特許第6271683号(P6271683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271683
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】吸着反転装置
(51)【国際特許分類】
   B28D 7/04 20060101AFI20180122BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20180122BHJP
   C03B 33/03 20060101ALI20180122BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20180122BHJP
   B28D 5/00 20060101ALN20180122BHJP
【FI】
   B28D7/04
   H01L21/78 N
   C03B33/03
   H01L21/68 B
   !B28D5/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-223726(P2016-223726)
(22)【出願日】2016年11月17日
(62)【分割の表示】特願2013-50446(P2013-50446)の分割
【原出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2017-74784(P2017-74784A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2016年11月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】390000608
【氏名又は名称】三星ダイヤモンド工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】亀井 慎太郎
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6059565(JP,B2)
【文献】 特開2011−093706(JP,A)
【文献】 特開2007−238287(JP,A)
【文献】 再公表特許第2005/053925(JP,A1)
【文献】 特開2006−027795(JP,A)
【文献】 特開2010−001049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 7/04
B28D 5/00
C03B 33/03
H01L 21/301
H01L 21/677
B65G 47/248
B65G 49/06−49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着板を回転軸周りに回転させる吸着反転装置であって、
前記回転軸を回転可能に支持する側枠と、
前記回転軸の一部を取り囲むように前記側枠に固定され、かつ、一端部に円形開口部を有する中空部材と、
前記中空部材の前記円形開口部を封止するとともに前記回転軸と一体となって回転する円盤状のフランジと、
前記フランジに開口し、配管を介して前記吸着板と連通する第1ポートと、
前記中空部材に開口し、配管を介してエア吸引装置に連通する第2ポートとを有する吸着反転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス、シリコン、セラミック、化合物半導体等の脆性材料からなる基板に分断用のスクライブラインを加工したり、このスクライブラインに沿って基板を分断したりする基板加工装置で用いられる吸着反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、テーブル上に載置した基板に対し、カッターホイール(スクライビングホイールともいう)を所定のスクライブ圧を加えた状態で転動させたり、レーザービームの照射による熱歪を利用したりして、互いに直交する複数条の平行なスクライブラインを形成し、その後に、基板を表裏反転させて、当該スクライブラインを設けた面とは反対側の面からブレイクバーを押し当てて基板を撓ませることにより基板を分断し、単位製品を取り出す方法が、例えば特許文献1等で知られている。
【0003】
また、2枚のガラス基板を貼り合わせた基板の分断方法についても、例えば特許文献2(図45等)には、以下に示す手順で分断する方法が開示されている。すなわち、スクライブ装置のテーブル上に載置された基板に対して、カッターホイールを転動させることにより、基板の一方の面であるa面にスクライブラインを形成する。次いで、吸着反転装置で基板を吸着し反転させた後、ブレイク装置のテーブル上に載置し、基板a面の裏面となる基板b面をブレイクバー等で押圧して基板a面をブレイクする。次いで、上記と同様に、基板b面にスクライブラインを形成し、基板を反転させた後、基板a面をブレイクバー等で押圧して基板b面を分断する。この後、分断された基板をブレイク装置から除材して次の工程へ移行するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2005/053925号公報
【特許文献2】国際公開WO2002/057192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような基板の加工方法において、基板を吸着して表裏反転させる吸着反転装置が一般に用いられている。吸着反転装置は、多数の小さなエア吸気孔を有する吸着板を備えており、この吸着板に基板をテーブル等の載置台から吸着させた後、載置台の上方で反転に必要な高さまで上昇させて反転させるか、或いは、載置台の上方から反転に必要な空間を有する反転位置まで横方向に移動させて反転させるなどの手段がとられている。何れの場合も、基板を吸着するための吸気用の配管を真空ポンプ等のエア吸引装置から吸着板に接続する必要がある。
【0006】
吸気用の配管を吸着板に接続するに当たっては、吸着板が反転するときに配管がねじれたり、絡まったりしないように配慮しなければならない。そこで、例えば上記特許文献1(明細書段落0041欄参照)に記載のように、吸着板の回転軸の軸芯内部にエア通路を設けてこのエア通路から吸着板に連通したものが開示されている。
しかし、この従来方法では、回転軸の軸芯部をくり抜いてエア通路を加工する必要があって加工費が高くなると共に、回転軸の強度が低下するといった問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、上記した従来課題に鑑み、吸着板が反転回動したときに、吸着板に連なるエア配管がねじれたり、絡んだりすることをなくすとともに、回転軸の強度を維持した状態で安価に加工することのできる吸着反転装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。すなわち、本発明は、吸着板を回転軸周りに回転させる吸着反転装置であって、前記回転軸を回転可能に支持する側枠と、前記回転軸の一部を取り囲むように前記側枠に固定され、かつ、一端部に円形開口部を有する中空部材と、前記中空部材の前記円形開口部を封止するとともに前記回転軸と一体となって回転する円盤状のフランジと、前記フランジに開口し、配管を介して前記吸着板と連通する第1ポートと、前記中空部材に開口し、配管を介してエア吸引装置に連通する第2ポートとを有する構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸着反転装置は上記のように構成したので、吸着板と一体となって第1ポートから吸着板に連なる配管が回動し、配管がねじれたり、絡んだりすることを確実に防止することができる。また、従来のように回転軸内部をくり抜いてエア通路を設ける必要がないため、回転軸の強度を高い状態で維持することができるとともに加工費を低く抑えることができるといった効果がある。
【0010】
上記発明において、前記中空部材に開口し、配管を介してエア吸引装置に連通する第2ポートが設けられ、前記第2ポートは、前記回転軸の延在方向と直交する方向に向かって開口されている構成とするのがよい。
これにより、第2ポートからエア吸引装置に接続する配管を、回転軸の延在方向と直交する方向に引き出すことができて吸着板の反転動作の邪魔にならないように配設することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の吸着反転装置を組み込んだ基板加工装置の全体構成を示す斜視図。
図2図1の基板加工装置におけるスクライブ装置の概略的な正面図。
図3】本発明に係る吸着反転装置の全体構成を示す斜視図。
図4図3の吸着反転装置の一部拡大断面図。
図5図3の吸着反転装置における吸着板の下動状態を示す図4同様の断面図。
図6図3の吸着反転装置の反転回動機構部分を示す側面図。
図7図3の吸着反転装置の中空部材部分を示す拡大縦断面図。
図8図3の吸着反転装置の中空部材部分を示す拡大横断面図。
図9図1の基板加工装置における吸着昇降装置を示す斜視図。
図10】基板加工装置による基板加工工程の第1段階を示す説明図。
図11】基板加工工程の第2段階を示す説明図。
図12】基板加工工程の第3段階を示す説明図。
図13】基板加工工程の第4段階を示す説明図。
図14】基板加工工程の第5段階を示す説明図。
図15】基板加工工程の第6段階を示す説明図。
図16】基板加工工程の第7段階を示す説明図。
図17】基板加工工程の第8段階を示す説明図。
図18】基板加工工程の第9段階を示す説明図。
図19】基板加工工程の第10段階を示す説明図。
図20】基板加工工程の第11段階を示す説明図。
図21】基板加工装置に取り付けられた操作パネルを示す図。
図22】基板加工装置に組み込まれるブレイク装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る吸着反転装置について図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここでは、基板にスクライブラインを加工し、その後に基板を反転させるようにした基板加工装置に組み込まれた吸着反転装置での実施例に基づいて説明する。
【0013】
基板加工装置Aは、図1に示すように、基板Wの表面にスクライブラインを加工するスクライブ装置Bと、基板Wを反転させる吸着反転装置Cと、スクライブ装置Bのテーブルの上方に配置され基板Wを吸着して昇降させる吸着昇降装置Dとを備えている。
これらスクライブ装置B、吸着反転装置C並びに吸着昇降装置Dは、基板加工装置Aのフレーム1に組み込まれている。フレーム1は、金属製の枠材によって長方体の形態で組み付けられており、図1の平面視において長手方向に沿ったラインをX方向とし、X方向に直交する方向をY方向として以下説明する。
【0014】
スクライブ装置Bは、図1、2に示すように、フレーム1内のX方向に沿った一端側(本実施例では図1の右側)に組み込まれており、台板2上でY方向に延びるレール3に沿って移動するテーブル4を備えている。台板2は、平面視でY方向に延びる長方形で形成され、その一端部分がフレーム1から延出されている。
テーブル4は、その上面に多数の吸着孔を有する吸着面4aを備え、モータを内蔵する回転駆動部5により水平面内で回動できるようになっている。また、テーブル4並びに回転駆動部5は、レール3に沿って移動する移動ステージ6上に取り付けられており、モータ8によって回転するネジ軸9によりY方向に移動するように形成されている。また、フレーム1には、ガイド10を有するビーム(横桟)11がX方向に沿って設けられ、ガイド10にはカッターホイール12を有する昇降可能なスクライブヘッド13がX方向に移動できるように取り付けられている。
【0015】
吸着反転装置Cは、図1図3〜8に示すように、左右の側枠14、14によって支持されたY方向に延びる水平な回転軸15と、該回転軸15に水平に取り付けられ、回転軸15と共に回転する支持部材16と、この支持部材16に複数の、本実施例では4つの押下げ部材17を介して上下動可能に支持された水平な吸着板18とを備えている。吸着板18は下面に多数の吸着孔を有する吸着面18aを備え、復帰スプリング19によって常時上方に向かって付勢されている。本実施例では上記した押下げ部材17として、ON動作で下動し、OFF動作で押下げ力を解除するピストンを備えたエアシリンダで形成されている。このエアシリンダ17をON動作させることにより、図5に示すように、吸着板18を復帰スプリング19に抗して下動させ、エアシリンダ17をOFF動作させることにより、復帰スプリング19の復元力によって吸着板18を図4の元位置に復帰できるように形成されている。
また、押下げ部材17であるエアシリンダのピストン17aは、その突出ストロークが調整できるように形成されている。これにより、基板Wの厚み等の作業条件に応じて吸着板18の降下量を適切に調整することができるようになっている。なお、押下げ部材であるエアシリンダ17は、配管を介して別途設けたエア供給源(図示外)に接続されている。
【0016】
吸着反転装置Cの回転軸15は、反転回動機構42によって180度回転できるように形成されている。この反転回動機構42は、図6に示すように、その一端部にピニオン20を備え、このピニオン20にかみ合うラック21をシリンダ22で移動させることにより、180度回転できるように形成されている。これにより、吸着板18の吸着面18aが下向きの姿勢から上向きの姿勢に、また逆に、上向きの姿勢から下向きの姿勢に反転できるようになっている。
また、図1に示すように、フレーム1のX方向に延びる上部枠材1a、1aの上面にはレール23、23が設けられ、吸着反転装置Cの側枠14、14の上端部には、該レール23、23に沿ってスライドするガイド部24、24が設けられている。さらに、吸着反転装置Cを手動で移動させるための把手25が、一方のガイド部24に連なってフレーム1の外側に延出して設けられている。これにより、吸着板18を、反転可能なスペースを確保したフレーム1内の図1における左側、すなわち基板反転位置から、スクライブ装置Bのテーブル4の上方、すなわち基板受け渡し位置まで手動で移動できるように形成されている。
【0017】
さらに、左右の側枠14、14の上端を橋架する連結板26には、フレーム1に取り付けられた出没可能なロックピン28、28が係入する係合穴27が設けられている。
ロックピン28は、上記した基板反転位置と基板受け渡し位置とにそれぞれ配置されており、吸着反転装置Cが基板反転位置並びに基板受け渡し位置にきたときに、位置感知部材29が感知して自動的に係合穴27に係入するように形成されている。ロックピン28としては、例えば電磁石のON/OFFによって出没するソレノイドで形成することができる。また、位置感知部材29としては光センサやリミットスイッチなどを利用することができる。
【0018】
さらに、吸着反転装置Cの回転軸15を支持する側枠14で、回転軸15を取り囲むように円形筒状の中空部材50が設けられている。この中空部材50は回転軸15の延在方向に向かって開口する円形の開口部50aを備え、回転軸15と一体となって回動する円盤状のフランジ51によって円形開口部50aが封止されている。また、前記フランジ51には、内部の中空部に連なる左右一対の第1ポート52、52が回転軸15を挟んで設けられており、この第1ポート52から配管53を介して吸着板18の吸引エア取入口54に接続されている。これにより、吸着反転装置Cが反転したときに、第1ポート52から吸着板18に連なる配管53がねじれたり、絡まったりすることを防止している。
さらに、中空部材50には、回転軸15の延在方向と直交して上向に開口する第2ポート55が設けられており、この第2ポート55から上方に延びる配管56を介して真空ポンプ等のエア吸引装置(図示外)に連通されている。これにより、第2ポート55からの配管56が、吸着板18の反転動作の邪魔にならないようにしてある。
なお、中空部材50の円形開口部50aとフランジ51の摺接部分には、エアの漏洩を防ぐためにOリングなどのシール材を介在させるのが好ましい。
【0019】
吸着昇降装置Dは、図9に示すように、フレーム1に固定された水平な固定板30と、固定板30に取り付けられ、かつ、鉛直下方に向かって往復運動をするピストン31aを有する流体シリンダ31と、該流体シリンダ31のピストン31aの下端に固定された吸着板32とを備えている。吸着板32は、上記したスクライブ装置Bのテーブル4の上方に配置され、下面には多数の吸着孔を有する吸着面32aが設けられている。
また、吸着板32は、その上面から鉛直上方に延びて固定板30を摺動可能に貫通する4本の垂直なガイド33を備えており、これにより、吸着板32が昇降する際に自由回転するのを阻止している。
【0020】
本実施例において、吸着反転装置C並びに吸着昇降装置Dにおける吸着板18、32の昇降動作並びにバキューム動作、及び、吸着反転装置Cの吸着板18を反転させる反転回動機構42の駆動は、ボタンスイッチによるスイッチ操作によって手動で行うことができるようにしてある。
具体的には、図21に示すように、吸着反転装置Cのロックピン28、28のロックを解除するための右側ロック解除ボタン34並びに左側ロック解除ボタン35、基板受け渡し位置で吸着板18を下動させるために押下げ部材(エアシリンダ)17をON/OFF操作する昇降ボタン36、吸着昇降装置Dの流体シリンダ31を作動させるための操作ボタン37、吸着反転装置Cの反転回動機構42を駆動する反転操作ボタン43が、基板加工装置Aの正面に取り付けられた操作パネル38(図1では省略)に設けられている。さらに、吸着反転装置Cの吸着板18のバキュームボタン39、吸着昇降装置Dの吸着板32のバキュームボタン40が上記操作パネル38に設けられている。
【0021】
上記したスクライブ装置Bのテーブル4、並びに吸着昇降装置Dの吸着板32の各吸着面、4a、32aの吸着孔は、前記した吸着反転装置の吸着板18と同様に、吸気用の配管を介して上記したエア吸引装置(図示外)に接続されており、吸引エアによって基板Wを吸着保持できるように形成されている。図面上では、これら吸気用の配管並びにその付帯設備は、図面の複雑化を避けるために省略してある。また、吸着反転装置Cの吸着板18と昇降装置Dの吸着板32とはバキュームボタン40を押すことにより切換バルブ(図示外)によってエア吸引が切り換わるようになっている。
【0022】
次に、上記した基板加工装置Aによって、単板の基板Wの上面にスクライブラインを加工した後、この基板Wを反転させる工程を、図1図7〜20を用いて順を追って説明する。
図1において、スクライブ装置Bのテーブル4上に載置されている基板Wは、その上面がカッターホイール12によって既にスクライブラインが加工された状態にある。カッターホイール12によるスクライブ加工は、テーブル4を台板2の延出端部まで移動させて加工すべき基板Wを載置した後、テーブル4をスクライブヘッド13の位置まで移行させ、カッターホイール12を降下させてカッターホイール12またはテーブル4を相対的に移動させることにより行われる。また、テーブル4を回転駆動部5により90度回転させることにより、X−Y方向のスクライブラインを加工することができる。
【0023】
上面にスクライブラインが加工されてテーブル4上に載置されている基板Wは、以下の工程を経て表裏反転される。
まず、吸着反転装置Cの左側のロックピン28のロックを、左側ロック解除ボタン35を操作して解除する。そして、把手25を持って手動で図10、11に示すように吸着板18をスクライブ装置Bのテーブル4の上方、すなわち、基板受け渡し位置まで移動させる。
吸着反転装置Cが基板受け渡し位置まで移動すると、位置感知部材29(図1参照)が吸着反転装置Cの位置を感知して自動的に右側のロックピン28が係合穴27に係入して吸着反転装置Cの位置がロックされる。
【0024】
上記のようにして吸着反転装置Cを基板の受け渡し位置でロックした後、昇降ボタン36を押して押下げ部材17(図5参照)を作動させ、吸着板18を図12に示すようにテーブル4の基板Wに接する位置まで下動させる。この位置でバキュームボタン39を押して基板Wを吸着板18に吸着させる。この際、テーブル4の吸引エアによる吸着力は、別途設けたテーブル用の吸着解除ボタン(図示外)によって、バキュームボタン39を押す前に解除しておくか、或いは前記したバキュームボタン39を押す操作と連動して解除されるようにする。
次いで、再度昇降ボタン36を押して押下げ部材17の押下げ力を解除する。この解除により、吸着板18は復帰スプリング19(図3参照)の復元力によって図13に示すように元位置に復帰する。
【0025】
次いで、右側ロック解除ボタン34を押して右側のロックピン28のロックを解除した後、図14に示すように、吸着反転装置Cを手動で基板反転位置まで移動させる。この基板反転位置で位置感知部材29が感知して左側のロックピン28が係合穴27に係入して吸着反転装置Cの位置がロックされる。この位置で、図15に示すように、反転操作ボタン43を押して吸着板18を反転させる。
【0026】
吸着板18を反転させた後、左側ロック解除ボタン35を押してロックを解除し、吸着反転装置Cを手動で図16の基板受け渡し位置まで移動させる。その後、吸着昇降装置Dの操作ボタン37を押して、図17に示すように、吸着板32を吸着反転装置Cの吸着板18に吸着されている基板W上に降下させる。この状態でバキュームボタン40を押して吸着エアを吸着反転装置Cの吸着板18から吸着昇降装置Dの吸着板32に切り換え、基板Wを吸着板32に吸着させた後、操作ボタン37を押して、図18に示すように、吸着昇降装置Dの吸着板32を上昇させるとともに、前記した操作によって吸着反転装置Cのロックを解除して吸着反転装置C(吸着板18)を基板反転位置に戻す。
【0027】
次いで、操作ボタン37を押して、図19に示すように、吸着昇降装置Dの吸着板32をスクライブ装置Bのテーブル4上まで降下させ、バキュームボタン40を押して吸着板32の吸着エアをOFFにする。これにより、基板Wをテーブル4に受け渡す。この後、操作ボタン37を押して、図20に示すように、吸着昇降装置Dの吸着板32を元の位置まで上昇させる。また、反転位置に戻された吸着反転装置Cの吸着板18は、反転操作ボタン43を押すことにより吸着面18aが下向きになるように反転させて次の基板反転作業のために待機させておく。
このようにして反転された基板Wは、次のブレイク工程のためにテーブル4から除材される。
【0028】
上記した工程において、吸着反転装置Cの吸着板18は、スクライブ装置Bのテーブル4から基板Wを受け取った後、基板反転位置に移動させて反転させるものであるから、テーブル4から基板Wを受け取った際にテーブル4に接触しない程度に持ち上げるだけでよい。したがって、図3〜5に示すように、吸着板18を昇降させる機構として上下移動ストロークの小さな押下げ部材17と、押下げ部材17の押下げ力を解除したときに吸着板18を元位置に復帰させる復帰スプリング19とによる簡単な機構でコンパクトに形成することができる。
【0029】
上記実施例において、スクライブ装置Bのテーブル4上の基板Wを反転するために、まず吸着反転装置Cでテーブル4上の基板Wを取り上げて反転させた後、吸着昇降装置Dに基板Wを受け渡してテーブル4に載置するようにしたが、この手順を代えて、まず吸着昇降装置Dで基板Wをテーブル4から取り上げて吸着反転装置Cに受け渡し、基板Wを反転させた後、吸着反転装置Cでテーブル4に基板Wを載置するようにしてもよい。
【0030】
また、基板加工装置Aに組み込んだスクライブ装置Bに代えて、図22に示すように、シリンダ44によって昇降する板状のブレイクバー45を備えたブレイク装置Eを組み込むことも可能である。この場合は、あらかじめ上面にスクライブラインが加工された基板Wを、上記したスクライブ装置Bのテーブル4と同じ移動機構を備えたテーブル4に載置し、吸着反転装置C並びに吸着昇降装置Dによって上記した工程と同じ手順を経て、スクライブラインが裏面側となるように基板Wを反転させてテーブル4に戻す。そして、テーブル4をブレイクバー45の下方まで移動させてブレイクバー45を基板Wに押し当てて基板Wを撓ませ、スクライブラインに沿って分断する。この後、分断された基板Wはテーブル4から除材されることになる。
【0031】
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではない。例えば、上記実施例では、吸着反転装置C並びに吸着昇降装置Dにおける吸着板18、32の昇降動作並びにバキューム動作、及び、吸着反転装置Cの吸着板18を反転させる反転回動機構42の駆動は、ボタン操作によって手動で行うようにしたが、コンピュータ制御によって自動で行うように構成することも可能である。また、上記実施例において、第1ポート52は回転軸15を挟んで2カ所設けたが、それ以上または1カ所でもよい。その他本発明では、その目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、ガラス等の脆性材料基板にスクライブ加工やブレイク加工を行う基板加工装置において、基板を反転させる吸着反転装置に利用される。
【符号の説明】
【0033】
A 基板加工装置
B スクライブ装置
C 吸着反転装置
D 吸着昇降装置
W 基板(脆性材料基板)
1 フレーム
14 側枠
15 回転軸
18 吸着板
50 中空部材
50a 円形開口部
51 フランジ
52 第1ポート
53 配管
54 エア取入口
55 第2ポート
56 配管
図1
図2
図3
図4
図5
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