特許第6271036号(P6271036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーロン インダストリーズ インクの特許一覧

<>
  • 特許6271036-中空繊維膜モジュール 図000003
  • 特許6271036-中空繊維膜モジュール 図000004
  • 特許6271036-中空繊維膜モジュール 図000005
  • 特許6271036-中空繊維膜モジュール 図000006
  • 特許6271036-中空繊維膜モジュール 図000007
  • 特許6271036-中空繊維膜モジュール 図000008
  • 特許6271036-中空繊維膜モジュール 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271036
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】中空繊維膜モジュール
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/02 20060101AFI20180122BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20180122BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20180122BHJP
   D01F 6/00 20060101ALI20180122BHJP
   H01M 8/04291 20160101ALN20180122BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20180122BHJP
【FI】
   B01D63/02
   B01D53/22
   C02F1/44 A
   D01F6/00 B
   !H01M8/04291
   !H01M8/10
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-558034(P2016-558034)
(86)(22)【出願日】2015年3月23日
(65)【公表番号】特表2017-511249(P2017-511249A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】KR2015002840
(87)【国際公開番号】WO2015147511
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0033834
(32)【優先日】2014年3月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】314003797
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】キム キョンジュ
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンソク
(72)【発明者】
【氏名】イ ジンヒョン
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−085309(JP,A)
【文献】 特開2013−062225(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/010636(WO,A1)
【文献】 特許第2725312(JP,B2)
【文献】 特開2011−025154(JP,A)
【文献】 特開2011−075242(JP,A)
【文献】 特開2002−219339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
D01F 6/00
H01M 8/04291
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体流入口と第1流体流出口及び第2流体流入口と第2流体流出口を含むハウジング部、前記第1流体が内部に流れ、前記第2流体が外部に流れるように構成された多数の中空繊維膜を含む中空繊維膜束を有し、
前記中空繊維膜束は、両端が塞がっており、側面に多数の気孔を含み、内部が中空に形成された多孔性チューブをさらに含み、
前記多孔性チューブは、前記気孔を通じて前記第2流体が該多孔性チューブの内部を流れるように構成されていることを、特徴とする、中空繊維膜モジュール。
【請求項2】
前記多孔性チューブは、前記多孔性チューブの長手方向が前記中空繊維膜束の長手方向と一致するように配置される、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項3】
前記多孔性チューブは、側面がメッシュ(mesh)形である、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項4】
前記多孔性チューブは、幅方向断面形状が円形であり、その直径は、前記中空繊維膜の直径に対して2〜20倍である、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項5】
前記多孔性チューブの前記気孔の直径は1〜10mmである、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項6】
前記多孔性チューブの前記多数の気孔の総面積は前記多孔性チューブの側面の総面積に対して10〜50面積%である、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項7】
前記多孔性チューブは多数含まれ、
前記多孔性チューブは前記中空繊維膜200〜2000本当たり1本含まれる、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項8】
前記中空繊維膜モジュールは、複数の中空繊維膜束、及び前記複数の中空繊維膜束を区画する隔壁を含む、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項9】
前記隔壁は複数含まれ、
前記複数の隔壁は前記複数の中空繊維膜束のそれぞれを取り囲むように配置される、請求項8に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項10】
前記隔壁には流体流通口が形成される、請求項8又は9に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項11】
前記ハウジング部は、横断面の形状が円形又は角形である、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項12】
前記ハウジング部は、
両端が開放され、外表面に第1流体流入口と第1流体流出口を含むハウジング本体、及び
前記ハウジング本体の両端にそれぞれ結合され、第2流体流入口と第2流体流出口を含むハウジングキャップを含む、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項13】
前記中空繊維膜モジュールは、前記中空繊維膜の両端部を前記ハウジング部に固定させ、前記ハウジング部の両端部と気密に接触するポッティング部をさらに含む、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項14】
前記中空繊維膜モジュールは、水分交換モジュール、熱交換モジュール、気体分離モジュール及び水処理モジュールからなる群から選択されるいずれか一つである、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【請求項15】
前記多孔性チューブは、幅方向断面形状が角形である、請求項1に記載の中空繊維膜モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空繊維膜モジュールに係り、より詳しくは中空繊維膜束の外部に流れる流体が浸透しにくい領域を除去して前記流体が均一に流れるようにすることにより、前記中空繊維膜が高集積化した場合にも前記中空繊維膜モジュールの性能を極大化することができる中空繊維膜モジュールに関する。
【0002】
前記中空繊維膜モジュールは、水分交換モジュール、熱交換モジュール、気体分離モジュール又は水処理モジュールなどであり得る。
【背景技術】
【0003】
燃料電池とは、水素と酸素を結合させて電気を生産する発電型電池である。前記燃料電池は、乾電池や蓄電池などの一般化学電池とは違い、水素と酸素が供給される限り、電気を生産し続けることができ、熱損失がなくて内燃機関より効率が2倍くらい高いという利点がある。また、水素と酸素の結合によって発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換するので、公害物質の排出が少ない。したがって、前記燃料電池は環境に優しいだけでなく、エネルギー消費の増加による資源枯渇に対するおそれを減らすことができるという利点を有する。このような燃料電池は使用電解質の種類によって大別して、高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cell:PEMFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、及びアルカリ型燃料電池(AFC)などに分類することができる。これらそれぞれの燃料電池は根本的に同じ原理によって作動するが、使用燃料の種類、運転温度、触媒、電解質などが互いに違う。この中で前記高分子電解質型燃料電池は、他の燃料電池に比べ、低温で動作するという点、及び出力密度が高くて小型化が可能であるため、小規模装着型発電装備だけではなく輸送システムにも最も有望であることがと知られている。
【0004】
前記高分子電解質型燃料電池の性能を向上させるのに最も重要な要因の一つは、膜−電極接合体(Membrane Electrode Assembly:MEA)の高分子電解質膜(Polymer Eletrolyte Membrane又はProton Exchange Membrane:PEM)に一定量以上の水分を供給して含水率を維持することである。前記高分子電解質膜が乾燥すれば発電効率が急激に低下するからである。前記高分子電解質膜を加湿する方法としては、1)耐圧容器に水を満たした後、対象気体を拡散器(diffuser)に通過させて水分を供給するバブラー(bubbler)加湿方式、2)燃料電池反応に必要な供給水分量を計算してソレノイドバルブを通じてガス流動管に直接水分を供給する直接噴射(direct injection)方式、及び3)高分子分離膜を用いてガスの流動層に水分を供給する加湿膜方式などがある。これらの中でも前記排気ガス中に含まれる水蒸気のみを選択的に透過させる膜を用いて、水蒸気を高分子電解質膜に供給されるガスに提供することによって、前記高分子電解質膜を加湿する加湿膜方式が加湿器の軽量化及び小型化の観点で有利である。
【0005】
前記加湿膜方式に使われる選択的透過膜は、モジュールを形成する場合、単位体積当たり透過面積が大きな中空繊維膜が好ましい。すなわち、前記中空繊維膜を用いて加湿器を製造する場合、接触表面積が大きな中空繊維膜の高集積化が可能であって少容量でも燃料電池を十分に加湿させることができ、低価素材の使用が可能であり、燃料電池から高温に排出される未反応ガスに含まれた水分及び熱を回収して加湿器を通じて再使用することができるという利点を有する。
【0006】
しかし、前記中空繊維膜を用いた加湿器の場合、その容量を増やすために多数の中空繊維膜を集積することになる。この際、前記中空繊維膜の外部に流れる気体の流れが高集積化した中空繊維膜による抵抗によって加湿器内部の全体に均一に形成されることができなくなる。
【0007】
前記問題を克服するために、前記中空繊維膜束の厚さを制限するとか、前記中空繊維膜束を分割したが、この場合、限定された空間に中空繊維膜を装着することができる限界を低めなければならないさらに他の問題をもたらすことになる。
【0008】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10−2009−0013304号公報
【特許文献2】大韓民国公開特許第10−2009−0057773号公報
【特許文献3】大韓民国公開特許第10−2009−0128005号公報
【特許文献4】大韓民国公開特許第10−2010−0108092号公報
【特許文献5】大韓民国公開特許第10−2010−0131631号公報
【特許文献6】大韓民国公開特許第10−2011−0001022号公報
【特許文献7】大韓民国公開特許第10−2011−0006122号公報
【特許文献8】大韓民国公開特許第10−2011−0006128号公報
【特許文献9】大韓民国公開特許第10−2011−0021217号公報
【特許文献10】大韓民国公開特許第10−2011−0026696号公報
【特許文献11】大韓民国公開特許第10−2011−0063366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は中空繊維膜束の外部に流れる流体が浸透しにくい領域を除去して前記流体が均一に流れるようにすることで、前記中空繊維膜が高集積化した場合にも前記中空繊維膜モジュールの性能を極大化することができる中空繊維膜モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例による中空繊維膜モジュールは、第1流体流入口と第1流体流出口及び第2流体流入口と第2流体流出口を含むハウジング部、及び多数の中空繊維膜を含み、前記第1流体が前記中空繊維膜の内部に流れ、前記第2流体が前記中空繊維膜の外部に流れるように前記ハウジングの内部に配置された中空繊維膜束を含み、前記中空繊維膜束は、両端が塞がっており、側面に多数の気孔を含む多孔性チューブをさらに含む。
【0011】
前記多孔性チューブは、前記多孔性チューブの長手方向が前記中空繊維膜束の長手方向と一致するように配置されることができる。
【0012】
前記多孔性チューブは、側面がメッシュ(mesh)形であってもよい。
【0013】
前記多孔性チューブの直径は、前記中空繊維膜の直径に対して2〜20倍であることができる。
【0014】
前記多孔性チューブの前記気孔の直径は1〜10mmであることができる。
【0015】
前記多孔性チューブの前記多数の気孔の総面積は前記多孔性チューブの側面の総面積に対して10〜50面積%であることができる。
【0016】
前記多孔性チューブは多数含まれることができ、前記多孔性チューブは前記中空繊維膜200〜2000本当たり1本含まれることができる。
【0017】
前記中空繊維膜モジュールは、複数の中空繊維膜束、及び前記複数の中空繊維膜束を区画する隔壁を含むことができる。
【0018】
前記隔壁は複数含まれ、前記複数の隔壁は前記複数の中空繊維膜束のそれぞれを取り囲むように配置されることができる。
【0019】
前記隔壁には流体流通口が形成されることができる。
【0020】
前記ハウジング部は、横断面の形状が円形又は角形であってもよい。
【0021】
前記ハウジング部は、両端が開放され、外表面に第1流体流入口と第1流体流出口を含むハウジング本体、及び前記ハウジング本体の両端にそれぞれ結合され、第2流体流入口と第2流体流出口を含むハウジングキャップを含むことができる。
【0022】
前記中空繊維膜モジュールは、前記中空繊維膜の両端部を前記ハウジング部に固定させ、前記ハウジング部の両端部と気密に接触するポッティング部をさらに含むことができる。
【0023】
前記中空繊維膜モジュールは、水分交換モジュール、熱交換モジュール、気体分離モジュール及び水処理モジュールからなる群から選択されるいずれか一つであることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明による中空繊維膜モジュールは、中空繊維膜束の外部に流れる流体が浸透しにくい領域を除去して前記流体が均一に流れるようにする。よって、前記中空繊維膜が高集積化した場合にも前記中空繊維膜モジュールの性能を極大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1実施例による中空繊維膜モジュールを一部分解した斜視図である。
図2】本発明の第2実施例による中空繊維膜モジュールを一部分解した斜視図である。
図3】本発明の第3実施例による中空繊維膜モジュールを一部分解した斜視図である。
図4図2の中空繊維膜モジュールをA−A’線に沿って切断した部分断面図である。
図5】互いに異なる実施例による多孔性チューブを概略的に示す斜視図である。
図6】互いに異なる実施例による多孔性チューブを概略的に示す斜視図である。
図7】互いに異なる実施例による多孔性チューブを概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者が容易に実施することができるように本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明は様々な相異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0027】
図1は本発明の第1実施例による中空繊維膜モジュールを一部分解した斜視図、図2は本発明の第2実施例による中空繊維膜モジュールを一部分解した斜視図、図3は本発明の第3実施例による中空繊維膜モジュールを一部分解した斜視図である。図4図2の中空繊維膜モジュールをA−A’線に沿って切断した部分断面図である。図1図4に示した中空繊維膜モジュールは水分交換モジュールを一実施例として示すものである。しかし、前記中空繊維膜モジュールは前記水分交換モジュールに限定されず、熱交換モジュール、気体分離モジュール又は水処理モジュールなどであることができる。
【0028】
以下、図1図4を参照して前記中空繊維膜モジュールについて説明する。前記図1図4を参照すると、前記中空繊維膜モジュール10は、ハウジング部1、中空繊維膜束4及びポッティング部2を含む。
【0029】
前記ハウジング部1は前記中空繊維膜モジュール10の外形を成す。前記ハウジング部1はハウジング本体11とハウジングキャップ5を含むことができ、これらが結合された一体型であることができる。前記ハウジング本体11と前記ハウジングキャップ5はポリカーボネートなどの硬質プラスチックや金属からなることができる。また、前記ハウジング本体11と前記ハウジングキャップ5は、幅方向への断面形状が、図1及び図2に示したような角形、あるいは図3に示したような円形であることができる。前記角形は、方形、正方形、台形、平行四辺形、五角形、六角形などであることができ、前記角形は角部が丸くなった形態であることもできる。また、前記円形は楕円形であることもできる。
【0030】
前記ハウジング本体11の両端には、前記ハウジング本体11の周縁部を拡張させた外周部12をさらに含むことができる。この場合、前記外周部12の開放した両端はポッティング部2で埋め込まれ、前記ポッティング部2は前記外周部12で取り囲まれる。前記外周部12にはそれぞれ第2流体が供給される第2流体流入口121と第2流体が排出される第2流体流出口122が形成されている。
【0031】
前記ハウジング部1の内部には、水分を選択的に通過させる複数の中空繊維膜41からなった中空繊維膜束4が内蔵される。ここで、前記中空繊維膜41の素材は公知のものであるので、この明細書では詳細な説明を省略する。
【0032】
前記ポッティング部2は前記中空繊維膜束4の両端部で前記中空繊維膜41を結束するとともに前記中空繊維膜41の間の空隙を埋める。前記ポッティング部2は前記ハウジング本体11の両端部の内側面に密接して前記ハウジング本体11を気密させることができる。前記ポッティング部2の素材は公知のものなので、この明細書では詳細な説明を省略する。
【0033】
前記ポッティング部2は前記ハウジング本体11の両端内部のそれぞれに形成されることにより、前記中空繊維膜束4はその両端部が前記ハウジング本体11に固定される。これにより、前記ハウジング本体11は両端が前記ポッティング部2で塞がり、その内部には前記第2流体が通過する流路が形成される。
【0034】
一方、前記ハウジングキャップ5は前記ハウジング本体11の両端にそれぞれ結合される。前記各ハウジングキャップ5には第1流体流入口51及び第1流体流出口51が形成されている。前記一側のハウジングキャップ5の流体流入口51に流入した第1流体は中空繊維膜41の内部管路を通過し、他側のハウジングキャップ5の流体流出口52を通じて流出する。
【0035】
図4を参照すると、前記ポッティング部2は前記外周部12の端部12aのおよそ中間部分で前記ハウジング本体11の中心に向かって斜めに形成されることができ、前記中空繊維膜41は前記ポッティング部2を貫通し、前記ポッティング部2の端部で管路が露出される。前記ポッティング部2で遮られていない前記外周部12の端部12aにはシール部材Sが突き当てられ、前記ハウジングキャップ5がこれを押圧しながら前記ハウジング本体11に結合されることができる。
【0036】
前記中空繊維膜モジュール10は、複数の中空繊維膜束4及び前記複数の中空繊維膜束を区画する隔壁9を含むことができる。前記隔壁9には流体流通口8が形成され、前記第2流体が前記流体流通口8を通じて前記隔壁9を通過し、前記中空繊維膜束4の外部に流れるようにする。
【0037】
また、前記隔壁9は複数であることができ、前記複数の隔壁9は前記複数の中空繊維膜束4のそれぞれを取り囲むように配置されて前記中空繊維膜束4を区画することができる。
【0038】
前記第1流体は前記一側のハウジングキャップ5の第1流体流入口51を通じて前記ハウジング部1内に供給されて前記中空繊維膜41の内部に流入し、前記他側のハウジングキャップ5の第1流体流出口52を通じて前記中空繊維膜モジュール10の外部に排出される。ただ、前記第1流体は前記第1流体流出口52に流入して前記第1流体流入口51から排出される方向に流れることも可能である。一方、前記第2流体は前記ハウジング本体11の第2流体流入口121を通じて前記ハウジング本体11の一側外周部12に供給された後、前記隔壁9の一側流体流通口8を通じて前記隔壁9を通過し、前記中空繊維膜41の外部に流れ、前記隔壁9の他側流体流通口8を通じて前記ハウジング本体11の他側外周部12に排出された後、前記ハウジング本体11の第2流体流出口122を通じて前記ハウジング部1の外部に排出される。ただ、前記第2流体は前記第2流体流出口122に流入して前記第2流体流入口121から排出される方向に流れることも可能である。すなわち、前記第1流体と第2流体は互いに反対方向に流れることも、同一方向に流れることもできる。前記第1流体と前記第2流体はそれぞれ中空繊維膜41の内部と外部に流れながら前記中空繊維膜41を介して水分などの物質又は熱などを交換することになる。
【0039】
前記第1流体は低湿の流体、前記第2流体は高湿の流体であることができる。また、前記第2流体が低湿の流体、前記第1流体が高湿の流体であることもできる。
【0040】
一方、前記中空繊維膜束4は、前記中空繊維膜41の間に両端が塞がっており、側面に多数の気孔を含む多孔性チューブ42をさらに含む。前記多孔性チューブ42は、前記多孔性チューブ42の長手方向が前記中空繊維膜41の長手方向と一致するように配置される。
【0041】
前記中空繊維膜束4はただ一つの多孔性チューブ42のみを含むことも、複数の多孔性チューブ42を含むこともできる。また、前記中空繊維膜モジュール10が多数の中空繊維膜束4を含む場合にも、それぞれの中空繊維膜束4は一つの多孔性チューブ42のみを含むことも、複数の多孔性チューブ42を含むこともできる。この際、前記多孔性チューブ42は前記中空繊維膜41の間に互いにランダムな位置に配置されることも、互いに一定間隔で配置されることもできる。
【0042】
前記多孔性チューブ42は側面に多数の気孔を含むことにより、前記第2流体が前記多孔性チューブ42の内部に流れて前記第2流体の流れを均一に誘導して前記中空繊維膜モジュール10の作動効率を極大化することができる。すなわち、前記多孔性チューブ42は、前記第2流体が浸透しにくい領域を除去することにより、前記中空繊維膜41が高集積化した場合にも前記中空繊維膜モジュール10の性能を極大化することができる。
【0043】
図5図7は互いに異なる実施例による前記多孔性チューブ42を概略的に示す斜視図である。以下、図5図7を参照して前記多孔性チューブ42の形状について詳細に説明する。
【0044】
図5図7を参照すると、前記多孔性チューブ42はその両端422が塞がっている。これは前記ハウジングキャップ5の第1流体流入口51を通じて前記ハウジング部1内に供給された前記第1流体が前記多孔性チューブ42の内部に流入することができないようにするためである。前記多孔性チューブ42の両端422は自体の製造時に塞がることができ、あるいは前記中空繊維膜モジュール10の製造過程で前記ポッティング部2によって塞がることもできる。
【0045】
前記多孔性チューブ42の内部は中空であり、その側面は多数の気孔423を含むことにより、前記第2流体が前記気孔423を通じて前記多孔性チューブ42の内部に流入して前記多孔性チューブ42の内部に流れるようにする。したがって、前記多孔性チューブ42は前記第2流体の流れを均一に誘導し、前記中空繊維膜41が高集積化した場合であっても前記第2流体が浸透しにくい領域を除去する役目をすることができる。
【0046】
前記多孔性チューブ42は、幅方向断面形状が、図5のような円形、又は図6のような角形であることができる。前記円形は楕円形であることができ、前記角形は方形、正方形、台形、平行四辺形、五角形、六角形などであることができる。前記角形は角部が丸くなった形態であることもできる。
【0047】
前記多孔性チューブ42の気孔423は従来一般的に使用するパンチングなどの方法で形成するか、図7のように前記多孔性チューブ42そのものをメッシュ(mesh)などの多孔性素材で形成することができる。
【0048】
前記多孔性チューブ42の気孔423の直径は1〜10mm、好ましく2〜8mm、より好ましく3〜5mmであることができる。前記気孔423の直径が1mm未満の場合は前記多孔性チューブ42の気孔を通じての流体流通量が少なくなることでき、10mmを超える場合は流体流通量が余りにも大きくなって流入流体の集中化の問題が生じる。
【0049】
前記多孔性チューブ42において、前記多数の気孔423の総面積は前記多孔性チューブ42の側面の総面積の10〜50面積%、好ましく20〜40面積%、より好ましくは25〜35面積%であることができる。前記面積%は前記多数の気孔423の総面積を前記多孔性チューブ42の側面の面積で割ってから100を掛けた値である。
【0050】
前記多孔性チューブ42において、前記多数の気孔423の総面積が前記多孔性チューブ42の側面の総面積に対して10面積%未満の場合は前記多孔性チューブ42の気孔を通じての流体流通量が少なくなり、50面積%を超える場合は前記多孔性チューブ42の製造が難しくなる。
【0051】
前記多孔性チューブ42の直径は前記中空繊維膜41直径に対して2〜20倍、好ましく3〜15倍、より好ましく5〜10倍であることができる。具体的に例示すると、前記多孔性チューブ42の直径は10〜50mmであることができる。前記多孔性チューブ42の直径が前記中空繊維膜41の直径に対して2倍未満の場合は前記多孔性チューブ42を含む効果を得るために余りにも多い前記多孔性チューブ42を装着しなければならなく、20倍を超える場合は前記多孔性チューブ42によって前記中空繊維膜41の装着空間が狭小になる。
【0052】
前記多孔性チューブ42は前記中空繊維膜41の200〜2000本当たり1本、好ましく500〜1500本当たり1本、より好ましく800〜1300本当たり1本を含むことができる。前記多孔性チューブ42の数が前記中空繊維膜41の200本当たり1本未満の場合は前記中空繊維膜41の装着数量が余りにも少なくなり、2000本当たり1本を超える場合は前記多孔性チューブ42の効果を得ることができない。
【0053】
[実施例:水分交換モジュールの製造]
【0054】
(実施例1)
ポリスルホン中空繊維膜(外径900μm、内径800μm)14,000本と気孔がパンチングされた多孔性チューブ(直径10mm、気孔直径3mm、側面の総面積に対する気孔総面積の割合30面積%)10本を一束にして角形ハウジング(横250mm、縦250mm、高さ500mm)の内部に配置した。
【0055】
前記ハウジングの両端にポッティング部形成用キャップを被せ、前記中空繊維膜束内の空間及び前記中空繊維膜束と前記ハウジングの間の空間にポッティング用組成物を注入した後、硬化させてシール(seal)した。前記ポッティング部形成用キャップを除去した後、前記硬化した中空繊維膜ポッティング用組成物の端部を切断し、前記中空繊維膜束の端部が前記ポッティング部の切断部で露出されるようにしてポッティング部を形成した後、前記ハウジングの両端部にハウジングキャップを被せることで水分交換モジュールを製造した。
【0056】
(実施例2)
ポリスルホン中空繊維膜(外径900μm、内径800μm)14,000本と気孔がパンチングされた多孔性チューブ(直径10mm、気孔直径3mm、側面の総面積に対する気孔総面積の割合40面積%)10本を一束にして角形ハウジング(横250mm、縦250mm、高さ500mm)の内部に配置した。
【0057】
前記ハウジングの両端にポッティング部形成用キャップを被せ、前記中空繊維膜束内の空間及び前記中空繊維膜束と前記ハウジングの間の空間にポッティング用組成物を注入した後、硬化させてシール(seal)した。前記ポッティング部形成用キャップを除去した後、前記硬化した中空繊維膜ポッティング用組成物の端部を切断し、前記中空繊維膜束の端部が前記ポッティング部の切断部で露出されるようにしてポッティング部を形成した後、前記ハウジングの両端部にハウジングキャップを被せることで水分交換モジュールを製造した。
【0058】
(実施例3)
ポリスルホン中空繊維膜(外径900μm、内径800μm)14,000本とメッシュ形の多孔性チューブ(直径15mm、気孔直径2mm、側面の総面積に対する気孔総面積の割合30面積%)10本を一束にして角形ハウジング(横250mm、縦250mm、高さ500mm)の内部に配置した。
【0059】
前記ハウジングの両端にポッティング部形成用キャップを被せ、前記中空繊維膜束内の空間及び前記中空繊維膜束と前記ハウジングの間の空間にポッティング用組成物を注入した後、硬化させてシール(seal)した。前記ポッティング部形成用キャップを除去した後、前記硬化した中空繊維膜ポッティング用組成物の端部を切断し、前記中空繊維膜束の端部が前記ポッティング部切断部で露出されるようにしてポッティング部を形成した後、前記ハウジングの両端部にハウジングキャップを被せることで水分交換モジュールを製造した。
【0060】
(比較例)
ポリスルホン中空繊維膜(外径900μm、内径800μm)14,000本を一束にして角形ハウジング(横250mm、縦250mm、高さ500mm)の内部に配置した。
【0061】
前記ハウジングの両端にポッティング部形成用キャップを被せ、前記中空繊維膜束内の空間及び前記中空繊維膜束と前記ハウジングの間の空間にポッティング用組成物を注入した後、硬化させてシール(seal)した。前記ポッティング部形成用キャップを除去した後、前記硬化した中空繊維膜ポッティング用組成物の端部を切断し、前記中空繊維膜束の端部が前記ポッティング部切断部で露出されるようにしてポッティング部を形成した後、前記ハウジングの両端部にハウジングキャップを被せることで水分交換モジュールを製造した。
【0062】
[実験例:製造されたポッティング部の性能測定]
【0063】
前記実施例及び比較例で製造した水分交換モジュールの中空繊維膜の内部と外部にそれぞれ50g/secの乾燥空気を流入し、中空繊維膜の外部は温度70℃、湿度90%に固定し、中空繊維膜の内部は温度40℃、湿度10%に固定し、気体−気体加湿を実施した。
【0064】
加湿性能は、前記中空繊維膜の内部を流れる空気が加湿されて出る地点の温度と湿度を測定して露点(Dew Point)に換算して測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
前記表1を参照すると、前記実施例で製造された水分交換モジュールは比較例で製造された水分交換モジュールに比べて加湿性能がもっと優れていることが分かる。
【0067】
以上で本発明の好適な実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではなく、次の請求範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の多くの変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0068】
1 ハウジング部
2 ポッティング部
4 中空繊維膜束
5 ハウジングキャップ
8 流体流通口
9 隔壁
10 中空繊維膜モジュール
11 ハウジング本体
12 外周部
41 中空繊維膜
42 多孔性チューブ
51 第1流体流入口
52 第2流体流出口
121 第2流体流入口
122 第2流体流出口
423 気孔

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7