【文献】
Journal of Antimicrobial Chemotherapy,2012年 1月,Vol.67, No.4,p.67,p.789-801
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療するための組成物であって、配列番号10で規定されるヌクレオチド配列を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤と、ペグ化インターフェロンα−2aを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤とを含むことを特徴とする組成物。
B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療のための組成物であって、配列番号10のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤と、チモシンα1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤とを含むことを特徴とする組成物。
B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療のための組成物であって、配列番号10のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤と、ペグ化インターフェロンλ1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤とを含むことを特徴とする組成物。
B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療のための組成物であって、配列番号10のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤と、GS−9620を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤とを含むことを特徴とする組成物。
【発明の概要】
【0009】
本明細書の記載によれば、HBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療を必要とする被験体においてHBV感染又はHBV/HDV同時感染を治療する方法であって、HBVに感染した宿主の血液からHBsAgを除去する第1の薬学的に許容可能な薬剤、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤の投与を含む方法がここに提供される。
【0010】
また、HBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療を必要とする被験体においてHBV感染又はHBV/HDV同時感染を治療する方法であって、感染した細胞からのHBsAgの放出を阻害する第1の薬学的に許容可能な薬剤、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤の投与を含む方法も提供される。
【0011】
また、HBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療を必要とする被験体においてHBV感染又はHBV/HDV同時感染を治療する方法であって、感染した細胞からのHBVサブウイルス粒子の放出を阻害する第1の薬学的に許容可能な薬剤の有効な投薬計画、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤の有効な投薬計画の投与を含む方法も提供される。
【0012】
また、HBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療を必要とする被験体においてHBV感染又はHBV/HDV同時感染を治療する方法であって、感染した細胞からのHBVサブウイルス粒子の放出を阻害する第1の薬学的に許容可能な薬剤及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤の投与を含む方法も提供される。
【0013】
また、HBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療を必要とする被験体におけるHBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療方法であって、感染した細胞におけるHBsAgの合成を阻害するか、又はその細胞内レベルを低下する第1の薬学的に許容可能な薬剤、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤の投与を含む方法も提供される。
【0014】
また、HBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療を必要とする被験体におけるHBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療方法であって、上述の第1及び第2の薬学的に許容可能な薬剤を組合せて、同一の投与経路により単一の医薬組成物又は異なる医薬組成物において投与することを含む方法も提供される。
【0015】
また、HBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療を必要とする被験体におけるHBV感染又はHBV/HDV同時感染の治療方法であって、投与経路が同一であるか異なるかに関わらず、患者における上述の第1及び第2の薬学的薬剤の同時の投与を含む方法も提供される。
【0016】
本発明の説明によれば、免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤と組合せた、血液からB型肝炎表面抗原を除去する第1の薬学的に許容可能な薬剤のB型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療のための使用がここに提供される。
【0017】
また、感染した細胞からのHBsAgの放出を阻害する第1の薬学的に許容可能な薬剤、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤のB型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療のための使用も提供される。
【0018】
また、感染した細胞からのHBVサブウイルス粒子の放出を阻害する第1の薬学的に許容可能な薬剤、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤のB型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療のための使用も提供される。
【0019】
また、感染した細胞におけるHBVサブウイルス粒子の形成を阻害する第1の薬学的に許容可能な薬剤、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤のB型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療のための使用も提供される。
【0020】
また、感染した細胞におけるHBsAgの合成、又はその細胞内レベルの低下を阻害する第1の薬学的に許容可能な薬剤、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤のB型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療のための使用も提供される。
【0021】
また、免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤と組合せた、血液からB型肝炎表面抗原を除去する第1の薬学的に許容可能な薬剤のB型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療用医薬の製造における使用も提供される。
【0022】
本発明の説明によれば、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染の治療用組成物であって、有効量の血液からB型肝炎表面抗原を除去する第1の薬学的に許容可能な薬剤、及び免疫機能を賦活する第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤の有効な投薬計画を含む組成物がここに提供される。
【0023】
ある実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤はHBVサブウイルス粒子の形成を阻害する。
【0024】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤はHBVサブウイルス粒子の細胞内輸送を阻害する。
【0025】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は血液中へのHBVサブウイルス粒子の放出を阻害する。
【0026】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は感染した細胞からのB型肝炎表面抗原の放出を阻害する。
【0027】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤はHBsAg及び又は別のウイルスタンパク質の合成を阻害する。
【0028】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤はアポリポタンパク質Hの合成又は機能を阻害する。
【0029】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は小分子である。
【0030】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は、配列ACの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドを含む核酸ポリマーである。
【0031】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は、配列CAの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドを含む核酸ポリマーである。
【0032】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は、配列TGの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドを含む核酸ポリマーである。
【0033】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は、配列GTの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチドを含む核酸ポリマーである。
【0034】
別の実施形態では、核酸ポリマーは少なくとも1つの2’リボースの修飾を更に含む。
【0035】
別の実施形態では、核酸ポリマーは2’の修飾を有する全てのリボースを更に含む。
【0036】
別の実施形態では、核酸ポリマーは少なくとも1つの2’Oメチルリボースの修飾を更に含む。
【0037】
別の実施形態では、核酸ポリマーは2’Oメチルの修飾を有する全てのリボースを更に含む。
【0038】
別の実施形態では、核酸ポリマーは少なくとも1つの5’メチルシトシンを更に含む。
【0039】
別の実施形態では、核酸ポリマーは5’メチルシトシンとして存在する全てのシトシンを更に含む。
【0040】
別の実施形態では、核酸ポリマーは少なくとも1つの2’リボースの修飾及び少なくとも1つの5’メチルシトシンを更に含む。
【0041】
別の実施形態では、核酸ポリマーは2’Oメチルの修飾を有する全てのリボース及び5’メチルシトシンとして存在する全てのシトシンを更に含む。
【0042】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は配列番号1〜10からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドである。
【0043】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は配列番号1〜10からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドキレート複合体である
【0044】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は配列番号2からなるオリゴヌクレオチドである。
【0045】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は配列番号2を含むオリゴヌクレオチドキレート複合体である。
【0046】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は配列番号3からなるオリゴヌクレオチドである。
【0047】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は配列番号3からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドキレート複合体である。
【0048】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は配列番号10からなるオリゴヌクレオチドである。
【0049】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は配列番号10からなる群から選択されるオリゴヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドキレート複合体である。
【0050】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は任意のHBV mRNAの任意の部分を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0051】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤はヒトアポリポタンパク質HmRNAの任意の部分を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0052】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は任意のHBV mRNAの任意の部分を標的とするsiRNAである。
【0053】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤はヒトアポリポタンパク質HmRNAの任意の部分を標的とするsiRNAである。
【0054】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は任意のHBV mRNA又はヒトアポリポタンパク質H mRNAの任意の部分を標的とするshRNAである。
【0055】
別の実施形態では、核酸ポリマー、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はsiRNAはオリゴヌクレオチドキレート複合体として更に製剤化される。
【0056】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤は、B型肝炎表面抗原を標的とするオリゴヌクレオチドアプタマー又はシュピーゲルマーである。
【0057】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤はアポリポタンパク質Hを標的とするオリゴヌクレオチドアプタマー又はシュピーゲルマーである。
【0058】
別の実施形態では、血液からB型肝炎表面抗原を除去する薬剤はB型肝炎表面抗原を認識する抗体又は抗体フラグメントである。
【0059】
別の実施形態では、免疫機能を賦活する免疫治療剤は下記:
チモシンα1;
任意のα−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のβ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のγ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のλ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
インターフェロンα−2a又はα−2b又はα−N3;
インターフェロンβ−1a又はβ−1b;
インターフェロンγ−1b;
インターフェロンλ1又はλ2又はλ3
ペグ化インターフェロンα−2a又はα−2b又はλ1又はλ2;
任意の抗ウイルスサイトカイン又はそのペグ化誘導体;
胸腺プロテインA;
抗ウイルス活性又は免疫賦活活性を有することが示される任意のポリペプチド;
IMO−2055又はIMO−2125を含む非CpG免疫賦活オリゴヌクレオチド;
GS−9620又はANA−773を含む小分子Toll様受容体(TLR)アゴニスト;及び
DHEA又はその代謝産物を含む任意の抗ウイルス又は免疫賦活ホルモン
からなる群から選択される1つ又は複数の化合物を含む。
【0060】
別の実施形態では、免疫機能を賦活する免疫治療剤は下記:
IMO−2055又はIMO−2125を含む任意の免疫賦活オリゴヌクレオチド;
GS−9620又はANA−773を含む小分子Toll様受容体(TLR)アゴニスト;及び
DHEA又はその代謝産物を含む任意の抗ウイルス又は免疫賦活ホルモン
からなる群から選択される1つ又は複数の化合物を含む。
【0061】
更なる実施形態では、第1の薬学的に許容可能な薬剤は同じ医薬組成物内で製剤化される。
【0062】
更なる実施形態では、第1及び第2の薬剤は別々の医薬組成物内で製剤化される。
【0063】
更なる実施形態では、第1及び第2の薬剤は同時投与用に製剤化される。
【0064】
更なる実施形態では、第1及び第2の薬剤が異なる経路で投与するために製剤化される。
【0065】
更なる実施形態では、第1及び第2の薬剤が、下記:経口摂取、エアロゾル吸入、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射及び静脈点滴の1つ又は複数を使用して投与するために製剤化される。
【0066】
更なる実施形態では、血液からHBsAgを除去する薬剤は、下記:
B型肝炎表面抗原に結合する抗体又は抗体フラグメント;
下記のトリアゾロピリミジン誘導体:
【化1】
【化2】
下記から選択されるオリゴヌクレオチド:
配列番号2;
配列番号3;
配列番号10;
配列番号1及び4〜9;
下記から選択される核酸ポリマー:
配列ACの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
配列CAの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
配列TGの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;及び
配列GTの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
任意のHBV mRNAの任意の部分を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド;
ヒトアポリポタンパク質H mRNAの任意の部分を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド;
任意のHBV mRNAの任意の部分を標的とするsiRNA;
ヒトアポリポタンパク質H mRNAの任意の部分を標的とするsiRNA;
任意のHBV mRNAの任意の部分を標的とするshRNA;
ヒトアポリポタンパク質H mRNAの任意の部分を標的とするshRNA;
B型肝炎表面抗原を標的とするシュピーゲルマー又はアプタマー;及び
ヒトアポリポタンパク質Hを標的とするシュピーゲルマー又はアプタマー;
からなる群から選択される1つ又は複数の分子を具備し、
第2の免疫治療剤は下記:
チモシンα1;
任意のα−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のβ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のγ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のλ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
インターフェロンα−2a又はα−2b又はα−N3;
インターフェロンβ−1a又はβ−1b;
インターフェロンγ−1b;
インターフェロンλ1又はλ2又はλ3
ペグ化インターフェロンα−2a又はα−2b又はλ1又はλ2;
任意の抗ウイルスサイトカイン又はそのペグ化誘導体;
胸腺プロテインA;
抗ウイルス活性又は免疫賦活活性を有することが示される任意のポリペプチド;
IMO−2055又はIMO−2125を含む免疫賦活オリゴヌクレオチド;
GS−9620又はANA−773を含む小分子Toll様受容体(TLR)アゴニスト;及び
DHEA又はその代謝産物を含む任意の抗ウイルス又は免疫賦活ホルモン
からなる群から選択される1つ又は複数の分子を含む。
【0067】
更なる実施形態では、下記のオリゴヌクレオチド:
配列番号2;
配列番号3;
配列番号10;
配列番号1及び4〜9;
下記から選択される核酸ポリマー:
配列ACの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
配列CAの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
配列TGの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;及び
配列GTの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
任意のHBV mRNAの任意の部分を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド;
ヒトアポリポタンパク質H mRNAの任意の部分を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド;
任意のHBV mRNAの任意の部分を標的とするsiRNA;
ヒトアポリポタンパク質H mRNAの任意の部分を標的とするsiRNA
がオリゴヌクレオチドキレート複合体として更に製剤化されてもよい。
【0068】
別の実施形態では、上述の使用又は治療方法は下記:
フマル酸テノホビルジソプロキシル;
エンテカビル;
テル
ブビジン;
アデホビルジピボキシル;及び
ラミブジン
からなる群から選択される第3の薬学的に許容可能な薬剤を同時に投与すること又は使用することを更に含む。
【0069】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びインターフェロンα−2aを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0070】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンα−2aを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0071】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンα−2aを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0072】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンα−2aを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0073】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンα−2aを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0074】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンα−2aを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0075】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びチモシンα1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0076】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びチモシンα1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0077】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びチモシンα1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0078】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びチモシンα1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0079】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びチモシンα1aを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0080】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びチモシンα1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0081】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びインターフェロンα−2bを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0082】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びインターフェロンα−2bを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0083】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びインターフェロンα−2bを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0084】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びインターフェロンα−2bを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0085】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びインターフェロンα−2bを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0086】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びインターフェロンα−2bを含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0087】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンλ1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0088】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンλ1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0089】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンλ1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0090】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンλ1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0091】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンλ1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0092】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びペグ化インターフェロンλ1を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0093】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びGS−9620を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0094】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号2のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びGS−9620を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0095】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びGS−9620を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0096】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号3のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びGS−9620を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0097】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びGS−9620を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【0098】
また、B型肝炎感染又はB型肝炎/D型肝炎の同時感染を治療する方法又は治療による使用であって、かかる治療を必要とする患者に配列番号10のオリゴヌクレオチドキレート複合体を含む第1の薬学的に許容可能な薬剤及びGS−9620を含む第2の薬学的に許容可能な薬剤を投与することを含む方法又は使用も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0100】
HBsAgは、HBV感染及びHBV/HDV同時感染において重要な役割を果たす。そのビリオン形成のための必須の構造要素としての役割の他に、HBsAgはまた、ウイルスキャプシド及びゲノムを欠き、主に血液中にHBsAgを輸送するため機能するようになる、サブウイルス粒子(SVP)の形態で感染した被験体の血液中に大量に放出される。SVPは、ウイルス分泌に対して1,000〜10,000倍も過剰に感染細胞から分泌され、これは、血液中のHBV又はHDVウイルスが後天的免疫による認識から回避できるように、SVPがHBsAg抗体(抗HBs)を効果的に隔離することを可能とする。また、いくつかの研究はHBsAgがHBV感染に対して後天的及び先天的免疫応答の活性化を直接阻止するように機能し得ることを示唆したが(Cheng et al.,2005,Journal of hepatology,43:4 65−471;Op den Brouw et al.,2009,Immunology,126:280−289;Vanlandschoot et al.,2002, The Journal of general virology,83:1281−1289;Wu et al.,2009,Hepatology,49:1132−1140;Xu et al.,2009,Molecular immunology,46:2640−2646)、ヒトHBV感染及びHBV/HDV同時感染におけるこの機能性の存在、及び免疫治療剤の活性に対するその影響は、調査も確立もされていない。また、HBeAg及びHBcAgは、免疫阻害特性を有することが示された(Kanda et al.2012 J.Inf.Dis.206:415−420;Lang et al.2011 J.Hepatol.55:762−769;Gruffaz et al.2013,J.Hepatol.58(supp1),p s155,Abstract 378)。
【0101】
抗HBsを隔離するための(SVPとして)血液中で認識された過剰なHBsAgの活性に加えて、一部のin vitro及びin vivoシステムにおけるHBsAgのサイトカインシグナリングを遮断する能力は、HBsAgのこれらの免疫阻害特性もまたヒト被験体におけるHBV感染及びHBV/HDV同時感染に存在する可能性があることを示唆する。感染した患者の血液中の大過剰のHBsAgにより、最適な免疫機能(後天的及び先天的の両方)に重要な多くのシグナル機構の効果的な機能障害が存在する可能性がある。更に、本明細書に提示される新規な開示は、これらのシグナル機構の多くもまた、免疫治療剤の効果が完全に実現されるのにおそらく必須であることを最初に確立する。また、これらの開示は、免疫治療剤の作用の阻害において循環HBsAgの重要な効果を最初に確立する。
【0102】
本明細書では、血液からHBsAgを除去することが可能な第1の薬学的に許容可能な薬剤及び免疫機能を賦活する免疫治療剤からなるHBV感染及びHBV/HDV同時感染に対する有効な治療の証明が提供される。かかる併用治療は、HBsAgの免疫阻害特性の不在下で抗循環HBsAg抗体が循環ウイルス及びウイルス産生細胞に直接攻撃することを可能とし、免疫療法の効果の大きな改善を導いて、免疫療法が単独で使用されるよりも、より一層多くの患者において、HBV感染の免疫制御の達成をもたらす。
【0103】
本明細書には、以前に記載されたin vitroでサイトカインシグナルを遮断する能力に加えて、予想外に、循環HBsAgもまた、HBVに対する宿主免疫応答を抑制することに加えてHBVの治療に承認された免疫療法の機能を直接阻害するという新規な証明が開示される。よって、血液からHBsAgを除去することが可能な第1薬剤と免疫機能を賦活する第2薬剤とを組合せる治療法は、HBV感染の免疫制御の回復を可能とすることに関して大いに改善された効果を有するこれら2つの薬剤間の新規な相乗作用をもたらす。
【0104】
本明細書では、慢性HBVを伴う患者の血液からの(核酸ポリマー又はNAPを使用する)HBsAg(及び他のHBV抗原)の除去が一定の免疫回復を可能とし得るが、この免疫学的再活性化のレベルは大半の患者で永続的な制御を生み出すのに十分ではないことを示すヒトにおけるデータを提示する。このデータは、感染した患者の血液におけるHBsAg(又は、更に他のHBVタンパク質)の減少又は除去をもたらす任意の他の薬学的に許容可能な薬剤又は方法は、NAPによって達成される治療結果に対していかなるより良好な治療結果も達成しないと予想されることを明確に教示する。
【0105】
更に、本明細書では、HBV感染を伴う患者の血液中のHBsAgの存在がチモシンα1又はペグ化インターフェロンα−2aのような免疫治療剤の生化学的活性を抑制することを最初に証明する、ヒト患者におけるデータが示される。NAP REP2139を使用して、HBV感染を伴う患者の血液中のHBsAgは、チモシンα1又はペグ化インターフェロンα−2aによる治療の前に除去された。HBsAg陰性環境において、これら2つの免疫治療剤のいずれかによる治療は、これらの免疫治療剤が単剤療法で使用される場合に通常観察されるよりも実質的により強力で一層迅速な免疫応答(血液中の抗HBsAg抗体産生により測定される)の活性化において重大で予測されない相乗作用をもたらした。最も重要なことには、これらの患者の血液からのHBsAgの除去は、免疫療法に対するこれらの劇的な応答がほとんどの患者で起きることを可能としたことである。陽性の免疫応答はいずれも、単剤療法で使用される免疫治療剤を用いて治療された患者では稀である。
【0106】
また、これらの結果は、HBV感染又はHBV/HDV同時感染を伴う患者の血液からのHBsAgの除去が、典型的に採用されるよりも短期間の治療計画によって免疫療法を受けている患者のほとんど又は全てにおいて、任意の免疫治療剤のより強力な免疫応答を引き出す能力に対して相乗的な影響を有することを初めて証明する。これらの結果は、ここで、当業者に対して、HBV感染又はHBV/HDV同時感染した患者の血液からHBsAgを除去する任意の方法又は薬学的に許容可能な薬剤が、任意の薬学的に許容可能な免疫治療剤の生化学的活性の改善に対して同じく有利で相乗的な効果を有すると予測されることを明確に教示する。免疫治療剤の活性におけるこの改善は、免疫療法の前若しくは免疫療法に付随してHBsAgの減少若しくは除去が達成された場合、又は、予め免疫療法が開始され、継続された後にHBsAgの減少若しくは除去が達成された場合に実現されるであろう。
【0107】
免疫機能を賦活する薬学的に許容可能な薬剤と組合せた血液から(任意の手段で)HBsAgを除去する薬学的に許容可能な薬剤による患者の治療の大きな相乗的抗ウイルス効果の認識は、本明細書の開示前に予測又は教示されていなかった既存の免疫療法による抗ウイルス応答の劇的な改善の達成に対する新規なアプローチを提示する。
【0108】
オリゴヌクレオチド(ON)の用語は、リボ核酸(RNA)及び/又はデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマー又はポリマーを指す。この用語は、修飾された核酸塩基(5’メチルシトシン及び4’チオウラシルを含む)、糖及びヌクレオシド間の共有結合(骨格)、また同じく、同様に機能する非天然部分を有するONで構成されるONを含む。そのような修飾された又は置換されたONは、例えば、免疫応答性の減弱、細胞取り込みの増強、核酸標的に対する親和性の増強(アンチセンスON、siRNA及びshRNAに関して)及び/又はヌクレアーゼが媒介する分解に対する安定性の増加等の望ましい特性のため、天然形態よりも好ましい場合がある。ONは二本鎖であってもよい。また、ONは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、シュピーゲルマー及びアプタマー等の一本鎖分子、並びに低分子干渉RNA(siRNA)又は低分子ヘアピンRNA(shRNA)等の二本鎖分子を含む。
【0109】
ONは、様々な修飾、例えば、安定化修飾を含むことができ、そのため、ホスホジエステル結合中及び/若しくは糖に対して、並びに/又は塩基に対して少なくとも1つの修飾を含んでもよい。例えば、ONは、これらに限定されることなく、結合又は糖又は塩基の全てに言及される修飾を共に含有するように、1若しくは複数の修飾を含んでもよく、又は完全に修飾されてもよい。修飾された結合は、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、及び/又はメチルホスフェート結合を含んでもよい。修飾された結合が有用であるが、ONはホスホジエステル結合を含んでもよい。更なる有用な修飾は、これらに限定されることなく、2’−O−メチル修飾等の2’−O−アルキル修飾、2’O−メトキシエチル(2’MOE)、2’−アミノ修飾、2’−フルオロ等の2’−ハロ修飾を含む糖の2’−位における修飾;非環状ヌクレオチドアナログを含む。ロックド核酸等の他の2’修飾も当該技術分野において知られており、使用されてもよい。特に、ONは、全体に修飾された結合を有するか、各結合が例えばホスホロチオエートで修飾され;3’−及び/又は5’−キャップを有し;末端3’−5’結合を含み;ONはリンカー(複数の場合もあり)で結合された2以上のON配列からなるコンカテマーであるか、それを含む。塩基修飾は、シトシン塩基の5’メチル化(5’メチルシトシン又はヌクレオチドに関しては5’メチルシチジン)及び/又はウラシル塩基の4’チオエート化(thioation)(4’チオウラシル又はヌクレオチドに関しては4’チオウリジン)を含んでもよい。ホスホロチオエート化結合を伴うオリゴヌクレオチド、2’リボース修飾(2’O−メチル化等)及び修飾塩基(5’メチルシトシン等)を有するような合成条件が化学的に適合性の種々の化学的に適合性の修飾された結合が組み合されてもよい。更に、ONは、これらの種々の修飾の全て(例えば、各結合がホスホロチオエート化される、各リボースが2’修飾される、及び各塩基が修飾される)により完全に修飾されてもよい。
【0110】
本出願では、「核酸ポリマー」又はNAPの用語は、配列特異的機能性を含有せず、核酸標的とハイブリダイズせず、また特定のタンパク質への結合を生じない配列特異的な二次構造を採用することもない、任意の一本鎖ONを特定することが意図される。NAPの生化学的活性は、ONのToll様受容体認識、標的核酸とのハイブリダイゼーション又は存在するヌクレオチドの具体的な順番に由来する具体的な二次/三次ON構造を必要とするアプタマー相互作用に依存しない。NAPは、上述の塩基及び又は結合及び又は糖の修飾を含んでもよい。NAP化合物の例として下記を含む:
配列ACの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
配列CAの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
配列TGの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
配列GTの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌチレオチド;
配列UGの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌクレオチド;
配列GUの繰返しを含む20〜120ヌクレオチド長のホスホロチオエート化オリゴヌチレオチド;及び
配列番号1〜10。
【0111】
ONキレート複合体は、二価又は多価の金属カチオンによって分子間結合された2以上のONである。ONキレート複合体は、これらの化合物の投与と関連する副作用に寄与し得るON本来のキレート化特性を中和する。ONキレート複合体の投与は、キレート化されていないON(当該技術分野において通常使用されているナトリウム塩としてのON投与)と関連する投与関連副作用が緩和される、被験体へのONの投与方法である。これらの副作用は、振戦、静脈内点滴による発熱及び悪寒又は硬化、皮下投与による注射部位の炎症及び疼痛を含んでもよい。更に、ONをキレート複合体として調製することにより、それらの薬物動態挙動が改善され、それらの全体において参照により組み込まれる、国際公開第2012/021985号及び米国出願公開第2012/0046348号に記載されるキレート化されていないONと比較して同様の投薬により治療成績の増す場合がある。ONキレート複合体の投与は、ナトリウム塩として通常使用される場合ONの生化学的活性を妨げない。よって、本明細書に記載される任意のアンチセンスON、siRNA、又はNAPは、その生化学的活性に影響を及ぼすことなくONキレート複合体として任意に調製されてもよい。
【0112】
ONキレート複合体は、カルシウム、マグネシウム、コバルト、鉄、マンガン、バリウム、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、水銀及び鉛を含む多様な多価金属カチオンを含有してもよい。これらの多価金属カチオンのキレート化は、ONの存在下ではホスホジエステル結合又はホスホロチオエート結合のいずれかにより、金属カチオンを介して結合された2以上のONで構成され、6ヌクレオチド長より大きいONにより生じるONキレート複合体の形成をもたらす。ONは、任意に、各結合をホスホロチオエート化してもよい。また、キレート化は、リボースで2’修飾(2’Oメチル等)を含有するか、又は5’メチルシトシン若しくは4−チオウラシル等の修飾塩基を含有するONにより生じる。これらの2’修飾は、1つ若しくは複数、又は全てのリボースに存在してもよく、修飾塩基は1つ若しくは複数の塩基に存在してもよく、又は各塩基に広く存在してもよい(すなわち、全てのシトシンが5’メチルシトシンとして存在する)。更に、ONキレート複合体は、各結合がホスホロチオエート化されている、各リボースが2’修飾されている、及び各塩基が修飾されているといった複数の修飾を含有するONを具備してもよい。ONキレート複合体形成と適合性のON修飾は、上記に更に定義される。更に、金属カチオンのキレート化は存在するヌクレオチド配列に依存しないが、代わりに、全てのONに共通の生理化学的特徴に依存する。
【0113】
ONキレート複合体の形成が任意の二価金属カチオンによって達成され得るのに対し、医薬としての用途が意図されたONキレート複合体はカルシウム及び又はマグネシウムのみを含有することが好ましいが、微量の鉄、マンガン、銅又は亜鉛を含有してもよく、コバルト、バリウム、ニッケル、カドミウム、水銀、鉛、又はここに列挙されていない任意の他の二価金属は含むべきではない。
【0114】
ONは、配列依存性又は配列非依存性のいずれかの数多くの機構によって治療効果を与える。配列依存性機構は、それらの活性のため具体的な核酸配列を必要とするものであり、存在するヌクレオチド配列中の2又は複数の変更により活性が減弱される。この具体的な配列は、ONの全長又はその一部のみ(配列モチーフ)を包含してもよい。配列依存性ONの例は下記を含む:
1.一本鎖又は二本鎖のいずれかのアンチセンスON(例えば、合成干渉RNA(siRNAについて)又は低分子ヘアピンRNA(shRNA))は、アンチセンスONと目的のmRNAの標的部分中に配列との特異的なハイブリダイゼーションによって目的のメッセンジャーRNA(mRNA)又はマイクロRNA(miRNA)の特定の領域を標的とするように設計される。アンチセンスONが細胞へと導入されると、それらは、mRNA上の二本鎖領域の形成をもたらすか、又はmiRNAが管理する、RNAse Hによるこの具体的なmRNA若しくはmiRNAの分解をもたらす。siRNAが細胞へと導入される(又はshRNAが細胞内で発現される)と、アンチセンス鎖(又はガイド鎖)は、標的mRNA上の相補領域とガイド鎖標的化ハイブリダイゼーションを使用するRISC(RNA誘導サイレンシング複合体)へと組み込まれて、アルゴノートと呼ばれるRISCの触媒成分によってその切断に影響を与える。
2.立体的遮断ONは、mRNAの特定部分又は未成熟mRNAに相補的であるが、RNAse Hの作用を妨げることが知られている修飾である、リボース毎に2’修飾を含有することによるか、又はRNAse Hにより認識されない修飾されたON化学(モルホリノON等)を使用することにより、RNAse Hを活性化しないように操作された一本鎖アンチセンスONである。これらのONのそれらの標的mRNAへのハイブリダイゼーションは、RNA(スプライシングタンパク質又はリボソーム等に対して正常に作用するタンパク質に立体障害をもたらす二本鎖部分を生じる。かかるONは、特定のmRNAの翻訳を阻止するか、転写後スプライシング及び特定のmRNAの成熟を修飾するために採用されてもよい。
3.アプタマーは、特定のタンパク質相互作用が可能な具体的な三次元構造を採用し、宿主DNA又はRNAとは容易に相互作用しないONである。また、アプタマーは、ONに高い酵素安定性を付与するためD−ヌクレオチドに代えてL−ヌクレオチドを使用するシュピーゲルマーを含んでもよい。
4.免疫賦活ONは、非CpGモチーフ媒介機構を介してtoll様受容体7、8及び9への結合又はその活性化をもたらす具体的な修飾を含有し、免疫機能を賦活することができる(Kandimalla et al.2011.Cell.Immunol.270:126−134;Struthers et al.2010.Cell.Immunol.263:105−113)。
【0115】
アンチセンスON、siRNA又はshRNAの設計においてこれらの分子の配列は、下記ガイドライン中の具体的なRNAの意図される標的配列に100%相補的となるように設計される:
アンチセンスONは15〜25ヌクレオチド長であり、意図される標的配列に100%相補的な配列を含有する。
siRNAのガイド鎖は、目的mRNAの標的部分に対して100%相補的な19〜21ヌクレオチド長の1つのオリゴリボヌクレオチドを含有し、パッセンジャー鎖(二本鎖の他方の鎖)はガイド鎖に100%相補的な同じ長さのリボヌクレオチド配列を含有する。また、ガイド鎖及びパッセンジャー鎖の両方が、各鎖の3’末端に2つの追加のデオキシチミジンヌクレオチドを有する。
shRNA分子は、1つの連続するオリゴヌクレオチドであるがヘアピンを形成するように設計された短い非相補的オリゴヌクレオチド配列によって分離されるオリゴヌクレオチド中のガイド鎖及びパッセンジャー鎖の配列を含む長いRNA(上述のように、siRNAについては19〜29ヌクレオチド長の場合がある)を産生するプラスミド又はウイルス系(例えば、レンチウイルス又はアデノウイルス)発現コンストラクト等の発現ベクターから産生される。この発現コンストラクトからのRNAの転写は、siRNAについて上述されるようにダイサー酵素により処理されてRISCに搭載される短いヘアピンRNAの形成をもたらす。
【0116】
本明細書では、「抗ウイルスON」の用語は、その特異的な生化学的活性により(配列依存性又は配列非依存性を問わず)、ウイルス複製のある局面を直接若しくは間接に阻害するか、又は免疫学的若しくは他の機構によってウイルス感染を取り除く宿主の能力を直接若しくは間接に増強する能力を有する、任意のアンチセンスON、siRNA、shRNA又はNAPを指す。
【0117】
本開示では、「ONキレート複合体」の用語は、その全体において参照により組み込まれる、国際公開公報第2012/021985号及び米国出願公開第2012/0046348号に記載される二価金属カチオンによって分子間で結合された、溶液中の2以上のONの複合体を指す。ONキレート複合体は、アンチセンスON、siRNA、又はNAPと共に形成され得る。
【0118】
本開示では、「抗ウイルスONキレート複合体」の用語は、多価金属カチオンによって分子間で結合された、溶液中の2つ以上の抗ウイルスONの複合体を指す。
【0119】
ホスホロチオエート化NAPは、ONに基づく広域抗ウイルス剤の新規なクラスであり(Bernstein et al.,2008,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,52:2727−2733;Cardin et al.,2009,Virology Journal,6:214;Guzman et al.,2007,Antiviral Therapy,12:1147−1156;Lee et al.,2008,Virology,372:107−117;Matsumura et al.,2009,Gastroenterology,137:673−681;Vaillant et al.,2006,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,50:1393−1401、並びに米国特許第8,008,269号、第8,008,270号及び第8,067,385号)、またSVPの形成及びHBVに感染した肝細胞からのSVPの放出を阻止する(実施例Iを参照されたい)。SVPがHBVを伴う患者の血液中のHBsAgの99.9%超を構成することから、NAPによるSVPの形成及び/又は感染した肝細胞からの放出の阻止は、HBVに感染した患者の血液からHBsAgを除去する非常に効果的な方法である。
【0120】
実施例IIに記載されるように、NAPによる感染した患者の血液からのHBsAgの除去は、次に血液からHBV e抗原(HBeAg)を除去する免疫応答の部分的な回復、及び治療の間血液中のウイルスレベルの実質的な減少をもたらすが、ほとんどの患者において治療が停止された後、これらは維持されない。この部分的な免疫応答の回復(HBsAg及び他のウイルス性抗原の不在下で)が、治療が停止された後にわずかな患者においてHBV感染の永続的な免疫制御の確立を導き得る一方、治療された患者の大半において治療中止時のこの制御を達成するのに十分ではない。よって、同様の効果を有する任意の方法により又は任意の他の薬学的に許容可能な薬剤を使用して、単純に血液からHBsAgを除去するアプローチは、限定された割合の患者における治療中止時の永続的な制御の確立をもたらすのと同じ中程度のレベルの免疫回復を提供するに過ぎない。
【0121】
NAP以外に、HBVに感染したヒト患者における血液から急速にHBsAgを除去する能力を有する他の薬剤は公には開示されていない。しかしながら、当該技術分野においてよく知られた血液からのHBsAgの除去を達成することが予測されている、NAPの使用以外に採用され得るいくつかの他の方法論が存在する。かかる方法論は(限定されないが)下記を含む:
A.SVPの形成の阻止し、感染した細胞の分泌機構によるSVPの輸送を阻止し、感染した肝細胞からの血液中へのSVPの放出を阻止し、又は感染した細胞からのHBsAgの放出を広く阻止するため、HBsAgタンパク質の部分、又はSVPの形成に関与する他のウイルス若しくは宿主因子を標的とする小分子アプローチを使用すること。このアプローチで使用される小分子は、Yu et al.(2011,J.Med Chem.54:5660−5670)で記載されるトリアゾロピリミジン誘導体を含んでもよく、HBV産生細胞株からのHBsAgの放出を阻害することが示された
図1に記載される具体的なトリアゾロピリミジン誘導体を含んでもよい。また、SVPの産生に重要な可能性があるApo Hタンパク質を標的とする他の小分子が使用されてもよい(カナダ出願第2,746,981号に記載される)。
B.特定のmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はshRNA分子を含むアンチセンスに基づくONアプローチを使用し、それによりHBsAgの合成(すなわち、HBsAgタンパク質を産生するのに使用されるmRNAの分解を触媒する)、SVPの形成に関与する他のウイルス若しくは宿主の因子(カナダ出願第2,746,981号に記載されるApo Hを含む)、感染細胞の分泌機構によるSVPの輸送又は感染した肝細胞からの血液中へのSVPの放出を阻害するため、それらの分解を触媒する。また、かかるアンチセンスに基づくアプローチは、SVPの形成、細胞内輸送又は感染した肝細胞からの放出に重要なタンパク質の合成に必要とされるウイルス又は宿主のmRNAとハイブリダイズするために採用され、上述の機構によりこれらのmRNAの分解を引き起こし得る。特に、HBVにおける一部のアンチセンス系アプローチは、siRNA等の単一のアンチセンス分子が、HBVゲノムの単独の領域にハイブリダイズすることによりウイルスゲノムから産生される全てのHBV mRNAと干渉するように設計されて、Fu et al.(2008,Acta Pharmacol.Sin.29:1522−1528)に記載されるようにHBsAg、HBeAg及びHBcAgの合成に同時に影響を及ぼすHBVゲノムから産生される全てのmRNAの分解をもたらし得ることから特に有利な場合がある。2つ以上のアンチセンス分子もまた、別々の分子として、又はSnyder et al.(2008,Antiviral Res.,80:36−44)によって記載されるように感染した宿主へと導入された単一の発現ベクターから産生された分子としてのいずれかで同時に使用されてもよい。HBVタンパク質の合成のアンチセンスによる阻害について当該技術分野で知られている例として下記を含む:
a.アルトリトール修飾siRNAリポプレックス(Hean et al.,2010,Artificial DNA:PNA & XNA,1:17−26)。
b.1つ又は複数のsiRNA配列(Xin et al.,2008,World J.Gastroenterol.,14:3849−3854;Zhe et al.,2005,J.Zhejiang Univ.Sci.,6B:236−241、及びChen et al.,2008,Pharmaceutical Res.,25:72−86において再考察される)。
c.1つ又は複数のsiRNA配列及びポリコンジュゲートシステム(ARC−520)、
http://www.arrowheadresearch.com/press−releases/arrowhead−research−advances−arc−520−ind−enabling−studies−treatment−hepatitis−b−及び;
http://www.arrowheadresearch.com/sites/default/files/press_releases/pdf/whitepaper−hbv−3−7−12.pdf.
d.ロックド核酸修飾アンチセンス分子(Sum et al.,2011,Biochem.Biophys.Res.Comm.,409:430−435)。
e.1つ又は複数のshRNA(Zhang et al.,2010, BMC Microbiol.10:214; Starkey et al., 2009,J.Gen Virol.90:115−126 and reviewed in Chen et al.,2008,Pharmaceutical Res.,25:72−86)。
C.HBsAg、HBeAg若しくはHBcAgタンパク質の部分、又は循環に存在する他のウイルス若しくは宿主の因子(Apo Hを含む)を標的としてそれらの血液からの除去を加速するためONに基づくアプタマーアプローチ(古典的なアプタマー又はシュピーゲルマーを含む)を使用すること。古典的アプタマー及びシュピーゲルマーは、それらの安定性及び循環半減期を改善するためWaters et al.2011 Blood 117:5514−5522及びWlotzka et al.2002 Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.99:8898−8902に記載されるように更にペグ化されてもよい。
D.直接にHBsAgを標的とし、血液からのその除去を加速するための抗体に基づくアプローチを使用すること。
【0122】
本明細書で使用される「血液からのHBsAgの除去」の用語は、Abbott Architect(商標)定量的HBsAgアッセイにより測定される治療前のHBsAg血液濃度と比較した、血液中のHBsAg濃度の統計学的に有意な任意の減少を意味する。この血清HBsAgアッセイは、血液中のHBsAgレベルの測定に関して容認された基準であり、ヒト患者における診断用途について承認されている。
【0123】
本開示において有用となり得るONの例が表1に提示される。
【表1】
PS=ホスホロチオエート、2’OMe=2’Oメチル、5’MeC=5’メチルシトシン
【0124】
血液からのHBsAgの除去を達成するのに使用されてもよい上述される様々な薬学的に許容可能な薬剤の有効な投薬計画の例は以下の通りである:
全てのNAP及びHBV又はapoH mRNAの分解を引き起こすホスホロチオエート化アンチセンスオリゴヌクレオチドについて、1週間当たり100〜500mgの化合物の非経口投与の日常的な使用が当該技術分野において確立されており、下記実施例においてNAPについて、また肝臓特異的なmRNAの分解を引き起こすホスホロチオエート化アンチセンスON(アポリポタンパク質B100)について、Akdim et al. 2010 Journal of the Americal College of Cardiology 55: 1611−1618)により記載されるように、肝臓においてこれらの化合物の治療的に活性なレベルの達成をもたらす。
肝臓において治療レベルの活性を達成するため、siRNAは典型的にはカプセル化され
下記:
http://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=2&ved=0CDgQFjAB&url=http%3A%2F%2Fwww.alnylam.com%2Fcapella%2Fwp−content%2Fuploads%2F2012%2F01%2FALNY−PCS−PhI−PrelimResutls−Jan2012.pdf&ei=ii6UUZnBLZbe4AO8roHoBA&usg=AFQjCNGiN3K7_fVEcY−_2F91nDuepwraZA&sig2=3ZAZvGQOJXQ1xU4W−−Rb5w&bvm=bv.46471029,d.dmg&cad=rja
に記載されるようにヒト患者の肝臓においてPCSK9に対するmRNAを分解する具体的な適用のため投薬される。
上述のように、カプセル化siRNAは、0.015〜0.20mg/kgの非経口投薬計画によりヒト患者の肝臓において治療効果を達成することができ、2週間に1回又は1ヶ月に1回の投薬で継続的な効果をもたらし得ると予想される。
shRNAは、ヒトの状況ではいまだ使用されていないが、齧歯類におけるin vivoでの研究は、shRNAを発現するように設計された発現ベクターは、siRNAと同等の濃度でマウスにおいて投与された場合に、siRNAと同じくらい有効となり得ることを示した(McAnuff et al.2007.Journal of Pharmaceutical Science 96:2922−2930。従って、上述のようなウイルスに基づく又はカプセル化に基づく輸送システムのいずれかを使用して、shRNAの投薬はsiRNAに使用されるものに匹敵する投薬計画を用いて肝臓において同等の効果を達成すると予想される。
アプタマーは、典型的には安定性の改善を達成するためにペグ化され、Waters et al.2011 Blood 117:5514−5522に記載されるように1週間当たり100〜600μg/kgの非経口的な用量で治療的に有効となり得る。
また、シュピーゲルマーは、典型的にはペグ化されて循環半減期の改善を達成し、米国ジョージア州アトランタにおけるthe 54
th Annual ASH Meeting and Expositionで提示されたRiecke et al.2012の要約に記載されるように、一日おきに与えられる1.2mg/kg未満の非経口用量により治療的に有効となり得る。HBsAg又は他のHBVタンパク質への結合又はHBV感染患者の血液からのそれらの除去の加速に関して、HBV感染を伴う患者において典型的にHBsAgが高濃度であることから、アプタマー又はシュピーゲルマーの両方がより高い用量で必要とされる場合がある。
【0125】
上述のように、HBV感染の治療に対する免疫療法アプローチの有効性には制限がある。インターフェロンに基づく単剤療法の制限の1つは、非常にわずかな患者においてしか血液からのHBsAg除去が達成されないことである(Moucari et al.,2009,Antiviral Ther.,14:1183−1188;Reijnders et al.,2011,J.Hepatol.,54:449−454)。このHBsAg除去は、この少数の治療した患者における治療中及び治療中止時のHBV DNAの永続的な制御を達成する基礎となる可能性がある(Moucari et al.,2009,Hepatology,49:1151−1157)。インターフェロンに基づく治療法の別の重要な制限は、48週間の暴露の後、治療中の非常に少数の患者において中程度(<50mIU/ml)の抗HBs産生が引き出されるに過ぎないことである(Reijnders et al.,2011,J.Hepatol.,54:449−454;Harayiannis et al.,1990,J.Hepatol.,10:350−352)。これらの重要な制限は、おそらくは、免疫治療後の限られた数の患者のみにおける持続的なウイルス学的応答の達成の基礎となる重要な因子である。
【0126】
上述のように、HBsAgは、免疫機能のサイトカイン媒介賦活に重要なシグナル経路を遮断し得る。多くの異なる種類の免疫治療剤が、免疫賦活化を果たすためにいくつかの共通するシグナル伝達経路を利用することが当該技術分野においてよく知られている。本明細書に提示される開示は、免疫治療剤によって使用されるこれらのシグナル伝達経路の多く(又はほとんど)もまた、HBsAgの作用によって遮断され得ることを更に示す。本明細書における新規な開示は、異なる免疫療法の作用は、HBsAgの存在によって特異的に阻害され、これらの異なる免疫療法の治療効果は、治療計画に提供される場合、HBsAgの不在下で相乗的に改善されることを示す。従って、血液からのHBsAgの除去は、今度は多くの異なる免疫治療剤の最適な活性に必要とされるシグナル経路のより脆弱な阻害をもたらし得る。よって、以前に血液からHBsAgを除去した患者、又は免疫療法中に血液中のHBsAgを積極的に除去している患者における免疫療法の適用は、任意の免疫療法の免疫賦活効果に対して同様の相乗的な影響を経験する可能性があろう。
【0127】
本開示では、免疫治療剤の用語は、その特異的な生化学的活性により宿主の免疫機能を直接又は間接に増強する能力を有する、小分子、又はポリペプチド、又はサイトカイン、又はホルモンを指す。ポリペプチドは、天然由来であっても、組換えであってもよい。ポリペプチドは、組換えによって天然に生じるポリペプチドの一部に由来してもよい。ポリペプチドはペグ化されてもよく、そうでなくてもよい。
【0128】
ポリペプチドのペグ化方法、及びこれらのポリペプチドの生化学的活性とペグ化の適合性は、当該技術分野においてよく知られており、特定のアミノ酸残基において問題のポリペプチドに対してポリエチレングリコール(PEG)鎖を連結することからなる。ペグ化の主な機能は、ポリペプチドの循環寿命を延ばすこと、またその免疫原性を低減することである。これらの特徴は、問題のポリペプチドの忍容性を改善し、最適な治療効果に必要な投薬頻度を減少する。更に、ポリペプチドに対するPEG残基の付着は、問題のポリペプチドの特定の生化学的活性に影響を与えることなく達成され得ることが当該技術分野において知られている。また、ペグ化は、問題のポリペプチドの水溶解性を増加して製剤化しやすさを改善することも知られている。ペグ化ポリペプチドの多くの例が当該技術分野において知られており、エリスロポエチンのペグ化形態であるMircera(商標);ヒト顆粒球コロニー刺激因子のペグ化形態であるNeulasta(商標);ヒトインターフェロンα−2aのペグ化形態であるPegasys(商標);ヒトインターフェロンα−2bのペグ化形態であるPeg−intron(商標);及びペグ化インターフェロンλ1(現在臨床開発中)を含む。
【0129】
更に、HBVタンパク質の存在下(例えば、感染した患者、チンパンジー又は細胞モデル)で有用な免疫治療活性を有することがこれまで示されていない免疫治療剤は、血液からのHBsAgの除去に伴って有用な免疫治療活性を有することがここで示される可能性があり、血液からHBsAgを除去する任意の薬剤との組合せでHBVの治療に更に有用な可能性がある。
【0130】
任意の免疫治療剤の抗ウイルス活性の証明は、この賦活された免疫機能が抗ウイルス性の影響を有することから、免疫機能を賦活する能力を間接的な測定として一般に受け入れられている。従って、抗ウイルス活性を有する任意の免疫治療剤は、免疫機能を賦活する能力を有する。
【0131】
ほとんどのアジアの国々において、HBV及びC型肝炎(HCV)の治療についてペグ化インターフェロンα−2a(Pegasys(商標))、HBV及びHCVの治療についてインターフェロンインターフェロンα2−b(Intron−A(商標))、及びHBVの治療についてチモシンα1(Zadaxin(商標))を含む免疫治療剤が、現在ウイルス感染の治療に承認されている。また、サイトカイン、インターフェロンλ1、λ2、λ3及びγ、並びにTNFα(Friborg et al.,2013,Antimicrobial Agents and Chemotherapy,57:1312−1322;Lau et al.1991,Hepatology 14:975−979;McClary et al.2000.Journal of Virology 74:2255−2264;Robek et al.2005.Journal of Virology 79:3851−3854)、ペグ化インターフェロンλ1(Muir et al.,2010,Hepatology,52:822−832)、及びGS−9620(Gilead Sciencesにより現在開発中)、ANA−773(Anadysにより現在開発中)のような小分子Toll様受容体アゴニスト、並びに免疫賦活性オリゴヌクレオチドIMO−2055及びIMO−2125(Idera Pharmaceuticalsによって現在開発中)(Wu et al.,2007,Hepatology,46:1769−1778;Horscroft et al.,2012,J.Antimicrob. Chemotherapy,67:789−801;Lanford et al.2013 Gastroenterology Feb 12 in press;www.natap.org/2010/AASLD/AASLD_39.htm)を含む、証明された抗ウイルス活性を有する他の免疫治療剤も存在する。更に、ホルモンであるデヒドロエピアンドロステロン(5−アンドロステン−3β−17−オン、DHEA)及びその多くの代謝産物(アンドロステンジオール(5−アンドロステン−3β−17β−ジオール、βAED)、アンドロステントリオール(5−アンドロステン−3β−7β−17β−トリオール βAET)は、ウイルス感染に対する保護ワクチン反応の発達を改善する能力により、明確な確立した免疫賦活機能性を有し、多くのウイルス感染に対してin vivoで直接的な抗ウイルス活性を提供する(Araeno et al.,1993,J.Inf.Dis.,167:830−840;Danenberg et al.,1995,Vaccine,13:1445−1448;Khorram et al.,1997,J.Gerontol.A.Biol.Sci.Med.Sci.,52:M1−M7;Loria and Padgett,1998,Rinsho Byori,46:505−517;Loria,2002,Steroids,67:953−966;Knoferl et al.,2003,J.Appl.Physiol.,95:529−535;Oberbeck et al.,2007,Inten. Car Med.,33:2207−2213;Burdnick et al.,2009,Int.Immunopharmacol.,9:1342−1346;Hazeldine et al.,2010,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.,120:127−136;Schmitz et al.,2013,Med.Chem.,Feb 15,発行前にEpubで公開)。
【0132】
本開示に記載される免疫機能の賦活及びHBV感染に関する測定は、免疫療法を受けている患者で産生される遊離の抗HBsAg抗体レベルの変化(しかし、これに限定されない)によって最も容易に測定される。Abbott Architect(商標)定量的抗HBsAg抗体検査の使用は、慢性HBV感染を伴う患者の血清中の遊離抗HBsAg抗体レベルを評価するため世界的に容認された方法であり、HBV感染を伴う患者における抗HBsAg抗体産生の存在又は増加は、免疫療法又はHBVポリメラーゼ阻害剤療法を受けるこれらの患者における免疫応答の容認された代理測定である。
【0133】
上述の併用治療の存在下での免疫機能の改善をモニターするために採用され得る容認された他の免疫機能の測定が存在する。これらの測定は、インターフェロン応答遺伝子の転写活性の増加、又は血液中のHBV特異的CD4+若しくはCD8+T細胞レベルの増加、又はIL2等の血液中の様々なサイトカインレベルの増加を含む場合がある(Liang et al.2011.Virology Journal 8:69)。
【0134】
HBVに対するワクチン接種の使用(典型的には抗原としてHBsAgを使用する)は、HBV感染を効果的に予防する広く認識された方法であり、HBV感染の拡大を防止するため世界的に容認された方法である。しかしながら、HBV抗原に対するワクチン接種は、ワクチンがHBsAg及びHBcAg等の2つの異なるHBV抗原を組合せても、治療環境において中程度から無視できるほどの効果しか有していない(Mahtab et al.2013.J.Hepatol.58(supp 1)abstract 760)。本明細書に提示される開示により、この乏しい効果は、これらの患者の血液中に存在するHBsAgの循環レベルに起因する可能性があり、従って、HBsAgに対する(又は他のHBVタンパク質に対する)新たな抗体の産生を賦活するワクチンの能力は血液からのHBsAgの除去により大きく改善される可能性がある。
【0135】
よって、血液からのHBsAgの除去の前、その間又はその後に投与された場合に有効である場合がある、免疫機能を賦活し得ることが知られている多くの免疫治療剤が存在し、これらの免疫治療剤として(制限されることなく)下記:
チモシンα1;
任意のα−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のβ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のγ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
任意のλ−インターフェロン又はそのペグ化誘導体;
インターフェロンα−2a又はα−2b又はα−N3;
インターフェロンβ−1a又はβ−1b;
インターフェロンγ−1b;
インターフェロンλ1又はλ2又はλ3
ペグ化インターフェロンα−2a又はα−2b又はλ1又はλ2;
胸腺プロテインA;
任意の抗ウイルスサイトカイン又はそのペグ化誘導体;
抗ウイルス活性又は免疫賦活活性を有することが示される任意のポリペプチド;
IMO−2125又はIMO−2055等の任意の免疫賦活オリゴヌクレオチド;
GS−9620又はANA−773等の小分子Toll様受容体(TLR)アゴニスト;及び
DHEA又はその代謝産物等の任意の抗ウイルス活性又は免疫賦活活性を有することが示されるホルモンが挙げられる。
【0136】
免疫機能の賦活を達成するため使用される免疫治療剤の有効な投与計画の例は、下記を含んでもよい:
Pegasys(商標)の場合、1週間当たり90〜180μgの用量(添付文書による);
Zadaxin(商標)の場合、1週間当たり1.6mgの用量(添付文書による);
Intron−A(商標)の場合、1週間当たり1×10
7Uの用量(添付文書による);
Muir et al.,2010,Hepatology,52:822−832に記載されるペグ化インターフェロンλ1の場合、1週間当たり1.5〜3.1μg/kgの用量;
任意のサイトカイン、又はペグ化若しくは非ペグ化に関わらず免疫治療用ペプチドについて上述される同様の1週間当たりの用量;
下記に記載される非CpG免疫賦活オリゴヌクレオチドIMO−2125について、1週間当たり0.16〜0.48mg/kgの用量:
http://www.google.com/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=4&ved=0CEsQFjAD&url=http%3A%2F%2Fwww.iderapharma.com%2Fdevelopment%2FIMO−2125−AASLD−10312010.pdf&ei=WTiUUfnxHdWp4AO9vYGoBw&usg=AFQjCNENcwjLWM1B2r8Gf0JmWPRaeh−Xbw&sig2=kyENERyNTYmQoADWGoP1uQ&bvm=bv.46471029,d.dmg&cad=rja
当該技術分野において従来の慣例に従う通常処方される用量、具体的にはHBVワクチンEnergix−B(商標)、Recombivax−HB(商標)について通常処方される用量。
【0137】
従って、本明細書に提示される開示により、上述の免疫治療剤のいずれかによる宿主免疫機能の賦活と組み合された場合、患者の血液中のHBsAgの除去を達成し得る上記方法又は薬剤のいずれかは、HBV感染又はHBV/HDV同時感染を伴う患者における免疫機能の再構築に対して相乗効果をもたらすと予想される。治療中止中の感染の持続的な制御がより一層可能な免疫機能の回復を達成することに加えて、かかる協同もまた、1つ又は両方の薬剤の用量を減少すること、また更には患者の大半で治療的に有効な免疫応答を確立するのに必要ないずれかの薬剤による治療期間を短縮することが予想され得る。実施例IIIは、NAP REP2139によるHBsAgの除去の後にチモシンα1又はペグ化インターフェロンα−2aのいずれかによる追加治療が行われた場合の免疫回復に対する相乗効果を説明する。
【0138】
血液からHBsAgを除去し得る薬剤と免疫治療剤の組合せに関して、任意の量のHBsAgの除去が免疫療法の活性の相乗的改善をもたらす可能性があり、また分割量の特定の免疫治療剤が、HBsAgが完全に除去されていない場合であっても、匹敵するか又はより優れた免疫治療剤の免疫賦活活性をもたらす可能性がある。よって、血液からのHBsAg除去をもたらす任意の薬剤と任意の免疫治療剤とを組合せることは、治療中止時の抗ウイルス反応の持続性(宿主免疫調節)を改善する可能性を有する両方の薬剤の作用に対して相乗効果を有し、また、両方の薬剤の用量を低減してもそれらの薬剤のいずれかが単剤療法で使用される場合と同様又はそれよりも優れた効果を達成し得る。
【0139】
従って、本明細書に提示される開示に従って、血液からHBsAgの減少又はそのクリアランスをもたらす薬学的に許容可能な薬剤と、第2の薬学的に許容可能な免疫治療剤とを組合せてHBV感染又はHBV/HDV同時感染を伴う被験体を治療することが有用な場合がある。
【0140】
また、両方の薬学的に許容可能な薬剤を同じ医薬組成物において投与するか、又は両方の薬学的に許容可能な薬剤を別々の医薬組成物において同時若しくは異なる時に投与するのが有用な場合がある。
【0141】
また、薬学的に許容可能な薬剤を同じ又は異なる投与経路によって投与するのが有用な場合がある。
【0142】
被験体において最良の可能性のある抗ウイルス反応を提供するため、HBVポリメラーゼ阻害剤:フマル酸テノホビルジソプロキシル、エンテカビル、テル
ブビジン、アデホビルジピボキシル、又はラミブジン等(しかし、これらに限定されない)を上記併用療法に追加する必要がある場合がある。かかる抗ウイルス薬は、HBVにおける二本鎖ウイルスゲノムの複製を阻止し、血液中のHBVウイルスの濃度を低下できる。
【0143】
本明細書に記載される組成物は、任意の好適な手段、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒又は粉末等の形態で経口的に;舌下;頬側;皮下、静脈内、筋肉内又は注射若しくは点滴技術等によって非経口的に(例えば、滅菌した注射可能な水溶液若しくは非水溶液又は懸濁液);吸入により;クリーム又は軟膏等の形態で局所的に;又は坐剤又は浣腸剤等の形態で経直腸的に;非毒性の薬学的に許容可能なビヒクル又は希釈剤を含有する用量単位製剤で投与されてもよい。本発明の組成物は、例えば、即時放出又は徐放に適した形態で投与されてもよい。即時放出又は徐放は、好適な医薬組成物の使用により、又は特に徐放の場合には皮下インプラント又は浸透圧ポンプ等のデバイスの使用により達成されてもよい。よって、上記組成物は下記経路:経口摂取、吸入、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、静脈内注射若しくは点滴、又は局所的な任意のいずれか1つの経路で投与されるように適合されてもよい。
【0144】
本発明の開示は、下記実施例を参照することによってより容易に理解される。
【0145】
実施例I
NAPは細胞からのHBsAgの輸送を阻害する
HBsAgは、HBV感染に対する免疫応答の多くの態様を遮断することが示されている(Cheng et al.,2005,J.Hepatology,43:465−471; Moucari et al.,Hepatology 49:1151−1157;Vanlandschoot et al.,2002,J.Gen.Virol.83:1281−1289;Woltman et al.,2011,PloS One 6:e15324;Wu et al.,2009,Hepatology 49:1132−1140 and Xu et al.,2009,Mol.Immunology 46:2640−2646)。従って、循環HBsAgの排除は、慢性B型肝炎感染症を伴う患者における免疫能力を回復させるのに重要な因子である可能性がある。循環におけるHBsAgを排除する効率的な方法は、サブウイルス粒子(SVP)の形成及び又は感染した細胞からの放出を阻止することである(SVPは血液へのHBsAgの主な担体である)。SVPの形態発生及び細胞内輸送は、特異的にSVPに富む形態である、小型のHBsAgタンパク質(sHBsAg)を発現することによりBHK−21細胞においてin vitroでモデル化されてもよい。このモデル系は、HBV SVPの形態発生及び輸送の代用モデルとされている(Patient et al.,2007,J.Virology 81:3842−3851)。HBV感染の慢性化を可能とする血清HBsAgの重要な役割により、このモデルにおける化合物の有効性はHBVに対する抗ウイルス活性を証明する。
【0146】
sHBsAg発現BHK−21細胞において、完全な変性ホスホロチオエート化NAP REP2006及びREP2107、ホスホロチオエート化されていない完全な2’Oメチル化変性NAP(REP2086)、並びにポリAC配列からなるNAP、すなわちREP2055(配列番号2)及びREP2148(配列番号3)を含む様々なNAP化合物を試験した。これらのNAPは、電子穿孔法を使用してsHBsAg発現に関するテンプレートRNAと同時にBHK−21細胞に導入された。BHKモデル系における活性は、免疫蛍光顕微鏡法によりBHK−21細胞内のHBsAgタンパク質の局在を可視化することによって判断された。核周囲空間におけるSVPの形成は、透過型電子顕微鏡法により可視化された。HBsAgが核周囲空間に限定され、細胞の周囲への輸送(分泌)が阻止された場合、又はSVPの形成が阻止された場合に化合物が活性であると判定した。様々なNAP化合物の活性は下表2に要約される。
【表2】
−=効果が観察されなかった
+〜++++=完全な効果が観察される限界
【0147】
REP2006及びREP2107を用いたsHBsAg発現BHK−21細胞の処置による結果は、配列に依存しない様式でSVPの形成及びsHBsAgの輸送を阻止するNAPの能力を証明する。REP2086の活性が無いことから、これらのNAPの活性はホスホロチオエート化の存在に厳密に依存することを証明する。更に、この能力は、2’リボースの修飾(REP2107において)及び塩基修飾(REP2148の場合5’メチルシトシン)の存在下で維持された。更に、REP2107、REP2055は何らの免疫賦活活性も持っておらず、REP2006と同程度に活性であることが知られている。また、ポリACの規定された配列(REP2055及びREP2148)は、変性配列(REP2006及びREP2107)と同程度に活性であった。
【0148】
これらの結果は、変性配列、並びにAC(ひいてはCAも)等、またTG及びGT又はUG及びGU等のプリン/ピリミジンの交互のヌクレオチドの繰返しを含有する、並びに任意に2’リボソームの修飾及び/又は塩基修飾を含む配列に関して、NAPは、米国特許第8,008,269号B2明細書、第8,008,270号B2明細書及び第8,067,385B2号明細書に記載されるNAPの配列依存特性により20〜120ヌクレオチドのオリゴヌクレオチド長でSVPの形成及び細胞内輸送、並びに感染した細胞からの分泌を阻止し得ることが予測される。
【0149】
実施例II
他のHBVタンパク質の除去及び免疫回復に対するHBV感染患者の血液からのHBsAgクリアランスの効果
HBVに慢性的に感染している患者をNAP REP2055(REP 9ACとしても知られる、配列番号2)で治療し、血液からHBsAgを除去した。血液中のHBsAgレベルに対するREP2055投与(局所で1週間当たり400mgを投薬)の効果は、Abbott Architect(商標)定量HBsAg検査を使用してモニターされ、表3に示される。
【表3】
【0150】
血液からのHBsAgの除去は、循環HBeAgの更なる減少(Abbott Architect(商標)定量的HBeAg検査により2名の患者において測定された−表4を参照されたい)、遊離の抗HBsAg抗体の存在(Abbott Architect(商標)定量的検査により測定された−表5を参照されたい)及び血液中のHBVウイルスの減少(Roche Cobas(商標)定量的検査により測定されたHBV DNA−表6を参照されたい)により明らかにされる免疫学的な回復を引き出した。循環HBVウイルスの減少が全ての患者において観察されたが、これらは様々な程度であった。更に、これらの患者のほとんどに対する治療で検出された遊離抗HBsAg抗体力価のレベルは良くても中程度であり、ほとんどの場合、健康な感染していない成人のHBsAgワクチン接種により観察される血液中の抗HBsAg抗体力価より劣っていた。
【表4】
*Abbott Architect(商標)定量的アッセイを使用して測定された。
【表5】
*Abbott Architect(商標)定量的アッセイを使用して測定された。
【表6】
*Roche Cobas(商標)アッセイを使用して測定された。
【0151】
これらの患者からのREP2055治療の除去は、血清HBVタンパク質を取り除いた7名中5名の患者において最終的なウイルス血症の長期のリバウンドをもたらした(血液中のHBsAgの再出現、血液中の抗HBsAg抗体の減少又は消滅、及びHBV DNAの治療前レベルまでの上昇)。よって、NAP、又は血液からのHBsAg(及び他のHBV抗原)の除去をもたらす任意の他の薬剤による治療は、任意の付随する免疫療法の不在下で治療が中断された場合に同様のウイルス活性のリバウンドを経験すると予想される。
【0152】
実施例III
ヒト患者における慢性B型肝炎の治療におけるNAPキレート複合体及び2つの異なる免疫療法による併用療法
REP2139−Caは、存在するオリゴヌクレオチド100mg毎にCaCl
2 30mgの比率を使用して通常の生理食塩水中で調製されたNAP REP2139(配列番号10)のカルシウムキレート複合体である。カルシウムキレート複合体としてのREP2139の調製は、ON投与の忍容性を改善するために使用され(国際公開第2012/021985号及び米国出願公開第2012/0046348号を参照されたい)、その特異的な抗ウイルス活性を干渉しない。REP2139−Ca(典型的には、1週間当たり500mgの用量で投与される)は、REP2055と同じ作用メカニズム(表3、4及び6に対してそれぞれ表7、8及び9を参照されたい)を介して同じ様式でHBV感染患者において血液からHBsAg(後にHBeAg)及びHBVビリオン(HBV DNA)を取り除き、従って、2’リボースの修飾及び修飾塩基(例えば、REP2139)の両方を含有するNAPは、血液中のHBsAgを減少するように作用でき、しかも、キレート複合体として調製されたON(例えば、REP2139−Ca)は血液からHBsAgを減少又は取り除くために使用され得ることも証明する。
【表7】
*Abbott Architect(商標)定量的HBsAgアッセイを使用して測定された。
【表8】
*<1=検出せず、≧1=非常に感染性の高い状態
【表9】
*Roche Cobas(商標)アッセイを使用して測定された。
**定量上限
【0153】
実施例IIに記載されるように、NAP療法(又はHBsAgを取り除き得る任意の治療法)の制限は、患者の現在の抗HBs産生レベルがNAP療法の間ウイルスを取り除くために「解放される」一方、ほとんどの患者においてこの抗体産生レベル(及びHBsAgによって引き起こされる免疫阻害の除去)はNAP治療が停止された後のHBV感染の完全な制御を提供するのに十分でないことである。単剤療法として使用した場合に、血液からのREP2139−Ca媒介HBsAgクリアランスは、REP2055と同じ一般的な血液中の抗HBsAg抗体レベルを達成し(表5及び10[単剤療法の終了]を参照されたい)、それ自身、NAP REP2055の場合と同様に、治療を中止した場合に同じく乏しい免疫制御の保持をもたらすと明確に予想されるであろう(上記実施例IIを参照されたい)。単剤療法で使用されるNAPの結果は、これらのHBVタンパク質の不在下であってもHBV感染に対する完全な優れた免疫応答を生み出す免疫系の能力において、何が根本的な(以前に認識されていない)欠陥である可能性があるのかを特定し、この欠陥は、HBsAg、HBeAg及びHBcAgに対する慢性的な暴露によってもたらされ、これらの抗原が血液から取り除かれた後でさえもHBVに感染した被験体において持続する永続的な免疫学的損傷を引き起こす可能性がある。
【0154】
NAP治療(血液からHBsAgを除去する)が免疫療法(免疫機能の賦活)と協同するかどうかを調査するため、REP2139−Ca単剤療法を受けている間に血清HBVタンパク質を取り除いた又は減少した患者は、継続するREP2139−Ca投与に対する追加療法としてチモシンα1(Zadaxin(商標)−1週間当たり1.6mgを2回の皮下注射として投与)又はペグ化インターフェロンα−2a(Pegasys(商標)−1週間当たり90〜180μgを1回の皮下注射として投与)のいずれかを受けた。ペグ化インターフェロンα−2aは、Roche Inc.(スイス国バーゼル)により商品名Pegasys(商標)のもと販売され、慢性HBV感染の治療に承認されている。チモシンα1は、SciClone Pharmaceuticals(米国カリフォルニア州フォスターシティー)により商品名Zadaxin(商標)のもと販売され、これも慢性HBV感染の治療に承認されている。
【0155】
インターフェロン基づく単剤療法は、典型的には、48週間の治療の後に非常にわずかな患者(10%未満)において中程度の血液中の抗HBsAg抗体レベル(50mIU/ml未満)をもたらすに過ぎず(Reijnders et al.,2011,J.Hepatol.,54:449−454;Harayiannis et al.,1990,J.Hepatol.,10:350−352)、チモシンα1の抗ウイルス効果は同様に制限される(Yang et al.,2008,Antiviral Res.77:136−141)。しかしながら、血液からのHBsAgの除去が達成された後にチモシンα1又はペグ化インターフェロンα−2aのいずれかがREP2139−Ca治療に追加された場合、全ての患者において抗HBsAg抗体レベルの大きな増加が達成され、これは、NAP媒介HBsAgクリアランス単独で観察されるか、又は免疫療法単独について報告される抗HBsAgレベルを大きく超えていた(表10を参照されたい)。更に、抗HBsAg抗体レベルの増加に対するこの明確な相乗効果は、(これらの免疫療法に対して通常処方される48週間の治療計画と比較して)わずか13週間のREP2139−Caと組合せた免疫療法により達成され、また、2名の患者においては、HBV治療に対して通常処方されるPegasysの用量(90μg)の半分で生じた。更に、この相乗的反応は、9名中9名(100%)の患者で起きた。血液からのHBVタンパク質除去後の追加の免疫療法により観察された抗HBsAg産生の強い再活性化は、HBsAgの不在下における相乗的に改善された免疫機能の唯一の直接的な測定である。これらの知見に基づいて、T細胞媒介免疫及び先天的免疫等の他の領域の免疫賦活における相乗的に改善された成績を予測し、また、これはHBV感染に対して完全な免疫制御を達成するのに必要である可能性がある。
【表10】
*Abbott Architect(商標)定量的抗HBsAg ELISAを使用して測定された。
**REP2139−Ca単剤療法でHBsAg減少が達成された後の13週間の継続的な免疫療法(追加)
***これら2名の患者は1週間当たり90μgのPegasysの投与を受けた。
【0156】
表10に示される結果は、血清HBsAgのクリアランスが、チモシンα1又はペグ化インターフェロンα−2aのいずれかの能力に対して、従来技術では予測されていなかった免疫機能を賦活する強い相乗効果を有することを証明する。全ての患者が、単剤療法で使用された場合に、血液中において更に低い抗HBsAg抗体力価を達成し、またその場合にはごく一部の患者のみで達成するのに通常必要であろうよりも、より一層短期の免疫療法の治療計画で非常に高い抗HBsAg抗体力価(従って、おそらくはより効果的な全体的な免疫賦活)を達成した。表10では、血清HBsAgを取り除いた全ての患者は、免疫療法に強く反応した。多くの症例で、わずか6〜10週間の免疫療法後に抗HBsAg産生の明らかな増加が検出された。宿主免疫の賦活に対するこれらの相乗効果は、9名中8名の患者におけるHBV感染の治療中止時の制御を導き、循環HBsAgの不在下で免疫療法が与えられる場合にHBV感染を伴うほとんどの患者において十分な免疫応答を再確立する相乗的な影響を明確に証明する。
【0157】
これらの結果は、血液からHBsAgを減少又は取り除くことができる任意の薬学的に許容可能な薬剤は、免疫治療剤と組合せて投与される場合、慢性HBVを伴う患者において免疫機能の賦活(抗HBsAg抗体の産生等であるがこれに限定されない)に対して有利で相乗的な効果を有することを証明する。実施例IIIは、血液からのHBsAgの除去は、免疫療法の能力を相乗的に改善して強力な宿主由来の抗ウイルス免疫応答を引き出すことを明確に示し、免疫療法のみを受ける患者の血液中に持続的に循環するHBsAgが免疫療法の活性に対して強い阻害効果を有し、治療中止時に持続する感染の免疫制御の達成において容認された免疫療法の成績不良の原因である可能性を強く示唆する。また、実施例IIIは、全ての患者において生じた免疫機能の回復に対する相乗効果を明確に示し、より一層迅速に、免疫療法単独で観察されるよりもより高レベルで血液中の抗HBsAgレベルを達成し、全ての症例で健康な感染していないHBsAgをワクチン接種した個体で典型的に観察される抗HBsAg抗体のレベルを超えていた。これらの効果は、単剤療法で使用される場合に最適以下となることが知られている低用量の免疫療法(Pegasysを90μg/週)であっても達成され得る。HBVタンパク質の除去のみ、又は免疫療法のみでは、これらの強力な保護レベルの抗HBsAg抗体はほとんど観察されることはない。
【0158】
本開示におけるNAPによって達成される血清HBsAgの除去は、その作用メカニズムに関わらず、血液からHBsAg(又は他のHBV抗原)を除去又は取り除くように設計された任意の他の薬剤によって達成され得る最も良好な効果を例示する。そのため、NAP及び免疫治療剤Pegasys(商標)及びZadaxin(商標)を使用して観察される血液からのHBsAg除去と免疫機能の賦活の間の相乗作用の観察は、免疫療法による同じ相乗効果が、薬剤の化学又は作用メカニズムに関わらず、血液からのHBsAgの減少すること又は取り除くことが可能な任意の薬剤の使用により生じると今では確実に予想され得ることを当業者に対して明確に証明する。従って、本明細書の開示は、Zadaxin(商標)又はPegasys(商標)と併用されるNAPによるHBV感染患者における免疫賦活に対する相乗効果は、血液からHBsAgを減少又は取り除くことが可能な任意の薬剤又は方法と、免疫機能を賦活することが可能な任意の第2の薬剤の組合せによりHBV感染症において実現され得るという明確で新規な教示を提供する。REP2139−Ca及びチモシンα1又はペグ化インターフェロンα−2aによって証明された相乗効果もまた、第1の薬剤が血液からHBsAgを除去又は取り除くことができ、且つ第2の薬剤が免疫機能を賦活することができる本開示に詳述される薬剤の他の組合せにより生じることが予想される。更に、2つ以上の異なる免疫治療剤と組合せた血液からHBsAgを取り除くか又は減少する(reduce of clear)ことができる2つ又はそれ以上の異なる薬剤の組合せもまた、同様又はより優れた効果を有し得ると予測できる。
【0159】
血液からのHBsAgの除去が単独で免疫療法に対して相乗的な影響の大半をもたらすようであるが、HBeAg及びHBcAgの更なるクリアランスもまた、それら本来の免疫阻害特性により相乗的な影響にわずかに寄与する可能性がある。よって、血液からのHBeAg及びHBcAgの更なるクリアランス(これもまたNAPによって達成される効果)は、最小の成績上の利点をもたらすかもしれないが、HBsAgクリアランスが存在しないとほとんど効果がないか全く効果がないであろう。
【0160】
また、従来の免疫療法の効果に対して血液からのHBsAg除去又はクリアランスが有する著しい効果は、治療環境で投与された場合にHBV抗原に対するワクチンの効果を劇的に改善する可能性がある。本明細書の開示より、当業者であれば、循環HBsAgがHBVに感染した被験体において完全に強化されたワクチン反応を阻害しており、更にそのワクチン反応はHBsAgが存在しないか又はレベルが低減されて投与された場合に大いに改善され得ることを合理的に推測するであろう。
【0161】
実施例IV
ヒト患者における慢性B型肝炎を伴う患者における治療開始時のREP2139−Ca/Pegasys(商標)併用療法
HBVに感染した患者の新たなコホートにおいて、実施例IIIで観察された相乗効果がその治療計画においてより早期に達成され得るかを確認するため、治療開始時にREP2139−Ca(1週間に1回500mg)及びPegasys(商標)(1週間当たり180μg)の両方を開始した。これら3名の患者において、血清HBsAgの急速で劇的な減少、及び遊離抗HBsAg抗体力価の急速な発達が観察された(表11を参照されたい)。
【表11】
*Abbott Architect(商標)プラットフォームを使用して測定された。
【0162】
実施例IVの結果は、NAP及びPegasys(商標)の両方が治療開始時に開始された場合に、血液からのHBsAgの除去と免疫療法を同時に組合せることの相乗効果が治療中の非常に早期に生じ得ることを証明する。更に、これらの結果及び実施例IIIの結果は、血液からのHBsAgの除去が達成された後に免疫療法が追加される場合、又は血液からのHBsAgの除去の間(すなわち、治療の開始時)に免疫療法が追加される場合、免疫療法の効果の著しい改善が生じ得ることを示す。
【0163】
実施例II、III及びIVはHBVの単一感染患者において行われたが、HBV/HDV同時感染におけるHDVウイルス形成及び免疫抑制においてHBsAgが果たす重要で確立された役割に照らせば、これらの実施例は、本発明の開示において詳述された概念がHBVの単一感染及びHBV/HDV同時感染の両方に適用可能なはずであるという明確な教示を提供する。
【0164】
上記記載は例示を意味するに過ぎず、当業者であれば添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲から解離することなく記載される実施形態に対して変更を行うことができることを認識するであろう。更に、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲に包含される他の修飾も、本開示を考慮すれば当業者に明らかとなるであろう。