特許第6270692号(P6270692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6270692
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】揚重装置および揚重方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 7/06 20060101AFI20180122BHJP
   B66F 11/00 20060101ALI20180122BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   B66C7/06
   B66F11/00 A
   B66B7/00 K
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-226338(P2014-226338)
(22)【出願日】2014年11月6日
(65)【公開番号】特開2016-88709(P2016-88709A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 淳紀
(72)【発明者】
【氏名】酒井 康弘
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−40398(JP,A)
【文献】 特開2000−143145(JP,A)
【文献】 特開2001−233600(JP,A)
【文献】 特開2015−101440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 5/00 − 7/16
B66F 11/00
B66B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量物を傾斜付き天井のある階段を経由して揚重する揚重装置において、
重量物を運搬する運搬台車と階段に設置される門型雇とを備え、
前記運搬台車は、前記重量物が搭載される台座部と、前記重量物を前記台座部に固定する固定手段と、前記台座部の下部に設けられたローラと、前記台座部に取り付けられて高さ位置を変更可能な脚部とを有しており、
前記門型雇は、前後方向に対向配置されて高さ寸法を伸縮可能な2つの門型構造体と、これら2つの門型構造体の頂部を結合するレールと、前記レールの傾斜角度を調整可能な角度調整手段と、前記レールに設けられて前記重量物を前記運搬台車と一緒に揚重する揚重手段と、前記揚重手段により揚重された前記重量物および前記運搬台車を前記レールに沿って移動する移動手段とを有していることを特徴とする揚重装置。
【請求項2】
請求項1に記載の揚重装置において、前記台座部に前記脚部が互いに平行に2つ取り付けられていると共に、これら2つの脚部の頂部が水平方向へ延びる脚補強材によって連結されていることを特徴とする揚重装置。
【請求項3】
請求項1に記載の揚重装置において、前記2つの門型構造体のそれぞれは、幅方向に対向配置される伸縮可能な一対の支柱と、これら一対の支柱の上部を連結するつなぎ柱とを備え、前記つなぎ柱に前記角度調整手段としての角度調整台が設けられており、この角度調整台に前記レールが結合されていることを特徴とする揚重装置。
【請求項4】
請求項3に記載の揚重装置において、前記一対の支柱に前記つなぎ柱とは別に補強材が連結されていることを特徴とする揚重装置。
【請求項5】
請求項3に記載の揚重装置において、前記角度調整台は、前記つなぎ柱に固定された土台部と、この土台部の一端部に回転可能に連結された可変台部と、前記土台部の他端部と前記可変台部の先端側との間に介設された長さ調整部とを備え、前記長さ調整部の全長を調整することにより、前記土台部と前記可変台部の交差角度を可変構造とすることを特徴とする揚重装置。
【請求項6】
請求項1に記載の揚重装置を用いて重量物を傾斜付き天井のある階段を経由して揚重する揚重方法において、
階段上に前記門型雇を設置する第1ステップと、
前記重量物が搭載された前記運搬台車を前記門型雇の真下に配置する第2ステップと、
前記揚重手段により前記重量物を前記運搬台車と一緒に吊り上げる第3ステップと、
前記揚重手段により吊り上げられた前記運搬台車を前記移動手段により前記レールに沿って移動させる第4ステップと、
前記脚部の高さ位置を調整して前記運搬台車を前記ローラと前記脚部とを介して階段上に保持する第5ステップと、
前記門型雇を階段上で移設させる第6ステップと、
を含むことを特徴とする揚重方法。
【請求項7】
請求項6に記載の揚重方法において、前記第1ステップから前記第6ステップまでを繰り返し実施することにより、階段を介して連結された階床の一方から他方へ前記重量物を搬送することを特徴とする揚重方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の揚重方法において、前記第5ステップの終了後に、前記揚重手段と前記移動手段の構成部品を前記門型雇から取り外して前記第6ステップを実施することを特徴とする揚重方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータの巻上機等の重量物を傾斜付き天井のある階段を経由して揚重する揚重装置および揚重方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
新設のエレベータ工事において、建物の屋上に設置されている機械室に巻上機等の重量物を搬送する場合、エレベータの昇降路内を経由して重量物を揚重することは可能である。しかしながら、例えば巻上機と制御盤のみを交換して実施するエレベータのリニューアル工事においては、昇降路内に既設の乗りかごが設置されているため、新設のエレベータ工事におけるように昇降路内を経由しての揚重を行うことが困難となる。したがって、このようなエレベータのリニューアル工事に際しては、巻上機や制御盤等の重量物を建物の階段を経由して機械室が設けられている階床まで揚重する必要がある。
【0003】
特許文献1には、階段を経由してエスカレータ等の重量物を揚重する技術が開示されている。特許文献1に記載された従来の揚重方法は、建物内で見通しが利く上下階の離れたフロアに、ラチス梁の下面にトロリやチェーンブロックを設けてなる揚重装置を設置し、このチェーンブロックで重量物を吊り上げながらトロリとラチス梁の梁軸に沿って搬送するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4058098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エレベータのリニューアルにおける工事環境としては、必ずしも特許文献1に記載されているような天井が高くて広いフロアであるとは限らず、例えば、狭くて天井に傾斜が付いている階段を経由して、巻上機等の重量物を機械室が設けられている階床まで揚重しなければならないことがある。しかしながら、特許文献1に記載された従来技術は、このような工事環境に対応することができず、しかも、揚重装置の構成が大型かつ複雑であるため、施工工数が増えたり施工費用が高くなる虞があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、巻上機等の重量物を狭くて傾斜付き天井のある階段を経由して揚重することができる揚重装置を提供することにあり、第2の目的は、そのような重量物の揚重方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記第1の目的を達成するために、本発明は、重量物を傾斜付き天井のある階段を経由して揚重する揚重装置において、重量物を運搬する運搬台車と階段に設置される門型雇とを備え、前記運搬台車は、前記重量物が搭載される台座部と、前記重量物を前記台座部に固定する固定手段と、前記台座部の下部に設けられたローラと、前記台座部に取り付けられて高さ位置を変更可能な脚部とを有しており、前記門型雇は、前後方向に対向配置されて高さ寸法を伸縮可能な2つの門型構造体と、これら2つの門型構造体の頂部を結合するレールと、前記レールの傾斜角度を調整可能な角度調整手段と、前記レールに設けられて前記重量物を前記運搬台車と一緒に揚重する揚重手段と、前記揚重手段により揚重された前記重量物および前記運搬台車を前記レールに沿って移動する移動手段とを有していることを特徴としている。
【0008】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明は、このような揚重装置を用いて重量物を傾斜付き天井のある階段を経由して揚重する揚重方法において、階段上に前記門型雇を設置する第1ステップと、前記重量物が搭載された前記運搬台車を前記門型雇の真下に配置する第2ステップと、前記揚重手段により前記重量物を前記運搬台車と一緒に吊り上げる第3ステップと、前記揚重手段により吊り上げられた前記運搬台車を前記移動手段により前記レールに沿って移動させる第4ステップと、前記脚部の高さ位置を調整して前記運搬台車を前記ローラと前記脚部とを介して階段上に保持する第5ステップと、前記門型雇を階段上で移設させる第6ステップと、を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の揚重装置および揚重方法によれば、巻上機等の重量物を狭くて傾斜付き天井のある階段を経由して揚重することができ、しかも、従来技術に比べて施工工数や施工費用を低減することができる。前述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態例に係る揚重装置を階段に設置した状態を示す斜視図である。
図2】実施形態例に係る揚重方法の第1および第2ステップを示す側面図である。
図3】実施形態例に係る揚重方法の第3ステップを示す側面図である。
図4】実施形態例に係る揚重方法の第4ステップを示す側面図である。
図5】実施形態例に係る揚重方法の第5ステップを示す側面図である。
図6】実施形態例に係る揚重方法の第6ステップを示す側面図である。
図7図1の揚重装置に備えられる角度調整台の説明図である。
図8】実施形態例に係る揚重方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の実施形態例に係る揚重装置1は、傾斜付き天井のある階段100に設置された門型雇50と、重量物11を運搬する運搬台車60とを備えている。
【0012】
門型雇50は、階段100の前後方向に対向配置された2つの門型構造体2,3と、これら2つの門型構造体2,3の頂部中央に設けられた角度調整台5a,5bと、これら角度調整台5a,5bを結合して設けられたレール6と、レール6に設けられたトロリ8と、トロリ8に設けられた揚重手段、例えばチェーンブロック9aと、前方の門型構造体2の後述するつなぎ柱4aに設けられた移動手段、例えばチェーンブロック9bとを有している。詳細については後述するが、一方のチェーンブロック9aのチェーン10aは重量物11に接続され、他方のチェーンブロック9bのチェーン10bはトロリ8に固定されるようになっている。
【0013】
前方の門型構造体2は、階段100の幅方向に対向配置された一対の前側柱2a,2bと、これら前側柱2a,2bの上部を連結するつなぎ柱4aとを備えており、前側柱2a,2bは、その長さを可変とするパイプサポート等によって構成されている。つなぎ柱4aはH型鋼材等によって構成されており、このつなぎ柱4aは前側柱2a,2bの頂部にボルト等を用いて水平姿勢になるように固定されている。前述したように、つなぎ柱4aの頂部中央には角度調整台5aが設けられており、この角度調整台5aによりレール6の傾きが天井の傾斜に合わせて角度調整される。
【0014】
後方の門型構造体3も同様に構成されており、この門型構造体3は、階段100の幅方向に対向配置された一対の後側柱3a,3bと、これら後側柱3a,3bと上部を連結するつなぎ柱4bとを備えている。後側柱3a,3bは、その長さを可変とするパイプサポート等によって構成されており、つなぎ柱4bはH型鋼材等によって構成されている。つなぎ柱4bは後側柱3a,3bの頂部にボルト等を用いて水平姿勢になるように固定されており、つなぎ柱4bの頂部中央にもレール6の傾斜角度を調整するための角度調整台5bが設けられている。
【0015】
レール6はH型鋼材やI型鋼材等によって構成されており、レール6とつなぎ柱4a,4bとは互いに直交するように連結されている。このレール6は角度調整台5a,5bの中点において結合するようにボルトを用いて固定されているが、レール6と角度調整台5a,5bとをボルトの代わりにレールクリップや万力等で固定しても良い。
【0016】
角度調整台5a,5bはレール6の傾斜角度を調整可能な角度調整手段を構成するものであり、図7に示すように、これら角度調整台5a,5bは、つなぎ柱4a,4bに固定された土台部21と、土台部21の一端部にピン24を支点として回転可能に支持された可変台部20と、土台部21の他端部と可変台部20の先端側との間に介設された高ナット22および長ネジボルト23とによって構成されている。可変台部20と土台部21はコ型の鋼材等からなり、レール6は可変台部20に連結されるようになっている。高ナット22と長ネジボルト23は長さ調整部として機能するものであり、高ナット22は土台部21の他端部にピン25を支点として回転可能に支持され、この高ナット22に螺合された長ネジボルト23が固定用ボルト26を用いて可変台部20の先端側に支持されている。
【0017】
このように構成された角度調整台5a,5bでは、高ナット22に螺合された長ネジボルト23を回転することにより長さ調整部の全長、すなわち、高ナット22に対する長ネジボルト23の突出量を変えることができるため、土台部21と可変台部20の交差角度に合わせて長さ調整部の全長を可変調整すれば良い。したがって、2つの角度調整台5a,5bの可変台部20を個別に角度調整すれば、可変台部20に連結されたレール6が階段の傾斜した天井にぶつからないようにすることができる。
【0018】
また、門型構造体2,3の前側柱2a,2bと後側柱3a,3bには補強材7a,7b,7c,7dが連結されており、これら補強材7a〜7dにより前側柱2a,2bと後側柱3a,3bが広がらずに鉛直状態に保つようになっている。そのうち、補強材7aはつなぎ柱4aと略平行になるように前側柱2aと前側柱2bとを接続し、補強材7bはつなぎ柱4bと略平行になるように後側柱3aと後側柱3bとを接続し、補強材7cは前側柱2aと後側柱3aとを接続し、補強材7dは前側柱2bと後側柱3bとを接続している。なお、前側柱2a,2bと後側柱3a,3bとの間隔は、階段の寸法などを考慮して設定される。
【0019】
次に、運搬台車60の構造について説明すると、この運搬台車60は、重量物11が搭載される一対の台座部12a,12bと、これら台座部12a,12bの下部に設けられた4つのローラ13a〜13d(そのうちローラ13bとローラ13dは図示せず)と、一方の台座部12bに取り付けられた一対の脚部14a,14bと、脚部14a,14bに設けられた脚補強材15とを備えており、重量物11は台部12a,12b上に図示せぬボルト等の固定手段を用いて固定されるようになっている。重量物11は、例えばエレベータのリニューアル工事に使用される巻上機、制御盤、及び停電時の動力源として使用されるバッテリの少なくとも1つを含んでおり、本実施形態例では、重量物11として新規の巻上機が例示されている。
【0020】
脚部14a,14bは台座部12bに対する取り付け高さを調整可能な可変構造となっており、その可変構造として、例えば脚14a,14bに所定の間隔をおいて複数のボルト穴を設け、これらボルト穴に選択的にボルトを挿入して脚14a,14bと台座部12bを固定した後、脚14a,14bの下端部に設けられたジャッキベースを使用して取り付け高さを調整できるようにしている。これら脚部14a,14bは脚補強材15によって補強されており、この脚補強材15は脚部14a,14bの頂部付近を連結するように水平方向へ延びている。
【0021】
このように構成された運搬台車60によれば、重量物11を台座部12a,12bに搭載して一体化した状態で床面101上等を移動可能に、すなわち横引きして運搬させることが可能になっており、その際に、脚補強材15を脚部14a,14bの補強用としてだけでなく取っ手としても活用することができる。
【0022】
次に、上記の如く構成された揚重装置1を用いて重量物11を揚重する揚重方法について、主に図2図6示す側面図と図8に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、本実施形態例に係る揚重方法は、例えばエレベータのリニューアル工事に際し、重量物11を床面101から傾斜付き天井102のある階段100を経由してエレベータの機械室が設けられた階床まで揚重するというものである。
【0023】
まず、図2に示すように、一対の前側柱2a,2bの頂部につなぎ柱4aをボルトで水平に締結すると共に、つなぎ柱4aの頂部中央に角度調整台5aをボルトで締結することにより、階段100の所定の段に前方の門型構造体2を立設する。また、これに前後して、後側柱3a,3bの頂部につなぎ柱4bをボルトで水平に締結すると共に、つなぎ柱4bの頂部中央に角度調整台5bをボルトで締結することにより、階段100の手前の床面101に後方の門型構造体3を立設する。
【0024】
次に、天井102の傾斜角度に合わせて、角度調整台5a,5bの可変台部20の角度を調整する。この調整作業は、つなぎ柱4a,4bに固定された土台部21に対する可変台部20と高ナット22の取付角度を調整すると共に、長ネジボルト23を回転して長さ調整部の全長を調整した上で、長ネジボルト23を可変台部20に固定用ボルト26で固定することにより行われる。しかる後、レール6を角度調整台5a,5bの中点を結合するようにボルトで固定し、レール6が天井102と略平行になるように前側柱2a,2bと後側柱3a,3bの全長を調整する。
【0025】
次に、補強材7aを前側柱2aと前側柱2bとに接続し、補強材7bを後側柱3aと後側柱3bに接続し、補強材7cを前側柱2aと後側柱3aとに接続し、補強材7dを前側柱2bと後側柱3bとに接続する。これら各補強材7a〜7dによって、前側柱2a,2bと後側柱3a,3bとが広がらずに鉛直状態に保たれる。
【0026】
最後に、レール6にトロリ8とチェーンブロック9aを取り付け、つなぎ柱4aにチェーンブロック9bを取り付ける。これらの各工程により、門型雇50の階段100上への設置が完了する(図8の第1ステップS1)。
【0027】
次なる工程で、重量物11が搭載された台座部12a,12bをローラ13a〜13d(2つは図示せず)を介して床面101上で横引きすることにより、運搬台車60を階段100の直前まで移動して門型雇50の真下に配置する(図8の第2ステップS2)。
【0028】
しかる後、チェーンブロック9bのチェーン10bをトロリ8にシャックル等で固定すると共に、チェーンブロック9aのチェーン10aを重量物11の頂部に設けられている図示せぬ吊り穴に接続する。この状態でチェーンブロック9aを操作することにより、図3に示すように、重量物11を運搬台車60と一緒に予め定めた高さ位置まで吊り上げる(図8の第3ステップS3)。ここで予め定めた高さ位置とは、例えば、前方の門型構造体2が立設されている階段または一つ手前の階段に対して、台座部12a,12bの下部に設けられた4つのローラ13a〜13dの下端が一致する高さ位置である。
【0029】
次なる工程で、図4に示すように、チェーンブロック9aを操作してトロリ8をレール6に沿って移動することにより、重量物11と運搬台車60をチェーンブロック9aで吊り上げたまま後方の門型構造体3側から前方の門型構造体2側に向けて移動して、移動方向の前方に位置するローラ13aを階段100に接地させる(図8の第4ステップS4)。その際、重量物11と運搬台車60の移動は、前方の門型構造体2側からチェーンブロック9bのチェーン10bを引いても良く、後方の門型構造体3側から運搬台車60の脚補強材15を持って押しても良い。
【0030】
次なる工程で、図5に示すように、脚部14a,14bの台座部12bに対する取り付け高さを調整して、脚14a,14bの下端部に設けられたジャッキベースを床面101または階段100に接地させる。かかる高さ調整作業は、脚部14a,14bと台座部12bを固定しているボルトを緩めて取り外し、この状態で脚部14a,14bを下方へ移動してから所定のボルト穴にボルトを挿入して脚14a,14bと台座部12bを固定した後、ジャッキベースを床面101または階段100に接地させることにより行われる。これにより、重量物11は前方側2つのローラ13aと2本の脚14a,14bを介して階段100上に保持された状態となる(図8の第5ステップS5)。この時点でチェーンブロック9aを操作してチェーン10aを降ろし、重量物11からチェーン10aを取り外す。しかる後、レール6からチェーンブロック9a,9bとトロリ8を取り外し、その重量分だけ門型雇50の総重量を軽減する。
【0031】
次なる工程で、図6に示すように、例えば4名の作業者のそれぞれが、門型構造体2,3の該当する前側柱2a,2bと後側柱3a,3bのいずれかを同時に把持したまま、後側柱3a,3bが脚14a,14bの近傍に位置するまで門型雇50を階段100上で1段ずつ上方に移動させる(図8の第6ステップS6)。これにより、移動前に前側柱2a,2b寄りにあった運搬台車60が、移動後は後側柱3a,3b寄りに位置することになる。なお、門型雇50の移動後に前側柱2a,2bは、該当する階段上に接地するように、その全長が必要に応じて調整される。
【0032】
このように門型雇50を階段100上で移設させた後、第1ステップS1の一部を実施することにより、すなわち、レール6にトロリ8とチェーンブロック9a,9bを取り付けることにより、前述した第3ステップS3におけるように、重量物11を運搬台車60と一緒に吊り上げることが可能な状態となる。以降、第3ステップS3〜第6ステップS6と第1ステップS1の一部および第2ステップS2を繰り返すことにより、運搬台車60に搭載された重量物11を階段100を経由してエレベータの機械室が設けられた階床まで揚重することができる。
【0033】
なお、運搬台車60に搭載された重量物11を階段100を経由して機械室が設けられた階床まで揚重する際に、階段100の途中に踊り場のような狭い折り返し部位がある場合は、図4に示すように、脚14a,14bを下方に伸ばさずに台座部12bに固定したまま、運搬台車60の各ローラ13a〜13dを踊り場等の床面に接地させれば良い。そして、踊り場等の床面において、作業者が脚補強材15を把持しながら運搬台車60を横引きして次の階段の直前に配置させた後、再び第1ステップS1〜第6ステップS6を順次実行することにより、重量物11の階段揚重を継続して実施することができる。すなわち、本実施形態例に係る揚重方法は、搬送途中に踊り場等の折り返し部位がある場合にも、支障なく階段100を利用して重量物11を目的の階床まで揚重させることができる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態例に係る揚重装置1を用いた揚重方法によれば、巻上機等の重量物11を狭くて傾斜付き天井102のある階段100を経由して揚重することが可能であるため、従来技術では困難であったエレベータのリニューアル工事等にも適用することができる。また、本実施形態例に係る揚重装置1は、小型で比較的単純な構造の門型雇50と、重量物11が搭載される運搬台車60とを備えた構成で済むので、従来技術に比べて施工工数や施工費用を低減することができる。
【0035】
なお、上述した実施形態例では、第5ステップS5の終了時点でレール6からチェーンブロック9a,9bとトロリ8を取り外し、この状態で第6ステップS6へ移行して門型雇50を階段100上で移動させるようにしたが、チェーンブロック9a,9bとトロリ8をレール6に取り付けたまま、門型雇50を階段100上で移動させるようにしても良い。この場合、門型雇50の総重量を軽減することはできないが、チェーンブロック9a,9bとトロリ8をいちいち着脱する作業が不要となる。
【0036】
また、上述した実施形態例では、エレベータのリニューアル工事に際して使用される新規の巻上機等を重量物11として例示したが、重量物11がエレベータに関連して設けられる構造物に限られることはなく、各種の重量物の揚重に際して本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 揚重装置
2,3 門型構造体
2a,2b 前側柱
3a,3b 後側柱
4a,4b つなぎ柱
5a,5b 角度調整台(角度調整手段)
6 レール
7a,7b,7c,7d 補強材
8 トロリ
9a チェーンブロック(揚重手段)
9b チェーンブロック(移動手段)
10a,10b チェーン
11 門型雇
12a,12b 台座部
13a,13c ローラ
14a,14b 脚部
15 脚補強材
20 可変台部
21 土台部
22 高ナット
23 長ネジボルト
24,25 ピン
26 固定用ボルト
50 門型雇
60 運搬台車
100 階段
101 床面
102 天井
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8