特許第6270704号(P6270704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6270704
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】建設機械の油圧駆動システム
(51)【国際特許分類】
   F15B 21/14 20060101AFI20180122BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   F15B21/14 A
   E02F9/20 Z
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-249816(P2014-249816)
(22)【出願日】2014年12月10日
(65)【公開番号】特開2016-109271(P2016-109271A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】弓達 陽治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 武久
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−193551(JP,A)
【文献】 特開2011−202458(JP,A)
【文献】 特開2001−197785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 21/14
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームシリンダおよび旋回油圧モータに作動油を供給するポンプと、
前記ポンプと連結された回生油圧モータであって、ブーム下げ時に前記ブームシリンダから排出される作動油および/または旋回減速時に前記旋回油圧モータから排出される作動油が導かれる回生油圧モータと、
前記ポンプを駆動するエンジンと、
前記エンジンに取り付けられたオルタネータであって、電力が供給されたときに前記エンジンの出力軸を回転させ得るオルタネータと、
前記オルタネータと接続された蓄電器と、
前記オルタネータと前記蓄電器との間に介在する電力変換器であって、前記オルタネータと前記蓄電器との間での電力伝達を可能とするサーボオン状態と、前記オルタネータと前記蓄電器との間での電力伝達を不能とするサーボオフ状態との間で切り換えられる電力変換器と、
前記電力変換器を前記サーボオン状態と前記サーボオフ状態のどちらかに切り換えるとともに、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えたときには、前記電力変換器を、前記オルタネータから前記蓄電器へ伝達される電力を調整する充電モードと前記蓄電器から前記オルタネータへ伝達される電力を調整する放電モードのどちらかで制御する制御装置と、
を備える、建設機械の油圧駆動システム。
【請求項2】
前記回生油圧モータには、ブーム下げ時に前記ブームシリンダから排出される作動油が導かれ、
前記制御装置は、ブーム下げ時であるとともに前記蓄電器が充電可能な状態であるブーム充電条件が満たされるときは、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えるとともに前記充電モードで制御し、前記ブーム充電条件が満たされないときは、前記電力変換器を前記サーボオフ状態に切り換えるか、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えるとともに前記放電モードで制御する、請求項1に記載の建設機械の油圧駆動システム。
【請求項3】
前記回生油圧モータには、ブーム下げ時に前記ブームシリンダから排出される作動油が導かれるとともに、旋回減速時に前記旋回油圧モータから排出される作動油が導かれ、
前記制御装置は、ブーム下げ時であるとともに前記蓄電器が充電可能な状態であるブーム充電条件と、旋回減速時であるとともに前記蓄電器が充電可能な状態である旋回充電条件のどちらかが満たされるときは、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えるとともに前記充電モードで制御し、前記ブーム充電条件と前記旋回充電条件のどちらも満たされないときは、前記電力変換器を前記サーボオフ状態に切り換えるか、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えるとともに前記放電モードで制御する、請求項1に記載の建設機械の油圧駆動システム。
【請求項4】
前記ブームシリンダに対する作動油の供給および排出を制御するブーム制御弁を備え、前記ブーム制御弁は、ブーム排出ラインにより前記回生油圧モータと接続されており、前記ブーム制御弁にはタンクラインが接続されており、
前記ブーム制御弁は、ブーム上げ時には前記ブームシリンダから排出される作動油が当該ブーム制御弁から前記タンクラインへ流入し、ブーム下げ時には前記ブームシリンダから排出される作動油が当該ブーム制御弁から前記ブーム排出ラインへ流入するように構成されている、請求項2または3に記載の建設機械の油圧駆動システム。
【請求項5】
前記回生油圧モータは、傾転角が変更可能な可変容量型のモータであり、
前記回生油圧モータの傾転角を調整する回生油圧モータレギュレータを備え、
前記制御装置は、旋回減速時であるとともに前記蓄電器が充電可能な状態である旋回充電条件が満たされるときに、前記旋回油圧モータの回転数が高くなるほど前記回生油圧モータの傾転角が大きくなるように、前記回生油圧モータレギュレータを制御する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建設機械の油圧駆動システム。
【請求項6】
前記回生油圧モータは、傾転角が変更可能な可変容量型のモータであり、
前記回生油圧モータの傾転角を調整する回生油圧モータレギュレータを備え、
前記制御装置は、ブーム下げ時であるとともに前記蓄電器が充電可能な状態であるブーム充電条件が満たされるときに、ブーム操作弁の操作量が大きくなるほど前記回生油圧モータの傾転角が大きくなるように、前記回生油圧モータレギュレータを制御する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の建設機械の油圧駆動システム。
【請求項7】
前記オルタネータは、公称電圧が30V以上の発電機である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の建設機械の油圧駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の油圧駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルや油圧クレーンのような建設機械では、油圧駆動システムによって各部が駆動される。このような油圧駆動システムでは、エンジンによって駆動されるポンプから種々のアクチュエータに作動油が供給される。
【0003】
例えば、特許文献1には、エンジンによって駆動されるメインポンプに加え、電動モータによって駆動されるブースタポンプを用いた油圧駆動システムが開示されている。ブースタポンプは、高負荷時にアクチュエータに供給される作動油の量を増大させるためのものである。
【0004】
具体的に、特許文献1に開示された油圧駆動システムでは、メインポンプを駆動するエンジンにオルタネータが取り付けられ、オルタネータはバッテリと接続されている。オルタネータは、ベルトなどの動力伝達手段によりエンジンの出力軸とつながれた回転軸を有する、低容量(例えば、公称電圧が24V)で小型の発電機である。バッテリは、リレーを介して、ブースタポンプを駆動する電動モータと接続されている。そして、リレーは、高負荷時にオンとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−60705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された油圧駆動システムのようにオルタネータがバッテリ(蓄電器の一種)と直接的に接続されている場合には、エンジンの稼動中はエンジン負荷の大小に拘らず常にオルタネータで生成された電力がバッテリへ伝達される。
【0007】
一方で、油圧駆動システムでは、例えばブーム下げ時および/または旋回減速時に、アクチュエータからタンクに戻される作動油を利用してエネルギを回生することが望まれる。
【0008】
特許文献1に開示された油圧駆動システムでは、上述したブーム下げ時および/または旋回減速時のエネルギを回生し得る場合でも、常にオルタネータで電力を生成しており、エネルギが無駄に消費されていた。
【0009】
そこで、本発明は、オルタネータから蓄電器への電力伝達を制御しつつ、エネルギを回生できる建設機械の油圧駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明の建設機械の油圧駆動システムは、ブームシリンダおよび旋回油圧モータに作動油を供給するポンプと、前記ポンプと連結された回生油圧モータであって、ブーム下げ時に前記ブームシリンダから排出される作動油および/または旋回減速時に前記旋回油圧モータから排出される作動油が導かれる回生油圧モータと、前記ポンプを駆動するエンジンと、前記エンジンに取り付けられたオルタネータであって、電力が供給されたときに前記エンジンの出力軸を回転させ得るオルタネータと、前記オルタネータと接続された蓄電器と、前記オルタネータと前記蓄電器との間に介在する電力変換器であって、前記オルタネータと前記蓄電器との間での電力伝達を可能とするサーボオン状態と、前記オルタネータと前記蓄電器との間での電力伝達を不能とするサーボオフ状態との間で切り換えられる電力変換器と、前記電力変換器を前記サーボオン状態と前記サーボオフ状態のどちらかに切り換えるとともに、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えたときには、前記電力変換器を、前記オルタネータから前記蓄電器へ伝達される電力を調整する充電モードと前記蓄電器から前記オルタネータへ伝達される電力を調整する放電モードのどちらかで制御する制御装置と、を備える、ことを特徴とする。
【0011】
上記の構成によれば、エンジンにより駆動されるポンプに回生油圧モータが連結されているので、エンジンに取り付けられたオルタネータを利用して、換言すればエンジンから見てポンプ側(負荷側)に電動発電機を別途設置することなく、回生油圧モータで回収したエネルギを電気エネルギとして蓄電器に蓄積することができる。しかも、オルタネータと蓄電器の間に電力変換器が介在しているので、オルタネータから蓄電器への電力伝達を制御することができる。例えば、蓄電器がフルに充電されている場合に、電力変換器をサーボオフ状態に切り換えれば、電力を蓄電器に蓄積する代わりに、回生油圧モータで回収したエネルギでポンプの駆動をアシストすることも可能である。さらに、電力変換器をサーボオン状態に切り換えるとともに放電モードで制御すれば、蓄積された電力でポンプの駆動をアシストすることができる。
【0012】
前記回生油圧モータには、ブーム下げ時に前記ブームシリンダから排出される作動油が導かれ、前記制御装置は、ブーム下げ時であるとともに前記蓄電器が充電可能な状態であるブーム充電条件が満たされるときは、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えるとともに前記充電モードで制御し、前記ブーム充電条件が満たされないときは、前記電力変換器を前記サーボオフ状態に切り換えるか、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えるとともに前記放電モードで制御してもよい。この構成によれば、ブーム下げ時のエネルギを回生することができる。
【0013】
前記回生油圧モータには、ブーム下げ時に前記ブームシリンダから排出される作動油が導かれるとともに、旋回減速時に前記旋回油圧モータから排出される作動油が導かれ、前記制御装置は、ブーム下げ時であるとともに前記蓄電器が充電可能な状態であるブーム充電条件と、旋回減速時であるとともに前記蓄電器が充電可能な状態である旋回充電条件のどちらかが満たされるときは、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えるとともに前記充電モードで制御し、前記ブーム充電条件と前記旋回充電条件のどちらも満たされないときは、前記電力変換器を前記サーボオフ状態に切り換えるか、前記電力変換器を前記サーボオン状態に切り換えるとともに前記放電モードで制御してもよい。この構成によれば、ブーム下げ時のエネルギおよび旋回減速時のエネルギを回生することができる。
【0014】
上記の油圧駆動システムは、前記ブームシリンダに対する作動油の供給および排出を制御するブーム制御弁を備え、前記ブーム制御弁は、ブーム排出ラインにより前記回生油圧モータと接続されており、前記ブーム制御弁にはタンクラインが接続されており、前記ブーム制御弁は、ブーム上げ時には前記ブームシリンダから排出される作動油が当該ブーム制御弁から前記タンクラインへ流入し、ブーム下げ時には前記ブームシリンダから排出される作動油が当該ブーム制御弁から前記ブーム排出ラインへ流入するように構成されていてもよい。この構成によれば、ブームシリンダから排出される作動油をブーム下げ時に自動的に回生油圧モータへ導くことができる。
【0015】
前記回生油圧モータは、傾転角が変更可能な可変容量型のモータであり、上記の油圧駆動システムは、前記回生油圧モータの傾転角を調整する回生油圧モータレギュレータを備え、前記制御装置は、前記旋回充電条件が満たされるときに、前記旋回油圧モータの回転数が高くなるほど前記回生油圧モータの傾転角が大きくなるように、前記回生油圧モータレギュレータを制御してもよい。この構成によれば、旋回速度に応じた適切なエネルギ回収を行うことができる。
【0016】
前記回生油圧モータは、傾転角が変更可能な可変容量型のモータであり、上記の油圧駆動システムは、前記回生油圧モータの傾転角を調整する回生油圧モータレギュレータを備え、前記制御装置は、前記ブーム充電条件が満たされるときに、ブーム操作弁の操作量が大きくなるほど前記回生油圧モータの傾転角が大きくなるように、前記回生油圧モータレギュレータを制御してもよい。この構成によれば、ブーム下げの速度に応じた適切なエネルギ回収を行うことができる。
【0017】
前記オルタネータは、公称電圧が30V以上の発電機であってもよい。この構成によれば、一度の発電で多くの電力を蓄電器に蓄積することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、オルタネータから蓄電器への電力伝達を制御しつつ、エネルギを回生できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る油圧駆動システムの概略構成図である。
図2】建設機械の一例である油圧ショベルの側面図である。
図3図1に示す油圧駆動システムにおける電力関連機器のブロック図である。
図4図1に示す油圧駆動システムの制御装置が行う制御のフローチャートである。
図5】(a)〜(c)は、それぞれ、図4に示す第1充電制御オン、第2充電制御オンおよび充電制御オフのサブルーチンである。
図6】本発明の第2実施形態に係る油圧駆動システムの概略構成図である。
図7】(a)〜(c)は、それぞれ、第2実施形態における第1充電制御オン、第2充電制御オンおよび充電制御オフのサブルーチンである。
図8】本発明の第3実施形態に係る油圧駆動システムの概略構成図である。
図9】第3実施形態の変形例の油圧駆動システムの概略構成図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る油圧駆動システムの概略構成図である。
図11】第4実施形態の変形例の油圧駆動システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る建設機械の油圧駆動システム1Aを示し、図2に、その油圧駆動システム1Aが搭載された建設機械10を示す。図2に示す建設機械10は油圧ショベルであるが、本発明は、油圧クレーンなどの他の建設機械にも適用可能である。
【0021】
油圧駆動システム1Aは、油圧アクチュエータとして、図2に示すブームシリンダ11、アームシリンダ12およびバケットシリンダ13を含むとともに、図1に示す旋回油圧モータ14および図示しない左右一対の走行油圧モータを含む。また、油圧駆動システム1Aは、それらのアクチュエータへ作動油を供給するポンプ16と、ポンプ16を駆動するエンジン15を含む。なお、図1では、図面の簡略化のために、旋回油圧モータ14およびブームシリンダ11以外のアクチュエータを省略している。
【0022】
本実施形態では、建設機械10が自走式の油圧ショベルであるが、建設機械10が船舶に搭載される油圧ショベルである場合には、運転室を含む旋回体が船体に旋回可能に支持される。
【0023】
ポンプ16は、傾転角が変更可能な可変容量型のポンプ(斜板ポンプまたは斜軸ポンプ)である。ポンプ16の傾転角は、ポンプレギュレータ17により調整される。ポンプ16の吐出流量は、ネガティブコントロール方式で制御されてもよいし、ポジティブコントロール方式で制御されてもよい。すなわち、ポンプレギュレータ17は、油圧により作動してもよいし、電気信号により作動してもよい。
【0024】
ポンプ16は、供給ライン31により、ブーム制御弁41、旋回制御弁51およびその他の制御弁と接続されている。ブーム制御弁41は、ブームシリンダ11に対する作動油の供給および排出を制御し、旋回制御弁51は、旋回油圧モータ14に対する作動油の供給および排出を制御する。
【0025】
より詳しくは、ブーム制御弁41は、ブーム上げ供給ライン45およびブーム下げ供給ライン46によりブームシリンダ11と接続されている。また、ブーム制御弁41は、ブーム排出ライン32により回生切換弁71と接続されている。回生切換弁71については後述にて詳細に説明する。
【0026】
ブーム制御弁41は一対のパイロットポートを有し、これらのパイロットポートは、ブーム上げパイロットライン43およびブーム下げパイロットライン44によりブーム操作弁42と接続されている。ブーム操作弁42は、操作レバーを含み、操作レバーの操作量(角度)に応じた大きさのパイロット圧をブーム制御弁41へ出力する。
【0027】
一方、旋回制御弁51は、左旋回供給ライン61および右旋回供給ライン62により旋回油圧モータ14と接続されている。また、旋回制御弁51は、旋回排出ライン33により回生切換弁71と接続されている。
【0028】
左旋回供給ライン61および右旋回供給ライン62同士は、橋架路63によって接続されている。橋架路63には、互いに逆向きに一対のリリーフ弁64が設けられている。左旋回供給ライン61と右旋回供給ライン62の間には、各リリーフ弁64をパイパスするようにバイパス路65が設けられており、各バイパス路65には逆止弁66が設けられている。橋架路63におけるリリーフ弁64の間の部分には、タンクライン67が接続されている。
【0029】
旋回制御弁51は、一対のパイロットポートを有している。一方のパイロットポートは、左旋回パイロットライン53により第1旋回操作比例弁55と接続されており、他方のパイロットポートは、右旋回パイロットライン54により第2旋回操作比例弁56と接続されている。第1および第2旋回操作比例弁55,56は、制御装置8から送給される電流に応じた大きさの二次圧を旋回制御弁51へ出力する。
【0030】
本実施形態では、旋回操作用の操作レバーを含む旋回操作弁52として、操作レバーの操作量(角度)に応じた大きさのパイロット圧を出力するパイロット式操作弁が採用されている。制御装置8は、旋回操作弁52から出力される左旋回パイロット圧PLを計測する第1圧力計81と、旋回操作弁52から出力される右旋回パイロット圧PRを計測する第2圧力計82と接続されている。制御装置8は、通常(旋回減速時のエネルギを回生しないとき)は、旋回操作弁52から出力されるパイロット圧(PLまたはPR)と比例する電流を旋回操作比例弁(55または56)へ送給する。これにより、旋回操作比例弁(55または56)からは、旋回操作弁52から出力されるパイロット圧(PLまたはPR)に準じた二次圧が出力される。ただし、旋回操作弁52は、操作レバーの操作量(角度)に応じた大きさの電気信号を旋回信号として制御装置8に直接的に出力する電気式操作弁であってもよい。
【0031】
さらに、本実施形態では、油圧駆動システム1Aが、ブーム下げ時のエネルギと旋回減速時のエネルギの双方を回生することができるように構成されている。そのための構成として、油圧駆動システム1Aは、回生油圧モータ18と上述した回生切換弁71を含む。
【0032】
回生油圧モータ18は、ポンプ16と連結されている。回生油圧モータ18は、本実施形態では、固定容量型のモータである。
【0033】
回生切換弁71は、回生ライン34により回生油圧モータ18と接続されている。また、回生切換弁71には、タンクライン35が接続されている。回生切換弁71は、中立位置と、ブーム回生位置(図1の右側位置)と、旋回回生位置(図1の左側位置)との間で切り換えられる。
【0034】
回生切換弁71が中立位置に位置するとき、ブーム排出ライン32および旋回排出ライン33がタンクライン35と連通する。これにより、ブームシリンダ11から排出される作動油および旋回油圧モータ14から排出される作動油がタンクに導かれる。回生切換弁71がブーム回生位置に位置するとき、旋回排出ライン33がタンクライン35と連通する一方、ブーム排出ライン32が回生ライン34と連通する。これにより、ブームシリンダ11から排出された作動油が回生油圧モータ18に導かれる。回生切換弁71が旋回回生位置に位置するとき、ブーム排出ライン32がタンクライン35と連通する一方、旋回排出ライン33が回生ライン34と連通する。これにより、旋回油圧モータ14から排出された作動油が回生油圧モータ18に導かれる。
【0035】
本実施形態では、回生切換弁71が、ブーム回生位置でブーム排出ライン32と回生ライン34およびタンクライン35との連通度合を変更可能で、かつ、旋回回生位置で旋回排出ライン33と回生ライン34およびタンクライン35との連通度合を変更可能なパイロット式の可変絞りである。ただし、回生切換弁71は、電磁式の可変絞りであってもよい。
【0036】
具体的に、回生切換弁71は、当該回生切換弁71をブーム回生位置に切り換えるためのブーム回生パイロットポート72と、当該回生切換弁71を旋回回生位置に切り換えるための旋回回生パイロットポート73を有している。ただし、回生切換弁71は、ブーム回生位置および旋回回生位置では排出ライン(32または33)を回生ライン34と100%連通させる、パイロット式または電磁式の単なる開閉弁であってもよい。
【0037】
ブーム回生パイロットポート72は、ブーム回生パイロットライン74によりブーム回生操作比例弁75と接続されている。旋回回生パイロットポート73は、旋回回生パイロットライン76により旋回回生操作比例弁77と接続されている。ブーム回生操作比例弁75および旋回回生操作比例弁77は、制御装置8から送給される電流に応じた大きさの二次圧を回生切換弁71へ出力する。
【0038】
上述したエンジン15には、オルタネータ21が取り付けられている。オルタネータ21には、図3に示すように、第1蓄電器23が接続されており、第1蓄電器23には、第2蓄電器25が接続されている。第1蓄電器23は、通常の電装品の電圧よりも少し高めの電圧(例えば、48V)の蓄電器(例えば、キャパシタ)であり、第2蓄電器25は、通常の電装品の電圧(例えば、24V)と等しい電圧の蓄電器(例えば、バッテリ)である。第1蓄電器23には、中電圧の電気負荷26が接続されており、第2蓄電器25には、低電圧の電気負荷27が接続されている。
【0039】
オルタネータ21と第1蓄電器23の間には、電力制御用の第1電力変換器22(例えば、インバータ)が介在しており、第1蓄電器23と第2蓄電器25の間には、電圧変換用の第2電力変換器24が介在している。
【0040】
オルタネータ21は、ベルトなどの動力伝達手段によりエンジン15の出力軸とつながれた回転軸(図示せず)を有する。オルタネータ21は、電力が供給されたときにエンジン15の出力軸を回転させ得るように構成されている。例えば、オルタネータ21は、公称電圧が30V以上(例えば、48V)の発電機である。これにより、一度の発電で多くの電力を第1蓄電器23に蓄積することができる。ただし、オルタネータ21の公称電圧は30V未満であってもよい。本実施形態では、オルタネータ21が交流発電機である。このため、第1電力変換器22は、AC−DCコンバータとしても機能する。
【0041】
第1電力変換器22は、オルタネータ21と第1蓄電器23との間での電力伝達を可能とするサーボオン状態と、オルタネータ21と第1蓄電器23との間での電力伝達を不能とするサーボオフ状態との間で切り換えられる。第1電力変換器22は、制御装置8により、サーボオン状態とサーボオフ状態のどちらかに切り換えられる。制御装置8は、第1電力変換器22をサーボオン状態に切り換えたときには、第1電力変換器22を、オルタネータ21から第1蓄電器23へ伝達される電力を調整する充電モードと、第1蓄電器23からオルタネータ21へ伝達される電力を調整する放電モードのどちらかで制御する。
【0042】
上述したように、制御装置8は、第1および第2旋回操作比例弁55,56、ブーム回生操作比例弁75および旋回回生操作比例弁77ならびに第1電力変換器22を制御する。具体的に、制御装置8は、上述した第1および第2圧力計81,82ならびに第3および第4圧力計83,84と接続されている。第3圧力計83は、ブーム下げ時にブーム操作弁42から出力されるパイロット圧を計測し、第4圧力計84は、ブーム上げ供給ライン45の圧力を計測する。
【0043】
次に、図4および図5を参照して、制御装置8が行う制御を説明する。本実施形態では、制御装置8が、旋回減速時のエネルギよりもブーム下げ時のエネルギを優先的に回生するようにブーム回生操作比例弁75および旋回回生操作比例弁77を介して回生切換弁71を制御する。また、本実施形態では、制御装置8が、ブーム充電条件と旋回充電条件のどちらかが満たされるときは、第1電力変換器22をサーボオン状態に切り換えるとともに充電モードで制御し、ブーム充電条件と旋回充電条件のどちらも満たされないときは、第1電力変換器22をサーボオフ状態に切り換えるか、第1電力変換器22をサーボオン状態に切り換えるとともに放電モードで制御する。
【0044】
まず、制御装置8は、ブーム下げ時か否か(すなわち、第3圧力計83で計測されるパイロット圧がゼロより大きいか否か)を判定する(ステップS11)。ステップS11でYESの場合はステップS12へ進み、ステップS11でNOの場合はステップS15へ進む。
【0045】
ステップS12では、制御装置8は、第1蓄電器23の蓄電量などにより第1蓄電器23への充電が可能か否かを判定する。制御装置8は、ステップS12でYESの場合は第1充電制御オンの処理を実行し(ステップS13)、ステップS12でNOの場合は充電制御オフの処理を実行する(ステップS14)。ステップS12でYESであること、すなわち、ブーム下げ時であるとともに第1蓄電器23が充電可能な状態であることが、ブーム充電条件である。
【0046】
一方、ステップS15では、制御装置8は、旋回減速時か否か(すなわち、第1圧力計81で計測される左旋回パイロット圧PLまたは第2圧力計82で計測される右旋回パイロット圧PRが減少するか否か)を判定する。ステップS15でYESの場合はステップS16へ進み、ステップS15でNOの場合はステップS18へ進む。
【0047】
ステップS16では、制御装置8は、第1蓄電器23の蓄電量などにより第1蓄電器23への充電が可能か否かを判定する。制御装置8は、ステップS16でYESの場合は第2充電制御オンの処理を実行し(ステップS17)、ステップS16でNOの場合は充電制御オフの処理を実行する(ステップS14)。ステップS16でYESであること、すなわち、旋回減速時であるとともに第1蓄電器23が充電可能な状態であることが、旋回充電条件である。
【0048】
ブーム充電条件が満たされた場合の第1充電制御オンでは、図5(a)に示すように、制御装置8は、まず第1電力変換器22をサーボオン状態に切り換える(ステップS31)。ついで、制御装置8は、ブーム回生操作比例弁75へ所定の大きさの電流を送給して、回生切換弁71をブーム回生位置へ切り換える(ステップS32)。このときに制御装置8からブーム回生操作比例弁75へ送給される電流の大きさは、例えば、第3圧力計83で計測されるブーム下げパイロットライン44の圧力に基づいて決定される。その後、制御装置8は、第1電力変換器22を充電モードで制御する(ステップS34)。
【0049】
ステップS31、S32、S34の結果、ブーム下げ時に回生油圧モータ18で回収したエネルギを電気エネルギとして第1蓄電器23に蓄積することができる。なお、制御装置8は、第1充電制御オンの処理を実行中は、旋回操作弁52から出力されるパイロット圧(PLまたはPR)と比例する電流を旋回操作比例弁(55または56)へ送給し、第1および第2旋回操作比例弁55,56の出力を、旋回操作弁52から出力されるパイロット圧PL,PRに準じた圧力とする(ステップS35)。
【0050】
一方、ブーム下げ時でも第1蓄電器23への充電が不可の場合の充電制御オフでは、図5(c)に示すように、制御装置8は、まず第1電力変換器22をサーボオフ状態に切り換える(ステップS51)。ついで、制御装置8は、ブーム回生操作比例弁75および旋回回生操作比例弁77のどちらにも電流を送給せずに、回生切換弁71を中立位置へ切り換える(ステップS52)。充電制御オフの処理を実行中も、第1充電制御オンの処理を実行中と同様に、第1および第2旋回操作比例弁55,56の出力を、旋回操作弁52から出力されるパイロット圧に準じた圧力とする(ステップS54)。
【0051】
旋回充電条件が満たされた場合の第2充電制御オンでは、図5(b)に示すように、制御装置8は、まず第1電力変換器22をサーボオン状態に切り換える(ステップS41)。ついで、制御装置8は、旋回回生操作比例弁77へ所定の大きさの電流を送給して、回生切換弁71を旋回回生位置へ切り換える(ステップS42)。このときに制御装置8から旋回回生操作比例弁77へ送給される電流の大きさは、例えば、エンジン15の回転数に基づいて決定される。その後、制御装置8は、第1電力変換器22を充電モードで制御する(ステップS44)。
【0052】
ステップS41、S42、S44の結果、旋回減速時に回生油圧モータ18で回収したエネルギを電気エネルギとして第1蓄電器23に蓄積することができる。なお、制御装置8は、第2充電制御オンの処理を実行中は、第1および第2旋回操作比例弁55,56の出力を、旋回制御弁51で作動油が絞られない圧力とする(ステップS45)。例えば、制御装置8は、旋回制御弁51の開口面積が最大となるように、第1旋回操作比例弁55または第2旋回操作比例弁56へ電流を送給する。あるいは、制御装置8は、第2充電制御オンの処理を実行中は、旋回制御弁51の位置が変わらないように、旋回減速前の電流を維持してもよい。
【0053】
一方、旋回減速時でも第1蓄電器23への充電が不可の場合の充電制御オフでは、上述した図5(c)に示すフローに従った制御が行われる。
【0054】
ブーム下げ時でも旋回減速時でもない場合には、制御装置8は充電制御オフの処理を実行する(ステップS18)。この場合のフローも、図5(c)に示すとおりである。ただし、ブーム下げ時でも旋回減速時でもない場合には、充電制御オフの処理の実行後に、さらなる処理が行われる。
【0055】
まず、制御装置8は、第1蓄電器23の蓄電量などにより第1蓄電器23からの放電が可能か否かを判定する(ステップS19)。ステップS19でNOの場合は、制御装置8は放電制御オフの処理を実行する(ステップS22)。具体的には、制御装置8は、第1電力変換器22をサーボオフ状態に維持する。
【0056】
ステップS19でYESの場合は、制御装置8は、さらに現在の状態が負荷状態か否かを判定する(ステップS20)。負荷状態か否かは、例えば、ポンプ16の吐出圧、ポンプレギュレータ17への指令などにより判定することができる。ステップS20でNOの場合も、ステップS22に進む。一方、ステップS20でYESの場合は、制御装置8は、放電制御オンの処理を実行する(ステップS21)。具体的には、制御装置8は、第1電力変換器22をサーボオン状態に切り換えるとともに放電モードで制御する。これにより、第1蓄電器23に蓄積された電力でポンプ16の駆動をアシストすることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の油圧駆動システム1Aでは、エンジン15により駆動されるポンプ16に回生油圧モータ18が連結されているので、エンジン15に取り付けられたオルタネータ21を利用して、換言すればエンジン15から見てポンプ16側(負荷側)に電動発電機を別途設置することなく、回生油圧モータ18で回収したエネルギを電気エネルギとして第1蓄電器23に蓄積することができる。しかも、オルタネータ21と第1蓄電器23の間に第1電力変換器22が介在しているので、オルタネータ21から第1蓄電器23への電力伝達を制御することができる。
【0058】
<変形例>
前記実施形態では、ブーム下げ時および旋回減速時の充電制御オフの処理(ステップS14)では、回生切換弁71を中立位置に切り換えたが、回生切換弁71は、ブーム下げ時は常にブーム回生位置に維持され、旋回減速時は常に旋回回生位置に維持されてもよい。このようにすれば、電力を第1蓄電器23に蓄積する代わりに、回生油圧モータ18で回収したエネルギでポンプ16の駆動をアシストすることができる。
【0059】
また、回生切換弁71は、必ずしも単一の3位置弁である必要はなく、ブーム排出ライン32が接続されたブーム側2位置弁と旋回排出ライン33が接続された旋回側2位置弁の一対の2位置弁で構成されてもよい。
【0060】
また、前記実施形態では、油圧駆動システム1Aがブーム下げ時のエネルギと旋回減速時のエネルギの双方を回生することができるように構成されていたが、油圧駆動システム1Aは、ブーム下げ時のエネルギと旋回減速時のエネルギのどちらか一方のみを回生することができるように構成されていてもよい。すなわち、ブーム制御弁41と旋回制御弁51のどちらかには、排出ライン(32または33)の代わりにタンクラインが接続されていてもよい。この場合、回生切換弁71が2位置弁となることは言うまでもない。
【0061】
例えば、回生油圧モータ18に、ブーム下げ時にブームシリンダ11から排出される作動油のみが導かれる場合は、制御装置8は、ブーム充電条件が満たされるときは、第1電力変換器22をサーボオン状態に切り換えるとともに充電モードで制御し、ブーム充電条件が満たされないときは、第1電力変換器22をサーボオフ状態に切り換えるか、第1電力変換器22をサーボオン状態に切り換えるとともに放電モードで制御してもよい。
【0062】
(第2実施形態)
次に、図6および図7(a)〜(c)を参照して、本発明の第2実施形態に係る建設機械の油圧駆動システム1Bを説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0063】
本実施形態では、回生油圧モータ18が、傾転角が変更可能な可変容量型のモータ(斜板モータまたは斜軸モータ)である。回生油圧モータ18の傾転角は、回生油圧モータレギュレータ19により調整される。本実施形態では、回生油圧モータレギュレータ19は、電気信号により作動する。すなわち、回生油圧モータレギュレータ19は、制御装置8により制御される。例えば、回生油圧モータ18が斜板モータである場合、回生油圧モータレギュレータ19は、モータの斜板と連結されたスプールに作用する油圧を電気的に変更するものであってもよいし、モータの斜板と連結された電動アクチュエータであってもよい。
【0064】
本実施形態では、制御装置8が、旋回油圧モータ14の回転数を計測する回転数計85と接続されている。制御装置8は、第1実施形態と同様に、図4に示すフローチャートに従った制御を行うが、図7(a)〜(c)に示すように、第1充電制御オン(図4のステップS13)、第2充電制御オン(図4のステップS17)および充電制御オフ(図4のステップS14,S18)の処理において、回生油圧モータレギュレータ19も制御する。
【0065】
第1充電制御オンでは、ステップS32の後であってステップS34の前に、制御装置8は、回生油圧モータレギュレータ19を介して、ブーム下げ時の因子に基づいて回生油圧モータ18の傾転角を調整する(ステップS33)。例えば、制御装置8は、ブーム操作弁42の操作量が大きくなるほど回生油圧モータ18の傾転角が大きくなるように、回生油圧モータレギュレータ19を制御する。これにより、ブーム下げの速度に応じた適切なエネルギ回収を行うことができる。ブーム操作弁42の操作量としては、第3圧力計83で計測されるブーム下げパイロットライン44の圧力を用いてもよいし、第4圧力計84で計測されるブーム上げ供給ライン45の圧力を用いてもよい。
【0066】
第2充電制御オンでは、ステップS42の後であってステップS44の前に、制御装置8は、回生油圧モータレギュレータ19を介して、旋回減速時の因子に基づいて回生油圧モータ18の傾転角を調整する(ステップS43)。例えば、制御装置8は、回転数計85で計測される旋回油圧モータ14の回転数が高くなるほど回生油圧モータ18の傾転角が大きくなるように、回生油圧モータレギュレータ19を制御する。これにより、旋回速度に応じた適切なエネルギ回収を行うことができる。なお、本実施形態のように回転数計85が設けられる場合は、ステップS42において制御装置8から旋回回生操作比例弁77へ送給される電流の大きさは、回転数計85で計測される旋回油圧モータ14の回転数に基づいて決定されてもよい。
【0067】
充電制御オフでは、ステップS52の後であってステップS54の前に、制御装置8は、回生油圧モータ18の傾転角が最小となるように回生油圧モータレギュレータ19を制御する(ステップS53)。
【0068】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(第3実施形態)
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態に係る建設機械の油圧駆動システム1Cを説明する。なお、本実施形態において、第1および第2実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0070】
本実施形態では、ブーム制御弁41がブーム排出ライン37により回生油圧モータ18と接続されており、ブーム制御弁41にはタンクライン36が接続されている。そして、ブーム制御弁41は、ブーム上げ時にはブームシリンダ11から排出される作動油が当該ブーム制御弁41からタンクライン36へ流入し、ブーム下げ時にはブームシリンダ11から排出される作動油が当該ブーム制御弁41から排出ライン37へ流入するように構成されている。この構成により、ブームシリンダ11から排出される作動油をブーム下げ時に自動的に回生油圧モータ18へ導くことができる。
【0071】
より詳しくは、ブーム制御弁41がブーム上げ方向に移動すると、供給ライン31がブーム上げ供給ライン45と連通するとともに、ブーム下げ供給ライン46がタンクライン36と連通する。逆に、ブーム制御弁41がブーム下げ方向に移動すると、供給ライン31がブーム下げ供給ライン46と連通するとともに、ブーム上げ供給ライン45がブーム排出ライン37と連通する。
【0072】
また、本実施形態では、旋回制御弁51が、旋回排出ライン33により回生切換弁78と接続されている。回生切換弁78は、回生ライン38によりブーム排出ライン37と接続されており、回生切換弁78には、タンクライン35が接続されている。
【0073】
回生切換弁78は、旋回排出ライン33がタンクライン35と連通する非回生位置と、旋回排出ライン33が回生ライン38と連通する回生位置との間で切り換えられる。本実施形態では、回生切換弁78が、制御装置8により駆動される電磁式の開閉弁である。本実施形態でも、旋回減速時のエネルギよりもブーム下げ時のエネルギが優先的に回生される。すなわち、制御装置8は、旋回減速時であってもブーム下げ時でもあるときは回生切換弁78を非回生位置に維持し、旋回減速時であってブーム下げ時でないときに回生切換弁78を回生位置に切り換える。なお、回生切換弁78の制御以外は、制御装置8は、第1実施形態と同様に、図4および図5(a)〜(c)に示すフローチャートに従った制御を行う。
【0074】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
なお、図9に示す変形例の油圧駆動システム1Dのように、回生油圧モータ18が第2実施形態と同様に可変容量型のモータであってもよいこと、および旋回油圧モータ14の回転数を計測する回転数計85が設けられてもよいことは言うまでもない。
【0076】
(第4実施形態)
次に、図10を参照して、本発明の第4実施形態に係る建設機械の油圧駆動システム1Eを説明する。なお、本実施形態において、第1〜第3実施形態と同一構成要素には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0077】
本実施形態では、旋回制御弁51のパイロットポートが、左旋回パイロットライン53および右旋回パイロットライン54により旋回操作弁52と接続されている。すなわち、旋回制御弁51は、常に、旋回操作弁52の操作レバーの操作量(角度)に応じて移動する。
【0078】
また、本実施形態では、左旋回供給ライン61と右旋回供給ライン62の間に、旋回供給ライン61,62のどちらかを選択するための切換弁91が設けられている。切換弁91は、旋回排出ライン92により回生切換弁78と接続されている。
【0079】
本実施形態では、切換弁91が、制御装置8により駆動される電磁式の開閉弁であるが、単なる高圧選択弁であってもよい。制御装置8は、切換弁91を、左旋回減速時に排出側の右旋回供給ライン62が排出ライン92と連通する第1位置に切り換え、右旋回減速時に排出側の左旋回供給ライン61が排出ライン92と連通する第2位置に切り換える。旋回減速時以外は、切換弁91は第1位置と第2位置のどちらに位置していてもよい。
【0080】
回生切換弁78は、第実施形態では3ポートであったが、本実施形態では2ポートである。すなわち、回生切換弁78にはタンクライン35(図参照)が接続されていない。そして、回生切換弁78は、非回生位置では旋回排出ライン92と回生ライン38とを遮断し、回生位置では旋回排出ライン92を回生ライン38と連通させる。
【0081】
第3実施形態と同様に、制御装置8は、旋回減速時であってもブーム下げ時でもあるときは回生切換弁78を非回生位置に維持し、旋回減速時であってブーム下げ時でないときに回生切換弁78を回生位置に切り換える。なお、切換弁91および回生切換弁78の制御ならびに旋回操作比例弁の制御がないこと以外は、制御装置8は、第1実施形態と同様に、図4および図5(a)〜(c)に示すフローチャートに従った制御を行う。
【0082】
本実施形態でも、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、旋回操作弁52と旋回制御弁51の間のパイロット回路を通常のシンプルな構成とすることができる。
【0083】
なお、図11に示す変形例の油圧駆動システム1Fのように、回生油圧モータ18が第2実施形態と同様に可変容量型のモータであってもよいこと、および旋回油圧モータ14の回転数を計測する回転数計85が設けられてもよいことは言うまでもない。
【0084】
(その他の実施形態)
本発明は上述した第1〜第4実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0085】
例えば、第1〜第4実施形態において、回生油圧モータ18とポンプ16の間にワンウェイクラッチが設けられていてもよい。
【0086】
また、第2蓄電器25および第2電力変換器24は、設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1A〜1C 油圧駆動システム
8 制御装置
10 建設機械
11 ブームシリンダ
14 旋回油圧モータ
15 エンジン
16 ポンプ
18 回生油圧モータ
19 回生油圧モータレギュレータ
21 オルタネータ
22 第1電力変換器
23 第1蓄電器
32,37 ブーム排出ライン
35,36 タンクライン
41 ブーム制御弁
51 旋回制御弁
55,56 旋回操作比例弁
71 回生切換弁
75 ブーム回生操作比例弁
77 旋回回生操作比例弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11