(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記炉心の設計は、前記微粒子除去装置のために使用される位置に配置されていたであろう燃料からのエネルギー生成の損失を補償するように調整される、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の方法。
前記微粒子除去装置は、複数の微粒子除去区画を有し、当該微粒子除去区画の各々は、異なる寸法範囲の粒子を除去するように設計される、請求項12ないし請求項17のいずれか1項に記載の装置。
当該アッセンブリ内の流路の寸法は、前記微粒子除去装置が少なくとも部分的に閉塞したときに当該装置を通過する流体の流れによって起こるけん引力によって炉心支持機構に作用する力が炉心支持荷重の設計の許容値内となるように決められる、請求項12ないし請求項21のいずれか1項に記載の装置。
デブリフィルタ、逆止弁、フート弁、又はこれらの組み合わせから成る群より選択される一以上の構造をさらに備え、当該構造は、捕獲された微粒子を保持するために当該装置を通過する流れを減少させるように構成及び配置される、請求項12ないし請求項22のいずれか1項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
PWR用炉心及びBWR炉心のいずれにおいても、12月から24月の運転サイクルの後の燃料交換のための運転停止期間に燃料集合体の約3分の1が交換される。発電用のPWR原子炉及びBWR原子炉に搭載される新しい燃料は、5%程度に濃縮された核分裂性種(fissile species)を有する。1サイクルにわたって炉心内にあった燃料においては、核分裂性物質が、元々の核分裂性物質の約2分の1から3分の1に少なくなっている。2回使用されて3回目のサイクルのために炉心に装荷された燃料は、0.1%〜1%程度のさらに少量の核分裂性物質しか含んでいない。実際、200個の燃料集合体を有する炉心の(集合体ごとの)平均である0.5%という貢献に比べ、最も古い燃料の一部に当初含まれる核分裂性燃料は、(集合体あたり)プラントの発電量に対して0.02%よりも少ない貢献しかしていない。換言すれば、これらの非常に劣化した集合体は、当初の核分裂性物質の濃縮に基づく新しい燃料集合体のエネルギーのわずか25分の1しか寄与しない。この低い寄与は、前運転サイクルの間に燃料において生成された核分裂性物質の核分裂によって相殺される。例えば、PWR燃料においては、U−238から、Pu−239及びPu−241が生成される。
【0017】
一部の古い燃料又はいわゆる「バリアアッセンブリ」は、放射線照射により誘起される炉内構造物の応力腐食割れや高中性子フルエンスによる原子炉容器の脆化を緩和するために、炉心の周囲に主に原子炉容器や炉内構造物用の中性子シールドとして配置される(例えば、NUREG 1.99 Revision 2参照)。2度燃焼された燃料は、高密度燃料物質の質量が多く、放射線や中性子を吸収しやすいためシールドとして使用されることが多い。一部のPWR炉心設計方針においては、炉心の周囲において約4個から8個の集合体がバリアとして使用される。典型的なPWR炉心内の燃料集合体(バリアアッセンブリを含む)の各々を通る原子炉冷却流は全流量の約0.5%である。PWR内の4つのバリアアッセンブリは、合計でRCS流の約2%を受け入れる。
【0018】
典型的なPWR燃料集合体の重量は約1200ポンド(0.75トン)である。典型的なBWR燃料集合体の重量は約550ポンド(0.5トン)である。通常運転中、液流により燃料に作用するけん引力は燃料の重量と同程度なので、上部炉心支持体へ許容できないほどの上部けん引荷重がかかることはない。
【0019】
PWRでは、RCSは約2000〜3000psi(140〜200bar)及び550〜625゜F285〜330℃)(サブクール条件)で運転される。BWRでは、RCSは約1000〜1100psi(68〜75bar)及び550゜F(285℃)(サブクール条件)で運転される。PWRにおける炉心通過時の圧力降下は、典型的には25〜75psi(1.7〜5bar)であり、原子炉容器、蒸気発生器、及びRCS配管における他の圧力損失と併せて、原子炉冷却水ポンプにより克服される。BWRの炉心通過時における平均圧力降下は約25psi(1.70bar)である。PWR及びBWRのいずれにおいても、一連の開口した格子支持「グリッド」を用いることにより、燃料棒束を構成する燃料棒を支持し、燃料棒間の分離を維持し、水や蒸気と水との混合物が燃料棒に沿って又は燃料棒を横切って流れる場合の振動を抑制することができる。これらのグリッドは、ジルコニウム合金やその他の金属から製造される。燃料集合体の上部及び底部では、上部「ノズル」及び下部「ノズル」又はタイ・プレートが燃料を構造的に支持し、原子炉容器内の上部炉心支持プレート及び下部炉心支持プレートと係合する。上部ノズル及び下部ノズルは典型的にはステンレス鋼から製造される。燃料を支持及び保持する上部炉心支持プレート及び下部炉心支持プレートは、原子炉容器内構造物の配列の一部分である。
【0020】
PWR用の燃料集合体及びBWR用の燃料集合体は前記以外の機構を含むこともできる。例えば、(1)可燃ポイズン燃料棒、(2)制御棒又は制御要素を軸方向へ挿入するためのクリアランス又は通路、(3)熱流動又は核分裂プロセス(例えば中性子束)を測定及び監視する装置の挿入又は収容のための通路、(4)起動用中性子源、又は(6)局所的に流体水の割合を増加させて中性子をより減速させるための流路を含む。炉心内の一部の場所、例えばバリアアッセンブリが挿入される炉心の周辺における燃料位置は、炉心内の機器非搭載位置であり、これらの領域においては、燃料が、計装、ポイズン、又は中性子源を受け入れるための設備を必要としない。
【0021】
原子力発電炉において使用される燃料種は放出されると公衆や環境に対して有害である。核分裂反応又は崩壊プロセスによって生成される核分裂「生成物」も有害である。これには、Cs−137、Sr−90、及びKr−85が含まれる。セシウム及びストロンチウムの核分裂生成物は不揮発性であるため、土壌や地下水を通じて輸送されやすい。
【0022】
核燃料も高放射性であるため、大気中で輸送や貯蔵できる程度に核分裂生成物が崩壊するまでは水中で貯蔵される。
【0023】
一次冷却材ループ内を循環する溶解性の核分裂生成物やそれ以外の溶解性又は非溶解性の固体種には以下のもの、すなわち、(1)放射化腐食生成物(activated corrosion product)及び非放射化腐食生成物(non−activated corrosion product)、(2)金属不純物(溶解性のもの及び微粒子状のものの両方)、及び(3)外来物が含まれる。慣習によれば、原子力プラントの一次回路における「溶解性の」物質は、イオン性又は非イオン性の部位として完全に溶解性のもの、又は、規定されたろ過度合、例えば0.45μm、を有するフィルタを通過する微粒子状物質と定義される。現実には、微粒子状の種は、0.45μmより小さい寸法を有しており、0.1μm程度に小さい寸法を有することもある。粒子サイズが小さくなると、微粒子が溶存種の特徴の一部を現し始めることを認めて、小さな微粒子状物質をコロイドと呼ぶこともある。大きな非溶解性微粒子は8μm以上の寸法又は有効径を示す。
【0024】
酸化鉄や酸化ニッケル等の腐食生成物は、一次冷却材によって濡れた部分の表面が酸化し、その酸化物が冷却材中に放出されることによって生成される。溶解性の金属種、例えば、イオン性のニッケル、クロム、コバルト、及び鉄は、一次冷却材の圧力境界面から放出される。これは、ステンレス鋼もしくはニッケル合金、又は含コバルト弁座等の前記以外の構成要素であってもよい。一次冷却系が含銅合金から製造される熱交換器を有するBWRである場合の溶解性の種には銅が含まれる。
【0025】
0.1μmから8μmより大きいオーダーの寸法を有する金属微粒子や金属粒子は、摩耗や腐食によって表面から放出される。外来物には、金属、ちり、デブリ、及びプラントの建設・組み立て後に又は燃料交換や保守停止時に一次系が環境に対して解放されたとき一次系に残された「異物」が含まれる。異物には、金属の削り屑、工具、締結具、緩んだ部品、及びデブリが含まれ得る。
【0026】
炉心及び燃料集合体を通過する循環中の腐食生成物の濃度は典型的には2ppbのオーダーである。200000ポンドから750000ポンドの原子炉冷却材のインベントリに対して、任意の一時点において循環している腐食生成物の質量は非常に小さく、グラムのオーダーである。このように任意の一時点における循環中のインベントリは少ないが、PWR炉心の各燃料集合体には、運転サイクルの間に、クラッド堆積物やその他の腐食生成物が数百グラムも堆積することがある。分析によれば、炉心を通過して巡回するクラッドや腐食生成物は、燃料の表面に堆積する前に炉心を複数回通過している可能性が高い。同様に、炉心外の表面への堆積も長時間かけてゆっくりと発生する。典型的なPWR・RCSの全流量である1時間あたり70000000〜150000000ポンド(1時間あたり32000〜68000トン)という流量では、各燃料集合体を通過する腐食生成物の流れは1日あたり数グラムかそれ以上であり、18ヶ月の運転サイクルにおいて数キログラムとなる。このように、燃料集合体はクラッドに対する効率的なフィルタではないものの、炉心内における少量の沸騰による堆積促進等の様々な堆積メカニズムによって、また、特に一次冷却材が数千回も炉心を通過して巡回しているので、クラッドは最終的には燃料集合体に捕獲されることになる。
【0027】
クラッドは、燃料以外にも、実質的に全ての一次ループの圧力境界面(いわゆる炉外表面)に堆積する。炉外表面におけるクラッドの量は、PWRでは約1キログラム〜数10キログラムであり、BWRでは、RCSにおける炭素鋼の使用により、これよりもかなり高くなると推定されている。炭素鋼は、PWRにおいて用いられているオーステナイト合金やニッケル合金よりも腐食しやすい。
【0028】
炉心を循環する異物による具体的な問題は、たとえ小さなデブリであっても被覆管の近くにつかえたときに起こり得る燃料に対する物理的な損傷である。損傷のメカニズムには、損傷、フレッチング、及び衝突が含まれる。燃料に入る前にデブリを捕獲する方法や装置が燃料ベンダーによって数多く設計されている。この例としては、燃料集合体と一体の装置が含まれる。このような装置は例えば以下の多くの米国特許及び公開特許出願において説明されている。このような米国特許には、米国特許第4,664,880号、第4,684,495号、第5,024,807号、第5,219,517号、第5,390,221号、第5,473,649号、第5,479,461号、第5,490,189号、第5,524,031号、第5,867,551号、第6,847,695号、第6,901,128号、及び第7,889,829が含まれ、公開特許出願には、US2004/0071255、US2004/0076253、US2005/0031067、US2006/00452317、US2006/889,929、US2008/0013667及びWO2010/076315が含まれる。デブリフィルタ、トラップ、又はスクリーンは、全ての燃料集合体において、ほぼ常に下部ノズル又はタイプレートの近くに又はその一部として配置され、腐食生成物やクラッドの大きさと比較して比較的大きな貫流開口を有するか、燃料集合体を通過する流れを不必要に制限してしまい、通常運転時及び事故時における反応度制御、熱除去、及び炉心熱流動の最適化に悪影響を及ぼしがちである。また、クラッドが詰まる可能性があり、燃料集合体の冷却はプラントにとって重要な設計要件であり燃料集合体における水の欠乏は深刻な安全面での影響をもたらす可能性があるので、デブリフィルタ、トラップ、及びスクリーンは、クラッドの捕獲を回避するように設計されている。したがって、燃料集合体に結合されているデブリフィルタにおける貫流開口の直径は典型的には1mm(又は同等の水力直径)よりも大きい。
【0029】
腐食生成物、金属微粒子、及び異物は、プラント運転時に炉心内又はその近くを通過するときに中性子を吸収して、全て放射化され得る。腐食生成物及び微粒子は「クラッド」(チョークリバー未確認物質、カナダ国オンタリオ州にあるチョークリバー原子力発電所のサイトを参照)と称されることがある。これらの物質は放射化され一次回路を通って拡散されるので、放射線量場は増加し、被爆又は作業員の汚染の可能性の増加に繋がる。クラッドは、一次回路の腐食(corrosion)や浸食(erosion)によって継続的に生成される。燃料の表面にある堆積物は解放されて炉外表面に再堆積することもある。
【0030】
運転期間後に除去された燃料は典型的にはクラッドの層によって覆われている。この層の厚さは数ミクロンから100ミクロン以上までと幅がある。PWRでは、燃料集合体の頂部付近で最も厚くなり、BWRの一部では燃料の底部付近で最も厚くなる。
【0031】
PWRにおいて燃料に堆積するクラッドは、軸方向出力偏差(AOA)として知られる現象に繋がることがある。AOAは、沈殿物誘起による出力変移(CIPS)とも呼ばれる。この現象が起こると、反応度制御に用いられるホウ素がクラッドの孔に堆積し、炉心の局所的な出力密度に影響を与える。離脱しやすいクラッドが燃料表面へ堆積すると、当該燃料を乾式貯蔵のために移動させることが難しくなり、高放射能のクラッドが環境中に拡散するおそれがあるため、当該燃料を原子力発電所から離れた場所へ輸送することも難しくなる。
【0032】
クラッドに関する問題に対処するための方法には以下のものがある。(1)プラントに浄化システムを組み込むこと、(2)クラッドの蓄積に耐えられる燃料を設計すること、及び(3)PWRにおいて典型的な化学実務として行われているように、クラッド生成を最小化し、プラント停止中にプラントシステムを終了させるときに既存プラントクラッドの放出及び捕獲を最大化するための一次側水質管理(primary water chemistry control)プログラムを開発すること。このような「クラッドバースト」の発生は、燃料交換のためのプラントの停止を遅らせる点でコストが発生する。
【0033】
典型的には、PWRは、プラントの一次側に化学体積制御系(CVCS)又は「レットダウンライン系」(Letdown System)と呼ばれる系を備える。PWRにおけるCVCSの主目的は以下の点である。(1)RCSにおける中性子吸収化学物質、典型的にはホウ酸、の濃度の調整、(2)RCSの液体のインベントリの維持、(3)RCPシールのための封水として必要な原子炉冷却材の調整及び浄化、(4)リチウム等の種の添加又は除去を通じたRCS水質の調整、(5)キセノン及びクリプトンの放射性同位体等の希ガスをベントすることによる発電運転中のRCS動作の制御、(6)RCSの不活性化、充填、加圧、及び脱ガス、(7)RCSの水素濃度の制御、及び(8)RCSの構成部品の腐食を緩和する種、例えば亜鉛、を添加する方法の提供。CVCSはまた、プラントの起動時、運転時、及び停止時に、RCSからクラッド(腐食生成物)を可能な限り除去するために、ライン内フィルタ(別個のフィルタでもよく、ろ過及び脱イオン化の両方のために機能するイオン交換層)を備える。後述するように、CVCSは連続的に動作するがろ過系としては部分的に有用であるに過ぎない。
【0034】
原子炉冷却材は、典型的には、原子炉冷却ポンプ(RCP)の吸引側においてRCS「コールドレグ」レットダウンライン(letdown line)からCVCSに流れる。CVCSにおいて、レットダウン流量(letdown flow)は、RCSに戻り又は貯蔵される前に、減圧され、冷却され、清浄化され、ろ過され、脱ガス化され、所望のガスと平衡化され、再加圧され、再加熱される。
【0035】
通常のレットダウンフローの流量は、RCS温度及び圧力で、1時間あたり約16000〜32000ポンド(1時間あたり7〜14トン)であり、これは、1分当たり40〜80ガロン(1時間あたり13〜18立方メートル)の体積流量に相当する。上述したように、通常のRCS流量は、質量流量で、1時間あたり約70000000〜150000000ポンド(1時間あたり32000〜68000トン)である。このように、CVCSのレットダウン流量は、RCS流量の約0.01〜0.02%である。冷却材のRCSの液体のインベントリは約600000ポンド(300トン)なので、CVCSを通過するRCSの1回の回転の所要時間は約30時間(1800分)である。他方、再循環冷却材のRCS内での滞在時間は1分以内である。したがって、腐食生成物を含む大量の一次冷却材が、CVCSを通過する前に炉心を何度も通過する。
【0036】
正確なレットダウン流量はプラントごとに異なり、RCSの全体設計、RCSループの数、水質管理方針、及び水質やRCS動作制御に関するプラントごとの様々な目標を含む様々な要因によって決められる。この要因には、RCS及び燃料被覆管の健全性(integrity)に関する配慮が含まれる。なぜならば、RCS及び燃料に影響を与える一部の腐食メカニズムは、pH限界、リチウム及び水素の濃度、及び亜鉛濃度等のRCS冷却材水質(RCS coolant chemistry)によるためである。亜鉛の添加は、所定の影響を受けやすいRCS部品の応力腐食割れを緩和し、又は、炉外表面(すなわち、燃料交換時や保守時に作業員が露出される部分の表面)へのCo−58及びCo−60の取り込みを減少させることによってプラントの線量を低下させるために行われる。
【0037】
典型的には、レットダウンフローがRCSに戻され又は貯蔵される際に通過する流路は複数存在する。これには、RCSへの直接注入又はRCPシールを通過した注入が含まれる。CVCSへのレットダウンフローの大部分は、RCPの排出側に接続されたチャージラインを介して異なるループのコールドレグを通過してRCSに戻される。
【0038】
CVCS系において、原子炉冷却材は、原子炉冷却材フィルタ及び脱塩装置を通過する。これらのフィルタ及び脱塩装置は以下のように構成される。(1)可能な限り多くの非溶解性クラッド及び溶解性イオン・腐食生成物種(例えば、Cr、Fe、Ni、Coの酸化物及びスピネル)を除去し、(2)B−10の中性子吸収によって生成された過剰なLiを除去し、(3)セシウム(例えばCs−137)等の不揮発性の放射性核分裂生成物を除去し、及び(4)反応度制御のためにホウ素濃度を制御する。
【0039】
CVCS系は、RCS液体のインベントリの全体的な制御を可能にするように構成された機構や部品も備える。
【0040】
一般に、CVCSフィルタは、5ミクロン以上の微粒子や微粒子状物質を収集するように構成される。0.1ミクロン程度に小さい微粒子や微粒子状物質を収集するために、より細かいろ材を用いることもできる。しかしながら、これにより、CVCS系の運転が複雑になり、より頻繁にフィルタ交換を行うことが必要となる。様々な実施形態において、微粒子除去装置は、約0.5〜10ミクロン、約1〜8ミクロン、約1〜5ミクロン、約50ミクロン以下、又は約100ミクロン以下の範囲の粒子を除去するように構成され得る。このような装置は、当然、定格寸法かそれより大きな粒子を除去することになる。また、より大きな粒子を除去するように規格化された装置はより小さな粒子を一部捕獲することができる。このように、50ミクロン用の装置は、例えば10ミクロンの粒子の一部を捕獲することができる。さらに、粒子が蓄積すると、そのような蓄積により通過可能な粒子の寸法が減少することになる。
【0041】
また、RCSに亜鉛を添加したプラントにおいては、RCS内により多くの粒子状物質が蓄積することがあり、このようなプラントでは、多すぎるフィルタ交換を避けるために、より粗いろ材が使用されることが多い。原理的には、ろ過を改善するために、CVCSを通過する流量をRCS流量の0.01〜0.02%以上に増加させることができるが、これによりプラントの効率性が減少してしまう。レットダウンフローは、非再生熱交換器において冷却され、その一部分のみが再生熱交換器において再加熱される。これにより、CVCSを通過した冷却材のエネルギーの一部が発電に利用されることなく環境中に失われる。さらに、CVCSを通過する流量が増加すると、レットダウンフローをRCSへ戻す前に再加圧するためにより大きなポンプが必要となり、反応度制御、水質管理(chemistry control)、及びRCS体積制御等のCVCS系の他の機能が複雑になり得る。
【0042】
CVCSが効果的なフィルタ系として機能できないというエビデンスは幅広く知られている。このようなエビデンスには以下のものが含まれる。(1)運転サイクル中にPWR燃料及びBWR燃料がクラッドで汚染される。(2)炉外放射線量は、CVCSで収集されるよりも、循環し炉外表面に蓄積したクラッドによって生じている。(3)RCSクラッド量の推定値は、RCSフィルタにおいて収集された物質の量よりもはるかに少ない。(4)プラント停止が、RCS内における意図的な又は意図的ではない「クラッドバースト」に繋がる。
【0043】
BWRでは、一次冷却材の浄化は、主に原子炉冷却材浄化系(RWCU)を用いて行われる。RWCUは、1分間あたり約300〜400ガロン(1時間あたり66〜90立方メートル)又はRCS流量の1%を、原子炉容器の底部又は再循環系から再循環一次冷却材からレットダウンフローを介して受け取る。RWCU系は、レットダウンフローを冷却し、フィルタ及び脱塩装置を使用してRCS内のクラッドのインベントリを減少させる。PWRのCVCS系と比べて流量が多いにもかかわらず、BWRのRCS内の残留蓄積クラッドは、PWRにおける残留蓄積クラッドよりも大きなオーダーとなることが多い。このクラッドの大部分は、BWRの非常に高いボイリング・デューティによって炉心内に蓄積する(一方、PWR炉心内の燃料の上端付近では沸騰が少量しか発生しないことが多い)。
【0044】
燃料棒からの燃料及び核分裂生成物の放出を防止するため、原子力発電炉の設計者は、燃料棒被覆管を可能な限り強固なものとするために、その設計、製造、及び品質に対して特別に最新の注意を払う。この努力にもかかわらず、燃料被覆管の健全性に関する問題点が存在する。燃料の健全性に関する問題の深刻さについては、「The Path to Zero Defects: EPRI Fuel Reliability Guidelines (2008).」において詳しく文書化されている。当該文献において説明されているように、燃料の信頼性は、原子力発電プラントを安全で経済的に運転するために重要であり、限られた数の燃料棒の被覆管におけるわずかな欠陥による燃料破損でも、電力会社にとって4000万ドル〜8000万ドルの負担となる。
【0045】
さらに、原子力プラントの所有者やオペレータは、エネルギー生成を最適化するがクラッド堆積ひいては被覆管の腐食を最小化するパターンに、一度、二度、及び三度燃焼された燃料を配置するために、炉心設計に大きな労力を費やしている。
【0046】
原子力発電プラントの設計者やオペレータは、一次冷却材水質(primary coolant chemistry)を維持して一次側の冷却水質管理プログラム(primary chemistry control programs)を通じて不純物を最小化する努力を行っている。一次冷却水管理の目的には以下のものが含まれる。(1)水質及びpHの維持。(2)クラッド濃度の制御。(3)通常運転条件及び事故条件下での反応度の制御。RCS冷却材の水質は、運転停止時に、炉内表面(すなわち燃料表面)又は炉外表面(すなわちRCS)から溶解性及び非溶解性の種の放出を促すために調整され得る。これは、典型的には、RCSが冷却されるときに、化学的な還元性条件及びその後に化学的な酸化性条件を順次生成することにより、実行される。このようなクラッドバーストの間、プラントが冷却されるにつれて、約24時間にわたって、約百〜数千グラムのクラッドが炉外表面から除去され、CVCS内に収集されると推定される。これは、プラント停止前にRCS内に存在する数万グラム(又は数十キログラム)のクラッドに匹敵する。この意味において、実施形態に従った微粒子除去装置は、百グラム又は数百グラムを除去するように構成され、又は、千グラム又は一万グラムを除去するように構成され、又は、これらの端点内の範囲を除去するように構成される。
【0047】
原子力プラントの所有者及びオペレータは、一次冷却系における腐食生成物、不純物、核分裂片、燃料片、及び外来物の存在に関連する2つの重要な課題に直面している。第一は、燃料破損のおそれを最小化することであり、第二は、放射線場を管理することである。これらの種の除去は、プラントの保守期間に一次冷却系から放出される放射線を減少させることができるので、望ましいものである。
【0048】
燃料信頼性の最大化、放射線量の削減、及びプラントの安全で経済的な運転の経済的重要性は高い。特に、「クラッドバースト」を調整するために燃料交換のための運転停止が1日でも延長されると、そのコストは100万ドルを超えることがある。燃料破損による強制的な運転停止によるコストは1000万ドルを超えることがある。クラッド誘起によるAOAによって起こる出力現象のコストは数千万ドルを超える。
【0049】
作業員が受ける放射線量を減少させることの重要度の経済的側面もまた重要である。例えば、運転停止時における作業員の線量の1人レムの減少は、10000ドル〜30000ドルの「価値」が割り当てられる。典型的な運転停止時の放射線量が100人レムであるとすると、作業員の放射線被爆を25%減少させることは、250000ドル〜750000ドルと同等である。
【0050】
本発明の一実施形態の一側面は、原子力プラントのRCS内を再循環するクラッドのインベントリを減少させ、これにより燃料や炉外表面へのクラッドの堆積を減少させることである。
【0051】
本発明の一実施形態の他の側面は、燃料交換のための運転停止中にRCSからクラッドを除去できるようにクラッドを収集することである。
【0052】
本発明の一実施形態の他の側面は、原子炉圧力容器の脆化やプラントの健全性に対する前記以外のリスクを回避又は減少させる一方で、プラントの発電出力に対する影響を抑制しつつ再循環クラッドのインベントリの減少を実現することである。
【0053】
本発明の実施形態は、原子力発電プラントにおけるRCS流から粒子及びクラッドを捕獲する方法及び装置に関する。一以上の微粒子除去装置が発電用のPWRプラント又はBWRプランの炉心に配置される。当該プラントは当該装置を設置した状態で運転される。当該微粒子除去装置は、一以上の燃料集合体を置換し、又は、一体型ろ過(integral filtration)やこれ以外の粒子捕獲手段(例えば、液体遠心分離機又はろ過と液体遠心分離機との組み合わせ)により変更された燃料集合体である。この際、当該装置は、炉心への変更を行わなくとも燃料集合体の位置に配置可能となるように、燃料集合体と実質的に同様に寸法設定されており、典型的な燃料集合体における連結装置と同様の連結装置を備える。理解されるように、この文脈において、実質的に同様にとは、当該装置を適切に配置できるように当該寸法及び連結装置が燃料集合体の寸法及び連結装置と十分に同一であることを意味する。
【0054】
当該微粒子除去装置は炉心の任意の場所に設置できる。一実施形態において、当該微粒子除去装置は、炉心の周辺に設置される。一実施形態において、当該装置は、通常はバリア燃料集合体のために用意されている場所に設置される。当該装置を通常は2回又は3回燃焼した集合体のための場所に設置することにより、これらの場所に通常装荷される燃料は平均的な燃料集合体よりもプラント出力対する寄与が少ないので、運転サイクル中の発電損失を減少させることができる。他の実施形態において、炉内の全体的な核設計及び熱流動を促進するために、微粒子除去装置の一以上の組を炉内の対称な位置に配置することができる。他の実施形態において、全般的な「炉心設計」及び燃料集合体の残りの部分は、例えば他の燃料集合体の濃縮度を少量増加させることにより、当該装置の位置における局所的な発電量の低下を補償するように設計される。
【0055】
当該装置は、当該装置を通る原子炉冷却材の流量が通常の燃料集合体の場合と同程度になるように設計されているので、炉心の全般的な熱流動及び炉心支持構造にかかる負荷は、当該装置を用いる場合にも維持される。当該装置は、当該装置を通過する際の冷却材の圧力降下が通常の燃料集合体の場合と同程度になるように設計される。より具体的には、当該装置を通過する流量は、通常の燃料集合体を通過する流量と同程度か、炉心流の約0.5%であり、当該装置の断面積、形状効力、及び摩擦損失は、燃料集合体のものと同等である。本発明の具体的な実施形態は一以上の装置を使用することを含むが、一つの装置を通過する流量は、PWRのCVCSを通過する流量よりも25倍から50倍大きいので、装置を一つのみ使用することも可能である。また、複数の装置を使用することにより、ろ過された流量の比率をさらに向上させることができる(すなわち、2つのフィルタ装置を通過する流量は、PWRのCVCSを通過する流量の50倍から100倍であるなど)。したがって、所定の時間間隔においてろ過手段として機能する装置の潜在力は、同等のろ過効率においてCVCSよりも大きく改善されている。
【0056】
図1は、典型的なPWR一次冷却材ループを示す。
図1には、原子炉容器1と、炉心2と、加圧器3と、蒸気発生器4と、原子炉冷却ポンプ5と、CVCS6と、注入ポンプ7と、が示されている。
【0057】
式1は、本発明のろ過効率の簡略モデルを表現する。
【数1】
ここで、
A=燃料集合体上の炉心クラッド蓄積(kg/サイクル)
S=クラッド生成速度(kg/s)
T=サイクル長(s/サイクル)
N=炉内における燃料集合体の位置の数(燃料集合体によって占められている位置とろ過装置によって占められている位置との合計)
N
c=炉内のろ過装置の数
η
a=燃料集合体のクラッド除去効率
η
c=ろ過装置のクラッド除去効率
F
l=CVCS又はRWCUレットダウンへの冷却材の流量(kg/s)
F
t=炉心を通過する冷却材の流量(kg/s)
【0058】
図10は、レットダウン系による除去を100%の効率と仮定した場合までも含む、微粒子クラッド/腐食生成物の捕獲見込み量の例を示す。保守的な80%の効率の場合でさえも、3以上の係数による炉心クラッドインベントリの減少が予測されている。4つの装置を用いる場合、当該装置を用いない場合の3.0kgから当該装置を用いた場合の0.3kgまで減少し、減少率は90%となる。
【0059】
一実施形態において、当該装置は、典型的なCVCSで用いられるもの(約5ミクロン)よりも細かいろ材を備える。例えば、目開き0.1〜0.5ミクロンの金属ろ材を約100ft
2用いることにより、通常の燃料集合体を流れる流量と同等の流量を可能とし、約10〜20psiの圧力降下となる。数キログラムの粒子状物質(PWRのRCS系に存在する粒子状物質と同等のインベントリ)が捕獲された場合には、後者の圧力降下となる。この圧力降下は、炉心内の各燃料集合体で見られるものと同等かそれよりも低く、通常の燃料集合体の圧力降下にさらに近づけるためにはろ過装置が組み込まれる。より具体的には、圧力降下が通常の燃料集合体の圧力降下により近づくよう調整するために、追加的な流量に対する制約、例えばオリフィスを当該装置に組み込むことができる。当業者に明らかなように、大きな目開きを有するろ材を本発明の微粒子除去装置に組み込むことで、例えば、直径10ミクロンまでの粒子又は有効径が100ミクロンの粒子の塊を除去することができる。このような塊は、例えば剥離したクラッドを含むことができる。
【0060】
一実施形態において、粒子収集装置は、受動流量制限要素(passive flow−restricting component)を備える。この受動流量制限要素は、水温、流量、圧力、密度、流速、又は前記以外のプラント状態の関数として変化する局所的な条件の変化に応答して、当該粒子収集装置を通過する流れを減少させる。このような流量制限要素には、バイメタル・ディスク弁、スプリング式安全弁、逆止弁、フート弁、ラビリンスシール、及びオリフィスを含むが、これらには限られない。このような流量制限要素は、一般に、プラント停止時や強制的な酸化(クラッドバースト)の発生時などの粒子の除去が必要とされない場合に、捕獲された粒子の保持力を向上させることができる。
【0061】
本発明の様々な実施形態には、必須ではないが、当該装置から外来物が漏出しないようにするためのデブリフィルタや隔離弁等の前記以外の機構も組み込まれ得る。上述したように、デブリフィルタは、典型的には核燃料集合体の構造と一体であり、燃料集合体への適切な冷却材流を確保するために、最低限の開口径を有していなければならない。これとは対照的に、本明細書に開示されている微粒子除去装置に組み込まれたデブリフィルタは、燃料集合体とは別体であるため、広い範囲の開口寸法を取ることができる。例えば、本発明の一部として組み込まれたデブリフィルタは、有効径0.1mm以下の開口を有していてもよく、これにより、小さな金属微粒子及び標準的な燃料集合体において必要とされる開口を通過するこれ以外の外来物を捕獲することが期待される。本発明の一部分として組み込まれたデブリフィルタは、より大きな粒子やデブリを捕獲するために、有効径1mm以上の開口を有していてもよい。
【0062】
一実施形態においては、当該装置、例えば当該装置に任意のろ材の建設のために、耐食物質及び耐放射線物質を用いることができる。この一つの例は、多孔質の金属ろ材である。低コバルト金属ろ材を用いることにより、フィルタからRCSへの放射性種の影響を減少させることができる。
【0063】
一実施形態においては、(ろ材等の装置の粒子捕獲部は燃料棒よりも軽いことが多いため)燃料集合体の重量を再現するためだけでなく、バリア燃料集合体と同様にシールド性を提供するために、当該装置の一部として受動金属塊(passive metal mass)を組み込むことができる。この金属塊は、プレート形状でもよいし、複数の固体棒の形状であってもよい。
【0064】
一実施形態において、上部ノズル及び下部ノズルの構造は、当該装置の運搬及び貯蔵を、燃料交換機や使用済燃料用プールラック等の既存のプラント設備で行うことができるように複製されたものである。
【0065】
一実施形態において、フィルタがクラッドで閉塞した場合であっても、冷却水が当該装置を通って流れることができるように、バイパス流路を設けることができる。
【0066】
一実施形態においては、当該装置の粒子捕獲部を、典型的な燃料集合体よりは少ない数であるが複数の通常の燃料棒を含む燃料集合体の一部として組み込むことができる。当該実施形態においては、ハイブリッド型の燃料集合体・ろ過装置が、フィルタ及び核エネルギー源の両方として機能する。
【0067】
一実施形態において、微粒子除去装置を原子炉から除去し、微粒子除去能を再生することができる。この除去は、例えば通常の保守運転停止中に実行することができ、再生は、例えば当該微粒子除去装置を逆洗することにより又は超音波洗浄技術を用いることにより実現される。
【0068】
一実施形態において、微粒子除去装置は、その微粒子除去能が用い尽くされたときに、核燃料集合体と同じ方法で、運搬、貯蔵、及び廃棄され得る。例えば、使用済み微粒子除去装置は、使用済み燃料ラックに輸送され、当該ラック内に貯蔵される。
【0069】
図1は、典型的なPWR一次冷却材ループの一実施形態を示す。
図1には、原子炉容器1と、炉心2と、加圧器3と、蒸気発生器4と、原子炉冷却ポンプ5と、CVCS6と、注入ポンプ7と、が示されている。
【0070】
図2は、原子炉容器炉心の一実施形態の平面図である。この原子炉容器は、燃料集合体のグリッドを、円形の包絡線内に備えている。炉心8の外縁近くにある一以上の燃料集合体は、バリア燃料集合体と称され、炉心の中心近くにある高出力の燃料集合体から原子炉容器9をシールドするために、図示の位置に設置される。他の実施形態においては、微粒子除去装置の組が、9aや9b等のように炉心の対称な位置に設置される。1つの、2つの、又はそれ以上の組の装置を使用することができる。
【0071】
組を構成する各装置の正確な位置は、炉心の設計によって決められる。炉心の設計は、局所的な核設計(local neutronics)、全体の炉心核設計(overall core neutronics)、炉心機器や制御棒の位置、及び当該位置の物理的対称性などを考慮に入れて決定される。当業者に理解されるように、複数の微粒子除去装置を、対称な又は非対称な構成で用いることができる。使用される機器の正確な数や設置位置は、厳密な炉心設計によって決められる。
【0072】
より具体的な実施形態を
図3ないし
図9に示す。この実施形態は、燃料集合体の外側輪郭と似た外側輪郭を有する微粒子除去装置を含む。
【0073】
図3は、具体的な微粒子除去装置の一実施形態の模式的な平面図を示す。この微粒子除去装置は、筐体10と、微粒子除去区画11と、バイパス孔12と、を備える。
【0074】
図4は、微粒子除去のための単一の領域を有する微粒子除去装置の一実施形態の正面図である。上部ノズル13は、筐体10によって下部ノズル14と接続されている。フートバルブ15は、微粒子除去領域11の入り口に配置されている。
【0075】
図5は、微粒子除去領域11内に微粒子除去部16の複数の個別領域を有する微粒子除去装置の一実施形態の正面図である。
【0076】
図6は、別の種類の微粒子除去領域11内に微粒子除去部の複数の領域を有する微粒子除去装置の一実施形態の正面図である。この装置は、サイクロン式分離ステージ17と従来のフィルタ式分離ステージ18と、を備える。
【0077】
図7は、モジュールを通るバイパス流路を有する微粒子除去装置の一実施形態の正面図である。
【0078】
図8は、核燃料棒22のアレイ内にある微粒子除去領域11を含むハイブリッド微粒子除去装置の一実施形態を示す平面図である。
【0079】
図9は、微粒子除去装置の一実施形態の正面図である。この微粒子除去装置は、当該装置の一部の長さにわたって延伸し、上部ノズル13又は下部ノズル14に結合された一以上の微粒子除去機構16を有する。
【0080】
流れは下部ノズル14を通って当該集合体に入り、微粒子除去流とバイパス流とに分離される。微粒子除去流は、必須ではないフートバルブ15及び微粒子除去領域11を通って、上部ノズル13から集合体の外部へ案内される。
【0081】
フートバルブ15は、クラッドバースト発生時に捕獲されたクラッドの溶解を最小限にするために、発電運転中に完全に解放されており(高炉心流、高温)、クラッドバーストの発生による運転停止中には閉じられる(低炉心流、低温)。
また、当該フートバルブによって、捕獲されたクラッドが輸送中又は貯蔵中に燃料集合体から脱落することを防止できる。
【0082】
バイパス流19は、フートバルブ15及びろ過領域11をバイパスするために下部ノズル領域からオリフィス12を通って案内され、燃料集合体を通り上部ノズル13から外部へ流れる微粒子除去流と合流する。
【0083】
アッセンブリの一部分として、下部ノズル13と上部ノズル14との間に、筐体10と一体に又は筐体10の近くに設けられる肉厚部材が含まれる。当該肉厚部材は、当該アッセンブリの構造として機能し、バリアアッセンブリと同様に容器のために中性子シールドを提供し、当該アッセンブリの重量が燃料集合体の重量と同程度になるように重量を提供する肉厚部材が含まれる。
【0084】
微粒子除去領域11は、一以上の異なるろ過処理又は分離処理を行うための一以上のろ過領域を含んでもよい。一実施形態において、ろ過領域11は、燒結金属繊維、焼結金属パウダー、ウェッジワイヤ、ワイヤメッシュ、又は前記以外の耐放射線性ろ材から成る一以上のろ過要素を含む。
【0085】
他の実施形態が
図6に示されている。
図6の実施形態では、サイクロン式セパレータ17及びろ過要素18を両方含む微粒子除去領域11を備える。当該実施形態において、サイクロン式セパレータを通過する流れは、高粒子濃度の「アンダーフロー」21と低粒子濃度の「オーバーフロー」20とに分離される。アンダーフロー21は、ろ過要素18を通って案内され、上部ノズル13を取ってアッセンブリ外へ排出される。オーバーフロー20の一部又は全部はろ過要素をバイパスし、上部ノズル13から外部へ排出される。
【0086】
本発明は、使用済み核燃料と同じ方法で運搬及び廃棄される。上部ノズル13及び下部ノズル14の配置は、運搬のために燃料集合体の配置と似るように、また、原子炉容器の適当な構成要素と連結できるように設計される。
【0087】
図7に示された実施形態において、バイパス流路19は、アッセンブリを通過する際の圧力低下を制御し、ろ材が完全に閉塞した場合に冷却流を提供し、廃棄のためにアッセンブリから水を排水するための流路を提供するように設計される。
【0088】
本発明は、加圧水型重水炉(PHWR)又はVVER等の東欧型PWR設計においても使用可能である。
【0089】
一実施形態において、微粒子除去装置は、燃料集合体と同様の方法で、運搬、貯蔵、及び廃棄される。この点で、使用後の微粒子除去装置は、その微粒子除去能が用い尽くされたときに、使用済み燃料ラックに載置される。
【0090】
実施形態においては、微粒子除去能は再生される。微粒子除去能の再生は、微粒子除去装置を逆洗することにより又は超音波洗浄することにより実行されるが、これら以外の方法も利用可能である。再生によってプラント稼働率を低下させないように保守停止時に再生処理を行うことができる。
【0091】
実施形態における微粒子除去装置は、微粒子除去領域内に複数の微粒子除去区画を備えていてもよい。当該複数の区画は直列に又は並列にアレイ化され得る。
【0092】
一実施形態において、受動流制限装置を用いて、特定のプラント運転条件時に収集した微粒子を通過する流れを制限し、捕獲した微粒子の保持率を向上させることができる。
【0093】
上述したように、炉心設計により、一以上の燃料集合体を炉心から除去して上述した微粒子除去装置で置換したことによる発電ロスを補償するために、他の燃料集合体の濃縮や装荷を最適化することができる。上述したように、バリアアッセンブリの位置にアッセンブリを配置することにより、これらのアッセンブリは損耗が避けられないので、発電の面でのペナルティを減少させることができる。炉心内の対称な位置に組となる装置を配置することにより、炉心設計を簡素化することができ、熱流動や核設計を対称にすることができる。
【0094】
当業者であれば、本明細書において開示された実施形態は例示に過ぎず様々な変形が存在することを理解するであろう。当業者によって別に解される場合を除き、「実質的に」又は「約」という用語は、概ね10%の相違を含むように理解される。本発明は特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲には、本明細書において説明した実施形態及び当業者に明らかなその変形を含む。また、任意の一つの実施形態において説明した構造的な特徴や方法の工程は他の実施形態においても用いられ得る。