(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の回転可能ディスクが第1の複数の角度付きスロットを備え、前記第1のシャッタが第1の複数の突出部材を含み、前記第1の複数の突出部材の少なくとも1つが前記第1の複数の角度付きスロットのうちの第1の角度付きスロット内に位置決めされ、前記第1の複数の突出部材の少なくとも1つが前記第1の複数の角度付きスロットのうちの第2の角度付きスロット内に位置決めされている、
請求項9に記載のX線装置。
前記第1の回転可能ディスクの外周の少なくとも一部に沿って位置決めされた第1の複数の突起であって、前記突起に隣接する前記外周を越えて突出し、前記第1の複数の突起は、前記コリメーション開口の寸法を変更するためにユーザが前記第1の回転可能ディスクを回転させることができるように構成されている、複数の突起と、
前記第2の回転可能ディスクの外周の少なくとも一部に沿って位置決めされた第2の複数の突起であって、前記突起に隣接する前記外周を越えて突出しており、前記第2の複数の突起は前記コリメーション開口の寸法を変更するためにユーザが前記第2の回転可能ディスクを回転させることができるように構成され、前記第1の複数の突起は、ユーザが触覚の感触のみを介して前記第1の複数の突起を前記第2の複数の突起から区別できるように、前記第2の複数の突起に対して異なった触覚の感触を持つように構成されている第2の複数の突起と、を更に備えている、
請求項15に記載のX線装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、X線画像におけるアーチファクトを回避するためには、X線ビーム内に配置されないように照準光(aim light)を配置することが望ましい。その代わりに、照準光又は測距ビーム(ranging beam)をX線ビームの近くに配置することが望ましいことがあり得る。また、X線ビームのスポット又は中心位置ではなく、X線パターンの全体の寸法及び形状を見ることが望ましいこともあり得る。したがって、いくつかの実施形態においては、それぞれのX線ビーム及び光ビームに沿った任意の所与の距離において、少なくとも実質的にX線と同じ領域の光線を形成するために、少なくとも部分的にX線ビームに一致しかつ同軸である可視光をもたらすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後述するように、X線ビーム及び光ビームの両方は、それらのビームを同様にかつ同時に形作りかつ寸法決めし得るコリメータに通して導くことができる。いくつかの実施形態は、1つ又は複数の水平シャッタ及び1つ又は複数の垂直シャッタを有する、X線を平行にするためのシャッタ機構を含むコリメータを備えることができる。シャッタの移動は、シャッタ上の係合ピン又は他の突出部材に連結し得る角度付きスロットを有する回転ディスクによって、達成できる。ディスクの回転は、シャッタの直線方向の運動に変換できる。1つのディスクを水平シャッタに関係付けるとともに、もう1つを垂直シャッタに関連付け、それによって、シャッタの各セットの独立した動きを可能とすることができる。合わせて、各シャッタがコリメーション開口を形成できる。
【0006】
コリメータは、X線ビームの形状及び/又は寸法を制御するために、X線を生成する装置の前方に取り付けることができる。シャッタは、生成されたX線ビームの中心に対して垂直となるように位置合わせすることができる。このことはX線の中心を常に知ることができるようにする。いくつかの実施形態においては、更に後述するように、X線ビームと重複し得る可視光の供給源を設けることもできる。このようにしてユーザは、装置により出射されるX線ビームの少なくとも一部分、いくつかの実施形態においては最大範囲を完全に視覚化できる。
【0007】
いくつかの実施形態においては、第1の複数の角度付きスロットを含む第1の回転可能ディスク、及び第1の複数の突出部材を含む第1のシャッタを備えるX線装置を提供できる。第1の複数の突出部材の少なくとも1つを第1の複数の角度付きスロットのうちの第1の角度付きスロット内に配置することができ、かつ第1の複数の突出部材の少なくとも1つを第1の複数の角度付きスロットのうちの第2の角度付きスロット内に配置することができる。この構成は、単一の突出部材の回りにシャッタが回動することを防止し、及び/又はコリメータに対するシャッタの結合を防止するための安定をもたらすことができる。
【0008】
第1のシャッタは、少なくとも部分的にX線コリメーション開口を画定することができる。この装置は、第1の回転可能ディスクの回転が結果としてX線コリメーション開口の寸法を変更するための第1のシャッタの運動となるように構成することもできる。
【0009】
いくつかの実施形態は、第2の複数の突出部材を含む第2のシャッタと共に、第2の複数の角度付きスロットを含む第2の回転可能ディスクを更に備えることができる。第1の回動可能ディスクと同様に、第2の複数の突出部材の少なくとも1つを第2の複数の角度付きスロットのうちの第1の角度付きスロット内に配置することができ、かつ第2の複数の突出部材の少なくとも1つを第2の複数の角度付きスロットのうちの第2の角度付きスロット内に配置することができる。再び、この構成は、望ましい経路に沿ったシャッタのより安定な運動をもたらすために有用であり得る。第1のシャッタ及び第2のシャッタは少なくとも部分的にX線コリメーション開口を画定することができ、かつこの装置は、第2の回転可能ディスクの回転が結果としてX線コリメーション開口の寸法を変更するための第2のシャッタの運動となるように更に構成することができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、第2のシャッタは、第1のシャッタに対して少なくとも実質的に垂直な方向に移動するように構成することができる。他の実施形態において、第2のシャッタは、第1のシャッタから少なくとも実質的に反対の方向に移動するように構成することができる。いくつかの実施形態においては、添付の図面を参照して以下に詳述するように4つのシャッタを設けることができる。いくつかの実施形態においては、2つのシャッタを第1の回転可能ディスクに作動可能に連結することができ、かつ2つのシャッタを第2の回転可能ディスクに作動可能に連結することができる。そのようないくつかの実施形態において、第1の回転可能ディスクに作動可能に連結された2つのシャッタは、これらの2つのシャッタが互いの方に向かって閉じるように少なくとも実質的に互いに反対方向に移動するべく構成することができる。同様に、第2の回転可能ディスクに作動可能に連結されたその他の2つのシャッタは、これらの2つのシャッタが互いの方に向かって閉じるように少なくとも実質的に互いに反対方向に移動するべく構成することができる。しかしながら、第2の回転可能ディスクに作動可能に連結された2つのシャッタは、第1の回転可能ディスクに作動可能に連結された2つのシャッタが移動する方向に対して少なくとも実質的に垂直な方向に、それらの両方が移動するように構成することができる。
【0011】
いくつかの実施形態は、コリメーション開口が完全に閉じることができないように更に構成することができる。例えば、1つ又は複数のシャッタは、コリメーション開口がシャッタによって、完全に閉じられる前にコリメーション開口の寸法を減少させる方向の運動が妨げられるように構成することができる。後述するように、このことは、視覚的な指示が決して完全には消えないようにX線ターゲットの視覚的な指示をもたらすいくらかの実施形態にとって有用であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、この装置は、第1の回転可能ディスクが第2の回転可能ディスクから独立して回転できるように構成することができる。加えて、いくつかの実施形態において、この装置は、第1の回転可能ディスクの第1の角度の回転が結果として第1のシャッタの第1の距離の移動となるように、第2の回転可能ディスクの第1の角度の回転が結果として第2のシャッタの第2の距離の移動となるように、かつ第1の距離が第2の距離と異なるように構成することができる。この特徴は、例えば25.4cm(10インチ)×30.5cm(12インチ)の検出器に合致するように設計された実施形態といった、矩形の、正方形でない視野を有する実施形態にとって有用であり得る。そのような実施形態に関しては、可動範囲全体のうちの少なくとも一部にわたって水平と垂直の「アスペクト比」を一定に保つために、回転可能ディスクの同じ回転量について水平シャッタが垂直シャッタより遠くに移動するように装置を構成することが有用であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態は、コリメーション開口の最も小さい寸法が正方形であるように構成することができる。
【0013】
しかしながら、回転の全体にわたってアスペクト比が僅かに変化するようにいくつかの実施形態を構成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、コリメーション開口の最も大きい寸法は25.4×30.5cm(10×12)といった所与のアスペクト比を有する長方形とすることができ、かつコリメーション開口の最も小さい寸法は正方形とすることができる。したがって、2つの末端位置の間でアスペクト比を一定に調整できるようにするべく、(前部の回転可能ディスクと後部の回転可能ディスクとの間の異なるスロット角度付けによって)、等しい回転角度が結果として異なるシャッタ運動速度となるように回転可能ディスクを構成することができる。
【0014】
あるいは、この装置は、その最も小さくできる矩形の正方形でない形状から対応する最小限サイズの正方形へと開口を変化させることができるように、水平シャッタが移動を止める前に垂直シャッタが移動を止めるように構成することができる。
【0015】
いくつかの実施形態においては、X線装置は、第1の角度付きスロットが第1の回転可能ディスクの中心に向かって第1の角度で延びるように、第2の角度付きスロットが第1の回転可能ディスクの中心に向かって第2の角度で延びるように、かつ第1の角度が第2の角度より大きいように構成することができる。いくつかの実施形態において、第1の角度付きスロットは第1の曲率半径を有することができ、第2の角度付きスロットは第2の曲率半径を有することができ、かつ第1の曲率半径は第2の曲率半径より大きくすることができる。
【0016】
いくつかの実施形態においては、第2の複数の突出部材を含む第2のシャッタを設けることができる。第2の複数の突出部材のうちの少なくとも1つを第1の複数の角度付きスロットのうちの第3の角度付きスロット内に配置することができ、かつ第2の複数の突出部材のうちの少なくとも1つを第1の複数の角度付きスロットのうちの第4の角度付きスロット内に配置することができる。第3の角度付きスロットは、第1の回動可能ディスクの中心に向かって第3の角度で延び、第3の角度が少なくとも実質的に第1の角度と同一であるように構成することができる。第4の角度付きスロットは、第1の回転可能ディスクの中心に向かって第4の角度で延びることができ、第4の角度は少なくとも実質的に第2の角度と同一である。
【0017】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の回転可能ディスクは、回転可能ディスクの外周の少なくとも一部に沿って配置された複数の突起を更に備えることができる。そのような突起は、回転可能ディスクの突起に隣接する外周を越えて突出するように構成することができる。これらの突起は、コリメーション開口の寸法を変更するべくユーザが回転可能ディスクを回転させることができるように構成することができる。
【0018】
一方の回転可能ディスクの突起は、他方の回転可能ディスクの突起に対して異なる形状及び異なる寸法のうちの少なくとも1つを有するように構成することができる。このようにして、ユーザは、その突起に関連付けられたディスクを回転させることによって、どのシャッタが開閉されるかについての情報を与えるための2つのセットの突起の違いを、見て及び/又は感じることができる。
【0019】
X線装置の1つのある実施形態において、この装置は、X線電磁放射を発生させるように構成されたX線発生装置を含むことができる。このX線装置は、可視電磁放射を発生させるように構成された可視光発生装置を更に備えることができる。いくつかの実施形態において、可視光発生装置は発光ダイオードから構成することができる。可視光発生装置は、可視電磁放射が少なくとも部分的にX線電磁放射と重なるように可視電磁放射を出射するべく構成することができる。このようにして、ユーザは、X線放射の経路を視覚化すると共に、この装置により出射されたX線放射によって画定された治療又は診断の領域を決定できる。
【0020】
コリメーション開口は、X線発生装置からのX線電磁放射及び可視光発生装置からの可視電磁放射を含む重なり合った放射を出射するように構成することができるとともに、可視ターゲット形状の可視電磁放射を出射し、かつX線ターゲット形状のX線電磁放射を出射するように構成することができる。可視ターゲット形状の寸法はコリメーション開口の寸法に従って変化することができ、かつX線ターゲット形状の寸法はコリメーション開口の寸法に従って変化できる。
【0021】
X線装置は、第1の回転可能ディスクと、この第1の回転可能ディスクに作動可能に連結された第1のシャッタであって、第1の回転可能ディスクの回転が結果として第1のシャッタを移動させてコリメーション開口の寸法を変えるようになっている、第1のシャッタとを備えることができる。
【0022】
X線装置は、コリメーション開口を通る可視光発生装置からの光を反射するように配置しかつ構成されたミラーを更に備えることができる。このミラーはX線電磁放射に対して透明とすることができ、かつX線発生装置とコリメーション開口の間に配置することができる。そのような実施形態において、X線発生装置からのX線電磁放射がコリメーション開口を通って出射される前にミラーを通過するように、ミラーを更に構成することができる。ミラーは、銀の酸化物被膜といった銀めっきから構成することもできる。いくつかの実施形態において、X線発生装置はミラーの中心から第1の距離だけ離して配置することができ、かつ可視光発生装置はミラーの中心から第2の距離だけ離して配置することができる。第1の距離は少なくとも実質的に第2の距離と同一とすることができる。
【0023】
X線装置の一実施形態の更にもう1つの実施例において、この装置は、X線電磁放射を発生させるように構成されたX線発生装置、及び可視電磁放射を発生させるように構成された可視光発生装置を備えることができる。可視光発生装置は、可視電磁放射が少なくとも部分的にX線電磁放射と重なるように可視電磁放射を出射する構成とすることができる。
【0024】
この装置は、第1の複数の角度付きスロットを含む第1の回転可能ディスク、及び第2の複数の角度付きスロットを含む第2の回転可能ディスクを更に備えることができる。この装置はまた、第1の複数の突出部材を含む第1のシャッタを含むことができる。第1の複数の突出部材の少なくとも1つは第1の複数の角度付きスロットのうちの第1の角度付きスロット内に配置することができ、かつ第1の複数の突出部材の少なくとも1つは第1の複数の角度付きスロットの第2の角度付きスロット内に配置することができる。同様に、この装置は、第2の複数の突出部材を含む第2のシャッタを備えることができ、第2の複数の突出部材のうちの少なくとも1つが第2の複数の角度付きスロットのうちの第1の角度付きスロット内に配置され、かつ第2の複数の突出部材のうちの少なくとも1つが第2の複数の角度付きスロットのうちの第2の角度付きスロット内に配置される。本願明細書の他の場所で言及するように、いくつかの実施形態は4つのシャッタを含むことができ、そのうちの2つが第1の方向において、互いに対向し、かつそのうちの2つが第1の方向に対して少なくとも実質的に垂直な第2の方向において、互いに対向する。
【0025】
第1及び第2のシャッタは、少なくとも部分的にコリメーション開口を画定することができ、かつこの装置は、第1の回転可能ディスクの回転が結果としてコリメーション開口の寸法を変更する第1のシャッタの運動となり、かつ第2の回転可能ディスクの回転が結果としてコリメーション開口の寸法を変更する第2のシャッタの運動となるように構成することができる。この装置は、X線発生装置からのX線電磁放射及び可視光発生装置からの可視電磁放射を含む重なり合った放射を出射するように構成することができる。コリメーション開口は、可視電磁放射を可視ターゲット形状で出射し、かつX線電磁放射をX線ターゲット形状で出射し、可視ターゲット形状の寸法がコリメーション開口の寸法に従って変化し、かつX線ターゲット形状の寸法がコリメーション開口の寸法に従って変化するように構成することができる。このようにして、ユーザは、装置により出射されるX線ビームの境界を視覚化し、かつ必要に応じて変更できる。
【0026】
X線装置の一実施形態の更に別の実施例において、この装置は、X線電磁放射を発生させるように構成されたX線発生装置、可視電磁放射を発生させるように構成された可視光発生装置、及び可視光に対して少なくとも部分的に透明な材料を含む投影部材を備えることができる。この投影部材は、可視電磁放射の経路内に配置された画像を含み、この画像によって画定された陰影を含む二次画像を投影できる。いくつかの実施形態において、投影部材はレチクルを含むことができる。
【0027】
この装置は、可視電磁放射に対してある角度で可視光ビームを出射するように構成された測距ビームであり、この測距ビームから予め定められた距離において、可視光ビームが画像の少なくとも一部と交差するようになっている測距ビームを備えることができる。いくつかの実施形態において、この測距ビームは、可視電磁放射に対してある角度でレーザビームを出射するように構成されたレーザ装置であり、このレーザ装置から予め定められた距離において、レーザビームが二次画像の少なくとも一部と交差するようになっているレーザ装置を含むことができる。
【0028】
このX線装置は、携帯型X線装置から構成することができる。例えば、この装置は、ユーザが片手でX線装置を保持して操作できるように構成されたハンドルを備えることができる。そのような実施形態に関しては、測距ビームをハンドルに配置できる。このハンドルは、平面に接触するベースのみによって、X線装置をその平面上に置くことができるように構成されたベースを備えることができる。
【0029】
投影部材がレチクルを含む実施形態において、レチクルは距離が等しくない複数の破線を含むことができる。距離が等しくない破線は、レチクルの下部において、最も大きな量で間隔を開けて配置することができ、かつ距離が等しくない破線間の距離はレチクルの下部からレチクルの上部へと次第により小さくなる。この装置は、距離が等しくない破線のうちの少なくともいくつかが、X線発生装置及び/又は装置の他の固定部から離れる方向における等しい距離を示すように構成することができる。
【0030】
より具体例をもたらすために、いくつかの実施形態において、レチクルは第1の破線、第1の破線に隣接して配置された第2の破線、及び第2の破線に隣接して配置された第3の破線を含むことができる。第1の破線は第2の破線から第1の長さだけ間隔を開けて配置することができ、第3の破線は第2の破線から第2の長さだけ間隔を開けて配置することができる。そのような実施形態において、この装置は、第1の破線において、レーザビームと交差する対象がレチクルから第1の距離だけ離れているように構成され、第2の破線において、レーザビームと交差する対象がレチクルから第2の距離だけ離れているように構成され、かつ第3の破線において、レーザビームと交差する対象がレチクルから第3の距離だけ離れているように構成することができる。第1の距離と第2の距離との間の差は、第2の距離と第3の距離との間の距離と少なくとも実質的に同一とすることができる。いくつかの実施形態において、レチクルは、したがって、隣接する破線に関する間隔距離が等しくないものとなるように構成することができるが、測距ビームがそのような隣接する破線と交差する位置の間の対応する距離は等距離である。
【0031】
いくつかの実施形態は、X線発生装置からのX線電磁放射及び可視光発生装置からの可視電磁放射を含む重なり合った放射を出射するように構成されたコリメーション開口を更に備えることができる。二次画像の寸法は、コリメーション開口の寸法に従って変化する。
【0032】
X線装置の実施形態の他の具体例において、この装置は、X線電磁放射を発生させるように構成されたX線発生装置、可視電磁放射を発生させるように構成された可視光発生装置、及び少なくとも可視光に対し少なくとも部分的に透明な材料を含むレチクルを備えることができる。レチクルは、可視電磁放射の経路内に配置された距離が等しくない複数の破線であって、この破線により画定された陰影を含む画像を投影するようになっている破線を含む。そのような複数の破線は、第1の破線、第1の破線に隣接して配置された第2の破線であって、第1の破線が第2の破線から第1の長さだけ間隔を開けて配置されている、第2の破線、及び第2の破線に隣接して配置された第3の破線であって、第3の破線が第2の破線から第2の長さだけ間隔を開けて配置されている、第3の破線、を含むことができる。第1の長さは、距離が等しくない破線となるように、第2の長さより長くすることができる。
【0033】
この装置は、可視電磁放射に対してある角度で可視光ビームを出射するように構成された測距ビームであり、測距ビームから予め定められた距離において、可視光ビームが画像の少なくとも一部に交差するようになっている測距ビームを更に備えることができる。この装置は、第1の破線において、測距ビームと交差する対象が装置上の他の固定点から第1の距離だけ離れるように、第2の破線において、測距ビームと交差する対象が装置上の他の固定点から第2の距離だけ離れるように、かつ第3の破線において、測距ビームと交差する対象が装置上の他の固定点から第3の距離だけ離れるように構成することができる。第1の距離と第2の距離との間の差は、第2の距離と第3の距離との間の距離と少なくとも実質的に同一とすることができる。
【0034】
他の実施形態は、X線電磁放射を発生させるように構成されたX線発生装置、及び可視電磁放射を発生させるように構成されたLEDといった可視光発生装置を備える。この装置は、可視光に対して少なくとも部分的に透明な材料を含む投影部材であって、可視電磁放射の経路内に配置された画像を含んでおり、この画像により画定された陰影を含む二次画像を投影するようになっている投影部材を更に備えることができる。この装置はまた、可視電磁放射に対してある角度で可視光ビームを出射するように構成された測距ビームであり、この測距ビームから予め定められた距離において、可視光ビームが画像の少なくとも一部と交差するようになっている測距ビームを備えることができる。
【0035】
いくつかの実施形態は、コリメータを備えることもできる。そのようなコリメータは、1つ又は複数の回転可能ディスクを含むことができる。コリメータは、コリメーション開口を少なくとも部分的に画定する第1のシャッタであって、第1の回転可能ディスクの回転が第1のシャッタを移動させてコリメーション開口の寸法を変えるように第1の回転可能ディスクに作動可能に連結された第1のシャッタを更に含むことができる。同様に、コリメーション開口を少なくとも部分的に画定する第2のシャッタであって、第2の回転可能ディスクの回転が第2のシャッタを移動させてコリメーション開口の寸法を変えるように第2の回転可能ディスクに作動可能に連結されている第2のシャッタを更に含むことができる。この装置は、コリメーション開口が二次画像の寸法を少なくとも部分的に画定するように、かつX線発生装置により出射されるX線ターゲット形状の寸法をコリメーション開口が少なくとも部分的に定めるように構成することができる。
【0036】
先に述べたように、第1の回転可能ディスクの第1の角度の回転が結果として第1のシャッタの第1の距離の移動となるとともに、第2の回転可能ディスクの第1の角度の回転が結果として第2のシャッタの第2の距離の移動となり、かつ第1の距離は第2の距離とは異なる。また上述したように、第1の回転可能ディスクは、第1の複数の角度付きスロット及び第2の複数の角度付きスロットを含むことができる。第1のシャッタは第1の複数の突出部材を含むことができ、第1の複数の突出部材の少なくとも1つが第1の複数の角度付きスロットのうちの第1の角度付きスロット内に配置される。第1の複数の突出部材のうちの少なくとも1つは、第1の複数の角度付きスロットのうちの第2の角度付きスロット内に配置できる。
【0037】
第1の角度付きスロットは第1の回転可能ディスクの中心に向かって第1の角度で延びることができるとともに、第2の角度付きスロットが第1の回転可能ディスクの中心に向かって第2の角度で延びることができ、かつ第1の角度は第2の角度より大きい。
【0038】
前述した他の実施形態のように、第1の回転可能ディスクは第1の回転可能ディスクの外周の少なくとも一部に沿って配置された複数の突起を含むことができ、かつ第2の回転可能ディスクは第2の回転可能ディスクの外周の少なくとも一部に沿って配置された複数の突起を含むことができる。第1の複数の突起は、突起に隣接する外周を越えて突出できるとともに、コリメーション開口の寸法を変更するためにユーザが第1の回転可能ディスクを回転させることができるように構成することができる。同様に、第2の複数の突起は、コリメーション開口の寸法を変更するためにユーザが第2の回転可能ディスクを回転させることができるように構成することができる。いくつかの実施形態において、第1の複数の突起は、ユーザが触覚の感触のみを介して第1の複数の突起を第2の複数の突起から区別できるように、第2の複数の突起に対して異なった触覚の感触を持つように構成することができる。
【0039】
限定的でなくかつ完全でない開示の実施形態が、様々な開示の実施形態を含めて、図面を参照しつつ本願明細書に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の説明においては、本願明細書に開示される様々な実施形態の完全な理解のために多くの具体的な詳細が提供される。本願明細書に開示されるシステム及び方法は、1つ又は複数の特定の詳細なしに、又は他の方法、構成要素、材料、その他と共に実施できる。加えて、場合によっては、周知の構造、材料又は動作は、開示の態様が不明瞭となることを避けるべく、詳細に示しあるいは記載しないことがある。更にまた、記載する特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の別の実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせることができる。
【0042】
本開示は、医学的な診断及び/又は治療のための、X線放射といった放射線の出射に関する装置、システム及び方法の様々な実施例を記載する。いくつかの実施形態の詳細について、ここで図面を参照しつつより詳細に記載する。
図1は、X線装置を100で表している。この図に示されるように、X線装置100は、ハンドル110、コリメータ120、ケージ170及び傾斜計175を備えている。ケージ170は、少なくとも部分的に円錐形を含むことができる。いくつかの実施形態において、ケージ170の形状は、X線装置100から出射されるX線ビームの形状と少なくとも実質的に一致させることができる。
【0043】
X線装置の傾斜角を知ることは、ある種のタイプのX線にとって極めて重要であり得る。例えば、足治療においては、患者の足に対して特定の、既知の角度に配置されたX線源からX線を取ることがしばしば必要である。加えて、ある種のX線については、同じ患者についてその後のX線を同一角度で取ることができるように、X線装置のユーザがX線を取る角度を知っていることが望ましいことがあり得る。したがって、X線装置の実施形態は、X線放射線が出射される角度についての情報をユーザに提供するべく、傾斜計175を備えることができる。
【0044】
この傾斜計175は、(重力方向に対して垂直な)地面に対するX線装置100のそのような傾斜角を照射時に測定するために用いることができる。傾斜計175は、撮像対象の方向付けのために、ユーザに傾斜角の表示を直ちに提供できる。
【0045】
傾斜計175は、X線装置100が動く間に、中心軸上で揺動すると共に自然界における水平方向にその方向付けを維持するための重りが付けられた4つの角度針を含むことができる。いくつかの実施形態では、4つの角度針は、例えば装置の上部、底部又は側方を含む任意の位置から傾斜角を読むことができるようにする。この特徴は、いくつかの実施形態においては、1つ又は複数の針をX線装置の本体/フレームから離れるように延在させることによって、かつ傾斜計175の正面からだけではなく傾斜計175の上部あるいは底部からも針を見ることができるようにする透明窓を設けることによって、もたらすことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数のセンサを傾斜計175上の特定の位置に隣接して設けることができる。そのようなセンサは、1つ又は複数の針の位置を検出できるとともに、この情報を装置のCPU及び/又はメモリへ転送できる。次いでこの情報は、いくつかの実施形態においては、傾斜角についての情報をユーザに提供するべくデジタルディスプレイといった1つ又は複数の画面に転送できる。このデータは、医師又は他のそのような人が特定のX線画像を見ながら傾斜角を見ることができるように、X線装置100に記憶すると共に特定のX線画像と電子的にリンクすることができる。
【0047】
傾斜計175は、X線装置100に恒久的に固定できるが、その代わりにX線装置100に取り付けられることが可能である携帯用の独立型の装置から構成することができる。これにより、X線装置100及び/又は傾斜計175は、X線装置100上の特定の位置に傾斜計175を着脱自在に取り付けることができるようにするクリップ又は他の一時的な取付手段を備えることができる。一旦撮像が完了し、又は一旦角度が観察されると、傾斜計175はX線装置100から取り除かれて、後の使用のためにユーザにより保持されることができる。
【0048】
上述したように、X線装置100は、撮像時の傾斜角を記録して蓄積するように構成されたメモリーモジュールを更に備えることができる。このモジュール及び/又はもう1つのそのようなモジュールは、角度を画像にリンクするように構成することができる。X線装置100は、後の使用のための情報をアップロードするべく他の装置に傾斜角を渡すための出力モジュールを含むこともできる。
【0049】
傾斜計175は、中心軸上で揺動すると共に自然界の水平方向にそれらの方向付けを維持するための重りが付けられた、1つ又は複数の角度針を有することができる。描かれている実施形態の角度針は、0、90、180、及び270度において、中心軸から延びている。X線装置100が傾斜し又はある角度に向けられたときに、角度針は水平に対する元の向きのままとなるが、傾斜計175上のマーカ/表示に対するそれらの位置は変化してX線装置100が水平に対して配置された角度を示す。
【0050】
傾斜計175は、傾斜角を正確に読むために用いることができる度数表示を具備している1つ又は複数の角度指示器を有する透明カバーを備えることもできる。度数表示は、カバーの外縁を囲みつつカバーの側面及び表面上にあることができる。カバーは、4つの等しい象限に分割できる。度数表示は、0度から45度までの角度を表示して0度に戻ることができるが、そのような表示は5度ずつ増えるものとすることができる。度数表示は、異なる増分を示すために異なる長さとすることができる。ユーザは、カバーを通して見ることによって、視覚的に角度を読み、角度針がどの度数に最も近いか注目できる。
【0051】
傾斜計175が4つの異なる象限及び4つの針を有しているので、角度は、ディスプレイの上部、底部又はいずれの側からも読むことができる。この特徴は、X線装置100といった携帯X線装置にとって有用であり得る。ユーザが装置を動かしたときに、ユーザは傾斜角を容易に注目するべく装置を使用できる。
【0052】
ハンドル110は、バッテリ114を具備したハンドルベース112を含む。ハンドル110は、X線装置100が、ベース112(バッテリ114及び/又はバッテリ114がない場合はベース112の残りの部分の底面)だけで平面に接触して、平面上に安定して配置されるように構成することができる。
【0053】
トリガー116を設けることもできる。トリガー116は、この装置からのX線又は他の放射線の発生を始動させるために用いることができる。あるいはそれに代えて、トリガー116はまた、
図2において、ハンドルベース112上に配置されて示されている測距ビーム113及び/又は可視光発生装置190といった、いくつかの他の機構を始動させ及び/又はその特徴を変更するために用いることができる。いくつかの実施形態では、トリガー116は、独立して始動できる複数の部分から構成することができる。あるいは、又は追加して、トリガー116あるいはトリガー116の1つ又は複数の下位部分は、第1の引張り又は部分的な引張りが第1の機構を作動させる結果となり、かつ第2の引張り又は更なる引張りが結果として第2の機構を作動させる結果となるように構成することができる。
【0054】
図2は、X線装置100の断面図である。この図に示されるように、X線装置100は、X線源182からX線放射線を出射するように構成されたX線出射シールド180を更に備えている。当業者が理解するように、X線源182は、電子ビームが金属アノード上に衝突するときにX線を発生させる電子ビーム真空管を含むことができる。X線源の他の実施例には、ラジオアイソトープ、シンクロトロン、又は他の放射線発生機構、X線、荷電粒子、γ線、又は続いて二次X線の蛍光を発する材料に衝突する他のより高いエネルギーの放射線によって、発生する二次X線の供給源、及びX線を発生させる火花ギャップ又は他の放電源が含まれる。
【0055】
X線装置100は、検査される対象の方に向けられる、又は例えば写真乾板又はデジタルセンサ手段といったX線感受性センサに向けられる、円錐形のX線放射を出射するように構成することができる。X線源182は、X線源182上の一点からX線放射を放射するように構成することができる。円錐形のX線放射の出射を容易にするために、X線出射シールドは、少なくとも実質的に円錐又は円錐台形の形状を有することができる。放射線の円錐は、通常、検査する対象又はセンサ手段の寸法より大きい横方向の寸法を有することができる。
【0056】
ミラー185は、X線出射シールド180の中に配置できる。このミラー185は、可視光発生装置190からの光を反射するように配置しかつ構成することができる。いくつかの実施形態では、可視光発生装置はLEDを含むことができる。X線装置100の外側に出射される前にミラー185を通過するX線放射をX線源182が出射できるようにミラー185を配置するべく、ミラー185はX線放射に対して透明に又は少なくとも実質的に透明に構成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、ミラー185は、銀酸化物の被膜といった銀めっきから構成することもできる。いくつかの実施形態において、X線源/発生装置182は、ミラー185の中心から第1の距離だけ離して配置することができ、かつ可視光発生装置190はミラーの中心から第1の距離と少なくとも実質的に同一な第2の距離だけ離して配置することができる。いくつかの実施形態において、X線装置100から出射される可視光が、X線装置100から出射されるX線ビームの形状と少なくとも実質的に同一であり得る少なくとも実質的に円錐形状で出射されるように、ミラー185に角度をつけ及び/又は構成することができる。X線出射シールド180は、可視光発生装置190を経て装置から出射される可視光について、円錐形状といった望ましい形状を形成することに貢献することもできる。
【0058】
図3〜
図5はコリメータ120の一実施形態を描いている。以下に詳述するように、コリメータ120は、X線源182と、X線放射で検査され及び/又は治療される対象との間に配置できる。これはX線ビームの一部が遮断され、それによって、検査領域内の又は放射線センサに対応する領域内の検査対象にのみ、あるいは少なくとも本質的に、放射線が当たるようにする。コリメータ120は、異なる検査のために調整可能とすることができる。
【0059】
X線信号の理想的な寸法は、多くの場合、関連する特定の用途により左右される。例えば、ある種のタイプの放射線診断学では、患者の体の比較的大きな部分の画像を生成するために比較的大きいパターンのX線ビームを用いることができる。またある時は、例えば、頭部の領域といった、患者の体の比較的小さい部分の詳細な画像を生成するために、より小さくより集中させたX線ビームを使用できるコリメータ120の調整は、患者及び/又は健康管理の提供者の安全を不必要な放射線照射から保護することもできる。したがって、明確に定義された開口による患者に対する正確なX線放射線量を確実にし、かつ他の不測の照射を防止するために、位置精度を高めることができることがコリメータ120にとって望ましい。
【0060】
回動可能ディスクは、例えばポリエチレン又は他のポリマーといった、本願明細書に記載さるように部品が機能するようにする任意の材料から作ることができる。
【0061】
ここで注目されるべきことは、X線を平行にすることに限定されない他の実施形態を予測し得ることである。他のタイプの放射線を平行にするために、他の実施形態を用いることもできる。
【0062】
以下に詳述するように、コリメータ120に使用するシャッタは少なくとも実質的に平面とすることができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の水平シャッタを設けることができ、かつ1つ又は複数の垂直シャッタを設けることもできる。水平シャッタは共通平面に取り付けることができ、かつ垂直シャッタは水平シャッタのそれに平行であるが、機械的な干渉なしにシャッタが開閉できるようにするためにわずかにオフセットした共通面に取り付けることができる。シャッタは、任意のX線不透明材料から作ることができる。いくつかの実施形態では、回動可能ディスクをX線不透明材料から作り及び/又は被覆することもできるが、回動可能ディスクがそのような材料から作られない他の実施形態も予想される。これは、以下に述べるように、X線不透明材料から作られる場合に、シャッタが単独で、完全に又は少なくとも十分にX線を封じ込めるのに十分であるようにしてX線放射を出射できるX線出射シールドと共に装置を構成することができることによる。これは、X線不透明材料がX線透明材料よりコストが高くかつより重い傾向があるので、そのような実施形態において、コストの節約及び/又は重量の削減をもたらすことができる。
【0063】
図3は、コリメータ120の斜視図である。
図4は、
図3に描かれている側とは反対の側から示した、
図3に描かれているコリメータの他の斜視図である。
図5は、
図3及び
図4に描かれているコリメータの分解組立図である。これらの図に示すように、コリメータ120は、後部回転可能ディスク122、前部回転可能ディスク132、センタープレート140、及び前部ディスクカバー150を含んでいる。これらの構成要素の各々が中央開口を含んでいる。132が中央開口部138を含み、センタープレート140が中央開口148を含み、かつ前部ディスクカバー150が中央開口158を含んでいる。
【0064】
これらの開口128、138、148、及び158は、X線の通過を可能にする。これらの開口は円形として図面に示されているが、1つ又は複数のそのような開口が、それには限定されないが長方形、楕円形、その他を含む異なる形状である他の実施形態が予想される。1つ又は複数の回転可能ディスクの内側縁部(すなわち、中央開口を囲む縁部)は、X線不透明材料で被覆し、さもなければ作ることができる。
【0065】
前部及び前部の回転可能ディスク122及び132は、それぞれ、回転可能ディスクが回転するときに動くように構成された2つの別個のシャッタに作動可能に連結されている。より詳しくは、後部回転可能ディスク122は、シャッタ153及び155に作動可能に連結されている。同様に、前部回転可能ディスク132は、シャッタ157及び159に作動可能に連結されている。
【0066】
後部回転可能ディスク122が第1の方向に回転するときに、シャッタ153及び155は接近する。言い換えると、後部回転可能ディスク122が第1の方向に回転するときに、シャッタ153及び155は、これらの2つのシャッタが互いに向かって近づくように少なくとも実質的に反対方向に互いに閉じる。後部回転可能ディスク122が第1の方向とは反対側の第2の方向に回転するときに、シャッタ153及び155は、これらの2つのシャッタが互いに離れて開くように、少なくとも実質的に反対方向に互いに移動する。
【0067】
同様に、前部回転可能ディスク132が第1の方向に回転するときに、他の2つのシャッタ、すなわちシャッタ157及び159は、これらの2つのシャッタが互いに向かって閉じるように少なくとも実質的に反対方向に移動する。加えて、前部回転可能ディスク132が第1の方向とは反対の第2の方向に回転するときに、シャッタ157及び159は、これらの2つのシャッタが互いに離れて開くように少なくとも実質的に反対方向に互いに移動する。しかしながら、シャッタ157及び159は、シャッタ153及び155が移動する方向に対し少なくとも実質的に垂直な方向に移動するように構成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、X線装置100が直立位置にあるときに、シャッタ153及び155は少なくとも実質的に水平方向に移動するように構成することができ、かつシャッタ157及び159は少なくとも実質的に垂直方向に移動するように構成することができる。
【0068】
いくつかの実施形態は、シャッタ153、155、157及び159によって画定されたコリメーション開口が完全には閉じることができないように、更に構成することができる。例えば、1つ又は複数のシャッタは、コリメーション開口がシャッタによって、完全に閉じられる前にコリメーション開口のサイズを減少させる方向の動きが妨げられるように、構成することができる。これは、X線ターゲットの視覚的な指示を提供するある種の実施形態にとっては、視覚的な指示が完全に消えることを妨げるので有用であり得る。このようにして、手術の間には常に、又は少なくともX線ビームが出射されている間には常に、ユーザは治療/診断領域の視覚的指示を提供されることができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、X線装置100は、後部回転可能ディスク122が前部回転可能ディスク132から独立して回転できるように構成することができる。加えて、いくつかの実施形態において、X線装置100は、後部回転可能ディスク122の第1の角度までの回転がシャッタ153及び/又は155の第1の距離の移動という結果となり、前部回転可能ディスク132の第1の角度までの回転がシャッタ157及び/又は159の第2の距離の移動という結果となり、第1の距離が第2の距離とは異なるように構成することができる。
【0070】
この特徴は、例えば25.4cm(10インチ)×30.5cm(12インチ)の検出器に合致するように設計された実施形態といった、矩形の、正方形ではない視野を有する実施形態にとって有用であり得る。そのような実施形態については、全体的な可動域の少なくとも一部にわたって水平と垂直の「アスペクト比」を保つために、回転可能ディスクの同じ回転量について、水平シャッタ(例えば、シャッタ153及び155)が垂直シャッタ(例えば、シャッタ157及び159)より更に移動するようにX線装置100を構成することが有用であり得る。
【0071】
しかしながら、回転の全体にわたってアスペクト比が僅かに変化するように、いくつかの実施形態を構成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、最も大きいサイズのコリメーション開口は25.4×30.5cm(10×12)といった所与のアスペクト比の長方形とし、かつ最も小さいコリメーション開口は正方形とすることができる。したがって、(前部の回転可能ディスクと後部の回転可能ディスクとの間の異なるスロット角度付けにより)等しい回転角が結果として異なるシャッタ移動速度となって、2つの末端位置の間でアスペクト比を一定に調整できるように、2つの回転可能ディスクを構成することができる。他の実施形態においては、最も小さくすることができる矩形の正方形でない形状から対応する最も小さいサイズの正方形へと開口を変化させることができるようにするべく、水平シャッタの移動が止まる前に垂直シャッタの移動が止まるように、X線装置100を構成することができる。そのような実施形態では、アスペクト比及び所与の回転当たりのシャッタ移動速度は、回転可能ディスクのうちの1つにおいて移動が止まるまで、回転運動の全体にわたって一定とすることができる。
【0072】
図3〜
図5はまた、角度がつけられた一連のスロットを描いている。より詳しくは、後部回転可能ディスク122は角度付きスロット123〜126を含み、かつ前部回転可能ディスク132は角度付きスロット133〜136を含む。各シャッタは複数の突出部材を含む。すなわち、シャッタ153は図面において、154及び154’で識別される2つの対向する突出部材を含み、同様にシャッタ155は、156及び156’で識別される2つの対向する突出部材を含む。同様に、シャッタ157は2つの対向する突出部材158を含み、かつシャッタ159は2つの対向する突出部材160を含む。
【0073】
一定のアスペクト比をもたらすように構成された実施形態においては、後部回転可能ディスク122の角度付きスロット123〜126は、前部回転可能ディスク132の角度付きスロット133〜136の角度とは異なる角度を含むことができる。少なくとも実質的に一定なアスペクト比のコリメーション開口をもたらすために、垂直シャッタに使用可能な状態で連結されている回転可能ディスク上に例えばより急な角度付きスロットをもたらすことにより、そのような垂直シャッタは、水平シャッタに対し、等しい回転量についてより大きい距離を移動するように構成することができる。
【0074】
他の実施形態は、一方のディスクの回転が結果として他のディスクの回転となるように、前部及び前部の回転可能ディスクが互いに連結されるように構成することができる。そのような実施形態は、必要に応じ、一定のアスペクト比を維持するべく更に構成することができる。例えば、第1のディスクの回転は第2のディスクのより大きな回転量に帰着できる。同様に、一定のアスペクト比を維持するために、第2のディスクの回転は第1のディスクのより小さな回転量に帰着できる。
【0075】
「スロット」という用語は、任意のタイプのみぞ、孔、軌道、又は突出部材がスロット内でスライドしあるいは移動できるようにしつつ回転運動を適切な並進運動あるいは1つ又は複数の対応するシャッタの他の運動に変えるスライド機構を含めて、広く解釈されることが意図されている。角度付きスロットは、完全に開いた位置から閉じたあるいはほとんど閉じた位置までシャッタが移動できるようにするべく、適切な長さとすることができる。
【0076】
突出部材は、いくつかの実施形態においてはシャッタと同一材料から作ることができるとともに、いくつかの実施形態においてはシャッタと一体に形成することができる。あるいは、突出部材は、例えば接着剤によって、シャッタに取り付けることができるとともに、角度付きスロット内でスライドできるようにする任意の材料から構成することができる。描かれている実施形態の突出部材は円形であるが、ここで留意されるべきことは、突出部材は角度付きスロット内でスライドできるようにする任意の形状又はサイズとすることができることである。
【0077】
いくつかの実施形態において、1つのシャッタの第1の複数の突出部材のうちの少なくとも1つは第1の複数の角度付きスロットのうちの第1の角度付きスロット内に配置することができ、かつ同じシャッタの第1の複数の突出部材のうちの少なくとも1つは第1の複数の角度付きスロットのうちの第2の角度付きスロット内に配置することができる。この構成は、シャッタが単一の突出部材に関して枢動することを防止し及び/又は複数のシャッタの結合を防止する安定性を与えることができる。
【0078】
例えば、描かれた実施形態において、1つのシャッタ153の2つの別個の突出部材154及び154’は、後部回転可能ディスク122の異なる2つの角度付きスロット、すなわち、角度付きスロット124及び125内に配置できる。同様に、他の1つのシャッタ155の2つの別個の突出部材156及び156’は、後部回転可能ディスク122の2つの異なる角度付きスロット、すなわち角付きスロット123及び126内に配置できる。
【0079】
前部回転可能ディスク132に作動可能に連結されたシャッタについて、この構成は同様の仕方で作動できる。例えば、シャッタ157の2つの別個の突出部材158は、2つの異なる角度付きスロット、すなわち角度付きスロット133及び135内に配置できる。同様に、他のシャッタ159の2つの別個の突出部材160は、2つの異なる角度付きスロット、すなわち角度付きスロット134及び136内に配置できる。
【0080】
いくつかの実施形態においては、1つの又は複数の角度付きスロットが、1つ又は複数の他の角度付きスロットとは異なる角度で、その各回転可能ディスクの中心に向かって延びるようにX線装置100を構成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1の角度付きスロットは後部回転可能ディスク122の中心に向かって第1の角度で延びることができ、かつ第2の角度付きスロットは、後部回転可能ディスク122の中心に向かって第1の角度とは異なる第2の角度で延びることができる。そのような実施形態において、第1の角度付きスロットは第1の曲率半径を有することができ、第2の角度付きスロットは第2の曲率半径を有することができ、かつ第1の曲率半径は第2の曲率半径より大きくすることができる。
【0081】
例えば、
図3〜
図5に描かれているコリメータ120を再び参照すると、後部回転可能ディスク122の対向するスロット125及び126は、対向するスロット123及び124より急な角度/割合で中心開口128に向かって延びている。同様に、前部回転可能ディスク132の対向するスロット133及び134は、対向するスロット135及び136より急な角度/割合で中心開口138に向かって延びている。この構成は、作動可能に連結されているディスクが回転する間における、1つ又は複数のシャッタの実質的に平行な動きを維持するために望ましいものとなり得る。
【0082】
いくつかの実施形態においては、特定の回転可能ディスクの1つ又は複数のスロットは、回転可能ディスクの残りのスロットの1つ又は複数と異なる幅を有することもできる。例えば、
図3に最も良く示されているように、後部回転可能ディスク122の対向するスロット125及び126は、対向するスロット123及び124より狭い。同様に、
図5に最も良く示されているように、前部回転可能ディスク132の対向するスロット133及び134は、対向するスロット135及び136より狭い。
【0083】
1つ又は複数の突出部材は、同様に、特定のシャッタ及び/又は特定の回転可能ディスクに作動可能に結合されたシャッタの1つ又は複数の残りの突出部材より大きな幅を有することができる。例えば、再び
図3を参照すると、2つの突出部材のうちの1つ154’は、同じシャッタ153上の他の突出部材154より広くすることができる。同様に、シャッタ155上の2つの突出部材のうちの1つ156’は、他の突出部材156より大きくすることができる。このように、コリメータ120は、シャッタ155上の2つの突出部材のうちより大きいもの(突出部材156’)はスロット126内に嵌合しないように、かつシャッタ153上の2つの突出部材のうちより大きいもの(突出部材154’)はスロット125内に嵌合しないように構成することができる。この構成は、前部回転可能ディスク132上に実質的に再現できる。この構成は、コリメータ120の組み立てミスを規制し又は防止することを含めて、コリメータ120の組立を容易にするときに有用であり得る。
【0084】
図3〜
図5に更に描かれているように、前部回転可能ディスクは単一又は複数の組立スロット127及び162を含むことができる。組立スロット127は、回転可能ディスク122の外周縁の周辺に配置されるとともに、回転可能ディスク122の曲率に少なくとも実質的に対応する湾曲経路で延びる。1つ又は複数の周辺組立スロット127は、残りの周辺組立スロット127より大きい寸法を有する構成とすることができる。このようにして、コリメータ120の適切な組立を容易にし、かつ組み立てミスを防止しあるいは低減できる。
【0085】
例えば、1つ又は複数の突出組立片166を、描かれている実施形態における前部ディスクカバー150といった装置の他の部分から延びるように配置できる。突出組立片166は、コリメータ120を構成する組立における1つ又は複数の他の片を通って延びるように構成することができる。例えば、突出組立片166は、前部回転可能ディスク132の周辺組立スロット137を通って、センタープレート140の周辺組立スロット147を通って、かつ後部回転可能ディスク122の周辺組立スロット127を通って延びることができる。周辺組立スロット127のうちの1つ又は複数が残りのスロットより大きい実施形態においては、対応する数の突出組立片166を残りの突出組立片より大きくすることができる。このようにして、誤った組立を防止し又は少なくとも減少させることができる。
【0086】
誤った組立の可能性を更に減少させるために、他の組立スロット162を後部回転可能ディスク122の上に形成できる。同様に、他の組立スロット164を前部回転可能ディスク132の上に形成できる。組立スロット162は、センタープレート140上に形成されたピン163又は他の同等の突出部材を受け入れるように構成することができる。類似のピン168又は同等の突出部材は、前部ディスクカバー150上に形成できるとともに、前部回転可能ディスク132に形成された類似の組立スロット164に受け入れられるように構成することができる。組立スロット162を、異なる位置に及び/又は組立スロット164に対し異なる寸法で配置することにより、X線装置100の組み立てミスを防止し又は少なくとも抑制できる。
【0087】
コリメータ120の各種部品を一体に固定するために、1つ又は複数の固定部材152を使用することもできる。加えて、コリメータ120を構成する1つ又は複数の構成要素の上に、1つ又は複数のスプリング部材121を形成できる。例えば、描かれている実施形態において、後部回転可能ディスク122は、コリメータ120の外側に向かって延びる4つのスプリング部材121を含む。同様に、前部回転可能ディスク132は、前部ディスクカバー150に向かって延びる4つのスプリング部材119を含む。スプリング部材119及び121は、コリメータ120及び/又は1つ若しくは複数のその内部要素が、使用の間に壊されあるいは音をたてることの防止を助けることができる。これらの部品は、許容誤差の要件を改善するために、部品の積み重ねの間の隙間を考慮することもできる。加えて、スプリング部材121は、機構の様々な部品が緩くなりあるいは損傷すること無しに経時的に摩耗することを考慮できる。
【0088】
いくつかの実施形態において、1つ又は複数の回転可能ディスクは、回転可能ディスクの外周の少なくとも一部に沿って配置された複数の突起を更に含むことができる。そのような突起は、回転可能ディスクの突起に隣接する外周を越えて突出するように構成することができる。これらの突起は、コリメーション開口の寸法を変更するためにユーザが回転可能ディスクを回転させることができるように構成することができる。
【0089】
例えば、描かれている実施形態においては、複数の突起129が後部回転可能ディスク122の外周に沿って配置され、かつ複数の突起139及び前部回転可能ディスク132の外周に沿って配置されている。
【0090】
突起129及び/又は139は、回転可能ディスクの外縁から延びる、例えばタブ、ノブ、ハンドル又は歯から構成することができる。添付の図面に示すように、回転可能ディスクは、スプロケットのように形作ることができるとともにディスクの外縁から延びる多数の突起を有することができる。これらの突起は、時計方向又は反時計方向のいずれかにディスクを手で回転させることができるようにする。これらの突起は、円形ディスクの手動調整を単純化すると共にシャッタ位置の視覚インジケータをもたらすために用いることができる。コリメータの突起と共に回転しないこれらの突起及び/又は他の部品は、特定の構成におけるシャッタの位置を示すためにマーキング及び/又は凹みを有することができる。いくつかの実施形態において、ディスクの、したがってシャッタの自動化された運動をもたらすために、モータ又は他の機械的な作動手段に突起を係合させることができる。
【0091】
1つの回転可能ディスクの突起は、他の回転可能ディスクの突起に対して異なる形状及び異なる寸法のうちの1つを有するように構成することができる。このようにして、ユーザは、その突起に関連付けられたディスクを回転させることによって、どのシャッタが開閉されるかについての情報を与えるための2セットの突起の違いを見て及び/又は感じることができる。
【0092】
例えば、描かれている実施形態においては、突起129が突起139より小さい。加えて、この装置は、特定の構成において、突起139によって画定された凹所の中に突起129を配置できるように構成される。X線装置100は、いくつかの実施形態において、突起129が突起139の間に交互に配置される各構成が安定した構成であるように構成することができる。言い換えると、2枚のディスクがそのような配置を保つ傾向があるとともにそのような回転動作を続けるために追加の力を必要とする、突起129が突起139の間に配置される位置まで、一方の回転ディスクの他方に対する回転がスムーズに連続するように装置を構成することができる。いくつかの実施形態においては、突起129が突起139の間に配置されるそれぞれの安定的な配置は、一般的な治療、診断、及び/又は具体的な距離にあるセンサの寸法といった、コリメーション開口の特定の、所望の寸法に対応させることができる。いくつかの実施形態においては、コリメーション開口の寸法/状態についての情報をユーザに提供するために、突起及び/又は回転可能ディスクと共に回転しない他の装置部分にマーキングを設けることもできる。
【0093】
図6は、点線源として描かれているX線供給源182、ミラー185、可視光発生装置190及びX線出射シールド180を含む、X線装置の一実施形態のいくらかの内部要素を描いた断面図である。
図6はまた、コリメータ120のいくらかの部品を描いている。この図が示すように、可視光発生装置190からの光はミラー185に向けて導かれるが、そのミラーはX線出射シールド180によって、少なくとも部分的に画定された出口にそのような光を導くために適切な角度に配置されている。X線供給源182からのX線放射はまた、X線出射シールド180を通って出射されるとともに、X線放射を透過できるミラー185を通って出射できる。
【0094】
この図に更に示されているように、コリメータ120と共に使用する1つ又は複数のシャッタは、可視光発生装置190によって、コリメータ120を通して出射される可視光ターゲット形状により明瞭な境界を与えるために、及び/又は同様にX線供給源182によって、コリメータ120を通して出射されるX線ターゲット形状により明瞭な境界を与えるために、角度付きの端部を有することができる。例えば、
図6に示すように、シャッタ157及び159の前面及び後面に対して直角であることに代えて、可視光発生装置190により出射される可視光の円錐形状の角度に少なくとも実質的に合致させるために、及び/又はX線供給源182により出射されるX線放射の円錐形状の角度に少なくとも実質的に合致させるために、シャッタ157の端167に角度が付けられるとともにシャッタ159の端169に角度が付けられる。ここで更に理解されるべきことは、後部回転可能ディスク122のシャッタ153及び157の端部は
図6に見ることができないが、ターゲット形状の全ての4つの側部(矩形のターゲット形状を画定するコリメーション開口を有する4つの実施形態)が比較的明瞭な境界を有するように、そのような端部にも同じように角度を付け得ることである。
【0095】
図7は、X線装置100の一実施形態による測距ビーム113を含むハンドルベース112の詳細な断面図である。測距ビーム113はレーザ装置を含むことができる。図示のように、レーザ装置113は、ハンドルベース112の底面から距離D1に配置されるとともにハンドルベース112の底面から上方に角度が付けられている。レーザ装置113が上方に角度が付けられている角度はA1である。当業者が理解するように、測距ビーム113がレチクル又は他の投影部材の画像の投影と所望の距離で交差するように構成するべく、D1及びA1の値を調整することができる。
【0096】
測距ビーム113からの可視光ビームが、例えば測距ビーム113といった装置から予め定められた距離において、可視光発生装置190により投影された投影画像の少なくとも一部と交差するように、測距ビーム113は、いくらかの実施形態におけるレーザといった可視光ビームを可視光発生装置190により出射される可視電磁放射に対してある角度で出射するように構成することができる。このようにして、ユーザは、治療、診断、あるいは装置の他の類似の使用を適用できる1つ又は複数の距離を視覚化することが可能となる。
【0097】
測距ビーム113及び本願明細書に示されている関連した概念は、本願明細書により詳細に説明するようにX線装置に使用できるが、ライフル及び他の銃、写真撮影、研究室の装置、及び対象からの距離の決定及び視覚化をもたらすことが有用である他の用途といった他の装置においても有用であり得る。
【0098】
加えて、測距ビーム113は、図面に描かれている携帯X線装置100におけるハンドル110の底部の近くに配置されるものとして示されているが、他の実施形態においては、測距ビーム113を装置上の他の場所に配置できる。例えば、非携帯型のX線装置において、測距ビームは、十字線レチクル又は他の投影された画像と交差するための適切な距離において、投影部材の透明窓の上方あるいは下方に配置できる。測距ビームは、固定された位置及び角度とすることができるが、他の実施形態においては、測距ビームの位置及び/又は角度を調整可能とすることができる。更に、装置は、測距ビームの調整を手動でなすことができるように構成することができ、あるいは装置は、望ましい角度及び/又は距離についてのユーザ入力を受け入れた後にレーザ装置を自動的に特定の角度に合わせるように構成された調整モジュールを含むことができる。
【0099】
例えば、いくつかの実施形態において、X線装置は、特定の角度及び/又は焦点距離をユーザが入力できるようにするユーザ入力装置を含むことができる。次いで測距ビームは、レチクル又は入力された距離にある投影部材から投影された画像の中心に測距ビームを配置するために、入力された距離及び/又は角度に自動的に調整するように構成することができる。同様に、X線装置は、測距ビームは手動で調節可能であり、かつ十字マークレチクルの中心といった投影された画像の特定部分と測距ビームとが交差する角度が距離測定に自動的に変換されるように構成することができる。それから、距離はディスプレイ上でユーザに与えることができる。
【0100】
X線装置100は、所望の治療/診断距離を決定するべく測距ビーム113と共に使用し得る画像を投影するために、可視光発生装置190と共働するように構成し得る投影部材と共に構成することもできる。例えば、
図8は、投影部材200の一実施形態を描いている斜視図である。投影部材200はレチクルを含む。しかしながら、ここで理解されるべきことは、この開示の利益を受け取った後に当業者にとって明らかとなるように、多種多様な他の投影部材を使用できることである。
【0101】
明視野は、透明窓を含むことができるレチクル200を通って透過することができ、それによって、レチクルの画像を壁又は対象に投影する。本願明細書の他の場所に記載されているように、レーザ装置又は他の測距ビームは、明視野外に配置されるとともに明視野に向けてある角度で導かれる。測距ビームは、投影されたレチクルに沿った特定位置で交差するように配置しかつ角度を付けることができる。測距ビームの角度は、投影されたレチクルとレーザの交差が具体的な距離にあることを保証するべく調整できる。
【0102】
透明窓は、明視野及びX線視野が歪むことなく伝播できるようにするために、例えばガラス又はポリカーボネートといった、可視光及びX線の両方に透明な任意の材料で作ることができる。透明窓は、例えば十字マークレチクルといったレチクル、又はエッチングされ印刷され、さもなければ透明窓上に配置された他の投影部材を有することができる。十字マークレチクルは、任意の望ましいパターン又は格子とすることができる。
【0103】
2つの主要な十字マークの交差は透明窓の中心を詳細に描写することができ、かつX線装置を使用するときにはX線視野の中央を詳細に描写することもできる。
【0104】
投影部材200は、少なくとも部分的に可視光に対して透明な材料から構成することができる。投影部材200は、画像によって画定された陰影を含む画像を投影するために、可視光発生装置190からの光といった可視電磁放射の経路内に配置された画像を含むこともできる。例えば、投影部材200が、
図8に描かれる実施形態といったレチクルを含む実施形態において、画像は、画像内に投影され得る複数の破線を含むことができ、その破線は可視光発生装置190から発生した光による陰影を画定する。
【0105】
測距ビームと投影部材から投影された十字マークレチクル又は他の投影画像は、視差効果を生じさせることができる。この視差効果は、測距ビームと投影された十字マークレチクルが交差する所のX線装置からの具体的な距離を画定するために使用できる。したがって、測距ビームと投影された十字マークレチクルの目標交差は、特定の所望距離で生じるように構成することができる。測距ビームの位置及び/又は角度は、十字マークレチクルの中心又は投影された十字マークレチクル上の異なるマーキングにおいて、交差が生じるように調整できる。
【0106】
目標交差が一旦知られかつ装置が使用中であるときに、測距ビームと十字マークレチクルの交差は、X線装置を開始位置からより近くに又はより遠くに動かすことによって、調整できる。例えば、いくつかの実施形態において、レーザ装置は、X線供給源から71.1cm(28インチ)で十字マークレチクルと交差するべく特定の角度に配置できる。71.1cm(28インチ)の距離は、いくらかの用途のために選択できる。これは、検出器産業において、使用される一般的な寸法である、25.4cm(10インチ)×30.5cm(12インチ)のX線寸法を生成するのに必要な距離であるからである。本実施形態においては、レーザ装置の特定角度は自然界における水平から約19.5度とすることができる。十字マークレチクルの中心は、X線放射の供給源の前方に71.1cm(28インチ)投影できる。
【0107】
いくつかの実施形態においては、十字マークレチクル及びレーザ装置は、装置を使用する前に角度及び位置を調整できるように位置を固定できる。ユーザは、レーザが投影された十字マークレチクルと中心マーキングにおいて、交差するまで開始位置より近くに又はより遠くへとX線装置を動かすことができ、それによって、X線放射の供給源が交差から71.1cm(28インチ)にあることを確実にする。
【0108】
投影部材がレチクルを含む実施形態において、レチクルは距離が等しくない複数の破線を含むことができる。例えば、
図8に描かれている実施形態を再び参照すると、レチクル200は、垂直クロスバー210に沿って配置された距離が等しくない複数の破線を含んでいる。垂直クロスバー210に加えて対応する水平クロスバー230は、目標を定める十字マークを画定することができる。垂直クロスバー210及び水平クロスバー230によって画定された目標領域は、目標マーカ220によって、詳細に描写できる。描かれている実施形態において、目標マーカ220は円から構成されている。目標マーカ220を設けることにより、ユーザは、所望の治療/診断領域を正確に決定するべく、レーザ又は測距ビーム113から投影されたもう1つの光が患者の身体上又はセンサ上の特定の位置に当たって目標マーカ220の範囲内にレーザが配置されるように、X線装置100を配置できる。
【0109】
距離が等しくない破線は、レチクル200の下部において、最も大きな量で間隔を開けて配置される。距離が等しくない破線間の距離は、レチクル200の下部からレチクル200の上部へと次第により小さくなる。例えば、
図8に描かれている実施形態において、レチクル200の最も下側の破線である破線212は、破線214に第1の距離で隣接して配置される。破線216は、第1の距離より短い第2の距離で破線214に隣接して配置される。破線216は、(いくつかの実施形態においては機能的に破線として役立つ)水平十字マーカ230に、第2の距離より短い第3の距離で隣接して配置される。同様に、上記の水平クロスバー230である破線218は、第3の距離より短い第4の距離で水平クロスバー230に隣接して配置される。破線222は、第4の距離より短い第5の距離で破線218に隣接して配置される。そして最後に、破線224は、第5の距離より短い第6の距離で破線222に隣接して配置される。
【0110】
いくつかの実施形態において、等距離が等しくない破線の位置決めは、距離が等しくない破線のうちの少なくともいくつかがX線発生装置及び/又は装置上の他の固定点からの等しい距離を表すように、具体的に構成することができる。言い換えると、距離が等しくない破線の配置は、装置からの様々な距離をユーザが正確に決定できるようにするべく、正確に決定できる。
【0111】
より具体例は、一実施形態の動作を完全に理解するために、
図8に関連して参照できる
図9に示されている。
図9に示すように、
図8に描かれているようなレチクル200の距離が等しくない破線に一致する、距離が等しくない一連の距離目盛が描かれている。より詳しくは、距離目盛330は水平クロスバー230に一致している。したがって、距離D2において、測距ビーム113からの光は、クロスバー230におけるレチクル200上の画像の投影と交差する。同様に、
図9の距離目盛312は
図8の破線212に一致し、距離目盛314が破線214と一致し、距離目盛316が破線216に一致し、距離目盛318が破線218に一致し、距離目盛322が破線222に一致し、かつ距離目盛324が破線224に一致する。
【0112】
したがって、
図9に描かれている隣接する距離目盛のそれぞれがレチクル200の隣接する破線に一致する。これらの距離目盛のそれぞれが、同じ距離、すなわちD3だけ、隣接する距離目盛から離れている。このようにして、ユーザは、レチクルから投影された画像の中央と一致し得る1つの距離を確認できるだけではなく、一連の距離を確認することができ、かつターゲットとなる患者、センサ、又は他のターゲットアイテムを特定の距離の正確な倍数で装置に対して近くに又は離して移動させることができる。上述したコリメータのいくらかの実施形態と組み合わせて使用するときに、ユーザは、装置からの所望の位置を正確に決めること、及び診断、治療又はその他のそのような用途のためのX線放射を受け取る領域の最大範囲を視覚化することの両方をなすことができる。
【0113】
図9はまた、(X線供給源182及び/又は可視光発生装置190から出射される)コリメータ120に対して垂直なビームと測距ビーム113から出射される角度が付けられたビームとの間の角度A2を描いている。上述したように、この角度は、特定の用途において、必要とされるように調整できる。
【0114】
前述した明細書は、様々な実施形態を参照して記載してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で様々な修正及び変更をなすことができることは、当業者が理解するところである。例えば、添付の図面に描かれている実施形態は垂直クロスバーに沿った破線を含んでいるが、他の実施形態は、それに加えてあるいはそれに代えて水平クロスバーに沿った破線を含むことができる。加えて、さまざまな運用上のステップ並びに運用上のステップを実行するための要素は、特定の用途に応じて又はシステムの動作に関連する任意の数のコスト関数を考慮して、代わりの方法で実施できる。したがって、任意の1つ又は複数のステップを削除し、修正し、又は他のステップと組み合わせることができる。更に、この開示は、限定的な意味ではなく例証を示すものと見なされるべきであり、すべてのそのような修正はその範囲内に含まれることが意図される。同様に、利点、他の利益、及び課題の解決策を様々な実施形態に関連して記載してきた。しかしながら、利点、利益、課題の解決策、及び任意の利点、利益、又は出現しあるいはより明白になる解決策を生じさせ得る任意の要素は、決定的であり、必要であり、又は本質的な特徴又は要素であると解釈されるべきではない。
【0115】
ここで容易に理解されることは、当業者にとって明らかなように、開示された実施形態に関連して記載されている方法のステップ又は動作の順序を変更できることである。したがって、図面又は詳細な説明における如何なる順序も、単に図示を目的とするものであり、そのような順序を必要とすることが規定されない限り、必要とする順序を必然的に含むことを意味するものではない。
【0116】
根底にある本発明の原理を逸脱しない範囲で上記した実施形態の詳細に対し多くの変更をなし得ることは、当業者が理解するところである。したがって、本発明の範囲は以下の請求項のみにより決定されなければならない。