(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271018
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】自動車用空調ユニット
(51)【国際特許分類】
B60H 1/00 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
B60H1/00 101G
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-536583(P2016-536583)
(86)(22)【出願日】2014年12月2日
(65)【公表番号】特表2016-539048(P2016-539048A)
(43)【公表日】2016年12月15日
(86)【国際出願番号】EP2014076272
(87)【国際公開番号】WO2015082478
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】1362062
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】フランク、トゥルイエ
(72)【発明者】
【氏名】イバン、ルシャ
【審査官】
田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−236128(JP,A)
【文献】
特開平09−104216(JP,A)
【文献】
実開平03−107313(JP,U)
【文献】
実開昭59−099811(JP,U)
【文献】
特開2004−338608(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02329972(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理されることが意図された少なくとも第1空気流と第2空気流がエバポレータを流れ、当該第1空気流と当該第2空気流とが長手方向隔壁によって区分けされる空調ユニットであって、前記長手方向隔壁の一部が前記エバポレータの上流において前記エバポレータの付近に位置する端部まで延在する空調ユニットにおいて、
温度センサ(9、9a、9b)が、
−長手方向において前記エバポレータ(2)の上流に位置する前記長手方向隔壁(6)の一部(6a)の端部(7)に対向して、
−前記長手方向において前記エバポレータ(2)の下流に位置する前記長手方向隔壁(6)の一部の端部に対向して、且つ、
−前記エバポレータ(2)を流れる第1空気流(F1a)と第2空気流(F2a)との間に、配置されている
ことを特徴とする空調ユニット。
【請求項2】
前記エバポレータ(2)の上流に位置する前記長手方向隔壁(6)の前記一部(6a)の前記端部(7)は、横断プレート(8)を含んでおり、
前記温度センサ(9、9a、9b)は、
−長手方向において前記横断プレート(8)に対向して、且つ
−処理されることが意図された前記第1空気流(F1、f1)と前記第2空気流(F2、f2)が前記横断プレート(8)を迂回することにより形成される測定ゾーン(10)であって、前記エバポレータ(2)を流れる前記第1空気流(F1a)と前記第2空気流(F2a)との間に位置する測定ゾーン(10)において、
配設されている
ことを特徴とする請求項1に記載の空調ユニット。
【請求項3】
前記横断プレート(8)の高さ(h)は、前記エバポレータ(2)の高さ(H)の2%以上、5%以下であり、
前記横断プレート(8)の幅(l)は、前記エバポレータ(2)の幅(L)の1.5%以上、7%以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の空調ユニット。
【請求項4】
前記温度センサ(9)は、前記エバポレータ(2)に固定的に連結されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項5】
前記温度センサ(9)は、前記エバポレータ(2)のフィンにクリップ留めされていることを特徴とする請求項4に記載のユニット。
【請求項6】
前記温度センサ(9a、9b)は、前記エバポレータ(2)の出口に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のユニット。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の空調ユニット(1)を備えたことを特徴とする、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に空調ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
また、本発明は、少なくとも1つのこのような空調ユニットを備えた自動車に関する。
【0003】
環境調節器とも称される空調設備は、少なくとも、コンプレッサと、エバポレータと、減圧部材と、加熱部材と、を公知の態様で備えている。
【0004】
空調設備の従来的な構造において、エバポレータと加熱部材とが空調ユニットにおいて連続して配置されている。空気流はエバポレータの上流に取り込まれ、加熱部材の下流の車両客室に分配される。
【0005】
公知の態様において、エバポレータの出口における空気流の温度が、温度センサによって計測される。これは、客室からユーザによって制御される温度に応じて、エバポレータや加熱部材の各運転動力レベルを調整するためである。
【0006】
US7,082,990号は、2つの気流がエバポレータ内及び加熱ユニット内を流れる空調ユニットを提案している。第1の気流は車両の外部の空気から来ており、第2の気流は客室の内部の空気から来ている。このようにして、エバポレータと加熱ユニットの各運転動力レベルが、季節や車両の客室において制御される温度に応じて最適なものとされる。
【0007】
このような2つの気流は、第1の空気路と第2の空気路を流れる。これら第1及び第2空気路は、エバポレータの上流と、エバポレータと加熱部材との間と、加熱部材の下流と、において延在する隔壁によって画成されている。
【0008】
このような構成において、エバポレータの出口において温度が計測される。この計測は、第1路と第2路のいずれかにおいてエバポレータの出口に配置された温度センサによって実施される。
【0009】
このシステムにおいて、温度センサが第1路に配設されている場合、季節が寒いか暑いかに依存する2つの気流の温度差に起因して、エバポレータ及び/又は加熱部材が動作するか停止するかが指示される指示温度は、このような構成に特に適合している。
【0010】
逆に、温度センサが第2路に配置されている場合、指示温度、並びに、エバポレータ及び加熱部材の制御システムは、異なった態様で適合される。
【0011】
このことにより、温度センサの位置が一方の空気路内であるか他方の空気路内であるかに応じて適合させなければならないという複雑なシステムとなってしまう。
【発明の概要】
【0012】
ここで、本発明は、上述のデメリットを解消する空調ユニットに関する。
【0013】
この目的のために、本発明は、処理されることが意図された少なくとも第1空気流と第2空気流とがエバポレータを流れ、第1空気流と第2空気流とが長手方向隔壁によって区分けされる空調ユニットであって、前記長手方向隔壁の一部が前記エバポレータの上流において前記エバポレータの付近に位置する端部まで延在する空調ユニットであって、
温度センサが、
−長手方向において前記エバポレータの上流に位置する前記長手方向隔壁の一部の端部に対向して、且つ、
−前記エバポレータを流れる第1空気流と第2空気流との間に、配設されている
ことを実質的に特徴とする空調ユニットに関する。
【0014】
本発明の空調ユニットは、以下の選択的な特徴を単独又は技術的に可能な組合せにおいて有し得る。
−前記エバポレータの上流に位置する前記長手方向隔壁の前記一部の前記端部は、横断プレートを含んでおり、
前記温度センサは、
−長手方向において前記横断プレートに対向して、且つ
−処理されることが意図された第1空気流と第2空気流とが前記横断プレートを迂回することにより形成される測定ゾーンであって、前記エバポレータを流れる第1空気流と第2空気流との間に位置する測定ゾーンにおいて
配設されている;
−前記横断プレート(8)の高さ(h)は、前記エバポレータ(2)の高さ(H)の2%以上、5%以下であり、前記横断プレート(8)の幅(l)は、前記エバポレータ(2)の幅(L)の1.5%以上、7%以下である;
−前記温度センサは、前記エバポレータに固定的に連結されている;
−この場合、前記温度センサは、前記エバポレータのフィンにクリップ留めされ得る;
−変形例において、前記温度センサは、前記エバポレータの出口に配置され得る。
【0015】
最後に、本発明は、上述の空調ユニットを備えた自動車に関する。
【0016】
本発明の他の特徴及び利点は、添付図面を参照しつつ非限定的な例として記載される以下の説明から良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の例による本発明の空調ユニットの部分概略長手方向断面図。
【
図2】第2の例による本発明の空調ユニットの部分概略長手方向断面図。
【
図3】
図1及び
図2の矢印IVにおける、本発明の空調ユニットのエバポレータと横断プレートとの相対配置の概略説明図。
【
図4】第3の例による本発明の空調ユニットの部分概略長手方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の空調ユニット1は、エバポレータ2と、加熱部材3と、を備えている。「空気/熱交換流体」タイプの設備の場合、加熱部材3は熱交換ラジエータである。
【0019】
図1及び2を参照すると、処理されることが意図された第1空気流F1及び第2空気流F2が、エバポレータ2の入口において導入される。第1空気流F1は車両の外部の空気から来ており、第2空気流F2は車両客室の内部の空気から来ている。これら2つの気流F1、F2は、空調ユニット1に、図示されない換気及び吸気システムによって導入される。
【0020】
加熱ユニット3の出口において、処理された第1空気流F1b及び第2空気流F2bは客室に分配される。この目的は、全体的な換気及びフロントガラス内側の除霜のそれぞれと、車に乗っている人の足元領域の範囲における暖房の確保である。分配手段は図示されていないが、当業者には周知である。
【0021】
加熱ユニット3の加熱が必要とされていない場合、第1空気流F1と第2空気流F2は、当業者に周知である手段によって、更に加熱ユニット3を迂回し得る。
【0022】
第1空気流及び第2空気流F1、F2;F1b、F2bは、空調ユニット1において長手方向に延在する隔壁6によって画成された第1空気路4及び第2空気路5内を流れる。
【0023】
本発明によれば、エバポレータ2の上流に位置する隔壁6の一部6aの端部7が、エバポレータ2の領域において、矩形の横断プレート8を含んでいる。
【0024】
このような構成により、処理されることが意図された空気流f1、f2であってエバポレータ2の上流の隔壁6a付近に位置する空気流f1、f2が、横断プレート8を迂回し、エバポレータ2の領域及びエバポレータ2の下流に位置する主要な空気流F1a、F2aを規制する。これにより、主要空気流F1a、F2aの狭窄がもたらされる。
【0025】
こうして、2つの狭窄した主要空気流F1a、F2aは、横断プレート8の下流に独立ゾーン10を形成する。
【0026】
本発明によれば、第1の狭窄した主要気流F1aと第2の狭窄した主要空気流F2aとの間に計測ゾーン10を形成しているこの独立ゾーン10内で、温度センサ9が、長手方向において横断プレート8に対向して配設されている。
【0027】
図1において、温度センサ9は、図示されないエバポレータ2のフィンにクリップ留めされている。
図2において、この変形例では、温度センサ9aは、エバポレータ2の出口に配設されている。
【0028】
処理されるべき第1空気流F1及び第2空気流F2の流れに問題が生じないように、横断プレート8は制限された寸法を有している。
【0029】
図1、
図2及び
図3を参照すると、この目的のために、横断プレート8の高さhは、エバポレータ2の高さHの2%以上、5%以下である。更に、
図3に示すように、横断プレート8の幅lは、エバポレータ2の幅Lの1.5%以上、7%以下である。
【0030】
本実施の形態において、エバポレータ2の高さHは200ミリメータ以上、245ミリメータ以下であり(
図1、
図2及び
図3)、エバポレータ2の幅L(
図3)は149ミリメータ以上、302ミリメータ以下である。
【0031】
本発明の範囲を逸脱することなく、
図4を参照すると、本発明の空調ユニット1は、横断プレート8をエバポレータ2の上流の隔壁6aの端部7の領域に備えていない。
【0032】
したがって、温度センサ9bは、長手方向においてエバポレータ2の上流の隔壁6aの端部7に対向して、且つ、第1主要気流F1a’と第2主要気流F2a’との間において、エバポレータ2の出口に配設されている。
【0033】
図4において、温度センサ9bはエバポレータ2の出口に配置されているが、温度センサがエバポレータ2の領域において、例えばエバポレータ2のフィンにクリップ留めされることによって配設されているという図示されない変形例も考えられ得る。
【0034】
これら3つの例によれば、温度センサ9が、エバポレータ2を流れる、又はエバポレータ2の下流に流れる2つの気流F1a、F2a;F1a’、F2a’の間に配設されているため、2つの空気路4、5のうちのいずれか一方において温度を測ることが回避され得る。