特許第6271567号(P6271567)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271567
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】結合剤の少ない耐摩耗硬質金属
(51)【国際特許分類】
   C22C 29/08 20060101AFI20180122BHJP
   B22F 3/15 20060101ALI20180122BHJP
   C04B 35/56 20060101ALI20180122BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   C22C29/08
   B22F3/15 M
   C04B35/56 260
   B23B51/00 M
   B23B51/00 V
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-536238(P2015-536238)
(86)(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公表番号】特表2016-500755(P2016-500755A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】IB2013002907
(87)【国際公開番号】WO2014057358
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年8月10日
(31)【優先権主張番号】61/711,705
(32)【優先日】2012年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100186912
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 淳浩
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヒルシュ
(72)【発明者】
【氏名】アナベル メイヤン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン エデリド
(72)【発明者】
【氏名】マリオン フュマロリ
(72)【発明者】
【氏名】イルバ イェルハルドソン
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05482670(US,A)
【文献】 特開平05−230588(JP,A)
【文献】 特開昭51−095907(JP,A)
【文献】 特開平05−033098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 29/00−29/10
C04B 35/56−35/577
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料の重量%で、元素又は化合物のいずれかの形態で添加されている15%〜20%の炭化モリブデンと、0.9〜3%のコバルト、ニッケル、又はコバルトとニッケルの組み合わせの合金と、0〜0.1%の炭化クロムと、残部の炭化タングステンとを含む、結合剤の少ない耐摩耗材料。
【請求項2】
0%の炭化モリブデン及び1.8%のコバルトを含む、請求項1に記載の結合剤の少ない耐摩耗材料。
【請求項3】
0%の炭化モリブデン及び1.8%のニッケルを含む、請求項1に記載の結合剤の少ない耐摩耗材料。
【請求項4】
化クロムを含まない、請求項1に記載の結合剤の少ない耐摩耗材料。
【請求項5】
.1%の炭化クロムを含む、請求項1に記載の結合剤の少ない耐摩耗材料。
【請求項6】
請求項1に記載の結合剤の少ない耐摩耗材料を含む、密封リング、摩耗パッド、ワイヤ延伸ダイス、又は複合材料用穿孔工具。
【請求項7】
下記のステップを含む、結合剤の少ない耐摩耗材料の製造方法:
元素又は化合物の形態で添加されている15%〜20%の炭化モリブデンを提供し、0.9〜3%のコバルト、ニッケル、又はコバルトとニッケルの組み合わせの合金を提供し、0〜0.1%の炭化クロムを提供し、残部の炭化タングステンを提供して、粉末混合物を形成するステップ;
前記粉末混合物を粉砕するステップ;
前記粉末混合物を乾燥するステップ;
前記粉末混合物を篩にかけるステップ;
前記粉末混合物を圧縮するステップ;
前記粉末混合物をアルゴン雰囲気中の50バールの圧力下で1450℃以上の温度で焼結させるステップ。
【請求項8】
0%の炭化モリブデン及び1.8%のコバルトを提供するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
0%の炭化モリブデン及び1.8%のニッケルを提供するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
.1%の炭化クロムを提供するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合剤の量は少ないが、MoCの量が多く、高い硬度と小さな摩擦係数を示すWC系材料に関する。
【発明の概要】
【0002】
一実施態様では、結合剤の少ない耐摩耗材料は、重量%で、約15〜約20%の炭化モリブデンと、約0.9〜約3%のコバルト、ニッケル、又はコバルトとニッケルの組み合わせの合金と、約0〜約0.1%の炭化クロムと、残部の炭化タングステンとを含んでいる。この新しい材料は、優れた耐摩耗性と耐腐食性を有する。
【0003】
別の一実施態様では、結合剤の少ない耐摩耗材料は、20%の炭化モリブデン及び1.8%のコバルトを含んでいる。
【0004】
さらに別の一実施態様では、結合剤の少ない耐摩耗材料は、0.1%の炭化クロムを含んでいる。
【0005】
本発明のこれら及び他の目的、特徴、側面、並びに利点は、好ましい実施態様の以下の詳細な説明により、一層明らかになるであろうし、添付した図面も、この実施形態に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】試験した2種類の無結合剤の変形の耐摩耗性を示すグラフである。
図2A】表2のサンプル15/0.9の多孔性を示す。
図2B】表2のサンプル15/1.8の多孔性を示す。
図2C】表2のサンプル20/0.9の多孔性を示す。
図2D】表2のサンプル20/1.8の多孔性を示す。
図3A】表2のサンプル15/0.9に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図3B】表2のサンプル15/0.9に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図3C】表2のサンプル15/0.9に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図3D】表2のサンプル15/0.9に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図3E】表2のサンプル15/0.9に存在するミクロ組織のEDXマップである。
図4A】表2のサンプル20/1.8に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図4B】表2のサンプル20/1.8に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図4C】表2のサンプル20/1.8に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図4D】表2のサンプル20/1.8に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図4E】表2のサンプル20/1.8に存在するミクロ組織のEDXマップである。
図5】2種類の無結合剤の変形と、サンプル15/0.9、20/0.9、15/1.8、及び20/1.8の耐摩耗性を示すグラフである。
図6】Crを含む15/0.9の変形の多孔性を示す。
図7A】Crを含まないサンプル15/0.9に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図7B】Crを含まないサンプル15/0.9に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図7C】Crを含まないサンプル15/0.9に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図7D】Crを含まないサンプル15/0.9に存在するミクロ組織の電子顕微鏡画像である。
図7E】Crを含まないサンプル15/0.9に存在するミクロ組織のEDXマップである。
図8】試験した2種類の無結合剤の変形の耐摩耗性を示すグラフである。
図9】3種類の変形とグレード20/1.8 2のHV30を示すグラフである。
図10】3種類の変形とグレード20/1.8 2のK1Cを示すグラフである。
図11A】サンプル19.87/2.4の多孔性を示す。
図11B】サンプル19.75/3の多孔性を示す。
図11C】サンプル20/1.8 WCO20の多孔性を示す。
図12】表8の変形の耐摩耗性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
この明細書では、結合剤を含まない炭化タングステンは、コバルト、鉄、又はニッケルのような、あらゆる金属相を含まない、炭化タングステンと定義する。結合剤を含まないこの炭化タングステンは、金属相を含まないため、酸化と腐食に対する優れた耐性とともに、高い硬度と大きな熱伝導率を示す。結合剤を含まないこの炭化タングステンは、従来の超硬合金よりもはるかに高温に耐えることができる。しかし、低温融解相が全く存在していないため、密度の高い無結合剤炭化タングステンの焼結は難しい。金属相が少ない炭化タングステンは、ポンプ装置、複合材料に穿孔するための工具、ワイヤ延伸ダイス、摩耗パッド、密封リングの製造、及び硬い材料を用いる他の多くの用途で用いることができる。
【0008】
そこで、本発明の1つの目的は、硬さ(多孔性と関係している)、破壊靭性、耐摩耗性、及び圧縮圧力の間のバランスがうまくとれた組成物を提供することである。
【0009】
本発明の一実施態様は、原材料の重量%で、元素又は化合物のいずれかの形態で添加されている約15%〜約20%の炭化モリブデンと、約0.9〜約3%のコバルト、ニッケル、又はコバルトとニッケルの組み合わせの合金と、約0〜約0.1%の炭化クロムと、残部の炭化タングステンとを含む、結合剤の少ない耐摩耗材料である。選択的に、結合剤の少ないこの耐摩耗材料は、炭化チタン及び/又は炭化チタンタングステンなどの材料を含んでいてもよい。
【0010】
本発明の別の一実施態様は、原材料の重量%で、元素又は化合物のいずれかの形態で添加されている約20%のモリブデンと、約1.8%のコバルト合金と、約0〜約0.1%の炭化クロムと、残部の炭化タングステンとを含む、結合剤の少ない耐摩耗材料である。選択的に、結合剤の少ないこの耐摩耗材料は、炭化チタン及び/又は炭化チタンタングステンなどの材料を含んでいてもよい。
【0011】
本発明の別の一実施態様は、原材料の重量%で、元素又は化合物いずれかの形態で添加されている約20%のモリブデンと、約1.8%のニッケル合金と、約0%〜約0.1%の炭化クロムと、残部の炭化タングステンとを含む、結合剤の少ない耐摩耗材料である。選択的に、結合剤の少ないこの耐摩耗材料は、炭化チタン及び/又は炭化チタンタングステンなどの材料を含んでいてもよい。
【0012】
本発明の別の一実施態様は、原材料の重量%で、元素又は化合物いずれかの形態で添加されている約20%のモリブデンと、約1.8%のニッケル合金と、約0.1%の炭化クロムと、残部の炭化タングステンとを含む、結合剤の少ない耐摩耗材料である。選択的に、結合剤の少ないこの耐摩耗材料は、炭化チタン及び/又は炭化チタンタングステンなどの材料を含んでいてもよい。
【0013】
別の一実施態様は、結合剤の少ない耐摩耗材料を製造方法を含み、この方法は、元素又は化合物の形態で添加されている約15%〜約20%の炭化モリブデンを提供し、約0.9〜約3%のコバルト、ニッケル、又はコバルトとニッケルの組み合わせの合金を提供し、約0〜約0.1%の炭化クロムを提供し、残部の炭化タングステンを提供して、粉末混合物を形成するステップと、前記粉末混合物を粉砕するステップと、前記粉末混合物を乾燥させるステップと、前記粉末混合物を篩にかけるステップと、前記粉末混合物を圧縮するステップと、前記粉末混合物をアルゴン雰囲気中の約50バールの圧力下で約1450℃以上の温度で焼結させるステップと、が含まれる。
【0014】
上記の方法の別の一実施態様は、炭化チタンを提供する追加ステップを含んでいる。
【0015】
上記の方法の別の一実施態様は、炭化チタンタングステンを提供する追加ステップを含んでいる。
【0016】
上記の方法の別の一実施態様は、約20%のモリブデン及び約1.8%のコバルトを提供する追加ステップを含んでいる。
【0017】
上記の方法の別の一実施態様は、約20%のモリブデン及び約1.8%のニッケルを提供する追加ステップを含んでいる。
【0018】
上記の方法の別の一実施態様は、約0.1%の炭化クロムを提供する追加ステップを含んでいる。
【0019】
摩擦係数が小さく熱伝導率に優れる耐摩耗グレードは、ラウンドツール及び密封リングの分野で使用される。一実施態様によるMoCの変形の組成を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
図1のグラフに示したように、表1のMoCの変形は、硬度が高く耐摩耗性が優れている。
【0022】
以下に、本発明の異なる実施態様による本体の実施例と、本体の製造方法を示す。
【実施例1】
【0023】
異なる4種類の粉末組成物をボールミルの中で粉砕した。その組成を表2に示す。PEGを圧縮剤として添加した。この粉末をGallenkamp炉(モデル135/30027)の中で75℃で乾燥させ、500μmメッシュの篩で篩い分けし、Toxプレス(モデルSTE 510−008−102)を用いて圧縮し、40×25×5mmのファーゴ(Fargo)片にした。これらのサンプルをFCT Anlagenbau社の焼結用HIP炉の中に入れ、50バールの大きなアルゴン静水圧で、1450℃で焼結させた。
【0024】
【表2A】
【0025】
焼結後、200μmと80μmのグリットを用いて各焼結体を研磨し、次いで9.3μmと1μmのダイヤモンド・ペーストで研磨した。破壊靱性値K1Cと硬度HV30を測定した。表3から、サンプル間で、K1Cと硬度HV30の測定値に顕著な差がないことが判明した。
【0026】
【表3】
【0027】
図2A図2Dは、4種類の変形それぞれの多孔性を示す写真である。反射電子検出器を用い、電子高電圧(EHT)を10kV、ワーキングディスタンス(WD)を6mmにして、2万倍の倍率でSEM画像を撮影し、EHTを21kV、WDを13mmにして、EDXマップを取得することにより、作製した組成物に存在するミクロ組織と相を調べた。
【表2B】
【0028】
図3A図3Dは電子顕微鏡画像であり、図3Eはサンプル15/0.9のEDXマップであり、図4A図4Dは電子顕微鏡画像であり、図4Eはサンプル20/1.8のEDXマップである。WC粒は丸くて粒径が1μm未満であることがわかる。そのため、粒径は出発WC材料の大きさに近い。したがって、焼結中に、粒は成長しないようである。全てにおいて、粒の丸さは、溶解−再沈殿を通じて粒の成長が起こることはほとんどなく、むしろ粒が結合していることを示唆している。
【0029】
図3E及び図4Eは、3つの相が認められることを示唆している。
【0030】
B611摩耗試験は、多孔性が最も優れていたサンプルで実施した。B611摩耗試験は全て、ASTM、85(2005年)に従って実施した。結果を図5のグラフに示す。
【0031】
このグラフからわかるように、4つのサンプル15/0.9、20/0.9、15/1.8、及び20/1.8は、従来の結合剤を含まない変形よりも、優れた摩耗結果を示した。
【0032】
前述したのと同様に実験を実施し、反応抑制剤である炭化クロムを除去することの効果を調べた。粒径が1μm未満であることがわかっているため、反応抑制剤である炭化クロムを添加せずに、別の粉砕を実施した。これにより、炭化クロムが特性に及ぼす影響が評価された。
【0033】
炭化クロムなしである15/0.9の変形の組成を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】
炭化クロムを含む15/0.9の変形と、炭化クロムなしである15/0.9の変形について、K1C及びHV30を測定した。結果を表5に示す。
【0036】
【表5】
【0037】
1C及びHV30に変化は認められなかったため、炭化クロムの存在は、これらの特性に影響を与えないようである。
【0038】
Crなしのサンプル15/0.9について、図7A図7Dは電子顕微鏡画像であり、図7EはEDXマップである。観察結果は、15/0.9の従前の変形と同じであり、特に、粒は丸くて大きさは約1μm未満である。3つの相は図7Eでも認められる。Crは、耐腐食性を向上させることが知られているが、ミクロ組織及び組成には影響しないと考えられるため、硬度及び破壊靭性には影響しない。
【0039】
Crを含むサンプルとCrを含まない変形で摩耗試験を実施した。結果を図8に示す。
【0040】
従前の全ての実験において、焼結は、50バールの大きなアルゴン静水圧で、1450℃で実施した。以下に示す別の実施例は、20/1.8の変形を、1450℃にしたCarbolite社の真空炉(モデル16/75/450)の中で焼結させる例を示している。
【0041】
【表6】
【0042】
表6は、硬度及び破壊靭性に顕著な変化がなかったことを示している。
【0043】
20/1.8は、約600cm−3の耐摩耗性、摩耗経路上に空孔がない点での信頼性、及びMoとCoの分布の均一性に関し、最良の変形であるようである。
【0044】
さらに別の実施例において、破壊靭性を大きくする実験を実施した。典型的には、K1Cを大きくすると、割れの伝播が防止される。通常は、コバルトの含有量が増えるほど硬度が低下し、破壊靭性が大きくなる。そのため、表7に示した実施例は、Coの含有量をより多くして粉砕した。粒径が破壊靭性に及ぼす影響を調べるため、表7には、2.0μmのWCの代わりに0.8μmのWCを用いた、別の実施例も示してある。
【0045】
【表7】
【0046】
粉末をGallenkamp炉(モデル135/30027)の中で、75℃で乾燥させ、500μmメッシュの篩で篩い分けし、Toxプレス(モデルSTE 510−008−102)を用いて圧縮し、40×25×5mmのFargo片にした。これらのサンプルを、FCT Anlagenbau社の焼結用HIP炉の中で、50バールの大きなアルゴン静水圧で、1450℃で焼結した。図9及び図10を参照し、新しい3種類の変形とグレード20/1.8 2の間で、HV30とK1Cを比較した。コバルトの含有量が増えるにつれて硬度が低下するという結果は、予想通りであった。しかし、破壊靭性の向上は認められなかった。
【0047】
これらサンプルの多孔性を図11A図11Cに示す。
【0048】
図12を参照すると、耐摩耗性の測定結果は、硬度の測定結果と矛盾しない。すなわち硬度に伴って耐摩耗性が低下する。さらに別の実施例では、炭化モリブデンにMo+Cを元素成分で添加することにより、まるで化合物の形態でMoCを添加したかのように、同じ材料特性を実現できることも判明した。84.1%のWCと、0.9%のCoと、14.12%のMoと、0.88%のCと、2.0%のPEGを含む組成の15/0.9の変形を粉砕して圧縮した後、50バールの大きなアルゴン静水圧のもとで、1450℃で焼結した。HV30の測定値は2185であり、K1Cの測定値は7.2であった。これらの値は、15%のMoCを化合物の形態で添加し、同じ組成として作製したサンプルと同等である。
【0049】
さらに別の実施例では、異なる結合系の効果も調べた。いくつかの用途、例えばポンプの用途では、ニッケル(Ni)結合剤も使用できる。
【0050】
【表8】
【0051】
表8からわかるように、Niの場合、硬度がわずかに低いが、それでも高いレベルである。K1Cには変化がない。
【0052】
本発明を具体的な実施態様に関して説明してきたが、他の多くのバリエーション、改変、及び他の用途が当業者には明らかであろう。したがって本発明は、この明細書の具体的な開示内容によって制限されるのではなく、添付の請求項だけによって制限されることが好ましい。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12