(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271013
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】マルチコアファイバ用光カプラ
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20180122BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20180122BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/125
G02B6/02 461
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-532271(P2016-532271)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-529549(P2016-529549A)
(43)【公表日】2016年9月23日
(86)【国際出願番号】EP2014062430
(87)【国際公開番号】WO2015018550
(87)【国際公開日】20150212
【審査請求日】2016年4月4日
(31)【優先権主張番号】102013013071.9
(32)【優先日】2013年8月6日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513180370
【氏名又は名称】レオニ カーベル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(72)【発明者】
【氏名】ペギー ベーレンクラウ
(72)【発明者】
【氏名】ロータル ブレーム
(72)【発明者】
【氏名】マリーア クフナー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クフナー
【審査官】
奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第06049646(US,A)
【文献】
特開2011−237573(JP,A)
【文献】
国際公開第94/019714(WO,A1)
【文献】
特開2013−117664(JP,A)
【文献】
特開2012−208236(JP,A)
【文献】
特開2013−057842(JP,A)
【文献】
特開2011−253012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00− 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光学的コア(10)を有するマルチコアファイバ(2)を複数の単一ファイバ(4)に光学的に接続するための光カプラ(6)であって、この光カプラが
支持体(16)を有し、前記マルチコアファイバ(2)が前記支持体内に所定の配向状態で埋設され、前記コア(10)の第1のグループが第1の線(34A)に沿って、そして前記コアの第2のグループが第2の線(34B)に沿って前記支持体内で方向づけられ、前記コア(10)のそれぞれは前記支持体(16)の端面(18)に開口し、
平らな第1の支持要素(22A)を備え、この第1の支持要素に前記単一ファイバ(4)の第1のグループが接続可能であり、
平らな第2の支持要素(22B)を備え、この第2の支持要素に前記単一ファイバ(4)の第2のグループが接続可能であり、
前記第1の支持要素(22A)及び前記第2の支持要素(22B)のそれぞれは表面(28)を有し、
前記第1の支持要素(22A)及び前記第2の支持要素(22B)の前記表面(28)内に導波路(30)が挿入され、
前記第1の支持要素(22A)及び前記第2の支持要素(22B)それぞれの接続面(26)が前記支持体(16)の前記端面(18)に接触し、それによって前記マルチコアファイバ(2)の前記第1のグループの前記コア(10)が前記第1の支持要素(22A)の前記導波路(30)と合致し、前記第2のグループの前記コア(10)が前記第2の支持要素(22B)の前記導波路(30)と合致し、前記第1の線(34A)と前記第2の線(34B)は直角をなし、前記第1の線(34A)に平行な前記第1の支持要素(22A)の表面(28)と前記第2の線(34B)に平行な前記第2の支持要素(22B)の表面(28)は直角をなして配置されていることを特徴とする光カプラ(6)。
【請求項2】
前記支持体(16)が平らに形成されて長方形の横断面を有し、前記第1の線(34A)及び前記第2の線(34B)が前記支持体(16)の面(36、37)に対して平行に延在していることを特徴とする請求項1に記載の光カプラ(6)。
【請求項3】
前記マルチコアファイバ(2)が前記コア(10)の少なくとも1つの他のグループを有し、このコアが少なくとも1つの他の線(34C)に沿って方向づけられ、前記コアが他の光学的支持要素(22C)を介して単一ファイバ(4)の他のグループに接続可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光カプラ(6)。
【請求項4】
前記第1の線(34A)と前記他の線(34C)が互いに直角に方向づけられていることを特徴とする請求項3に記載の光カプラ(6)。
【請求項5】
前記第2の支持要素(22B)において前記導波路(30)が前記第2の支持要素(22B)のコーナー範囲に配置され、当該コーナー範囲に近い側にある最も外側の前記導波路(30)に最も近い前記第2の支持要素(22B)の側面(37)に対する当該最も外側の導波路(30)のエッジ間隔(d1)が、前記第1の線(34A)に最も近くにある前記第2のグループの前記コア(10)に対する前記第1の線(34A)のコア間隔(d2)以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光カプラ(6)。
【請求項6】
前記接続面(26)と前記端面(18)が互いに対応して傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光カプラ(6)。
【請求項7】
前記端面(18)が研磨されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光カプラ(6)。
【請求項8】
前記第1の支持要素(22A)及び前記第2の支持要素(22B)の前記導波路(30)が前記接続面(26)から反対側の結合面(32)へ広がっており、それによって前記コア(10)の間隔寸法(a)が前記結合面(32)でのピッチ(r)まで広げられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光カプラ(6)。
【請求項9】
前記単一ファイバ(4)の前記第1のグループ及び前記第2のグループがそれぞれ接続支持体(24A、24B)内に埋め込まれ、この接続支持体がそれぞれ前記第1の支持要素(22A)及び前記第2の支持要素(22B)に接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光カプラ(6)。
【請求項10】
前記単一ファイバ(4)の前記光カプラ(6)と接続する側と反対側の端面に、光学的コネクタ(14)が配置されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光カプラ(6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分の特徴を有する、複数の光学的コアを備えたマルチコアファイバを複数の単一ファイバに光学的に接続するための光カプラに関する。
【背景技術】
【0002】
このような光カプラは例えば米国特許出願公開第2011/0176776A1号明細書から読み取ることができる。
【0003】
光学式信号伝送において、通常使用される単一ファイバのほかに、マルチコアファイバが使用される。このマルチコアファイバの場合には、複数の光学的なコア、すなわち光波を案内するコアがファイバ内に一緒に組み込まれている。このようなマルチコアファイバを、単一ファイバ、すなわちそれぞれ光波を案内するコアを1つだけ有するファイバに接続することがしばしば必要である。
【0004】
このようなカプラは例えば米国特許出願公開第2013/0051729A1号明細書から読み取ることができる。カプラは支持板を備え、この支持板には個々の光学的導波路が取り付けられ、この各導波路の端側にはほぼ角柱状の反射鏡要素が接続される。反射鏡要素はマルチコアファイバのコアの分配パターンに対応して支持板に配置されている。マルチコアファイバは端面、すなわち支持板に対して直角な面がカプラに接続される。マルチコアファイバの個々のコアは個々の反射鏡に合致しているので、個々のコアの光信号が反射鏡を経て90°方向を変えて、それぞれ支持板に取り付けられた導波路内に案内される。
【0005】
導波路技術の分野では、いわゆる光学的平面導波路技術が知られている。この平面導波路技術では、導波路が平らな支持体の表面に挿入される。平面導波路技術に基づいて、光学的部品、いわゆる機能を統合した光学的チップ、例えば分配器(スプリッタ)を形成することができる。このような光学的部品は国際公開第2011/057811A2号パンフレットと国際公開第2011/057812A2号パンフレットから読み取ることができる。その際、光学的部品は平らな支持要素、好ましくはガラス製の支持要素からなり、この支持要素には適当な加工によって導波路ウェッブが組み込まれている。その際特に、導波路ウェッブはイオン拡散プロセスによって生じる。導波路ウェッブパターンの構造化は好ましくはそれ自体公知の方法でリソグラフで行われる。ファイバをこのような光学的部品に接続するために、複数のファイバが好ましくはガラス製の接続支持体内に並べて平行に埋設され、特に個々のファイバの正確な配向および位置決めを確実にするために、いわゆるV字状溝内に埋設される。そして、接続支持体が適当な方法で、例えば接着またはその他のボンディング法で、光学的部品に連結され、それによって部品の導波路は接続支持体のファイバと合致する。
【0006】
基本的に平面導波路技術が高い光学品質を示すので、この導波路技術は基本的に高い品質を要求される光学的部品のために適している。導波路技術の基本的な原理、すなわち支持要素の表面における導波路ウェッブの構造化に基づいて、個々の導波路は平面内に配置されている。平面導波路技術に係るこのような光学的部品にマルチコアファイバを接続するために、米国特許出願公開第2013/0051729A1号明細書に記載されているような90°方向変換が接続方法の1つであった。しかし、それに伴う90°方向変換は不利である。
【0007】
米国特許出願公開第2011/0176776A1号明細書には、マルチコアファイバを接続するための光カプラが記載されている。この光カプラは変形実施形において、互いに平行に層状に配置された複数の平らな導波路要素を備えている。この導波路要素にはそれぞれ、マルチコアファイバのコアの1つのグループが接続される。個々のブループは支持要素に対応して互いに平行に延在している。接続範囲におけるマルチコアファイバの個々のコアの間のピッチを大きくするために、マルチコアファイバはその接続範囲が広げられている。
【0008】
さらに、特開2013−076893A号公報から、多層の導波路要素をマルチコアファイバに接続する光カプラを読み取ることができる。マルチコアファイバによって形成されたコアの光学的接続パターンは、多層の光学的要素によって、個々のコアのための直線的な接続パターンに移行させられる。この場合の前提は、マルチコアファイバの個々のコアが異なる高さに配置されていることである。個々のコアはすべて、それぞれの層内を延在する導波路構造体を経て、出口側に配置された直線パターンに案内される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0176776号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0051729号明細書
【特許文献3】国際公開第2011/057811号
【特許文献4】国際公開第2011/057812号
【特許文献5】特開2013−076893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これから出発して、本発明の根底をなす課題は、特に平面導波路技術によってマルチコアファイバを光学的に接続するための光カプラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は請求項1の特徴を有する光カプラによって解決される。光カプラは支持体を有し、この支持体内に、縦方向に延びる複数のコアを有するマルチコアファバが埋設されている。そのために特に、マルチコアファイバが支持体のV字状溝に挿入され、そこに嵌め込まれている。個々のコアは支持体の端面に開口している。コアはコアの複数のグループに分割され、コアの個々のグループは直線に沿って方向づけられている。従って、マルチコアファイバのコアには少なくとも2つのグループがある。このグループは第1の線に沿っておよび第2の線に沿って方向づけられている。カプラはさらに、第1の結合要素と第2の結合要素を備えている。この結合要素には単一ファイバの第1のグループと第2のグループが接続可能であるかまたは接続されている。結合要素はそれぞれ、平面導波路技術に従って形成された光学的支持要素を備え、この支持要素には導波路が挿入されている。この場合、端面側の接続面の導波路は線に沿って延在している。マルチコアファイバの個々のコアを支持要素の導波路に接続するために、複数の支持要素の接続面が支持体の端面に一緒に接続されている。マルチコアファイバの第1のグループのコアは第1の支持要素の導波路に合致し、マルチコアファイバの第2のグループのコアは第2の支持要素の導波路に合致している。それによって、それぞれのコアからの光信号は運転中、それぞれの支持要素の割り当てられた導波路に入射する。
【0012】
少なくとも2つの支持要素が一緒に支持体の端面に接続される。この場合、各支持要素は線に沿って延在するコアのグループを接続する。これにより、平面導波路技術による単一ファイバに対するマルチコアファイバの接続が簡単に可能になる。合目的な実施形では、導波路が支持要素の表面に挿入され、特にイオン拡散プロセスによっておよび好ましくはリソグラフで挿入される。
【0013】
その際、基準平面に対するマルチコアファイバの正確な配向が重要である。というのは、支持要素の各表面によってマルチコアファイバの線の正確な方向づけを保証しなければならないからである。合目的な実施形では、個々のコアが基準面に対して正確に配向されるように、マルチコアファイバは支持体内に埋設されている。その際、基準面は好ましくは支持体の側面によって形成される。コアのグループの個々の線は合目的には平行に方向づけられているかまたはそれに対して所定の角度をなして方向づけられている。
【0014】
従って、支持体は好ましくは長方形の横断面を有する平らな形をしている。この場合、個々の線は支持体のそれぞれの面に対して平行に延在している。この手段により、複数の支持要素に対する支持体とマルチコアファイバのできるだけ正確な方向づけが可能になる。
【0015】
この接続原理は、線に沿って配向可能なコアの2つ以上のグループのために適している。有利な実施形では、他の線に沿って方向づけられかつ他の光学的結合要素を介して単一ファイバの他のグループに接続可能であるコアの他のグループが定められている。
【0016】
コアの個々のグループの線と、これに対応する支持要素は、互いに角度をなして、特に直角に方向づけられている。個々の支持要素を互いに角度をなして、特に直角に方向づけすることにより、コアに対する接続がきわめて適切な方法で可能になる。
【0017】
マルチコアファイバによって設定された間隔寸法、ひいてはマルチコアファイバの分配パターンまたは接続パターンを再現するために、個々の支持要素は互いに平面で接触している。
【0018】
第2の支持要素の場合、合目的な実施形では、導波路が角の範囲に配置されている。この場合、支持要素の側面に対する導波路のエッジ間隔は、第2の線の最も近いコアと、コアのグループの第1の線の間のコア間隔以下である。
【0019】
支持体から支持要素への移行部において反射をできるだけ回避するために、支持体の端面と、これに対応する支持要素の接続面は傾斜している。従って、各支持要素の接続面全体と、好ましくは端面全体が、支持体または各支持要素の表面に対して斜めに方向づけられている。この場合、表面の垂直な方向に対して、好ましくは約7〜11°の傾斜角度で斜めに方向づけられている。
【0020】
できるだけ良好な光学的移行を保証するために、マルチコアファイバを埋設した支持体の端面は研磨されている。それによって、個々のコアは端面によって形成された所定の平面内にある。マルチコアファイバを光学的プラグ等のような標準的な光学部品に接続できるようにするために、合目的な発展形態では、支持要素の導波路が接続面から結合面へ広がっている。この結合面には単一ファイバが接続されているかまたは接続可能である。従って、例えば約30μmである、マルチコアファイバの個々のコアの間隔寸法は、例えば127μm、250μmのオーダーまたはその多数倍である所望のピッチ寸法および間隔寸法まで広げられる。
【0021】
合目的な発展形態で、支持要素にさらに接続支持体が接続されている。この接続支持体には、単一ファイバの各グループが特にV字状溝内に埋設されている。従って、結合要素は支持要素のほかに、支持要素に適切な方法で光学的に結合、特に接着された接続支持体を含んでいる。個々のファイバは結合面における支持要素の各導波路に合致している。そのために、接続支持体は同様に、付設の、特に研磨された接続面を備えている。
【0022】
合目的な発展形態では、単一ファイバは、接続支持体と反対側の端部において光学的な差込みコネクタに接続されている。この差込みコネクタを介して、そして光学的な標準コネクタを介して、他の光ファイバを接続することができる。従って、接続支持体に埋設された単一ファイバは比較的に短く、1個または複数の光学的コネクタを結合要素に連結できるようにするために、例えば数センチメートルにわたってのみ延びている。
【0023】
次に、図に基づいて本発明の実施の形態を詳しく説明する。図はそれぞれ部分的にきわめて簡略化した表示をしている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】マルチコアファイバを複数の単一ファイバに接続するための光カプラを備えた構造体の側面図である。
【
図2】マルチコアファイバを有する支持体に接続された2個の光結合要素を、
図1のA−A方向に見た図である。
【
図3A】
図2に係る支持体に接続された第1の結合要素の平面図である。
【
図3B】
図2に係る支持体に接続された第2の結合要素の平面図である。
【
図5】マルチコアファイバを埋め込んだ
図2に係る支持体の側面図である。
【
図6】
図2に類似する図であるが、支持体に接続された全部で3個の支持要素を示す。
【
図7A】
図6に係る支持体に接続された結合要素の平面図である。
【
図7B】
図6に係る支持体に接続された結合要素の平面図である。
【
図7C】
図6に係る支持体に接続された結合要素の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図において同じ作用をする部分には同じ参照符号が付けてある。
【0026】
光学的マルチコアファイバ2を複数の単一ファイバ4に接続するために、光カプラ6は、
図1に簡略化して全体を側面図で示すように形成されている。それ以上の詳細は他の図から明らかである。
【0027】
マルチコアファイバ2は縦方向8に延在している。光カプラ6と出て行く単一ファイバ4は縦方向8においてマルチコアファイバ2に接続される。
【0028】
光学的マルチコアファイバ2は複数の光学的コア10を備えている。この光学的コアはファイバクラッド12内に埋め込まれている(これについては例えば
図2参照)。これに対して、単一ファイバ4はそれぞれファイバクラッド内に個別に埋め込まれた光学的コアを備えている(図示せず)。
【0029】
図1においてさらに、単一ファイバ4の端側に、光学的差込みコネクタ14が接続されている。この差込みコネクタを介して、他の単一ファイバを標準差込み連結によって接続することできる。同様に、マルチコアファイバ2は、好ましくは、詳しく示していない光学的差込みコネクタに接続されている。この場合、全体の構造体は、標準差込みコネクタを介してマルチコアファイバシステムから単一ファイバシステムに変えるために、予め製作したアダプタ構造ユニットを形成する。
【0030】
光カプラ6は支持体16を備え、この支持体内にはマルチコアファイバ2が埋め込まれている。支持体16の傾斜した端面18には、複数の結合要素が接続されている。
図2の実施の形態では、支持体16に第1の結合要素20Aと第2の結合要素20Bが接続され、
図6の実施の形態の場合にはさらに、付加的な第3の結合要素20Cが接続されている。
【0031】
その際、各結合要素20A、20B、20Cは実施の形態では支持要素22A、22B、22Cとそれに接続された接続支持体24A、24B、24Cとによって形成されている。支持要素22A、22B、22Cはそれぞれ、平面導波路技術による光学部品として形成され、いわゆる光学チップと呼ばれている。支持要素22A、22B、22Cはそれぞれ、端面側の接続面26が支持体16の端面18に接触している。支持要素22A、22B、22Cは例えばガラスまたは合成樹脂のような適当な光学支持体材料からなり、通常は横断面が長方形に形成されている。支持要素はそれぞれ表面28を有し、この表面内にそれぞれ少なくとも1個の導波路30(これについては特に
図3A、
図3B並びに
図7A〜
図7C参照)が挿入されている。その際、各導波路30はマルチコアファイバ2のそれぞれのコア10に正確に合致している。各支持要素(22A、22B、22C)の後側には、各接続支持体24A、24B、24Cが連結されている。この接続支持体には、支持体16の場合のように、単一ファイバ4が埋め込まれている。この接続支持体は同様に研磨された他の端面31を有し、この端面によって各支持要素22A、22B、22Cの結合面32に連結されている。その際、単一ファイバ4の個々のコア10は結合面32の導波路30に正確に合致している。
【0032】
特に
図1から判るように、個々の要素は縦方向8において互いに接続しており、従ってマルチコアファイバ2のコア10と支持要素22A、22B、22Cの導波路30の間の個々の移行部は縦方向8において合致している。同じことが導波路30と単一ファイバ4のコアの間の後続の移行部についても当てはまる。
【0033】
平面導波路技術の使用に基づいて、支持要素22A、22B、22Cの場合には、導波路30が表面28にのみ設けられている。これは特別な製造方法に起因している。この製造方法では、特にイオン拡散プロセスによって、導波路が支持要素22A、22B、22Cの支持体物質内に挿入される。その際、導波路パターンの構造化のために、好ましくはリソグラフィ法が用いられる。従って、導波路30は表面28に直接形成されている。
【0034】
これに対して、マルチコアファイバ2のコア10は、
図2と
図7から明らかなように、縦方向8に対して垂直な平面内に分配されて配置されている。表面28に挿入された導波路30を有する支持要素22A、22B、22Cはすべて、個々のコア10が表面28の導波路30に正確に合致し、しかもすべてのコア10がコアの適切なグループ化によって線34A、34B、34Cに沿って配向されるように配置されている。この線は支持要素22A、22B、22Cのそれぞれの表面28に対して平行な平面内にある。
【0035】
図2の実施の形態では、全部で4個のコア10が第1の線34Aと、この第1の線に対して垂直な第2の線34Bに沿って方向づけられている。マルチコアファイバ2は、導波路30に対して正確に配向しなければならないので、支持体16内で既に所定の方向に配向されている。支持体16は支持要素22A、22B、22Cと同様に、対向する基礎面36と対向する側面37とを有する長方形の横断面を有する。支持要素22A、22B、22Cの場合、表面28は底面36の一つを形成している。
【0036】
第1の線34Aは好ましくは基礎面36に対して平行に延在し、第2の線34Bはこの基礎面に対して垂直に延在している。支持体16は好ましくは2つの支持体半部16A、16Bを有する。下側の支持体半部16Aは初期状態でV字状の切欠き38を有する。この切欠きにはマルチコアファイバ2が挿入される。この下側の支持体半部16Aにマルチコアファイバ2を固定する際、マルチコアファイバ2の調整および配向が行われる。マルチコアファイバ2が所望の方向に位置すると、マルチコアファイバ2が固定および埋設されるので、マルチコアファイバ2全体を内部に閉じ込める支持体16が形成される。最後のステップにおいてさらに、傾斜した端面18が、特に研磨によって形成される。この端面は縦方向8に対して垂直に向いた垂直平面に関して、約7〜11°、好ましくは約8°の範囲の傾斜角度αだけ傾斜している(
図4A、
図4Bおよび
図5参照)。
図4A、
図4Bから判るように、この傾斜角度αは好ましくは支持要素22A、22Bの場合と同様に研磨によって形成される。この傾斜面によって、妨害作用を生じる反射が少なくとも低減される。
【0037】
支持体16と同様に、好ましくは単一ファイバ4を埋め込んだそれぞれの接続支持体24A、24B、24Cが形成されている。ここでも、各接続支持体24A、24B、24CはV字状溝を有する下側の支持体半部を備えている。このV字状溝には、それぞれの単一ファイバ4が所定の位置で挿入されている。単一ファイバ4は同様に、それぞれの接続支持体24A、24B、24Cの容積内に完全に埋め込まれている。
【0038】
それぞれの支持体16上で個々の支持要素22A、22B、22Cを正確に配向するために、好ましくは光信号が個々の光信号経路に供給される。支持体16に関するそれぞれの支持要素22A、22B、22Cの配向は、信号強度が最大であるかぎり行われる。この支持要素が正確に配向された位置に達するや否や、支持要素22A、22B、22Cはこの位置で、特に接着によって支持体16に固定される。
【0039】
特に
図2と
図7から判るように、支持要素22A、22B、22Cはコア10の個々のグループの線34A、34B、34Cに対応して、互いに角度をなして、特に直角に方向づけられている。従って、個々の表面28は線34A、34B、34Cの方向に対応して、互いに垂直に方向づけられている。その際、互いに角度をなして配向された支持要素22A、22B、22Cはその平らな面が互いに接触している。
【0040】
図7の実施の形態の場合、互いに平行に方向づけられた2本の線34B、34Cが形成されている。この線はそれぞれ、1つのグループのコアを含んでいる。互いに平行に方向づけられた支持要素22B、22Cは互いに離隔されている。その間隔は平行な線34B、34Cの間隔よりも幾分短い。
【0041】
個々のコア10はマルチコアファイバ2内で間隔寸法aだけ互いに離隔されている。この間隔寸法は例えば30μmの範囲である。このようなマルチコアファイバの全体の直径は例えば約125μmである。
【0042】
個々のコア10の比較的に小さなこの間隔寸法aは、それぞれの支持要素22A、22B、22Cとその上に取り付けられた導波路構造体によって、結合面26の所定のピッチrに広げられる。このピッチrは127μm、250μmまたはこれらの複数倍である。従って、導波路30は接続面26から出発して結合面32の方へ広がっている。各導波路30は結合面32で好ましくは対称であり、中心縦軸線に沿って配向されている。
【0043】
これと異なり、導波路30は接続面26のところで、特に垂直に方向づけられた支持要素22B、22Cの場合コーナー範囲で非対称に形成開始されている。各支持要素22B、22Cは側面37によって水平に延在する支持要素22Aに接触し、この側面37に対する最も外側の導波路30のエッジ間隔dl(
図3B参照)は非常に小さく、例えば5〜25μmの範囲であり、好ましくは10μmの範囲である。それによって、エッジ間隔d1は第1の線34Aと第2または第3の線34B、34Cの最も近いコアとの間のコア間隔d2よりも小さい(
図2参照)。
【0044】
従って、光カプラ6の上述の特別な構造により、平面導波路技術に基づいてマルチコアファイバ2を単一ファイバ4に接続するための接続方法が提供される。その前提は、各グループのコア10が設定された線34A、34B、34Cに沿って正確に延在するように、マルチコアファイバ2のコア10をグループ化することである。その際、このようなグループは限られた数だけ使用可能である。なぜなら、各グループに、固有の支持要素22A、22B、22Cが割り当てられるからである。従って、グループ、ひいては線34A、34B、34Cの数は一般的に制限され、特に支持要素22A、22B、22Cの取り扱い操作を可能にするために、最大で3個のグループを形成することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
2 光学的マルチコアファイバ
4 単一ファイバ
6 光カプラ
8 縦方向
10 光学的コア
12 ファイバクラッド
14 光学的差込みコネクタ
16 支持体
16A、16B 支持体半部
18 端面
20A 第1の結合要素
20B 第2の結合要素
20C 第3の結合要素
22A 第1の支持要素
22B 第2の支持要素
22C 第3の支持要素
24A 第1の接続支持体
24B 第2の接続支持体
24C 第3の接続支持体
26 接続面
28 表面
30 導波路
31 他の端面
32 結合面
34A 第1の線
34B 第2の線
34C 第3の線
36 基礎面
37 側面
38 V字状切欠き
α 傾斜角度