特許第6271556号(P6271556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6271556照明システムを管理するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271556
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】照明システムを管理するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
   H05B37/02 L
   H05B37/02 D
   H05B37/02 E
   H05B37/02 G
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-532534(P2015-532534)
(86)(22)【出願日】2013年8月28日
(65)【公表番号】特表2015-529388(P2015-529388A)
(43)【公表日】2015年10月5日
(86)【国際出願番号】IB2013058053
(87)【国際公開番号】WO2014045138
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2016年8月24日
(31)【優先権主張番号】61/704,026
(32)【優先日】2012年9月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パテル ムーラン ダヒーアバイ
【審査官】 山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−134001(JP,A)
【文献】 特開2006−210045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02 − 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムにおいて動作可能である、環境における照明を管理する方法であって、
前記環境内の少なくとも1つの人工照明源に関連付けられた照度情報を受信するステップと、
自然光源に関連付けられた照度値を決定するステップと、
前記少なくとも1つの人工照明源と前記自然光源との照度を示す混合光の照度に対する前記自然光源の前記照度値の尺度を決定するステップと
前記混合光の少なくとも1つの追加の特徴を、前記自然光源及び前記少なくとも1つの人工照明源の対応する少なくとも1つの追加の特徴に基づいて、決定するステップと、
前記少なくとも1つの追加の特徴のターゲットレベル、及び照度のターゲットレベルを維持するように、前記少なくとも1つの人工照明源の前記照度、及び前記少なくとも1つの人工照明源の前記少なくとも1つの追加の特徴調節を調整するステップと、
を含み、
前記調節は、前記混合光の照度に対する前記自然光源の前記照度値の決定された前記尺度に基づいている、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの追加の特徴は、演色評価数、相関色温度、色品質スケール、色域指数、色域スケール、色彩調和レンダリング指数、及び、デルタUVからなる群から決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記環境が占有状態であるか、又は、非占有状態であるかに基づいて、前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルを設定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記環境が快適モードにあるか、需要節約モードにあるか、又は、省エネモードにあるかに基づいて、前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルを設定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルは、前記快適モードにおいて、前記需要節約モード及び前記省エネモードにおけるターゲットレベルよりも高い、請求項に記載の方法。
【請求項6】
オンピーク、中間ピーク及びオフピークからなる群から選択されるモードに関連付けられた入力に基づいて、前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルを設定するステップを更に含み、
前記オンピークのターゲットレベルは、前記オフピークのターゲットレベルよりも大きい前記中間ピークのターゲットレベルよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルは、所定スケジュール、使用時間、公共料金設定及び受信した入力値のうちの1つに基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
環境内の照明を管理するシステムであって、
前記環境内の複数のセンサユニットと、
メモリと、
を含み、
前記メモリは、コンピュータによってアクセスされると前記コンピュータに、
前記複数のセンサユニットの選択されたセンサユニットから入力を受信するステップと、
少なくとも1つの照明源と自然光源とが寄与する照度を決定するステップと、
前記自然光源と前記少なくとも1つの照明源との組み合わせによって提供される全照度に対する前記自然光源によって提供される照度の割合に関連付けられる因子を決定するステップと、
前記少なくとも1つの照明源の照度と少なくとも1つの追加の特徴とのうちの少なくとも1つを、前記自然光源に関連付けられた対応する少なくとも1つの追加の光源及び前記自然光源の照度に基づいて、対応するターゲットレベルに調節することを調整するステップと、
を実行させるコードを含み、
前記少なくとも1つの追加の特徴の前記調節は、決定された前記因子に基づいている、システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの追加の特徴は、演色評価数、相関色温度、色品質スケール、色域指数、色域スケール、色彩調和レンダリング指数、及び、デルタUVからなる群から決定される、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記環境が占有状態であるか、又は、非占有状態であるかに基づいて、前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルを設定するステップを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルは、前記占有状態の環境において、前記非占有状態の環境におけるターゲットレベルよりも高い、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記環境が快適モードにあるか、需要節約モードにあるか、又は、省エネモードにあるかに基づいて、前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルを設定するステップを更に含む、請求項に記載のシステム。
【請求項13】
オンピーク、中間ピーク及びオフピークからなる群から選択されるモードに関連付けられた入力に基づいて、前記少なくとも1つの追加の特徴の前記ターゲットレベルを設定するステップを更に含み、
前記オンピークのターゲットレベルは、前記オフピークのターゲットレベルよりも大きい前記中間ピークのターゲットレベルよりも大きい、請求項に記載のシステム。
【請求項14】
コードを含むコンピュータプログラムであって、前記コードは、コンピュータシステムにロードされると、前記コンピュータシステムに、
環境内の少なくとも1つの照明源に関連付けられた照度情報を受信するステップと、
自然光源に関連付けられた照度値を受信するステップと、
前記少なくとも1つの照明源と前記自然光源とを示す混合光の照度に対する前記自然光源の前記照度値の尺度を決定するステップと
前記混合光の少なくとも1つの追加の特徴を、前記自然光源及び前記少なくとも1つの照明源の対応する少なくとも1つの追加の特徴に基づいて、決定するステップと、
前記少なくとも1つの追加の特徴のターゲットレベル、及び照度のターゲットレベルを維持するように、前記少なくとも1つの人工照明源の前記照度、及び前記少なくとも1つの照明源の前記少なくとも1つの追加の特徴調節を調整するステップと、
を実行させ、
前記調節は、前記混合光の照度の尺度に対する前記自然光源の前記照度値の決定された前記尺度に基づいている、コンピュータプログラム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの追加の特徴は、演色評価数、相関色温度、色品質スケール、色域指数、色域スケール、色彩調和レンダリング指数、及び、デルタUVからなる群から決定される、請求項14に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、照明の分野に関し、より具体的には、発光効率を上げ、コストを削減するために光を管理するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビル、住宅、駐車場、車庫等におけるような既存の照明システムは、人間がその中で暮らしたり仕事をしたりする安全かつ快適な環境状態を提供する。
【0003】
しかし、従来の照明システムは、照明源が作動している必要のない場合でも当該照明源が作動していることによって、相当量のエネルギーを使用する。例えば窓のあるオフィス又は住宅において、オフィス内に自然光が入れば、照明システムを作動させる必要性は軽減される。
【0004】
したがって、照明源のエネルギー消費量を削減するために、更には、照明源の作動の必要性を減少させるために多くの技術が採用されてきている。例えば蛍光照明源及びコンパクト蛍光(CFL)照明源が、白熱照明源に取って代わられてきている。発光ダイオード(LED)は、照明源として利用されている利用可能な技術である。
【0005】
更に、(照明源のタイプに関わらず)照明源の動作を制御するために、ユーザがある領域内に入ると照明源をオンにする動きセンサが使用される。照明源は、ユーザが当該領域から出て、後続の動きが検出されないとオフにされる。同様に、照明源を囲む周囲光状態に基づいて光源の強度を減少させる光センサが使用される。
【0006】
したがって、照明源のタイプの変更と照明源の動作とが大幅なコスト及びエネルギーの削減を提供する一方で、エネルギー消費量及びコストの削減を更に推し進める必要が業界において依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、許容照明状態を提供するために人工照明源の特性のダイナミック調節を提供する一方で、当該許容照明状態を作り出す際の動作のコストは削減する方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、環境における照明を管理する方法が開示される。当該方法は、環境内の少なくとも1つの人工照明源に関連付けられた照度情報を受信するステップと、自然光源に関連付けられた照度値を決定するステップと、少なくとも1つの人工照明源と自然光源とを示す混合光の照度に対する自然光源の照度の尺度を決定するステップと、混合光の照度のターゲットレベルを達成するように、少なくとも1つの人工照明源の照度を調節するステップと、混合光の少なくとも1つの追加の特徴を、自然光源及び少なくとも1つの人工照明源の対応する少なくとも1つの追加の特徴に基づいて、決定するステップと、少なくとも1つの追加の特徴のターゲットレベルを維持するように、少なくとも1つの人工照明源の少なくとも1つの追加の特徴を調節するステップとを含み、当該調節は、混合光の照度に対する自然光源の照度の決定された尺度に基づいている。
【0009】
当然ながら、「人工照明源」との用語は、発光ダイオード(LED)及び他の同様のタイプの電灯光源といった1つ以上の様々なタイプの照明源を表す。
【0010】
本発明の別の態様では、環境内の照明を管理するシステムが開示される。当該システムは、環境内の複数のセンサユニットと、複数のセンサユニットと通信するコンピュータ又はプロセッサと、メモリとを含み、当該メモリは、プロセッサによってアクセスされると、当該プロセッサに、複数のセンサユニットの選択されたセンサユニットから入力を受信するステップと、少なくとも1つの人工照明源と自然光源とからの照度をそれぞれ決定するステップと、自然光源と少なくとも1つの人工照明源との組み合わせによって提供される全照度に対する自然光源によって提供される照度の割合に関連付けられる因子を決定するステップと、少なくとも1つの人工照明源の照度と少なくとも1つの人工照明源の少なくとも1つの追加の特徴とのうちの少なくとも1つを、自然光源の照度と自然光源に関連付けられた対応する少なくとも1つの追加の特徴とに基づいて、対応するターゲットレベルに調節するステップとを実行させるコードを含み、少なくとも1つの追加の特徴の調節は、決定された因子に基づいている。
【0011】
本発明の別の態様では、上記特徴は、自然照明状態、需要応答信号、占有状態検知、スケジュール及び動作状態に基づいて調節される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の利点、特質及び様々な追加の特徴は、添付図面に関連して詳細に説明される例示的な実施形態を検討することにより、より詳細に明らかとなろう。添付図面中、全図を通し、同じ要素を特定するために同じ参照符号が使用される。
【0013】
図1A図1Aは、例示的な電気ネットワーク構成を示す。
図1B図1Bは、例示的な光管理システムを示す。
図2図2は、図1Aに示される例示的な電気ネットワーク構成の拡大図を示す。
図3図3は、本発明の原理に従う例示的なプロセスのフローチャートを示す。
図4図4は、本発明の例示的な適用のグラフを示す。
図5図5は、本発明の例示的な適用のグラフを示す。
図6図6は、本発明の例示的な適用のグラフを示す。
図7図7は、本発明の例示的な適用のグラフを示す。
図8図8は、本発明の一態様に従う状態遷移図を示す。
図9図9は、本発明の一態様に従う状態遷移図を示す。
図10図10は、本発明の別の態様に従う状態遷移図を示す。
図11図11は、本発明の別の態様に従う状態遷移図を示す。
図12図12は、本発明の更に別の態様に従う状態遷移図を示す。
図13図13は、本発明の更に別の態様に従う状態遷移図を示す。
図14図14は、本発明の更に別の態様に従う状態遷移図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当然ながら、本明細書に説明される本発明の図面及び説明は、本発明の明確な理解に必要な要素を説明するために簡略化され、その一方で、明瞭にする便宜上、多くの他の要素は省略されている。これらの要素は、当技術分野において良く知られており、また、本発明の更なる理解に役立つわけではないので、本明細書では、これらの要素の説明は提供されない。本明細書における開示は、当業者には知られている変形態様及び修正態様にも関する。
【0015】
図1Aは、電源110と、電源110から電力を受け取り、対応する領域130、140内の複数の負荷デバイスに給電する配電網120とを含む例示的な電気ネットワーク100を示す。電源110は、火力発電所、核発電所、水力発電所、又は、任意の他の従来の発電所のうちの1つ以上であってよい。更に、電源110は、例えば風、太陽、バイオ燃料等の再生可能エネルギー発電所であってもよい。
【0016】
領域又は環境130、140は、オフィスビル、ショッピングモール、住宅、車庫、駐車場、トンネル、及び、1つ以上の領域に照明を提供するために電力を必要とする他の同様の領域を示す。例えば領域130は、様々な閉鎖領域134、136、138と、2つの開放領域135、137とを示す。これらの領域のそれぞれに、電力が電力分配システム132を介して提供される。同様に、領域140も3つの閉鎖領域144、146、148と、2つの開放領域145、147とを示し、これらは、電力分配システム142から電力を受け取る。当然ながら、領域130、140と、これらの領域130、140のそれぞれにおける閉鎖領域及び開放領域との数は、本発明の原理を説明するために過ぎず、領域と、各領域130、140における閉鎖領域及び開放領域との数は、本発明の範囲を変更することなく、変えてもよい。
【0017】
図1Bは、例示的な光管理システム150を示す。図1Bは、領域内への自然光の入射を提供する窓を含む領域134といった領域に適した光管理システムを示す。しかし、当然ながら、図1Bに示される光管理システム150の原理は、ブラインドコントローラ165と、セットポイント198の対応する調節とを適切に含むか又は含まない他の領域(例えば領域136及び領域138)にも適用可能である。
【0018】
図1Bでは、自然光160は、通常は、1つ以上の窓及び/又は天窓を通ってある領域(空間又はゾーン)内に入射する。入射する自然光の照度は、1つ以上の外部センサ又は太陽光追尾装置155によって測定される。外部センサからの情報は、例えばブラインドコントローラ165に提供され、当該ブラインドコントローラは、空間又は環境に入射する自然光の量を増加及び/又は減少させるように、電動ブラインド170に制御信号を提供する。例えばブラインドコントローラは、自然光の所望のレベルに基づいて位置(ブラインド要素の高さ及びスラット角)を決定するプロセッサを含む。この自然光の所望のレベルは、例えば時間に基づいて予め決定されても、外部入力部(図示せず)によって提供されてもよい。
【0019】
更に、電灯光(人工光)コントローラ180は、1つ以上の電灯光源又は人工光源190に制御信号を提供する。制御信号は、人工光源の照度と、本発明に関して説明されるように、人工光源又は電灯光源190の1つ以上の追加の特徴とを調節するために使用される。
【0020】
次に、光センサ195によって、電動ブラインド170を介して提供される自然光と、電灯光源190を介して提供される人工光との組み合わせが測定される。光センサは、日光及び人工光の全照度への寄与を確認することができる。光センサ195の出力は、次に、この図示される例では、加算器197に提供される。加算器は、所望のセットポイント198に基づいて、人工光源又は電灯光源190の照度(及び他の追加の特徴)の所望レベルを決定する。セットポイント198は、占有状態、時刻、公共料金設定、ユーザ入力等といった基準に基づいて決定される。
【0021】
図1Bは、要素197を加算器として示しているが、当然ながら、要素197は、デジタル的に提供された情報を処理するプロセッサを示してもよい。同様に、セットポイント198、電灯光コントローラ180及びブラインドコントローラ165の要素も、デジタル的に提供された情報を処理する1つ以上のプロセッサによって示されてもよい。
【0022】
更に、電灯光源の照度及び他の追加の特徴のセットポイントは、時刻に基づいてといったように所定の方法又はスケジュールで設定されても、変化した状態に基づいて電灯光源又は人工光源を調節することを要求するコマンド(図示せず)を受信したことに反応して設定されてもよい。例えば電気・ガス・水道等の供給業者が、緊急時に、電気消費量を低減することを要求し、セットポイントを変更させるコマンドを発行して、任意の予め決定されていたスケジュールを無効にしてもよい。或いは、セットポイントは、予め決定されていたスケジュールが、ある空間又は領域が使用されていると考えられない時間に当該空間又は領域が依然として使用されているかどうかに基づいて、その予め決定されていたスケジュールから変更されてもよい。或いは、セットポイントは、受信した入力値に基づいて、予め決定されていたスケジュールから変更されてもよい。例えば、ある空間は、人がいない場合には、低照明状態モード(例えば博物館)にされる。しかし、空間が使用されるべきであり、光状態がより明るい又はより快適な照明モードにあげられるべきであることを示す入力が(動きセンサから)受信されることもある。別の例では、使用中の空間が、快適な照明モードにあるが、要求に応じて、更に明るい照明状態が必要とされることもある。この場合、より明るいレベルの照明を実現させる入力が処理される。
【0023】
図2は、領域130内の領域134、135、136の拡大図を示す。領域134は、例えば、少なくとも1つの窓220と扉210とを含む。窓220は、領域130内への自然光の入射を可能にする。領域130は更に、領域130への照明を提供する少なくとも1つの照明要素240を含む。スイッチ230が、領域130内の照明要素240のうちの選択された照明要素をオン又はオフにする。スイッチ230は、従来のオン/オフスイッチ、動きセンサスイッチ、及び、周囲光センサのうちの1つであっても、照明要素240の照明出力を制御する他のデバイスであってもよい。
【0024】
領域135は、開放領域又は多用途領域で、この領域も、少なくとも1つの照明要素240を含む。多用途領域135は、様々な領域の間の廊下であってよい。多用途領域135内の照明要素240を制御するスイッチは、当該領域の近くにあっても遠くにあってもよく、遠隔スイッチは、複数の多用途領域における照明要素を制御してもよい。
【0025】
領域136は、扉250はあるが窓のない閉鎖領域を示す。この場合、照明要素によって提供される照明が、領域136における唯一の照明源である。
【0026】
本発明の原理に従って、各領域タイプにおける照明要素を管理する方法が開示される。
【0027】
日光と少なくとも1つの電灯光源(即ち、人工光源)とを含む領域134を参照するに、人工光源によって生成される光の強度は、日光の強度が増加するにつれて減少されることが知られている。
【0028】
しかし、発光効率及び演色評価数(CRI)は、光源の2つの重要な性能測定基準である。光源の発光効率は、光源がどれくらい効率的に可視光を生成するのかを示す尺度である。発光効率は、放射された全光束と入力された電力との割合である。発光効率は、通常、SI単位系でワット当たりのルーメン(lm/W)で表現される。
【0029】
CRIは、理想光源又は自然光源と比較して、物理的対象物の真の色をレンダリングする光源の能力を示す尺度である。光源の演色性能は、そのスペクトルパワー分布によって決定される。可視領域全体に分布される広い発光スペクトルは、一般に、高いCRIをもたらす。所定の形の自然光と黒体放射体とは、100のCRI値を有する。全般照明目的には、70台のCRI値が「許容可能である」と見なされ、80よりも大きい値は、「優れている」と見なされる。スタジオ、博物館、アートギャラリー及び展示ホールでは高CRIの光源が望ましい一方で、街路照明用途では高発光効率の光源が望ましい。
【0030】
発光効率及び演色は、光源のスペクトルだけで決定される。発光効率と演色との間には、根本的なトレードオフがある。つまり、発光効率の向上には、CRIを犠牲にしなければならず、その反対も然りである。LEDといった最新の光源は、CRIのダイナミック調節を可能にする。
【0031】
したがって、本発明の原理に従って、日光の変化に反応して、電灯光源のCRIをダイナミック調節しつつ、日光と人工光との組み合わせ(即ち、混合光)のCRIを所望のターゲットレベルに維持することが望まれる。日光のCRIは100に近いので、混合光における日光の寄与が増加すると、混合光のCRIを所望の、ターゲットの又は所定のレベルよりも上に維持したままで人工光源のCRIを減少させることができる。例えば日光のない夜間、人工光源のCRIは、高品質の照明環境を維持するために、所望の値(例えば85)に設定される。その一方で、混合可視光環境において日光と人工光との寄与が等しい場合(例えばそれぞれ50%)、人工光のCRIは、より低い値(例えば70)に設定されるが、混合光の所望の全CRIは達成される。つまり、50%の寄与での70という低いCRIと、50%の寄与での100という日光のCRIとは、合わせて、85(即ち、70*0.5+100*0.5=85)のCRIをもたらす。この場合、大幅なエネルギー節約が実現されると同時に、混合光の品質が維持される。
【0032】
図3は、本発明の原理に従う、照明状態を考慮してCRIを制御する例示的なプロセス300のフローチャートを示す。この例示的なプロセスでは、基準位置(例えば領域134)における全照度が、日光照度Iと人工光照度Iとの合計である。ステップ310において、基準位置における電灯光(人工光)強度の照度が決定され、ステップ320において、基準位置における日光(自然光)の照度が決定される。ステップ330において、基準位置における日光照度Iの全照度(I+I)に対する比(θで示される):
【数1】

が決定される。
【0033】
同じ位置における電灯光の全照度に対する正規化された寄与は、1−θ:
【数2】

によって与えられる。
【0034】
ステップ340において、人工光源、日光及び混合光のそれぞれのCRIが得られる及び/又は決定される。日光、電灯光及び混合光(即ち、日光+電灯光)のCRIは、それぞれ、C、C及びCで示される。これらの量間の関係は、次式:
θC+(1−θ)C=C
によって特徴付けられる。
【0035】
日光のCRIは良く知られており、決定できる(ステップ350)。
【0036】
θのリアルタイム値は、光センサ(図1B参照)を使用して決定できる。上記の通り、混合光の好適なCRIは、適用に依存する。全般照明目的には、70台のCRI値が「許容可能である」と見なされ、80よりも大きい値は「優れている」と見なされる。したがって、ターゲットCRI値は、ユーザの希望に基づいて決定される状態に基づいて設定される。
【0037】
所与の適用について、混合光の所望のCRI値を決定することもできる(ステップ360)。したがって、混合光のCRIを所望の閾値(ターゲットレベル)に又はそれよりも上に維持するための電灯光の最小CRI値は、ステップ370において、次式:
【数3】

の通りに導き出される。
【0038】
ステップ380において、電灯光のCRIを少なくともCに維持することによって、混合光のCRIが確実に少なくともCとなる。
【0039】
図4は、本発明の原理に従う、予め決定されたスケジュールに従って、混合光の所望の又は所定のCRIを維持しつつ、閉鎖領域(例えば領域134)に入射する自然光の変化を考慮したCRIの調節の動作のグラフ400を示す。この例示的な動作では、図4は、X軸上に、例示的な日にちである2012年1月1日の午前0時過ぎから翌日(即ち、2012年1月2日)の午前0時前までの間の時刻を示す。左端のY軸は、ある領域、空間又は環境の照度(ルクス)を表し、右端のY軸は、当該空間(又は環境)におけるCRIを表す。
【0040】
線410は、1日目の午前0時過ぎから翌日の午前0時前までの間の基準位置(空間、環境)における1日を通しての日光の照度(ルクス)の標準的な変化を表す。当然ながら、日の出(午前6時頃)から日の入り(午後6時頃)まで日光が増加するにつれて、自然光の照度は(午前6時における)最小値から正午における最大値(例えば380ルクス)に増加し、(午後6時における)最小値に戻る。
【0041】
本発明の処理の一例として、基準位置(例えば領域134)におけるターゲット照度は500ルクスである。500ルクスの照度を維持するために、人工光源は、日光の照度の増加に比例して、調光(即ち、強度調光)される。したがって、線430によって示される人工光源が寄与する照度は、日光の照度が増加するにつれて減少する。したがって、日光がないときにターゲット照度を維持するように、最初は500ルクスのターゲット照度に設定されていた人工光源の照度は、日光の照度が午前6時頃から正午頃にかけて増加するにつれて、減少される。その後、電灯光源の照度は、日光の照度が正午から午後6時にかけて減少するにつれて、日光と人工光源との組み合わせによって生成される混合光の照度が所望の照度(例えば500ルクス)を維持するように、増加される。
【0042】
更に、線405は、自然光の通常のCRI(即ち、100パーセント)を示し、線440は、混合光の所望のCRI(即ち、線420によって示されるように85)を維持するために、本発明の原理に従って変動する電灯光源のCRIを示す。この図示される例では、電灯光源のCRIは、日光のないとき(例えば午前0時過ぎと午前6時との間)は、所望の値(例えば85)に設定される。午前6時から正午にかけて日光が増加するにつれて、電灯光源のCRIは、電灯光源の強度が調節されることによって、変更される。したがって、電灯光源の強度が調節されるにつれて電灯光源のCRIを変化させることによって、混合光のCRIが、線420によって示されるように、所望レベル(例えば85)に維持される。更に、日光が(正午から午前6時にかけて)減少するにつれて、電灯光源のCRIは、混合光(即ち、日光と人工光源)の組み合わせたCRIが所望のレベル(例えば85)に維持されるように、再び増加される。
【0043】
したがって、電灯光のCRIを、自然光源の存在下で、ダイナミックに変化させることによって、照明全体の品質を維持しつつ、従来の強度調節によって提供される節約以上に大幅にエネルギーを節約することができる。
【0044】
図5は、本発明の原理に従う照明源のCRIの調節の別の例示的な動作のグラフ500を示す。この例示的な動作では、図5のX軸と右側のY軸及び左側のY軸とは、図4に示される軸と同じであり、ここでは繰り返す必要はない。
【0045】
線510は、上記の通り、午前0時過ぎから午前0時前までの間の基準位置における1日を通しての日光の照度(ルクス)の標準的な変化を示す。基準位置(例えば領域134)におけるターゲット照度は、ここでも、例示的な500ルクスに設定される。500ルクスの照度を維持するために、電灯光は、図4に関して上記されたように、日光に比例して調光され、これは、線530によって示される(強度調節)。しかし、この場合、自然光の照度が、午前10時頃に、所望の500ルクスを超えるので、照明又は人工光源の出力は、ゼロにされる(線540)。つまり、日光だけでターゲット照度を提供するのに十分であるので、人工光源から照明を提供してエネルギーを消費する必要がない。人工光源の出力はゼロにされるので、人工光源のCRIもゼロとなり、混合光のCRIは、85(線520)から、自然光のCRIに匹敵する100(線505)に上昇する。同様に、時間の経過と共に自然光が減少すると、日光の照度は、(午後2時頃に)ターゲット照度を下回る。人工光源が、ターゲット照度を維持するために十分な照度を提供するように、オンにされる。人工光源からの照度は、日光が減少するにつれて、ターゲット照度(例えば500ルクス)が維持されるように、増加する。更に、線530によって示されるように、人工光源のCRIは、混合光のCRIを所望のレベル(例えば85)に維持するために、増加される。
【0046】
図6及び図7は、それぞれ、本発明の原理に従う人工光源の強度調節のない照明、電灯光又は人工光源のCRIの調節の例示的な動作のグラフ600、700を示す。図6及び図7の軸は、図4に関して説明された軸と同様であり、これらの量の説明は、ここで繰り返す必要はない。
【0047】
図6中、線610は、自然光の照度を示し、線630は、人工光源が寄与する照度を示す。線605及び線620は、上記の通り、それぞれ、自然光のCRI及びターゲット混合光のCRIを示す。線640は、日光の照度(線610)が増加(減少)するにつれて、混合光(日光+光源)のターゲットCRIをターゲットレベル(例えば85)に維持するための電灯光源のCRIの調節を示す。
【0048】
したがって、人工光源のCRIが、上記されたように調節される(線640)が、人工光源の照度は、当該光源は調光されないので、一定のままである(線630)。
【0049】
図7は、日光の照度がターゲット照度(例えば500ルクス)を超える図5と同様で、また、人工光源が調光されない図6と同様の場合を示す。ここでは、線710は、午前10時頃と午後2時頃との間の期間に、所望のターゲット照度(即ち、500ルクス)よりも大きくなる自然光の照度を示す。線705は、上記の通り、自然光のCRI(即ち、100)を示し、線720は、所望のターゲットレベル(例えば85)に維持された混合光のCRIを示す。線730は、人工光源の照度を示し、線740は、人工光源の調光を行わずに、自然光の照度の増加に合せた当該人工光源のCRIの調節を示す。
【0050】
なお、電灯光源は調光されず、「オン」の状態に維持され、また、混合光のCRIは、所望のCRIに維持されるので、人工光源のCRIが、自然光源(即ち、日光)の照度が増加/減少するにつれて、調節される(線740)。
【0051】
当然ながら、本発明の原理は、空間における日光及び複数の光源の不均一な分布も考慮するように拡大されてもよい。
【0052】
通常、屋内環境又は領域では、日光は、窓又は天窓を通って空間内に入射する。日光の強度は、空間の内部では、窓又は天窓からの距離が増加するにつれて減少する。更に、多くの空間は、複数の光源/照明器具(図2の要素240を参照)を使用して照らされる。したがって、ある領域(例えば領域130)内の基準位置における全CRIは、光源(日光及び電灯光)のCRIの重み付けされた一次結合の合計である。各光源の重みは、当該光源が寄与する照度の割合である。このシナリオでは、上記プロセスを使用して各電灯光源のCRIを個別に導出することによって、適切なCRI分布がもたらされる。
【0053】
したがって、複数の光源のCRI分布のより徹底的な解決策を提供するために、ある環境が、N個のCRIが調節可能な光源と日光とによって照らされる場合、当該環境内に、M個の基準点が画定され、当該環境では、所定値Cよりも上の混合光の所望のCRIが維持される。基準点jにおいて電灯光源iが寄与する照度は、Iijで示される。基準点jにおいて日光が寄与する照度は、IDjで示される。日光のCRIは一定であり、Cで示される。目的は、すべての電灯光源のCRIの合計が最小となるように、cEiで示される各電灯光源(i)のCRIを見つけることである。cEiの実現可能な範囲は、上限(CEMax)と下限(CEMin)とによって境界付けられる。なお、以下の問題の定式化では、電灯光源のCRI(cEi)以外、すべての他の量は決定されている。
【0054】
基準点jにおいて日光が寄与する照度(IDj)は、すべての電灯光源がオフにされているときに、基準点jにある光センサによって測定される。基準点jにおいて電灯光源iが寄与する照度は、電灯光源iがオンであるがすべての他の光源はオフにされ、日光がないときに、基準点jに置かれた光センサによって測定される。日光がある場合には、当該日光は、光センサの測定結果から引かれ、それにより、所与の電灯光の寄与が導出される。
【数4】

【0055】
上記は、良く知られた方法を使用して容易に解くことができる線形最適化問題である。この問題は、日光又は電灯光の強度が変化したときはすぐに再び解かなければならない。日光がない場合、実現可能な解は、i=1、…、Nのすべてについて、cEi=Cと設定することによって、容易に見つけられる。つまり、日光がない場合、すべての電灯光が、所定のCRIに設定されて、確実にCRI要件が満たされる。
【0056】
本発明の一態様によれば、日光がないとき(即ち、図4における午前0時過ぎから午前6時までの間と、午後6時から午前0時前までの間の時間)、又は、照明が、(外部光源のない)領域136内であるとき、照明源のCRIは、CRIと発光効率との間のトレードオフを利用して調節される。
【0057】
この方法の適用の1つは、ピーク料金設定又はピーク需要期間の間は、負荷を軽減してコストを節約することである。公益事業会社は、ピーク需要を満たすようにインフラを整備しなければならず、これは、資本支出が高くなる。更に、短期間で追加の電力を生成することは、高価な技術を利用するため、コストが高い。したがって、ピーク需要を低減するために、公益事業会社は、顧客のピーク需要に比例してより多く課金することによって、顧客に、ピーク需要を減らすように推奨している。顧客は、自身の需要を積極的に管理して、需要の急増を防ぐために、不必要な負荷を減らすための財務上の動機がある。更には、エネルギー不足のときには、公益事業会社は、顧客に需要を減らすように要請する、また、時には、強く要求する需要反応信号を送信する。
【0058】
顧客は、ピーク需要ベースの使用料に加えて、キロワット・アワー(kWHr)で測定される実際の電気使用量に基づいても課金される。電気の料金は、時刻及び季節によっても変化する。負荷シフト/電力平均分配を推奨するために、公益事業会社は、オンピーク時間中は、高料金で課金し、オフピーク時間中は、低料金で課金する。一部の公益事業会社は、オンピーク時間、中間ピーク時間、及び、オフピーク時間について、3段階の料金スケジュールを有し、通常、オンピーク時間の電気料金が一番高く、次に中間ピーク時間が続き、その次にオフピーク時間が続く。したがって、顧客にとっては、ピーク需要を減らすことだけでなく、オンピーク時間の間に、配管網から引き込む電力を少なくすることが有益である。
【0059】
危機的な不足時に、需要の急増によって配管網を飽和状態とさせないために、緊急ピーク時課金(CPP)事象の間の電気の料金は、通常、オフピーク期間に比べて、1桁高い。したがって、オンピーク及びCPP期間の間、配管網からの負荷を減らすと、エネルギーのコストを大幅に削減できる。
【0060】
例えばオフピーク期間(例えば平日の午後11時から午前8時、週末の終日、夏季休暇を含む)の間は、人工照明光源のCRIは、特定の最小値に設定され、オンピーク期間(例えば夏季休暇を除く平日の正午から午後6時)の間は、電灯光源のCRIは、発光効率を最大にしつつ、ゆっくりと低くされてもよい。同様に、光源が、(例えば需要応答又は緊急ピーク課金事象の間に)需要節約モードで動作している場合、CRIを犠牲にしつつ発光効率を最大にする試みによって、大幅な節約が提供される。したがって、例えば図2の領域136といった領域が使用されている(即ち、快適モード)場合、本発明は、発光効率を向上させることを試みつつ、CRIを所定の最小値に維持する。
【0061】
図8は、本発明の例示的な実施形態の状態遷移図800を示す。この実施形態では、光源240(図2)は、需要節約モード810又は快適モード820で動作する。光源が、需要節約モード810で動作するか、又は、快適モード820で動作するかは、公益事業会社からの需要反応信号又は施設(例えば送電網)管理者からの入力に基づいて決定される。快適モード820では、占有者の快適さ及び視力のために、高いCRI値が望ましい。したがって、本発明の原理によれば、快適モード820では、光源は、CRIを、図8にHで示される閾値を上回るように維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。他方で、需要節約モード810が作動している場合、光源は、CRIを、図8にLで示される閾値を上回るように維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。本実施形態では、0<L100である。CRI閾値を高い値Hから低い値Lに変化することによって達成可能な追加の効率の増加は、HとLとの間の絶対差に比例する。大きい差は、高いエネルギー節約につながり、また、その反対も然りである。
【0062】
図9は、本発明の第2の態様の状態遷移図900を示す。本発明のこの態様では、光源は、3つのモード、即ち、オフピーク910と、中間ピーク920と、オンピーク930とのうちの1つで動作する。様々なモード間の状態遷移は、使用時間及び/又は公共料金設定によって決定される。例えばオフピーク料金設定期間の間、光源は、オフピークモード910で動作する。同様に、オンピーク料金設定期間の間、光源は、オンピークモード930で動作する。
【0063】
オフピーク期間910では、高いCRI値が望ましい。したがって、本発明の原理に従って、光源は、CRIを、Hで示される閾値を上回るように維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。他方で、オンピーク期間930の間は、光源は、CRIを、Lで示される閾値を上回るように維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。中間ピーク期間920の間、光源は、CRIを、Mで示される閾値を上回るように維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。本実施形態では、0<L100である。通常、L<M<Hである。
【0064】
当然ながら、多くの適用において、光の強度は、動作モードの変化に伴って変化する。例えば光源は、需要節約モードでは、調光する。更に、光源のCCTも、光源の調光に加えて、変化する。本発明のこの態様の原理は、光源が、調光される、明るくされる、若しくは、同じレベルに維持されるか、又は、光源のCCTが変わる、若しくは、同じレベルに維持されるかに関係なく、適用される。
【0065】
本発明の別の態様は、エネルギーを節約するために、動作状態に基づいて、CRIと発光効率との間のトレードオフをダイナミックに利用することである。例えば空間が使用されている場合、CRIは、特定の値(即ち、ターゲット値)に設定されるが、当該空間が使用されていない場合、CRIは、発光効率を最大にしつつ、ゆっくりと低くされる。同様に、光源が、省エネモードで動作する場合、本発明の原理に従って、CRIを犠牲にしつつ、発光効率を最大とする試みがなされるが、快適モードでは、本発明は、発光効率を向上させることを試みつつ、CRIを所定値に維持する。
【0066】
図10は、図2の領域135といった領域内の状態遷移図1000を示す。当該領域は、緊急時避難路であるため、当該領域が使用されていてもいなくても照明が維持されることが必要である。
【0067】
本実施形態では、光源240は、占有モード1010、又は、非占有モード1020で動作する。空間(例えば領域135)が使用されているかいないかは、当該空間をモニタリングする関連の占有状態/動きセンサ(又は他のタイプのセンサ)からの入力に基づいて決定される。赤外線、超音波及び/又はマイクロ波技術を使用して、空間が使用されているかいないかを検出できる様々な占有状態センサが市販されている。占有状態1010では、占有者の快適さ及び視力のために、高いCRI値が望ましい。同様に、監視応用でも、動きが検出されると、高画質のために、高いCRI値が望ましい。したがって、本発明の原理によれば、占有状態1010では、光源は、CRIを、Hで示される閾値(ターゲット値)を上回るように維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。他方で、空間が空く(非占有状態1020となる)と、光源は、CRIを、Lで示される別の閾値を上回るように維持しつつ、発光効率を最大限とするように駆動される。本発明のこの実施形態では、0<L100である。CRI閾値を高い値Hから低い値Lに変化することによって達成可能な追加の効率の増加は、HとLとの間の絶対差に比例する。大きい差は、高いエネルギー節約につながり、また、その反対も然りである。
【0068】
図11は、本発明の別の実施形態の状態遷移図を示す。本実施形態では、光源は、快適モード1110か、省エネモード1120で動作する。快適モードと省エネモードとの間の状態遷移は、以下の条件のうちの1つ以上によって決定される。
1)電力が主電源から引き込まれる場合、モジュールは、快適モード1110で動作する。しかし、主電源供給が中断され、モジュールに給電するためにバックアップ電源(例えば電池)が使用される場合に、モジュールは、省エネモード1120に遷移する。
2)モジュールは、通常の営業時間の間は、快適モード1110で動作する。しかし、定時過ぎの時間(例えば夜間及び週末)の間、モジュールは、所定のスケジュールに基づいて、省エネモード1120に遷移する。
3)映画撮影及び写真撮影といった応用では、光モジュールは、カメラがアイドル状態にあるときは、省エネモード1120で動作する。他方で、光モジュールは、カメラがオン状態になると、快適モード1110で駆動される。
【0069】
快適モード1110では、高いCRI値が望ましい。したがって、本発明の原理に従って、光源は、CRIを、Hで示される閾値(ターゲット値)を上回るように維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。他方で、省エネモード1120では、光源は、CRIを、Lで示される閾値(ターゲット閾値)を上回るように維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。本実施形態では、0<L100であり、通常、L<Hである。
【0070】
当然ながら、多くの適用において、光の強度は、動作モードの変化に伴って変化する。例えば光源は、省エネモードでは調光される。本発明の原理は、光源が、調光される、明るくされる又は同じレベルに維持されるかに関係なく、適用される。
【0071】
本発明の別の態様は、エネルギーを節約するために、動作状態に基づいて、相関色温度(CCT)をダイナミックに調節することである。例えば空間が使用されている場合、CCTは、特定の値に設定されるが、当該空間が使用されていない場合、CCTは、高い発光効率のために、犠牲にされる。同様に、光源が、省エネモードで動作する場合、本発明の原理に従って、CCTがゆっくりと低くなることを可能にしつつ、発光効率は最大にされるが、快適モードでは、光源は、発光効率を向上させることを試みつつ、CCTを所定の値(即ち、ターゲット値)に維持する。
【0072】
図12は、本発明の一実施形態の状態遷移図を示す。本実施形態では、光源は、占有モード1210か、非占有モード1220で動作する。空間が使用されているかいないかは、当該空間をモニタリングする関連の占有状態/動きセンサからの入力に基づいて決定される。赤外線、超音波及び/又はマイクロ波技術を使用して、空間が使用されているかいないかを検出できる様々な占有状態センサが市販されている。占有状態は、占有者の快適さ及び視力のために、CCTは調節される。同様に、監視応用でも、動きが検出されると、高画質のために、CCTが調節される。したがって、本発明の原理によれば、占有状態では、光源は、CCTを、Aで示される閾値付近に維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。他方で、空間が空く(非占有状態1220となる)と、光源は、CCTを、Bで示される閾値付近に維持しつつ、発光効率を最大限とするように駆動される。通常、青色LEDによって生成され、蛍光体変換された白色光について、A<Bである。即ち、CCTの高い冷白色光の生成が、一般に、CCTの低い暖白色光の生成よりも効率的である。CCT閾値の変化によって達成可能な追加の効率の増加は、AとBとの間の絶対差に比例する。大きい差は、高いエネルギー節約につながり、また、その反対も然りである。
【0073】
図13は、本発明の別の実施形態の状態遷移図1300を示す。本実施形態では、光源は、快適モード1310か、省エネモード1320で動作する。快適モードと省エネモードとの間の状態遷移は、以下の条件のうちの1つ以上によって決定される。
1)電力が主電源から引き込まれる場合、モジュールは、快適モードで動作する。しかし、主電源供給が中断され、モジュールに給電するためにバックアップ電源(例えば電池)が使用される場合に、モジュールは、省エネモードに遷移する。
2)モジュールは、通常の営業時間の間は、快適モードで動作する。しかし、定時過ぎの時間(例えば夜間及び週末)の間、モジュールは、所定のスケジュールに基づいて、省エネモードに遷移する。
3)映画撮影及び写真撮影といった応用では、光モジュールは、カメラがアイドル状態にあるときは、省エネモード動作する。他方で、光モジュールは、カメラがオン状態になると、快適モードで駆動される。
4)需要応答応用では、モジュールが、省エネモードで動作するか、快適モードで動作するかは、公益事業会社からの需要応答信号又は施設管理者からの入力に基づいて決定される。
【0074】
快適モード1310では、CCTは、占有者の視覚的快適性のために、又は、応用(例えば写真撮影)の要件を満たすように調節される。したがって、本発明の原理に従って、光源は、CCTを、Xで示される閾値付近に維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。他方で、省エネモード1320の間は、光源は、CCTを、Yで示される閾値付近に維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。上記の通り、通常、X<Yである。
【0075】
図14は、本発明の更に別の実施形態の状態遷移図1400を示す。本実施形態では、光源は、3つのモード、即ち、オフピーク1410と、中間ピーク1420と、オンピーク1430とのうちの1つで動作する。様々なモード間の状態遷移は、使用時間及び/又は公共料金設定によって決定される。例えばオフピーク料金設定期間の間、光源は、オフピークモードで動作する。同様に、オンピーク料金設定期間の間、光源は、オンピークモードで動作する。
【0076】
オフピーク期間1410では、CCTは、占有者の視覚的快適性のために調節される。したがって、本発明の原理に従って、光源は、CCTを、Lで示される閾値(ターゲット値)あたりに維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。他方で、オンピーク期間1430の間、光源は、CCTを、Hで示される閾値(ターゲット値)あたりに維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。中間ピーク期間1420の間、光源は、CCTを、Mで示される閾値(ターゲット値)あたりに維持しつつ、発光効率を最大とするように駆動される。LED効率はCCTに比例するので、高いCCTは、高効率を意味する。したがって、通常、L<M<Hである。
【0077】
当然ながら、多くの適用において、光の強度は、動作モードの変化に伴って変化する。例えば光源は、オフピークモードでは、調光する。更に、光源のCCTも、調光に加えて、変化する。本発明の原理は、光源が、調光される、明るくされる、若しくは、同じレベルに維持されるか、又は、光源のCRIが変わる、若しくは、同じレベルに維持されるかに関係なく、適用される。
【0078】
本発明の原理は、CRI及びCCTに関して説明されたが、本明細書に開示される方法は、色品質スケール(CQS)、色域指数(GAI)、色域スケール(GAS)、色彩調和レンダリング指数(HRI)、及び、デルタ−UV(Duv)といった他の演色測定基準又は特徴にも同じように当てはまる。
【0079】
本発明に係る上記の方法は、ハードウェア、ファームウェアにおいて、又は、CD ROM、RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、若しくは、磁気−光ディスクといった記録媒体に記録可能なソフトウェア、コンピュータコード、若しくは、遠隔にある非一時的記録媒体、若しくは、非一時的な機械可読媒体上にもともとは記録され、ネットワークを介してダウンロードされ、ローカル記録媒体に記憶されるべきコンピュータコードとして実施され、したがって、本明細書に説明される方法が、汎用コンピュータ、若しくは、特殊プロセッサを使用して、記録媒体に記録された当該ソフトウェアにおいて、又は、ASIC、若しくは、FPGAといったプログラム可能、若しくは、専用のハードウェアにおいてレンダリングされる。当然ながら、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサコントローラ、又は、プログラマブルハードウェアは、コンピュータ、プロセッサ、又は、ハードウェアによってアクセスされ実行されると、本明細書に説明される処理方法を実施するソフトウェア、又は、コンピュータコードを記憶、又は、受信する、例えばRAM、ROM、フラッシュ等のメモリコンポーネントを含む。また、当然ながら、汎用コンピュータが、本明細書に示される処理を実施するためのコードにアクセスすると、当該コードの実行は、汎用コンピュータを、本明細書に示される処理を実行する特殊用途コンピュータに変換する。
【0080】
本明細書に使用される「a」又は「an」との用語は、本発明の要素及び構成要素を説明するためのものである。これは、便宜上、本発明の一般的な要旨を提供するために使用されたものである。本明細書における説明は、1つ、又は、少なくとも1つを含むと読むべきであり、また、単数形は、特に明記されない限り、複数形を含むと読むべきである。
【0081】
「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「〜として」、「有する」、又は、これらの任意の他の変形の用語は、非排他的な包含を対象とすることを意図している。例えば要素のリストを含む処理、方法、製品又は装置は、必ずしも、これらの要素に限定されず、当該処理、方法、製品又は装置に明示的に列挙されていない又は当該処理、方法、製品又は装置に固有の他の要素を含んでもよい。更に、特に明記されない限り、「又は」との用語は、排他的な「又は」ではなく、包括的な「又は」を指している。例えば、条件A又はBは、次のうちいずれによっても満たされる。即ち、Aが真であり(又は存在し)、Bが偽である(又は存在しない)とき、Aが偽であり(又は存在しない)、Bが真である(又は存在する)とき、及び、A及びBが共に真である(又は存在する)ときに満たされる。
【0082】
本発明の好適な実施形態に適応された本発明の基本的で新規な特徴が示され、説明され及び指摘されているが、当然ながら、説明されている装置において、開示されたデバイスの形式及び詳細について及びその動作について、様々な省略、置換及び変更が、本発明の精神から離れることなく、当業者によってされてもよい。
【0083】
実質的に同じ機能を、実質的に同じ方法で行い、同じ結果が得られる要素のあらゆる組み合わせは、本発明の範囲内であることを明らかに意図している。1つの説明された実施形態からの要素の別の実施形態への置換も、十分に意図し、検討されているものである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14