特許第6271489号(P6271489)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6271489接点組立体およびこれを備える真空インタラプタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271489
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】接点組立体およびこれを備える真空インタラプタ
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/664 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
   H01H33/664 D
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-200683(P2015-200683)
(22)【出願日】2015年10月9日
(65)【公開番号】特開2016-81921(P2016-81921A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】62/066,596
(32)【優先日】2014年10月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514127079
【氏名又は名称】トーマス アンド ベッツ インターナショナル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 浩輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ブライス フランクリン ソラッジ
【審査官】 澤崎 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭57−089241(JP,U)
【文献】 特開平02−007318(JP,A)
【文献】 特開平02−256120(JP,A)
【文献】 特開昭59−060829(JP,A)
【文献】 特開2003−151413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/60 − 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空インタラプタにおいて使用する接点組立体であって、
第1の導電材料の接点円板と、第2の導電材料のコイルとを備え、
前記コイルは、共通の中心軸に関して軸方向に向く複数の螺旋セクションを有し、各螺旋セクションは近位端部及び遠位端部を有し、さらに各螺旋セクションは、前記近位端部において前記第2の導電材料によって作製されたベースに結合され、前記遠位端部において前記接点円板に結合され、
前記接点組立体はさらに、前記コイル内で軸方向にセンタリングされ前記ベースから前記接点円板まで延びる接点支持体と、前記ベースに接合される支持円板を備え、
前記ベースは、前記支持円板と前記接点支持体の間に配置され、前記支持円板は、前記ベースを支持するとともに、電気抵抗率が高い材料で作成されることを特徴とする接点組立体。
【請求項2】
前記ベース及び前記螺旋セクションのそれぞれは、共通の部品から機械加工され、前記支持円板の材料はステンレス鋼であることを特徴とする、請求項1に記載の接点組立体。
【請求項3】
前記複数の螺旋セクションは、互いから径方向に120度オフセットした3つの螺旋アームを有し、前記支持円板は前記ベースにろう付けされることを特徴とする、請求項1に記載の接点組立体。
【請求項4】
前記螺旋セクションのそれぞれは、前記コイルの外周の少なくとも0.7周に延びることを特徴とする、請求項3に記載の接点組立体。
【請求項5】
凸部を有する導電シャフトをさらに備え、前記凸部は前記支持円板の孔と前記ベースセンタリング孔を通って延在し、前記支持円板は前記ベースと前記導電シャフトの少なくとも一部との間に配置され、前記ベースは前記共通の中心軸に沿って配置されることを特徴とする、請求項1に記載の接点組立体。
【請求項6】
前記コイルの前記ベースと前記支持円板はそれぞれ、導電シャフトの凸部を受けるようなサイズの、前記共通軸に沿う孔を有することを特徴とする、請求項1に記載の接点組立体。
【請求項7】
前記ベースは、前記接点支持体を受けて軸方向にセンタリングするようなサイズの凹部を有する、請求項6に記載の接点組立体。
【請求項8】
前記複数の螺旋セクションの各遠位端部は前記接点円板にろう付けされることを特徴とする、請求項1に記載の接点組立体。
【請求項9】
前記接点組立体は、前記共通軸の方向において印加される少なくとも90キログラムの力に耐えるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の接点組立体。
【請求項10】
前記共通の中心軸の方向における前記ベースの最大厚は、前記共通の中心軸に直交する方向における、前記複数の螺旋セクションのそれぞれの最大厚よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の接点組立体。
【請求項11】
前記接点円板は、前記接点支持体を受けて軸方向にセンタリングするようなサイズの凹部を有することを特徴とする、請求項1に記載の接点組立体。
【請求項12】
真空インタラプタであって、
真空チャンバと、
固定導電シャフトに取り付けられる、前記真空チャンバ内の第1の接点組立体と、
可動導電シャフトに取り付けられる、前記真空チャンバ内の第2の接点組立体を備え、
前記第1及び第2の接点組立体はそれぞれ、第1の導電材料の接点円板と、第2の導電材料のコイルとを備え、
前記コイルは、共通の中心軸に関して軸方向に向く複数の螺旋セクションを有し、各螺旋セクションは近位端部及び遠位端部を有し、さらに各螺旋セクションは、前記近位端部において前記第2の導電材料によって作製されたベースに結合され、前記遠位端部において前記接点円板に結合され、
前記第1及び第2の接点組立体はそれぞれ、前記コイル内で軸方向にセンタリングされ前記ベースから前記接点円板まで延びる接点支持体と、前記ベースに接合される支持円板をさらに備え、
前記ベースは、前記支持円板と前記接点支持体の間に配置され、前記支持円板は、前記ベースを支持するとともに、電気抵抗率が高い材料で作成されることを特徴とする真空インタラプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧回路遮断器、スイッチギア、及び他の電気機器等の高電圧電気スイッチに関するものであり、より詳細には、接点がセラミックボトル等の絶縁性環境密閉体内に配置される電気スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の接点の場合、10キロアンペア(kA)を超える電流では蒸気アークが抑圧される傾向があり、その結果、接点の局所的な劣化及び蒸気アークの消滅不良をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一目的は、従来の接点における欠点を克服する、真空インタラプタにおいて使用する接点組立体を提供することである。本発明に係る接点組立体の一態様によれば、蒸気アークは非破壊拡散モードに維持され、アークが真空雰囲気に迅速に消弧することができるようになっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様によれば、真空インタラプタにおいて使用する接点組立体が提供される。接点組立体は、第1の導電材料の接点円板と、第2の導電材料のコイルとを備え、該コイルは、共通の中心軸に関して軸方向に向く複数の螺旋セクションを有し、各螺旋セクションは近位端部及び遠位端部を有し、さらに各螺旋セクションは、該近位端部において該第2の導電材料によって作製されたベースに結合され、該遠位端部において該接点円板に結合される。接点組立体はさらに、該コイル内で軸方向にセンタリングされ該ベースから該接点円板まで延びる接点支持体を備える。
【0005】
本発明の別の態様によれば、真空インタラプタが提供される。真空インタラプタは、真空チャンバと、固定導電シャフトに取り付けられる、該真空チャンバ内の第1の接点組立体と、可動導電シャフトに取り付けられる、該真空チャンバ内の第2の接点組立体とを備える。該第1および第2の接点組立体はそれぞれ、第1の導電材料の接点円板と、第2の導電材料のコイルとを備える。該コイルは共通の中心軸に関して軸方向に向く複数の螺旋セクションを有し、各螺旋セクションは近位端部及び遠位端部を有し、さらに各螺旋セクションは、該近位端部において該第2の導電材料によって作製されたベースに結合され、該遠位端部において該接点円板に結合される。該第1及び第2の接点組立体はそれぞれ、該コイル内で軸方向にセンタリングされ該ベースから該接点円板まで延びる接点支持体をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本発明の実施の形態に係る真空インタラプタ組立体の閉位置における概略断面図である。
図1B】本発明の実施の形態に係る真空インタラプタ組立体の開位置における概略断面図である。
図2図1の真空インタラプタ組立体の可動導体組立体の概略側面図である。
図3図2の可動導体組立体の概略的な側面斜視図である。
図4図2の可動導体組立体の概略的な側面断面図である。
図5図4の側面断面図の一部の拡大図である。
図6A】軸方向磁場(AMF)コイル用の素形材の側面断面図である。
図6B】軸方向磁場コイル用の素形材の側面斜視図である。
図7A】軸方向磁場コイルの正面端面図である。
図7B図7Aの軸方向磁場コイルの側面図である。
図7C図7Aの軸方向磁場コイルの背面端面図である。
図7D図7Bの軸方向磁場コイルの側面断面図である。
図8A図7Aの軸方向磁場コイルの概略的な側面斜視図である。
図8B図7Aの軸方向磁場コイルの概略的な側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明では、添付の図面を参照する。異なる図中の同じ参照符号は、同じ又は同様の要素を同定する場合がある。
【0008】
真空インタラプタにおいて使用する接点組立体が提供される。1実施態様においては、2つの接点組立体を1組として真空チャンバ内に設けることができる。各接点組立体は、軸方向磁場(AMF、Axial Magnetic Field)を発生させ、接点組立体間にアークを拡散することができる。各接点組立体は第1の導電材料の接点円板と、コイルと、接点支持体とを備えることができる。コイルは、第2の導電材料によって作製することができ、共通の中心軸に関して軸方向に向く複数の螺旋セクションを有する。螺旋セクションのそれぞれは、近位端部及び遠位端部を有することができ、螺旋セクションのそれぞれは、近位端部において第2の導電材料によって作製されたベースに結合され、遠位端部において接点円板に結合されるようになっている。接点支持体は、コイル内側で軸方向にセンタリングすることができ、ベースから接点円板まで延びて螺旋セクションの間隔を維持することができる。
【0009】
図1Aは閉位置の真空インタラプタ組立体10を示す概略断面図を提示し、図1Bは開位置の真空インタラプタ組立体10を示す概略断面図を提示している。図1A及び図1Bをまとめて参照すると、真空インタラプタ組立体10は、絶縁本体20と、固定導体組立体30と、可動導体組立体40と、アークシールド50とを備える。
【0010】
絶縁本体20は、全体として細長いボアを画定し、固定導体組立体30及び可動導体組立体40が本体20のボアを軸方向に貫通する。絶縁本体20は概して、例えば、セラミックチューブ22(ともに接合/シールされた複数のチューブセグメントを含むことができる)を含むことができる。セラミックチューブ22には、そのいずれかの端部にフランジ24、26を有する。フランジ24/26は、セラミックチューブ22のそれぞれの端部に接合/シールすることができる。
【0011】
フランジ24は、固定導体組立体30のシャフト32を貫通させる開口を有することができる。シャフト32は、フランジ24に対して固定することができ、フランジ24とシャフト32との接合面を、気密シールを用いて確実に締める(secure)ことができる。フランジ26は、可動導体組立体40の導電シャフト42を貫通させる開口を有することができる。シャフト42は、フランジ26に対して軸方向に移動することができる。ベローズ60を設けて、気密シールを維持しながら、シャフト42がフランジ26の開口を通って移動するのを可能にすることができる。セラミックチューブ22、フランジ24、フランジ26、シャフト32、及び/又はシャフト42の接合面にある気密シールにより、絶縁本体20内に真空チャンバ28を形成することが可能になる。
【0012】
図1A及び図1Bに示すように、固定導体組立体30及び可動導体組立体40(電極組立体とも称する)のそれぞれは、接点組立体100(例えば、接点組立体100−1及び100−2)を備えることができる。可動導体組立体40は、ベローズ60を用いて閉位置(図1A)と開位置(図1B)との間で移動することができ、絶縁本体20内の真空密閉体をシール状態に維持するのに役立つ。シャフト32及びシャフト42のそれぞれは、銅等の導電材料によって形成することができ、外側から供給される電流が、それぞれの接点組立体100へ又はそれぞれの接点組立体100からシャフト32/42を通過することができるようになっている。
【0013】
動作の際、真空インタラプタ組立体10が閉位置(図1A)にある場合は、接点組立体100−1及び100−2は、真空雰囲気において(例えば、真空チャンバ28内で)結合され、シャフト32又は42を通して導かれる電流が接点組立体100−1及び100−2を通ってシャフト42又は32のうちの他方に流れる。閉位置から開位置(図1B)に移動すると、接点組立体100−1及び100−2は分離し、接点組立体100−1及び100−2の蒸発物質から、スイッチング電流によって生じる金属蒸気アークを形成することができる。
【0014】
一般に、電流が設計限界に達すると、蒸気アークは、接点組立体100−1及び100−2を侵食する可能性がある。従来の接点の場合、10キロアンペア(kA)を超える電流では、蒸気アークは抑圧される傾向にあり、その結果、接点の局所的な劣化及び蒸気アークの消滅不良をもたらす可能性がある。蒸気アークの抑圧の程度は、(特に)接点組立体の幾何形状によって決まり得る。例えば、接点組立体の幾何形状は、蒸気アークの挙動に影響を与える磁場を発生させることができる。
【0015】
本実施形態によれば、接点組立体100は、(例えば、軸方向磁場により)蒸気アークを非破壊拡散モードに維持するとともにアークを真空雰囲気に迅速に消弧させる軸方向磁場を発生させることができる。本明細書に更に記載するように、接点組立体100は、多アーム螺旋コイル構造を有し、高電流印加の際、接点組立体間に軸方向磁場を発生させることができる。接点組立体100を備える真空インタラプタ10は、高電流短絡(例えば、10kA超)の場合に良好に機能することができる。そのような高電流状況用の機器としては、回路遮断器、接地装置、スイッチギア又は他の高電圧機器を挙げることができる。
【0016】
図2は可動導体組立体40の概略側面図であり、図3は可動導体組立体40の分解斜視図である。図4図2の断面A−Aに沿った可動導体組立体40の側面断面図であり、図5図4の側面断面図の部分Bの拡大図である。図6Aは軸方向磁場コイル120用の素形材200の側面断面図であり、図6Bは素形材200の斜視図である。図7A図8Bは、機械加工後の軸方向磁場コイル120の様々な図を提示している。詳細には、図7Aは軸方向磁場コイル120の正面端面図であり、図7Bは軸方向磁場コイル120の側面図であり、図7Cは軸方向磁場コイル120の背面端面図であり、図7Dは軸方向磁場コイル120の側面断面図である。図8A及び図8Bは軸方向磁場コイル120の様々な側面斜視図である。図2図8Bには示していないが、固定導体組立体30は可動導体組立体40と同様に構成することができる。
【0017】
図2図5をまとめて参照すると、接点組立体100は、シャフト42の端部に装着することができる。接点組立体100は、接点円板110と、軸方向磁場コイル120と、接点支持体130と、支持円板140とを備えることができる。本明細書に更に記載するように、接点円板110と、軸方向磁場コイル120と、接点支持体130と、支持円板140とは、複数のろう付けリング/ろう付け円板を用いるろう付けプロセスによって、ともに接合して接点組立体100を形成することができる。接点円板110と、軸方向磁場コイル120と、接点支持体130と、支持円板140とは、全体として、共通軸44に沿って互い及びシャフト42と軸方向に位置合わせすることができる。
【0018】
接点円板110は、真空インタラプタ組立体10が閉位置にある場合に別の接点(例えば、接点組立体100−1にある接点)に接触する導電円板を含むことができる。接点円板110は、可動導体組立体40が閉位置から開位置に移動する際のアーク発生による金属蒸発を最小限に抑える導電材料を含むことができる。1つの実施態様において、接点円板110は、銅(Cu)/クロム(Cr)合金によって作製することができる。
【0019】
図2図5及び図7A図8Dをまとめて参照すると、軸方向磁場コイル120は銅等の導電材料の複数の螺旋セクション122を有することができる。1つの実施態様において、添付の図(例えば、図5)に示すように、軸方向磁場コイル120は、ベース124において結合する3つの螺旋セクション122−1、122−2及び122−3を有することができる。各螺旋セクション122の近位端部はベース124と一体にすることができ、遠位端部はテーパー状にして接触領域123(図7A)を形成することができる。各螺旋セクション122は共通軸44を共有することができる(例えば、共通軸44に関して軸方向に向くことができる)。各接触領域123は各他の螺旋セクション122の接触領域と同一平面にあることができ、最終的には接点円板110に固定(例えば、ろう付け)することができる。図示の形態では、3つの螺旋セクション122は、互いから径方向に120度オフセットしており、互いに絡み合ってコイルを形成する。1つの実施態様において、各螺旋セクション122(例えば、ベース124における近位端部から反対側の遠位端部に及ぶ)は、軸方向磁場コイル120全周のおおよそ0.7周に相当する。結果として、軸方向磁場コイル120は合計2.1周(0.7×3)することが効果的である。他の実施態様においては、各螺旋セクションは、1周よりも大きい量に相当しても小さい量に相当してもよいし、及び/又はより多くの螺旋セクション122を設けてもよいことが理解されるべきである。
【0020】
図2〜5に示すように、ベース124は、ろう付け円板126を用いて支持円板140に接合(例えば、ろう付け)することができる。支持円板140は、全体として、軸方向磁場コイル120から発生する軸方向磁場に影響を与えないステンレス鋼等の電気抵抗率が高い丈夫な材料によって作製することができる。ろう付け円板126は、銅、又は軸方向磁場コイル120の材料を接点支持円板140にろう付けするのに好適な別の材料によって作製することができる。ろう付け円板128を用いて、螺旋セクション122の遠位端部(すなわち、ベース124とは反対側の端部)を接点円板110に接合することができる。ろう付け円板128は、銅、又は軸方向磁場コイル120及び接点円板110の材料をろう付けするのに好適な別の材料によって作製することができる。
【0021】
接点支持体130は、軸方向磁場コイル120に軸方向支持を与えるように円筒形とすることができる。接点支持体130は、軸方向磁場コイル120の中心部内に配置することができ、全体として、接点支持体130の軸方向長さによって軸方向磁場コイル120の圧縮が阻止されるようなサイズとすることができる。より詳細には、接点支持体130をベース124と接点円板110の間に挿入し、螺旋セクション122の所望の形状(例えば、ピッチ/ギャップ)を維持する。1つの実施態様においては、接点支持体130は、(例えば、接点組立体100−2が真空インタラプタ組立体10内で閉位置に移動した場合)200ポンド(90kg)までの圧縮力に耐えるように構成されている。接点支持体130は、全体として、軸方向磁場コイル120から発生する軸方向磁場に影響を与えない硬質材料によって作製することができる。1つの実施態様において、接点支持体130は、いくつかのグレードのステンレス鋼等の6E−07オームメートルよりも大きい電気抵抗率を有する材料によって作製することができる。
【0022】
接点支持体130の一方の端部は、ろう付け円板132を用いて、ベース124に接合(例えば、ろう付け)することができる。ろう付け円板132は、銀合金、又は軸方向磁場コイル120の材料を接点支持体130にろう付けするのに好適な別の材料によって作製することができる。ろう付け円板134を用いて、接点支持体130の反対側の端部を接点円板110に接合することができる。ろう付け円板134は、銀合金、又は接点支持体130及び接点円板110の材料をろう付けするのに好適な別の材料によって作製することができる。図5に示すように、ろう付けリング136は、ベース124と接点支持体130との接合面において、シャフト42のセンタリング用の凸部142上に配置することができる。
【0023】
図6A及び図6Bをまとめて参照すると、素形材200は、一体となったベース124を有する円筒体202を有することができる。本発明の実施態様によれば、螺旋セクション122は、素形材200の中実の円筒体202壁及びベース124から機械加工することができる。素形材200は、特定の高さ(H)、壁厚(T)、及びベース厚(B)、並びに外周が、螺旋セクション122がシャフト42に/シャフト42から電流を導くのに必要とされる領域を提供するようなサイズとすることができる。1つの実施態様によれば、共通軸44の方向における最大ベース厚Bは、共通の中心軸に対して直交する方向では最大壁厚T(螺旋セクション122のそれぞれの対応する厚さ)よりも小さくすることができる。
【0024】
図6Aに示すように、ベース124は、センタリング孔204及び凹部206を有することができる。センタリング孔204は、(最終的に組み立てられた)接点組立体100をシャフト42に装着する場合、センタリング用の凸部142を受けることができる。凹部206は、接点支持体130が最終的に軸方向磁場コイル120内に組み立てられる場合接点支持体130を受けてセンタリングすることができる。
【0025】
図示のように、例えば、図7Cでは、螺旋セクション122のそれぞれは、軸方向磁場コイル120の外周の回りに対称的に分布させることができる。そのため、図7A図8Bに示す3つの螺旋セクション構成に関して、螺旋セクション122のそれぞれの始点すなわち切り口は、互いから径方向に120度オフセットすることができる。
【0026】
各螺旋セクション(螺旋アームとも称する)122の長さは、部分的には、高さH(図7B、すなわち、素形材200の高さに等しい)、螺旋セクション122の各切り口のピッチP(図7D)、各螺旋セクション122の各切り口及び断面領域125の幅W(図7D)等の相関する幾何形状要件によって決めることができる。高さHは、真空チャンバ28内の空間要件によって制限される場合がある。ピッチPは、各螺旋セクション122間の必要な断面領域及び幅Wによって制限される場合がある。各切り口の幅Wは、各螺旋セクション122を通る電流を絶縁する空隙をもたらすのに十分であるべきである。本発明の1つの実施態様によれば、幅Wは共通軸44に沿って(すなわち、共通軸44に対して平行に)測定することができ、螺旋セクション122の断面領域は、電流要件/電圧要件によって及びシャフト42の断面領域に関して規定することができる。
【0027】
1つの例において、各螺旋セクション122の高さHを0.6インチ(1.5cm)、ピッチPを0.86、幅Wを0.07インチ(0.17cm)、断面を0.0441平方インチ(0.28平方cm)とすると、軸方向磁場コイル120のベース124から各螺旋セクションの遠位端部まで、軸方向磁場コイル120全周の約0.7周に相当する螺旋アーム122を提供することができる。結果として、軸方向磁場コイル120の3つの螺旋セクション122は、合計2.1周(すなわち0.7×3)を呈することが効果的である。他の実施態様において、他の値のH、P、及びWを用いることができることが理解されるべきである。
【0028】
他の実施態様によれば、任意の形態の複数の螺旋セクション122を用いて、2よりも大きい合計周数(すなわち巻き数)を呈することができる。例えば、少なくとも1.0周する2つの螺旋セクション又は少なくとも0.5周する4つの螺旋セクションを用いることができる。概して、複数の螺旋セクションは、軸方向磁場コイル120の外周の回りに対称的(例えば、各螺旋セクションが同じ径方向オフセット及びピッチを有する)に分布することができる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、真空インタラプタにおいて使用する接点組立体は、第1の導電材料(すなわち、Cu/Cr合金)の接点円板と、コイルと、接点支持体とを備えることができる。コイルは、第2の導電材料(すなわち、Cu)によって作製され、共通軸を共有する複数の螺旋セクションを有する。螺旋セクションのそれぞれは、近位端部及び遠位端部を有し、螺旋セクションのそれぞれが、近位端部において第2の導電材料によって作製されたベースに結合され、遠位端部において接点円板に結合されるようになっている。接点支持体は、コイル内で軸方向にセンタリングされ、ベースから接点円板まで延びる。
【0030】
別の実施態様によれば、同一の接点組立体(例えば、接点組立体100−1及び100−2)を、真空チャンバ(例えば、真空チャンバ28)内の固定導電シャフト(例えば、シャフト32)と可動導電シャフト(例えば、シャフト42)に装着することができる。
【0031】
例示的な実施態様の上述の記載は、例及び説明を提供するものであり、網羅的であることも、本明細書に記載の実施形態を開示の厳密な形態に限定することも意図していない。上記の教示に鑑みて変更及び変形を為し得るか、又は実施形態の実施から変更形態及び変形形態を得ることができる。例えば、本明細書に記載の実施態様は、中電圧機器又は低電圧機器等の他の装置に関して用いることもできる。
【0032】
本発明を上記で詳細に記載したが、当業者には、本発明の趣旨から逸脱することなく本発明を変更することができることが明らかであることが明確に理解される。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本発明に対して形状、設計、又は構成の種々の変更を行うことができる。従って、上述の説明は、限定ではなく例示とみなされるものであり、本発明の真の範囲は添付の特許請求の範囲において規定されるものである。
【0033】
本願の説明に用いられている要素、動作、又は指示は、本発明にとって決定的又は本質的であると明示的に記載されていない限り、本発明にとって決定的又は本質的とみなされるべきではない。また、本明細書で用いるとき、数量を限定しない語句は、1つ又は複数の項目を含むことが意図されている。さらに、「に基づき」という句は、別様に明示的に述べられていない限り、「に少なくとも一部基づき」を意味することが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B