(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271552
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】発泡性飲料を製造するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20180122BHJP
B01F 1/00 20060101ALI20180122BHJP
B01F 3/04 20060101ALI20180122BHJP
B01F 5/00 20060101ALI20180122BHJP
B01F 5/18 20060101ALI20180122BHJP
B01F 5/10 20060101ALI20180122BHJP
B01F 15/02 20060101ALI20180122BHJP
B01J 7/00 20060101ALI20180122BHJP
B01J 7/02 20060101ALI20180122BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20180122BHJP
A47J 31/44 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
A23L2/00 T
B01F1/00 D
B01F3/04 A
B01F3/04 Z
B01F5/00 D
B01F5/18
B01F5/10
B01F15/02 A
B01F15/02 C
B01J7/00 A
B01J7/02 Z
B01J4/00 102
A47J31/44 100
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-529205(P2015-529205)
(86)(22)【出願日】2013年8月18日
(65)【公表番号】特表2015-534498(P2015-534498A)
(43)【公表日】2015年12月3日
(86)【国際出願番号】IL2013050699
(87)【国際公開番号】WO2014033705
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年6月13日
(31)【優先権主張番号】61/693,820
(32)【優先日】2012年8月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/685,050
(32)【優先日】2012年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515055834
【氏名又は名称】ソー スパーク リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SO SPARK LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シャレブ、ピンカス
【審査官】
増田 健司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/094677(WO,A1)
【文献】
特開平6−86978(JP,A)
【文献】
特開2006−263253(JP,A)
【文献】
実開昭55−122750(JP,U)
【文献】
特開平1−139128(JP,A)
【文献】
米国特許第4040342(US,A)
【文献】
特開平10−302141(JP,A)
【文献】
特開2004−215551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00− 2/84
B01F 1/00− 5/26
B01J 4/00− 7/02
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性飲料を製造するための方法であって、前記方法は、
圧力チャンバーと、ボトルに連結可能である加圧密封されるボトル供給パイプと、を準備する工程と、
加圧密封方式で、液体が充填されたボトルを、加圧密封されるボトル供給パイプに取り付ける工程と、
実質的に乾燥した重炭酸ナトリウム粉末を前記チャンバー内に配置する工程と、
前記チャンバーを加圧密封する工程と、
重炭酸ナトリウムから二酸化炭素を放出させるために前記チャンバー内で前記実質的に乾燥した重炭酸ナトリウム粉末を150〜200℃の範囲の温度に加熱する工程と、
放出された二酸化炭素を前記加圧密封されるボトル供給パイプを介して前記ボトルに供給する工程と、
前記二酸化炭素を前記ボトル内の前記液体に溶解させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ボトルから液体をポンプ輸送し、かつそれを噴霧して前記ボトルへ戻すための循環手段を作動させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加熱する工程が、前記チャンバーの周囲に位置する電気ヒータを通電することにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記加熱する工程が、前記実質的に乾燥した重炭酸ナトリウム粉末に誘導加熱エネルギーを供給することにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
液体に二酸化炭素ガスを供給するための装置であって、前記装置は、
実質的に乾燥した重炭酸ナトリウム粉末が充填されるように構成された、加圧密封される圧力チャンバーと、
液体に前記チャンバーから前記二酸化炭素ガスを供給するためのガス導管であって、その近位端で前記チャンバーと連結されたガス導管と、
重炭酸ナトリウムから二酸化炭素を放出させるために前記チャンバー内で前記実質的に乾燥した重炭酸ナトリウム粉末を150〜200℃の範囲の温度に加熱するためにエネルギーを供給する熱エネルギーユニットと、
を含み、前記チャンバーは、ベース要素およびキャップ要素を含み、前記ベース要素および前記キャップ要素は、閉鎖位置では前記チャンバー内の圧力を保つように、かつ開放位置にある時には開放して物質の入出を可能にするように構成されている、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置は容器キャップをさらに含み、前記容器キャップは、前記導管が、加圧密封方式で、前記容器キャップを通るように配置されており、前記容器キャップは、前記導管の遠位端から離れて配置され、液体が充填された容器が前記容器キャップに合せられ、固定された時に、前記導管の前記遠位端が前記液体中に確実に浸漬されるようになっている、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置は循環手段をさらに含み、前記循環手段は、
循環ポンプと、
入口導管であって、同入口導管の入口ポートで前記ポンプに連結され、かつ前記容器が前記装置に取り付けられて液体が充填されている時にその自由端が前記容器内の前記液体中に浸漬されるように構成された、入口導管と、
出口導管であって、同出口導管の出口ポートで前記ポンプに連結され、かつ前記ポンプから受け取った液体を前記容器のヘッドスペース中に噴霧するように構成された、出口導管と、
を含む装置。
【請求項8】
前記ベース要素が、前記ベース要素の内面から突出する加熱フィンを含めて形成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記熱エネルギーユニットが、前記実質的に乾燥した重炭酸ナトリウム粉末に熱を供給するための1以上の電気発熱要素を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記熱エネルギーユニットが、誘導加熱機構により前記実質的に乾燥した重炭酸ナトリウム粉末に電磁エネルギーを供給するための電磁素子を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項11】
前記熱エネルギーユニットがマイクロ波ヒータである、請求項6に記載の装置。
【請求項12】
請求項6に記載の装置は圧力制御ユニットをさらに含み、前記圧力制御ユニットは、
熱管理ラインと、
前記ガス導管中の圧力の示度を与える圧力伝送器または圧力ゲージのうちの少なくとも一方と、を含み、
前記圧力制御ユニットは、前記熱エネルギーユニットにより前記圧力を制御するために前記熱エネルギーユニットへ温度調節信号を供給する、装置。
【請求項13】
前記ガス導管が冷却要素として成形され、
冷却要素として成形された前記ガス導管の外面に空気を流すように構成された冷却ファンをさらに含む請求項6に記載の装置。
【請求項14】
前記圧力が所定の圧力レベルを超えた時に前記チャンバーから圧力を除去するための安全圧力出口をさらに含む、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性飲料を製造するためのシステム、方法およびカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
発泡性飲料は、二酸化炭素を液体中に溶解させることにより、典型的には、二酸化炭素を含む液体を加圧することにより製造される。発泡性飲料の圧力が低い場合、二酸化炭素の気泡が形成され、溶液から出てくることがある。
【0003】
二酸化炭素は、典型的には、加圧タンクまたはカートリッジにおいて加圧ガスとして提供される。例えば、炭酸水は、再充電可能なソーダサイフォン、または使い捨ての二酸化炭素カートリッジによって作製することができる。ソーダサイフォンには冷水が充填され、二酸化炭素が圧力下で添加され得る。このようにして製造される発泡性飲料はわずかにガスを含んだ状態になる傾向がある。
【0004】
代替的に、カーボネーター(carbonator)または炭酸化機(carbonation machine)を使用してもよい。カーボネーターは、Sodastream(商標名)などの家庭用規模の機械から大規模カーボネーターまである。カーボネーターは、加圧チャンバー中へ水をポンプ輸送し、そのチャンバーにて水は加圧タンクからのCO
2と合わせられる。加圧炭酸化された水は、典型的には、シロップの形態の、香味料と混合され得る。
【0005】
しかしながら、加圧CO
2タンクは製造に費用がかかり、取り扱いに注意を要する。加圧CO
2タンクの輸送はそれらの重量が重く圧力が高いことから困難である。また、加圧CO
2タンクを飛行機で(in plains)空輸することは許可されていない。加えて、加圧CO
2タンクの再補充には、タンクをサービスサイトへ持って行く必要があり、それは負担である。
【0006】
CO
2はまた、化学反応、例えば重炭酸ナトリウムとクエン酸との反応によっても提供され得る。しかしながら、この方法は、その化学反応によって飲料の味に影響を及ぼし劣化させ得る塩のような他の材料がもたらされることから現実的ではない。液体と塩との分離は困難であり、そのことがこのアプローチを非現実的なものにしている。
【0007】
Plesterの特許文献1には、使い捨てのガス発生カートリッジにおいて操作される内部CO
2供給システムを含むポータブルカーボネーターが開示されている。水を炭酸化し、かつ/または推進力を与える(propels)試薬間の化学反応によってCO
2を発生させる。特許文献1に開示されているシステムは、炭酸水をくみ出す時は必ず一定のガス圧を維持するものである。特許文献1に開示されているカーボネーターは、非常に複雑であり、例えば、
図4に示されているような、固定および可動の(動的な)多くの機械的要素を含む。
【0008】
Plesterの特許文献2には、共通の容器内に含まれる2つの試薬間の化学反応によりガスを化学的に発生させるCO
2ガス発生器が開示されている。その発生器は、基準圧力の一定の基準でヘッドスペースガス圧を維持するようにガスを自動供給することを目的とする。使い捨てのガス発生器ユニットに基づいて、専門家ではない使用者による使用が容易な装置を提供すると主張しているが、実際には、この特許による装置は、例えば、その
図3A〜
図3Lに見られるように、容器内の容器、ガスの廃棄および試薬の放出を制御するように作製された機械弁などを含む非常に複雑な機械要素を含む。
【0009】
Guptaの特許文献3には、水を炭酸化するためにCO
2ガスを分配するための装置および方法が開示されている。その装置および方法は、水の存在下で2つの化学活性試薬を用いるガス発生器を使用する。その装置は、炭酸液を通るCO
2の連続流を可能にしながら、ヘッドスペース内の圧力を十分に高いレベルで維持するためのブリードを教示している。
【0010】
Stumphauzerの特許文献4には、1つの圧力容器で起こる化学反応を用い、そのCO
2を第2の圧力容器へ移して水を迅速に炭酸化するための装置および方法が開示されている。開示されている装置および方法の1つの目的は、CO
2を迅速に発生させ、水を炭酸化するための、簡単で費用のかからない効率的な方法を提供することである。しかしながら、その装置は、例えば、
図1に開示されているように、非常に複雑であり、それを駆動する多数の部品を含み、簡単であることからかけ離れている。
【0011】
Rudickの特許文献5には、液体を炭酸化するためのCO
2ガス発生器を自動制御するための装置および方法が開示されている。そのガス発生器は、化学的に隣接した時に反応し、ガスを生成する液体試薬を収容するための2つの液体チャンバーからなる。この場合もまた、開示されている装置は、複雑であり、多数の部品を含み、使い捨ての試薬パッケージでは動作しない。
【0012】
Blaxterの特許文献6には、炭酸化される水を二酸化炭素とともに、ポンプ輸送により脱気水も供給される炭酸化容器と、水および二酸化炭素を炭酸化容器に供給する混合ポンプとへポンプ輸送する炭酸化装置が開示されている。
【0013】
Stumphauzerの特許文献7には、液体を迅速に炭酸化するための装置および方法が開示されている。その装置は、連結された2つの容器からなり、それらの容器では、二酸化炭素化合物と、その化合物と化学反応した時にガスを生成する水とを用いてガスが生成される。その装置は、非常に嵩高いものであり、多数の部品(弁、シール、ばね、導管など)を含む。
【0014】
Novakの特許文献8には、液体を炭酸化するためのシステム、方法およびカートリッジが開示されている。二酸化炭素は、液体中へ溶解させるCO
2ガスを発生させるために使用されるカートリッジ中で供給され得る。
【0015】
Novakらの特許文献9には、飲料を形成するための前駆液を炭酸化するためのシステム、方法およびカートリッジが開示されている。Novakらにより開示されているシステムおよび方法は、ゼオライトを炉内で550℃の温度に5時間曝した後、直ちにゼオライトビーズを密封金属容器へ移し、その容器に二酸化炭素を大量に送り込み、その容器を34.47〜220.6kPa(5〜32psig)まで1時間加圧することによりゼオライトに二酸化炭素を装入することを必要とする。このプロセスの間に、ゼオライトビーズに二酸化炭素が装入されるが、この二酸化炭素は、水または他の流体だけでなく、水蒸気および湿気に曝された時にも放出される可能性がある。従って、装入されたゼオライトは、湿気のない施設内で、かつ、耐湿性パッケージで包装する必要がある。上記装入プロセスによって、炭酸飲料の製造のためのカートリッジの調製に比較的費用がかかることになると考えられる。上記システムおよび方法の別の不都合な点は、装入されたゼオライトは湿気の影響を極めて受けやすく、湿気または流体との相互作用によりカートリッジからの二酸化炭素の放出が活発になることである。よって、そのようなカートリッジの保存期間は限られており、カートリッジ内のゼオライトの密封パッケージに対する機械的損傷を避けるには注意して取り扱う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5,182,084号明細書
【特許文献2】米国特許第5,350,587号明細書
【特許文献3】米国特許第4,636,337号明細書
【特許文献4】米国特許第5,192,513号明細書
【特許文献5】米国特許第5,021,219号明細書
【特許文献6】英国特許第323102号明細書
【特許文献7】国際公開第94/10860号
【特許文献8】国際公開第2011/094677号
【特許文献9】米国特許出願公開第2011/226343号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
二酸化炭素ガスを供給するための装置が開示されており、同装置は、二酸化炭素を含む物質が充填されるように構成された加圧密封される圧力チャンバーと、同チャンバーからガスを供給するためのガス導管であって、その近位端で同チャンバーと連結されているガス導管と、同チャンバー内で同物質を加熱するべくエネルギーを供給するための熱エネルギーユニットと、圧力が所定の圧力レベルを超えた時に同チャンバーから圧力を除去するための安全圧力出口と、を含み、同チャンバーは、ベース要素およびキャップ要素を含み、同ベース要素および同キャップ要素は、閉鎖位置ではチャンバー内の圧力を保つように、かつ開放位置にある時には開放して物質の入出を可能にするように構成されている。方法は、ボトルから液体をポンプ輸送し、かつ、それを噴霧して同ボトルへ戻すための循環手段を作動させる工程をさらに含み得る。同方法は、熱の供給が、同チャンバーの周囲に位置する電気ヒータを通電することにより、マイクロ波方式の発熱要素を使用することにより、または物質に誘導加熱エネルギーを供給することにより行われる点を特徴とし得る。
【0018】
また、発泡性飲料を製造するための方法も開示されており、同方法は、圧力チャンバー、およびボトルに連結可能でありかつ加圧密封可能なボトル供給パイプを準備する工程と、加圧密封方式で、液体が充填されたボトルを、加圧密封されるボトル供給パイプに取り付ける工程と、二酸化炭素を含む物質をチャンバー内に配置する工程と、同チャンバーを加圧密封する工程と、基体(substrate)に熱を供給する工程とを含む。同装置は、容器キャップをさらに含み得る。同キャップは、導管が加圧密封方式で同キャップを経由して通るように配置されており、同キャップは、同導管の遠位端から離れて配置され、液体が充填された容器が容器キャップに合せられ、固定された時に、導管の遠位端が液体中に確実に浸漬されるようになっている。装置は、循環ポンプと、入口導管であって同入口導管の入口ポートでポンプに連結され、かつ容器が装置に取り付けられて液体が充填された時にその自由端が容器中の液体中に浸漬されるように構成された入口導管と、出口導管であって同出口導管の出口ポートでポンプに連結され、かつポンプから受け取った液体を容器のヘッドスペース中に噴霧するように構成された出口導管と、を含む循環手段をさらに含み得る。
【0019】
さらに、二酸化炭素ガスを供給するための装置中でガスを生成するためのカプセルが開示されており、同カプセルは、固体、粉末、湿潤粉末、溶液、エマルジョンおよび懸濁液の形態のうちの一つの形態である重炭酸ナトリウムを含む。同カプセルは、食味添加物、香味添加物、および着色添加物からなるリストからの少なくとも1つの添加物をさらに含み得る。1または複数の前記添加物は、固体状態または流体状態のいずれかであり得る。付随的に又は代替的に、同カプセルは、高透磁率を有する鉄系材料または他の材料のチップを含み得る。同カプセルは、非鉄系材料の薄いエンベロープ中に封入することができ、この場合には、同エンベロープ中で生成されたガスの放出を可能にするように、エンベロープには、その壁中に1以上の穴が形成されている。同エンベロープは、2つ以上のコンパートメントを有し得る。前記コンパートメントの少なくとも1つは、固体または粉末形態の二酸化炭素担体材料を含み得、少なくとも1つの更なるコンパートメントは、同二酸化炭素担体材料からのガス放出を開始するために同エンベロープを加熱する前に同二酸化炭素担体材料を湿潤させるための流体を含み得る。
【0020】
本発明と見なされる主題を
、明瞭に特許請求している。しかしながら、本発明は、構成および操作方法の両方、ならびにその目的、特徴、および利点に関しては、以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と合わせて読めば最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態による炭酸化(carbonating)システムの概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による、発泡性飲料の製造のための加圧ガス供給システムの概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による、発泡性飲料の製造のためのガス供給システムの概略図である。
【
図4】本発明の実施形態による、発泡性飲料の製造のためのガス供給システムの概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による、発泡性飲料の製造のためのガス供給システムの概略図である。
【
図6A】
図6Aおよび
図6Bは、本発明の2つの実施形態によるガス生成ユニットの中央を横断して作成した2つのガス生成ユニット形態の断面図である。
【
図6B】
図6Aおよび
図6Bは、本発明の2つの実施形態によるガス生成ユニットの中央を横断して作成した2つのガス生成ユニット形態の断面図である。
【
図6C】
ガス生成ユニット620の任意の上面図である。
【
図6D】
ガス生成ユニット620の任意の上面図である。
【
図6E】
ガス生成ユニット630の任意の上面図である。
【
図6F】
ガス生成ユニット630の任意の上面図である。
【
図7】本発明の実施形態によるガス生成ユニットの中央を横断して作成したガス生成ユニットの断面図である。
【
図8A】本発明の実施形態による、例えば、発泡性飲料の製造のためのCO
2などのガスの供給方法のフローチャートである。
【
図8B】本発明の実施形態による、例えば、発泡性飲料の製造のためのCO
2などのガスの供給方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面の簡略化および明瞭化のために、図面に示した要素は、必ずしも一定の縮尺比で描かれたものではないことを理解されたい。例えば、一部の要素の寸法を、明瞭化のために他の要素よりも拡大していることがある。さらに、適切と考えられる場合には、対応または類似する要素を示すために参照番号を図面間で繰り返していることがある。
【0023】
以下の詳細な説明では、本発明の理解を深めるために数多くの具体的な詳細を示す。しかしながら、当業者には、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実施できることが理解されるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、および成分を詳細に記載していない。
【0024】
本発明の実施形態をこの点に関して限定するものではないが、本明細書において用いる用語「複数(plurality)」および「複数(a plurality)」とは、例えば、「多数(multiple)」または「2以上」を包含し得る。用語「複数(plurality)」または「複数(a plurality)」は、2つ以上の成分、装置、要素、ユニット、パラメータなどを記載するために、明細書を通じて使用することができる。特に断りのない限り、本明細書に記載する方法の実施形態は、特定の順序またはシーケンスに制約されるものではない。加えて、記載する方法の実施形態またはその要素の一部は同じ時点で存在してよく、または行ってよい。
【0025】
組成物をその組成物の熱分解温度より高い温度まで加熱して、それを分解することはよく知られている。同様に、組成物を相転移温度より高い温度まで加熱して、その組成物に相転移を生じさせることもよく知られている。例えば、CO
2を含む組成物を熱分解温度より高い温度まで加熱することによりそれを分解することができ、そのようにして分解された材料からCO
2を放出させることができる。多くの場合、そのようなプロセスはか焼、またはか焼反応として知られている。例えば、石灰石をか焼する場合、その化学反応を表す。
【0026】
CaCO
3→CaO+CO
2(g)
つまり、か焼プロセスは、石灰石を石灰(酸化カルシウム)と二酸化炭素とに分解するプロセスである。主に大規模(工業規模)で行われるか焼プロセスの周知の例は、組成物から特定の望ましくない成分を除去するものである。一例は、結晶水を除去するための、ボーキサイトおよびセッコウのか焼の場合のような含水鉱物の分解である。別の例は生石油コークスに含まれる揮発性物質の分解であり、さらに別の例はゼオライト合成中のアンモニウムイオンの除去である。
【0027】
液体に炭酸ガスを入れるための装置および方法は数多く知られている。幾らかのものは、個人用の炭酸飲料の製造でさえも、複雑で嵩高い装置および多段階からなる方法を必要とする。複数の公知の装置および方法では、ガス飲料を作り出すために化学的に活性化されると、液体の炭酸化(carbonation)に使用され得る二酸化炭素を放出する試薬対の使用が開示されている。他の装置および方法は、高圧容器に収容されている予備加圧されたCO
2を利用し、加圧されたCO
2がその高圧容器から飲料が入っている容器中に放出され、その飲料が炭酸化され得る。CO
2生成のための試薬対の使用は、化学反応が起こるまで試薬を互いに離しておくための手段を必要とし、当技術分野で公知の多くの装置では、炭酸化プロセスを制御するために複雑で嵩高い炭酸化装置を必要とする。加圧CO
2容器の使用は一般にはあまり複雑ではなく、そして炭酸化する装置の使用が試薬対の化学反応に基づく。しかしながら、加圧CO
2の容器の取り扱いは一般に不便であり、使い捨てでない容器の場合、店舗から充填された容器を運び、そして店舗へ空になった容器を戻すといった負担がある。
【0028】
本明細書において以下に記載する本発明の実施形態の発明者は、か焼プロセス中に比較的少量の重炭酸ナトリウムから放出され得るCO
2の量が非常に多いことを発見した。例えば、35g重量の重炭酸ナトリウムのタブレットから、約60〜200℃の温度でか焼すると、炭酸化レベル(carbonation level)約2〜4容量、および温度2〜15度を有する1.5リットル量で水または類似の液体を炭酸化するのに十分な量でCO
2は放出される。このCO
2生成率は、他の公知の方法と比べて非常に高い。これは使用者の希望により、約25g重量の重炭酸ナトリウムタブレットから1リットルの容器に対して十分であるCO
2の量を生成することを可能にする。
【0029】
本明細書において後にCO
2担体と呼ぶ、二酸化炭素(CO
2)を含む重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)または他の物質などの材料を加熱することにより、CO
2ガスを放出することができる。例えば、密閉容器内で固体形態の重炭酸ナトリウムを分解温度より高い温度まで加熱する場合、以下が適用される。
【0030】
2NaHCO
3(s)⇔Na
2CO
3(s)+H
2O(g)+CO
2(g)
他の状態および形態の、例えば、乾燥粉末もしくは湿潤粉末、または溶液もしくはエマルジョンの状態の重炭酸ナトリウムにも、必要な変更を含めて同じことが適用される。
【0031】
本発明の実施形態によれば、炭酸飲料とも呼ばれている発泡性飲料は、CO
2担体を加熱することにより、かつ放出されたCO
2ガスを水または、ジュースもしくはワインなどの他の液体中に溶解させることによって製造することができる。
【0032】
70℃(摂氏度)を超える温度では、重炭酸ナトリウムは炭酸ナトリウム、水および二酸化炭素へと徐々に分解する。変換は200℃では速い。例えば、8gの重炭酸ナトリウムを摂氏180度で加熱することにより、1.5リットルのCO
2ガスを生成することができる。市販の発泡性飲料の高炭酸化レベルに到達するためには、2リットルの液体に対して3〜4リットルのガスが必要である。従って、約16〜35gの重炭酸ナトリウムを加熱することにより、2リットルの発泡性飲料に対して十分なガスを生成することができる。
【0033】
本発明の発明者により行われた実験によれば、重炭酸ナトリウムなどのCO
2担体の湿潤粉末、懸濁液または溶液の使用では、その溶液、懸濁液または湿潤粉末を加熱する温度が、乾燥粉末からの生成と比較して低くても、同じ生成速度で同様の量のCO
2ガスの生成を可能にすることができる。例えば、25gの乾燥重炭酸ナトリウム粉末を180℃の温度まで加熱すると、およそ100〜130秒で2リットルのCO
2ガスが得られる。同じ量の重炭酸ナトリウムの溶液形態での使用では、同様の速度で、同じ容量のCO
2ガスが生成されるのは加熱する温度が180℃より低い時である。その溶液を加熱する温度が高くなるほど得られるガス生成速度が速くなることは理解されるであろう。しかしながら、重炭酸ナトリウムを、200℃(摂氏度)を超える温度まで加熱すると、重炭酸ナトリウム粒子の密封が起こり、その後、CO
2がその粉末の粒子内に捕捉される可能性があることに留意しなければならない。
【0034】
本発明の実施形態によれば、CO
2担体を溶液、懸濁液、エマルジョンまたは湿潤粉末の状態で使用する場合、その溶液もしくは懸濁液に用いる溶媒またはその粉末を湿潤させるのに用いる流体は、水、食用油または芳香油であり得る。代替的に又は付随的に、溶媒としてまたは粉末を湿潤させるのに用いる流体は、風味付けされた流体であり得る。
【0035】
ここで、
図1を参照する。この図は、本発明の実施形態による炭酸化システム10の概略図である。システム10は、ガス導管23を介し、ガス処理プラグ24を通ってガス処理ポート23Aに連結されたCO
2生成ユニット20を含み得る。ガス生成ユニット20は、ガス生成ベース要素20B、ガス生成キャップ要素20A、熱エネルギー供給ユニット20Cおよび圧力安全弁20Dを含み得る。ベース要素20Bおよびキャップ要素20Aは、2つの出口を有する耐圧チャンバー21を形成するように設計されている。第1の出口は、ガス導管23への連結部である。この出口は、システム10を炭酸化に使用している時に、加圧されたCO
2を供給するために用いられる。第2の出口は、チャンバー21内部の圧力が所定の値より高い時に、安全弁20Dを介して出口となり得る。ガス導管23は、その遠位端の近くに、液体容器100などの容器を固くかつ安全に取り付けるように構成され得るガス処理プラグ24と、容器100中の液体中に浸漬させて、それにCO
2を供給するように構成されたガス処理ポート23Aとを有し得る。チャンバー21は、例えば、タブレット15などのタブレット(またはカプセル)の形態の、特定量のCO
2担体材料に適合するように設計されている。チャンバー21に、重炭酸ナトリウムなどのCO
2担体材料が入り、それがしっかりと閉じられると、その担体材料は、電気エネルギーにより通電された時に熱エネルギー供給ユニット20Cにより加熱され得る。担体材料15の温度が分解値に到達したら、熱エネルギー供給ユニット20Cを開放してよく、その圧力が十分に高く(導管23および容器100内のアイドリング状態の圧力より高く)上昇すると、CO
2が容器100中へ流れ始め、容器100中の液体の炭酸化が始まる。CO
2生成および供給の速度は、例えば、分解の温度の管理により制御され得る。
【0036】
図2を参照する。この図は、本発明の実施形態による、発泡性飲料の製造のための加圧ガス供給システム200の概略図である。本発明の実施形態によれば、システム200は、チャンバーキャップ要素204Aおよびチャンバーベース要素204Bを含む高圧チャンバー204を含み得る。圧力チャンバー204は、加圧密封されるボトル供給パイプ202を通じて液体容器(またはボトル)201に連結可能である。パイプ202は、一方の端部でチャンバー204に、もう一方の端部でパイプ出口202
Aを通じてボトル201に連結し得る。パイプ出口202
Aは、ボトル1に挿入され得る。ボトルキャップ202
Bは、パイプ202のボトル201への連結を封止可能にするために、パイプ202上に組み立てられ得る。CO
2担体材料ユニット205は、そのキャップ要素204Aおよびベース要素204Bが互いにしっかりと閉じられる前に、チャンバー204内に配置され得る。また、システム200は、圧力チャンバー204を加熱するための加熱装置207およびその中に入れられるその担体材料ユニット205も含み得る。圧力チャンバー204が閉じられ、加熱されると、圧力チャンバー204内のCO
2担体材料ユニット205が加熱され、CO
2ガスが圧力チャンバー204中へ放出される。放出されたガスは、圧力チャンバー204からパイプ202、ボトルキャップ202
Bおよびパイプ出口202
Aを通ってボトル201中へ流れ得る。作動中、システム200は、137.9〜1034kPa(20〜150psi)、またはそれより高い圧力下にあり得る。従って、システム200のボトル201への連結を形成するボトルキャップ202
Bおよびパイプ出口202
Aは、システム200の圧力レベルを維持し、これらの圧力レベルで加圧密封されるべきであり、従って、圧力チャンバー204、ボトル201、およびパイプ202であるべきである。
【0037】
当技術分野で周知の通り、物質の沸点とは、液体の蒸気圧がその液体周囲の圧力に等しく、その液体が蒸気へと変わる温度である。よって、液体周囲の圧力の上昇は、流体が沸点に到達する温度の上昇をもたらす。つまり、周囲の圧力が高い液体は、その液体が大気圧にある時よりも沸点が高くなる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によれば、CO
2担体材料は、圧力チャンバー204内部のCO
2担体材料ユニット205内に配置してよく、加熱前に湿潤させてよい。湿潤形態のCO
2担体材料を加熱する場合、CO
2担体材料を湿潤させる流体が液体状態のままである限り、その流体は熱伝導体として機能する。圧力チャンバー204は加圧密封されているため、圧力チャンバー204内でのCO
2担体材料の加熱によりチャンバー204内の圧力が上昇し、その結果、チャンバー204内の流体が蒸発する温度が上昇する。そのため、その流体は大気圧下より高い温度でその熱伝導性を維持し、従って、100℃を超える温度までのCO
2担体材料の加熱プロセス中、熱伝導体としてなお有効である。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、加熱装置207は誘導加熱装置であり得る。他の実施形態によれば、加熱装置207はマイクロ波ヒータであり得る。
システム200は、チャンバー204内部の温度を測定し、加熱装置207にフィードバックを提供して、その温度を、例えば、150〜400℃の間にあるように調整するために温度センサーを含み得る温度調節器206を含み得る。ユニット205中のCO
2担体材料が湿潤形態の場合、より低い温度が必要とされ得ることは理解されるであろう。さらに、上述の通り、担体材料が重炭酸ナトリウムである場合、200℃を
超える温度まで加熱することは有益ではない。
【0040】
CO
2担体材料ユニット205は、粉末(乾燥または湿潤のいずれか)、タブレット、カプセルなどのような任意の好適な形態で提供され得る。CO
2担体材料ユニット205は、ガスとして放出され、飲料と混ざり得る様々の他の香味材料とともに混合されるかあるいは提供され得る。例えば、タブレットは、1つの重炭酸ナトリウム層および複数の添加物層を含み得る。
【0041】
ここで、
図3を参照する。この図は、本発明の実施形態による、発泡性飲料の製造のためのガス供給システム300の概略図である。システム300は、
図2のシステム200とかなり似ているかもしれないが、システム300は、パイプ320中を流れるガスを冷却するためのファン303をさらに含み得る。ファン303は、例えば、生成されたガスのより効率的な冷却を可能にするように螺旋形のものであり得る。
【0042】
ここで、
図4を参照する。この図は、本発明の実施形態による、発泡性飲料の製造のためのガス供給システム400の概略図である。システム400は、ガス導管23を介し、ガス処理プラグ24を通ってガス処理ポート23Aに連結されたCO
2生成ユニット20を含み得る。ガス生成ユニット20は、ガス生成ベース要素20B、ガス生成キャップ要素20A、熱エネルギー供給ユニット20Cおよび圧力安全弁20Dを含み得る。ベース要素20Bおよびキャップ要素20Aは、2つの出口を有する耐圧チャンバー21を形成するように設計されている。第1の出口は、ガス導管23への連結部である。この出口は、システム400を炭酸化に使用している時に、加圧されたCO
2を供給するために用いられる。第2の出口は、チャンバー21内部の圧力が所定の値より高い時に、安全弁20Dを介して、使用可能となる。ガス導管23は、その遠位端の近くに、液体容器100などの容器を固く取り付けるように構成され得るガス処理プラグ24と、容器100中の液体中に浸漬させて、それにCO
2を供給するように構成されたガス処理ポート23Aとを有し得る。チャンバー21は、
図1に関して記載したチャンバー21と同様に設計され、かつ機能し得る。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、ガス生成ユニット20は、固体または乾燥粉末の形態でチャンバー21内に配置されたCO
2担体材料を湿潤させるために、ガス生成ユニット20の外部にある供給源(例えば、液体容器100)から、耐圧チャンバー21中へ流体を導入するための入口(示されていない)をさらに備え得る。チャンバー21への入口は一方弁(示されていない)であってチャンバー21中で生成されたガスがそこから出ることを防ぐ一方弁をさらに含み得ることを当業者は理解できるであろう。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、チャンバー21中へ導入される流体は、水であり得る。他の実施形態によれば、チャンバー21中へ導入される流体は、香味および/または着色添加物などの添加物を含む水であり得る。本発明のさらに追加の実施形態では、チャンバー21中へ導入される流体は、食用油および/または芳香油であり得る。他の実施形態によれば、その流体は、水と芳香油などの油とのエマルジョンであり得る。他の流体を用いてもよいことが理解されるであろう。
【0045】
システム400は、その遠位端を容器100内の液体中に浸漬させるように構成された導管40Aを介して容器100から液体をポンプ輸送し、かつ、その液体を導管40Bを介して容器100中へ戻すように構成された、ポンプなどの循環手段40をさらに含み得る。一実施形態によれば、導管40Aおよび40Bは、処理プラグ24を経由して通っていてよいが、他の実施形態を利用してもよい。別の実施形態または追加の実施形態によれば、導管40Aおよび40Bは、導管40Aおよび40B中の流体を所望の温度まで冷却するために熱交換器(示されていない)を通してもよい。循環手段40から遠位側にある導管40Bの先端は、プラグ24から離れていてもよく、このことにより、容器100が実質的に直立位置にある時にその先端が容器100中の液体の外に残ることが確実となる。導管40Bを介して戻された液体は、例えば、液体を噴霧の形で提供するように導管40Bの遠位端を形成することによって、容器100のヘッドスペース中へ噴霧され得る。循環手段40の操作によってもたらされる循環は、液体中へのCO
2の溶解を向上させ(すなわち、容器中に溶解したCO
2ガスの量を消費し(expend))、速めることができる。本出願に記載する発明の発明者は、システム400が容器100内部の圧力と圧力平衡状態にある時、特定量のガスが溶解した後、炭酸液が容器100からポンプ輸送され、それが噴霧されてそのヘッドスペースへ戻されるように循環手段40が作動することによって、液体中へのガスの溶解速度が上昇し、その結果、追加のガスが液体中に溶解したために容器100内部の圧力が低下し、これによって、CO
2生成ユニット20によって生じる圧力は容器100内部の圧力より高くなり、それゆえ、ガスの追加量が容器100へ供給されるということを見出した。従って、循環手段40は、液体中により多くの量のガスを溶解させ得るようにするために、ガス生成ユニット20によるガス生成中に連続的にまたは周期的に作動させてよい。容器100内に配置された酸性度インジケータは、循環手段を作動し続けていると、容器100中の液体の酸性度の上昇が繰り返されることを示し、これは、循環手段40の作動によって容器100中のCO
2ガスの量が増えたことを示している。容器100内の液体中にCO
2ガスを溶解させるための、当技術分野で公知の任意の他のシステムおよび方法を用いてもよいことが理解される。
【0046】
ここで、
図5を参照する。この図は、本発明の実施形態による、発泡性飲料の製造のためのガス供給システム500の概略図である。チャンバー20、導管23、プラグ24およびガス処理ポート23Aが組み込まれ、
図1の実施形態におけるそれぞれの要素と非常によく似た働きをし得る。システム500は、圧力伝送器/ゲージ表示30A、圧力制御
装置30Bおよび熱管理ライン30Cを含む圧力制御ユニット30をさらに含み得る。生成ガスの圧力は、ガス導管23内または同じような場所で測定され得る。ガス圧は圧力制御
装置30Bにより表示され得る。圧力制御ユニットは、測定されたガス圧が第1の所定値を超えた時には熱エネルギー供給ユニット20Cを切り、その圧力が第2の所定圧力値を下回った時には加熱を再開し得る単純なオン/オフ式ユニットとして機能し得る。他の実施形態では、制御
装置30Bは、より複雑な制御機能、例えば、測定された圧力と基準値との差の比例、微分および積分(proportional, derivative and integral)(PID)制御の1以上の組合せを果たし得る。より迅速な応答、より正確な、結果として生じる圧力などを得るために、他の制御機能も利用してよい。
図1、
図4および
図5のタブレット15または
図2および
図3のタブレット205などの活性材料に伝達された熱量が、生成ガスの放出の総量および速度に影響を及ぼし、それにより、与えられた熱量によってタブレット15またはタブレット205の、分解温度より高い温度への到達が起こると、ガスが放出し始め、それより高い温度では放出速度が増すことは当業者には明らかであろう。
【0047】
本発明の実施形態によれば、様々な加熱方法のリストからの1以上によりタブレットに熱を伝達することができる。ここで、
図6Aおよび
図6Bを参照する。これらの図は、ガス生成ユニットの中央を横断して作成した2つの異なるガス生成ユニット形態620および630のそれぞれの断面側面図である。
図6C、
図6Dおよび
図6E、
図6Fも参照する。これらの図は、本発明の2つの実施形態による前記の任意の上面図である。ガス生成ユニット620および630は、熱伝導機構により対応するタブレット650および652に熱を伝達するように設計されている。熱は、発熱器(例えば、1以上の電気ヒータ素子)として形成され得る熱エネルギー供給ユニット620C、630Cで生成され、加熱チャンバーベースユニット620B、630Bを介してタブレット650、652に伝導される。タブレット650、652と相互作用する表面積のサイズを高熱伝導能にするために、ベースユニット520B、630Bの底部内面はそれぞれ、チャンバー620、630の内側に向かって底部から突出する加熱フィンを含むように作製される。これらの凸部はそれぞれ加熱フィン622、632を形成し、
図6A、
図6Bの図の面に対して垂直な図では、加熱フィンは
図6C/
図6Dまたは
図6E/
図6Fのそれぞれに示す形態を有し得る。これらの図面では、突出するフィンは太い黒線で記載されている。次に、タブレット650、652は、対応するフィン622、632とゆるく嵌合する凹部を含むように形成される。熱伝達のさらなる向上は、重炭酸ナトリウム溶液または湿潤粉末などの湿潤形態のCO
2担体材料を用いることにより達成することができる。
図4を参照して上記したように、いくつかの実施形態によれば、タブレット650、652におけるCO
2担体材料は、乾燥形態のものであり得、加熱前に、流体入口(示されていない)を介してガス生成ユニット620および630中へ導入される流体により湿潤させてもよい。
【0048】
本発明の実施形態によれば、熱は、誘導加熱機構を用いて、ガス生成ユニット中のタブレット内部で生成することができる。ここで、
図7を参照する。この図は、本発明の実施形態による、ガス生成ユニットの中央を横断して作成したガス生成ユニット720の断面図である。この実施形態では、ガス発生ユニット720の熱エネルギー供給ユニット720Cは、誘導加熱について当技術分野で公知のように、誘導AC電磁発電機として形成されている。タブレット750は、その中にほぼ均一に広がった、鉄または鉄系合金のチップを含む。いくつかの実施形態によれば、これらのチップは、高透磁率を有する他の材料で作製され得る。熱エネルギー供給ユニット720Cが通電されると、電磁エネルギーによってタブレット750内部の鉄/鉄系チップの加熱が行われ、次に、タブレットの活性材料が加熱される。本発明の発明者によって行われた実験では、熱エネルギー供給ユニット720Cに供給される電力は熱伝導機構で機能するヒータに供給される電力と等しいが、同じ量の重炭酸ナトリウムを有するタブレットの加熱により、熱伝導機構と比べて短い時間内で同じ温度までの加熱が生じ、生成CO
2ガスの量は熱伝導機構を用いて生成されたガスより多いことが観察された。
【0049】
誘導加熱を用いて使用するために作製されたタブレットは、定められた期間内で十分な加熱を提供するように計算された特定量の鉄系チップを含み得る。別の実施形態によれば、発熱材料は炭素チップであり得る。タブレット中のチップのサイズ、球状密度および分散の均一性レベルは、必要な加熱レベルおよびその加熱に必要な時間を達成するように選択することができる。いくつかの実施形態によれば、CO
2ガス生成用のタブレットは、食味添加物、香味添加物、着色添加物などをさらに含み得る。
【0050】
本発明の発明者によって行われた実験では、誘導機構を用いてタブレットを加熱する時、タブレット分解速度とガス生成速度は、加熱チャンバーの温度が低い伝導加熱による場合と同じように保つことができることが見出された。
【0051】
加熱チャンバーユニット720Aおよび720Bは、電磁エネルギーを活性化する時にその加熱を最小にする非鉄系金属で作ることができる。
次に、
図8Aおよび
図8Bを参照する。これらの図は、本発明の実施形態による、例えば発泡性飲料の製造のためのCO
2などのガスの供給方法のフローチャートである。ブロック810では、圧力チャンバー、およびボトルに連結可能であり、かつ加圧密封されるボトル供給パイプを含むシステムが準備される。ブロック820では、ボトルに液体が充填され、加圧密封方式で同ボトルが前記システムに取り付けられる。ブロック830では、重炭酸ナトリウムまたは二酸化炭素を含む他の物質などのCO
2担体が前記圧力チャンバー内に配置される。ブロック840では、前記圧力チャンバーが加圧密封され、ブロック850では、前記圧力チャンバーが加熱される。
図8Bのブロック845に見られるように、本発明のいくつかの実施形態によれば、前記圧力チャンバーが加圧密封された後、流体が外部流体供給源から、例えば、前記ボトルから前記圧力チャンバー中へ導入され得る。前記チャンバー中へ導入された流体は、前記圧力チャンバー中のCO
2担体を湿潤させることができ、熱伝導体としての役割を果たすことができる。ブロック860では、前記担体(前記圧力チャンバー内に配置されている)から放出されたCO
2ガスが前記パイプを通って前記ボトル中へ流れる。選択的に、循環手段を作動させて、前記容器から液体をポンプ輸送し、かつ、それを噴霧して前記容器中のヘッドスペースへ戻すことができる。その後、前記ガスが、ブロック870では前記ボトル中に見られる液体中に溶解し、発泡性飲料がもたらされる。
【0052】
本発明による方法のいくつかの実施形態によれば、前記圧力チャンバー中への流体の導入は、前記圧力チャンバー内にあるCO
2担体の加熱の前に行ってよい。
発泡性飲料の調製に関連して本発明の実施形態を記載したが、本発明の実施形態はこの用途に限定されない。炭酸液が必要とされる任意の他の好適な用途でも本発明の実施形態によれば炭酸液を製造することができる。