特許第6271215号(P6271215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271215
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20180122BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   G03G21/16 133
   G03G21/16 147
   G03G15/04
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-223198(P2013-223198)
(22)【出願日】2013年10月28日
(65)【公開番号】特開2015-87415(P2015-87415A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 春男
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−168273(JP,A)
【文献】 特開平04−212973(JP,A)
【文献】 特開2014−235355(JP,A)
【文献】 特開2011−253160(JP,A)
【文献】 特開平05−249767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/04
G03G 15/00
G03G 21/00
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)置本体に配設された画像形成部材と、
(b)押圧部を備え、前記装置本体に対して開閉自在に配設されたカバー部と、
(c)前記押圧部と係合させられる第1の係合部を備え、前記装置本体に対して移動自在に配設された移動部材と、
(d)該移動部材と係合させられる第2の係合部を備え、前記移動部材の移動に伴い、前記装置本体に対して揺動軸を中心に揺動させられる第1のアーム部と、
(e)該第1のアーム部と係合させられる第3の係合部、及び印字ヘッドを備え、前記第1のアーム部の揺動に伴い、前記印字ヘッドを作動位置及び退避位置に置くヘッド部とを有するとともに、
(f)前記第1のアーム部は、前記移動部材の移動量を増幅して前記ヘッド部を移動させ、
(g)前記ヘッド部は、印字ヘッド、回動軸を中心にして回動自在に配設された第2のアーム部、及び該第2のアーム部に対して回動自在に支持され、前記印字ヘッドを保持するヘッド保持部材を備え、
(h)該ヘッド保持部材は、下端に前記第3の係合部を備え、上端に配設された支点部によって前記第2のアーム部に対して回動自在に支持されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の係合部は、前記揺動軸と前記第3の係合部との間に配設される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第3の係合部と係合させられ、前記印字ヘッドを案内するガイド部を有する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
(a)前記カバー部が閉じられると、画像形成ユニットの外筐に形成された係止部と前記印字ヘッドに形成された被係止部とが係止させられ、
(b)前記ガイド部の円弧の接線方向と前記係止部の突出方向とがほぼ平行にされる請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記カバー部が閉じられた状態から開かれた状態になるとき、前記ヘッド部は前記回動軸を中心に回動させられ、印字ヘッドを退避位置に置く請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
(a)前記移動部材を付勢する付勢部材を有するとともに、
(b)該付勢部材は、前記カバー部が閉じられると、前記カバー部に向けて前記移動部材を付勢する請求項1〜のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記付勢部材は、前記移動部材の移動方向とほぼ平行に延在させて配設される請求項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタは、画像形成部材としての感光体ドラム、現像ローラ等を備えた交換ユニットとしての画像形成ユニット、前記感光体ドラムと対向させて配設された印字ヘッドとしてのLEDヘッド、前記感光体ドラムと当接させて配設された転写ローラ等を備え、LEDヘッドによって感光体ドラムの表面に静電潜像が形成され、現像ローラによって前記静電潜像にトナーが付着させられてトナー像が形成され、転写ローラによって前記トナー像が用紙に転写されるようになっている。
【0003】
該用紙は、用紙カセットから給紙されて前記感光体ドラムと転写ローラとの間の転写部に送られ、該転写部において前記トナー像が転写された後、定着器に送られ、該定着器においてトナー像が定着させられ、プリンタの本体、すなわち、装置本体外に排出される。
【0004】
ところで、前記プリンタの筐体は、前記画像形成ユニット、転写ローラ、用紙カセット、定着器等を収容するロワケース、及び該ロワケースに対して揺動自在に配設され、開閉させられるカバー部としてのアッパカバーを備え、該アッパカバーに前記LEDヘッドが取り付けられるようになっている。したがって、前記アッパカバーを開閉することによって、LEDヘッドを感光体ドラムから離間させて退避位置に置いたり、感光体ドラムに近接させて作動位置に置いたりすることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−181165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、LEDヘッドの実装条件によっては、アッパカバーにLEDヘッドを取り付けることができない場合があり、その場合、アッパカバーを開閉することによって、LEDヘッドを感光体ドラムから離間させたり、感光体ドラムに近接させたりすることができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、カバー部に印字ヘッドを取り付けることなく、カバー部を開閉することによって、印字ヘッドを退避位置及び作動位置に置くことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明の画像形成装置においては、装置本体に配設された画像形成部材と、押圧部を備え、前記装置本体に対して開閉自在に配設されたカバー部と、前記押圧部と係合させられる第1の係合部を備え、前記装置本体に対して移動自在に配設された移動部材と、該移動部材と係合させられる第2の係合部を備え、前記移動部材の移動に伴い、前記装置本体に対して揺動軸を中心に揺動させられる第1のアーム部と、該第1のアーム部と係合させられる第3の係合部、及び印字ヘッドを備え、前記第1のアーム部の揺動に伴い、前記印字ヘッドを作動位置及び退避位置に置くヘッド部とを有する。
【0009】
そして、前記第1のアーム部は、前記移動部材の移動量を増幅して前記ヘッド部を移動させる。
また、前記ヘッド部は、印字ヘッド、回動軸を中心にして回動自在に配設された第2のアーム部、及び該第2のアーム部に対して回動自在に支持され、前記印字ヘッドを保持するヘッド保持部材を備える。
そして、該ヘッド保持部材は、下端に前記第3の係合部を備え、上端に配設された支点部によって前記第2のアーム部に対して回動自在に支持される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置においては、装置本体に配設された画像形成部材と、押圧部を備え、前記装置本体に対して開閉自在に配設されたカバー部と、前記押圧部と係合させられる第1の係合部を備え、前記装置本体に対して移動自在に配設された移動部材と、該移動部材と係合させられる第2の係合部を備え、前記移動部材の移動に伴い、前記装置本体に対して揺動軸を中心に揺動させられる第1のアーム部と、該第1のアーム部と係合させられる第3の係合部、及び印字ヘッドを備え、前記第1のアーム部の揺動に伴い、前記印字ヘッドを作動位置及び退避位置に置くヘッド部とを有する。
【0011】
そして、前記第1のアーム部は、前記移動部材の移動量を増幅して前記ヘッド部を移動させる。
また、前記ヘッド部は、印字ヘッド、回動軸を中心にして回動自在に配設された第2のアーム部、及び該第2のアーム部に対して回動自在に支持され、前記印字ヘッドを保持するヘッド保持部材を備える。
そして、該ヘッド保持部材は、下端に前記第3の係合部を備え、上端に配設された支点部によって前記第2のアーム部に対して回動自在に支持される。
【0012】
この場合、カバー部を開閉すると、移動部材が移動させられ、移動部材の移動に伴い、第1のアーム部が揺動させられ、ヘッド部によって印字ヘッドが作動位置及び退避位置に置かれる。
【0013】
したがって、カバー部に印字ヘッドを取り付けることなく、カバー部を開閉することによって、印字ヘッドを画像形成部材から離間させたり、画像形成部材に近接させたりすることができる。
【0014】
また、第1のアーム部は、前記移動部材の移動量を増幅して前記ヘッド部を大きく移動させるので、交換ユニットを容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態におけるプリンタの第1の概略図である。
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの第2の概略図である。
図3】本発明の実施の形態におけるヘッド昇降機構の第1の状態を示す側面図である。
図4】本発明の実施の形態におけるヘッド昇降機構の第1の状態を示す斜視図である。
図5】本発明の実施の形態におけるヘッド昇降機構の第2の状態を示す側面図である。
図6】本発明の実施の形態におけるヘッド昇降機構の第2の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0017】
図1は本発明の実施の形態におけるプリンタの第1の概略図、図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの第2の概略図、図3は本発明の実施の形態におけるヘッド昇降機構の第1の状態を示す側面図、図4は本発明の実施の形態におけるヘッド昇降機構の第1の状態を示す斜視図、図5は本発明の実施の形態におけるヘッド昇降機構の第2の状態を示す側面図、図6は本発明の実施の形態におけるヘッド昇降機構の第2の状態を示す斜視図である。
【0018】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の筐体であり、該筐体Csは、ロワケースCsL、及び該ロワケースCsLに対して軸sh1を揺動中心として揺動自在に配設された第1のカバー部としてのアッパカバーCsUを備え、前記ロワケースCsLは、本体部CsB、及び該本体部CsBに対して軸sh2を揺動中心として揺動自在に、かつ、プリンタ10の本体、すなわち、装置本体に対して開閉自在に配設された第2のカバー部としてのフロントカバーCsFを備える。なお、本実施の形態においては、プリンタ10における、フロントカバーCsFが配設される側を前方とし、フロントカバーCsFと反対側を後方とする。
【0019】
前記ロワケースCsL内の最下部には、媒体としての用紙Pを収容する媒体収容部としての用紙カセット12が装置本体に対して挿脱自在に配設される。なお、用紙カセット12はロワケースCsLから前方に向けて引き出すことができる。そのために、前記フロントカバーCsFには、閉じられた状態における下方の部分に、用紙カセット12を引き出すための開口が形成される。
【0020】
前記装置本体には、用紙カセット12をロワケースCsL内に挿入して装置本体にセットしたときに、用紙カセット12の前端に位置するように、繰出部材としてのピックアップローラ13が回転自在に配設され、該ピックアップローラ13に、媒体載置板101上に載置された用紙Pが押し付けられる。また、前記装置本体には、用紙カセット12に隣接させて給紙部材としての給紙ローラ14が回転自在に配設され、該給紙ローラ14の下方には、給紙ローラ14と当接させて分離部材としてのリタードローラ15が回転自在に配設される。
【0021】
また、Rt1は用紙Pを搬送するための第1の媒体搬送路であり、該第1の媒体搬送路Rt1における給紙ローラ14より下流側に、給紙ローラ14によって給紙された用紙Pの斜行を矯正するための第1のレジストローラ対16が、第1の媒体搬送路Rt1における第1のレジストローラ対16より下流側に、前記フロントカバーCsFに配設された給紙ローラ対102によって給紙された用紙Pの斜行を矯正するための第2のレジストローラ対17が、第1の媒体搬送路Rt1における第2のレジストローラ対17より下流側に、第1、第2のレジストローラ対16、17によって斜行が矯正された用紙Pを搬送するための搬送ローラ対18が回転自在に配設される。
【0022】
そして、前記ロワケースCsL内の前記第2のレジストローラ対17及び搬送ローラ対18より上方に、第1の交換ユニットとしての画像形成ユニット20、露光装置としての、かつ、印字ヘッドとしてのLEDヘッド22等が配設される。前記画像形成ユニット20は、第2の交換ユニットとしての、かつ、現像剤収容部としてのトナーカートリッジ21、画像形成部材としての、かつ、像担持体としての感光体ドラム23等を備え、前記トナーカートリッジ21に現像剤としてのトナーが収容される。
【0023】
また、前記第1の媒体搬送路Rt1を挟んで前記感光体ドラム23と当接させて転写部材としての転写ローラ24が回転自在に配設され、前記感光体ドラム23と転写ローラ24との間に転写部が形成される。そして、前記LEDヘッド22、感光体ドラム23及び転写ローラ24によって画像形成部Ar1が形成される。
【0024】
前記第1の媒体搬送路Rt1における転写部より下流側に、第3の交換ユニットとしての、かつ、定着装置としての定着器31が配設される。該定着器31は、第1の媒体搬送路Rt1より上方において回転自在に配設された第1の定着部材としての定着ローラ105、第1の媒体搬送路Rt1を挟んで前記定着ローラ105と当接させて走行自在に配設された第2の定着部材としての定着ベルト106、該定着ベルト106の内側において回転自在に配設された第3の定着部材としての加圧ローラ107等を備え、前記定着ローラ105内に加熱体としての図示されないヒータが配設される。
【0025】
また、前記第1の媒体搬送路Rt1における定着器31より下流側に搬送ローラ対32、33が、第1の媒体搬送路Rt1における搬送ローラ対33より下流側に排出ローラ対34が配設される。そして、前記アッパカバーCsUに、前記排出ローラ対34と対向させて媒体積載部としての用紙スタッカ35が形成される。
【0026】
ところで、前記プリンタ10においては、用紙Pの両面に画像を形成し、両面印刷を行うことができるようになっている。そのために、前記第1の媒体搬送路Rt1における搬送ローラ対32より下流側に、搬送ローラ対32と隣接させて分岐点が設定され、該分岐点において第1の媒体搬送路Rt1から第2の媒体搬送路Rt2が分岐させられ、該第2の媒体搬送路Rt2に、反転用の搬送ローラ対36、37が配設される。また、第2の媒体搬送路Rt2に接続させて、第3の媒体搬送路Rt3が前記画像形成ユニット20、定着器31等の下方に延在させて形成され、第3の媒体搬送路Rt3に、搬送ローラ対38〜40が配設される。
【0027】
そして、前記第1、第2の媒体搬送路Rt1、Rt2間に、搬送ローラ対32と隣接させて第1の搬送路切換装置Ex1が、前記第2、第3の媒体搬送路Rt2、Rt3間に、搬送ローラ対36と隣接させて第2の搬送路切換装置Ex2が配設され、第1、第2の搬送路切換装置Ex1、Ex2を切り換えることによって、第1の媒体搬送路Rt1を搬送される用紙Pを、第2の媒体搬送路Rt2に送り、第2の媒体搬送路Rt2に退避させ、続いて、搬送ローラ対36、37を逆方向に回転させることによって、用紙Pを第2の媒体搬送路Rt2から第3の媒体搬送路Rt3に送り、用紙Pを反転させることができる。
【0028】
次に、前記プリンタ10の動作について説明する。
【0029】
前記ピックアップローラ13が回転させられると、用紙カセット12に収容された用紙Pが給紙ローラ14及びリタードローラ15によって1枚ずつ分離させられて媒体搬送路Rt1に繰り出される。繰り出された用紙Pは、前記第1のレジストローラ対16によって斜行が矯正され、その後、第2のレジストローラ対17及び搬送ローラ対18によって搬送され、感光体ドラム23と転写ローラ24との間の転写部に送られる。
【0030】
そして、画像形成ユニット20においては、感光体ドラム23の表面が、帯電装置としての図示されない帯電ローラによって一様に帯電させられ、LEDヘッド22によって露光されて潜像としての静電潜像が形成される。
【0031】
また、トナーカートリッジ21から供給されたトナーは現像剤担持体としての図示されない現像ローラによって感光体ドラム23に付着させられ、前記静電潜像が現像されて、現像剤像としてのトナー像が形成される。
【0032】
そして、前記用紙Pは、転写部に送られると、該転写部において感光体ドラム23上のトナー像が転写ローラ24によって転写され、続いて、定着器31に送られ、該定着器31においてトナー像が定着させられる。このようにして画像が形成された用紙Pは、搬送ローラ対32、33によって搬送され、排出ローラ対34によって装置本体外に排出され、用紙スタッカ35に積載される。
【0033】
また、用紙Pに対して両面印刷を行う場合、用紙Pは、表面に画像が形成されると、第2の媒体搬送路Rt2に退避させられ、続いて、第3の媒体搬送路Rt3に送られ、第3の媒体搬送路Rt3を搬送されて第1の媒体搬送路Rt1に送られ、第1のレジストローラ対16に送られる。そして、第1のレジストローラ対16において斜行が矯正された用紙Pは、第1の媒体搬送路Rt1を搬送される間に、裏面に画像が形成される。
【0034】
なお、前記画像形成ユニット20及び定着器31は装置本体に対して、トナーカートリッジ21は画像形成ユニット20の本体、すなわち、画像形成ユニット本体に対して着脱自在に配設され、画像形成ユニット20、定着器31、トナーカートリッジ21等を交換したり、用紙ジャムを解除したりする際に、画像形成ユニット20を装置本体に対して着脱する場合、及びトナーカートリッジ21を画像形成ユニット本体に対して着脱する場合は、フロントカバーCsFが開かれ、定着器31を装置本体に対して着脱する場合は、アッパカバーCsUが開かれる。そして、画像形成ユニット20を装置本体に対して着脱するために、装置本体に案内ガイド56が傾斜させて形成され、感光体ドラム23の軸(ドラムシャフト)sh3及び画像形成ユニット20から突出させて形成された凸部118が案内ガイド56に沿って移動させられる。
【0035】
ところで、前記構成のプリンタ10においては、フロントカバーCsFを開閉することによって、LEDヘッド22を感光体ドラム23から離間させて退避位置に置いたり、感光体ドラム23に近接させて作動位置に置いたりすることができるようになっている。
【0036】
そのために、装置本体内における感光体ドラム23の上方にヘッド昇降機構Meが配設される。
【0037】
該ヘッド昇降機構Meは、前記フロントカバーCsFに取り付けられた一対の押圧部材120、装置本体に対して水平方向に移動自在に、本実施の形態においては、摺動自在に配設された移動部材としての一対のスライダ(レバーロック)50、該スライダ50をフロントカバーCsFに向けて付勢する付勢部材としてのスプリング55、前記スライダ50を摺動自在に保持するとともに、水平方向に案内するガイド57、前記スライダ50が移動するのに伴って揺動させられる第1のアーム部としての一対のガイドリンク51、下端においてLEDヘッド22を保持するとともに、前記ガイドリンク51が揺動させられるのに伴って昇降させられるヘッド保持部材としてのヘッドホルダ52等を備える。
【0038】
前記押圧部材120は、押圧部材本体121、該押圧部材本体121から前方に向けて突出させて形成され、フロントカバーCsFの所定の箇所に係止させることによって押圧部材120をフロントカバーCsFに取り付けるための係止部122、及び押圧部材本体121から後方に向けて突出させて形成され、スライダ50を押圧するための押圧部としてのプッシャ125を備える。
【0039】
前記スライダ50は、ガイド57に形成された案内片としての爪57a〜57cによって上縁が案内されるとともに、案内片としての爪57d〜57fによって下縁が案内される。
【0040】
そして、前記スライダ50の前方の端部、すなわち、前端には、フロントカバーCsFが閉じられた状態で前記プッシャ125によって押圧され、プッシャ125と係合させられる第1の係合部としての当接部50aが形成される。
【0041】
また、前記スライダ50の上縁の近傍には、スライダ50の移動方向とほぼ平行に延在させて、スライダ50を水平方向に移動させるための、長穴形状を有する水平方向移動用の係合要素としての溝部m1、m2がプッシャ125と対向する位置に形成され、前記溝部m1、m2内に、装置本体に固定させて形成された水平方向移動用の被係合要素としてのポストps1、ps2が遊嵌させられる。そして、前記スライダ50の後方の端部、すなわち、後端の近傍には、後方に向けて斜めに立ち上げて、ガイドリンク51を揺動させるための、長穴形状を有する傾斜方向移動用の係合要素としての溝部m3が形成され、該溝部m3内に、ガイドリンク51のほぼ中央に形成された傾斜方向移動用の被係合要素としてのポストps3が遊嵌させられる。前記溝部m3は、前端が前記スライダ50の下縁の近傍に、後端が前記スライダ50の上縁の近傍に位置するように形成される。
【0042】
なお、スライダ50の移動方向に対して溝部m1、m2が延在する方向は、±5〔°〕以内の角度の範囲に収められる。また、前記溝部m1、m2の長さは、スライダ50を移動させる距離と等しくされ、各溝部m1、m2間の距離は、スライダ50を安定させて移動させるのに必要な値にされる。そして、ポストps1、ps2の位置は、スライダ50を移動させたときに、各溝部m1、m2内における位置が同じになるように設定される。
【0043】
前記スプリング55は、引張りスプリングから成り、スライダ50が移動させられる方向に延在させて配設され、前端が、ガイド57の前端の近傍に形成された第1の付勢部材取付部としてのスプリング保持部65に取り付けられ、後端が、スライダ50の中央部に形成された第2の付勢部材取付部としてのスプリング保持部66に取り付けられる。
【0044】
そして、フロントカバーCsFを開くと、プッシャ125が当接部50aを押圧しなくなり、スプリング55は収縮させられ、所定の付勢力でスライダ50を前方に移動させる。これに伴って、ポストps1、ps2は、溝部m1、m2の後端に移動させられる。また、フロントカバーCsFを閉じると、プッシャ125が当接部50aを押圧し、スプリング55は伸長させられ、前記付勢力に抗してスライダ50を後方に移動させる。これに伴って、ポストps1、ps2は、溝部m1、m2の前端に移動させられる。
【0045】
前記ガイドリンク51は、前端に前記ポストps2を貫通させるための穴部h1を備え、該穴部h1にポストps2を嵌入させることによって、ポストps2を中心にして装置本体に対して揺動自在に支持される。また、前記ガイドリンク51は、ほぼ中央に、前記溝部m3内に遊嵌させられる前記ポストps3を有するとともに、後端に、ヘッドホルダ52の側縁の下端(感光体ドラム23(図1)と対向する側の端部)に形成された揺動支持用の被係合要素としてのポストps4を遊嵌させるための、長穴形状を有する揺動支持用の係合要素としての溝部m4を備える。
【0046】
なお、前記ポストps2は、ガイドリンク51を揺動させるときの揺動軸として機能し、前記ポストps3は、スライダ50と係合させられる第2の係合部を構成し、前記ポストps4は、ガイドリンク51と係合させられる第3の係合部を構成する。
【0047】
したがって、フロントカバーCsFが開かれた状態から閉じられた状態になるとき、プッシャ125が当接部50aを押圧して、スライダ50を移動させ、溝部m3に沿ってポストps3を移動させると、ガイドリンク51がポストps2を中心にして回動させられる。このようにして、スライダ50の水平方向の移動がガイドリンク51の回転方向の移動に変換される。なお、溝部m3及びポストps3によって第1の移動方向変換部が構成される。
【0048】
前記溝部m3の前端の近傍には、フロントカバーCsFを閉じたときの押圧部材120の位置が押圧部材120の寸法、組立等の誤差によって異なってもガイドリンク51の傾きが変化しないように、所定の長さwにわたって水平部位が形成される。
【0049】
ところで、ヘッドホルダ52の下端に形成されたポストps4は、前述されたように溝部m4内に遊嵌させられるとともに、ガイド57に形成され、長穴形状を有する溝部m5内にも遊嵌させられる。この場合、溝部m5によってヘッド昇降用の係合要素が、ポストps4によってヘッド昇降用の被係合要素が構成される。また、前記溝部m5は、感光体ドラム23の直上からわずかに後方に向けて傾斜させて、円弧状に延在させて形成され、ポストps4と係合させられてLEDヘッド22を案内するガイド部を構成する。
【0050】
したがって、ガイドリンク51がポストps2を中心にして回動させられると、溝部m5に沿ってポストps4が移動させられ、ヘッドホルダ52が上下方向に移動させられる。このようにして、スライダ50の水平方向の移動がガイドリンク51の回転方向の移動に変換され、更にヘッドホルダ52の上下方向の移動に変換される。なお、溝部m4、m5及びポストps4によって第2の移動方向変換部が構成される。
【0051】
そして、前記ポストps4が溝部m5の下端に置かれると、LEDヘッド22が作動位置に置かれ、前記ポストps4が溝部m5の上端に置かれると、LEDヘッド22が退避位置に置かれる。
【0052】
この場合、スライダ50が水平方向に移動するのに伴って、ガイドリンク51がポストps2を中心にして回動させられたときに、ポストps3及び溝部m4が円周方向に移動させられるが、ポストps3はポストps2と溝部m4(ポストps4)との間に配設され、ポストps2と溝部m4との間の距離がポストps2、ps3間の距離より長いので、円周方向における溝部m4の移動量がポストps3の移動量より大きくなる。
【0053】
したがって、ガイドリンク51によって、スライダ50の水平方向の移動量が増幅されるので、ヘッドホルダ52を上下方向に大きく移動させることができる。ここで、ガイドリンク51に配設された、穴部h1、ポストps3、溝部m4等によって、前記スライダ50の水平方向の移動量を増幅するための移動量増幅部が構成される。
【0054】
なお、本実施の形態において、ガイドリンク51が回動させられるのに伴って溝部m4が移動する際に描く軌跡と、溝部m5に沿って移動するポストps4が描く軌跡とは一致しないが、前記溝部m4が長穴形状を有し、ポストps4が溝部m4内を移動するのが許容されるので、ポストps4を溝部m5に沿って円滑に移動させることができる。これにより、LEDヘッド22を作動位置と退避位置との間で円滑に移動させることができる。また、LEDヘッド22が移動するのに伴って描く軌跡の設定の自由度を高くすることができる。
【0055】
ところで、前記LEDヘッド22を作動位置と退避位置との間で移動させることができるように、装置本体における所定の位置、本実施の形態においては、ガイド57の後方に、回動軸としてのシャフトsh4が回動自在に配設され、該シャフトsh4の両端に、第2のアーム部としての一対のヘッドリンク54がシャフトsh4を中心として回動自在になるように取り付けられる。そのために、シャフトsh4の両端に、平削りによるDカットが施され、断面がD字形状にされる。また、ヘッドリンク54にD字形状の穴が形成され、シャフトsh4の両端が圧入される。なお、シャフトsh4の円周方向における同じ位置にDカットが施されるので、各ヘッドリンク54を同じ角度で回動させることができる。そして、各ヘッドリンク54の先端に穴部h2が形成され、該穴部h2に、前記ヘッドホルダ52の側縁の上端に突出させて形成された支点部としてのポストps5が嵌入させられる。これにより、ヘッドホルダ52はヘッドリンク54によって回動自在に支持される。
【0056】
前記ヘッドリンク54は、「く」の字状に曲げられた形状を有するので、フロントカバーCsFが開かれた状態及び閉じられた状態のいずれの状態に置かれても、ヘッドホルダ52とヘッドリンク54とが互いに干渉しない位置関係に置かれる。本実施の形態において、ヘッドリンク54は「く」の字状に曲げられた形状を有するが、直線状に形成することができる。
【0057】
なお、図4及び6において、58は前記LEDヘッド22を感光体ドラム23側に向けて付勢し、LEDヘッド22を感光体ドラム23に対して位置決めする付勢部材としてのスプリング、59は該スプリング58を保持する保持要素としてのスプリングホルダである。前記LEDヘッド22、ヘッドホルダ52、スプリング58、スプリングホルダ59等によってヘッド部Hdが構成される。
【0058】
そして、LEDヘッド22の両端の下面には、被係止部としての穴部71、72が形成され、画像形成ユニット20の外筐における前記穴部71、72と対応する部分には、係止部としての突部81、82が突出させて形成される。前記LEDヘッド22が作動位置に置かれると、前記突部81、82は前記穴部71、72と係止させられる。その結果、LEDヘッド22を画像形成ユニット20に対して位置決めすることができる。なお、前記溝部m5の下端における円弧の接線方向と前記突部81、82の突出方向とはほぼ平行にされる。
【0059】
次に、前記構成のヘッド昇降機構Meの動作について説明する。
【0060】
まず、フロントカバーCsFを閉じると、スプリング55の付勢力に抗して押圧部材120がスライダ50を押圧する。これに伴い、図3及び4に示されるように、ポストps1、ps2は溝部m1、m2の前端に、ポストps3は溝部m3の前端又は前端の近傍の水平部位に、ポストps4は溝部m4の後端で、かつ、溝部m5の下端に位置させられる。
【0061】
したがって、ガイドリンク51は後端が下方に位置するように傾斜させられ、LEDヘッド22は作動位置に置かれる。
【0062】
次に、フロントカバーCsFを開くと、押圧部材120がスライダ50を押圧しなくなるので、スライダ50はスプリング55の付勢力によって前方に移動させられる。これに伴い、図5及び6に示されるように、ポストps1〜ps3は溝部m1〜m3の後端に、ポストps4は溝部m4の後端で、かつ、溝部m5の上端に位置させられる。
【0063】
したがって、ガイドリンク51は、図における時計回りに回転させられ、ほぼ水平に置かれ、LEDヘッド22は退避位置に置かれる。
【0064】
このように、本実施の形態においては、フロントカバーCsFを開閉すると、スライダ50が移動させられ、スライダ50の移動に伴い、ガイドリンク51が揺動させられ、LEDヘッド22が作動位置及び退避位置に置かれる。
【0065】
したがって、フロントカバーCsFにLEDヘッド22を取り付けることなく、フロントカバーCsFを開閉することによって、LEDヘッド22を感光体ドラム23から離間させて退避位置に置いたり、感光体ドラム23に近接させて作動位置に置いたりすることができる。
【0066】
また、ガイドリンク51によって、前記スライダ50の移動量が増幅され、前記ヘッドホルダ52が大きく移動させられるので、画像形成ユニット20を装置本体に対して着脱するための空間を広くすることができる。したがって、画像形成ユニット20を容易に交換することができる。
【0067】
しかも、アッパカバーCsUを開閉する必要がないので、画像形成ユニット20を交換する際に、用紙スタッカ35に積載された用紙Pを取り除く必要がない。したがって、プリンタ10の操作性を向上させることができる。
【0068】
本実施の形態においては、プリンタ10について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0069】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0070】
10 プリンタ
22 LEDヘッド
23 感光体ドラム
50 スライダ
50a 当接部
51 ガイドリンク
125 プッシャ
CsF フロントカバー
Hd ヘッド部
ps2〜ps4 ポスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6