特許第6271171号(P6271171)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271171
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】パンツ型着用物品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/496 20060101AFI20180122BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   A61F13/496 100
   A61F13/15 310
   A61F13/15 355C
【請求項の数】7
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-137387(P2013-137387)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-8945(P2015-8945A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100112818
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 昭久
(72)【発明者】
【氏名】浜本 伸二
(72)【発明者】
【氏名】梁島 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】今井 康至
(72)【発明者】
【氏名】浦山 優輔
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−148465(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/156299(WO,A1)
【文献】 特開2010−188629(JP,A)
【文献】 特開平04−229233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を形成してなり、
前記シール縁部は、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に形成されており、
前記シール縁部は、前記複数の部位における融着強度が等しく、
前記シール縁部の外縁に溶融されていない外装体が存在せず、
前記サイドシール部が延びる方向と直交する断面において、前記シール縁部の外縁は、着用物品の内方に向かって凸の弧状をなし、且つ該外縁を含んでそれよりも着用物品の内方に、前記外装体を構成するシートどうしの融着部が形成され、該融着部は、該外装体の厚み方向の中央部が両端部に比して幅が広い、パンツ型着用物品。
【請求項2】
前記複数の部位として、8枚又は6枚のシートが重ねられた8又は6層構造部分と、4枚のシートが重ねられた4層構造部分とを備えている、請求項1に記載のパンツ型着用物品。
【請求項3】
着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を有するパンツ型着用物品の製造方法であって、
前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする重合加圧工程と、
加圧状態にある前記サイドシール部の形成予定部位に、前記外装体の搬送方向と交差する方向に延在する光通過部を介してレーザー光を照射することにより、該外装体を分断すると共に、その分断によって生じた積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させて前記シール縁部を形成するサイドシール部形成工程とを具備し、
前記帯状の外装体は、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる部位を有しており、
前記サイドシール部形成工程においては、前記サイドシール部の形成予定部位における、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に、前記レーザー光を、前記合計積層枚数が多い部分と重なる部分の幅が前記合計積層枚数が少ない部分と重なる部分の幅よりも広い光通過部を介して照射し、各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる、パンツ型着用物品の製造方法。
【請求項4】
前記サイドシール部形成工程においては、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に、前記レーザー光を、該部位毎に出力又は走査速度を異ならせて照射し、各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる、請求項3に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項5】
前記サイドシール部形成工程においては、前記帯状の外装体が接する外面における前記光通過部の近傍に、該外装体側に突出する突出部を有し、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位毎に、該突出部の突出高さ又は幅が異なる支持部材を用いて、該各部位にレーザー光の照射を行い、該各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる、請求項3又は4に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項6】
前記サイドシール部の形成予定部位におけるシート間に、接着剤が存在するか否か又は接着剤が存在する態様に応じて、前記合計積層枚数が異なる部位の融着強度の差を調整する手段として採用した手段を微調整する、請求項3〜5の何れか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【請求項7】
前記光通過部が、スリット状の開口部である、請求項3〜6の何れか1項に記載のパンツ型着用物品の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドシール部を有するパンツ型着用物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のパンツ型着用物品として、吸収性本体と着用物品の外面を形成する外装体とを備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部が形成されているパンツ型使い捨ておむつが知られている。
【0003】
通常、パンツ型使い捨ておむつを着用者の身体から取り外す際には、サイドシール部において該おむつを前身頃と後身頃とに引き裂く。おむつ使用後の交換の際におむつを速やかに身体から取り外すためには、サイドシール部は容易に引き裂くことができるようになっていることが好ましい。サイドシール部の引き裂き性に関し、例えば特許文献1には、おむつの着用中に外れたりしない程度の十分な接合強度と引き裂き性の向上との両立等の観点から、サイドシール部に3段階の接合強度を併存させることが記載されている。
【0004】
また従来、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の製造工程においては、重ね合わせたシートどうしの接合にヒートロール装置が汎用されており、一般に、サイドシール部は、後述するように、ヒートロール装置を用いて形成される。また、他の接合方法として、レーザー光を用いて溶着する方法も知られている。例えば特許文献2には、複数枚のシートが重ねられたシート積層体を、周面にレーザー光透過性部を有する回転ロールの該周面に沿った形状に変形させて搬送しながら、該シート積層体に対して該回転ロールの内側からレーザー光を照射し、該シート積層体内のシートどうしを融着させる方法が記載されている。
【0005】
パンツ型使い捨ておむつは、通常、次のような工程を経て製造される。即ち、複数のおむつが一方向(搬送方向)に連なった構成のおむつ連続体を製造し、このおむつ連続体における、サイドシール部形成予定部位において互いに重なり合う前身頃側の外装体と後身頃側の外装体とを、ヒートロール装置等の接合手段により接合した後、その接合部をカッター等の切断手段により切断することにより、個々のおむつに分断する工程を経て製造される。こうして製造される従来のパンツ型使い捨ておむつのサイドシール部は、前身頃の側縁部と後身頃の側縁部とが合掌状に重なり合って形成されており、その合掌状部分の頂部が、周辺部よりもおむつの外方に突出しているので、目視により容易に認識できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−120595号公報
【特許文献2】特開2010−188629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した製造工程を経て得られた合掌状のサイドシール部は、外装体どうしの接合幅が広いことや、接合の際に外装体が強く加圧されることなどから、比較的硬いものとなり易く、着用感や外表面の肌触りの点で改善の余地がある。また、サイドシール部を形成する部位のシートの積層枚数に差があると、その差に起因して、サイドシール部に意図しない接合強度の差が生じ、例えば、ウエスト開口部側の接合強度が高くなりすぎて、おむつの使用後に、ウエスト開口部側からサイドシール部を引き裂くことが難しくなる等といった不都合が生じる。
【0008】
従って、本発明は、柔軟性又は肌触りに優れたサイドシール部を有するとともに、サイドシール部の引き裂き易さにも優れているパンツ型着用物品及びその製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品であって、前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を形成してなり、前記シール縁部は、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に亘って形成されており、前記シール縁部は、前記複数の部位における融着強度が等しい、パンツ型着用物品を提供するものである。
【0010】
また本発明は、着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を有するパンツ型着用物品の製造方法であって、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする重合加圧工程と、加圧状態にある前記サイドシール部の形成予定部位に、前記外装体の搬送方向と交差する方向に延在する光通過部を介してレーザー光を照射することにより、該外装体を分断すると共に、その分断によって生じた積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させて前記シール縁部を形成するサイドシール部形成工程とを具備しており、更に下記(1)〜(3)の何れかを具備するものである。
(1)前記サイドシール部形成工程においては、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に、前記レーザー光を、該部位毎に出力又は走査速度を異ならせて照射し、各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる。
(2)前記サイドシール部形成工程においては、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に、前記レーザー光を、該部位毎に幅が異なる光通過部を介して照射し、各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる。
(3)前記サイドシール部形成工程においては、前記帯状の外装体が接する外面における前記光通過部の近傍に、該外装体側に突出する突出部を有し、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位毎に、該突出部の突出高さ又は幅が異なる支持部材を用いて、該各部位にレーザー光の照射を行い、該各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、柔軟性又は肌触りに優れたサイドシール部を有するとともに、サイドシール部の引き裂き易さにも優れているパンツ型着用物品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の製造方法の一実施態様であるパンツ型使い捨ておむつの製造方法に適用可能な、レーザー式接合装置を用いたパンツ型使い捨ておむつの製造方法の一例を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態のパンツ型使い捨ておむつを模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図2のI−I線断面を模式的に示す断面図である。
図4図4は、図2に示すおむつの展開且つ伸長状態を模式的に示す平面図である。
図5図5は、図1に示すおむつ連続体の製造工程を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、図1に示すレーザー式接合装置におむつ連続体が導入された状態を平面に展開して模式的に示す図であり、図6(a)は、押さえ部材の一部を破断して示す上面図、図6(b)は、図6(a)のII−II線断面図である。
図7図7(a)〜図7(c)は、それぞれ、図1に示すレーザー式接合装置を用いておむつ連続体(帯状の外装体)を分断するのと同時にサイドシール部(シール縁部)を形成する様子を説明する説明図である。
図8図8は、図1に示すレーザー式接合装置を用いたパンツ型使い捨ておむつの製造方法の他の例の図7(c)相当図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、それぞれ、図3に示すおむつのウエスト開口部を拡げた状態における、片側のサイドシール部(シール縁部)及びその近傍の図3相当図である。
図10図10は、図2のIII−III線断面を模式的に示す断面図である。
図11図11は、本発明の製造方法の第1実施態様における、図6(a)の一部拡大図に相当する図である。
図12図12は、本発明の製造方法の第2実施態様における、図6(a)の一部拡大図に相当する図である。
図13図13は、本発明の製造方法の第3実施態様に用いたレーザー式接合装置におけるレーザー光の光通過部及びその近傍を示す模式断面図である。
図14図14は、図13に示すレーザー式合装置におけるレーザー光の光通過部及びその近傍を、おむつ連続体(帯状の外装体)が配される円筒ロールの外面側から見た状態を示す図である。
図15図15(a)〜図15(c)は、本発明のパンツ型着用物品の他の実施形態を示す断面図であり、それぞれ図10に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の主たる特長の1つは、着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品において、そのサイドシール部が、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を形成してなる場合に、そのシール縁部に、該シール縁部を形成する部位に存するシートの積層枚数の差に起因する接合強度の差が生じないように工夫(以下、融着強度均一化手段ともいう)した点にある。
この融着強度均一化手段の採用は、パンツ型着用物品の製造工程において、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体における所定箇所に、例えばレーザー光を照射する等して、前記外装体を個々の着用物品用の長さに分断するのと同時に、その分断によって生じた積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着して、一対のサイドシール部を形成する場合に特に有用である。
【0014】
以下、本発明のパンツ型着用物品の第1実施形態及びその好ましい製造方法である本発明の製造方法の第1実施態様について説明する。
【0015】
図1には、本発明の製造方法の第1実施態様であるパンツ型使い捨ておむつの製造方法に適用可能な、レーザー式接合装置を用いたパンツ型使い捨ておむつの製造方法の概略が示されている。パンツ型着用物品の第1実施形態のパンツ型使い捨ておむつ1(以下「おむつ1」ともいう)は、このレーザー式接合装置又はそれに一部の改良を施したものを用いて製造することができる。
第1実施形態のおむつ1は、図2図4に示すように、吸収性本体2と、着用物品の外面を形成する外装体3とを備え、前身頃F(腹側部1A)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部A1,A1と後身頃R(背側部1B)における外装体3の縦方向Xに沿う左右両側縁部B1,B1とが接合されて一対のサイドシール部4,4、ウエスト開口部8及び一対のレッグ開口部9,9が形成されているパンツ型使い捨ておむつである。外装体3は、吸収性本体2の非肌当接面側に位置して該吸収性本体2を固定している。また、おむつ1における一対のサイドシール部4,4は、それぞれ、前身頃Fにおける外装体3の縁部と後身頃Rにおける外装体3の縁部が、サイドシール部4の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41を形成してなる。
【0016】
おむつ1は、図4に示す如き展開且つ伸長状態の平面視において、着用者の前後方向に相当する縦方向Xとこれに直交する横方向Yとを有している。おむつ1は、着用時に股下部に配される股下部1C並びにその縦方向Xの前後に位置する腹側部1A及び背側部1Bに区分することができる。股下部1Cにおける外装体3は、その縦方向Xに沿う左右両側縁部にレッグ開口部9,9形成用の凹欠部が形成されている。また、おむつ1は、図4に示すように、おむつ1を縦方向Xに二分する仮想中心線CLを境にして、前身頃Fと後身頃Rとに区分することができる。
【0017】
尚、本明細書において、肌当接面は、パンツ型着用物品又はその構成部材(例えば吸収性本体)における、着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、パンツ型着用物品又はその構成部材における、着用時に着用者の肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。おむつ1において、縦方向Xは、使い捨ておむつ又はその構成部材である吸収性本体2の長辺に沿う方向(長手方向)に一致し、横方向Yは、使い捨ておむつ又はその構成部材である吸収性本体2の幅方向に一致する。
【0018】
吸収性本体2は、図4に示すように、一方向(縦方向X)が相対的に長い縦長の形状を有しており、肌当接面を形成する表面シート(図示せず)と、非肌当接面を形成する裏面シート(図示せず)と、これら両シート間に介在配置された液保持性の吸収体(図示せず)とを具備し、該吸収体は、縦方向Xと同方向に長い形状を有している。吸収性本体2は、その長手方向を、展開且つ伸長状態におけるおむつ1の縦方向Xに一致させて、外装体3の中央部に公知の接合手段(接着剤等)により接合されている。ここで、展開且つ伸長状態とは、サイドシール部を引き剥がして、おむつを展開状態とし、その展開状態のおむつを、各部の弾性部材を伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで拡げた状態をいう。
【0019】
外装体3は、図2図4に示すように、おむつ1の外面(外装体3の非肌当接面)を形成する外層シート31と、該外層シート31の内面側に配され、おむつ1の内面(外装体3の肌当接面)を形成する内層シート32と、両シート31,32間に接着剤により固定された複数本の糸状又は帯状の弾性部材5,6,7とを含んで構成されている。両シート31,32間は、所定部位において接着剤又はヒートシール等(図示せず)によって接合されている。
【0020】
外装体3(外層シート31、内層シート32)は、樹脂材を含み、該樹脂材を主成分として形成されている。外装体3(外層シート31、内層シート32)の一例として、樹脂材としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱融着性の合成樹脂を含み、不織布、フィルム、不織布とフィルムとのラミネートシート等からなるものが挙げられる。不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。
【0021】
本発明の製造方法の第1実施態様であるおむつ1の製造方法は、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体3におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする重合加圧工程と、加圧状態にあるサイドシール部の形成予定部位に、外装体3の搬送方向Aと交差する方向に延在する光通過部27を介してレーザー光を照射することにより、該外装体3を分断すると共に、その分断によって生じた、積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させてサイドシール部4を形成するサイドシール部形成工程とを具備している。また、重合加圧工程の前に、帯状の外装体3(外層シート31、内層シート32)に吸収性本体2を固定する本体固定工程を具備している。
【0022】
より具体的には、おむつ1の製造方法においては、図5に示すように、前記重合加圧工程において、帯状の外装体3(外層シート31、内層シート32)をその幅方向に折り畳むことにより、吸収性本体2が固定された帯状の外装体3の前身頃側と後身頃側とを重ね合わせ、それによって、「サイドシール部が形成されていないパンツ型使い捨ておむつの前駆体が一方向に連なってなる、おむつ連続体10」を製造する。そして、前記サイドシール部形成工程において、このおむつ連続体10における帯状の外装体3を、図1に示すように、レーザー光30の照射により、個々に分断(溶断)するのと同時に、その分断によって生じた、積層状態の複数枚の外装体3(外層シート31、内層シート32)の切断縁部どうしを融着して、一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1を連続的に製造する。
【0023】
より詳細に説明すると、先ず、図5に示すように、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の外層シート31と、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の内層シート32の間に、ウェストギャザーを形成するウエスト部弾性部材5、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材6及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材7を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する。このとき、レッグ部弾性部材7は、シートの流れ方向とは直交して往復運動する公知の揺動ガイド(図示せず)を介して、所定の脚周りパターンを形成しながら配される。また、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32には、それらを重ね合わせる前に、両シート31,32の何れか一方又は双方の対向する面の所定部位に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を塗工する。尚、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が、両シート31,32における、レーザー光の照射によって分断される部分(サイドシール部4の形成予定部分,図6中符号10Cで示す分断予定部分)を跨ぐように伸長状態で配されている場合、その分断後の該弾性部材の大幅な縮みや該弾性部材の抜け等の不都合を回避するために、該部分及びその近傍に接着剤を塗工しておくことが好ましい。ウエスト部弾性部材5及び胴回り部弾性部材6には、両シート31,32間に配される前に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を間欠的に塗工しても良い。
【0024】
そして、図5に示すように、一対のニップロール11,11の間に、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6及びレッグ部弾性部材7を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32を送り込んで加圧することにより、帯状シート31,32間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状の外装体3を形成する。
この外装体3の形成工程においては、隣り合う2本の胴回り部弾性部材6,6間において帯状の外層シート31と帯状の内層シート32とを接合する複数の接合部(図示せず)を、凸ロールとこれに対応するアンビルロール等の接合手段(図示せず)を用いて形成することも好ましい。
その後、必要に応じて、弾性部材プレカット手段(図示せず)を用いて、後述する吸収性本体2を配する位置に対応させて、複数本の胴回り部弾性部材6及び複数本のレッグ部弾性部材7を押圧して、収縮機能が発現されないように個々複数個に分断する。前記弾性部材プレカット手段としては、例えば、特開2002−253605号公報に記載の複合伸縮部材の製造方法に用いる弾性部材分断部等が挙げられる。
【0025】
次いで、図5に示すように、別工程で製造された吸収性本体2に予めホットメルト接着剤等の接着剤を塗工(図示せず)し、該吸収性本体2を90度回転させて、帯状の外装体3を構成する内層シート32上に間欠的に供給して固定する。尚、吸収性本体固定用の接着剤は、吸収性本体2ではなく、内層シート32における吸収性本体2の配置予定位置に予め塗工しても良い。
【0026】
そして、図5に示すように、吸収性本体2が配置された帯状の外装体3におけるレッグ部弾性部材7で環状に囲まれた環状部の内側にレッグホールLO’を形成する。このレッグホール形成工程は、ロータリーカッター、レーザーカッター等の従来からこの種の物品の製造方法における手法と同様の手法を用いて実施することができる。尚、図示の態様においては、帯状の外装体3に吸収性本体2を配置した後にレッグホールを形成しているが、吸収性本体2の配置前にレッグホールを形成しても良い。
【0027】
次いで、帯状の外装体3をその幅方向(外装体3の搬送方向と直交する方向)に折り畳む。より具体的には、図5に示すように、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3aを、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返して吸収性本体2の長手方向両端部を固定した後、外装体3を吸収性本体2と共にその幅方向に2つ折りする(重合加圧工程における重合工程)。こうして、おむつ連続体10が得られる。
【0028】
次いで、こうして製造されたおむつ連続体10に対して、図1に示すように、レーザー式接合装置20を用いてレーザー光を照射して一対のサイドシール部4,4を形成し(サイドシール部形成工程)、一対の該サイドシール部4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1を連続的に製造する。
【0029】
レーザー式接合装置20について説明すると、レーザー式接合装置20は、図1に示すように、矢印A方向に回転駆動される中空の円筒ロール23と、円筒ロール23の中空部に配され、円筒ロール23の周面部を形成する円筒状(環状)の支持部材21に向けてレーザー光30を照射する照射ヘッド35と、無端状の加圧ベルト24(押さえ部材)を備えたベルト式加圧装置26とを備えている。
レーザー式接合装置20は、環状の支持部材21の外周面(円筒ロール23の周面部)に巻き掛ける加圧ベルト24の張力を増減調整できる張力調整機構(図示せず)を備え、該張力の調整により、支持部材21と加圧ベルト24とによって、おむつ連続体10(シート積層体)に加える圧力を適宜調整することができる。
【0030】
支持部材21は、円筒ロール23の周面部(被加工物との当接部)を形成しており、円筒ロール23の回転軸方向両端部を形成する一対の環状の枠体22,22間に挟持固定されている。支持部材21は、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属材料又はセラミックス等の耐熱性を有する材料からなる。
【0031】
支持部材21は、レーザー光が通過可能な光通過部27を有している。支持部材21は、図1及び図6に示すように、光通過部として、該支持部材21を厚み方向に貫通するスリット状の開口部27を有している。開口部27は、平面視して矩形形状を有し、その長手方向を、おむつ連続体10(帯状の外装体3)の搬送方向Aと交差する方向、より具体的には、円筒ロール23の回転軸の軸長方向と平行な方向(図6(a)中に符号Xで示す方向)に一致させて、円筒状の支持部材21の周方向に所定間隔を置いて複数形成されている。支持部材21は、開口部27ではレーザー光を通過させる一方、開口部27以外の部分ではレーザー光を通過(透過)させない。支持部材21に開口部27を形成する方法としては、1)環状の枠体22の周長と同じ長さの単一の環状部材からなる支持部材21の所定箇所にエッチング、パンチング、レーザー加工等により開口部27を穿設する方法、2)支持部材21として、単一の環状部材に代えて、湾曲した矩形形状の部材を複数用い、それら複数の部材を、一対の枠体22,22間に、該枠体22の周方向に所定間隔を置いて配置する方法が挙げられる。前記2)の方法では、隣接する2つの部材の間隔が、スリット状の開口部27となる。本基本技術及び後述する本発明の製造方法の第1及び第2実施態様においては、前記2)の方法を用いている。
【0032】
尚、図6では、説明容易の観点から、支持部材21及び加圧ベルト24(押さえ部材)並びにこれらに挟まれたおむつ連続体10(帯状の外装体)が、図6中左側から右側に向かって水平移動しているかのように記載しているが、実際には、これら各部材は、円筒ロール23の円筒状の周面部に対応した湾曲状態で回転移動している。
【0033】
レーザー式接合装置20(複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造装置)においては、レーザー光が通過可能な光通過部が、支持部材21を厚み方向に貫通する(スリット状の)開口部27からなるため、おむつ連続体10(シート積層体)における開口部27と重なる部分(分断予定部分10C)は、加圧ベルト24が当接するだけで、支持部材21と加圧ベルト24(押さえ部材)とで挟まれない。従って厳密に言えば、分断予定部分10Cには、両部材21,24で挟持されることにより発生する加圧力は発生しない。しかし、開口部27と重なる分断予定部分10Cは、それ自体は両部材21,24で挟持されなくとも、その近傍、即ち、おむつ連続体10における開口部27の近傍(開口縁部)と重なる部分は両部材21,24で挟持されるため、レーザー光の照射前後で動かず、従って、レーザー光の照射によるおむつ連続体10の分断によって生じた切断縁部は動かない。つまり、おむつ連続体10の分断予定部分10C(シート積層体における開口部27と重なる部分)は、両部材21,24での挟持による加圧力により拘束された部分であり、該加圧力が事実上影響する部分である。
【0034】
支持部材21は、図6(b)に示すように、その外面(被加工物との当接面)に凹部28を有している。凹部28は、円筒状の支持部材21の周方向に所定間隔を置いて複数形成されており、隣接する2つの凹部28,28間に位置する領域(凸部)に、スリット状の開口部27が形成されている。開口部27は、前記凸部における円筒状の支持部材21の周方向の中央に形成されている。
【0035】
このように、支持部材21の外面に凹部28が形成されていることにより、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)の厚みが均一でない場合は、該おむつ連続体10における相対的に厚みの大きい部分(例えば吸収性本体2の配置領域)が凹部28内に収まるように、該おむつ連続体10を支持部材21の外面上に導入することが可能となる。そして、おむつ連続体10をそのように支持部材21上に導入すると、図6(b)に示すように、おむつ連続体10における加圧ベルト24(押さえ部材)との当接面(他方の面10b)が略平坦となるため、加圧ベルト24をおむつ連続体10に押し付けたときに、おむつ連続体10における、開口部27が形成された前記凸部上に位置する部分が、おむつ連続体10の支持部材21への所定のテンションでの巻きかけと加圧ベルト24とによって、所定の圧力でその厚み方向に均一に加圧されるようになる。こうしてレーザー光の照射による分断前から厚み方向に加圧された部分にレーザー光を照射して、該部分を分断することにより、その分断された該部分を構成する複数枚のシートの切断縁部どうしをより確実に融着させることが可能となり、サイドシール部4(シール縁部)の融着強度の一層の向上が図られる。
【0036】
ベルト式加圧装置26は、無端状の加圧ベルト24(押さえ部材)及び該加圧ベルト24が架け渡された状態で回転する3本のロール25a,25b,25cを備えている。ロール25a,25b,25cは駆動ロールでも良く、加圧ベルト24に連れ回りする従動ロールでも良い。加圧ベルト24は、ロール25a,25b,25cの何れか1以上を駆動ロールとして、又は円筒ロール23と連れ回りして、円筒ロール23(支持部材21)と同速度で移動する。支持部材21及び加圧ベルト24は、空冷、水冷等により温度を所定の温度範囲に維持することが好ましい。
【0037】
加圧ベルト24(押さえ部材)としては、加工時に発生する熱に耐えうる耐熱性を有する金属又は樹脂製のベルトを用いることができ、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材料からなるものを用いることができる。また、加圧ベルト24としては、通常、被加工物(帯状の外装体3)に対して照射されるレーザー光の透過性を有しないものが用いられるが、該透過性を有するものを用いることもできる。
【0038】
図1に示すように、中空の円筒ロール23の中空部には、該円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に向けてレーザー光30を照射する照射ヘッド35が設けられている。照射ヘッド35は、レーザー光30を自在に走査するガルバノスキャナ(モータ軸にミラーが付いた装置)であり、レーザー光30を円筒ロール23の回転軸と平行な方向(図6(a)中符号Xで示す方向)に進退させる機構、レーザー光30が支持部材21上のおむつ連続体10に当たる位置(照射点)を円筒ロール23の周方向に移動させる機構、及び円筒ロール23の周面上でレーザー光30のスポット径を一定にする機構等を備えている。レーザー照射機構は、このような構成を有することによって、レーザー光30の照射点を、円筒ロール23の周方向及び該周方向と直交する方向(図6(a)中符号Xで示す方向。円筒ロール23の回転軸と平行な方向。)の両方向に任意に移動させることができる。
【0039】
図1に示すように、おむつ連続体10は、図示しない案内ロール等によって、所定のテンションが掛けられた状態で、矢印A方向に回転駆動される円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21の外面上に導入され、該支持部材21に巻き掛けられるようにして該円筒ロール23の回転によりその周方向に所定距離搬送された後、図示しない導出ロール及びニップロール等によって該支持部材21から離れる。このように、おむつ連続体10を、円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に所定のテンションで巻き掛け且つ加圧ベルト24によって圧接するようにして搬送することにより、おむつ連続体10における支持部材21と加圧ベルト24とに挟まれた部分及びその近傍は、レーザー光の照射による分断前からその厚み方向に加圧(圧縮)された状態となる。このため、おむつ連続体10が不織布を含む場合等に、該おむつ連続体10をより効率的に圧縮させることができ、結果として、斯かる圧縮中のおむつ連続体10に対してレーザー光を照射してこれを分断したときに、その分断された部分を構成する複数枚のシート(外装体3)の切断縁部どうしをより確実に融着させることが可能となり、サイドシール部4の融着強度の向上が図られる。
【0040】
おむつ連続体10が、支持部材21上に導入されてからこれを離れるまでの該支持部材21(円筒ロール23)の回転角度は、例えば、90度以上270度以下とすることができ、より好ましくは120度以上270度以下である。また、加圧ベルト24(押さえ部材)によりおむつ連続体10を支持部材21に圧接させる角度(圧接角度)の範囲は、円筒状の支持部材21(円筒ロール23)の周方向の全周に亘って圧接させる場合を360度とした場合に、90度以上270度以下であることが好ましく、より好ましくは120度以上270度以下である。
【0041】
図1及び図6に示す実施形態においては、おむつ連続体10を連続搬送しつつ、その一方の面10aを、円筒ロール23の周面部を形成し且つレーザー光30が通過可能なスリット状の開口部27(光通過部)を有する支持部材21の外面に当接させ、支持部材21と加圧ベルト24(押さえ部材)とによって加圧状態となったおむつ連続体10(サイドシール部4の形成予定部位)に対して、支持部材21側から開口部27を介してレーザー光30を照射することにより、おむつ連続体10を分断するのと同時に、その分断によって生じた前記加圧状態にある複数枚のシート(外装体3)の切断縁部どうしを融着させて、サイドシール部4を形成する(サイドシール部形成工程)。
【0042】
図7は、レーザー式接合装置20を用いておむつ連続体10(帯状のシート積層体)を分断するのと同時にサイドシール部4(シール縁部)を形成する様子を説明する図であり、図7(a)には、おむつ連続体10のレーザー光30による分断予定部分10C(サイドシール部4の形成予定部位)及びその近傍が模式的に示されている。
本実施態様におけるおむつ連続体10の分断予定部分10Cは、図6(a)に示すように、おむつ連続体10の吸収性本体2が配置されていない領域における長手方向(搬送方向A)の中央である。
【0043】
本実施形態のおむつ1における外装体3は、図10に示すように、ウエスト開口部8の開口端部及びその近傍が8枚のシートが重ねられた8層構造部分(合計積層枚数が最も多い高積層部分)3A、それ以外の部分が、4枚のシートが重ねられた4層構造部分(合計積層枚数が最も少ない低積層部分)3Bとなっている。8層構造部分3Aは、前身頃F側の外装体を構成する外層シート31及び内層シート32が、ウエスト開口部8の開口端部において折り返されて4層となっている前身頃F側の4層構造部分と、後身頃R側の外装体を構成する外層シート31及び内層シート32が、ウエスト開口部8の開口端部において折り返されて4層となっている4層構造部分とからなる。他方、4層構造部分3Bは、前身頃F側の外装体を構成する外層シート31及び内層シート32からなる2層構造部分と、後身頃R側の外装体を構成する外層シート31及び内層シート32からなる2層構造部分とからなる。おむつ1の幅方向中央部における8層構造部分3Aは、おむつ連続体10の製造時に、帯状の外装体3の両側部3a,3aが、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返されている(図4及び図5参照)ことに起因して形成されている。
【0044】
おむつ1の外装体3が、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとを有することに対応して、おむつ連続体10(おむつ連続体前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体3)の分断予定部分10Cにも、8枚のシートが重ねられた8層構造部分3Aと、4枚のシートが重ねられた4層構造部分3Bとが形成されている。尚、おむつ連続体10やその帯状の外装体3の分断予定部分10Cにおける8層構造部分及び4層構造部分のそれぞれにおいては、互いに重なり合うシート31,32間に、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が介在配置されているが、図7では、説明容易の観点から、該弾性部材の図示を省略している。分断予定部分10Cに存在する弾性部材は、プレカット等の手段によりサイドシール部形成工程前に切断しても良いし、サイドシール部形成工程におけるレーザー光の照射により切断しても良い。
【0045】
以下、主として、4層構造部分について説明するが、特に断らない限り、8層構造部分も4層構造部分と同様に構成されサイドシール部4が形成される。
【0046】
おむつ連続体10における4層構造の分断予定部分10Cにおいて、おむつ連続体10の一方の面10a(支持部材21との当接面)を構成する外層シート31及び一方の面10aを構成するシート以外のシート(内層シート32)は、何れか一方又は両方が、レーザー光30を吸収して発熱するシートである。図示の態様においては、分断予定部分10Cを構成する4枚のシート31,32の全てが、レーザー光30を吸収して発熱するシート(不織布)である。また、分断予定部分10C及びその近傍における互いに重なり合う外層シート31及び内層シート32の2枚のシート間は、レーザー光30の照射前において、接着剤等により接合されていても良く、全く接合されていなくても良い。
【0047】
おむつ連続体10は、図7(b)に示すように、一方の面10aが支持部材21に当接し且つ分断予定部分10C(サイドシール部4の形成予定部位)がスリット状の開口部27上に位置するように、矢印A方向に回転する支持部材21上に導入されると共に、他方の面10bに加圧ベルト24(押さえ部材)が押し付けられることによって、矢印A方向に搬送されつつ厚み方向に加圧(圧縮)される。そして、斯かる搬送中且つ加圧状態の分断予定部分10Cに対して、支持部材21側から開口部27を介してレーザー光30が照射される。前述したように、レーザー光30の照射点は、円筒ロール23の周方向に任意に移動可能に構成されており、開口部27の該周方向に沿った移動に追従して走査するように設定されているので、該開口部27上に位置する分断予定部分10Cには、その搬送中にレーザー光30が一定時間連続的に照射される。
【0048】
4層構造の分断予定部分10Cにレーザー光30が照射されると、該分断予定部分10Cに存するシート31,32の形成材料(繊維等)は、レーザー光30の直射による発熱によって気化して消失し、該分断予定部分10Cの近傍に存する該形成材料は、レーザー光30によって間接的に熱せされて溶融する。その結果、図7(c)に示すように、4層構造の分断予定部分10Cが溶断されて、おむつ連続体10から1つの枚葉のシート積層体(おむつ前駆体)が切り分けられる形で、該おむつ連続体10が分断されるのと同時に、その分断によって生じた該枚葉のシート積層体における4枚のシート31,32の切断縁部どうし、及び、切り分けられた該おむつ連続体10における4枚のシート31,32の切断縁部どうしが、それぞれ融着する。これらの切断縁部どうしは、それぞれ、その形成前(レーザー光30の照射によるおむつ連続体10の分断前)から、支持部材21と加圧ベルト24とに挟まれることによって加圧状態(圧縮状態)とされていたものである。図示の態様のおむつの製造方法によれば、このように、一回のレーザー光の照射で、帯状の外装体3の分断と、その分断によって生じた2箇所の加圧状態にある外装体3の切断縁部どうしの融着とを同時に実施するため、2箇所の融着箇所を二回のレーザー光の照射で融着する方法に比べ、おおよそ半分のレーザー出力で融着と分断とを同一工程で実施でき、おむつ1を効率良く製造することができる。
【0049】
シート31,32の切断縁部は、レーザー光30の照射中及び照射終了直後は、発熱して溶融状態となっているが、レーザー光30の照射によっておむつ連続体10から切り分けられた1つの枚葉のおむつ前駆体及び該おむつ連続体10それぞれの、支持部材21と加圧ベルト24とによる加圧状態が保持されたまま、照射終了後からは外気や支持部材21・加圧ベルト24への伝熱によって速やかに冷却されて固化し、該切断縁部の形成材料(繊維等)が溶融一体化した融着部40となる。こうして、融着部40が形成されることによって、1個のおむつ1における一対のサイドシール部4,4のうちの一方が形成される。尚、必要に応じ、吸引装置、排気装置等の公知の冷却手段を用いてシート31,32の切断縁部を強制的に冷却し、融着部40の形成を促進しても良い。
【0050】
こうして1箇所の分断予定部分10C(サイドシール部4の形成予定部位)が分断されると、レーザー光30は、その照射点が搬送方向Aとは逆方向に隣接する別の開口部27に当たるように移動され、該別の開口部27を介してその上に位置する別の分断予定部分10Cに照射される。これにより、別の分断予定部分10Cが前記と同様に分断・融着され、先に形成されたサイドシール部4と対をなす他方のサイドシール部4(融着部40)が形成される。以後、同様の操作を繰り返すことにより、一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1が連続的に製造される。
【0051】
尚、レーザー光30が照射されるスリット状の開口部27の幅W(図7(b)参照。開口部27の、円筒ロール23の周方向に沿った長さ。)に比して、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)におけるレーザー光30のスポット(レーザー光30が照射されている部分)の直径φが小さい場合(φ/Wが1未満の場合)には、図8に示すように、レーザー光30の照射によって形成された一対のサイドシール部4,4(融着部40,40)は、おむつ連続体10における開口部27と重なる部位(平面視において、スリット状の開口部27の、搬送方向Aと直交する方向に沿う一対の開口縁部に挟まれた部位)に位置し得る。即ち、おむつ連続体10において、支持部材21と加圧ベルト24(押さえ部材)とで挟まれていない部位であっても、開口部27の近傍(開口縁部)、即ち前述したように、両部材21,24での挟持による加圧力が事実上影響する部位であれば、融着部40は形成され得る。
【0052】
こうして製造されたおむつ1の主たる特長部分の1つとして、サイドシール部4に、前身頃Fにおける外装体3の縁部3Fと後身頃Rにおける外装体3の縁部3Rが、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部40で結合したシール縁部41が形成されることが挙げられる。
シール縁部41は、図9(a)及び図9(b)に示すように、着用時におけるサイドシール部4が延びる方向と直交する断面において、融着部40からなる外縁4aが、着用物品の内方に向かって窪んだ形状を有している。また、シール縁部41における融着部40は、同断面において、おむつの外面に表れる幅W4が狭く、その幅W4は、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下であり、更に好ましくは2mm以下である。
【0053】
本発明におけるシール縁部41の融着部40は、サイドシール部4の長手方向の全長に亘って、パンツ型着用物品の外面に表れる幅W4が一定であることが好ましい。
ここで、サイドシール部4の長手方向の全長に亘って、パンツ型着用物品の外面に表れる幅W4が一定とは、サイドシール部4の長手方向の全範囲における、当該幅W4の最大値と当該幅W4の最小値との差が、当該最大値の50%未満であることを意味する。本発明、特に本発明の製造方法によれば、当該幅W4をほぼ一定にして、柔軟性や肌触り等を良好に維持しつつ、融着強度をほぼ一定に設けられる利点がある。
なお、当該幅W4は前述したように狭く、製品全体の大きさから考えて、サイドシール部4の幅W4が50%振れたとしても実質的には細く、上述した融着強度や外観を有する。
【0054】
また、図7(c)や図3に示すように、腹側部1A(外装体F)と背側部1B(後身頃R)とを重ねた平面状態においては、サイドシール部4が延びる方向と直交する方向(おむつ1の横方向Yと同方向)の断面において、前記分断によって生じたサイドシール部4(シール縁部41)は、融着部40の外縁からなる外縁4aが、おむつ1の内方に向かって凸の弧状をなし、且つ外縁4aを含んでそれよりも該おむつ1の内方に、該外装体3を構成する4枚のシート31,32どうしの融着部40が形成され、該融着部40は、該外装体3の厚み方向(図7(c)又は図8の上下方向)の中央部が両端部(上端部及び下端部)に比して幅が広い。より具体的には、融着部40は、おむつ1の横方向Y(レーザー光による分断方向と直交する方向)に沿う断面視において、厚み方向において中央部に向けて融着部40の幅が徐々に広くなっており、所謂、三日月状又は半月状に形成されている〔図7(c)に示す融着部40は三日月状〕。シール縁部41は、着用状態においても、このような形状を有していることが好ましい。
【0055】
サイドシール部4は、シートの形成材料が溶融固化してなる融着部40の存在により、おむつ1の他の部位に比して硬くて肌触りが悪く、おむつ1の着用感を低下させる原因となり得る部位であるところ、このように融着部40がおむつ1の幅方向の断面視において三日月状又は半月状に形成されていると、従来のサイドシール部における融着部(例えば特許文献1の図1に記載の符号9で示す部位)のように同断面視において矩形形状に形成されている場合に比して、サイドシール部4を構成する外装体3の側縁部の角部3Sに存する融着部40の割合が減少し、これにより角部3Sが本来有する柔軟性、肌触り感が損なわれ難くなるため、従来品に比しておむつの着用感が向上する。一方、サイドシール部4の融着強度に大きな影響を及ぼす部位である、外装体3の側縁部の厚み方向の中央部(外装体3の一面側の角部3Sと他面側の3Sとに挟まれた部分の中央部)には、十分な量の融着部40が存しているため、サイドシール部4は実用上十分な融着強度を有し、おむつ1の着用中にサイドシール4が破れる等の不都合が生じ難い。
【0056】
また、サイドシール部4(融着部40)は、おむつ1の着用状態又は自然状態(収縮状態)において外部から視認し難いという特徴を有している。図9(a)及び図9(b)には、おむつ1の着用時にウエスト開口部8が拡げられた状態における、サイドシール部4(融着部40)が示されている。ウエスト開口部8が拡げられた状態において、サイドシール部4は、通常は図9(a)に示すように、融着部40が露出した状態となるが、サイドシール部4の外縁4aが外装体3の内方に向かって凸の弧状をなしていること、及び融着部40が従来のサイドシール部(融着部)に比して小さいこと等により、外部から視認し難い。特に、サイドシール部4の外縁4aが外装体3の内方に向かって凸の弧状をなしていることにより、シート31,32の形成材料如何によっては、図9(b)に示すように、おむつ1の着用時にウエスト開口部8が拡げられた状態においては、腹側部1A側の外装体3の側縁部の角部3Sと背側部1B側の外装体3の側縁部の角部3Sとが接近し、両角部3S,3S間の離間距離が縮まる場合がある。そのため、両角部3S,3S間に位置する融着部40は、該融着部40よりもおむつ1の外方側に位置する、互いに近接した両角部3S,3Sによって、手で触れ難く且つ外部から視認し難い状態となり、それによって、おむつ1の着用感のみならず外観も向上する。
【0057】
レーザー光について説明すると、おむつ連続体10(帯状の外装体3)に照射するレーザー光としては、外装体3を構成するシート(外層シート31及び内層シート32)に吸収され該シートを発熱させる発振波長のレーザー光を用いる。ここで、「外装体を構成するシート」は、外装体の一方の面(支持部材21との当接面)を構成するシート(例えば前述した態様では外層シート31)に限定されず、外装体を構成するシートであればどれであっても良い。外装体に照射するレーザー光が、該外装体を構成する個々のシートについて、該シートに吸収されて該シートを発熱させる発振波長であるか否かは、シートの材質と、使用するレーザー光の発振波長との関係で決まる。外装体を構成するシートが、使い捨ておむつや生理用ナプキン等の吸収性物品(サニタリー用品)の製造に汎用される合成樹脂製の不織布やフィルムである場合、レーザー光としては、CO2レーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVO4レーザー、ファイバーレーザー等を用いることが好ましい。また、外装体を構成するシートが、合成樹脂として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等を含む場合、該シートに吸収され該シートを良好に発熱させ得る発振波長としては、例えば、8.0μm以上15.0μm以下を用いることが好ましく、高出力のレーザー装置が存在するCO2レーザーの発振波長の9.0μm以上11.0μm以下を用いることが特に好ましい。レーザー光のスポット径、レーザー出力等は、外装体を構成するシートの材質や厚み等を考慮して適宜選択することができる。
【0058】
外装体3の分断と溶着とが同時に実施される工程を経て得られた一対のサイドシール部4,4を具備するおむつ1は、サイドシール部4の柔軟性、肌触りに優れ、着用感が良好である。その一方、おむつ連続体10が、前記の8層構造部分と前記の4層構造部分のようなシートの積層枚数が異なる部分を有すると、サイドシール部を構成するシール縁部に、積層枚数の差に起因する融着強度の差が生じ易い。そのため、本発明の製造方法の第1実施態様においては、以下に説明する方法により、サイドシール部の積層枚数の差に起因する融着強度の差を減少させている。
【0059】
本発明の製造方法の第1実施態様においては、図11に示すように、おむつ連続体10(帯状の外装体3)のサイドシール部の形成予定部位10Cに、スリット状の開口部(光通過部)27を介してレーザー光30を照射して、おむつ連続体10における帯状の外装体を分断し、その分断によって生じた積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させてシール縁部41を形成する際に、レーザー光30を、光通過部27の長手方向に沿って一方向に直線状に走査させるとともに、その照射するレーザー光の出力又は走査速度を、前述した8層構造部分(高積層部分)3Aに照射するときと、前述した4層構造部分(低積層部分)3Bに照射するときとで、異ならせる。
【0060】
おむつ連続体10を、スリット状の開口部27(光通過部)を有する支持部材21と加圧ベルト24等との間で加圧するとき、特に円筒ロール23の周面部を構成する支持部材21に巻き掛けるとともに加圧ベルト等24等との間で加圧するとき、おむつ連続体10(帯状の外装体3)のサイドシール部の形成予定部位10Cは、その厚みの差に起因して、8層構造部分3Aが4層構造部分3Bより強く加圧され易い。
そして、8層構造部分3Aが4層構造部分3Bより強く加圧された状態で、レーザー光を、スポット径及びレーザー出力を変えずに、スリット状の開口部27(光通過部)の中央部を、長手方向に一端側から他端側に向かって等速度で走査させて照射した場合には、シート間の密着の程度等によって、8層構造部分(高積層部分)3Aに生じるシール縁部41の融着強度が、4層構造部分(低積層部分)3Bに生じる融着強度よりも高くなる。
【0061】
そのため、本発明の製造方法の第1実施態様においては、スリット状の開口部(光通過部)の長手方向に沿って直線的に走査させて、サイドシール部の形成予定部位にレーザー光を照射する際、8層構造部分(合計積層枚数が最も多い高積層部分)3Aにレーザー光を照射している間のレーザー光の出力値を、4層構造部分(合計積層枚数が最も少ない低積層部分)3Bに照射する間の出力値に比べて低下させるか、又はスリット状の開口部(光通過部)の長手方向に沿って直線的に走査させて、サイドシール部の形成予定部位にレーザー光を照射する際、8層構造部分(合計積層枚数が最も多い高積層部分)3Aにレーザー光を照射している間のレーザー光の走査速度を、4層構造部分(合計積層枚数が最も少ない低積層部分)3Bに照射する間の走査速度に比べて高速とする。
これにより、8層構造部分3Aの分断により生じた切断縁部の融着によって形成されるシール縁部の融着強度と、4層構造部分3Bの分断により生じた切断縁部の融着によって形成されるシール縁部の融着強度との差を減少させることができ、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとで融着強度が等しいシール縁部41の形成も容易となる。
【0062】
本発明のパンツ型着用物品の第1実施形態(パンツ型使い捨ておむつ)は、このような方法により、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとに融着強度が等しいシール縁部41を形成したものであり、サイドシール部4に形成されたシール縁部41は、8層構造部分3Aから4層構造部分3Bに亘って形成されているとともに、8層構造部分3Aにおける融着強度と4層構造部分3Bにおける融着強度とが等しくなっている。
【0063】
ここで、融着強度が等しいとは、サイドシール部4におけるシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位のそれぞれについて、下記方法により融着強度を測定したときに、融着強度が最大の部位の融着強度の値(最大値)と融着強度が最小の部位の融着強度の値(最小値)とが、それぞれ、平均融着強度の値±30%以内であることを意味する。
なお、平均融着強度は、シートの合計積層枚数が異なる部位のそれぞれについて各1点以上を含むサイドシール全域を測定した融着強度の平均値である。
【0064】
<融着強度の測定方法>
パンツ型着用物品から、サイドシール部4が長手方向の中央に位置し、その両側に前身頃F側の外装体3の一部及び後身頃R側の外装体3の一部を有する、幅が10mmの短冊状の試験片を切り出し、該試験片を、引っ張り試験機(例えば、エーアンドデイ社のテンシロン「RTCシリーズ」)のチャック間に固定する。そして、その試験片を、チャック間の間隔の拡大速度を300mm/分として、長手方向に、前身頃F側の外装体3と後身頃R側の外装体3とが完全に分割されるまで引っ張る。そのときの、引っ張り応力の最大値を融着強度とする。
【0065】
第1実施形態のおむつによれば、前身頃Fにおける外装体の縁部と後身頃Rにおける外装体の縁部とが、サイドシール部4の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部41を形成して、サイドシール部4を形成してあるため、サイドシール部4の柔軟性や肌触りに優れている。
また、シール縁部41は、ウエスト開口部8側の開口端部近傍に形成された8層構造部分3Aにおける融着強度が、それよりレッグ開口部9側に形成された4層構造部分3Bにおける融着強度と等しく、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとに同条件でレーザー光を照射した場合に比して8層構造部分3Aに形成される融着強度を低く抑えることができるため、おむつ(着用物品)を取り外す際に、サイドシール部4を、ウエスト開口部8側から引き裂くことが容易であり、おむつ(着用物品)取り外し作業をスムーズに行うことができる。
【0066】
ウエスト開口部8側又はレッグ開口部9側からの引き裂き容易性の観点及び着用中におけるズレ落ち防止等の観点から、シール縁部は、8層構造部分3A及び4層構造部分3B等の「シートの合計積層枚数が異なる複数の部分」のそれぞれにおいて、上述した測定方法で測定した融着強度が、好ましくは18N/10mm以下、更に好ましくは15N/10mm以下であり、また、好ましくは1.5N/10mm以上、更に好ましくは2N/10mm以上である。
【0067】
第1実施形態のおむつ1を製造する本発明の製造方法の第2実施態様においては、前述したレーザー式接合装置20における支持部材21として、図12に示すように、開口部27A(光通過部)の幅が、開口部27A(光通過部)の長手方向に非連続的に変化する支持部材21Aを用いる。また、スリット状の開口部27(光通過部)を介したレーザー光の照射は、レーザー光30を、スポット径及びレーザー出力を変えずに、スリット状の開口部27(光通過部)の中央部を一方向に等速度に走査させて行う。これら以外は、第1実施態様と同様にして第1実施形態のおむつ1を製造する。
【0068】
より具体的に説明すると、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態のおむつ連続体10(帯状の外装体3)を、周面部が支持部材21Aからなる円筒ロール23に導入し、図1に示すように、加圧ベルト24と支持部材21Aとの間で加圧しつつ、該おむつ連続体10(帯状の外装体3)のサイドシール部の形成予定部位10Cに対して、開口部27Aを介してレーザー光30を照射する。
支持部材21Aにおける開口部27A(光通過部)は、図12に示すように、おむつ連続体10(帯状の外装体3)のサイドシール部の形成予定部位10Cのうち、8層構造部分(合計積層枚数が最も多い高積層部分)3Aと重なる部分に幅広部52を有し、4層構造部分(合計積層枚数が最も少ない低積層部分)3Bと重なる部分に、幅広部52より幅が狭い幅狭部53を有している。
【0069】
第2実施態様の製造方法においては、サイドシール部の形成予定部位10Cのうちの8層構造部分3Aについては、支持部材27Aにおける、幅狭部53を挟んだ両側部分で押さえた状態で、レーザー光30を照射し、4層構造部分3Bについては、支持部材27Aにおける、幅広部52を挟んだ両側部分で押さえた状態で、レーザー光30を照射する。そのため、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとに、シートの積層枚数に起因する厚み差があっても、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとで、融着させる前身頃F側の外装体と後身頃R側の外装体との密着状態を同様とすることができる。
そのため、その状態で、レーザー光30の照射を行えば、8層構造部分3Aの分断により生じた切断縁部の融着によって形成されるシール縁部の融着強度と、4層構造部分3Bの分断により生じた切断縁部の融着によって形成されるシール縁部の融着強度との差を減少させることができ、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとで融着強度が等しいシール縁部41の形成も容易となる。
【0070】
このように第2実施態様の製造方法においては、光通過部27の幅が、光通過部長手方向に変化する支持部材を用い、その光通過部を介してレーザー光を照射することにより、柔軟性及び肌触りに優れるとともに、引き裂き易さに優れたサイドシールを効率良く形成することができる。
なお、幅広部52の幅W1に対する幅狭部53の幅W2の比(W2/W1)は、例えば、好ましくは0.025以上、より好ましくは0.05以上であり、また、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.85以下であり、また、好ましくは0.025〜0.9、より好ましくは0.05〜0.85である。
【0071】
図13は、第1実施形態のおむつ1を製造する本発明の製造方法の第3実施態様の説明図である。第3実施態様の製造方法においては、前述したレーザー式接合装置20における支持部材21として、帯状の外装体3が接する外面21aにおける開口部27(光通過部)の近傍に、該外装体3側に突出する突出部45を有し、該突出部45の高さ45hが、開口部27(光通過部)の長手方向に沿って非連続的に変化する支持部材21Bを用いる。
【0072】
上述したレーザー式接合装置20においては、レーザー光が通過可能な光通過部が、支持部材21を厚み方向に貫通するスリット状の開口部27からなるため、おむつ連続体10(帯状の外装体3)における開口部27と重なる部分(分断予定部分10C)には、支持部材21と加圧ベルト24(押さえ部材)とに挟まれることにより発生する加圧力が発生しないが、該分断予定部分10Cは該加圧力が事実上影響する部分であるため、融着部40が形成される。融着部40がより安定的に形成されるようにするためには、両部材21,24での挟持による加圧力をより高める工夫が有効である。
【0073】
第3実施態様で用いる支持部材21Bにおいては、図13及び図14に示すように、おむつ連続体10が配される支持部材21の外面21aにおけるスリット状の開口部27の近傍(開口部27の縁部から35mm以内の領域)に、周辺部よりも該外面21a上のおむつ連続体10側(帯状の外装体3側、加圧ベルト24側)に突出した突出部45が形成されている。更に説明すると、突出部45は、支持部材21の外面21aにおける、複数の開口部27それぞれの長手方向(支持部材21の幅方向)に延びる一対の開口縁部それぞれに沿って形成されており、各突出部45は、開口部27に沿ってその長手方向に延びて形成されている。各突出部45は、長手方向に、突出高さ45h(周辺部からの突出高さ)が相互に異なる高位部45a及び低位部45bを有している。低位部45bは、突出高さ45hが高位部45aに比して低い。突出部45の頂部は、平坦でも良く、所定の曲率を有する曲面であっても良く、斯かる曲面は、円筒状の支持部材21の外面21aと平行であっても良い。
【0074】
支持部材21の外面21aにおける開口部27の近傍(開口縁部)に、高位部45aを有する突出部45を形成することにより、高位部45aの近傍においては、おむつ連続体10(帯状の外装体)における前記分断予定部分近傍に対する加圧力を効果的に高めることができる。他方、低位部45bの近傍においては、おむつ連続体10(帯状の外装体)における前記分断予定部分近傍の加圧力を高位部45aの近傍に比して効果的に低下させることができる。
【0075】
第3実施態様の製造方法においては、サイドシール部の形成予定部位10Cのうちの4層構造部分(合計積層枚数が最も少ない低積層部分)3Bについては、支持部材27Aにおける、光通過部27を挟んだ両側の高位部45aで強く押さえた状態で、レーザー光30を照射し、8層構造部分(合計積層枚数が最も多い高積層部分)3Aについては、支持部材27Aにおける、光通過部27を挟んだ両側の低位部45bで高位部45aよりも弱く押さえた状態で、レーザー光30を照射する。そのため、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとに、シートの積層枚数に起因する厚み差があっても、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとで、融着させる前身頃F側の外装体と後身頃R側の外装体との密着状態を同様とすることができる。
そのため、その状態で、レーザー光30の照射を行えば、8層構造部分3Aの分断により生じた切断縁部の融着によって形成されるシール縁部の融着強度と、4層構造部分3Bの分断により生じた切断縁部の融着によって形成されるシール縁部の融着強度との差を減少させることができ、8層構造部分3Aと4層構造部分3Bとで融着強度が等しいシール縁部41の形成も容易となる。
【0076】
第3実施態様の製造方法によれば、このように、突出部45の突出高さが光通過部27の長手方向に沿って変化する支持部材27Bを用い、その支持部材27Bによって加圧された帯状の外装体3に対して、その光通過部を介してレーザー光を照射することにより、柔軟性及び肌触りに優れるとともに、引き裂き易さに優れたサイドシールを効率良く形成することができる。
【0077】
サイドシール部4に所要の融着強度を確保する観点から、突出部45の突出高さ45h(図13参照)は、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは1mm以上であり、また、好ましくは10mm以下、更に好ましくは8mm以下であり、また、好ましくは0.1mm以上10mm以下、更に好ましくは1mm以上8mm以下である。
また、突出部45の幅45w(図13参照。支持部材21の幅方向と直交する方向の長さ。)は、好ましくは1mm以上、更に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下、より具体的には、好ましくは1mm以上20mm以下、更に好ましくは2mm以上10mm以下である。
また、低位部45bは、高位部45aとの高低差が、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上、そして、好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下、より具体的には、好ましくは0.1mm以上5mm以下、更に好ましくは0.2mm以上4mm以下である。
なお、低位部45bは、支持部材21の外面21aから高位部45aと同じ幅で突出するもの代えて、支持部材21の外面21aから全く突出しない部分であっても良い。
【0078】
尚、おむつ1の着用状態又は自然状態(収縮状態)においてサイドシール部4(融着部40)が外部から視認し難い状態となると、例えばおむつ1の使用後に、着用者である乳幼児からその保護者(例えば母親)がおむつを取り外す際にサイドシール部4を見つけ難く、おむつ1の取り外し作業に手間取るおそれがある。このような、サイドシール部4の視認性の低下に起因する不都合を解消する手段としては、例えば、サイドシール部4を横断するおむつ1の構成部材の色を、サイドシール部4よりも腹側(前側)と背側(後側)とで異ならせる方法が挙げられる。より具体的には例えば、おむつ1の腹側部1A(前見頃)と背側部1B(後見頃)とで、ウエスト部弾性部材5又は外装体3(外層シート31、内層シート32)の色を異ならせる方法が挙げられる。
斯かる方法を採用すると、色の切り替え部分にサイドシール部4が位置するようになるため、サイドシール部4の目視による視認性が一層高まり、前記不都合の発生が一層効果的に防止される。
【0079】
本発明のパンツ型着用物品の製造方法の上述した各実施態様において、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体(おむつ連続体10)におけるサイドシール部の形成予定部位におけるシート間に接着剤が存在する場合、接着剤を存在しない場合と同一の条件でレーザー光の照射を行っても、シール縁部に得られる融着強度が異なることが多い。その理由は、接着剤があると強度が落ちる、融着に必要なエネルギーが接着剤を溶かすのに消費される、接着剤が異物となり融着を阻害する等である。
そのため、サイドシール部の形成予定部位における積層されたシート間に接着剤を存在させる場合には、シート間に接着剤を存在させた状態で、融着強度を調整する手段として採用した手段(融着強度調整)を施す条件と得られる融着強度との関係を調べておき、その上で、合計積層枚数が異なる部位の融着強度の差が少なくなるように、その手段の条件、例えば、レーザー光の出力、レーザー光の走査速度、光通過部の幅、突出部45の高さや幅等を、微調整することが好ましい。
また、本発明のパンツ型着用物品の製造方法の上述した各実施態様において、前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体(おむつ連続体10)におけるサイドシール部の形成予定部位におけるシート間に接着剤が存在し、その接着剤が存在する態様が、合計積層枚数が異なる部位によって異なる場合にも、各部に存在させる接着剤の態様ごとに、融着強度を調整する手段として採用した手段(融着強度調整)を施す条件と得られる融着強度との関係を調べておき、その結果を利用して、合計積層枚数が異なる部位の融着強度の差が少なくなるように、その手段の条件を微調整することが好ましい。より具体的には、レーザー光の出力、レーザー光の走査速度、光通過部の幅、突出部45の高さ、突出部45の幅等を、微調整することが好ましい。合計積層枚数が異なる部位によって、接着剤が存在する態様が異なるとは、対比される一方の部位におけるシート間には接着剤の存在し、他方の部位におけるシート間には接着剤が存在しない場合、対比される一方の部位におけるシート間には接着剤が全域に亘って存在する一方、他方の部位におけるシート間には接着剤がパターン塗工されている場合、対比される一方の部位におけるシート間にはすべてのシート間に接着剤が存在する一方、他方の部位におけるシート間には一部のシート間のみに接着剤が存在する場合等が挙げられる。
【0080】
より具体例に説明すると、例えば、図5に示すように、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3aを、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返し、その折り返した部分を接着剤で対向面に固定した場合には、サイドシール部の形成予定部位における前述した8層構造部分3Aは、シート間にその接着剤が存在する分、該8層構造部分にレーザー光を照射して形成するシール縁部に融着強度が得られにくくなる。
例えば、このような場合には、8層構造部に照射するレーザー光の出力を、接着剤がない場合に比べて強めたり、レーザー光の走査速度を、接着剤がない場合に比べて遅くしたり、スリット状の開口部27(光通過部)の幅広部52の幅W1を、接着剤がない場合に比べて狭くしたり、突出部45の高さを、接着剤がない場合に比べて高くしたり、突出部45の幅を、接着剤がない場合に比べて狭くする。
【0081】
また、本発明においては、前記サイドシール部形成工程における外装体の分断及び接合部の形成は、熱源を用いて該外装体を溶融することにより実施すれば良い。熱源を用いた外装体の溶融は、前述の如き、外装体へのレーザー光の照射に制限されず、非接触熱源として、赤外線やハロゲン光を用いてもよく、それ以外の他の方法、例えば、公知のヒートロール装置等を用いた外装体の加熱圧着、あるいは公知の超音波振動装置等を用いた外装体への超音波振動の付与、等により実施することもできる。
また、前記サイドシール部形成工程における外装体の分断及び接合部の形成は、同時でもよく、接合部の形成後に分断してもよい。
【0082】
以上、本発明をその実施態様に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施態様に制限されることなく適宜変更が可能である。
【0083】
例えば、本発明のパンツ型着用物品(例えばパンツ型使い捨ておむつ)は、前身頃Fの外装体と後身頃Rの外装体とが、図15に示す各態様で重ねられた4〜8層構造部分を有するものであっても良い。
図15(a)に示すパンツ型着用物品は、前身頃Fの外装体と後身頃Rの外装体とが重ね合わされた部分に、6層構造部分3A(合計積層枚数が最も多い高積層部分)と4層構造部分(合計積層枚数が最も少ない低積層部分)3Bとを有しており、一対のサイドシール部(図示せず)に形成されたシール縁部は、6層構造部分3Aと4層構造部分3Bとで、融着強度が等しくなっている。
【0084】
前述した第1実施態様においては、前記重合加圧工程の実施前に、図5に示すように、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3a、即ち、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32それぞれの搬送方向に沿う両側部を、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返していたが、図15(a)に示すパンツ型着用物品を製造する場合には、帯状の外層シート31として、帯状の内層シート32よりも幅方向(長手方向と直交する方向)の長さが長いものを用い、両シート31,32を重ね合わせたときに内層シート32の側縁から外方に延出する、外層シート31の延出部のみを、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返す。その場合、おむつ連続体10の分断予定部分10Cは、ウエスト開口部8の開口端部及びその近傍が、6枚のシートが重ねられた6層構造部分、それ以外の部分が、4枚のシートが重ねられた4層構造部分となる。
【0085】
図15(b)に示すパンツ型着用物品は、前身頃Fの外装体と後身頃Rの外装体とが重ね合わされた部分に、8層構造部分(合計積層枚数が最も多い高積層部分)3Aと6層構造部分(合計積層枚数が中間の中積層部分)3Cと4層構造部分(合計積層枚数が最も少ない低積層部分)3Bとを有しており、一対のサイドシール部(図示せず)に形成されたシール縁部は、8層構造部分3Aと6層構造部分3Cと4層構造部分3Bとで、融着強度が等しくなっている。
図15(c)に示すパンツ型着用物品は、前身頃Fの外装体と後身頃Rの外装体とが重ね合わされた部分に、4層構造部分3Dと6層構造部分3Eと第2の4層構造部分3Bとを有しており、一対のサイドシール部(図示せず)に形成されたシール縁部は、4層構造部分3Dと6層構造部分3Eと第2の4層構造部分3Bとで、融着強度が等しくなっている。
【0086】
図15に示す各実施形態のパンツ型着用物品は、第1実施態様の製造方法において、レーザー光の出力を、シートの積層数が多い部分ほど弱く照射することによって製造することができ、また、第1実施態様の製造方法において、レーザー光の走査速度を、シートの積層数が多い部分ほど高速とすることによっても製造することができる。
また、図15(a)に示す実施形態のパンツ型着用物品は、第2実施態様の製造方法において、幅広部と幅狭部との幅の比を代える以外は、第2実施形態の製造方法と同様にして製造することができ、また、第3実施態様の製造方法において、高位部と低位部の高低差を代える以外は、第3実施形態の製造方法と同様にして製造することができる。
図15(a)及び図15(b)に示す各実施形態のパンツ型着用物品は、第2又は第3実施態様の製造方法において、幅広部及び幅狭部に加えてそれらの中間の幅を有する中間幅部を有する光通過部を用いたり、高位部及び低位部に加えてそれらの中間の高さを有する中位部を有する支持部材を用いることによっても製造することができる。
【0087】
また、上述した本発明の第3実施態様の製造方法においては、外装体が接する外面における光通過部の近傍に、突出部の突出高さが光通過部の長手方向に沿って非連続的に変化する支持部材を用いて、シール縁部の融着強度の差を低下させたが、これに代えて、外装体が接する外面における光通過部の近傍に、光通過部の近傍に形成した突出部の幅が光通過部の長手方向に沿って非連続的に変化する支持部材を用いて、シール縁部の融着強度の差を低下させることもできる。
【0088】
また、おむつ連続体10を円筒ロール23(支持部材21)に皴やたるみを発生させずに巻き掛けるために、レーザー式接合装置20に、おむつ連続体10のテンションを制御する機構を具備させても良い。
【0089】
また、前記実施形態(態様)における外装体3は、図4に示すように、腹側部1Aと背側部1Bとで分割されずに、腹側部1A、股下部1C及び背側部1Bに亘る砂時計状等の連続した形状を有していたが、本発明における外装体は、このような連続した形状に制限されず、例えば、着用者の腹側(前側)に配される腹側シート部材と、着用者の背側(後側)に配される背側シート部材とに分割されており、吸収性本体がこれら両シート部材に架け渡して固定されていても良い。このような分割タイプの外装体を具備するパンツ型使い捨ておむつの製造方法における前記重合加圧工程は、吸収性本体が固定された帯状の外装体の前身頃側(帯状の腹側シート部材)と後身頃側(帯状の背側シート部材)とが重ね合わされた構成を有する帯状の外装体におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする。
【0090】
また、本発明におけるパンツ型着用物品は、パンツ型使い捨ておむつに限られず、パンツ型の生理用ナプキンであっても良く、また、着用物品の外面を形成する外装体を具備する一方、吸収性本体を具備しない、おむつカバー等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【0091】
前述した本発明の実施形態(態様)に関し、更に以下の付記(パンツ型着用物品、パンツ型着用物品の製造方法)を開示する。
【0092】
<1>
着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されているパンツ型着用物品であって、
前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を形成してなり、
前記シール縁部は、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に形成されており、
前記シール縁部は、前記複数の部位における融着強度が等しいパンツ型着用物品。
【0093】
<2>
前記外装体は、着用物品の外面(外装体の非肌当接面)を形成する外層シートと、該外層シートの内面側に配され、着用物品の内面(外装体の肌当接面)を形成する内層シートと、両シート間に接着剤により固定された複数本の糸状又は帯状の弾性部材とを含んで構成されている、前記<1>記載のパンツ型着用物品。
<3>
前記外層シートと、前記内層シートの間に、ウェストギャザーを形成するウエスト部弾性部材、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材が、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配されている、前記<2>記載のパンツ型着用物品。
<4>
前身頃における外装体及び後身頃における外装体が、ウェストギャザーを形成するウエスト部弾性部材又は胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材を含み、サイドシール部を挟む両側それぞれにおける外装体を構成するシート間に、前記ウエスト部弾性部材又は前記胴回り部弾性部材が接着剤を介して固定されている、前記<2>又は<3>に記載のパンツ型着用物品。
<5>
前記外装体は、樹脂材を含み、該樹脂材を主成分として形成されている、前記<1>〜<4>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<6>
前記外装体は、不織布、フィルム、不織布とフィルムとのラミネートシートからなる、前記<1>〜<5>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<7>
前記サイドシール部が延びる方向と直交する断面において、前記シール縁部の外縁には、前記外装体を構成するシートどうしの融着部が形成され、該融着部は、該外装体の厚み方向の中央部が両端部に比して幅が広い、前記<1>〜<6>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<8>
前記サイドシール部が延びる方向と直交する断面において、前記シール縁部の外縁は、着用物品の内方に向かって凸の弧状をなし、且つ該外縁を含んでそれよりも着用物品の内方に、前記外装体を構成するシートどうしの融着部が形成され、該融着部は、該外装体の厚み方向の中央部が両端部に比して幅が広い、前記<1>〜<6>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<9>
前記複数の部位として、8枚又は6枚のシートが重ねられた8又は6層構造部分と、4枚のシートが重ねられた4層構造部分とを備えている、前記<1>〜<8>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<10>
前記複数の部位として、ウエスト開口部の開口端部及びその近傍が8枚のシートが重ねられた8層構造部分、それ以外の部分が、4枚のシートが重ねられた4層構造部分となっている、前記<1>〜<9>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<11>
パンツ型着用物品の幅方向中央部における8層構造部分は、前記外装体の両側部が、吸収性本体の長手方向両端部を覆うように折り返されている、前記<1>〜<10>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
【0094】
<12>
前記サイドシール部におけるシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位のそれぞれについて、融着強度が最大の部位の融着強度の値(最大値)と融着強度が最小の部位の融着強度の値(最小値)とが、それぞれ平均融着強度の値±30%以内である、前記<1>〜<11>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<13>
パンツ型着用物品の構成部材の色を、前記サイドシール部よりも腹側(前側)と背側(後側)とで異ならせる、前記<1>〜<12>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<14>
前記パンツ型着用物品は、着用時に股下部に配される股下部並びにその縦方向Xの前後に位置する腹側部及び背側部を有し、
パンツ型着用物品の腹側部(前見頃)と背側部(後見頃)とで、ウエスト部弾性部材又は前記外装体(外層シート、内層シート)の色を異ならせる、前記<1>〜<13>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<15>
前記パンツ型着用物品は、着用時に股下部に配される股下部並びにその縦方向Xの前後に位置する腹側部及び背側部を有し、
前記外装体は、腹側部、股下部及び背側部に亘る砂時計状等の連続した形状を有する、前記<1>〜<14>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
<16>
前記外装体は、着用者の腹側(前側)に配される腹側シート部材と、着用者の背側(後側)に配される背側シート部材とに分割されており、吸収性本体がこれら両シート部材に架け渡して固定されている、前記<1>〜<15>の何れか1に記載のパンツ型着用物品。
【0095】
<17>
着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を有するパンツ型着用物品の製造方法であって、
前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする重合加圧工程と、
加圧状態にある前記サイドシール部の形成予定部位に、前記外装体の搬送方向と交差する方向に延在する光通過部を介してレーザー光を照射することにより、該外装体を分断すると共に、その分断によって生じた積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させて前記シール縁部を形成するサイドシール部形成工程とを具備し、
前記帯状の外装体は、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる部位を有しており、
前記サイドシール部形成工程においては、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に、前記レーザー光を、該部位毎に出力又は走査速度を異ならせて照射し、各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる、パンツ型着用物品の製造方法。
<18>
前記光通過部の長手方向に沿って直線的に走査させて、サイドシール部の形成予定部位にレーザー光を照射する際、合計積層枚数が最も多い高積層部分にレーザー光を照射している間のレーザー光の出力値を、合計積層枚数が最も少ない低積層部分に照射する間の出力値に比べて低下させる、前記<17>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<19>
前記光通過部の長手方向に沿って直線的に走査させて、サイドシール部の形成予定部位にレーザー光を照射する際、合計積層枚数が最も多い高積層部分にレーザー光を照射している間のレーザー光の走査速度を、合計積層枚数が最も少ない低積層部分に照射する間の走査速度に比べて高速とする、前記<18>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【0096】
<20>
着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を有するパンツ型着用物品の製造方法であって、
前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする重合加圧工程と、
加圧状態にある前記サイドシール部の形成予定部位に、前記外装体の搬送方向と交差する方向に延在する光通過部を介してレーザー光を照射することにより、該外装体を分断すると共に、その分断によって生じた積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させて前記シール縁部を形成するサイドシール部形成工程とを具備し、
前記帯状の外装体は、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる部位を有しており、
前記サイドシール部形成工程においては、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位に、前記レーザー光を、該部位毎に幅が異なる光通過部を介して照射し、各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる、パンツ型着用物品の製造方法。
<21>
前記光通過部は、パンツ型着用物品の連続体(帯状の外装体)のサイドシール部の形成予定部位のうち、合計積層枚数が最も多い高積層部分と重なる部分に幅広部を有し、合計積層枚数が最も少ない低積層部分と重なる部分に、幅広部より幅が狭い幅狭部を有している、前記<20>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<22>
前記幅広部の幅W1に対する前記幅狭部53の幅W2の比(W2/W1)は、好ましくは0.025以上、より好ましくは0.05以上であり、また、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.85以下であり、また、好ましくは0.025〜0.9、より好ましくは0.05〜0.85である、前記<21>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<23>
着用物品の外面を形成する外装体を備え、前身頃における外装体の両側縁部と後身頃における外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されており、前記サイドシール部は、前身頃における外装体の縁部と後身頃における外装体の縁部が、該サイドシール部の長手方向に延在する連続線状の融着部で結合したシール縁部を有するパンツ型着用物品の製造方法であって、
前身頃側と後身頃側とを重ねた状態の帯状の外装体におけるサイドシール部の形成予定部位を加圧状態にする重合加圧工程と、
加圧状態にある前記サイドシール部の形成予定部位に、前記外装体の搬送方向と交差する方向に延在する光通過部を介してレーザー光を照射することにより、該外装体を分断すると共に、その分断によって生じた積層状態の外装体の切断縁部どうしを融着させて前記シール縁部を形成するサイドシール部形成工程とを具備し、
前記帯状の外装体は、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる部位を有しており、
前記サイドシール部形成工程においては、前記帯状の外装体が接する外面における前記光通過部の近傍に、該外装体側に突出する突出部を有し、前身頃側の外装体を構成するシートと後身頃側の外装体を構成するシートの合計積層枚数が相互に異なる複数の部位毎に、該突出部の突出高さ又は幅が異なる支持部材を用いて、該各部位にレーザー光の照射を行い、該各部位に形成されるシール縁部の融着強度の差を減少させる、パンツ型着用物品の製造方法。
<24>
前記サイドシール部の形成予定部位におけるシート間に、接着剤が存在するか否か又は接着剤が存在する態様に応じて、前記合計積層枚数が異なる部位の融着強度の差を調整する手段として採用した手段を微調整する、前記<17>〜<23>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<25>
前記サイドシール部の形成予定部位のうちの合計積層枚数が最も少ない低積層部分については、前記支持部材における、前記光通過部を挟んだ両側の高位部で強く押さえた状態で、レーザー光を照射し、合計積層枚数が最も多い高積層部分については、該支持部材における、該光通過部を挟んだ両側の低位部で高位部よりも弱く押さえた状態で、レーザー光を照射する、前記<23>又は<24>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<26>
前記低位部は、前記高位部との高低差が、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは0.2mm以上、そして、好ましくは5mm以下、更に好ましくは4mm以下、より具体的には、好ましくは0.1mm以上5mm以下、更に好ましくは0.2mm以上4mm以下である、前記<25>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【0097】
<27>
原反ロールから連続的に供給される前記外装体を構成する帯状の外層シートと、原反ロールから連続的に供給される該外装体を構成する帯状の内層シートの間に、ウェストギャザーを形成するウエスト部弾性部材、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する、前記<17>〜<26>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<28>
一対のニップロールの間に、ウエスト部弾性部材、胴回り部弾性部材及びレッグ部弾性部材を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート及び帯状の内層シートを送り込んで加圧することにより、該帯状シート間に複数本の弾性部材が伸長状態で配された帯状の前記外装体を形成する、前記<17>〜<27>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<29>
前記外装体を構成する帯状の外層シート及び帯状の内層シートには、それらを重ね合わせる前に、両シートの何れか一方又は双方の対向する面の所定部位に、接着剤塗工機によりホットメルト型接着剤を塗工する、前記<17>〜<28>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<30>
ウエスト部弾性部材、胴回り部弾性部材等の弾性部材が、前記外装体を構成する帯状の外層シート及び該外装体を構成する帯状の内層シートにおける、レーザー光の照射によって分断される分断予定部分を跨ぐように伸長状態で配されている場合、該分断予定部分及びその近傍に接着剤を塗工しておく、前記<17>〜<29>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<31>
ウエスト部弾性部材及び胴回り部弾性部材には、前記外装体を構成する帯状の外層シート及び該装体を構成する帯状の内層シート間に配される前に、接着剤塗工機によりホットメルト型接着剤を間欠的に塗工する、前記<17>〜<30>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<32>
前記外装体を構成する帯状の外層シート及び該外装体を構成する帯状の内層シートにおける、レーザー光の照射によって分断される分断予定部分に存在する弾性部材は、プレカット等の手段により、前記サイドシール部形成工程前に切断しても良いし、該サイドシール部形成工程におけるレーザー光の照射により切断しても良い、前記<17>〜<31>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<33>
レーザー光の照射によって分断される分断予定部分及びその近傍における互いに重なり合う前記外装体を構成する外層シート及び該外装体を構成する内層シートの2枚のシート間は、レーザー光の照射前において、全く接合されていない、前記<17>〜<32>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<34>
帯状の前記外装体をその幅方向に折り畳むことにより、吸収性本体が固定された帯状の該外装体の前身頃側と後身頃側とを重ね合わせ、サイドシール部が形成されていないパンツ型着用物品の前駆体が一方向に連なってなる、パンツ型着用物品の連続体を製造する、前記<17>〜<33>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【0098】
<35>
前記サイドシール部形成工程は、レーザー式接合装置を用いてレーザー光を照射して一対のサイドシール部を形成する、前記<17>〜<34>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<36>
前記レーザー式接合装置は、回転駆動される中空の円筒ロールと、該円筒ロールの中空部に配され、該円筒ロールの周面部を形成する円筒状(環状)の支持部材に向けてレーザー光を照射する照射ヘッドと、無端状の加圧ベルト(押さえ部材)を備えたベルト式加圧装置と、環状の該支持部材の外周面(円筒ロールの周面部)に巻き掛ける該加圧ベルトの張力を増減調整できる張力調整機構とを備え、該張力の調整により、該支持部材と該加圧ベルトとによって、パンツ型着用物品の連続体に加える圧力を調整することができる、前記<35>記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<37>
前記支持部材は、レーザー光が通過可能な光通過部を有しており、
前記光通過部として、前記支持部材を厚み方向に貫通するスリット状の開口部を有している、前記<23>〜<36>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<38>
前記支持部材は、前記光通過部ではレーザー光を通過させる一方、前記光通過部以外の部分ではレーザー光を通過(透過)させない、前記<23>〜<37>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<39>
前記支持部材は、その外面(被加工物との当接面)に凹部を有しており、該凹部は、円筒状の該支持部材の周方向に所定間隔を置いて複数形成されており、隣接する2つの凹部間に位置する領域(凸部)に、スリット状の前記光通過部が形成されている、前記<23>〜<38>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<40>
前記支持部材及び加圧ベルトは、空冷、水冷等により温度を所定の温度範囲に維持する、前記<23>〜<39>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<41>
パンツ型着用物品の連続体は、一方の面が支持部材に当接し且つ分断予定部分(サイドシール部の形成予定部位)が前記光通過部上に位置するように、回転する支持部材上に導入されると共に、他方の面に加圧ベルト(押さえ部材)が押し付けられることによって、搬送されつつ厚み方向に加圧(圧縮)される、前記<23>〜<40>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<42>
搬送中且つ加圧状態の分断予定部分に対して、支持部材側から前記光通過部を介してレーザー光を照射され、該レーザー光の照射点は、円筒ロールの周方向に任意に移動可能に構成されており、該光通過部の該周方向に沿った移動に追従して走査するように設定されていることにより、該光通過部上に位置する該分断予定部分には、その搬送中に該レーザー光が一定時間連続的に照射される、前記<23>〜<41>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<43>
一回のレーザー光の照射で、帯状の前記外装体の分断と、その分断によって生じた2箇所の加圧状態にある該外装体の切断縁部どうしの融着とを同時に実施する、前記<17>〜<42>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<44>
前記外装体を構成する外層シート及び該外装体を構成する内層シートの切断縁部は、レーザー光の照射中及び照射終了直後は、発熱して溶融状態となっているが、レーザー光の照射によってパンツ型着用物品の連続体から切り分けられた1つの枚葉のおむつ前駆体及び該パンツ型着用物品の連続体それぞれの、支持部材と加圧ベルトとによる加圧状態が保持されたまま、照射終了後からは外気や支持部材・加圧ベルトへの伝熱によって速やかに冷却されて固化し、該切断縁部の形成材料(繊維等)が溶融一体化した融着部となる、前記<23>〜<43>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<45>
前記外装体を構成するシートが、合成樹脂製の不織布やフィルムであり、
レーザー光として、CO2レーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVO4レーザー、ファイバーレーザー等を用いる、前記<17>〜<44>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<46>
レーザー光としては、前記外装体を構成するシートが、合成樹脂として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等を含む場合、発振波長が8.0μm以上15.0μm以下を用いる、前記<17>〜<45>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
<47>
レーザー光としては、CO2レーザーの発振波長の9.0μm以上11.0μm以下を用いる、前記<17>〜<46>の何れか1に記載のパンツ型着用物品の製造方法。
【符号の説明】
【0099】
1 パンツ型使い捨ておむつ(パンツ型着用物品)
1A 腹側部
1B 背側部
1C 股下部
F 前身頃
R 後身頃
2 吸収性本体
3 外装体
31 外層シート
32 内層シート
3F 前身頃における外装体の縁部
3R 後身頃における外装体の縁部
4 サイドシール部
40 融着部
40a 融着部の外縁
41 シール縁部
10 おむつ連続体(帯状の外装体)
20 レーザー式接合装置
21,21A,21B 支持部材
26 ベルト式加圧装置
27,27A 開口部(光通過部)
52 幅広部
53 幅狭部
30 レーザー光
45 突出部
45a 高位部
45b 低位部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15