(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る出力回路の構成の一例を示す図である。
図1に示す出力回路は、入力信号Sinを増幅して出力ラインOUTに出力する増幅回路10と、増幅回路10の出力電圧Voutを所定の範囲に制限するための制御を行うリミッタ制御回路20を有する。
【0020】
図1の例において、増幅回路10は、PMOS型の第1出力トランジスタM11と、NMOS型の第2出力トランジスタM12と、この第1出力トランジスタM11及び第2出力トランジスタM12を入力信号Sinに応じて相補的に動作させる相補駆動回路11を有する。
【0021】
第1出力トランジスタM11は、電源電圧Vddが供給される電源ライン(以下、「電源ラインVdd」と記す。)と出力ラインOUTとの間の電流経路に設けられる。第1出力トランジスタM11のソースが電源ラインVddに接続され、そのドレインが出力ラインOUTに接続される。
【0022】
第2出力トランジスタM12は、接地電位の電源ライン(以下、「接地ラインGND」と記す。)と出力ラインOUTとの間の電流経路に設けられる。第2出力トランジスタM12のソースが接地ラインGNDに接続され、そのドレインが出力ラインOUTに接続される。
【0023】
相補駆動回路11は、第1出力トランジスタM11及び第2出力トランジスタM12によって構成される出力段がプッシュプル回路として動作するように、それぞれのゲートを入力信号Sinに応じて駆動する。
図1の例において、相補駆動回路11は、PMOS型のトランジスタM14,M15とNMOS型のトランジスタM16,M17を有する。トランジスタM14のソースが電源ラインVddに接続され、そのドレインが第1出力トランジスタM11のゲートに接続される。トランジスタM14のゲートには一定のバイアス電圧Vbが印加される。トランジスタM15のソースが第1出力トランジスタM11のゲートに接続され、そのソースとドレインがトランジスタM16のゲートとドレインに接続される。トランジスタM16のソースは、第2出力トランジスタM12のゲートに接続される。トランジスタM17のドレインが第2出力トランジスタM12のゲートに接続され、そのソースが接地ラインGNDに接続される。トランジスタM17のゲートには入力信号Sinが入力される。
【0024】
リミッタ制御回路20は、出力ラインOUTに生じる出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1から第2リミット電圧VL2までの範囲(VL2<Vout<VL1)に制限されるように、増幅回路10の出力段の第1出力トランジスタM11及び第2出力トランジスタM12を制御する。
【0025】
リミッタ制御回路20は、出力電圧Voutの上限値を第1リミット電圧VL1に制限する第1制御回路21と、出力電圧Voutの下限値を第2リミット電圧VL2に制限する第2制御回路22を有する。第1制御回路21は、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より上昇した場合、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1へ近づくように第1出力トランジスタM11を制御する。また、第2制御回路22は、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低下した場合、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2へ近づくように第2出力トランジスタM12を制御する。
【0026】
図1の例において、第1制御回路21は、PMOS型の第1帰還制御トランジスタM31と第1差動増幅回路OP1を有する。
【0027】
第1差動増幅回路OP1は、出力電圧Voutと第1リミット電圧VL1との差を増幅する回路であり、例えばオペアンプを用いて構成される。第1差動増幅回路OP1の反転入力端子に出力電圧Voutが入力され、その非反転入力端子には第1リミット電圧VL1が入力される。
【0028】
第1帰還制御トランジスタM31は、第1出力トランジスタM11のゲートと出力ラインOUTとの間に設けられており、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より上昇した場合、出力ラインOUTから第1出力トランジスタM11のゲートへの帰還信号を第1差動増幅回路OP1の出力信号に応じて制御する。第1帰還制御トランジスタM31のドレインが第1出力トランジスタM11のゲートに接続され、そのソースが出力ラインOUTに接続され、そのゲートが第1差動増幅回路OP1の出力に接続される。
【0029】
また
図1の例において、第2制御回路22は、NMOS型の第2帰還制御トランジスタM32と第2差動増幅回路OP2を有する。
【0030】
第2差動増幅回路OP2は、出力電圧Voutと第2リミット電圧VL2との差を増幅する回路であり、例えばオペアンプを用いて構成される。第2差動増幅回路OP2の反転入力に出力電圧Voutが入力され、その非反転入力端子には第2リミット電圧VL2が入力される。
【0031】
第2帰還制御トランジスタM32は、第2出力トランジスタM12のゲートと出力ラインOUTとの間に設けられており、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低下した場合、出力ラインOUTから第2出力トランジスタM12のゲートへの帰還信号を第2差動増幅回路OP2の出力信号に応じて制御する。第2帰還制御トランジスタM32のドレインが第2出力トランジスタM12のゲートに接続され、そのソースが出力ラインOUTに接続され、そのゲートが第2差動増幅回路OP2の出力に接続される。
【0032】
ここで、上述した構成を有する本実施形態に係る出力回路の動作を説明する。
【0033】
まず、増幅回路10の出力段のプッシュルプル動作について説明する。
トランジスタM14は、ゲートに入力されるバイアス電圧Vbに応じたほぼ一定の電流が流れる定電流源として動作する。トランジスタM15及びM16のゲート−ソース電圧は、トランジスタM14の一定の電流によってほぼ一定となる。すなわち、第1出力トランジスタM11のゲートと第2出力トランジスタM12のゲートとの電圧差はほぼ一定となる。そのため、トランジスタM17のドレイン電圧が入力信号Sinに応じて変化すると、第1出力トランジスタM11及び第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg1,Vg2が共に変化する。
入力信号Sinの電圧が上昇すると、トランジスタM17のドレイン電圧が低下する。これにより、第1出力トランジスタM11のゲート電圧Vg1が低下して第1出力トランジスタM11のドレイン電流が増大するとともに、第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg2が低下して第2出力トランジスタM12のドレイン電流が減少し、出力電圧Voutが上昇する。
入力信号Sinの電圧が低下した場合は、上記と逆の動作により、第1出力トランジスタM11のドレイン電流が減少するとともに第2出力トランジスタM12のドレイン電流が増大し、出力電圧Voutが低下する。従って、第1出力トランジスタM11と第2出力トランジスタM12は、入力信号Sinに応じて相補的に動作する。
【0034】
次に、出力電圧Voutのリミット動作について説明する。
出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より低い場合、第1差動増幅回路OP1の出力電圧はハイレベル(Vdd)となり、第1帰還制御トランジスタM31はオフ状態となる。この場合、第1制御回路21による出力電圧Voutのリミット動作は働かない。
【0035】
出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より高くなると、第1差動増幅回路OP1の出力電圧が低下し、第1帰還制御トランジスタM31がオフ状態から導通状態へ変化する。電圧差「Vout−VL1」が大きくなるほど、第1帰還制御トランジスタM31のインピーダンスが小さくなる。
【0036】
ここで、第1リミット電圧VL1は第1出力トランジスタM11のゲートの電圧Vg1より高いものとする。すなわち、第1出力トランジスタM11のゲート−ソース間のしきい電圧Vth1に対して「VL1>Vdd−|Vth1|」の関係を満たしているものとする。そうすると、第1帰還制御トランジスタM31のインピーダンスが小さくなるほど第1出力トランジスタM11のゲート電圧Vg1が上昇するため、第1出力トランジスタM11のドレイン電流が減少して、出力電圧Voutの上昇が抑制される。そのため、出力電圧Voutは、第1リミット電圧VL1より高くなると急激に上昇が抑制され、ほぼ第1リミット電圧VL1に固定される。
【0037】
他方、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より高い場合、第2差動増幅回路OP2の出力電圧はローレベル(GND)となり、第2帰還制御トランジスタM32はオフ状態となる。この場合、第2制御回路22による出力電圧Voutのリミット動作は働かない。
【0038】
出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低くなると、第2差動増幅回路OP2の出力電圧が上昇し、第2帰還制御トランジスタM32がオフ状態から導通状態へ変化する。電圧差「VL2−Vout」が大きくなるほど、第2帰還制御トランジスタM32のインピーダンスが小さくなる。
【0039】
ここで、第2リミット電圧VL2は第2出力トランジスタM12のゲートの電圧Vg2より低いものとする。すなわち、第2出力トランジスタM12のゲート−ソース間のしきい電圧Vth2に対して「Vth2>VL2」の関係を満たしているものとする。そうすると、第2帰還制御トランジスタM32のインピーダンスが小さくなるほど第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg2が低下するため、第2出力トランジスタM12のドレイン電流が減少して、出力電圧Voutの低下が抑制される。そのため、出力電圧Voutは、第2リミット電圧VL1より低くなると急激に低下が抑制され、ほぼ第2リミット電圧VL2に固定される。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る出力回路によれば、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より上昇した場合、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1へ近づくように第1出力トランジスタM11が制御され、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低下した場合、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2へ近づくように第2出力トランジスタM12が制御される。
これにより、従来の電圧リミッタ回路のようにリミッタ動作時の出力電流を増大させることなく出力電圧Voutの範囲を制限できるため、消費電力の増大を抑えることができる。
また、出力電圧Voutが所定の範囲から逸脱した場合、制御回路(21,22)によって出力電圧Voutが所定のリミット電圧(VL1,VL2)へ近づくように出力段のトランジスタ(M11,M12)が負帰還制御されるため、出力電圧Voutの範囲を精度良く制限することができる。
【0041】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図2は、第2の実施形態に係る出力回路の構成の一例を示す図である。
図2に示す出力回路は、
図1に示す出力回路におけるリミッタ制御回路20をリミッタ制御回路20Aに置き換えたものであり、他の構成は
図1に示す出力回路と同じである。
【0042】
リミッタ制御回路20Aは、出力段のトランジスタ(M1,M2)の制御を行う第1制御回路21Aと第2制御回路22Aを有する。
【0043】
第1制御回路21Aは、
図1における第1制御回路21と同様の構成(第1帰還制御トランジスタM31、第1差動増幅回路OP1)に加えて、第1分圧回路23を有する。
第1分圧回路23は、所定の電圧と出力電圧Voutとの間の分圧電圧(第1分圧電圧Vo1)を発生する回路である。ここで「所定の電圧」は、出力電圧Voutと第1リミット電圧VL1とが等しい場合に、第1分圧電圧Vo1が出力電圧Voutに比べて電源電圧Vddとグランドの電圧(ゼロ電圧)との中間値(Vdd/2)に近くなるように設定される。
図1の例において、「所定の電圧」は、第1リミット電圧VL1より低い電圧であるグランドの電圧(ゼロ電圧)に設定されている。すなわち、第1分圧回路23は、出力ラインOUTと接地ラインGNDとの間に直列接続された抵抗R1及びR2によって構成されている。
【0044】
また、第1制御回路21Aにおいて、第1差動増幅回路OP1は、第1しきい電圧TH1と第1分圧電圧Vo1との差を増幅し、その出力を第1帰還制御トランジスタM31のゲートに入力している。第1しきい電圧TH1は、第1分圧回路23の分圧比と第1リミット電圧VL1とに基づいて設定される電圧であり、次の式で表わされる。
【0045】
[数1]
TH1=(R1/(R1+R2))×VL1 …(1)
【0046】
第1分圧電圧Vo1が第1しきい電圧TH1と等しくなったとき、出力電圧Voutは第1リミット電圧VL1と等しくなる。
【0047】
第2制御回路22Aは、
図1における第2制御回路22と同様の構成(第2帰還制御トランジスタM32、第2差動増幅回路OP2)に加えて、第2分圧回路24を有する。
第2分圧回路24は、所定の電圧と出力電圧Voutとの間の分圧電圧(第2分圧電圧Vo2)を発生する回路である。ここで「所定の電圧」は、出力電圧Voutと第2リミット電圧VL2とが等しい場合に、第2分圧電圧Vo2が出力電圧Voutに比べて電源電圧Vddとグランドの電圧(ゼロ電圧)との中間値(Vdd/2)に近くなるように設定される。
図1の例において、「所定の電圧」は、第2リミット電圧VL2より高い電圧である電源電圧Vddに設定されている。すなわち、第2分圧回路24は、出力ラインOUTと電源ラインVddとの間に直列接続された抵抗R3及びR4によって構成されている。
【0048】
また、第2制御回路22Aおいて、第2差動増幅回路OP2は、第2しきい電圧TH2と第2分圧電圧Vo2との差を増幅し、その出力を第2帰還制御トランジスタM32のゲートに入力している。第2しきい電圧TH2は、第2分圧回路24の分圧比と第2リミット電圧VL2とに基づいて設定される電圧であり、次の式で表わされる。
【0049】
[数2]
TH2=(R3×Vdd+R4×VL1)/(R3+R4) …(2)
【0050】
第2分圧電圧Vo2が第2しきい電圧TH2と等しくなったとき、出力電圧Voutは第2リミット電圧VL2と等しくなる。
【0051】
上述した構成を有する
図2に示す出力回路におけるリミット動作は、
図1に示す出力回路とほぼ同様である。すなわち、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より高くなった場合、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1へ近づくように第1出力トランジスタM11が制御され、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低くなった場合、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2へ近づくように第2出力トランジスタM12が制御される。
【0052】
図1と
図2に示す出力回路の相違点は、差動増幅回路(OP1)に分圧電圧(Vo1,Vo2)が入力される点にある。分圧電圧(Vo1,Vo2)は、出力電圧Voutがリミット電圧(VL1,VL2)に達したとき、リミット電圧(VL1,VL2)に比べて電源電圧Vddの中間値(Vdd/2)に近い電圧となる。
【0053】
第1リミット電圧VL1は「Vdd>VL1>Vdd−|Vth1|」の範囲に含まれる電圧であり、電源電圧Vddにかなり近い電圧である。また、第2リミット電圧VL2は「Vth2>VL2>0」の範囲に含まれる電圧であり、グランドの電圧にかなり近い電圧である。
図1に示す出力回路では、このように電源電圧範囲の上限(Vdd)や下限(ゼロ電圧)に近い電圧を差動増幅回路(OP1,OP2)において増幅する必要があるため、差動増幅回路(OP1,OP2)の回路構成が複雑になるという問題がある。これに対し、
図2に示す出力回路では、電源電圧Vddの中間値(Vdd/2)に近い電圧を差動増幅回路(OP1,OP2)において増幅すればよいため、簡易な回路構成で差動増幅を行うことができる。
【0054】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図3は、第3の実施形態に係る出力回路の構成の一例を示す図である。
図3に示す出力回路は、
図2に示す出力回路における増幅回路10を増幅回路10Aに置き換えたものであり、他の構成は
図2に示す出力回路と同じである。
【0055】
増幅回路10Aは、既に説明した増幅回路10と同様な第1出力トランジスタM11及び第2出力トランジスタM12を有するとともに、第1出力トランジスタM11を定電流源として動作させるバイアス回路12を有する。第2出力トランジスタM12は、ゲートに入力される入力信号Sinを増幅してドレイン(出力ラインOUT)から出力するソース接地型の増幅回路として動作する。
図3の例において、バイアス回路12は、PMOS型のトランジスタM18と定電流源121を有する。トランジスタM18のソースが電源ラインVddに接続され、そのドレインとゲートが第1出力トランジスタM11のゲートに接続される。また、トランジスタM18のドレインと接地ラインGNDの間に定電流源121が設けられ、トランジスタM18のゲート−ソース電圧は定電流源121の電流に応じた一定の電圧となる。トランジスタM18と第1出力トランジスタM11はカレントミラー回路を構成しており、第1出力トランジスタM11のドレインには定電流源121に流れる電流に応じた一定の電流が流れる。
【0056】
図3に示す出力回路では、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より高くなった場合、第1帰還制御トランジスタM31が導通して第1出力トランジスタM11のゲート電圧が上昇することにより、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1へ近づく方向に変化する。また、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低くなった場合は、第2帰還制御トランジスタM32が導通して第2出力トランジスタM12のゲート電圧が低下することにより、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2へ近づく方向に変化する。従って、既に述べた出力回路と同様に、消費電流の増大を抑制しつつ、出力電圧Voutの範囲を負帰還動作で精度よく制限することができる。
【0057】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図4は、第4の実施形態に係る出力回路の構成の一例を示す図である。
図4に示す出力回路は、
図2に示す出力回路における増幅回路10を増幅回路10Bに置き換えたものであり、他の構成は
図2に示す出力回路と同じである。
【0058】
増幅回路10Bは、ソースフォロワとして動作するNMOS型の第1出力トランジスタM13と、入力信号Sinを増幅して第1出力トランジスタM13のゲートに入力する増幅段13と、NMOS型の第2出力トランジスタM12と、第2出力トランジスタM12を定電流源として動作させるバイアス回路14とを有する。
【0059】
第1出力トランジスタM13は、そのドレインが電源ラインVddに接続され、そのソースが出力ラインOUTに接続される。また、第2出力トランジスタM12は、そのドレインが出力ラインOUTに接続され、そのソースが接地ラインGNDに接続される。
【0060】
増幅段13は、例えば
図4に示すように、ソース接地型の増幅回路として動作するNMOS型のトランジスタM19と、トランジスタM19のドレインと電源ラインVddの間に負荷として接続された定電流源131を有する。トランジスタM19のゲートに入力信号Sinが入力され、そのドレインが第1出力トランジスタM13のゲートに接続される。
【0061】
バイアス回路14は、NMOS型のトランジスタM20と定電流源141を有する。トランジスタM19のソースが接地ラインGNDに接続され、そのドレインとゲートが第2出力トランジスタM12のゲートに接続される。トランジスタM20のドレインと電源ラインVddの間に定電流源121が設けられ、トランジスタM20のゲート−ソース電圧は定電流源141の電流に応じた一定の電圧となる。トランジスタM20と第2出力トランジスタM12はカレントミラー回路を構成しており、第2出力トランジスタM12のドレインには定電流源141に流れる電流に応じた一定の電流が流れる。
【0062】
第1制御回路21Aの第1帰還制御トランジスタM31は、増幅段13のトランジスタM19のゲートと出力ラインOUTの間に接続される。第2制御回路22Aの第2帰還制御トランジスタM32は、第2出力トランジスタM12のゲートと出力ラインOUTの間に接続される。
【0063】
図4に示す出力回路では、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より高くなった場合、第1帰還制御トランジスタM31が導通してトランジスタM19のゲート電圧が上昇し、トランジスタM19のドレイン電圧(第1出力トランジスタM13のゲート電圧)が低下することにより、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1へ近づく方向に変化する。また、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低くなった場合は、第2帰還制御トランジスタM32が導通して第2出力トランジスタM12のゲート電圧が低下することにより、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2へ近づく方向に変化する。従って、既に述べた出力回路と同様に、消費電流の増大を抑制しつつ出力電圧Voutの範囲を精度よく制限することができる。
【0064】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図5は、第5の実施形態に係る出力回路の構成の一例を示す図である。
図5に示す出力回路は、
図2に示す出力回路における増幅回路10を増幅回路10Cに置き換えたものであり、他の構成は
図2に示す出力回路と同じである。
【0065】
増幅回路10Cは、これまで説明した増幅回路10,10A,10Bと異なり、バイポーラトランジスタで構成される。増幅回路10Cは、出力段を構成するトランジスタとして、NPN型の第1出力トランジスタQ11と、PNP型の第2出力トランジスタQ12を有する。第1出力トランジスタQ11は電源ラインVddと出力ラインOUTの間の電流経路に設けられ、第2出力トランジスタQ12は出力ラインOUTと接地ラインGNDとの間の電流経路に設けられる。具体的には、第1出力トランジスタQ11のコレクタが電源ラインVddに接続され、そのソースが出力ラインOUTに接続される。第2出力トランジスタQ12のソースが出力ラインOUTに接続され、そのコレクタが接地ラインGNDに接続される。第1出力トランジスタQ11及び第2出力トランジスタQ12は、それぞれエミッタフォロワとして動作する。
【0066】
また、増幅回路10Cは、出力段の第1出力トランジスタQ11及び第2出力トランジスタQ12を入力信号Sinに応じて相補的に動作させる相補駆動回路15を有する。
図5の例において、相補駆動回路15は、PNP型のトランジスタQ13,Q14と、NPN型のトランジスタQ15と、ダイオードD1,D2を有する。トランジスタQ13のソースが電源ラインVddに接続され、そのコレクタが第1出力トランジスタQ11のベースに接続される。トランジスタQ13のベースには一定のバイアス電圧Vb2が印加される。ダイオードD1及びD2は、第1出力トランジスタQ11のベースと第2出力トランジスタQ12のベースとの間に直列に接続される。トランジスタQ14のコレクタは第2出力トランジスタQ12のベースに接続され、そのエミッタは接地ラインGNDに接続される。トランジスタQ15のコレクタはトランジスタQ14のベースに接続され、そのエミッタは接地ラインGNDに接続される。トランジスタQ15のベースに入力信号Sinが入力される。
【0067】
トランジスタQ13は、ベースに入力されるバイアス電圧Vb2に応じたほぼ一定の電流が流れる定電流源として動作する。第1出力トランジスタQ11のベースと第2出力トランジスタQ12のベースとの電圧差は、直列接続されたダイオードD1及びD2の順方向電圧によってほぼ一定となる。そのため、入力信号Sinに応じてトランジスタQ15のコレクタ電流(トランジスタQ14のベース電流)が変化すると、これに応じてトランジスタQ14のコレクタ電圧が変化し、第1出力トランジスタQ11及び第2出力トランジスタQ12のベース電圧が共に変化する。
入力信号Sinの電圧が上昇した場合、トランジスタQ14のベース電流が増大することによりトランジスタQ14のコレクタ電圧が低下し、第1出力トランジスタQ11及び第2出力トランジスタQ12のベース電圧が低下し、出力電圧Voutが低下する。入力信号Sinの電圧が低下した場合は、上記と逆の動作により第1出力トランジスタQ11及び第2出力トランジスタQ12のベース電圧が上昇し、出力電圧Voutが上昇する。従って、第1出力トランジスタQ11と第2出力トランジスタQ12は、入力信号Sinに応じて相補的に動作する。
【0068】
図5に示す出力回路では、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より高くなった場合、第1帰還制御トランジスタM31が導通してトランジスタQ13のベース電圧が上昇し、トランジスタQ13のコレクタ電圧が低下し、第1出力トランジスタQ11のベース電圧が低下することにより、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1へ近づく方向へ変化する。
また、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低くなった場合は、第2帰還制御トランジスタM32が導通してトランジスタQ15のベース電圧が低下し、トランジスタQ15のコレクタ電流(トランジスタQ14のベース電流)が減少し、トランジスタQ14のエミッタ電圧が上昇し、第1出力トランジスタQ13及び第2出力トランジスタQ12のベース電圧が上昇することにより、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2へ近づく方向へ変化する。従って、既に述べた出力回路と同様に、消費電流の増大を抑制しつつ、出力電圧Voutの範囲を負帰還動作で精度よく制限することができる。
【0069】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図6は、第6の実施形態に係る出力回路の構成の一例を示す図である。
図6に示す出力回路は、
図1に示す出力回路におけるリミッタ制御回路20をリミッタ制御回路20Bに置き換えたものであり、他の構成は
図1に示す出力回路と同じである。
【0070】
リミッタ制御回路20Bは、出力段のトランジスタ(M1,M2)の制御を行う第1制御回路21Bと第2制御回路22Bを有する。
【0071】
第1制御回路21Bは、
図2における第1制御回路21Aと同様の構成(第1帰還制御トランジスタM31,第1差動増幅回路OP1,第1分圧回路23)に加えて、PMOS型の第3帰還制御トランジスタM33を有する。第3帰還制御トランジスタM33は、第2出力トランジスタM12のゲートと電源ラインVddとの間に設けられており、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より上昇した場合、第1差動増幅回路OP1の出力信号に応じて第2出力トランジスタM12のゲートの電圧を制御する。第3帰還制御トランジスタM33のソースは電源ラインVddに接続され、そのドレインは第2出力トランジスタM12のゲートに接続され、そのゲートには第1差動増幅回路OP1の出力信号が入力される。
【0072】
第2制御回路22Bは、
図2における第1制御回路22Aと同様の構成(第2帰還制御トランジスタM32,第2差動増幅回路OP2,第2分圧回路24)に加えて、NMOS型の第4帰還制御トランジスタM34を有する。第4帰還制御トランジスタM34は、第1出力トランジスタM11のゲートと接地ラインGNDとの間に設けられており、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低下した場合、第2差動増幅回路OP2の出力信号に応じて第1出力トランジスタM11のゲートの電圧を制御する。第4帰還制御トランジスタM34のソースは接地ラインGNDに接続され、そのドレインは第1出力トランジスタM11のゲートに接続され、そのゲートには第2差動増幅回路OP2の出力信号が入力される。
【0073】
上述した構成を有する第1制御回路21B,第2制御回路22Bでは、次のように出力電圧Voutのリミット動作が行われる。
【0074】
出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より低い場合、第1差動増幅回路OP1の出力電圧はハイレベル(Vdd)となり、第1帰還制御トランジスタM31及び第3帰還制御トランジスタM33は共にオフ状態となるため、第1制御回路21による出力電圧Voutのリミット動作は働かない。
【0075】
出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より高くなると、第1差動増幅回路OP1の出力電圧が低下し、第1帰還制御トランジスタM31及び第3帰還制御トランジスタM33がオフ状態から導通状態へ変化する。電圧差「Vout−VL1」が大きくなるほど、第1帰還制御トランジスタM31及び第3帰還制御トランジスタM33のインピーダンスが小さくなる。ここで、第1帰還制御トランジスタM31のインピーダンスが小さくなることにより第1出力トランジスタM11のゲート電圧Vg1が上昇する点は、既に説明したリミッタ制御回路20,20Aと同じである。リミッタ制御回路20Bでは、この動作に加えて、第3帰還制御トランジスタM33のインピーダンスが小さくなることにより第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg2が上昇する。ゲート電圧Vg2が上昇すると、第2出力トランジスタM12のドレイン電流が増える(インピーダンスが小さくなる)ため、出力電圧Voutの低下方向への変化が付勢される。
【0076】
ゲート電圧Vg1は電源電圧Vddに比較的近い電圧(Vdd−|Vth1|)であるため、第1帰還制御トランジスタM31を通じて出力電圧Voutを与えるだけでは十分にゲート電圧Vg1を上昇させることができず、出力電圧Voutを第1リミット電圧VL1まで低下させることが難しい場合がある。第2制御回路22Bでは、電源ラインVddに接続された第3帰還制御トランジスタM33が導通することによって第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg2が上昇し、第2出力トランジスタM12のドレイン電流が増大し、出力電圧Voutの低下方向への変化が助長される。そのため、第1出力トランジスタM11のゲート電圧Vg1が電源電圧Vddに近い場合でも、出力電圧Voutの上限値を精度よく第1リミット電圧VL1に制御することができる。
【0077】
一方、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より高い場合、第2差動増幅回路OP2の出力電圧はローレベル(GND)となり、第2帰還制御トランジスタM32及び第4帰還制御トランジスタM34は共にオフ状態となるため、第2制御回路22による出力電圧Voutのリミット動作は働かない。
【0078】
出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低くなると、第2差動増幅回路OP2の出力電圧が低下し、第2帰還制御トランジスタM32及び第4帰還制御トランジスタM34がオフ状態から導通状態へ変化する。電圧差「VL2−Vout」が大きくなるほど、第2帰還制御トランジスタM32及び第4帰還制御トランジスタM34のインピーダンスが小さくなる。ここで、第2帰還制御トランジスタM32のインピーダンスが小さくなることにより第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg2が低下する点は、既に説明したリミッタ制御回路20,20Aと同じである。リミッタ制御回路20Bでは、この動作に加えて、第4帰還制御トランジスタM34のインピーダンスが小さくなることにより第1出力トランジスタM11のゲート電圧Vg1が低下する。ゲート電圧Vg1が低下すると、第1出力トランジスタM11のドレイン電流が増える(インピーダンスが小さくなる)ため、出力電圧Voutの上昇方向への変化が付勢される。
【0079】
ゲート電圧Vg2はグランドの電圧(ゼロ電圧)に比較的近い電圧(Vth2)であるため、第3帰還制御トランジスタM33を通じて出力電圧Voutを与えるだけでは十分にゲート電圧Vg2を低下させることができず、出力電圧Voutを第2リミット電圧VL2まで上昇させることが難しい場合がある。第2制御回路22Bでは、接地ラインGNDに接続された第4帰還制御トランジスタM34が導通することによって第1出力トランジスタM11のゲート電圧Vg1が低下し、第1出力トランジスタM11のドレイン電流が増大し、出力電圧Voutの上昇方向への変化が助長される。そのため、第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg2が電源電圧Vddに近い場合でも、出力電圧Voutの下限値を精度よく第2リミット電圧VL2に制御することができる。
【0080】
このように、本実施形態に係る出力回路によれば、出力電圧Voutのリミット動作を行う場合に、出力段を構成する出力トランジスタ(M11,M22)をそれぞれ帰還制御することにより、更に精度よく出力電圧Voutの範囲を制限することができる。
【0081】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
図7は、第7の実施形態に係る出力回路の構成の一例を示す図である。
図7に示す出力回路は、
図1に示す出力回路におけるリミッタ制御回路20をリミッタ制御回路20Cに置き換えたものであり、他の構成は
図1に示す出力回路と同じである。
【0082】
リミッタ制御回路20Cは、出力段のトランジスタ(M1,M2)の制御を行う第1制御回路21Cと第2制御回路22Cを有する。
【0083】
第1制御回路21Cは、PMOS型の帰還制御トランジスタM35と第1差動増幅回路OP1を有する。
第1差動増幅回路OP1は、既に説明した第1制御回路21に含まれる同一符号の構成要素と同じである。
帰還制御トランジスタM35は、第1出力トランジスタM11のゲートと電源ラインVddとの間に設けられており、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より上昇した場合、第1出力トランジスタM11のゲート電圧Vg1を第1差動増幅回路OP1の出力信号に応じて制御する。帰還制御トランジスタM35のドレインが第1出力トランジスタM11のゲートに接続され、そのソースが電源ラインVddに接続され、そのゲートが第1差動増幅回路OP1の出力に接続される。
【0084】
第2制御回路22Cは、NMOS型の帰還制御トランジスタM36と第2差動増幅回路OP2を有する。
第2差動増幅回路OP2は、既に説明した第2制御回路22に含まれる同一符号の構成要素と同じである。
帰還制御トランジスタM36は、第2出力トランジスタM12のゲートと接地ラインGNDとの間に設けられており、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低下した場合、第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg2を第2差動増幅回路OP2の出力信号に応じて制御する。帰還制御トランジスタM36のドレインが第2出力トランジスタM12のゲートに接続され、そのソースが接地ラインGNDに接続され、そのゲートが第2差動増幅回路OP2の出力に接続される。
【0085】
出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より低い場合、第1差動増幅回路OP1の出力電圧はハイレベル(Vdd)となり、帰還制御トランジスタM35はオフ状態となる。この場合、第1制御回路21Cによる出力電圧Voutのリミット動作は働かない。
【0086】
出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より高くなると、第1差動増幅回路OP1の出力電圧が低下し、帰還制御トランジスタM35がオフ状態から導通状態へ変化する。電圧差「Vout−VL1」が大きくなるほど、帰還制御トランジスタM35のインピーダンスが小さくなり、第1出力トランジスタM11のゲート電圧Vg1が電源電圧Vddに向かって上昇する。ゲート電圧Vg1が上昇すると、第1出力トランジスタM11のドレイン電流が減少して、出力電圧Voutの上昇が抑制される。そのため、出力電圧Voutは、第1リミット電圧VL1より高くなると急激に上昇が抑制され、ほぼ第1リミット電圧VL1に固定される。
【0087】
他方、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より高い場合、第2差動増幅回路OP2の出力電圧はローレベル(GND)となり、帰還制御トランジスタM36はオフ状態となる。この場合、第2制御回路22Cによる出力電圧Voutのリミット動作は働かない。
【0088】
出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低くなると、第2差動増幅回路OP2の出力電圧が低下し、帰還制御トランジスタM36がオフ状態から導通状態へ変化する。電圧差「VL2−Vout」が大きくなるほど、帰還制御トランジスタM36のインピーダンスが小さくなり、第2出力トランジスタM12のゲート電圧Vg2がグランドの電圧(ゼロ電圧)に向かって低下する。ゲート電圧Vg2が低下すると、第2出力トランジスタM12のドレイン電流が減少して、出力電圧Voutの低下が抑制される。そのため、出力電圧Voutは、第2リミット電圧VL2より低くなると急激に低下が抑制され、ほぼ第2リミット電圧VL2に固定される。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る出力回路によれば、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1より上昇した場合、出力電圧Voutが第1リミット電圧VL1へ近づくように第1出力トランジスタM11が制御され、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2より低下した場合、出力電圧Voutが第2リミット電圧VL2へ近づくように第2出力トランジスタM12が制御される。従って、上述した各実施形態の出力回路と同様に、消費電流の増大を抑制しつつ、出力電圧Voutの範囲を負帰還動作で精度よく制限することができる。
【0090】
<第8の実施形態>
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。
本実施形態は、本発明に係る出力回路を用いた磁気平衡式の電流センサに関するものである。
【0091】
図8は、本実施形態に係る電流センサの構成の一例を示す図である。
図8に示す電流センサは、導体5に流れる被測定電流Isによる磁界に応じた検出信号S30を出力する磁気センサ30と、磁気センサ30に作用する被測定電流Isによる磁界を打ち消す方向に磁界を発生するコイル40と、コイル駆動回路50と、シャント抵抗Rsと、増幅回路60とを有する。
【0092】
図8の例において、磁気センサ30は、ブリッジ回路31を構成する4つの磁気抵抗効果素子(MR1〜MR4)と、ブリッジ回路31に一定の電流を供給する定電流源32を有する。検出信号S30は、被測定電流Isによる磁界とコイル40に流れる電流Idによる磁界とが平衡する場合、所定の基準レベルとなる。2つの磁界が平衡していない場合、検出信号S30は、2つの磁界の大小に応じて、基準レベルより大きくなるか又は小さくなる。
【0093】
コイル駆動回路50は、磁気センサ30から出力される検出信号S30に応じて、磁気センサ30に作用する被測定電流Isによる磁界とコイル40に流れる電流Idによる磁界とが平衡するようにコイル40を駆動する。すなわち、コイル駆動回路50は、検出信号S30のレベルが上述した基準レベルと等しくなるように、コイル40の電流Idを負帰還制御する。
【0094】
コイル40の電流Idは、被測定電流Isにほぼ比例しており、被測定電流Isの測定結果を表す。この電流Idは、例えば
図8において示すように、コイル40に設けたシャント抵抗Rsに発生する電圧Vsとして出力される。
【0095】
増幅回路60は、コイル40に流れる電流Idに応じてシャント抵抗Rsに発生する電圧Vsを増幅し、増幅結果を電圧Voutとして出力する。この増幅回路60は、出力電圧Voutを所定の範囲に制限するため、上述した本発明の実施形態に係る出力回路を有する。例えば増幅回路60は、半導体ICの内部に形成されており、半導体ICの外側の図示しないコントローラ等に増幅結果の電圧Voutを出力する。増幅回路60の出力電圧Voutを一定の範囲内に制限することによって、当該範囲外の出力電圧Voutを半導体ICの異常通知機能に利用可能となる。例えば、半導体ICの内部に設けた異常検知回路が、異常検知時に出力電圧Voutを強制的に増幅回路60の制限範囲外にすることで、異常通知用の専用端子を設けることなく、半導体ICの外側に異常の発生を通知できる。
【0096】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々のバリエーションを含んでいる。すなわち、上述した実施形態において挙げられている回路構成は一例であり、同様な機能を実現する他の回路に置き換えることができる。回路を構成するトランジスタはMOS型に限定されるものではなく、パイポーラ型などの他の種類のトランジスタを用いてもよい。
【0097】
また、上述した実施形態において例として挙げた増幅回路(10,10A,10B,10C)とリミッタ制御回路(20,20A,20B,20C)との組み合わせは
図1〜
図7に示す例に限定されるものではなく、他の組み合わせも本発明の実施形態に含まれる。
【0098】
また、上述した実施形態では2つの電源ラインの一方が電源電圧Vddを供給し、他方がグランド電圧を供給する例を挙げているが、本発明はこの例に限定されない。本発明の他の実施形態では、グランド電圧に対して正の電圧を供給する電源ラインと負の電圧を供給する電源ラインをそれぞれ有していてもよい。その場合、正負の2つの電源ラインと出力ラインとの間にそれぞれ設けられた出力トランジスタを制御して、出力電圧が所定の範囲内に制限されるようにしてもよい。