。
【0007】
しかしながら、従来は、ポジション管理システムとレンディングシステムとが分離しているため、例えば、自己のポジションの有無に関わらずに借株が行われてしまうというような場合も多く、余分な借入コストが発生するとともに、決済時にフェイルするリスクを有する状況となっていた。
【0008】
そこで本発明の目的は、証券会社において、ポジション管理システム上で管理している自己の保有株数の情報と、レンディングシステム上で管理している借入株数の情報とを連携させて、保有株数と借入株数とのバランスを適宜確認することを可能とする株式貸借バランスチェックシステムおよび株式貸借バランスチェックプログラムを提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態による株式貸借バランスチェックシステムは、顧客からの注文を受け付けて株式の売買取引を行う企業において、前記企業が保有する株式の各銘柄の保有株数と、前記企業が外部から借株により借り入れた株式の各銘柄の借入株数とのバランスをチェックするシステムであって、以下の特徴を有するものである。
【0012】
すなわち、株式貸借バランスチェックシステムは、前記企業が保有する株式の各銘柄についての保有株数を含むポジションの情報を管理するポジション管理システムから、各銘柄の前記保有株数の情報を取得して集計する保有株数算出部と、前記企業が外部から借り入れた株式の各銘柄についての借入株数を含む貸借契約の情報を管理するレンディングシステムから、各銘柄の前記借入株数の情報を取得して集計する借入株数算出部と、前記保有株数算出部により集計した前記保有株数の情報と、前記借入株数算出部により集計した前記借入株数の情報とを銘柄毎に比較して、前記保有株数がマイナス値である売りポジションの銘柄について、前記マイナス値の絶対値が当該銘柄についての前記借入株数よりも大きい場合に、追加の借株が必要である旨を通知するバランスチェック部とを有するものである。
【0013】
また、本発明は、コンピュータを上記のような株式貸借バランスチェックシステムとして動作させるプログラムにも適用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、証券会社において、ポジション管理システム上で管理している自己の保有株数の情報と、レンディングシステム上で管理している借入株数の情報とを連携させて、保有株数と借入株数とのバランスを適宜確認することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
本発明の一実施の形態である、株式貸借バランスチェックシステムは、例えば、証券会社において有価証券の売買に係る業務を支援する処理を行うフロントエンドシステム(証券フロントシステム)の中のサブシステムとして機能する情報処理システムであり、同様に証券フロントシステムのサブシステムとして機能するポジション管理システムおよびレンディングシステムと連携して、ポジション管理システム上で管理している自己の保有株数の情報と、レンディングシステム上で管理している借入株数の情報とに基づいて、保有株数と借入株数とのバランスを適宜確認することを可能とするシステムである。
【0019】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である株式貸借バランスチェックシステムを有する証券フロントシステムの構成例について概要を示した図である。証券フロントシステム1は、証券会社等において、顧客からの株式等の有価証券の売買の引き合いを受け付けてプライシングを行ったり、プライシングの結果に基づいて売買の注文を受け付けて、これを自己の注文との間でクロス取引したり、取引所等に対して執行したりという、有価証券の売買に係る業務を支援する処理を行うフロントエンドシステムである。
【0020】
この証券フロントシステム1は、主にプライシング業務と注文執行業務とを行い、プライシング業務では顧客からの売買の引き合いに対して、自社の利益やリスク等を考慮して対応可能な価格を計算して応答する。また、注文執行業務では、プライシングの結果、当該顧客から正式な注文を受けた場合に、これをいったん自社のポジションとし、過剰となったポジションについて、その後、取引所に対して実際の売買注文を執行することによって解消する。このとき、自社のポジション内でのクロス取引や他の注文とのマッチング処理等を行って、実際に取引所に対して注文を執行する量を減らし、処理コストや、市場に対する影響を低減することが行われる。
【0021】
証券フロントシステム1は、上述したように、複数のサブシステムからなり、顧客が保有する情報処理端末である顧客端末3、および証券取引所の業務システムである取引所システム4と、図示しないインターネットやVPN(Virtual Private Network)等を利用したネットワークを介して接続される構成を有する。また、当該証券フロントシステム1を有する証券会社において各種のバックオフィス業務を行うバックオフィスシステム2と、図示しない社内ネットワーク等を介して接続される。
【0022】
ここで、顧客端末3は、例えば、図示しない取引用の専用アプリケーション等を利用して証券フロントシステム1にアクセスし、株式等の有価証券の売買に係る引き合いや注文等の処理を行う。証券フロントシステム1が有するインタフェースに応じて、ファイル転送プログラム等を利用してデータファイルを送受信するものであってもよい。なお、顧客には、自身が保有する有価証券の売買を行う個人および法人も含まれ得るが、通常は投資顧問や機関投資家など、他の顧客の資産に基づいて売買を行う者である。また、取引所システム4には、例えば、東京証券取引所や大阪証券取引所などの証券取引所に加え、PTS(Proprietary Trading System:私設取引システム)も含まれるものとする。
【0023】
証券フロントシステム1は、例えば、サーバ機器や、クラウドコンピューティング環境上の仮想サーバなどにより構成されるサブシステムとして、顧客GW(ゲートウェイ)10、委託OMS(Order Management System:注文管理システム)20、取引所GW(ゲートウェイ)30、マッチングシステム40、プライシングシステム50、自己OMS(注文管理システム)60、ポジション管理システム70、レンディングシステム80、ポストトレードシステム90、および株式貸借バランスチェックシステム100などを有する。これらのサブシステムは、それぞれが高い独立性をもって構成されるものとし、一部のサブシステムのみを新たに更改したりすることで柔軟かつ効率的な開発と運用を行うことを可能とする。
【0024】
顧客GW10は、顧客端末3からのアクセスを受け付けて取引に係るデータを取得するインタフェースを有し、必要に応じて後述する委託OMS20が処理することができるフォーマットにデータや電文等を変換した上で、委託OMS20に受け渡す機能を有する。顧客端末3上の図示しない専用アプリケーション等により提供される画面により入力されたデータを取得するインタフェースを提供するものであってもよいし、データファイルを読み込んで入力を受け付けるインタフェースを提供するものであってもよい。
【0025】
委託OMS20は、顧客端末3を介した顧客からの売買に係る引き合いや注文を受け付けて管理する機能を有する。注文を受けた取引について、必要に応じて自動執行部21を介して取引所GW30を介して取引所システム4に対してシステム的に取り次いで自動執行することが可能である。取引所GW30は、委託OMS20や、後述する自己OMS60の自動執行部21、61からの注文に係るデータに基づいて、各取引所システム4に対して当該注文を執行するための電文やメッセージを生成して、取引所システム4に送信し、応答を取得する機能を有する。
【0026】
ここで、顧客からの注文が大口のバスケット取引等である場合は、そのまま取引所に取り次いで執行すると株価を変動させるような大きな影響を与えてしまう場合があることから、顧客がいわゆるプリンシパル取引を指定した場合は、証券会社が自己の注文との間で行うクロス取引や、他の顧客からの注文と突き合わせるマッチングなどの処理を行って注文を証券会社内で解消し、取引所に対して一時に執行する量を低減させることが行われる。なお、証券会社は、その後、必要に応じて自己が保有する株式の在庫(ポジション)調整のために非同期で取引所に対して注文を行う。
【0027】
マッチングシステム40およびプライシングシステム50は、上記のマッチング処理や、クロス取引に係る処理およびこれらの処理を行うことを前提とした、顧客の大口の取引の引き合いに対する、自己の注文とのクロス取引も考慮した価格の見積りを行う機能を有する。
【0028】
マッチングシステム40は、委託OMS20からの手動/自動での要求に基づいて、他の顧客からの注文との間でネッティングできるものがあるか否かを判定し、トレーダーからの指示に基づいてネッティングする機能を有する。また、プライシングシステム50についても、委託OMS20からの手動/自動での要求に基づいて、自己の注文との間でクロス取引が可能か否かを判定し、トレーダーからの指示に基づいて、ネッティングを行うことを前提として、顧客からの引き合いに対して、基準価格や約定価格を計算するプライシングの機能を有する。
【0029】
自己OMS60は、証券会社の自己部門での取引を管理する機能を有する。従って、顧客からの注文に対して、自己の注文との間でクロス取引を行って対応する場合、これに係る取引についても自己OMS60によって管理することになる。その結果、自己が保有する在庫の調整のために取引所に対する売買の注文が必要な場合は、自動執行部61によって取引所GW30を介して取引所システム4に対して注文を執行することも可能である。自己の注文とのクロス取引等の結果は、ポジション管理システム70によって、在庫(ポジション)として後述するようなデータベース等に登録・反映され、管理される。また、例えば、顧客の大量の買い注文に対して、自己の在庫では不足するために信用売りする場合に、信用取引を行ったり、レンディングシステム80を介して外部の信託銀行や証券会社等から借株をしたりすることも可能である。
【0030】
ポストトレードシステム90は、顧客からの注文に対して、取引所に対する注文、もしくは自己の注文との間のクロス取引等が約定した場合に、例えば、複数のファンドをまとめた注文であった場合に、約定の結果を各ファンドに配分したり等の後処理を行って、顧客端末3に対して約定結果を通知する機能を行う。
【0031】
株式貸借バランスチェックシステム100は、上述したように、ポジション管理システム70上で管理している自己の保有株数(ポジション)の情報と、レンディングシステム80上で管理している借入株数の情報とを連携させ、これに基づいて保有株数と借入株数とのバランスを確認し、決済時のフェイルを防ぐために借株の必要がある場合に、その旨をトレーダーに通知する機能を有する。
【0032】
なお、上記のシステム構成はあくまで一例であり、これに限られるものではなく、フロントエンドシステムとして同様の機能を実現することができる構成であれば、他のシステム構成であってもよいことは当然である。
【0033】
<システム構成(株式貸借バランスチェックシステム)>
図2は、株式貸借バランスチェックシステム100の構成例について概要を示した図である。株式貸借バランスチェックシステム100は、例えば、サーバ機器や、クラウドコンピューティング環境上の仮想サーバなどにより構成され、図示しないOS(Operating System)やWebサーバプログラム、DBMS(DataBase Management System)などのミドルウェア上で稼働するソフトウェアプログラムにより実装される、借入株数算出部110、保有株数算出部120、バランスチェック部130、出力部140などの各部を有する。また、ファイルやメモリテーブル等により実装される契約グループ定義151、ポートフォリオグループ定義152、および組合せ定義153の各テーブルを有する。
【0034】
借入株数算出部110は、レンディングシステム80上で株式の貸借契約に係る情報を保持する貸借契約情報テーブル(TB)81から、各契約における借入株数の情報を取得し、銘柄毎に集計して借入株数情報111を出力する機能を有する。このとき、例えばトレーダーからの指示により、1つ以上の貸借契約を所定の単位でグルーピングした契約グループについての定義情報を、契約グループ定義151に保持しておき、これに基づいて、契約グループ単位で銘柄毎の借入株数を集計することができる。算出した借入株数情報111の内容をポジション管理システム70に連携し、例えば、ポジション管理システム70の出力画面上で契約グループ毎の借入株数の情報を表示可能なようにしてもよい。
【0035】
保有株数算出部120は、ポジション管理システム70上でポートフォリオTB72に定義されたポートフォリオ毎に自己のポジションに係る情報を保持するポジション情報TB71から、各ポートフォリオにおける保有株数(ポジション)の情報を取得し、銘柄毎に集計して保有株数情報121を出力する機能を有する。このとき、例えばトレーダーからの指示により、1つ以上のポートフォリオを業務ユニットの単位などでグルーピングしたポートフォリオグループについての定義情報を、ポートフォリオグループ定義152に保持しておき、これに基づいて、ポートフォリオグループ単位で銘柄ごとの保有株数を集計することができる。なお、保有株数の値がマイナス値である場合は、全体として売りポジションであることを示すことになる。
【0036】
バランスチェック部130は、借入株数算出部110によって算出された借入株数情報111と、保有株数算出部120によって算出された保有株数情報121とに基づいて、銘柄毎に保有株数と借入株数とを比較し、借株の要否を判断する機能を有する。売りポジションである銘柄の保有株数(マイナス値)の絶対値が借入株数よりも大きい場合は、売りが超過していることから決済時にフェイルする可能性があるため、例えば、出力部140を介してトレーダー等に対して借株が必要である旨を出力する。出力部140は、トレーダーやバックオフィスシステム2等に対してバランスチェック部130によるチェック結果を図示しないWebサーバプログラム等を介して出力するユーザインタフェースの機能を提供する。
【0037】
本実施の形態では、株式貸借バランスチェックシステム100を、ポジション管理システム70およびレンディングシステム80とは独立したシステムとして構成しているが、このような構成に限られず、例えば、借入株数算出部110に係る部分がレンディングシステム80に一体となって実装され、保有株数算出部120に係る部分がポジション管理システム70に一体となって実装されるような構成であってもよい。
【0038】
<処理の流れ>
図3は、株式貸借バランスチェックシステム100においてポジション管理システム70に保持されている保有株数の情報と、レンディングシステム80に保持されている借入株数の情報とを連携させる処理の流れの例について概要を示した図である。
【0039】
まず、連携処理が必要なタイミングであるか否かを判定する(S01)。例えば、当該連携処理は、日次などの所定のタイミングで定期的に実行されるようにする。このとき、日中にレンディングシステム80において管理されている貸借契約に追加があった場合は、これをトリガとして都度連携処理を行って、最新の情報を保持できるようにする。連携が必要なタイミングである場合は、次に、新たな貸借契約の追加・削除があったか否かを判定する(S02)。契約の追加・削除があった場合は、これに対応して、1つ以上の貸借契約をグルーピングした契約グループの定義を更新する(S03)。例えば、契約グループの追加・削除、および契約グループに属する貸借契約の追加・削除などの処理を行う。これらの処理結果は契約グループ定義151に出力する。
【0040】
その後、契約グループ定義151に登録されている各契約グループについて処理を繰り返すループ処理を開始する(S04)。ループ処理では、借入株数算出部110により、処理対象の契約グループに含まれる各貸借契約の情報をレンディングシステム80の貸借契約情報TB81から取得し、同一銘柄で集約して、対象の契約グループについての銘柄毎の株数(借入株数)を集計する(S05)。集計した結果は借入株数情報111として出力し(S06)、対象の契約グループの処理を終了して次の契約グループの処理に移る(S07、S04)。
【0041】
全ての契約グループに対してループ処理が終了すると、必要に応じて、借入株数情報111の情報をポジション管理システム70に対して出力して、ポジション管理システム70において利用可能とし(S08)、連携処理を終了する。以上の処理により、貸借契約における契約グループ単位で借入株数情報111を算出することができる。また、借入株数情報111をポジション管理システム70において自己のポートフォリオと併せて参照可能とすることで、無駄な借株を防ぐことができる。
【0042】
なお、
図3の例では、全ての契約グループに対してループ処理により処理を繰り返して借入株数情報111を集計するものとしているが、トレーダー等により指定された契約グループに対してのみ集計するようにしてもよい。
【0043】
図4は、レンディングシステム80によって上記の
図3に示した処理により算出された借入株数情報111と、保有株数(ポジション)の情報とを比較してバランスをチェックする処理の流れの例について概要を示した図である。当該処理は、日次などの所定のタイミングで定期的に実行されるようにしてもよいし、トレーダー等の指示により随時実行されるようにしてもよい。
【0044】
バランスチェック処理を開始すると、まず、事前準備として、必要に応じて、トレーダー等の指示により、業務ユニット単位等で1つ以上のポートフォリオをグルーピングしたポートフォリオグループの定義を更新する(S11)。例えば、ポートフォリオグループの追加・削除、およびポートフォリオグループに属するポートフォリオの追加・削除などの処理を行う。これらの処理結果はポートフォリオグループ定義152に出力する。
【0045】
その後、必要に応じて、トレーダー等の指示により、ポートフォリオグループ定義152に登録されている各ポートフォリオグループと、契約グループ定義151に登録されている各契約グループとの組合せを定義する(S12)。ここでは、例えば、特定の契約グループとの間でバランスを比較したい自己のポートフォリオを選定し、その組合せを定義する。定義された内容は組合せ定義153に出力する。なお、組合せの定義に際して、複数のポートフォリオグループおよび複数の契約グループをそれぞれ定義することは必須ではなく、自社が保有する全ポートフォリオを1つのポートフォリオグループとする、もしくは全貸借契約を1つの契約グループとして組合せを定義することで、自社が有する全てのポートフォリオおよび/または貸借契約が比較の対象となるようにしてもよい。
【0046】
これらの事前準備処理の後、ポートフォリオグループ定義152に登録されている各ポートフォリオグループについて処理を繰り返すループ処理を開始する(S13)。ループ処理では、保有株数算出部120により、処理対象のポートフォリオグループに含まれる各ポートフォリオについてのポジションの情報をポジション管理システム70のポジション情報TB71およびポートフォリオTB72から取得し、同一銘柄で集約して、対象のポートフォリオグループについての銘柄毎の保有株数を集計する(S14)。売りポジションの場合は保有株数の値はマイナス値となる。集計した結果は保有株数情報121として出力し(S15)、対象のポートフォリオグループの処理を終了して次のポートフォリオグループの処理に移る(S16、S13)。
【0047】
全てのポートフォリオグループに対してループ処理が終了すると、次に、組合せ定義153に登録されている各組合せについて処理を繰り返すループ処理を開始する(S17)。ループ処理では、バランスチェック部130により、処理対象の組合せに係るポートフォリオグループおよび契約グループについて、それぞれ、ステップS15で算出した保有株数情報121に保持された各銘柄の保有株数と、上記の
図3の例のステップS06で算出した借入株数情報111に保持された各銘柄の借入株数とを、銘柄毎に比較する(S18)。
【0048】
ステップS18での比較の結果、比較対象の銘柄が売りポジションである場合の保有株数(マイナス値)の絶対値が、当該銘柄の借入株数よりも大きいか否かを判定する(S19)。保有株数の絶対値の方が借入株数より大きい場合は、売りが超過していることから決済時にフェイルする可能性があるため、当該銘柄について追加の借株が必要である旨を出力部140等を介してトレーダー等に通知する(S20)。その後、対象の組合せの処理を終了して次の組合せの処理に移る(S21、S17)。
【0049】
全ての組合せについてループ処理が終了すると、バランスチェック処理を終了する。以上の処理により、ポートフォリオグループと契約グループとの組合せの単位で、追加の借株が必要な銘柄を抽出し、通知することができる。
【0050】
なお、
図4の例では、全てのポートフォリオグループに対してループ処理により処理を繰り返して保有株数情報121を集計するものとしているが、トレーダー等により指定されたポートフォリオグループに対してのみ集計するようにしてもよい。また、ポートフォリオグループと契約グループの全ての組合せに対してループ処理により処理を繰り返して借株の要否を判定するものとしているが、トレーダー等により指定された組合せに対してのみ判定するようにしてもよい。
【0051】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である株式貸借バランスチェックシステム100によれば、例えば、証券フロントシステム1の中のサブシステムとして機能するポジション管理システム70およびレンディングシステム80と連携して、ポジション管理システム70上で管理しているポートフォリオ毎の各銘柄の保有株数の情報と、レンディングシステム80上で管理している借入株数の情報とに基づいて、借株も考慮した実質的な保有株数の情報をトレーダー等が把握可能となるとともに、保有株数と借入株数とのバランスを適宜確認し、追加の借株の要否を判定して、必要な場合にはトレーダー等に通知することが可能となる。
【0052】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。また、上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。