特許第6270952号(P6270952)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6270952基板処理装置、半導体装置の製造方法および記録媒体。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6270952
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法および記録媒体。
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/52 20060101AFI20180122BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20180122BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20180122BHJP
   H01L 21/318 20060101ALN20180122BHJP
【FI】
   C23C16/52
   H01L21/68 A
   !H01L21/31 C
   !H01L21/318 B
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-189640(P2016-189640)
(22)【出願日】2016年9月28日
【審査請求日】2017年3月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】吉野 晃生
(72)【発明者】
【氏名】保井 毅
【審査官】 山田 頼通
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−105546(JP,A)
【文献】 特開2002−033280(JP,A)
【文献】 特開2009−182235(JP,A)
【文献】 特開2016−154222(JP,A)
【文献】 特開2013−084898(JP,A)
【文献】 特開2011−091373(JP,A)
【文献】 特開2004−193307(JP,A)
【文献】 特開2009−200241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/677
H01L 21/31
H01L 21/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する複数の処理室と、
前記複数の処理室のそれぞれに設けられ前記基板を所定温度に加熱する加熱部と、
前記複数の処理室とゲートバルブを介して接続された真空搬送室と、
前記真空搬送室内であって、前記ゲートバルブの側方で前記基板の温度を測定する温度センサと、
前記真空搬送室に設けられ、前記基板を複数枚搬送可能な搬送ロボットと、
前記真空搬送室に接続されたロードロック室と、
前記ロードロック室内に設けられ、前記処理室で処理された基板を支持する支持部と、
前記ロードロック室に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、
前記基板の温度に対応する冷却レシピが記録された記憶装置と、
前記基板を前記処理室で所定温度に加熱処理した後、前記基板を前記処理室から前記ロードロック室に搬送し、前記温度センサで測定した温度に対応する前記冷却レシピを前記記憶装置から読み出し、前記冷却レシピに基づいて前記基板に前記不活性ガスを供給して前記基板を冷却する様に、前記不活性ガス供給部を制御する制御部と、
を有する基板処理装置。
【請求項2】
前記搬送ロボットは、二つのアームを有し、
前記制御部は、
前記二つのアームの内、一方のアームで前記処理室から処理済の基板を搬出し、他方のアームで未処理の基板を搬入した後、前記搬出した基板を前記ロードロック室に搬送する第1搬送を行う場合と、
前記二つのアームの内、一方のアームで前記処理室から処理済の基板を搬出し、他方のアームで未処理の基板を搬入せずに前記処理済の基板を前記ロードロック室に搬送する第2搬送を行う場合と、
で、前記記憶装置から読み出された冷却レシピの前記不活性ガスの供給量を異ならせて前記基板を冷却するよう前記搬送ロボットと前記不活性ガス供給部とを制御する
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記第2搬送した場合の前記不活性ガスの供給量を
前記第1搬送した場合の前記不活性ガスの供給量よりも多くする様に前記不活性ガス供給部を設定して前記搬送ロボットと前記不活性ガス供給部とを制御する
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記ロードロック室内であって、前記基板と対向する位置に設けられ内部に冷媒が供給される冷却部を有し、
前記制御部は、前記冷却レシピに基づいて前記冷媒を供給させるように前記冷却部を制御する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
複数の基板を複数の処理室のそれぞれで加熱処理する工程と、
前記加熱処理した基板を、ゲートバルブを介して前記複数の処理室に接続された真空搬送室内に設けられた搬送ロボットで、前記処理室から前記真空搬送室に接続されたロードロック室に搬送する工程と、
前記ゲートバルブの側方で温度センサが測定した前記基板の温度に対応する冷却レシピを記憶装置から読み出すと共に、
前記ロードロック室で、前記冷却レシピに基づいて前記基板に不活性ガスを供給して前記基板を冷却する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項6】
複数の基板を複数の処理室のそれぞれで加熱処理させる手順と、
前記加熱処理した基板を、ゲートバルブを介して前記複数の処理室に接続された真空搬送室内に設けられた搬送ロボットで、前記処理室から前記真空搬送室に接続されたロードロック室に搬送させる手順と、
前記ゲートバルブの側方で温度センサが測定した前記基板の温度に対応する冷却レシピを記憶装置から読み出すと共に、
前記ロードロック室で、前記冷却レシピに基づいて前記基板に不活性ガスを供給して前記基板を冷却させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項7】
複数の基板を複数の処理室のそれぞれで加熱処理させる手順と、
前記加熱処理した基板を、ゲートバルブを介して前記複数の処理室に接続された真空搬送室内に設けられた搬送ロボットで、前記処理室から前記真空搬送室に接続されたロードロック室に搬送させる手順と、
前記ゲートバルブの側方で温度センサが測定した前記基板の温度に対応する冷却レシピを記憶装置から読み出すと共に、
前記ロードロック室で、前記冷却レシピに基づいて前記基板に不活性ガスを供給して前記基板を冷却させる手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるプログラムが記録された記録媒体。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に、シリコン(Si)等の所定元素を含む酸化膜を形成する処理を複数の装置で行うことがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5947435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板毎の処理均一性を向上させることが求められている。
【0005】
そこで本開示では、基板毎の処理均一性の向上可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、
基板を処理する複数の処理室と、複数の処理室のそれぞれに設けられ基板を所定温度に加熱する加熱部と、複数の処理室に接続された真空搬送室と、真空搬送室に設けられ、基板を複数枚搬送可能な搬送ロボットと、真空搬送室に接続されたロードロック室と、ロードロック室内に設けられ、処理室で処理された基板を支持する支持部と、ロードロック室に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、冷却レシピが記録された記憶装置と、基板を処理室で所定温度に加熱して処理した後、基板を処理室からロードロック室に搬送し、基板の温度に対応する冷却レシピを記憶装置から読み出し、冷却レシピに基づいて基板に不活性ガスを供給して基板を冷却する様に、不活性ガス供給部と記憶装置とを制御する制御部と、を有する技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術によれば、基板毎の処理均一性の向上可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る基板処理システムの横断面の概略図である。
図2】一実施形態に係る基板処理システムの縦断面の概略図である。
図3】一実施形態に係るL/L室の断面図の概略図である。
図4】一実施形態に係るプロセスモジュールのガス供給系とガス排気系の概略図である。
図5】一実施形態に係る基板処理装置の概略構成図である。
図6】一実施形態に係るコントローラの概略構成図である。
図7】一実施形態に係るL/Lシーケンスの判定工程例である。
図8】一実施形態に係る基板のスワップ搬送例である。
図9】一実施形態に係る基板のスワップ搬送を行わない例である。
図10】一実施形態に係る基板温度に対する冷却工程のテーブル例である。
図11】一実施形態に係る基板温度に対する冷却工程の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本開示の実施の形態について説明する。
【0010】
<一実施形態>
(1)基板処理システムの構成
一実施形態に係る基板処理システムの概要構成を、図1図2図4を用いて説明する。図1は本実施形態に係る基板処理システムの構成例を示す横断面図である。図2は、本実施形態に係る基板処理システムの構成例を示す図1のα−α’における縦断面図である。図4は、図1のβ−β’の縦断面図であり、プロセスモジュールに供給するガス供給系と排気系を説明する説明図である。
【0011】
図1および図2において、本開示が適用される基板処理システム1000は、ウエハ200を処理するもので、IOステージ1100、大気搬送室1200、ロードロック(L/L)室1300、真空搬送室(トランスファモジュール:TM)1400、プロセスモジュール(PM)110で主に構成される。次に各構成について具体的に説明する。図1の説明においては、前後左右は、X1方向が右、X2方向が左、Y1方向が前、Y2方向が後とする。
【0012】
(大気搬送室・IOステージ)
基板処理システム1000の手前には、IOステージ(ロードポート)1100が設置されている。IOステージ1100上には複数のポッド1001が搭載されている。ポッド1001はシリコン(Si)基板などのウエハ200を搬送するキャリアとして用いられ、ポッド1001内には、未処理の基板(ウエハ)200や処理済のウエハ200がそれぞれ水平姿勢で複数格納されるように構成されている。
【0013】
ポッド1001にはキャップ1120が設けられ、ポッドオープナ(Pod Opener:PO)1210によって開閉される。PO1210は、IOステージ1100に載置されたポッド1001のキャップ1120を開閉し、基板出し入れ口を開放・閉鎖することにより、ポッド1001に対するウエハ200の出し入れを可能とする。ポッド1001は図示しない工程内搬送装置(RGV)によって、IOステージ1100に対して、供給および排出される。
【0014】
IOステージ1100は大気搬送室1200に隣接する。大気搬送室1200は、IOステージ1100と異なる面に、後述するロードロック室1300が連結される。
【0015】
大気搬送室1200内にはウエハ200を移載する第1搬送ロボットとしての大気搬送ロボット1220が設置されている。図2に示すように、大気搬送ロボット1220は大気搬送室1200に設置されたエレベータ1230によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ1240によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0016】
図2に示すように、大気搬送室1200の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニット1250が設置されている。また、図1に示されているように、大気搬送室1200の左側にはウエハ200に形成されているノッチまたはオリエンテーションフラットを合わせる装置(以下、プリアライナという)1260が設置されている。
【0017】
図1および図2に示すように、大気搬送室1200の筐体1270の前側には、ウエハ200を大気搬送室1200に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口1280と、PO1210とが設置されている。基板搬入搬出口1280を挟んでPO1210と反対側、すなわち筐体1270の外側にはIOステージ1100が設置されている。
【0018】
大気搬送室1200の筐体1270の後ろ側には、ウエハ200をロードロック室1300に搬入搬出するための基板搬入出口1290が設けられる。基板搬入出口1290は、ゲートバルブ1330によって解放・閉鎖することにより、ウエハ200の出し入れを可能とする。
【0019】
(ロードロック(L/L)室)
次にL/L室1300について図1図2図3を用いて説明する。図3の下側の図は、上側の図のγ―γ´の断面図である。
ロードロック室1300は大気搬送室1200に隣接する。L/L室1300を構成する筐体1310が有する面のうち、大気搬送室1200とは異なる面には、後述するように、TM1400が配置される。L/L室1300は、大気搬送室1200の圧力とTM1400の圧力に合わせて筐体1310内の圧力が変動するため、負圧に耐え得る構造に構成されている。
【0020】
筐体1310のうち、TM1400と隣接する側には、基板搬入搬出口1340が設けられる。基板搬入出口1340は、ゲートバルブ(GV)1350によって解放・閉鎖することで、ウエハ200の出し入れを可能とする。
【0021】
さらに、L/L室1300内には、ウエハ200が載置される支持部1311a,1311b,1311c,1311dが設置されている。なお、支持部1311a,1311bは第1支持部であって、未処理のウエハ200を支持し、支持部1311c,1311dは第2支持部であって、処理済のウエハ200が支持される様に構成される。
【0022】
また、L/L室1300内に冷却ガスとしての不活性ガスを供給する不活性ガス供給部とL/L室1300内の雰囲気を排気する排気部601,602が設けられている。不活性ガス供給部は、ガス供給管501a,502aとバルブ501b,502bとMFC501c,502cを有し、L/L室1300内に供給する冷却ガスの流量を調整可能に構成される。
【0023】
また、第2支持部1311c,1311dの下側には、ウエハ200と対向する冷却部801a,801bがそれぞれ設けられている。冷却部801a,801bのウエハ200と対向する面は、少なくともウエハ200の直径よりも大きく形成される。また、冷却部801a,801bには、冷媒流路802a,802bが構成され、チラー803から冷媒が供給される様に構成される。ここで冷媒は、例えば、水(HO)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)等が用いられる。
【0024】
(真空搬送室)
基板処理システム1000は、負圧下でウエハ200が搬送される搬送空間となる搬送室としてのTM1400を備えている。TM1400を構成する筐体1410は平面視が五角形に形成され、五角形の各辺には、L/L室1300及びウエハ200を処理するプロセスモジュール(PM)110a〜110dが連結されている。TM1400の略中央部には、負圧下でウエハ200を移載(搬送)する第2搬送ロボットとしての真空搬送ロボット1700がフランジ1430を基部として設置されている。なお、ここでは、TM1400を五角形の例を示すが、四角形や六角形などの多角形であっても良い。
【0025】
筐体1410の側壁のうち、L/L室1300と隣接する側には、基板搬入搬出口1420が設けられている。基板搬入出口1420は、GV1350によって解放・閉鎖することで、ウエハ200の出し入れを可能とする。
【0026】
TM1400内に設置される真空搬送ロボット1700は、図2に示すように、エレベータ1450およびフランジ1430によってTM1400の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。真空搬送ロボット1700の詳細な構成は後述する。エレベータ1450は、真空搬送ロボット1700が有する二つのアーム1800と1900をそれぞれ独立して昇降可能なよう構成されている。また、二つのアーム1800と1900のそれぞれは、ツイーザ1801,1802,1901,1902が設けられ、一つのアームで二つのウエハ200を同時に搬送可能に構成される。
【0027】
筐体1410の天井であって、筐体1410内に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給孔1460が設けられる。不活性ガス供給孔1460には不活性ガス供給管1510が設けられる。不活性ガス供給管1510には上流から順に不活性ガス源1520、マスフローコントローラ(MFC)1530、バルブ1540が設けられ、筐体1410内に供給する不活性ガスの供給量を制御している。
【0028】
主に、不活性ガス供給管1510、MFC1530、バルブ1540で、TM1400における不活性ガス供給部1500が構成される。なお、不活性ガス源1520、ガス供給孔1460を不活性ガス供給部1500に含めてもよい。
【0029】
筐体1410の底壁には、筐体1410の雰囲気を排気するための排気孔1470が設けられる。排気孔1470には、排気管1610が設けられる。排気管1610には、上流から順に圧力制御器であるAPC(AutoPressure Controller)1620、ポンプ1630が設けられる。
【0030】
主に、排気管1610、APC1620でTM1400におけるガス排気部1600が構成される。なお、ポンプ1630、排気孔1470をガス排気部に含めてもよい。
【0031】
不活性ガス供給部1500、ガス排気部1600の協働によってTM1400の雰囲気が制御される。例えば、筐体1410内の圧力が制御される。
【0032】
図1に示されているように、筐体1410の五枚の側壁のうち、ロードロック室1300が設置されていない側には、ウエハ200に所望の処理を行うPM110a、110b、110c、110dが連結されている。
【0033】
PM110a、110b、110c、110dのそれぞれには、基板処理装置の一構成のチャンバ100が設けられている。具体的には、PM110aはチャンバ100a、100bが設けられる。PM110bにはチャンバ100c、100dが設けられる。PM110cにはチャンバ100e、100fが設けられる。PM110dにはチャンバ100g、100hが設けられる。
【0034】
筐体1410の側壁のうち、各チャンバ100と向かい合う壁には基板搬入出口1480が設けられる。例えば、図2に記載のように、チャンバ100aと向かい合う壁には、基板入出口1480aが設けられる。
【0035】
ゲートバルブ(GV)1490は、図1に示されているように、チャンバ毎に設けられる。具体的には、チャンバ100aとTM1400との間にはゲートバルブ1490aが、チャンバ100bとの間にはGV1490bが設けられる。チャンバ100cとの間にはGV1490cが、チャンバ100dとの間にはGV1490dが設けられる。チャンバ100eとの間にはGV1490eが、チャンバ100fとの間にはGV1490fが設けられる。チャンバ100gとの間にはGV1490gが、チャンバ100hとの間にはGV1490hが設けられる。
【0036】
各GV1490によって解放・閉鎖することで、基板搬入出口1480を介したウエハ200の出し入れを可能とする。
【0037】
また、TM1400内であって、各GVの前には、ウエハ200の温度を測定する温度センサ701a,701b,701c,701d,701e,701f,701g,701h,701i,701jが設けられていても良い。温度センサは例えば、放射温度計である。温度センサを設けることによって、搬送中のウエハ200の温度を測定することが可能となる。
【0038】
(プロセスモジュール:PM)
続いて各PM110の内、PM110aについて、図1図2図4を例にして説明する。図4はPM110aとPM110aに接続されるガス供給部と、PM110aに接続されるガス排気部との関連を説明する説明図である。
【0039】
ここではPM110aを例にしているが、他のPM110b、PM110c、PM110dにおいても同様の構造であるため、ここでは説明を省略する。
【0040】
図4に記載のように、PM110aには、ウエハ200を処理する基板処理装置の一構成のチャンバ100aとチャンバ100bが設けられる。チャンバ100aとチャンバ100bの間には隔壁2040aが設けられ、それぞれのチャンバ内の雰囲気が混在しないように構成される。
【0041】
図2に記載のように、チャンバ100eとTM1400が隣り合う壁には、基板搬入搬出口2060eが設けられ、同様に、チャンバ100aとTM1400が隣り合う壁には基板搬入出口2060aが設けられている。
【0042】
各チャンバ100にはウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。
【0043】
PM110aには、チャンバ100aとチャンバ100bのそれぞれに処理ガスを供給するガス供給部が接続されている。ガス供給部は、第1ガス供給部(処理ガス供給部)、第2ガス供給部(反応ガス供給部)、第3ガス供給部(パージガス供給部)などで構成される。各ガス供給部の構成については後述する。
【0044】
また、PM110aには、チャンバ100aとチャンバ100bのそれぞれを排気するガス排気部が設けられている。図4に示す様に、一つのガス排気部が複数のチャンバを排気する様に構成される。
【0045】
この様に、PMに設けられた複数のチャンバは一つのガス供給部と一つのガス排気部を共有するように構成される。
【0046】
また、PM100a,100b,100c,100dのそれぞれは、異なる温度帯の処理を行う場合が有る。例えば、PM100a,100bでは、低温処理(第1温度での処理)を行い、PM100c,100dで高温処理(第2温度での処理(第2温度>第1温度))を行う場合がある。この様な場合、以下の課題を生じ、ウエハ200毎の熱履歴が変化し、基板毎の処理均一性が低下することが有る。
【0047】
(a)
PM100a,100bから搬出されるウエハ200の温度と、PM100c,100dから搬出される温度とが異なり、ウエハ200をL/L室1300で冷却する時間にバラつきが生じ、搬送シーケンスに遅延が生じる課題が有る。
【0048】
(b)
PMからL/L室1300までの処理済のウエハ200の搬送時間が異なることが有る。これにより、L/L室1300に搬入されたウエハ200の温度が異なり、L/L室1300で冷却する時間にバラつきが生じ、搬送シーケンスに遅延を生じる課題が有る。例えば、後述の交換搬送で取り出した処理済のウエハ200をL/L室1300に搬送する場合と、取り出し搬送で取り出した処理済のウエハ200をL/L室1300に搬送する場合とでは、L/L室1300に搬入されたウエハ200の温度が異なる。交換搬送では、処理済のウエハ200を取りだしてから交換搬送が完了するまでに、TM1400内で待機する時間が有るため、取り出し搬送時のウエハ200の温度よりも低くなる。
【0049】
(c)
真空搬送ロボット1700の二つのアーム1800,1900のいずれかで一枚のウエハ200を搬出した後に、二枚のウエハ200を搬出際に、二枚のウエハ200に温度差を生じることがある。例えば、アーム1800の内、ツイーザ1801でウエハ200を搬出して、ツイーザ1802でウエハ200を搬出しない場合に、ツイーザ1801,1802のそれぞれの温度に差が生じる。これにより、次にウエハ200を二枚搬送する際に、ウエハ200が、ツイーザそれぞれの温度の影響を受け、二枚のウエハ200それぞれの温度が異なってしまう課題がある。
【0050】
次に、基板処理装置としてのチャンバそれぞれの構成について説明する。
【0051】
(2)基板処理装置の構成
チャンバ100は、例えば、絶縁膜形成ユニットであり、図5に示されているように、枚葉式基板処理装置として構成されている。ここでは、チャンバ100aについて説明する。
【0052】
図5に示すとおり、チャンバ100aは処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば水平断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料または、石英により構成されている。処理容器202内には、基板としてのシリコンウエハ等のウエハ200を処理する処理空間(処理室)201と、移載空間(移載室)203が形成されている。処理容器202は、上部容器202aと下部容器202bで構成される。上部容器202aと下部容器202bの間には仕切部204が設けられる。上部処理容器202aに囲まれた空間であって、仕切部204よりも上方の空間を処理室201と呼ぶ。また、下部容器202bに囲まれた空間であって、ゲートバルブ1490付近を移載室203と呼ぶ。
【0053】
下部容器202bの側面には、ゲートバルブ1490に隣接した基板搬入出口1480が設けられており、ウエハ200は基板搬入出口1480を介してTM1400と移載室203との間を移動する。下部容器202bの底部には、リフトピン207が複数設けられている。更に、下部容器202bは接地されている。
【0054】
処理室201内には、ウエハ200を支持する基板支持部210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211を表面に持つ載置台212、加熱部としてのヒータ213を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。また、基板載置台212には、ウエハ200や処理室201にバイアスを印加するバイアス電極256が設けられていても良い。ここで、ヒータ213には、温度測定部400が接続され、ヒータ213の温度情報をコントローラ260に送信可能に構成される。また、バイアス電極256は、バイアス調整部257に接続され、バイアス調整部257によって、バイアスが調整可能に構成される。バイアス調整部257の設定情報は、コントローラ260と送受信可能に構成される。
【0055】
基板載置台212はシャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、更には処理容器202の外部で昇降部218に接続されている。昇降部218を作動させてシャフト217及び支持台212を昇降させることにより、基板載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、処理室201内は気密に保持されている。
【0056】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、ウエハ移載位置に移動し、ウエハ200の第1処理時には図5の実線で示した第1処理位置(ウエハ処理位置)に移動する。また、第2処理時には、図5の破線で示した第2処理位置に移動する。なお、ウエハ移載位置は、リフトピン207の上端が、基板載置面211の上面から突出する位置である。
【0057】
具体的には、基板載置台212をウエハ移載位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が基板載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は基板載置面211の上面から埋没して、基板載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン207は、ウエハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。
【0058】
(排気系)
処理室201(上部容器202a)の内壁側面には、処理室201の雰囲気を排気する第1排気部としての第1排気口221が設けられている。第1排気口221には排気管224aが接続されており、排気管224aには、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC等の圧力調整器227aと真空ポンプ223が順に直列に接続されている。主に、第1排気口221、排気管224a、圧力調整器227aにより第一の排気系(排気ライン)が構成される。なお、真空ポンプ223も第一の排気系の構成としても良い。また、移載室203の内壁側面には、移載室203の雰囲気を排気する第2排気口1481が設けられている。また、第2排気口1481には排気管1482が設けられている。排気管1482には、圧力調整器228が設けられ、移載室203内の圧力を所定の圧力に排気可能に構成されている。また、移載室203を介して処理室201内の雰囲気を排気することもできる。また、圧力調整器227aは、圧力情報や、弁開度の情報をコントローラ260と送受信可能に構成される。また、真空ポンプ223は、ポンプのON/OFF情報や負荷情報等をコントローラ260に送信可能に構成される。
【0059】
(ガス導入口)
処理室201の上部に設けられるシャワーヘッド234の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するためのガス導入口241が設けられている。ガス供給部であるガス導入口241に接続される各ガス供給ユニットの構成については後述する。
【0060】
(ガス分散ユニット)
ガス分散ユニットとしてのシャワーヘッド234は、バッファ室232、第1活性化部としての第1電極244を有する。第1電極244には、ガスをウエハ200に分散供給する孔234aが複数設けられている。シャワーヘッド234は、ガス導入口241と処理室201との間に設けられている。ガス導入口241から導入されるガスは、シャワーヘッド234のバッファ室232(分散部)に供給され、孔234aを介して処理室201に供給される。
【0061】
なお、第1電極244は、導電性の金属で構成され、ガスを励起するための活性化部(励起部)の一部として構成される。第1電極244には、電磁波(高周波電力やマイクロ波)が供給可能に構成されている。なお、蓋231を導電性部材で構成する際には、蓋231と第1電極244との間に絶縁ブロック233が設けられ、蓋231と第1電極部244の間を絶縁する構成となる。
【0062】
なお、バッファ室232に、ガスガイド235が設けられていても良い。ガスガイド235は、ガス導入孔241を中心としてウエハ200の径方向に向かうにつれ径が広がる円錐形状である。ガスガイド235の下端の水平方向の径は孔234aが設けられる領域の端部よりも更に外周にまで延びて形成される。ガスガイド235が設けられていることによって、複数の孔234aそれぞれに均一にガスを供給することができ、ウエハ200の面内に供給される活性種の量を均一化させることができる。
【0063】
(活性化部(プラズマ生成部))
活性化部としての電極244には、整合器251と高周波電源部252が接続され、電磁波(高周波電力やマイクロ波)が供給可能に構成されている。これにより、処理室201内に供給されたガスを活性化させることができる。また、電極244は、容量結合型のプラズマを生成可能に構成される。具体的には、電極244は、導電性の板状に形成され、上部容器202aに支持されるように構成される。活性化部は、少なくとも電極部244、整合器251、高周波電源部252で構成される。なお、活性化部に、インピーダンス計254を含めるように構成しても良い。なお、第1電極244と高周波電源252との間に、インピーダンス計254を設けても良い。インピーダンス計254を設けることによって、測定されたインピーダンスに基づいて、整合器251、高周波電源252をフィードバック制御することができる。また、高周波電源252は、電力の設定情報をコントローラ260と送受信可能に構成され、整合器251は、整合情報(進行波データ、反射波データ)をコントローラ260と送受信可能に構成され、インピーダンス計254は、インピーダンス情報をコントローラ260と送受信可能に構成される。
【0064】
(ガス供給系)
ガス導入口241には、ガス供給管150a(150x)が接続されている。ガス供給管150xからは、後述の第1ガス、第2ガス、パージガスが供給される。ここで、xには、各チャンバに対応するa,b,c,d,e,f,g,hのいずれかである。以下では、チャンバ100aのガス導入口241に接続されるガス供給系について説明し、他のチャンバについては省略する。
【0065】
図4に、第1ガス供給部、第2ガス供給部、パージガス供給部等のガス供給系の概略構成図を示す。
【0066】
図4に示す様に、ガス供給管150aには、ガス供給管集合部140aが接続されている。ガス供給管集合部140aには、第1ガス(処理ガス)供給管113a、パージガス供給管133a、第2ガス(処理ガス)供給管123aが接続される。
【0067】
(第1ガス供給部)
第1ガス供給部には、第1ガス供給管113a、MFC115a、バルブ116aが設けられている。なお、第1ガス供給管113aに接続される第1ガス供給源113を第1ガス供給部に含めて構成しても良い。また、処理ガスの原料が液体や固体の場合には、気化器180が設けられていても良い。
【0068】
(第2ガス供給部)
第2ガス供給部には、第2ガス供給管123a、MFC125a、バルブ126aが設けられている。なお、第2ガス供給管123aに接続される第2ガス供給源123を第2ガス供給部に含めて構成しても良い。
なお、リモートプラズマユニット(RPU)124を設けて、第2ガスを活性化させるように構成しても良い。
【0069】
(パージガス供給部)
パージガス供給部には、パージガス供給管133a、MFC135a、バルブ136aが設けられている。なお、パージガス供給管133aに接続されるパージガス供給源133をパージガス供給部に含めて構成しても良い。
【0070】
(制御部)
図1図5に示すように基板処理システム1000、チャンバ100は、基板処理システム1000と、基板処理装置100の各部の動作を制御するコントローラ260を有している。
【0071】
コントローラ260の概略を図6に示す。制御部(制御手段)であるコントローラ260は、CPU(Central Processing Unit)260a、RAM(Random Access Memory)260b、記憶装置260c、I/Oポート260dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM260b、記憶装置260c、I/Oポート260dは、内部バス260eを介して、CPU260aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ260には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置261や、外部記憶装置262、送受信部285などが接続可能に構成されている。
【0072】
記憶装置260cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置260c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ、ウエハ200への処理に用いるプロセスレシピを設定するまでの過程で生じる演算データや処理データ等が読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ260に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM260bは、CPU260aによって読み出されたプログラム、演算データ、処理データ等のデータが一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0073】
I/Oポート260dは、ゲートバルブ1290,1330,1350,1490、昇降部218、ヒータ213、圧力調整器227,1620、真空ポンプ223(223a,223b,223c,223d),1630、整合器251、高周波電源部252、MFC115(115a,115b,115c,115d),125(125a,125b,125c,125d),135(135a,135b,135c,135d),1530,501c,502c、バルブ116(116a,116b,116c,116d),126(126a,126b,126c,126d),136(136a,136b,136c,136d),228,1540,502a,502b、(RPU124、気化器180、)バイアス制御部257、真空搬送ロボット1700、大気搬送ロボット1220、チラー803等に接続されている。また、インピーダンス計254等にも接続されていても良い。
【0074】
演算部としてのCPU260aは、記憶装置260cからの制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置261からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置260cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。また、送受信部285から入力された設定値と、記憶装置260cに記憶されたプロセスレシピや制御データとを比較・演算して、演算データを算出可能に構成されている。また、演算データから対応する処理データ(プロセスレシピ)の決定処理等を実行可能に構成されている。そして、CPU260aは、読み出されたプロセスレシピの内容に沿うように、ゲートバルブ1490の開閉動作、昇降部218の昇降動作、ヒータ213への電力供給動作、圧力調整器227,228の圧力調整動作、真空ポンプ223のオンオフ制御、MFC115,125,135、145、155,501c,502cでのガス流量制御動作、RPU124,144,154のガスの活性化動作、バルブ116,126,136,237,146,156,502a,502bでのガスのオンオフ制御、整合器251の電力の整合動作、高周波電源部252の電力制御、バイアス制御部257の制御動作、インピーダンス計254が測定した測定データに基づいた整合器251の整合動作や、高周波電源252の電力制御動作、等を制御するように構成されている。各構成の制御を行う際は、CPU260a内の送受信部が、プロセスレシピの内容に沿った制御情報を送信/受信することで制御する。
【0075】
なお、コントローラ260は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていても良い。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)262を用意し、係る外部記憶装置262を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ260を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置262を介して供給する場合に限らない。例えば、送受信部285やネットワーク263(インターネットや専用回線)等の通信手段を用い、外部記憶装置262を介さずにプログラムを供給するようにしても良い。なお、記憶装置260cや外部記憶装置262は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置260c単体のみを含む場合、外部記憶装置262単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合が有る。
【0076】
(2)半導体装置(半導体デバイス)の製造工程
次に、半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に絶縁膜を成膜する工程を例として、基板処理工程のフローを図7図8図9を参照して説明する。なお、ここで絶縁膜としては、例えば窒化膜としてのシリコン窒化(SiN)膜が成膜される。また、この製造工程の一工程は、上述の基板処理システム1000、チャンバ100で行われる。なお、以下の説明において、各部の動作はコントローラ260により制御される。
【0077】
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0078】
以下に、基板処理工程について説明する。
【0079】
(処理装置設定工程S300)
基板処理に際しては、先ず、コントローラ260において各チャンバ100で行われるプロセスレシピの設定が行われる。例えば、記憶装置260cに記録されたデータをRAM260bに読み込み、I/Oポートを介して、各部に設定値が設定されることで行われる。なお、ネットワーク263を介して接続された上位装置500からプロセスレシピが送信されることによって設定されても良い。各部の動作の設定後、基板処理工程S301が行われる。
【0080】
(基板処理工程S301)
基板処理工程S301では、プロセスレシピに応じて、ウエハ200を所定の温度に加熱した状態で、第一ガス供給部を制御して第一ガスを処理室201に供給すると共に、排気系を制御して処理室201を排気し、ウエハ200に処理を行う。なお、ここでは第二ガス供給部を制御して、第二ガスを第一ガスと同時に処理空間に存在させてCVD処理を行ったり、第一ガスと第二ガスとを交互に供給してサイクリック処理を行ったりしても良い。また、第二ガスをプラズマ状態として処理する場合は、RPU124の使用や、電極244に高周波電力を供給することで、処理室201内にプラズマを生成しても良い。
【0081】
膜処理方法の具体例であるサイクリック処理としては次の方法が考えられる。例えば第一ガスとしてジクロロシラン(SiHCl,dichlorosilane:DCS)ガスを用い、第二ガスとしてアンモニア(NH)ガスを用いた場合がある。第一工程ではDCSガスをウエハ200に供給し、第二工程ではNHガスをウエハ200に供給する。第一工程と第二工程の間には、パージ工程として、Nガスを供給すると共に処理室201の雰囲気を排気する。この第一工程,パージ工程,第二工程を複数回行うサイクリック処理を行うことで、ウエハ200上にシリコン窒化(SiN)膜が形成される。
【0082】
(基板搬出工程S302)
ウエハ200に所定の処理が施された後、ウエハ200が処理室201から取り出される。処理室201からの取り出しは、真空搬送ロボット1700のアーム1900を用いて行われる。取り出しの際に、真空搬送ロボット1700のアーム1800に未処理のウエハ200が保持されている場合は、図8に示す第1搬送としてのスワップ搬送(交換搬送)が行われ、アーム1800に未処理のウエハ200が保持されていない場合は、図9に示す取り出し搬送のみが行われる。
【0083】
ここで図8を用いて、スワップ搬送について説明する。まず、基板支持部210が図5の破線で示す搬送位置に位置させることで、ウエハ200がリフタピン207で保持されている状態にする。また、GV1490を開き、移載室203とTM1400とを連通させる。移載室203とTM1400が連通した後、アーム1900を移載室203に挿入し、処理済のウエハ200をアーム1900に保持させる(a)。保持させた後、アーム1900をTM1400に移動させる(b)。アーム1900をTM1400に移動後、エレベータ1450によって、アーム1800を下降し、アーム1800を移載室203に挿入し、リフタピン207上に未処理のウエハ200を載置させる。この様にしてスワップ搬送が行われる。この様なスワップ搬送では、未処理のウエハ200を搬送させている間、処理済のウエハ200が、アーム1900上で待機することがある。この場合、待機中にウエハ200の温度が下がることがある。アーム1900上に保持されたウエハ200の熱は、アーム1900に伝導、または、アーム1800上に保持された未処理のウエハ200に放射される等して低下する。
【0084】
次に、スワップ搬送を行わない、第2搬送としての取り出し搬送のみ行う場合について説明する。取り出し搬送の場合は、図9に示す様に、(b)のステップ完了後、真空搬送ロボットがL/L室1300に搬送を開始するため、待機時間が発生しない。このため、処理済のウエハ200の温度は低下が、第1搬送時よりも少なく、処理済のウエハ200の温度が維持されたままL/L室1300に搬送されることになる。
【0085】
この様に、搬送形態によって、L/L室1300に搬入される処理済のウエハ200の温度が変化する。発明者等が行った研究では、約100℃〜200℃程度変化することが分かった。
【0086】
(温度データ取得工程S303)
処理済のウエハ200を移載室203からL/L室1300に搬送する間、温度データ取得工程S303が行われる。温度データの取得は例えば、以下の方法が有る。
【0087】
(A)
基板処理工程S301で設定されたウエハ200の温度に対応するウエハ200の温度データを記憶装置260cから読み出す。
【0088】
(B)
TM1400に設けられた、温度センサ701a,701b,701c,701d,701e,701f,701g,701h,701i,701jの少なくとも一つ以上でウエハ200の温度を測定することによって、取得する。好ましくは、L/L室1300の前に設けられた温度センサ701iと701jのいずれか又は両方で測定する。温度センサ701i(701j)を用いることにより、L/L室1300に搬送される直前のウエハ200の温度を測定することができ、後述の判定工程S304で、ウエハ200に適した冷却レシピを判定させることができる。
【0089】
(判定工程S304)
判定工程S304では、取得した温度データに基づいて、処理済のウエハ200の温度に対して、最適な冷却工程に変更するか否かの判定が行われる。Yes判定(変更要)と判定された場合は、冷却レシピ変更工程S305の後に冷却工程S306を実行させ、No判定(変更不要)と判定された場合は、冷却レシピ変更工程S305を行わせずに、冷却工程S306を実行させる。例えば、PM100a,100bで第1温度での処理が行われ、PM100c,100dで第2温度での処理が行われている場合が有る。ここで第2温度>第1温度とする。PM100aで処理されたウエハ200の冷却後にPM100bで処理されたウエハ200を冷却する場合にはNo判定とし、PM100bで処理されたウエハ200の冷却後に、PM100cで処理されたウエハ200を冷却する際には、Yes判定とする。
【0090】
(冷却レシピ変更工程S305)
冷却レシピの変更工程S305では、図10に示す様に、記憶装置260cに格納された、冷却レシピテーブルから、ウエハ200の温度に対応する冷却レシピA1〜A5を読み出し、L/L室1300内に供給される不活性ガス流量や、冷媒流路802a,802bに供給される冷媒の流量が変更される。ここで、図10は、ウエハ200の温度に対応する冷却レシピの対応テーブルの例である。図10の例では、ウエハ温度が室温(RT)のときは、冷却レシピが選択されず、200℃以下の場合は冷却レシピ1をA2から読み出す。300℃以下の場合は、冷却レシピ2をA3から読み出す。400℃以下の場合は、冷却レシピ3をA4から読み出す。500℃以下の場合は、冷却レシピ4をA5から読み出す。なお、温度帯は適宜変更可能に構成されても良い。また、冷却レシピテーブルに対応するレシピデータが無い場合は、図11に示す設定データのテーブルから、設定データを直接読み出す様に構成しても良いし、設定データを所定のデータ範囲内で変更する様に構成しても良い。
【0091】
冷却レシピが読み出された後、図11に示す、各冷却レシピに対応する設定データのテーブルを記憶装置260cから読み出して変更される。ここで、図11は、冷却レシピに対応する設定する各流量は、例えば、ウエハ200の温度が高くなるにつれて増大させる様に設定する。なお、各流量は、スワップ搬送の有無によっても変更されるように構成しても良い。この様に変更させることによって、ウエハ200の冷却時間を短縮させることができる。具体的には、冷却レシピ1が読み出され、交換搬送が有の場合は、不活性ガス流量:50、チラー流量1が読み出され、各部を設定する。
【0092】
(冷却工程S306)
冷却工程S306では、コントローラ260cから読み出された冷却レシピを基に、所定流量の不活性ガスをL/L室1300に供給し、また、チラー803から冷媒流路802a,802bに所定流量の冷媒を供給し、処理済のウエハ200を冷却する。なお、冷媒流路802a,802bへの冷媒の供給は、処理済のウエハ200が、第2支持部1311c,1311dに載置された時に始まっていれば良く、ウエハ200が載置される前から供給し、冷却部801a,801bを事前に冷却しておいても良い。事前に冷却しておくことで、多くの処理済のウエハ200を冷却したとしても、冷却部801a,801bの温度上昇を抑制させることができる。また好ましくは、n枚目のX温度で処理されたウエハ200を冷却した後であって、n+1枚目のY温度で処理されたウエハ200が搬送される前に冷媒流路802a,802bに供給する冷媒流量を増やす様に構成しても良い。ここでnは整数、X温度<Y温度とする。この様に冷却部801a,801bを冷却することによって、n+1枚目のウエハ200の冷却時間を短縮させることができる。
【0093】
以上、本開示の一実施形態を具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0094】
上述では、第1ガスと第2ガスを交互に供給して成膜する方法について記したが、他の方法にも適用可能である。例えば、第1ガスと第2ガスの供給タイミングが重なる様な方法である。
【0095】
また、上述では、2種類のガスを供給して処理する方法について記したが、1種類のガスを用いた処理であっても良い。
【0096】
また、上述では、成膜処理について記したが、他の処理にも適用可能である。例えば、プラズマを用いた拡散処理、酸化処理、窒化処理、酸窒化処理、還元処理、酸化還元処理、エッチング処理、加熱処理などが有る。例えば、反応ガスのみを用いて、基板表面や基板に形成された膜をプラズマ酸化処理や、プラズマ窒化処理する際にも本開示を適用することができる。また、反応ガスのみを用いたプラズマアニール処理にも適用することができる。これらの処理を第1処理として、その後、上述の第2処理を行わせても良い。
【0097】
また、上述では、半導体装置の製造工程について記したが、実施形態に係る発明は、半導体装置の製造工程以外にも適用可能である。例えば、液晶デバイスの製造工程、太陽電池の製造工程、発光デバイスの製造工程、ガラス基板の処理工程、セラミック基板の処理工程、導電性基板の処理工程、などの基板処理が有る。
【0098】
また、上述では、原料ガスとしてシリコン含有ガス、反応ガスとして窒素含有ガスを用いて、シリコン窒化膜を形成する例を示したが、他のガスを用いた成膜にも適用可能である。例えば、酸素含有膜、窒素含有膜、炭素含有膜、ホウ素含有膜、金属含有膜とこれらの元素が複数含有した膜等が有る。なお、これらの膜としては、例えば、AlO膜、ZrO膜、HfO膜、HfAlO膜、ZrAlO膜、SiC膜、SiCN膜、SiBN膜、TiN膜、TiC膜、TiAlC膜などが有る。
【0099】
また、上述では、一つの処理室で一枚の基板を処理する装置構成を示したが、これに限らず、複数枚の基板を水平方向又は垂直方向に並べた装置であっても良い。
【符号の説明】
【0100】
100 処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理容器
212 基板載置台
213 ヒータ
221 第1排気口
234 シャワーヘッド
244 第1電極
260 コントローラ



【要約】      (修正有)
【課題】基板毎の処理均一性を向上させる基板処理装置の提供。
【解決手段】基板200を処理する複数の処理室と、複数の処理室のそれぞれに設けられ基板200を所定温度に加熱する加熱部と、複数の処理室に接続された真空搬送室と、真空搬送室に設けられ、基板を複数枚搬送可能な搬送ロボットと、真空搬送室に接続されたロードロック室1300と、ロードロック室内に設けられ、処理室で処理された基板を支持する支持部と、ロードロック室に不活性ガスを供給する不活性ガス供給部と、冷却レシピが記録された記憶装置と、基板を処理室で所定温度に加熱して処理した後、基板を処理室からロードロック室に搬送し、基板の温度に対応する冷却レシピを記憶装置から読み出し、冷却レシピに基づいて基板に不活性ガスを供給して基板を冷却する様に、不活性ガス供給部と記憶装置とを制御する制御部とを有する基板処理装置。
【選択図】図1
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図11