特許第6271388号(P6271388)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271388
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】静電検出装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20180122BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   G06F3/041 522
   G06F3/044 120
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-209640(P2014-209640)
(22)【出願日】2014年10月14日
(65)【公開番号】特開2016-81153(P2016-81153A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年5月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】特許業務法人平田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 康弘
【審査官】 若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−113445(JP,A)
【文献】 特開2014−219925(JP,A)
【文献】 特開2014−126899(JP,A)
【文献】 特開2002−82765(JP,A)
【文献】 特開2013−257658(JP,A)
【文献】 特開2007−208682(JP,A)
【文献】 特開2007−25804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の近接又は接触を静電容量値の変化に基づくタッチ感度により検出する検出電極を備えた静電容量検出部と、
前記検出電極から読み出されるタッチ感度に基づいて前記検出電極へのタッチ検出を行ない、タッチオンを検出した後、現在のタッチ感度がタッチオン検出時の感度初期値の所定倍率以上である場合に感度フラグを立てるタッチ検出部と、前記タッチオンの検出後に前記検出電極のタッチ感度の変化に基づいてタップ検出を行なうタップ検出部とを備えた制御部と、を有し、
前記タップ検出部は、前記感度フラグが立っている状態で前記タッチ検出部がタッチオフを検出した場合にタップオンの判定を行なう静電検出装置。
【請求項2】
前記所定倍率は2であることを特徴とする請求項1に記載の静電検出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記タップオンの判定がされた後の所定時間以内にタップオンの判定がされた場合、ダブルタップのオン判定を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載の静電検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電タッチ電極の容量変化に基づいて、タッチ検出を行なう静電検出装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
具体的には、静電容量型の入力手段の検出点での検出最大値とその前後の位置における検出値とから演算を行い、この演算値が第1の閾値以下のときは座標データの生成をキャンセルする。また前記演算値が第1の閾値と第2の閾値との間のときには、座標データでの生成時の補正値を小さい値に切り換える構成とされている。このような構成により、入力手段上での静電容量の変動量が小さいときには、座標データを生成しないようにすることで、例えば入力手段に手のひらが触れているようなときの誤検出を防止できる。また、静電容量の変化量の変動が尖鋭なときとそうでないときとで、補正値を変えることで指などが止まっているときのカーソル表示などの触れを抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−82765号 公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成は、検出点での検出最大値とその前後の位置における検出値とから演算を行なうことによりタッチ検出を行なう。このようなタッチ検出の方式は時系列情報に基づかないので、例えば、操作者が手袋をしている場合や指がタッチ面から少し浮いた状態で保持している場合、意図せず操作者の指が動いたり、車両振動が発生したり等によって一瞬タッチオン判定してしまう場合がある。それにより、指によりタップ操作がされたものと誤判定されてしまう場合があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、意図しないタップ操作の誤判定を抑制できる静電検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]上記目的を達成するため、物体の近接又は接触を静電容量値の変化に基づくタッチ感度により検出する検出電極を備えた静電容量検出部と、前記検出電極から読み出されるタッチ感度に基づいて前記検出電極へのタッチ検出を行ない、タッチオンを検出した後、現在のタッチ感度がタッチオン検出時の感度初期値の所定倍率以上である場合に感度フラグを立てるタッチ検出部と、前記タッチオンの検出後に前記検出電極のタッチ感度の変化に基づいてタップ検出を行なうタップ検出部とを備えた制御部と、を有し、前記タップ検出部は、前記感度フラグが立っている状態で前記タッチ検出部がタッチオフを検出した場合にタップオンの判定を行なう静電検出装置を提供する。
【0008】
[2]前記所定倍率は2であることを特徴とする上記[1]に記載の静電検出装置であってもよい。
【0009】
[3]また、前記制御部は、前記タップオンの判定がされた後の所定時間以内にタップオンの判定がされた場合、ダブルタップのオン判定を行なうことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の静電検出装置であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の静電検出装置によれば、意図しないタップ操作の誤判定を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の静電検出装置の全体ブロック構成図である。
図2図2は、本発明の形態に係る静電検出装置の動作フローを示すフローチャートである。
図3図3は、タップ操作におけるタッチ感度の変化を示すタッチ感度と時間の関係を示すグラフである。
図4図4(a)は、本発明の実施の形態に係る静電検出装置を車両のナビゲーション装置等の遠隔操作に適用した場合の構成を示す全体斜視図であり、図4(b)は、表示部を示す平面図である。
図5図5(a)は、通常ダブルタップ操作時のタッチ感度の変化を示すグラフであり、図5(b)は、誤ダブルタップ発生時のタッチ感度の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本発明の実施の形態)
本発明の実施の形態に係る静電検出装置1は、タッチオンの検出を行なうことができると共に、タップオンの検出を行なうことができるものである。タッチオン(タッチ操作)は、検出電極へ例えば指等の物体が近接又は接触をした場合に、検出電極で検出されるタッチ感度が所定のタッチオン閾値を超えている場合に検出される。また、タップオン(タップ操作)は、タッチオンの検出後に検出電極のタッチ感度の変化に基づいて検出される。さらに、タップオンの判定がされた後の所定時間以内にさらにタップオンの判定がされた場合、ダブルタップのオン判定を行なうことができる。
【0013】
本発明の実施の形態に係る静電検出装置1は、静電容量式のタッチパッド等において、上記のタッチ感度の時系列変化を使用することで、非タッチ時の意図しないタップ操作あるいはダブルタップ操作を抑制あるいは防止するものである。タッチ感度の時系列変化を使用することにより、指等がタッチ面等の検出面から少し浮いた状態からタップ操作が意図せずにされた場合等の誤タップ操作を抑制あるいは防止できる。特に、車両のナビゲーション装置等を遠隔操作するタッチパッド等に適用する場合は、車両の振動等によって意図しないタップ操作やダブルタップ操作がされる場合が想定されるが、本発明の実施の形態によれば、そのような誤操作を抑制あるいは防止することができる。
【0014】
(静電検出装置1の構成)
図1は、本発明の静電検出装置の全体ブロック構成図である。
【0015】
本発明の実施の形態に係る静電検出装置1は、指等の物体の近接又は接触を静電容量値の変化に基づくタッチ感度により検出する検出電極(第1の検出電極101、第2の検出電極102)を備えた静電容量検出部10と、検出電極(第1の検出電極101、第2の検出電極102)から読み出されるタッチ感度に基づいて検出電極(第1の検出電極101、第2の検出電極102)へのタッチ検出を行ない、タッチオンを検出した後、現在のタッチ感度がタッチオン検出時の感度初期値の所定倍率以上である場合に感度フラグを立てるタッチ検出部210と、タッチオンの検出後に検出電極(第1の検出電極101、第2の検出電極102)のタッチ感度の変化に基づいてタップ検出を行なうタップ検出部とを備えた制御部20と、を有し、タップ検出部220は、感度フラグが立っている状態でタッチ検出部210がタッチオフを検出した場合にタップオンの判定を行なう構成とされている。
【0016】
検出電極は、後述するように、x軸に交差する第1の検出電極101とy軸に交差する第2の検出電極102を備えているので、x、yで規定される位置におけるタッチオン、タップ、ダブルタップ等の検出ができる。
【0017】
(静電容量検出部10の構成)
静電容量検出部10は、例えば、操作指が触れた操作領域100上の位置(検出点)を検出するタッチパッドである。操作者は、例えば、操作領域100に操作を行うことにより、接続された電子機器の操作を行うことが可能となる。静電容量検出部10としては、例えば、複数の検出指の検出が可能な静電容量方式等のタッチパッドを用いることが可能である。
【0018】
この静電容量検出部10は、例えば、操作領域100に指が近づくことによる、検出電極と指とにより形成される静電容量値の変化を検出するタッチパッドである。この検出電極は、図1に示すように、操作領域100の下に複数設けられている。
【0019】
検出電極は、細長く形成された複数の第1の検出電極101と複数の第2の検出電極102とが、それらの間に誘電体を挟んで交差するように配置されている。第1の検出電極101は、図1の紙面横方向に沿って定められたx軸に交差するように、等間隔で配置されている。また第2の検出電極102は、図1の紙面縦方向に沿って定められたy軸に交差するように、等間隔で配置されている。このx軸とy軸の原点は、図1に示す操作領域100の左上である。
【0020】
静電容量検出部10は、図1に示すように、第2の検出電極102を駆動する駆動部11と、第1の検出電極101から静電容量を読み出す読出部12と、を備えている。
【0021】
駆動部11は、制御部20から取得した駆動信号Sに基づいた周期的な駆動信号を第2の検出電極102に、順次供給するように構成されている。
【0022】
読出部12は、1つの第2の検出電極102が駆動されている間に、第1の検出電極101との接続を順次切り替えて静電容量を読み出すように構成されている。読出部12は、検出点の座標の情報を含む検出点情報Sを制御部20に出力するように構成されている。この検出点の座標の算出は、一例として、加重平均により行われる。
【0023】
(制御部20の構成)
制御部20は、タッチ検出部210、タップ検出部220、記憶部230等から構成されている。制御部20は、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工等を行うCPU、記憶部230として半導体メモリであるRAM及びROM等から構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部20が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果等を格納する記憶領域として用いられる。
【0024】
タッチ検出部210は、検出電極(第1の検出電極101、第2の検出電極102)から読み出される静電容量値に基づくタッチ感度Zが、タッチオン閾値Zthを超えたかどうかにより、検出電極(第1の検出電極101、第2の検出電極102)へのタッチ検出を行なう。タッチ感度Zが、タッチオン閾値Zthを超えた場合は、検出されたx、y座標における点が指等によってタッチされたと判定(タッチオン判定)される。なお、タッチ感度は、検出する電極(x、y)において、駆動部11の駆動信号Sにより所定周波数でチャージされる電荷を読出部12で検出点情報Sとして読み出す静電容量をA/D変換したタッチ感度値である。
【0025】
現在のタッチ感度Zが、タッチオン検出時の感度初期値Z×倍率αを超えた場合に、上記説明した感度フラグは1(True)とされる。ここで、倍率αは、手袋を装着した状態でタッチ操作した場合でも、タッチか非タッチかの切り分けができる値として、例えば、α=2に設定することができる。なお、倍率αは、適宜変更ができ、特に、装置全体のパラメータ等が決定された状態で、キャリブレーションを行ないながら最適な値に設定されて記憶部230に記憶されている。
【0026】
タップ検出部220は、所定のアルゴリズムに従って、タッチ感度の値、及び感度フラグの状態に基づいて、タッチ感度(静電容量)の時系列変化を使用することにより、タップ操作やダブルタップ操作の判定を行なう。
【0027】
(本発明の実施の形態の動作)
図2は、本発明の形態に係る静電検出装置の動作フローを示すフローチャートである。また、図3は、タップ操作におけるタッチ感度の変化を示すタッチ感度と時間の関係を示すグラフである。
【0028】
静電検出装置1の動作がスタートすると、まず、制御部20は、タッチ検出部210によりタッチオンの検出を行なう。図3に示すように、タッチオフPからタッチオンPになったかどうかを検出する。タッチ検出部210は、現在のタッチ感度Zがタッチオン閾値Zthを超えた場合は、検出されたx、y座標における点が指等によってタッチされたと判定(タッチオン判定)する(ステップS01)。タッチオフからタッチオンになったと判断された場合はステップS02へ進み、タッチオフからタッチオンになったと判断されない場合はステップS04へ進む。
【0029】
感度初期値Zとして、ステップS01でタッチオンになった直前のタッチ感度Zpreを感度初期値Zに代入する(ステップS02)。
【0030】
直前のタッチ感度Zpreとして、現在のタッチ感度Zをタッチ感度Zpreに代入する(ステップS03)。
【0031】
図3において、Pは、タッチオフ状態である。Pでタッチオフからタッチオンとなり、このPがステップS01〜ステップS03の状態である。
【0032】
制御部20は、タッチ検出部210によりタッチオンの検出を行なう。タッチ検出部210は、現在のタッチ感度Zがタッチオン閾値Zthを超えている場合は、検出されたx、y座標における点がタッチオン状態であると判定(タッチオン判定)する(ステップS04)。タッチオンであると判断された場合はステップS05へ進み、タッチオンでないと判断された場合はステップS07へ進む。
【0033】
タッチ検出部210は、現在のタッチ感度Zが次の条件を満たすかどうかを判断する。
現在のタッチ感度Z>感度初期値Z×倍率α
感度初期値Zは、ステップS02で代入された値であり、倍率αは、タッチか非タッチかの切り分けができる値として設定された所定の値である。上記の条件を満たす場合はステップS06へ進み、上記の条件を満たさない場合はステップS03へ進む(ステップS05)。
【0034】
制御部20は、感度フラグを1(True)にする(ステップS06)。
【0035】
図3で示すように、感度初期値Z×倍率αを所定値とし、タッチ感度がこの所定値より大きい場合に感度フラグが立てられる。すなわち感度フラグが1(True)とされる。感度フラグが1(True)であることは、タップ判定(タップオン判定)の前提条件となる。したがって、倍率αを適切に設定することにより、手袋をしている場合や指がタッチ面から少し浮いた状態でのタップ操作を誤操作として判定できることになる。
【0036】
ステップS06終了後、ステップS03を介してステップS01に戻る。タッチした状態では、ステップS04へ戻ってきて、ステップS04〜ステップS06〜ステップS01〜ステップS04を繰り返す。これは、図3において、Pで示すタッチオン状態が維持されたステップS04〜ステップS06の状態である。
【0037】
制御部20は、タッチ検出部210によりタッチオフの検出を行なう。図3に示すように、タッチオンPからタッチオフPになったかどうかを検出する。タッチ検出部210は、現在のタッチ感度Zがタッチオン閾値Zth以下になった場合は、検出されたx、y座標における点がタッチオフされたと判定(タッチオフ判定)する(ステップS07)。タッチオンからタッチオフになったと判断された場合はステップS08へ進み、タッチオンからタッチオフになったと判断されない場合はステップS03へ進む。
【0038】
制御部20は、タップ検出部220により感度フラグが1(True)であるかどうかを判断する(ステップS08)。感度フラグが1(True)である場合は、ステップS09へ進み、感度フラグが1(True)でない場合は、ステップS10へ進む。
【0039】
制御部20のタップ検出部220は、タップオンされたとしてタップオン判定を行ない、ステップS11へ進む(ステップS09)。なお、このタップ判定は、タッチオンPが所定期間(例えば、180ms等)以内であることを条件にする等の他の条件を付加して判断することも可能である。
【0040】
制御部20は、ステップS08で感度フラグが1(True)でない場合は、誤タップであると判定して、タップキャンセルを行ない、ステップS11へ進む(ステップS10)。
【0041】
制御部20は、タップ判定後、感度フラグを0(False)にして、ステップS03へ進む。
【0042】
図3において、Pは、Pのタッチオン状態からタッチオフ状態となり、かつ、感度フラグの条件を満たしたタップオン状態である。
【0043】
ステップS03を介してステップS01へ戻り、上記示した一連のタッチ判定、タップ判定が繰り返し行われる。上記フローは、中止、中断信号等の割込信号が入力されるまで継続される。
【0044】
図4(a)は、本発明の実施の形態に係る静電検出装置を車両のナビゲーション装置等の遠隔操作に適用した場合の構成を示す全体斜視図であり、図4(b)は、表示部を示す平面図である。
【0045】
この静電検出装置1は、一例として、図4(a)に示すように、車両5に搭載されたカーナビゲーション装置7に適用することができるが、これに限定されない。また静電検出装置1の静電容量検出部10は、例えば、車両5の運転席と助手席の間のセンターコンソール50に配置されている。操作者は、静電検出装置1の静電容量検出部10を操作することが可能となっている。
【0046】
図4(a)に示すように、例えば、インストルメントパネル52上に配置された表示装置6の表示画面60上にカーナビゲーションの地図表示がされており、カーソル68をタッチ操作することにより位置選択する、タップ操作により位置決定する、又はダブルタップ操作によりメニュー画面に移行する、等の種々の操作ができる。
【0047】
図5(a)は、通常ダブルタップ操作時のタッチ感度の変化を示すグラフであり、図5(b)は、誤ダブルタップ発生時のタッチ感度の変化を示すグラフである。
【0048】
図5(a)は、指を静電容量検出部10に接触させた状態で、タップ操作をした場合のタッチ感度の変化を示すグラフである。縦軸のタッチ感度は、図1で示した読出部12が検出点情報Sとして読み出した静電容量をA/D変換した値を200でノーマライズ(規格化)した値としている。1回目のZ01、または、2回目のZ02が、ステップS05で示す感度フラグオンの条件(感度初期値Z×倍率α以上)を満たし、ダブルタップオンの判定がされる。すなわち、通常ダブルタップ操作となる。
【0049】
制御部20は、タップオンの判定がされた後の所定時間以内にタップオンの判定がされた場合、ダブルタップのオン判定を行なうことができる。すなわち、ダブルタップ判定は、1回目のタップ判定から2回目のタップ判定開始までの期間Tが所定期間(例えば、280ms等)以内であることを条件にすることが可能である。
【0050】
図5(b)は、例えば、手袋をしている場合や指がタッチ面から少し浮いた状態、あるいは、車両の振動等で指がタッチ面から浮いた状態で、タップ操作をした場合のタッチ感度の変化を示すグラフである。1回目のZ03、及び、2回目のZ04共に、ステップS05で示す感度フラグオンの条件(感度初期値Z×倍率α以上)を満たさない。これにより、ステップS06で感度フラグが立たないので、ダブルタップオンの判定がされない。すなわち、誤ダブルタップ操作となる。
【0051】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態に係る静電検出装置は、タッチ感度の値、及び感度フラグの状態に基づいて、タッチ感度(静電容量)の時系列変化を使用することにより、タップ操作やダブルタップ操作の判定を行なう。すなわち、現在のタッチ感度Zが、タッチオン検出時の感度初期値Z×倍率αを超えた場合に、感度フラグを1(True)とし、この感度フラグが立っていることを条件としてタップ判定を行なう。これにより、手袋をしている場合や指がタッチ面から少し浮いた状態でのタップ操作を誤操作として判定できる。また、倍率αを適切に設定することによりタッチか非タッチかの切り分けができ、手袋をしている場合や指がタッチ面から少し浮いた状態でのタップ操作を誤操作として判定できる。したがって、意図しないタップ操作、ダブルタップの誤判定を抑制できる静電検出装置を提供することができる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態およびその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態およびその変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…静電検出装置、5…車両、6…表示装置
10…静電容量検出部、11…駆動部、12…読出部
20…制御部
50…センターコンソール、52…インストルメントパネル
60…表示画面、68…カーソル
100…操作領域、101…第1の検出電極、102…第2の検出電極
210…タッチ検出部、220…タップ検出部、230…記憶部
Z…現在のタッチ感度
…感度初期値
Zth…タッチオン閾値
Zpre…直前のタッチ感度
α…倍率
図1
図2
図3
図4
図5