(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記旋回フレームには、内部に前記原動機、前記油圧ポンプおよび前記回生ユニットを収容する建屋カバーを設け、該建屋カバーのうち前記回生ユニットに対応する位置には、前記回生ユニットに対するメンテナンス作業を行うときに開,閉されるドアを設ける構成としてなる請求項1に記載のハイブリッド式作業機械。
前記回生ユニットには、前記旋回モータおよび前記作業装置のアクチュエータから前記作動油タンクに戻る戻り油により駆動され、前記油圧ポンプからの圧油に合流する圧油を吐出する回生アシストポンプを追加して設け、
前記回生油圧モータ、前記回生電動モータおよび前記回生アシストポンプは、前記作動油タンクの近傍に位置して配置する構成としてなる請求項1または2に記載のハイブリッド式作業機械。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る建設機械の実施の形態を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。まず、
図1ないし
図5は本発明の第1の実施の形態を示している。
【0023】
図中、1はハイブリッド式作業機械としての油圧ショベルを示し、該油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回輪3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置5とにより構成されている。
【0024】
作業装置5は、後述する旋回フレーム6に俯仰動可能に取付けられたブーム5Aと、該ブーム5Aの先端側に回動可能に取付けられたアーム(図示せず)と、該アームの先端側に回動可能に取付けられたバケット(図示せず)と、アクチュエータとしてのブームシリンダ5B、アームシリンダ、バケットシリンダ(いずれも図示せず)とにより構成され、土砂の掘削作業等を行うものである。
【0025】
6は上部旋回体4のベースとなる旋回フレームで、該旋回フレーム6は、
図3に示すように、厚肉な平板状に形成され前,後方向に延びた底板6Aと、該底板6A上に立設され左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた左縦板6B及び右縦板6Cと、左縦板6Bから左側方に張出して設けられた複数の左張出しビーム6Dと、右縦板6Cから右側方に張出して設けられた複数の右張出しビーム6Eと、各左張出しビーム6Dの先端側に固着され前,後方向に延びた左サイドフレーム6Fと、各右張出しビーム6Eの先端側に固着され前,後方向に延びた右サイドフレーム6Gとにより大略構成されている。
【0026】
旋回フレーム6を構成する左,右の縦板6B,6Cの前端側には、ブーム5Aの基端部(フート部)が回動可能にピン結合されている。旋回フレーム6の前部左側には、運転室を画成するキャブ7が設けられている。一方、旋回フレーム6の後端側には、作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト8が設けられている。
【0027】
9はカウンタウエイト8の前側に位置して旋回フレーム6の後部側に配設された原動機としてのエンジンを示している。エンジン9は、クランク軸(図示せず)の軸線が左,右方向に延びる横置き状態で、旋回フレーム6上に配置されている。エンジン9の右側には、後述の油圧ポンプ14とアシスト電動モータ15とが取付けられ、これら油圧ポンプ14とアシスト電動モータ15とは、エンジン9によって駆動されるものである。
【0028】
10はエンジン9の左側に位置して旋回フレーム6上に搭載された熱交換装置で、該熱交換装置10は、エンジン冷却水を冷却するラジエータ11、および作動油を冷却するオイルクーラ12等からなる1つのユニットとして形成されている。そして、熱交換装置10は、エンジン9に取付けられた冷却ファン9Aによる冷却風がラジエータ11、オイルクーラ12に供給されることにより、エンジン冷却水、作動油等を冷却するものである。
【0029】
13は熱交換装置10の前側に位置して旋回フレーム6上に搭載された蓄電装置を示し、該蓄電装置13は、後述するアシスト電動モータ15に供給するアシスト用の電力を蓄電するものである。この蓄電装置13は、例えばリチウムイオン電池により構成され、アシスト電動モータ15との間で電力の充電・放電を行うものである。
【0030】
14はアシスト電動モータ15を挟んでエンジン9の右側に取付けられた油圧ポンプを示している。この油圧ポンプ14は、エンジン9によって駆動されることにより、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに向けて作動用の圧油を吐出するものである。
【0031】
15は油圧ポンプ14と共にエンジン9の出力側に取付けられたアシスト電動モータを示している。このアシスト電動モータ15は、エンジン9と油圧ポンプ14との間に配置され、アシスト電動モータ15のモータ軸は、エンジン9の出力軸と油圧ポンプ14の入力軸とに連結されている。ここで、
図5に示すように、アシスト電動モータ15は、インバータ16に電気的に接続され、該インバータ16は蓄電装置13に電気的に接続されている。
【0032】
アシスト電動モータ15は、エンジン9によって駆動されることにより発電するもので、アシスト電動モータ15が発電した交流電力は、インバータ16により直流電力に変換された状態で蓄電装置13に蓄えられる。一方、アシスト電動モータ15は、蓄電装置13からの電力によって駆動されることにより、エンジン9よる油圧ポンプ14の駆動を助勢(アシスト)するものである。
【0033】
ここで、インバータ16は、複数のスイッチング素子を用いて構成され、スイッチング素子のオン/オフを制御することにより、アシスト電動モータ15の発電時には、アシスト電動モータ15からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置13に供給する。一方、アシスト電動モータ15によって油圧ポンプ14の駆動をアシストするときには、インバータ16は、蓄電装置13の直流電力から三相交流電力を生成し、この三相交流電力をアシスト電動モータ15に供給する。
【0034】
17はエンジン9の前側を左,右方向に延びた状態で旋回フレーム6に立設された仕切り部材を示している。仕切り部材17は、エンジン9とアシスト電動モータ15の前側に配置された中間仕切り板17Aと、熱交換装置10と蓄電装置13との間に位置して熱交換装置10の前側に配置された左仕切り板17Bと、油圧ポンプ14の前側に配置された右仕切り板17Cとにより構成されている。
【0035】
中間仕切り板17Aは、エンジン9から発生する熱、騒音がエンジン9の前側から外部に漏れるのを防止している。左仕切り板17Bは、熱交換装置10から発生する熱が蓄電装置13に伝わるのを抑え、右仕切り板17Cは、油圧ポンプ14から発生する熱が後述の作動油タンク20に伝わるのを抑えるものである。
【0036】
18は仕切り部材17の前側に配置されたコントロールバルブを示している。コントロールバルブ18は、中間仕切り板17Aを挟んでエンジン9とは反対側(前側)に配置され、左縦板6Bと右縦板6Cとの間で旋回フレーム6の底板6A上に設けられている。コントロールバルブ18は、後述する旋回用方向制御弁36、ブーム用方向制御弁55を含む多数の方向制御弁の集合体からなり、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向を制御するものである。
【0037】
19はコントロールバルブ18の前側に配置された旋回モータを示し、該旋回モータ19は、左,右の縦板6B,6C間に位置して旋回フレーム6の底板6A上に設けられている。旋回モータ19は油圧モータにより構成され、油圧ポンプ14からの圧油が供給されることにより、下部走行体2上で上部旋回体4を旋回させるものである。ここで、旋回モータ19には、後述する旋回回生弁40が一体的に取付けられている。また、旋回モータ19よりも前側となる旋回フレーム6の底板6A上には、縦板6B,6C間に位置して後述のブーム回生弁59が設けられている。
【0038】
20は仕切り部材17を挟んで油圧ポンプ14の前側に配置された作動油タンクを示し、該作動油タンク20は、油圧ショベル1に搭載された油圧アクチュエータに供給される作動油を貯溜するものである。ここで、作動油タンク20は、全体として直方体状をなす製缶構造体として形成され、旋回フレーム6の右縦板6Cと右サイドフレーム6Gとの間に配置されている。
【0039】
また、
図4に示すように、作動油タンク20の後面20Aと右仕切り板17Cとの間には、後述する回生ユニット25を収容するための回生ユニット収容空間21が形成されている。一方、作動油タンク20の前側には、エンジン9に供給される燃料を貯溜する燃料タンク22が設けられている。
【0040】
次に、本実施の形態に用いられる回生油圧モータ23および回生電動モータ24について説明する。
【0041】
23は油圧ポンプ14から前側に離間した位置で作動油タンク20の近傍に隣接して設けられた回生油圧モータを示している。この回生油圧モータ23は、モータ軸(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態で旋回フレーム6の右張出しビーム6E上に取付けられている。ここで、回生油圧モータ23は、旋回モータ19またはブームシリンダ5Bからの戻り油によって回転するものである。
【0042】
24は回生油圧モータ23と共に油圧ポンプ14から前側に離間した位置で作動油タンク20の近傍に隣接して設けられた回生電動モータを示している。この回生電動モータ24は、モータ軸(図示せず)が左,右方向に延びる横置き状態で、旋回フレーム6の右張出しビーム6E上に取付けられている。
【0043】
ここで、回生電動モータ24のモータ軸は、動力伝達機構(図示せず)を介して回生油圧モータ23のモータ軸に接続されている。これにより、回生油圧モータ23と回生電動モータ24とは、エンジン9から分離した回生ユニット25を構成し、これら回生油圧モータ23と回生電動モータ24とは、油圧ポンプ14と作動油タンク20との間、さらに詳しくは、油圧ポンプ14の前側に設けられた仕切り部材17の右仕切り板17Cと作動油タンク20との間に形成された回生ユニット収容空間21内に、左,右方向に並べて収容されている。
【0044】
一方、
図5に示すように、回生電動モータ24はインバータ26に電気的に接続され、該インバータ26は蓄電装置13に電気的に接続されている。回生電動モータ24は、回生油圧モータ23によって駆動されることにより発電するもので、回生電動モータ24が発電した交流電力は、インバータ26により直流電力に変換されて蓄電装置13に蓄えられる。
【0045】
このように、回生ユニット25を構成する回生油圧モータ23と回生電動モータ24とは、油圧ポンプ14から前側に離間し、かつ作動油タンク20の近傍に隣合う状態で配置されている。これにより、回生油圧モータ23と回生電動モータ24とは、エンジン9から離間した位置にまとめて配置されるので、回生油圧モータ23に対するメンテナンス作業と、回生電動モータ24に対するメンテナンス作業とを、共通な1つの作業場所から行うことができる構成となっている。
【0046】
27はカウンタウエイト8の前側に位置して旋回フレーム6上に設けられた建屋カバーを示している。建屋カバー27は、その内部にエンジン9、蓄電装置13、油圧ポンプ14、アシスト電動モータ15、回生油圧モータ23、回生電動モータ24等の搭載機器を収容するもので、後述する左側面カバー28と、上面カバー29と、エンジンカバー30と、右側面ドア31とにより構成されている。
【0047】
28は建屋カバー27の左側面を構成する左側面カバーを示し、該左側面カバー28は、カウンタウエイト8の左端部とキャブ7との間に設けられている。この左側面カバー28は、左サイドフレーム6Fから上方に立上り、左サイドフレーム6Fに沿って前,後方向に延びている。左側面カバー28は、熱交換装置10、蓄電装置13等を左側方から開,閉可能に覆っている。
【0048】
29は建屋カバー27の上面を構成する上面カバーを示している。上面カバー29は、左側面カバー28の上端部と、後述する右側面ドア31の上端部との間を左,右方向に延び、エンジン9、熱交換装置10等の搭載機器を上方から覆っている。上面カバー29の中央部には、作業用の開口部(図示せず)が形成され、この開口部はエンジンカバー30によって開,閉可能に覆われている。従って、エンジン9、熱交換装置10に対するメンテナンス作業を行うときには、作業者は、エンジンカバー30を開き、作業用開口を通じて建屋カバー27内にアクセス可能になっている。
【0049】
31は建屋カバー27の右側面を構成する右側面ドアを示し、該右側面ドア31は、カウンタウエイト8の右端部と燃料タンク22との間に設けられている。ここで、右側面ドア31は、カウンタウエイト8側に位置し油圧ポンプ14等を右側方から覆う右後側面ドア31Aと、燃料タンク22側に位置し回生油圧モータ23、回生電動モータ24を右側方から覆う右前側面ドア31Bとにより構成されている。
【0050】
この場合、右後側面ドア31Aの後端部は、旋回フレーム6に設けられたサポート部材にヒンジ機構(いずれも図示せず)を介して回動可能に支持され、右後側面ドア31Aの前端側はヒンジ機構を中心として水平方向に開,閉する。一方、右前側面ドア31Bの前端部は、例えば燃料タンク22の後面にヒンジ機構(図示せず)を介して回動可能に支持され、右前側面ドア31Bの後端側はヒンジ機構を中心として水平方向に開,閉する(
図4参照)。
【0051】
従って、右後側面ドア31Aおよび右前側面ドア31Bを開くことにより、回生ユニット収容空間21を外部に開放することができ、この回生ユニット収容空間21内に収容された回生油圧モータ23、回生電動モータ24に対するメンテナンス作業を行うときの作業性を高めることができる。
【0052】
次に、本実施の形態による回生油圧モータ23、回生電動モータ24等を含む油圧回路について
図5を参照して説明する。
【0053】
上部旋回体4に設けられた油圧ポンプ14は、作動油タンク20と共に油圧源を構成し、作動油タンク20内の作動油を高圧の圧油としてデリベリ管路14Aに吐出する。油圧ポンプ14からデリベリ管路14Aに吐出した圧油は、コントロールバルブ18を構成する後述の旋回用方向制御弁36、ブーム用方向制御弁55等を介して旋回モータ19、ブームシリンダ5B等に供給される。
【0054】
コントロールバルブ18内には、デリベリ管路14Aと戻し管路32A(作動油タンク20)との間を接続するセンタバイパス管路32が設けられ、該センタバイパス管路32には、後述の旋回用方向制御弁36、ブーム用方向制御弁55がパラレル接続で設けられている。旋回用方向制御弁36の上流側には、センタバイパス管路32から分岐する分岐管路33Aが設けられ、該分岐管路33Aは旋回用方向制御弁36の高圧側ポートに接続されている。また、ブーム用方向制御弁55の上流側には他の分岐管路33Bが設けられ、該分岐管路33Bはブーム用方向制御弁55の高圧側ポートに接続されている。さらに、旋回用方向制御弁36と戻し管路32Aとの間には、旋回モータ19からの戻り油を作動油タンク20に環流させるタンク管路34Aが設けられ、ブーム用方向制御弁55と戻し管路32Aとの間には、ブームシリンダ5Bからの戻り油を作動油タンク20に環流させるタンク管路34Bが設けられている。
【0055】
旋回モータ19と旋回用方向制御弁36との間には、旋回モータ19に対して圧油を給排する一対の主管路35A,35Bが接続され、各主管路35A,35Bは、旋回用方向制御弁36の切換位置に応じて分岐管路33Aまたはタンク管路34Aに接続される。
【0056】
36はセンタバイパス管路32に接続された旋回用方向制御弁で、該旋回用方向制御弁36は、コントロールバルブ18を構成する多数の方向制御弁の1つである。この旋回用方向制御弁36は、パイロット部36A,36Bを有する6ポート3位置の方向制御弁からなり、キャブ7内に配置された油圧パイロット弁の操作レバー(図示せず)に対する操作に応じてパイロット部36A,36Bにパイロット管路36A1,36B1を通じてパイロット圧が供給されることにより、旋回モータ19に対する圧油の給排を停止する中立位置(A)と、旋回モータ19に対して圧油を給排する切換位置(B),(C)とに切換えられる。
【0057】
37A,37Bは主管路35A,35Bの途中に接続されたメイクアップ用の一対のチェック弁を示している。各チェック弁37A,37Bは、旋回モータ19が慣性回転を行うことにより主管路35Aまたは35B内が負圧になると、タンク管路38を通じて主管路35A,35B内に作動油タンク20内の作動油を補給する。
【0058】
39A,39Bは主管路35A,35Bの途中に接続された一対のリリーフ弁を示している。各リリーフ弁39A,39Bは、旋回モータ19が慣性回転を行うことにより一方の主管路35A(35B)内に過剰圧が発生するとこの過剰圧をリリーフし、油圧機器を保護する機能を有している。
【0059】
40は旋回モータ19と旋回用方向制御弁36との間に位置して主管路35A,35Bの途中に設けられた旋回回生弁を示し、該旋回回生弁40は、旋回モータ19が慣性回転を行うときに、旋回モータ19のポンプ作用によって吐出される圧油(旋回モータ19からの戻り油)を回生油圧モータ23に供給するものである。旋回回生弁40は、後述の各チェック弁42A,42B、旋回回生メイン切換弁45、旋回回生パイロット弁49、電磁パイロット弁51を含んで構成されている。
【0060】
41は主管路35Aと主管路35Bとに接続された接続管路を示し、該接続管路41の途中には、主管路35A,35Bから接続管路41に向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止する一対のチェック弁42A,42Bが接続されている。各チェック弁42A,42B間に位置する接続管路41の途中には、旋回回生管路43の一端側が接続部43Aにおいて接続され、旋回回生管路43の他端側は、後述するブーム回生管路68に接続されている。旋回回生管路43の途中には、回生油圧モータ23に向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁44が接続されている。
【0061】
45は旋回回生管路43の途中に設けられた旋回回生メイン切換弁を示し、該旋回回生メイン切換弁45は、接続管路41と旋回回生管路43との接続部43Aと、チェック弁44との間に接続されている。ここで、旋回回生メイン切換弁45は、2ポート2位置の切換弁からなり、常時は遮断位置(A)を保持して旋回回生管路43を遮断し、パイロット部45Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、旋回回生管路43を連通させる。旋回回生メイン切換弁45のパイロット部45Aと旋回回生管路43との間は、パイロット管路46を介して接続され、パイロット管路46の途中には一方向絞り弁47が設けられている。
【0062】
48は接続管路41と旋回回生管路43との間を接続するバイパス管路を示し、該バイパス管路48の一端側は、接続部48Aにおいて接続管路41に接続され、バイパス管路48の他端側は、チェック弁44と旋回回生メイン切換弁45との間で旋回回生管路43に接続されている。
【0063】
49はバイパス管路48の途中に接続された旋回回生パイロット弁を示している。この旋回回生パイロット弁49は2ポート2位置の切換弁からなり、常時は遮断位置(A)を保持してバイパス管路48を遮断する。一方、旋回回生パイロット弁49は、パイロット部49Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、絞り49Bを介してバイパス管路48を連通させる。
【0064】
バイパス管路48と旋回回生パイロット弁49のパイロット部49Aとの間はパイロット管路50を介して接続され、該パイロット管路50の途中には3ポート2位置の電磁パイロット弁51が接続されている。この電磁パイロット弁51は、常時は遮断位置(A)を保持することにより、パイロット管路50を遮断すると共に旋回回生パイロット弁49のパイロット部49Aを作動油タンク20に接続する。また、電磁パイロット弁51のパイロット部51Aには、回生弁用パイロット管路52が接続され、電磁パイロット弁51は、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じて回生弁用パイロット管路52を通じてパイロット圧が供給されることにより、連通位置(B)に切換えられ、パイロット管路50を連通させる。
【0065】
旋回用方向制御弁36のパイロット部36A,36Bに供給されるパイロット圧の圧力は、圧力センサ53A,53Bによって検出され、主管路35A,35B内の圧力は、圧力センサ53C,53Dによって検出される。コントローラ(図示せず)は、これら圧力センサ53A,53B,53C,53D、後述する圧力センサ76Cからの検出信号に基づいて、旋回回生弁40の電磁パイロット弁51を制御する。
【0066】
一方、作業装置5を構成するブームシリンダ5Bと後述するブーム用方向制御弁55との間には、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1、ロッド側油室5B2に対して圧油を給排する一対の主管路54A,54Bが接続されている。各主管路54A,54Bは、ブーム用方向制御弁55の切換位置に応じて分岐管路33Bまたはタンク管路34Bに接続される。
【0067】
55は旋回用方向制御弁36よりも下流側でセンタバイパス管路32に接続されたブーム用方向制御弁を示し、該ブーム用方向制御弁55も、コントロールバルブ18を構成する多数の方向制御弁の1つである。このブーム用方向制御弁55は、パイロット部55A,55Bを有する6ポート3位置の方向制御弁からなり、キャブ7内に配置された油圧パイロット弁の操作レバー(図示せず)に対する操作に応じてパイロット部55A,55Bに後述のパイロット管路74,75を通じてパイロット圧が供給されることにより、ブームシリンダ5Bに対する圧油の給排を停止する中立位置(A)と、ブームシリンダ5Bに対して圧油を給排する切換位置(B),(C)とに切換えられる。
【0068】
56A,56Bは主管路54A,54Bと戻し管路32Aとの間にそれぞれ設けられたメイクアップ用の一対のチェック弁を示している。各チェック弁56A,56Bは、主管路54Aまたは54B内が負圧になると、戻し管路32Aを通じて主管路54A,54B内に作動油タンク20内の作動油を補給するものである。
【0069】
57A,57Bは主管路54A,54Bと戻し管路32Aとの間にそれぞれ設けられた一対のリリーフ弁を示し、各リリーフ弁57A,57Bは、主管路54A,54B内に過剰圧が発生したときにこの過剰圧をリリーフし、油圧機器を保護する機能を有している。
【0070】
58は主管路54Aの途中に設けられたパイロット操作式のチェック弁を示している。このチェック弁58は、後述のチェック弁用パイロット管路74Bに接続され、このチェック弁用パイロット管路74Bを通じてパイロット圧が供給されないときには、ブームシリンダ5Bからブーム用方向制御弁55に向かう圧油の流れを阻止し、チェック弁用パイロット管路74Bを通じてパイロット圧が供給されたときには、ブームシリンダ5Bからブーム用方向制御弁55に向かう圧油の流れを許すものである。
【0071】
59は主管路54A,54Bの途中に設けられたブーム回生弁を示している。ブーム回生弁59は、ブームシリンダ5Bを縮小させてブーム5Aを下向きに回動させたときに、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1から排出される圧油(ブームシリンダ5Bからの戻り油)を回生油圧モータ23に供給するものである。ここで、ブーム回生弁59は、後述の管路切換弁60、制御弁戻し弁61、連通弁64、残圧調整弁67、回生切換弁70を含んで構成されている。
【0072】
60は主管路54Bの途中に設けられた管路切換弁を示している。この管路切換弁60は、パイロット部60Aを有する3ポート2位置の切換弁からなり、主管路54Bと戻し管路32Aとに接続されている。管路切換弁60のパイロット部60Aは、後述の切換弁用パイロット管路74Gに接続されている。そして、管路切換弁60は、常時は主管路54Bを連通させる連通位置(A)を保持し、切換弁用パイロット管路74Gを通じてパイロット部60Aにパイロット圧が供給されることにより切換位置(B)に切換り、主管路54Bを戻し管路32Aに接続するものである。
【0073】
61は主管路54Aの途中に設けられた制御弁戻し弁を示し、該制御弁戻し弁61は、パイロット部61Aを有する3ポート2位置の切換弁からなっている。この制御弁戻し弁61は、主管路54Aの途中に接続されると共に、一端側が主管路54Bに接続された接続管路62の他端側に接続されている。制御弁戻し弁61のパイロット部61Aは、後述の戻し弁用パイロット管路74Cに接続されている。そして、制御弁戻し弁61は、常時は連通位置(A)を保持し、主管路54Aを連通させると共に、主管路54Aを流通する圧油の一部をチェック弁61Bを介して接続管路62へと導く。また、制御弁戻し弁61は、戻し弁用パイロット管路74Cを通じてパイロット部61Aにパイロット圧が供給されることにより絞り位置(B)に切換えられ、絞り61Cを介して主管路54Aを連通させる。
【0074】
63は主管路54A,54B間を接続して設けられた連通管路を示し、64は連通管路63の途中に設けられた連通弁を示している。連通弁64は、パイロット部64Aを有する2ポート2位置の切換弁からなり、連通弁64のパイロット部64Aは、後述の連通弁用パイロット管路74Dに接続されている。そして、連通弁64は、常時は連通管路63を遮断する遮断位置(A)を保持し、連通弁用パイロット管路74Dを通じてパイロット部64Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換り、連通管路63を連通させるものである。また、連通管路63の途中には、連通弁64から主管路54Bに向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁65が設けられている。
【0075】
66は一端側が主管路54Bに接続されたタンク管路を示し、該タンク管路66の他端側は戻し管路32Aに接続されている。タンク管路66の途中には、残圧調整弁67が接続されている。残圧調整弁67は、パイロット部67Aを有する2ポート2位置の切換弁からなり、残圧調整弁67のパイロット部67Aは、後述の調整弁用パイロット管路74Eに接続されている。そして、残圧調整弁67は、常時はタンク管路66を遮断する遮断位置(A)を保持し、調整弁用パイロット管路74Eを通じてパイロット部67Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、タンク管路66を連通させるものである。
【0076】
68は一端側が制御弁戻し弁61とブームシリンダ5Bとの間で主管路54Aに接続されたブーム回生管路を示し、該ブーム回生管路68の他端側は回生油圧モータ23に接続されている。回生油圧モータ23と作動油タンク20との間はタンク管路69を介して接続されている。ブーム回生管路68の途中には、回生切換弁70が接続されている。回生切換弁70は、パイロット部70Aを有する2ポート2位置の切換弁からなり、回生切換弁70のパイロット部70Aは、後述の回生弁用パイロット管路74Fに接続されている。そして、回生切換弁70は、常時はブーム回生管路68を遮断する遮断位置(A)を保持し、回生弁用パイロット管路74Fを通じてパイロット部70Aにパイロット圧が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、絞り70Bを介してブーム回生管路68を連通させるものである。
【0077】
また、ブーム回生管路68の途中には、回生切換弁70から回生油圧モータ23に向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁71が設けられている。さらに、制御弁戻し弁61をバイパスして主管路54Aとブーム回生管路68との間を接続するバイパス管路72が設けられている。バイパス管路72の途中には、主管路54Aからブーム回生管路68に向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するチェック弁73が設けられている。
【0078】
74,75はブーム用方向制御弁55のパイロット部55A,55Bに接続されたパイロット管路を示している。これらパイロット管路74,75は、キャブ7内に配置された操作レバー(図示せず)の操作に応じて、ブーム用方向制御弁55のパイロット部55A,55Bにパイロット圧を供給するものである。
【0079】
ここで、パイロット管路74は、ブーム用方向制御弁55のパイロット部55Aに接続される方向制御弁用パイロット管路74Aと、チェック弁58に接続されるチェック弁用パイロット管路74Bと、制御弁戻し弁61のパイロット部61Aに接続される戻し弁用パイロット管路74Cと、連通弁64のパイロット部64Aに接続される連通弁用パイロット管路74Dと、残圧調整弁67のパイロット部67Aに接続される調整弁用パイロット管路74Eと、回生切換弁70のパイロット部70Aに接続される回生弁用パイロット管路74Fと、管路切換弁60のパイロット部60Aに接続される切換弁用パイロット管路74Gとに分岐している。従って、ブーム用方向制御弁55のパイロット部55Aに方向制御弁用パイロット管路74Aを通じてパイロット圧が供給されたときには、チェック弁58、および制御弁戻し弁61,連通弁64,残圧調整弁67,回生切換弁70,管路切換弁60のパイロット部61A,64A,67A,70A,60Aに対し、コントローラからの制御信号に応じてパイロット圧が供給される構成となっている。
【0080】
ブーム用方向制御弁55のパイロット部55Aに供給されるパイロット圧の圧力は、圧力センサ74Hによって検出され、主管路54A,54B内の圧力は、圧力センサ76A,76Bによって検出され、回生油圧モータ23の流入側の圧力は圧力センサ76Cによって検出される。コントローラ(図示せず)は、これら圧力センサ74H,76A,76B,76Cからの検出信号に基づいて、ブーム回生弁59の管路切換弁60、制御弁戻し弁61、連通弁64、残圧調整弁67、回生切換弁70を制御する。
【0081】
本実施の形態によるハイブリッド式の油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、油圧ショベル1のエンジン9を作動させると、エンジン9によって油圧ポンプ14とアシスト電動モータ15が駆動される。油圧ポンプ14は、作動油タンク20内の作動油を吸込んで加圧し、各種の油圧アクチュエータに向けて吐出する。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体4の旋回動作、作業装置5による掘削作業等を行う。
【0082】
この場合、エンジン9の出力トルクが油圧ポンプ14の駆動トルクよりも大きいときには、余剰トルクによってアシスト電動モータ15が発電機として駆動される。これにより、アシスト電動モータ15は交流電力を発生し、この交流電力はインバータ16により直流電力に変換され、蓄電装置13に蓄えられる。
【0083】
一方、エンジン9の出力トルクが油圧ポンプ14の駆動トルクよりも小さいときには、アシスト電動モータ15は、蓄電装置13からの電力によって電動機として駆動される。これにより、エンジン9が油圧ポンプ14を駆動するのをアシスト電動モータ15によって助勢(アシスト)することができる。
【0084】
ここで、本実施の形態による油圧ショベル1は、上部旋回体4が下部走行体2上で慣性回転するときに、旋回モータ19から作動油タンク20に戻る戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動する旋回回生動作と、作業装置5のブーム5Aが下向きに回動するときに、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1から作動油タンク20に戻る戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動するブーム回生動作とを行うようになっている。
【0085】
そこで、上部旋回体4の慣性回転時に、旋回モータ19からの戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動する旋回回生動作について説明する。
【0086】
まず、上部旋回体4が下部走行体2上で旋回動作を行う状態において、旋回用方向制御弁36が切換位置(B)または(C)から中立位置(A)に切換えられると、上部旋回体4が下部走行体2上で慣性回転を行う。これにより、旋回モータ19は慣性回転によるポンプ作用を行い、主管路35A,35Bの一方に圧油を吐出する。この圧油はチェック弁42Aまたはチェック弁42Bを通じて接続管路41内に流入する。
【0087】
このとき、電磁パイロット弁51のパイロット部51Aに対し、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給され、電磁パイロット弁51は連通位置(B)に切換えられる。これにより、接続管路41内に流入した圧油は、パイロット管路50を通じて旋回回生パイロット弁49のパイロット部49Aに供給される。従って、旋回回生パイロット弁49が連通位置(B)に切換り、接続管路41内の圧油は、旋回回生パイロット弁49の絞り49Bを通過し、バイパス管路48、パイロット管路46を通じて旋回回生メイン切換弁45のパイロット部45Aに供給される。
【0088】
これにより、旋回回生メイン切換弁45が連通位置(B)に切換えられ、接続管路41内に流入した圧油は、旋回回生管路43、ブーム回生管路68等を通じて回生油圧モータ23に供給される。この結果、旋回モータ19からの戻り油を利用して回生油圧モータ23を回転させることができ、この回生油圧モータ23によって回生電動モータ24を駆動することができる。回生電動モータ24によって発電された交流電力は、インバータ26により直流電力に変換され、蓄電装置13に蓄えられる。
【0089】
次に、作業装置5のブーム5Aを上向きに回動させるときのブームシリンダ5Bの作動について説明する。
【0090】
ブーム5Aを上向きに回動させるためにブームシリンダ5Bを伸長させる場合には、キャブ7内に配置された操作レバー(図示せず)の操作に応じて、ブーム用方向制御弁55のパイロット部55Bにパイロット圧が供給され、ブーム用方向制御弁55は切換位置(C)に切換えられる。
【0091】
これにより、油圧ポンプ14からの圧油は、ブーム用方向制御弁55、主管路54A、バイパス管路72等を通じてブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1に供給される。一方、ブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2内の圧油は、主管路54B、管路切換弁60、ブーム用方向制御弁55、戻し管路32A等を通じて作動油タンク20に環流する。この結果、ブームシリンダ5Bは伸長し、ブーム5Aは上向きに回動動作を行う。
【0092】
次に、ブーム5Aを下向きに回動させるときのブームシリンダ5Bの作動について説明する。
【0093】
ブーム5Aを下向きに回動させるためにブームシリンダ5Bを縮小させる場合には、キャブ7内に配置された操作レバーの操作に応じて、ブーム用方向制御弁55のパイロット部55Aにパイロット圧が供給され、ブーム用方向制御弁55は切換位置(B)に切換えられる。このとき、チェック弁用パイロット管路74Bを通じてチェック弁58にパイロット圧が供給されることにより、パイロット操作式のチェック弁58が開弁する。一方、管路切換弁60のパイロット部60Aに対し、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給され、管路切換弁60は切換位置(B)に切換えられる。
【0094】
これにより、油圧ポンプ14から吐出した圧油は、ブームシリンダ5Bに供給されることなく、ブーム用方向制御弁55、管路切換弁60、戻し管路32Aを通じて作動油タンク20に排出される。
【0095】
この状態において、ブームシリンダ5Bが自重によって縮小すると、ボトム側油室5B1内の圧油が主管路54Aに排出され、この圧油は、主管路54Aから制御弁戻し弁61を通過した後、ブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2に向かう流れと、作動油タンク20に向かう流れに分かれる。
【0096】
即ち、制御弁戻し弁61のチェック弁61Bを通過した圧油は、接続管路62を介して主管路54Bに導かれ、該主管路54Bを通じてブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2に流入する。一方、制御弁戻し弁61を通って主管路54Aに導かれた圧油は、チェック弁58、ブーム用方向制御弁55、タンク管路34B、戻し管路32A等を通じて作動油タンク20に排出される。この結果、ブームシリンダ5Bは縮小し、ブームシリンダ5B(ボトム側油室5B1)からの戻り油は、回生油圧モータ23に供給されることなく作動油タンク20に環流する。
【0097】
次に、ブーム5Aが下向きに回動するときに、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1からの戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動するブーム回生動作について説明する。
【0098】
ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1からの戻り油を利用してブーム回生動作を行う場合には、キャブ7内に配置された操作レバーの操作に応じて、ブーム用方向制御弁55のパイロット部55Aにパイロット圧が供給され、ブーム用方向制御弁55は切換位置(B)に切換えられる。このとき、チェック弁用パイロット管路74Bを通じてチェック弁58にパイロット圧が供給されることにより、パイロット操作式のチェック弁58が開弁する。一方、管路切換弁60のパイロット部60Aに対し、コントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給され、管路切換弁60は切換位置(B)に切換えられる。
【0099】
これにより、油圧ポンプ14から吐出した圧油は、ブームシリンダ5Bに供給されることなく、ブーム用方向制御弁55、管路切換弁60、戻し管路32Aを通じて作動油タンク20に排出される。
【0100】
一方、制御弁戻し弁61、連通弁64、回生切換弁70のパイロット部61A,64A,70Aに対し、それぞれコントローラ(図示せず)からの制御信号に応じてパイロット圧が供給される。これにより、制御弁戻し弁61は絞り位置(B)に切換えられ、連通弁64は連通位置(B)に切換えられ、回生切換弁70は連通位置(B)に切換えられる。
【0101】
この状態において、ブームシリンダ5Bが自重によって縮小すると、ボトム側油室5B1内の圧油が主管路54Aに排出され、この圧油は、連通管路63を通じてブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2に向かう流れと、ブーム回生管路68を通じて回生油圧モータ23に向かう流れに分かれる。
【0102】
即ち、主管路54Aから連通管路63に導かれた圧油は、連通弁64、主管路54Bを通じてブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2に流入し、ボトム側油室5B1の圧力が増大する。一方、主管路54Aからブーム回生管路68に導かれた圧油は、回生切換弁70、ブーム回生管路68を通じて回生油圧モータ23に供給される。この結果、ブームシリンダ5Bは縮小し、同時にブームシリンダ5Bからの戻り油を利用して回生油圧モータ23を回転させ、この回生油圧モータ23によって回生電動モータ24を駆動することができる。そして、回生電動モータ24によって発電された交流電力は、インバータ26により直流電力に変換され、蓄電装置13に蓄えられる。
【0103】
なお、主管路54Aからブーム回生管路68に導かれる圧油の一部は、制御弁戻し弁61、主管路54A、チェック弁58、ブーム用方向制御弁55、タンク管路34B、戻し管路32Aを通じて作動油タンク20に排出される。また、上述したブーム回生動作が終了した後には、残圧調整弁67のパイロット部67Aに対し、コントローラからの制御信号に応じてパイロット圧が供給される。これにより、残圧調整弁67が連通位置(B)に切換えられ、ブームシリンダ5Bのロッド側油室5B2内の残圧(こもり圧)を、タンク管路66、戻し管路32Aを通じて作動油タンク20に排出することができる。
【0104】
このようにして、本実施の形態による油圧ショベル1は、上部旋回体4が下部走行体2上で慣性回転するときには、旋回モータ19から作動油タンク20に戻る戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動する旋回回生動作を行うことができる。一方、作業装置5のブーム5Aが下向きに回動するときには、ブームシリンダ5Bのボトム側油室5B1から作動油タンク20に戻る戻り油を利用して回生油圧モータ23を駆動するブーム回生動作を行うことができる。なお、ブーム回生動作によって得られる回生エネルギは、旋回回生動作によって得られる回生エネルギよりも大きいため、ブーム回生動作は旋回回生動作に優先して行なわれる構成となっている。
【0105】
ここで、本実施の形態によれば、上部旋回体4に搭載される回生油圧モータ23と回生電動モータ24とを、油圧ポンプ14よりも前側に離間し、かつ作動油タンク20の近傍位置にまとめて配置している。これにより、回生油圧モータ23に対するメンテナンス作業と、回生電動モータ24に対するメンテナンス作業とを、共通な1つの作業場所から行うことができる。この結果、回生油圧モータ23と回生電動モータ24とを含む回生ユニット25に対するメンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0106】
しかも、回生ユニット25を作動油タンク20に近接した位置に配置することにより、回生油圧モータ23と作動油タンク20との間を接続するタンク管路69を短くできるので、回生油圧モータ23から作動油タンク20に戻る戻り油の圧力損失を低減し、回生効率を高めることができる。
【0107】
また、回生油圧モータ23と回生電動モータ24とを左,右方向に並べて配置することにより、油圧ポンプ14と作動油タンク20との間に形成される回生ユニット収容空間21内に、回生油圧モータ23と回生電動モータ24とを効率良く配置することができる。
【0108】
さらに、本実施の形態による油圧ショベル1は、建屋カバー27のうち回生ユニット25に対応する位置に配置された右側面ドア31を、油圧ポンプ14等を右側方から開,閉可能に覆う右後側面ドア31Aと、回生油圧モータ23、回生電動モータ24を右側方から開,閉可能に覆う右前側面ドア31Bとにより構成している。これにより、回生ユニット25に対するメンテナンスを行うときには、右後側面ドア31Aおよび右前側面ドア31Bを開くことにより、回生ユニット収容空間21を外部に開放することができる。この結果、回生ユニット収容空間21内に収容された回生油圧モータ23、回生電動モータ24に対するメンテナンスの作業性を高めることができる。
【0109】
次に、
図6および
図7は本発明の第2の実施の形態を示している。本実施の形態の特徴は、旋回装置または作業装置から作動油タンクに戻る戻り油により駆動される回生アシストポンプを、回生ユニットに追加して設けたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略する。
【0110】
図において、77は本実施の形態に適用される回生ユニットを示し、この回生ユニット77は、第1の実施の形態による回生ユニット25を構成する回生油圧モータ23、回生電動モータ24に加え、後述する回生油圧ポンプ78を追加したものである。
【0111】
78は回生ユニット77を構成する回生油圧ポンプを示している。この回生油圧ポンプ78は、可変容量型の油圧ポンプからなり、回生油圧モータ23によって駆動されることにより圧油を吐出し、この圧油を油圧ポンプ14から吐出した圧油に合流させるものである。
【0112】
ここで、
図6に示すように、回生油圧ポンプ78は、回生油圧モータ23、回生電動モータ24と共に、油圧ポンプ14から前側に離間した位置で作動油タンク20の近傍に隣合う状態で設けられている。また、回生油圧ポンプ78のポンプ軸は、動力伝達機構(図示せず)を介して回生油圧モータ23のモータ軸に接続されている。これにより、回生油圧モータ23と、回生電動モータ24と、回生油圧ポンプ78とは、エンジン9から分離した回生ユニット77を構成し、これら回生油圧モータ23、回生電動モータ24、回生油圧ポンプ78は、油圧ポンプ14と作動油タンク20との間、さらに詳しくは、油圧ポンプ14の前側に設けられた仕切り部材17の右仕切り板17Cと作動油タンク20との間に形成された回生ユニット収容空間21内に、左,右方向に並べて収容されている。
【0113】
一方、
図7に示すように、回生油圧ポンプ78の吐出側は、合流管路79を介してデリベリ管路14Aに接続され、回生油圧ポンプ78と作動油タンク20との間は吸込管路80を介して接続されている。合流管路79の途中には合流弁81が接続されている。合流弁81は、パイロット部81Aを有する2ポート2位置の切換弁からなり、常時は遮断位置(A)を保持して合流管路79を遮断し、パイロット部81Aにパイロット信号が供給されることにより連通位置(B)に切換えられ、絞り81Bを介して合流管路79を連通させる。なお、合流管路79の途中には、デリベリ管路14Aと合流弁81との間に位置して逆止弁82が設けられている。逆止弁82は、回生油圧ポンプ78からデリベリ管路14Aに向かう圧油の流れを許し、逆向きの流れを阻止するものである。
【0114】
本実施の形態による油圧ショベルは、上述の如き回生油圧ポンプ78が追加された回生ユニット77を備えるもので、第1の実施の形態と同様に、上部旋回体4の慣性回転時に旋回モータ19から排出された圧油、あるいはブームシリンダ5Bの縮小時にボトム側油室5B1から排出された圧油が、旋回回生管路43、ブーム回生管路68等を通じて回生油圧モータ23に供給されることにより、回生油圧モータ23が回転する。これにより、回生油圧モータ23によって回生電動モータ24と回生油圧ポンプ78が駆動され、回生電動モータ24は、蓄電装置13に蓄えられる電力を発電し、回生油圧ポンプ78は、作動油タンク20内の作動油を圧油として吐出する。
【0115】
このとき、コントローラ(図示せず)は、回生油圧ポンプ78から吐出した圧油を、油圧ポンプ14から吐出する圧油に合流させるか否かを判断し、合流させる場合には、合流弁81に対してパイロット信号を出力する。これにより、合流弁81が連通位置(B)に切換えられ、回生油圧ポンプ78から吐出した圧油を、デリベリ管路14Aにおいて油圧ポンプ14から吐出する圧油に合流させることができる。この結果、回生油圧ポンプ78のポンプ流量分だけ油圧ポンプ14のポンプ流量を低減し、油圧ポンプ14を駆動するための動力を低減することができる。
【0116】
一方、回生油圧ポンプ78から吐出した圧油を、油圧ポンプ14から吐出する圧油に合流させない場合には、コントローラは、合流弁81を遮断位置(A)に切換えると共に、回生油圧ポンプ78の吐出容量を零に設定する。
【0117】
かくして、本実施の形態においては、回生油圧モータ23と回生電動モータ24に、回生油圧ポンプ78を追加することにより、上部旋回体4の慣性回転時に旋回モータ19から戻る戻り油、あるいはブームシリンダ5Bの縮小時にボトム側油室5B1から戻る戻り油を利用して回生電動モータ24を駆動するだけでなく、回生油圧ポンプ78を駆動することができる。この結果、蓄電装置13に電力を蓄えることに加え、回生油圧ポンプ78から吐出した圧油を、油圧ポンプ14から吐出する圧油に合流させることにより、油圧ポンプ14のポンプ流量を低減することができ、油圧ポンプ14を駆動するための動力を低減することができる。
【0118】
また、本実施の形態においても、上部旋回体4に搭載される回生油圧モータ23と回生電動モータ24と、回生油圧ポンプ78とを、油圧ポンプ14よりも前側に離間し、かつ作動油タンク20の近傍にまとめて配置している。これにより、回生油圧モータ23に対するメンテナンス作業と、回生電動モータ24に対するメンテナンス作業と、回生油圧ポンプ78に対するメンテナンス作業を、共通な1つの作業場所から行うことができる。この結果、回生油圧モータ23、回生電動モータ24、回生油圧ポンプ78を含む回生ユニット77に対するメンテナンス作業の作業性を高めることができる。
【0119】
なお、上述した第1の実施の形態では、回生油圧モータ23、回生電動モータ24を含む回生ユニット25を、油圧ポンプ14と作動油タンク20との間に配置した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば
図8に示す変形例のように、作動油タンク20と燃料タンク22との間に回生ユニット収容空間83を形成し、この回生ユニット収容空間83内に回生ユニット25を収容することにより、回生油圧モータ23と回生電動モータ24とを、油圧ポンプ14よりも前側に離間しかつ作動油タンク20に隣接してまとめて配置する構成としてもよい。この場合には、回生油圧モータ23と作動油タンク20との間を接続するタンク管路69の管路長を短縮化することができる。このことは、第2の実施の形態による回生油圧モータ23、回生電動モータ24、回生油圧ポンプ78についても同様である。
【0120】
また、上述した実施の形態では、ハイブリッド式作業機械として油圧ショベル1を例示したが、本発明はこれに限らず、例えばホイール式油圧ショベル等の他のハイブリッド式作業機械にも適用することができる。