(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開位置のうち、前記シャッターが前記ノズルの先端部を完全に開放した位置を第一開位置とし、前記第一開位置よりも前記シャッターがさらに前記開方向に回動した位置を第二開位置とし、
前記シャッターを前記第二開位置に保持する保持手段をさらに備える請求項1または2に記載の局部洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態である局部洗浄装置について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る局部洗浄装置の斜視図である。
図1に示すように、局部洗浄装置1は、便器Tの上部に取り付けられている。局部洗浄装置1は、便器Tに設けられた本体部2と、本体部2に回動可能に設けられ、使用者の臀部を支持する便座3と、を備えている。さらに、局部洗浄装置1は、本体部2に収容され進退可能とされた第一洗浄ノズル(ノズル)4及び第二洗浄ノズル(ノズル)5と、これら第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5の前方に開閉可能に設けられたシャッター6と、シャッター6を開閉する開閉機構7と、を備えている。
ここで、便座3に着座する使用者の顔が向く方向を前方とし、便座3に着座する使用者の背中が向く方向を後方とする。また、前後方向と直交する水平方向であって局部洗浄装置1の幅方向を左右方向とする。
【0017】
本体部2は、内部に配置された第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5等の各種機能部品が組み込まれた筐体部20を有している。筐体部20は、下方に向かうにしたがって次第に前方に向かうように傾斜配置された傾斜壁部21と、傾斜壁部21の下端から折曲し下方に向かうにしたがって次第に後方に向かうように形成された折曲壁部22と、を有している。
【0018】
折曲壁部22には、正面から見て下端から上方に向かって凹状に切り欠かれた部分が形成されている。この切り欠かれた部分は、開口凹部(開口部)22Kとされている。
【0019】
便座3は、後部に設けられた左右方向を向く軸部(不図示)を中心に回動可能に設けられている。
【0020】
第一洗浄ノズル4は、便局部洗浄用のノズルである。第二洗浄ノズル5は、ビデ洗浄用のノズルである。
【0021】
図2は、局部洗浄装置1を構成する第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5周辺を前方から見た斜視図である。
図3は、局部洗浄装置1を構成する第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5周辺を後方から見た斜視図である。
図1〜3に示すように、第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5は、本体部2の傾斜壁部21の下方に配置されている。第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5は、それぞれ後端部4Z,5Z側から先端部4A,5A側に向かうにしたがって次第に下方に向かうように傾斜配置されている。
【0022】
未使用時の状態において、第一洗浄ノズル4の先端部4A及び第二洗浄ノズル5の先端部5Aは、それぞれ本体部2の開口凹部22Kの後方に配置されている。これら第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5は、モータMの駆動により、本体部2内に収容された状態から、前方に向かうにしたがって次第に下方に向かうA1方向に前進して、本体部2の開口凹部22Kから突出することができる。
【0023】
第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5は、前進した位置において、便座3に着座する使用者の人体局部に洗浄水を噴射する。噴射終了後に、第一洗浄ノズル4及び第二洗浄ノズル5は、後方に向かうにしたがって次第に上方に向かうA2方向(A1と反対方向)に後退して、再び本体部2内に収容される。
【0024】
シャッター6は、本体部2の開口凹部22Kに配置されている。
図4は、局部洗浄装置1を構成するシャッター6周辺の部材の分解斜視図である。
図4に示すように、シャッター6は、板状に形成されたシャッター本体61と、シャッター本体61の後面に設けられた一対の山型凸部62,62と、後述する開閉機構7と係合する一対の係合部63,63と、を有している。
【0025】
図3に示すように、一対の山型凸部62,62は、後退した位置における第一洗浄ノズル4の先端部4Aの前方及び第二洗浄ノズル5の先端部5Aの前方にそれぞれ対向配置されている。
【0026】
図4に示すように、山型凸部62は、シャッター6の後面6Zから後方に延びる上壁部62Aと、上壁部62Aの後端から後方に向かうにしたがって次第に下方に向かうように形成された上側傾斜壁部62Bと、上側傾斜壁部62Bの後端から下方に延びるように形成された後壁部62Cと、を有している。
さらに、山型凸部62は、後壁部62Cの後端から前方に向かうにしたがって次第に下方に向かうように形成された下側傾斜壁部62Dと、下側傾斜壁部62Dの下端から前方に延びるように形成されシャッター6の後面6Zに連結された下壁部62Eと、を有している。
【0027】
開閉機構7は、本体部2に設けられた支持フレーム70と、支持フレーム70に支持された回動軸80と、内部に回動軸80が挿通されシャッター6を支持する支持アーム90と、シャッター6が閉鎖する向きに支持アーム90を付勢する付勢部99と、を有している。
【0028】
図5は、局部洗浄装置1を構成するシャッター6を支持する支持フレーム70の斜視図である。
図6は、局部洗浄装置1において、シャッター6が閉位置にある場合のシャッター6周辺の断面図である。
図7は、
図6におけるカムシャフト93周辺の拡大図である。
図4,5に示すように、支持フレーム70は、本体部2(
図1参照)に設けられ、左右方向に離間して配置された一対のフレーム本体71,71と、フレーム本体71,71どうしを連結する連結フレーム部72と、を有している。
【0029】
フレーム本体71には、左右方向に貫通する貫通孔71Hが形成されている。
図5,7に示すように、一方のフレーム本体71Xのフレーム本体71Yを向く面には、略水平をなす支持壁部(支持部)71Aと、支持壁部71Aの後部から上方に立設する立設壁部71Bと、立設壁部71Bの上端から後方に向かうにしたがって次第に上方に向かうように形成された傾斜壁部71Cとが形成されている。
【0030】
立設壁部71Bと傾斜壁部71Cとの交わる部分には、上方に向かって突出する係合突起71Pがさらに形成されている。
【0031】
図2,4に示すように、回動軸80は、左右方向に延びる軸本体81と、軸本体81の一端部から後方に延びる第一折曲軸部82と、第一折曲軸部82の端部から軸本体81の他端部に向かって延びる第二折曲軸部83と、を有している。
【0032】
図4,6に示すように、支持アーム90は、左右方向に離間して配置された一対のアーム本体91,91と、アーム本体91,91どうしを連結する連結アーム部92と、一方のアーム本体91から側方に向かって延びるカムシャフト(カム部)93と、を有している。
【0033】
アーム本体91の前面には、後方に向かって凹む係合凹部91Dが形成されている。この係合凹部91Dにシャッター6の係合部63が係合している。これにより、シャッター6は支持アーム90に取り付けられている。また、アーム本体91には、左右方向に貫通する貫通孔91Hが形成されている。
【0034】
カムシャフト93は、左右方向に延びる筒状に形成されたカム本体94を有している。カム本体94には、左右方向に貫通する貫通孔94Hが形成されている。この貫通孔94Hは、一方のアーム本体91Xの貫通孔91Hに連通している。カム本体94の貫通孔94H及びアーム本体91,91の貫通孔91H,91Hの直径は、回動軸80の軸本体81の直径径よりも大きく形成されている。
【0035】
図7に示すように、カム本体94には、カム本体94の曲面状の外周面から突出する突出部95が形成されている。突出部95は、カム本体94の外周面から平面状に形成された平面部95Aと、カム本体94の外周面から曲面状に形成された曲面部95Bとを有している。これら平面部95Aと曲面部95Bとの交わる点が、突出部95の頂点とされている。
【0036】
また、カム本体94には、カム本体94の外周面から突出するカム側突起96が形成されている。カム側突起96は、突出部95と周方向に離間して配置されている。突出部95のカム本体94の外周面からの突出高さは、カム側突起96のカム本体94の外周面からの突出高さよりも高い。
このカム側突起96と、支持フレーム70の係合突起71Pとは、後述する保持手段を構成している。
【0037】
図4,6に示すように、回動軸80の軸本体81が、支持フレーム70の一方のフレーム本体71Xの貫通孔71H側から挿通されている。そして、挿通された軸本体81は、支持アーム90のカムシャフト93の貫通孔94H、カムシャフト93の設けられた一方のアーム本体91Xの貫通孔91H及び他方のアーム本体91Yの貫通孔91Hに挿通されている。そして、他方のアーム本体91Yの貫通孔91Hから突出した軸本体81には、付勢部99が設けられている。付勢部99は、シャッター6を閉める閉方向に、支持アーム90を付勢している。
【0038】
他方のアーム本体91Yの貫通孔91Hから突出した回動軸80の軸本体81の端部は、他方のフレーム本体71Yに連結されている。また、回動軸80の第二折曲軸部83は、支持フレーム70の後面に係合している。これにより、回動軸80は、支持フレーム70に取り付けられている。
【0039】
また、回動軸80の軸本体81は、傾斜壁部21と折曲壁部22との角部の下方に配置されている。シャッター6は、軸本体81の前方且つ下方に配置されている。
【0040】
次に、上記のように構成された局部洗浄装置1におけるシャッター6の動作について説明する。
(閉位置)
図6,7に示すように、閉位置では、第一洗浄ノズル4は後退して本体部2内に収容されるとともに、シャッター6は付勢部99(
図4参照)の付勢力により第一洗浄ノズル4の先端部4Aを閉鎖している。そして、軸本体81の直下にカムシャフト93の突出部95が配置され、突出部95の曲面部95Bが支持フレーム70の支持壁部71Aに当接している。突出部95と支持壁部71Aとが当接することによりカムシャフト93が上方に押し上げられ、回動軸80の軸本体81の上面とカムシャフト93の内周面との間に空間部K1が形成されている。つまり、軸本体81の中心から突出部95までの鉛直距離は、軸本体81の中心から支持壁部71までの鉛直距離と同一になっている。
このようにして、支持フレーム70が、支持アーム90のカムシャフト93を支持している。
【0041】
ここで、閉位置におけるシャッター6の上端部6T(シャッター6の軸本体81側の端部)から軸本体81の中心までの距離、つまりシャッター6の回動半径は、距離(第一距離)L1とする。
【0042】
上記の閉位置から、使用者が、第一洗浄ノズル4を前進させる指令(例えば、洗浄ボタンを押す動作を実行)を送ると、モータM(
図2参照)が駆動し、第一洗浄ノズル4がA1方向に前進する。そして、第一洗浄ノズル4の先端部4Aが、シャッター6の山型凸部62に当接してA1方向の力を加える。
【0043】
本実施形態では、第一洗浄ノズル4の先端部4Aが、まず山型凸部62の後壁部62Cに当接する(
図6の二点鎖線参照)。後壁部62Cには第一洗浄ノズル4の先端部4AからA1方向の力が作用するため、シャッター6に取り付けられた支持アーム90は回動軸80の軸本体81を中心に前方且つ上方(開方向)へ回動し始める。
【0044】
支持アーム90の開方向への回動にともなって、第一洗浄ノズル4の先端部4Aが山型凸部62に当接する面は、後壁部62Cから後壁部62Cの上部に形成された上側傾斜壁部62Bへと移動する。
【0045】
(基準開位置)
図8は、局部洗浄装置1において、シャッター6の回動途中のシャッター6周辺の断面図である。
図9は、
図8におけるカムシャフト93周辺の拡大図である。
図8,9に示すように、支持アーム90の開方向への回動により、カムシャフト93の突出部95は支持壁部71A上を前方へと移動する。突出部95が軸本体81の直下から前方へと移動するため、支持アーム90は軸本体81に対して相対的に下方に移動する。そして、カムシャフト93は、重力により、カムシャフト93の上側の内周面が軸本体81の上面と当接する位置まで、下方に移動する。この時、軸本体81の下面とカムシャフト93の下側の内周面との間には、空間部K2が形成されている。この位置を、基準開位置とする。
【0046】
ここで、基準開位置におけるシャッター6の上端部6Tから軸本体81の中心までの距離、つまりシャッター6の回動半径は、距離(第二距離)L2とされている。距離L2は、距離L1よりも長い。
【0047】
支持壁部71Aと当接する突出部95の曲面部95Bは曲面状に形成されているため、閉位置から基準開位置まで移行する際に、支持アーム90は徐々に下方に下がる。このため、シャッター6の回動半径は、徐々に大きくなる。
【0048】
(第一開位置)
図10は、局部洗浄装置1において、シャッター6が第一開位置にある場合のシャッター6周辺の断面図である。
図11は、
図10におけるカムシャフト93周辺の拡大図である。
支持アーム90が基準開位置よりもさらに開方向へと回動すると、第一洗浄ノズル4の先端部4Aが山型凸部62に当接する部分は、上側傾斜壁部62Bの上側から下側へと移動する。そして、
図10,11に示すように、支持アーム90がさらに開方向へと回動して、山型凸部62が第一洗浄ノズル4の先端部4Aよりも上方に配置されると、第一洗浄ノズル4の上面4Tが山型凸部62の後壁部62Cを滑るようにして、第一洗浄ノズル4が前進する。このように、シャッター6が第一洗浄ノズル4の先端部4Aを完全に開放した位置を、第一開位置とする。
【0049】
この第一開位置において、カムシャフト93におけるカム側突起96と係合突起71Pとの間の外周面93Pは、支持壁部71Aに当接していない。または、カムシャフト93の上側の内周面は、軸本体81の上面と当接している。また、軸本体81の下面とカムシャフト93の下側の内周面との間には、空間部K2が形成されている。つまり、軸本体81の中心からカムシャフト93におけるカム側突起96と係合突起71Pとの間の外周面93Pまでの鉛直距離は、軸本体81の中心から支持壁部71までの鉛直距離よりも短くなっている。
また、カムシャフト93のカム側突起96は、支持フレーム70の係合突起71Pの後方に配置されている。
【0050】
ここで、第一開位置におけるシャッター6の上端部6Tから軸本体81の中心までの距離、つまりシャッター6の回動半径は、距離(第二距離)L3とされている。距離L3は、距離L1よりも長い。なお、距離L3は、基準開位置における距離L2と同一であってもよい。
【0051】
この第一開位置において、第一洗浄ノズル4は、便座3に着座する使用者の人体局部に洗浄水を噴射する。
【0052】
そして、使用者が、第一洗浄ノズル4を後退させる指令(例えば、停止ボタンを押す動作を実行)を送ると、第一洗浄ノズル4がA2方向に後退する。そして、支持アーム90に取り付けられた付勢部99(
図4参照)の閉方向への付勢力により、支持アーム90及び支持アーム90に取り付けられたシャッター6は、基準開位置を経由して、閉位置へと戻る。
【0053】
(第二開位置)
図12は、局部洗浄装置1において、シャッター6が第二開位置にある場合のシャッター6周辺の断面図である。
図13は、
図12におけるカムシャフト93周辺の拡大図である。
図12,13に示すように、第一開位置において、使用者がシャッター6を上方に引き上げると、シャッター6に取り付けられた支持アーム90がさらに開く方向へと回動する。これにより、カムシャフト93のカム側突起96は、支持フレーム70の係合突起71Pを乗り超えて、係合突起71Pの前面に係合する。ここで、支持アーム90には付勢部99(
図4参照)により閉方向の付勢力が作用しているが、カム側突起96が係合突起71Pに係合しているため、支持アーム90は閉方向に回動することはない。このように、保持手段を構成するカム側突起96及び係合突起71Pにより、シャッター6は第二開位置に保持されている。
【0054】
ここで、第二開位置におけるシャッター6の上端部6Tから軸本体81の中心までの距離、つまりシャッター6の回動半径は、距離(第二距離)L4とされている。距離L4は距離L1よりも長い。なお、距離L4は、基準開位置における距離L2、第一開位置における距離L3と同一であってもよい。
【0055】
第二開位置において、シャッター6を押し下げると、シャッター6は付勢部99(
図4参照)の付勢力により閉方向に回動して、第一開位置、基準開位置を経由して、閉位置へと戻る。
【0056】
なお、上記においては、ノズルのうち第一洗浄ノズル4の前進・後退動作を例に挙げて説明した。第二洗浄ノズル5の前進・後退動作においては、第二洗浄ノズル5が第二洗浄ノズル5に対応する山型凸部62(第一洗浄ノズル4に対応する山型凸部62と同様な構成)に当接する点を除いて、同様であるため、説明を省略する。
【0057】
このように構成された局部洗浄装置1では、シャッター6の上端部6Tから軸本体81の中心までの距離において、閉位置における距離L1が、基準開位置、第一開位置及び第二開位置における距離L2,L3,L4よりも短い。よって、閉位置において、本体部2の折曲壁部22の端部とシャッター6の上端部6Tとの間に生じる隙間を抑えることができる。
また、上記のとおり、基準開位置、第一開位置及び第二開位置における距離L2,L3,L4が閉位置における距離L1よりも長い。つまり、シャッター6が完全に開いた第一開位置のみならず閉位置から第一開位置までの開閉動作途中の基準開位置においても、シャッター6の上端部6Tから軸本体81までの距離が、閉位置におけるシャッター6の上端部6Tから軸本体81までの距離よりも長い。これにより、基準開位置、第一開位置及び第二開位置において、本体部2の折曲壁部22とシャッター6の上端部6Tとの間には適切な隙間が生じる。よって、基準開位置、第一開位置及び第二開位置において、折曲壁部22とシャッター6の上端部6Tとの干渉を抑えることができるため、シャッター6を好適に開閉することができる。
【0058】
また、シャッター6の回動半径は、基準開位置、第一開位置及び第二開位置の方が閉位置よりも長い。よって、シャッター6は、本体部2の折曲壁部22との間に適切な隙間を確保しながら回動する。
【0059】
また、カムシャフト93のカム側突起96とフレーム本体71の係合突起71Pとの係合により、シャッター6を第二開位置において開いた状態に維持することができる。よって、この第二開位置において、使用者はシャッター6を開いたまま状態で、シャッター6及び第一洗浄ノズル4、第二洗浄ノズル5周辺等の掃除を容易にすることができる。
【0060】
また、カムシャフト93、支持壁部71A及び軸本体81により、本体部2の折曲壁部22とシャッター6の上端部6Tとの間に生じる隙間を確実に調整することができる。また、カムシャフト93に形成された突出部95の突出寸法や、軸本体81の外周面とカムシャフト93との間に形成される空間部K1,K2の高さ(軸本体81の径方向の寸法)を調整することにより、折曲壁部22とシャッター6の上端部6Tとの間に生じる隙間の大きさを調整することができる。
【0061】
また、支持壁部71Aと当接する突出部95の曲面部95Bは曲面状に形成されているため、閉位置から基準開位置まで移行する際に、支持アーム90は徐々に下方に下がる。このため、シャッター6の回動半径は徐々に大きくなるため、シャッター6を滑らかに回動させつつ、本体部2との干渉を防ぐことができる。
【0062】
(第二実施形態)
以下、本発明の第二実施形態に係る局部洗浄装置201について、主に
図14〜16を用いて説明する。
この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0063】
図14は、本発明の第二実施形態に係る局部洗浄装置において、シャッターが閉位置にある場合のシャッター周辺の断面図である。
図15は、本発明の第二実施形態に係る局部洗浄装置において、シャッターの回動途中のシャッター周辺の断面図である。
図16は、本発明の第二実施形態に係る局部洗浄装置において、シャッターが第一開位置にある場合のシャッター周辺の断面図である。
図6,14に示すように、シャッター206において、山型凸部62のシャッター本体61に設けられる位置は、第一実施形態よりも上方である。
【0064】
図14〜16に示すように、シャッター206は、係合軸263を有している。係合軸263は、左右方向に延びる円柱状をなしている。
【0065】
支持アーム290のアーム本体291には、後方に向かって凹む係合凹部291Dが形成されている。係合凹部291Dは、シャッター206の係合軸263の外面形状に対応して円弧状に形成されている。係合軸263は、係合凹部291Dに沿って回動可能とされている。これにより、シャッター本体61は、係合軸263を係合凹部291Dに沿って摺動可能として、アーム本体291に取り付けられている。
【0066】
また、係合軸263は、山型凸部62の後壁部62Cよりも下方且つ前方に配置されている。
【0067】
アーム本体291には、左右方向に貫通する貫通孔291Hが形成されている。この貫通孔291Hの径は、回動軸80の軸本体81の径と略同一であるかわずかに大きい。また、支持アーム290には、第一実施形態のようなカムシャフトは設けられていない。
【0068】
図14に示す閉位置では、シャッター206の上端部6Tから軸本体81の中心は、距離(第一距離)L11離間している。
【0069】
この閉位置から、使用者が、第一洗浄ノズル4を前進させる指令を送ると、モータM(
図2参照)が駆動し、第一洗浄ノズル4がA1方向に前進する。そして、第一洗浄ノズル4の先端部4Aが、山型凸部62の後壁部62Cに当接する。後壁部62Cには、第一洗浄ノズル4の先端部4AからA1方向の力が作用する。
【0070】
図15に示すように、第一洗浄ノズル4が前進した際に始めに当接する後壁部62Cは、係合軸263の上方且つ後方に配置されている。これにより、第一洗浄ノズル4の先端部4Aが後壁部62Cに当接し、さらに第一洗浄ノズル4が前進して後壁部62Cを押し込むと、係合軸263が係合凹部291Dに沿って回動し、シャッター本体61の上部を前方に傾斜させる。
【0071】
ここで、
図15に示す開位置におけるシャッター206の上端部6Tから軸本体81の中心は、距離(第二距離)L12離間している。シャッター206は閉位置から前方に傾斜しているため、距離L12は距離L11よりも長くなる。
【0072】
第一洗浄ノズル4がさらにA1方向に前進すると、支持アーム90が開方向へと回動し始める。
図16に示すように、シャッター206の山型凸部62が第一洗浄ノズル4の先端部4Aよりも上方に配置されると、第一洗浄ノズル4の上面4Tが山型凸部62の後壁部62Cを滑るようにして、第一洗浄ノズル4が前進して、第一開位置になる。
【0073】
ここで、第一開位置におけるシャッター206の上端部6Tから軸本体81の中心は、距離(第二距離)L13離間している。距離L13は、距離L11よりも長い。なお、距離L13は、距離L12と同一であってもよい。
【0074】
このように構成された局部洗浄装置201においても、距離L11を距離L12,L13よりも短くすることができるため、閉位置において、折曲壁部22の端部とシャッター206の上端部6Tとの間に生じる隙間を抑えることができる。
また、シャッター206が上部を前方に傾斜させるように動き始めてから第一開位置に至るまでにおいて、折曲壁部22とシャッター206の上端部6Tとの干渉を抑えることができるため、シャッター206を好適に開閉することができる。
【0075】
なお、上述した実施の形態において示した組立手順、あるいは各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0076】
例えば、シャッター6の開閉機構としてリンク機構を採用することにより、開位置におけるシャッター6の回動軸80側の端部から回動軸80までの離間距離が、閉位置におけるシャッター6の回動軸80側の端部から回動軸80までの離間距離よりも長い構成としてもよい。
【0077】
また、上記に示す第一実施形態においては、突出部95における支持壁部71Aと当接する部分は、曲面状に形成された曲面部95Bとされ、カム本体94の外周面から緩やかに形成されるようにしているが、本発明はこれに限られない。例えば、突出部が、カム本体94の外周面から略直角等で立ち上がるように形成されていてもよい。この場合には、当該突出部が支持壁部71Aと当接しなくなった瞬間に、カムシャフトが下方に移動して、シャッターの回動半径が大きくなる。