(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下において、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、図面の明瞭化と簡略化のため、本願の各図において、厚さ等の寸法関係は適宣変更されており、実際の寸法関係を表していない。
【0021】
図1は、透明フィルム基板10上に透明電極層20を備える透明電極付き基板100の模式断面図である。透明電極層20はアモルファス膜であり、アモルファス相21中に、低抵抗粒22を含んでいる。
【0022】
[透明フィルム基板]
透明フィルム基板としては、可視光領域で無色透明なものが利用される。透明フィルム基板の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフテレート(PBT)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂やシクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロース系樹脂等の汎用樹脂が好ましい。これらの汎用樹脂からなる透明フィルムのガラス転移温度は、一般に50℃〜150℃程度である。なお、透明ポリイミド等の樹脂は、200℃以上の高いガラス転移温度を持つが、このような超耐熱性の樹脂からなるフィルムは、非常に高価である。そのため、透明電極付き基板の製造コストを削減する観点から、透明フィルムの材料は、上記のような汎用樹脂が好ましい。中でも、ポリエチレンレフタレートやシクロオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0023】
透明フィルム基板の厚みは特に限定されないが、0.01〜0.4mmが好ましく、0.02〜0.3mmがより好ましい。フィルム基板は厚いほど製膜による変形を受けにくい。一方、フィルム基板が厚すぎると、柔軟性が失われロール・トゥ・ロール方式での透明電極層の製膜が困難となる傾向がある。透明フィルム基板の厚みが上記範囲内であれば、熱によるフィルム基板の変形を抑え、生産性良くロール・トゥ・ロール方式で透明電極層を製膜することができる。
【0024】
図1に示すように、透明フィルム基板10は、透明フィルム11上に下地層12を有していてもよい。下地層12は、透明フィルム基板10上に透明電極層20を製膜する際の製膜下地となる。例えば、下地層12として、シリコン酸化物(SiOx)等の無機絶縁層を備えることで、透明フィルム基板10と透明電極層20との密着性を向上できる。また、透明フィルム基板10は、下地層12として、有機材料層や、有機無機複合材料層を有していてもよい。有機材料層や有機無機複合材料層は、易接着層や応力緩衝層として作用し得る。下地層12は1層からなるものでもよく、2層以上の積層構成であってもよい。
【0025】
透明フィルム基板の下地層12に、光学調整層としての機能を持たせることもできる。例えば、透明フィルム11側から、SiOx(x=1.8〜2.0)からなる中屈折率層、酸化ニオブからなる高屈折率層、およびSiO
2からなる低屈折率層がこの順に積層された下地層12を用いることで、透明電極層がパターニングされた際のパターン視認を抑制できる。光学調整層の構成はこのような3層構成に限定されない。また、各層の膜厚は、材料の屈折率等を考慮して適宜に設定され得る。
【0026】
透明フィルム上に下地層12としてシリコン酸化物や酸化ニオブ等の無機絶縁層を形成する場合、その製膜方法としては、不純物が少なく均質な膜を形成できる点、製膜速度が大きく生産性に優れる点から、スパッタ法が望ましい。スパッタターゲットとしては、金属や金属酸化物、金属炭化物を用いることができる。
【0027】
透明フィルム基板10と透明電極層20との付着性を向上させる目的で、基板表面に表面処理を施してもよい。表面処理の手段としては、例えば、基板表面に電気的極性を持たせることで、付着力を高める方法等がある。具体的にはコロナ放電、プラズマ処理等が挙げられる。
【0028】
[透明電極層]
透明フィルム基板10上には、ITOからなる透明電極層20が形成される。透明電極層20は、スパッタ法により製膜されることが好ましい。透明電極層の膜厚は特に制限されず、必要とされる抵抗値等に応じて適宜に設定される。透明電極付き基板がタッチパネルの位置検出電極に用いられる場合、透明電極層20の膜厚は、10nm〜35nmが好ましく、15nm〜30nmがより好ましい。
【0029】
透明フィルム基板上にスパッタ法により製膜されたITO透明電極層は、製膜直後のアズデポ(as deposit)状態では、アモルファス膜である。アモルファス透明電極層20は、アモルファス相21中に低抵抗粒22を含むことが好ましい。なお、本明細書では、結晶化率が30%以下のものをアモルファスと定義する。結晶化率は、顕微鏡観察時に観察視野内で結晶粒が占める面積の割合から求められる。
【0030】
アモルファス透明電極層の酸化スズ濃度は、酸化インジウムと酸化スズの合計に対して、6.5質量%以上16質量%未満である。酸化スズ濃度を上記範囲とすることで、結晶化後の透明電極層を低抵抗化できる。酸化スズ含有量が小さすぎると、結晶化後の透明電極層のキャリア密度が小さく、十分な低抵抗化が期待できなくなる。一方、酸化スズ濃度が大きすぎると、酸化スズが電子を散乱するために移動度が低下し、抵抗が増大する傾向がある。また、酸化スズ濃度が大きすぎると、膜中のキャリア濃度が極端に大きくなって、長波長の光が吸収され、可視光の透過率が低下する場合がある。そのため、より短時間での結晶化を可能とするためには、アモルファス透明電極層の酸化スズ濃度は、6.5質量%〜8質量%が好ましい。一方、結晶化後の透明電極層をより低抵抗とするためには、アモルファス透明電極層の酸化スズ濃度は、8質量%より大きく16質量%より小さいことが好ましく、8質量%より大きく14質量%以下がより好ましく、9質量%〜12質量%がさらに好ましい。
【0031】
本発明において、アモルファス透明電極層20は、バイアス電圧を印加した際に、加電圧面における電流値が大きい領域を多数有することが好ましい。より具体的には、0.1Vのバイアス電圧が印加された場合に、加電圧面における電流値が50nA以上となる領域の数が50個/μm
2以上であることが好ましい。
【0032】
加電圧面の電流は、導電性カンチレバーを備える走査型プローブ顕微鏡を用い、導電性カンチレバーを加電圧面に接触させ、カンチレバーに流れ込む電流をモニタしながら、測定領域を走査することにより測定される。本測定により、電流の2次元的な分布(電流像)が得られる。本測定において、透明電極層にはバイアス電圧が一定電圧で印加されているため、電流の大きい個所は低抵抗である。すなわち、電流像(電流値の分布)は抵抗の分布を表しているといえる。
【0033】
得られた電流像を、閾値50nAで二値化処理し、電流量が50nA以上の領域(低抵抗領域)の面積が100nm
2以上となる連続した領域を1つの低抵抗粒とみなし、この低抵抗粒の個数を数えることで、加電圧面における電流値が50nA以上となる領域の数が求められる(
図6および
図7参照)。
【0034】
上述のように、加熱による結晶化(アニール)を行う前のアモルファス透明電極層20は、高抵抗のアモルファス相21の中に、低抵抗粒22が埋もれている状態である。微小領域の抵抗分布を測定することで、低抵抗粒の分布を評価することができる。アモルファス透明電極層の加電圧面における電流値が大きい領域(低抵抗粒)の密度が大きいほど、結晶化に要する活性化エネルギーが低下し、結晶化時間が短縮される傾向がある。電流量が50nA以上の領域の密度は、50個/μm
2以上が好ましく、80個/μm
2以上がより好ましく、100個/μm
2以上がさらに好ましく、120個/μm
2以上が最も好ましい。低抵抗粒の密度の上限は特に限定されない。フィルム基板の耐熱温度の範囲内(150℃以下)で製膜が行われる場合、アモルファス透明電極層中の低抵抗粒の密度は、一般に1000個/μm
2以下であり、好ましくは500個/μm
2以下、より好ましくは400個/μm
2以下である。
【0035】
透明電極付き基板の生産性を高める観点から、透明フィルム基板10上への透明電極層20の製膜は、巻取式スパッタ装置を用いて、ロール・トゥ・ロール方式で行われることが好ましい。スパッタ製膜に用いられる電源は特に限定されず、DC電源、MF電源、RF電源等が用いられる。透明電極付き基板の生産性を高める観点から、透明電極層のスパッタ製膜に用いられる電源は、DC電源またはMF電源が好ましく、DC電源が特に好ましい。特に、透明電極層の製膜前にプレスパッタが行われる場合、DC電源を用いると、短時間のプレスパッタで、透明電極層中の低抵抗粒密度を大きくすることができる。
【0036】
スパッタターゲットとしては、酸化インジウムに酸化スズを固溶させた複合焼結体を用いることが望ましい。ターゲット中の酸化スズの含有量は、酸化インジウムと酸化スズの合計に対して、6.5質量%以上16質量%未満であることが好ましい。ターゲット中の酸化スズの含有量は、アモルファス透明電極層の酸化スズ濃度が前述の範囲内となるように、上記範囲内で選択される。
【0037】
透明電極層のスパッタ製膜条件は、アズデポの低抵抗粒密度を上記範囲とできる限りにおいて特に限定されない。透明電極層の製膜開始前にプレスパッタを行うことや、製膜時の電源パワー密度を高めること、基板温度を高めること等により、低抵抗粒密度が大きくなる傾向がある。より具体的には、製膜開始前に、2.0W/cm
2以上、より好ましくは3.0W/cm
2以上の電源パワー密度でプレスパッタを行うこと;製膜時の電源パワー密度を2.0W/cm
2以上、より好ましくは3.0W/cm
2以上とすること;製膜時の加熱温度(基板温度)を100℃〜150℃、より好ましくは100℃〜120℃とすること;あるいはこれらの条件を組み合わせることによって、低抵抗粒の密度が50個/μm
2以上のアモルファス透明電極層が形成される。
【0038】
大気開放したチャンバーには水分子が吸着することが知られている。チャンバー内の水分子は、ITO等の透明導電性酸化物層形成時に、膜中に取り込まれ、結晶化を阻害する因子として作用し得る。そのため、膜中に水分子が取り込まれると、アモルファス透明電極層の結晶化時間が長くなる傾向がある。したがって、本発明においては、スパッタ製膜装置内にフィルム基板を投入後、透明電極層の製膜前に、チャンバーの真空排気を行い、チャンバー内の水分圧を低下させることが好ましい。フィルム基板を搬送させながら真空排気を行うことにより、チャンバーに吸着した水に加えて、フィルム基板の内部や表面に存在する水分も除去できるため、アモルファス透明電極層の結晶化時間を短縮できる。
【0039】
製膜開始前の真空排気により、チャンバーの水分圧を1×10
−3Pa以下とすることが好ましく、8×10
−4Pa以下とすることがより好ましく、6×10
−4Pa以下とすることがさらに好ましい。製膜開始前の水分圧が小さいほど、結晶化時間が短縮される傾向がある。一方、真空排気に要する時間は、到達圧力の減少に伴って指数関数的に増加するため、製膜開始前の水分圧を過度に小さく設定すると、製膜の前工程(チャンバー内にフィルム基板を導入してから製膜を開始するまで)に要する時間が長くなり、生産性を低下させる要因となり得る。そのため、製膜開始前の真空排気によるチャンバー内の水分圧は、2×10
−4Pa以上が好ましい。なお、製膜開始前および製膜時のチャンバー内の水分圧は、四重極質量分析(Qmass)により測定できる。
【0040】
なお、透明電極層の製膜開始前にプレスパッタが行われる場合は、プレスパッタ前に、チャンバー内の水分圧が上記範囲内となるように真空排気が行われることが好ましい。また、複数のチャンバーを備えるスパッタ製膜装置を用い、下地層12としてのシリコン酸化物等の無機絶縁層と透明電極層20とを連続製膜する場合には、無機絶縁層の製膜開始前に、チャンバー内の水分圧が上記範囲内となるように真空排気が行われることが好ましい。
【0041】
本発明においては、製膜開始前の水分圧を過度に小さくしなくても、前述のようにプレスパッタを実施することや、製膜時のパワー密度や基板温度を調整することにより、アモルファス透明電極の低抵抗粒密度を増大させ、結晶化時間を短縮できる。ここでの「プレスパッタ」とは、ITO透明電極層を製膜する前に、透明フィルム基板上の製品とならない部分に対してスパッタ放電を行うことを意味する。例えば、透明フィルム11上にシリコン酸化物等の下地層12が形成される場合、下地層を製膜後、ITO透明電極層を製膜する前に放電を行うことを意味する。
【0042】
透明電極層の製膜開始前にプレスパッタが行われる場合、ターゲット上の不純物を排気除去する観点から、チャンバー内の圧力は、透明電極層製膜時の圧力と同等あるいは透明電極層製膜時よりも低圧であることが好ましい。プレスパッタ時の酸素導入量は、ターゲット表面の酸化状態等によって、その最適値が異なる。そのため、ターゲットの性状等に応じて、透明電極層製膜後の結晶化時間が短くなるように、酸素分圧が設定されることが好ましい。
【0043】
プレスパッタ時のパワー密度の最適値は、装置サイズ(チャンバー容積)等によって多少変わることも予想されるが、前述のように、2.0W/cm
2以上が好ましく、3.0W/cm
2以上がより好ましい。また、プレスパッタ時の電源パワー密度は、透明電極層製膜時の電源パワー密度と同等またはそれ以上であることが好ましい。プレスパッタ時のパワー密度は、透明電極層製膜時のパワー密度の1〜10倍が好ましく、1.5〜5倍がより好ましく、2〜4倍がさらに好ましい。高パワー密度でプレスパッタを行った後、それと同等またはより低いパワー密度で透明電極層を製膜することにより、製膜によるフィルム基板等へのダメージを抑制しつつ、低抵抗粒の密度を大きくできる。そのため、結晶化時間が短く、かつ結晶化後の抵抗率が低いアモルファス透明電極層が得られる。
【0044】
プレスパッタ時の温度は特に限定されないが、一般には室温(20℃程度)〜150℃の範囲内で行われる。なお、室温よりも低温で(例えば製膜ロールを冷却しながら)プレスパッタが行われてもよい。プレスパッタ時間は、ターゲット表面の状態や、プレスパッタの温度、パワー密度等の条件に応じて適宜に設定され得るが、3分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。
【0045】
必要に応じてプレスパッタが行われた後、チャンバー内にアルゴン等の不活性ガスおよび酸素を導入しながら、透明電極層の製膜が行われる。プロセスガス導入後の製膜圧力は0.2Pa〜0.6Paが好ましい。透明電極層製膜時のアルゴンや酸素等プロセスガスの導入量は、チャンバー体積や製膜圧力、製膜パワー密度等との兼ね合いを考慮して設定される。アルゴン等の不活性ガスの導入量は、好ましくは200sccm〜1000sccm、より好ましくは250sccm〜500sccmである。酸素ガスの導入量は、好ましくは1sccm〜10sccmであり、より好ましくは2sccm〜5sccmである。
【0046】
透明電極層製膜時のチャンバー内の水分圧は、3×10
−3Pa以下が好ましく、2×10
−3Pa以下がより好ましい。製膜時の水分圧が小さいほど、結晶化時間が短縮される傾向がある。一方、製膜時の水分圧を小さくするためには、製膜開始前の水分圧を小さくする必要があり、真空排気に要する時間が長くなる傾向がある。また、製膜時の水分圧を小さく保とうとすれば、装置の大型化が困難となったり、使用できるフィルム基板の種類が限定される(水分含有量の大きいフィルムの使用が困難となる)場合がある。そのため、製膜時の水分圧は、好ましくは3×10
−4Pa以上、より好ましくは5×10
−4Pa以上である。
【0047】
透明電極層の製膜前にプレスパッタが行われる場合、製膜時のパワー密度は、スパッタ放電を生じ得る範囲であれば特に制限されず、例えば、0.4W/cm
2以上の任意の範囲とできる。透明電極層の製膜前にプレスパッタが行われない場合、透明電極層の製膜パワー密度は、2W/cm
2以上が好ましく、2.5W/cm
2以上がより好ましい。
【0048】
一方、製膜ダメージを抑制する観点から、製膜パワー密度は10W/cm
2以下が好ましい。パワー密度が過度に高いと、結晶化速度が上昇する反面、製膜ダメージ等の影響により、結晶化後の抵抗率が十分に低くならない場合がある。前述のように、製膜前のプレスパッタが行われる場合、製膜時のパワー密度は2W/cm
2未満でもよく、例えば、製膜時のパワー密度が0.4W/cm
2〜0.8W/cm
2程度でも、低抵抗粒の密度が大きく、結晶化に要する時間の短いアモルファス透明電極層が得られる。
【0049】
透明電極層製膜時の基板温度が高いほど、低抵抗粒の密度が大きくなり、結晶化時間が短縮される傾向がある。そのため、基板温度は20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。なお、基板温度は、製膜時のフィルム基板の温度である。透明電極層の製膜前にプレスパッタが行われる場合や、製膜パワー密度が2W/cm
2以上の場合は、製膜時に加熱を行わない室温製膜でも、低抵抗粒の密度を50個/μm
2以上とすることができる。なお、室温製膜でも、スパッタ放電により、製膜ロールおよびフィルム基板が加熱されるため、基板温度が50℃程度まで上昇する場合がある。なお、プレスパッタ時のパワー密度を大きくしたり、プレスパッタ時間を長くすれば、基板温度が20℃よりも低温で製膜を行っても、低抵抗粒の密度を50個/μm
2以上とすることができる。
【0050】
透明電極層製膜時の基板温度が100℃以上の場合には、低抵抗粒の密度がさらに増大し、結晶化時間がより短縮される傾向がある。一方、フィルム基板の熱変形等のダメージを抑制する観点から、透明電極層製膜時の基板温度は、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。前述のように、本発明では、プレスパッタを実施することや製膜パワー密度を上昇させることにより、基板温度を過度に高くしなくとも、短時間で結晶化可能な透明電極層を製膜できる。
【0051】
上記のように、透明フィルム基板上に、アモルファス透明電極層がスパッタ製膜されることにより、透明電極付き基板が得られる。本発明では、過度の真空排気や高温の加熱を行わなくても、短時間での結晶化が可能な透明電極層が形成される。そのため、製膜条件のプロセスウィンドウが広く、製膜面内での特性のバラツキが抑制されるため、大面積の透明電極付き基板が得られる。
【0052】
アモルファス透明電極層の抵抗率は、5×10
−4Ω・cm〜9×10
−4Ω・cm程度の範囲内であることが好ましく、6×10
−4Ω・cm〜8×10
−4Ω・cmがより好ましい。アモルファス透明電極層のキャリア密度は、3×10
−20/cm
3〜5×10
−20/cm
3程度が好ましい。ITO膜中の酸化スズ濃度が高いほど、膜中キャリア密度が高くなる傾向がある。
【0053】
[透明電極層の結晶化]
透明フィルム基板上にアモルファス透明電極層を備える本発明の透明電極付き基板は、透明電極層の結晶化により低抵抗化されることが好ましい。アズデポのアモルファス透明電極層は大部分がアモルファスのITOからなる。このアモルファスITOが結晶に変化することで、透明電極層が低抵抗化される。例えば、透明電極付き基板を、酸素存在下で加熱アニールすることにより、アモルファス透明電極層が結晶質透明電極層に転換される。上記における「加熱アニール」とは、ITOの結晶化や電極形成時の加熱等、熱源による熱を透明電極に対して積極的に一定時間加える処理を意味する。フィルム基板の耐熱性の観点から、結晶化のための加熱アニールの温度は、180℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましい。
【0054】
上述のように、本発明の透明電極付き基板は、アモルファス透明電極層中の低抵抗粒の密度が大きいため、結晶化に要する時間が短い。具体的には、150℃で加熱アニールを行った場合に、結晶化完了までに要する時間は、30分以下が好ましい。また、本発明では、製膜条件等を調整することにより、アモルファス透明電極層の結晶化完了までに要する時間を、20分以下、15分以下、10分以下、あるいは5分以下とすることもできる。結晶化が完了しているか否かは、透明電極付き基板を、室温で7%の塩酸に30秒浸した際に、浸漬前後の抵抗値の変化により評価され。浸漬後の抵抗が浸漬前の抵抗の1.3倍以下でれば、結晶化が完了しているとみなされる。上記条件で酸処理を行うと、アモルファスITOは完全に溶解除去されるため、結晶化が十分でない場合は、未溶解の結晶部分が島状に残存して電気的に絶縁されるため、抵抗が大幅に増大する。
【0055】
結晶化速度の大小は、上記のように結晶化時間によっても判断できるが、より厳密には結晶化に必要な活性化エネルギーによって評価される。本発明の透明電極付き基板は、アモルファス透明電極層を結晶化するための活性化エネルギーが1.3eV以下であることが好ましく、1.1eV以下であることがより好ましく、1.0eV以下であることがさらに好ましい。アモルファス透明電極層中の低抵抗粒の密度が大きいほど、活性化エネルギーが小さくなる傾向がある。活性化エネルギーが小さいほど、結晶化時間が短くなる。
【0056】
結晶化に必要な活性化エネルギーの計算には、速度定数と温度の関係式であるアレニウスの式:k=A×exp(−E/RT) を利用する。kは速度定数、Eは活性化エネルギー、Aは定数、Rは気体定数、Tは絶対温度である。
【0057】
上記式の両辺の対数をとって整理することで、ln(1/k)=−E×1/(RT)−ln(A)という形に変形でき、縦軸をln(1/k)、横軸を1/(RT)でプロットすることで、直線の傾きから、活性化エネルギーEを求めることができる(アレニウスプロット)。ここで、lnは自然対数を表す。本願においては、温度130℃、140℃および150℃の3つの温度で反応速度定数kを求め、アレニウスプロットを行うことにより、活性化エネルギーEが算出される。
【0058】
上記の反応速度定数kは、反応率をx、反応開始からの経過時間をtとしたとき、x=exp(−kt)という反応速度理論の関係から求めることができる。ここで、透明電極層の結晶化過程では、結晶化に伴い抵抗が低下し、結晶化が完全に完了すると、抵抗の時間変化は終了する。すなわち、抵抗の変化量は、結晶に変化したアモルファスの量を反映しており、加熱アニール中の抵抗の時間変化を調べることで、結晶化過程の時間変化を調べることができる。そのため、反応率(結晶化率)xの代わりに抵抗の変化量をモニタすることにより、反応速度定数kが求められる。加熱アニール前の結晶化率を0%、結晶化完了後の結晶化率を100%と仮定し、抵抗が、アニール前の抵抗値R0とアニール後の抵抗値R
Cとの平均値R
hとなった時の結晶化率が50%であると仮定し、それまでの時間t
hを求め、x=exp(−kt)に、x=0.5、t=t
hを代入することにより、反応速度定数kが算出される。
【0059】
上記のように、本発明では、透明フィルム基板上に、低抵抗粒の密度が大きいアモルファス透明電極層を製膜することにより、膜中の酸化スズ含有量が8質量%よりも大きい場合でも、短時間での結晶化が可能となる。また、膜中の酸化スズ含有量が大きいため、膜中キャリア密度が高く、結晶化後の透明電極層は低抵抗化される。すなわち、本発明によれば、低抵抗の透明電極付き基板を生産性高く得ることができる。また、本発明では、製膜前の水分圧が2×10
−4Pa以上の場合でも、短時間で結晶化可能な透明電極層が得られる。そのため、製膜からITOの加熱結晶化までを含めたトータルの生産性が改善される。
【0060】
さらに、本発明によって得られた透明電極付き基板は、結晶化後の透明電極層の抵抗率が、好ましくは3.0×10
−4Ωcm以下、より好ましくは2.7×10
−4Ωcm以下、さらに好ましくは、2.5×10
−4Ωcm以下である。
【0061】
本発明の透明電極付き基板は、ディスプレイや発光素子、光電変換素子等の透明電極として用いることができ、タッチパネル用の透明電極として好適に用いられる。中でも、結晶化後の透明電極層が低抵抗であることから、静電容量方式タッチパネルに好ましく用いられる。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
[抵抗率測定]
透明電極層のシート抵抗は、低抵抗率計ロレスタGP(MCP‐T710、三菱化学社製)を用いて四探針圧接測定により測定した。透明電極層の抵抗率は、シート抵抗の値と膜厚との積により算出した。なお、結晶後の抵抗率は、結晶化が終了したサンプルをオーブンから取り出し、室温まで冷却した後に測定した。
【0064】
[結晶化時間の測定]
図2に示すように、アニール前の透明電極付き基板100の透明電極層20側の面の向かい合う2辺に平行電極を取り付け、アニール中の抵抗測定を行った。平行電極を取り付ける際、電極間距離Dと電極を取り付けた辺の長さLとを等しくすることにより、抵抗値からシート抵抗を計算できる状態とした。抵抗の時間変化が無くなった時の抵抗値R
Cとの差が2Ω/□以内になった時間を結晶化完了時間tcとした。例えば、
図3(実施例1、加熱温度150℃)では、抵抗の時間変化が無くなった時の抵抗値R
Cは100Ω/□、結晶化完了時間t
Cは15分であることが読み取れる。
【0065】
[活性化エネルギー測定]
アモルファス透明電極層を結晶化する際の活性化エネルギーEは、非晶質透明電極層付き基板を所定温度で加熱アニールして結晶化した際の反応速度定数kの温度依存性から算出した。各加熱温度について、横軸に加熱時間、縦軸に透明電極層の表面抵抗をプロットし、表面抵抗値が、初期値(測定開始時)と終端値(結晶化が完全に進行し、結晶化度がほぼ100%となった状態)との平均値となった時間tを求めた。この時間tにおいて反応率が50%であるとみなして、式: 反応率=1−exp(kt) に、反応率=0.5を代入し、各加熱温度における反応速度定数kを算出した。
【0066】
加熱温度:130℃、140℃、150℃のそれぞれにおける反応速度定数kと加熱温度から、アレニウスプロット(横軸:1/RT、縦軸:ln(1/k))を行い、直線の傾きを活性化エネルギーEとした。実施例1のアレニウスプロットを
図5に示す。
図5のグラフの傾きから、結晶化の活性化エネルギーE=1.25eVが求められた。
【0067】
[低抵抗粒測定]
低抵抗領域の数の測定は、走査型プローブ顕微鏡ユニット(Nanocute)および測定制御ユニット(NanoNaviプローブステーション)を備える走査型プローブ顕微鏡システム(NanoNaviReal、SIIナノテクノロジー製、スキャナ型番:FS20N)により、接触面に30nmのロジウムコートが施された導電性カンチレバー(SI−DF3R、SIIナノテクノロジー製、ばね定数:1.6N/m)を用いて電流像測定を行い、電流像の分布から低抵抗領域の評価を行った。
【0068】
透明電極付き基板を5mm角に切り出し、ITO膜面と試料ホルダーとを銅テープを介して導通させた。探針を試料に接触させた後、ホルダーから1Vのバイアス電圧を印加して、2μm
2の範囲を走査して、静電気除去を行った。次いで、探針を接触させたまま、印加電圧を0.1Vに変更して、静電気除去を行った領域の中心付近で1μm
2の範囲を走査し、2画面測定により、形状像と電流像を得た。測定は、室温環境下で行った。詳細な測定条件は以下の通りである。
測定モード:AFM
たわみ量:−1mm
走査周波数:1.08Hz
Iゲイン:0.45
Pゲイン:0.11
Aゲイン:0
DIF感度:40.00mV/nm
解像度(X×Y):256×256
画質:標準
【0069】
装置付属の解析プログラム(NanoNaviStation ver6.00B)を利用して、電流値50nAを閾値として、電流像を二値化処理した。この際、傾斜補正は行わなかった。
図6は、実施例1の電流像を二値化処理したものである。二値化処理された電流像において、電流値が50nm以上の部分(
図5において白色の部分)の面積が100nm
2以上となる連続した領域を1つの低抵抗粒とみなし、この低抵抗粒の個数をカウントした。
図6から、低抵抗粒の数は、51個/μm
2と読み取れる。
【0070】
[結晶化率測定]
アニールを行う前の透明電極層に含まれる結晶成分の総量は、アモルファス成分を完全にエッチングし、残った結晶粒の面積を計算することで評価した。エッチング条件としては、室温で1.7%の塩酸に90秒浸漬し、その後流水洗浄を行った。このサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で撮影し、画像から残った結晶成分の量を求めた。
【0071】
[実施例1]
両面にハードコート層が形成されたガラス転移温度80℃のPETフィルム基板上に、ロール・トゥ・ロール方式のスパッタ装置を用いて、シリコン酸化物層および透明電極層を製膜した。
【0072】
まず、製膜装置にフィルム基板を投入後、製膜装置内でフィルムを搬送させながら、チャンバーの水分圧が4×10
−4Paとなるまで真空排気を行った。この際、真空排気に、2時間を要した。
【0073】
チャンバー内を真空排気後に、Siをターゲットとして用い、酸素を20sccm、アルゴンを100sccmの流量で供給しながら、基板温度40℃、チャンバー内圧力0.2Paの条件下で、MF電源を用いて3.0W/cm
2のパワー密度でスパッタを行い、シリコン酸化物層を形成した。得られたシリコン酸化物層の膜厚は45nmであった。
【0074】
酸化インジウムと酸化スズの複合酸化物焼結ターゲット(スズ酸化物含量10質量%)を用い、チャンバー内へ、酸素を4.0sccm、アルゴンを250sccmの流量で供給しながら、基板温度40℃、チャンバー内圧力0.3Pa、水分圧1×10
−3Paの条件下で、DC電源を用い、パワー密度3.0W/cm
2で15分間のプレスパッタを行った。プレスパッタ後に、酸素流量を2.0sccmに変更し、DC電源のパワー密度0.6W/cm
2でスパッタ製膜を行い、シリコン酸化物層上へ、ITO透明電極層を形成した。得られた透明電極層の膜厚は26nmであった。
【0075】
なお、透明電極層製膜時の酸素流量は、酸素流量以外の条件が同等の場合に、結晶化に必要な時間が最小となるように設定した(以下の実施例および比較例においても同様)。製膜中の基板温度は、透明フィルム基板にあらかじめサーモラベル(TEMP−PLATE、アイピー技研製)を貼り付け、製膜終了後にサーモラベルの最高温度を読み取ることにより求めた。なお、サーモラベルは、真空排気の際に加熱されない領域を選択して貼りつけた。透明電極層の膜厚は、断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により求めた値である。製膜開始前および製膜中の水分圧は、四重極質量分析計を用いて測定した。
【0076】
[実施例2]
透明電極層製膜前のプレスパッタを行わず、透明電極層製膜時の酸素流量を4.0sccm、パワー密度を3.0W/cm
2とした。それ以外は実施例1と同様にして透明電極付き基板を作製した。得られた透明電極層の膜厚は26nmであった。
【0077】
[実施例3]
透明電極層製膜前に15分間のプレスパッタを行った後、プレスパッタと同じ条件でITO透明電極層の製膜を行った。それ以外は実施例1と同様にして透明電極付き基板を作製した。得られた透明電極層の膜厚は26nmであった。
【0078】
[実施例4]
製膜前の脱ガス温度、および製膜時の基板温度を120℃とした。それ以外は実施例3と同様にして透明電極付き基板を作製した。得られた透明電極層の膜厚は26nmであった。
【0079】
[実施例5]
製膜前の脱ガス温度、および製膜時の基板温度を120℃とした。それ以外は実施例1と同様にして透明電極付き基板を作製した。得られた透明電極層の膜厚は26nmであった。
【0080】
[比較例1]
透明電極層製膜前のプレスパッタを行わなかったこと以外は実施例1と同様にして透明電極付き基板を作製した。得られた透明電極層の膜厚は26nmであった。
【0081】
[比較例2]
透明電極層製膜前のプレスパッタを行わなかったこと以外は実施例5と同様にして透明電極付き基板を作製した。得られた透明電極層の膜厚は26nmであった。
【0082】
[比較例3]
製膜前に、チャンバーの水分圧が1×10
−4Paとなるまで真空排気を行った。透明電極層製膜時の水分圧は2×10
−4Paまで低下していた。それ以外は、比較例2と同様にして透明電極付き基板を作製した。得られた透明電極層の膜厚は26nmであった。ただし、比較例3において、製膜前にチャンバー内の水分圧を1×10
−4とするために要した時間は、30時間であった。なお、比較例3において、アモルファス透明電極層を製膜後、150℃で加熱アニールを行った際、加熱開始から30分後では結晶化は完了しておらず、抵抗率は4.4×10
−4Ω・cmであった。
【0083】
上記各実施例および比較例の透明電極層の製膜条件、製膜後のアモルファス膜の特性、結晶化条件(結晶化時間および活性化エネルギー)、ならびに結晶化後の特性を表1に記す。
【0084】
【表1】
【0085】
表1の結果から、結晶化に必要なアニール時間は低抵抗粒の密度に依存し、アモルファス膜中の低抵抗粒の数が多いほど短時間で結晶化が可能であることが分かる。具体的には、低抵抗粒密度が50個/μm
2以上であれば、30分以下で結晶化が完了することがわかる。また、その際の結晶化に必要な活性化エネルギーは1.3eV以下であることがわかる。すなわち、製膜後アズデポのアモルファス透明電極層が多くの低抵抗粒を含有している場合、結晶化のための活性化エネルギーEが小さく、短時間で結晶化が可能となることがわかる。
【0086】
実施例1と比較例1との対比から、ITOの製膜前にプレスパッタを行うことにより、低抵抗粒の数が増加し、結晶化速度が上昇することがわかる。また、実施例2と比較例1との対比から、透明電極層を高パワー密度で製膜することによっても、プレスパッタと同様の効果を得られることが分かる。実施例1および実施例2と実施例3との対比から、プレスパッタを行った後、高パワー密度で製膜することによって、さらに結晶加速度が上昇することがわかる。
【0087】
実施例1と実施例5との対比および実施例3と実施例4との対比から、透明電極層製膜時の基板温度を高温にすることで、さらに結晶化速度が上昇することがわかる。一方、実施例1および実施例2と比較例2との対比、および比較例1と比較例2との対比から、基板温度(製膜温度)を高温にすることよりも、プレスパッタや高パワー密度で製膜を行う方が、より効果的に結晶加速度を上昇できることがわかる。また、実施例1〜5によれば、透明電極層製膜前のプレスパッタ、製膜時のパワー密度増大、基板温度上昇等の製膜条件の組み合わせにより、低抵抗粒の数を増大させ、結晶化時間をより短縮できることがわかる。
【0088】
比較例2と比較例3との対比から、製膜開始前の排気時間を長くすることにより、製膜開始前および製膜時の水分圧が減少し、結晶加速度が上昇することがわかる。しかし、比較例3では、チャンバー内の水分圧を減少させるために、製膜開始前の真空排気に多大な時間を要する。そのため、結晶化時間の短縮による生産性向上効果よりも、製膜開始前の排気時間(製膜装置の占有時間)の増大による生産性低下が顕著となり、結果として生産性を悪化させてしまう。
【0089】
比較例2と比較例3の低抵抗粒密度は略同等であり、比較例3では、実施例1〜5に比べると結晶化に要する時間が長い。これらの結果から、本発明による透明電極層の結晶化時間の短縮は、従来より知られている水分圧低減による結晶化時間の短縮とは異なるメカニズムによるものであり、生産性の向上と低抵抗化の両方において従来技術よりも優位であることがわかる。
【0090】
[実施例6]
両面にハードコート層が形成されたガラス転移温度80℃のPETフィルム基板上に、ロール・トゥ・ロール方式のスパッタ装置を用いて、シリコン酸化物層および透明電極層を製膜した。
【0091】
まず、製膜装置にフィルム基板を投入後、製膜装置内でフィルムを搬送させながら、チャンバーの水分圧が2×10
−4Paとなるまで真空排気を行った。チャンバー内を真空排気後に、実施例1と同様の条件で、膜厚3nmのシリコン酸化物層を形成した。
【0092】
酸化インジウムと酸化スズの複合酸化物焼結ターゲット(スズ酸化物含量7.5質量%)を用い、チャンバー内へ、酸素を1.2sccm、アルゴンを400sccmの流量で供給しながら、製膜ロール温度(設定温度)−20℃、チャンバー内圧力0.2Pa、水分圧1×10
−3Paの条件下で、MF電源を用い、パワー密度5.0W/cm
2で180分間のプレスパッタを行った。プレスパッタ後に、プレスパッタ時と同条件でスパッタ製膜を行い、シリコン酸化物層上へ、ITO透明電極層を形成した。得られた透明電極層の膜厚は26nm、抵抗率は6.0×10
−4Ω・cm、1μm
2あたりの低抵抗粒の数は56個であった。
【0093】
この透明電極層を150℃で加熱して結晶化を行ったところ、結晶化が完了するまでに要した時間は20分であり、結晶化後の透明電極層の抵抗率は2.2×10
−4Ω・cmであった。また、結晶化のための活性化エネルギーは1.27eVであった。
【0094】
上記実施例6の結果から、酸化スズ含有量が8質量%以下の場合においても、50個/μm
2以上の低抵抗粒を有するアモルファス透明電極層が製膜可能であり、30分以内の短時間で結晶化が可能であることが分かる。