特許第6271749号(P6271749)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271749
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】脱酸素剤を備える注射器包装システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/00 20060101AFI20180122BHJP
   A61J 1/14 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   A61M5/00 518
   A61J1/14 390Z
【請求項の数】32
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2016-549298(P2016-549298)
(86)(22)【出願日】2014年9月25日
(65)【公表番号】特表2017-504438(P2017-504438A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】US2014057382
(87)【国際公開番号】WO2015116257
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2016年9月28日
(31)【優先権主張番号】61/933,071
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/481,057
(32)【優先日】2014年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】へマンス アマーチンタ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー ヴォー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ギディーズ
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ヒリアード
(72)【発明者】
【氏名】ユスフ オー.オニ
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド ボンジンスキ
【審査官】 杉▲崎▼ 覚
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0081974(US,A1)
【文献】 特表2010−506802(JP,A)
【文献】 特表2008−506439(JP,A)
【文献】 特開2006−016053(JP,A)
【文献】 米国特許第04936314(US,A)
【文献】 米国特許第03746155(US,A)
【文献】 米国特許第03545607(US,A)
【文献】 米国特許第01581341(US,A)
【文献】 特開平08−173533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 3/00− 9/00
A61M 31/00
A61M 39/00−39/28
A61J 1/00−19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器包装システムであって、
注射器バレルと、
プランジャロッドと、
脱酸素剤と、
互いに分かれている第1の区画と、第2の区画と、第3の区画とを画成する包装部材であって、前記第1の区画、前記第2の区画、および前記第3の区画は気体連通し、前記第1の区画は、その中に前記注射器バレルを受け入れる構造を有し、前記第2の区画は、その中に前記プランジャロッドを受け入れる構造を有し、前記第3の区画は、その中に前記脱酸素剤を受け入れる構造を有する、包装部材とを備え、
前記包装部材は前記注射器バレルと、前記プランジャロッドと、前記脱酸素剤とを封じ込め、前記脱酸素剤は、前記注射器バレル内から酸素を引き出し、前記包装部材の前記第1の区画、前記第2の区画、および前記第3の区画のうちの少なくとも1つの中に収容される酸素を吸収することを特徴とする注射器包装システム。
【請求項2】
前記注射器バレルは、第1の端部と、第2の端部と、それらの間に延在し、内部を有するチャンバを画成する側壁とを備え、前記注射器バレルは前記チャンバの前記内部の中に摺動可能に配設されたストッパをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項3】
前記プランジャロッドは、前記ストッパの一部と係合可能であることを特徴とする請求項2に記載の注射器包装システム。
【請求項4】
前記注射器バレルの前記チャンバ内に配設された流体をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の注射器包装システム。
【請求項5】
前記包装部材が前記注射器バレルと、前記プランジャロッドと、前記脱酸素剤とを封じ込め、前記脱酸素剤は、前記注射器バレルの前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出すように適合されることを特徴とする請求項4に記載の注射器包装システム。
【請求項6】
前記脱酸素剤は、前記ストッパを通して前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出すように適合されることを特徴とする請求項5に記載の注射器包装システム。
【請求項7】
前記脱酸素剤は、前記注射器バレルを通して前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出すように適合されることを特徴とする請求項5に記載の注射器包装システム。
【請求項8】
前記包装部材は、封止部材を含み、前記包装部材および前記封止部材は、前記注射器バレルと、前記プランジャロッドと、前記脱酸素剤とを封じ込めることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項9】
前記第1の区画、前記第2の区画、および前記第3の区画は、単一の区画の一部として形成されることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項10】
前記包装部材内に受け入れ可能な仕切り部材をさらに備え、前記仕切り部材および前記包装部材は前記第1の区画と、前記第2の区画と、前記第3の区画とを画成することを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項11】
前記仕切り部材は、前記第1の区画、前記第2の区画、および前記第3の区画の間を気体連通することを可能にする複数のガス孔を画成することを特徴とする請求項10に記載の注射器包装システム。
【請求項12】
前記包装部材は、前記仕切り部材を受け入れるための対向するスロットを画成する側壁を備えることを特徴とする請求項10に記載の注射器包装システム。
【請求項13】
前記包装部材は、前記包装部材内に前記脱酸素剤を固定するように前記脱酸素剤を係合させるための少なくとも1つのリブを備えることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項14】
前記包装部材は、前記包装部材内に前記プランジャロッドを固定するように前記プランジャロッドを係合させるための支持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項15】
前記包装部材は、前記包装部材内に前記注射器バレルを固定するように前記注射器バレルを係合させるための支持部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項16】
前記包装部材は、前記包装部材内に前記脱酸素剤を固定するための側壁のテーパ付き部分を備えることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項17】
前記包装部材は、第1の突起部と第2の突起部とを備え、前記仕切り部材は、前記第1の突起部と前記第2の突起部との間に少なくとも部分的に受け入れ可能であることを特徴とする請求項10に記載の注射器包装システム。
【請求項18】
前記包装部材は、前記包装部材内に前記脱酸素剤を固定するように前記脱酸素剤を係合させるためのフィンを備えることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項19】
前記包装部材は、前記包装部材内に前記脱酸素剤を固定するための内壁と、開口を有する蓋とを備え、前記蓋は前記内壁に固定可能であることを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項20】
前記脱酸素剤は、ポリオレフィンベースの材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の注射器包装システム。
【請求項21】
注射器包装システムであって、
第1の端部、第2の端部、およびそれらの間に延在し、内部を有するチャンバを画成する側壁を有する注射器バレルと、
前記注射器バレルの前記チャンバの前記内部内に摺動可能に配設されたストッパと、
前記注射器バレルの前記チャンバ内に配設された流体と
前記ストッパの一部と係合可能であるプランジャロッドと、
脱酸素剤と、
素不透過性である材料から形成され、互いに分かれている第1の区画、第2の区画、および第3の区画を画成する包装部材であって、前記第1の区画、前記第2の区画、および前記第3の区画は気体連通し、前記第1の区画は、その中に前記注射器バレルを受け入れる構造を有し、前記第2の区画は、その中に前記プランジャロッドを受け入れる構造を有し、前記第3の区画は、その中に前記脱酸素剤を受け入れる構造を有する、包装部材とを備え、
前記注射器バレルおよび前記ストッパのうちの少なくとも一方は酸素透過性材料から形成され、および
前記包装部材が前記注射器バレルと、前記プランジャロッドと、前記脱酸素剤とを封じ込め、前記脱酸素剤は、前記注射器バレルの前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出し、前記包装部材内に収容されている酸素を吸収することを特徴とする注射器包装システム。
【請求項22】
前記脱酸素剤は、前記ストッパを通して前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出すように適合されることを特徴とする請求項21に記載の注射器包装システム。
【請求項23】
前記脱酸素剤は、前記注射器バレルを通して前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出すように適合されることを特徴とする請求項21に記載の注射器包装システム。
【請求項24】
前記包装部材は、封止部材を含み、前記包装部材および前記封止部材は、前記注射器バレルと、前記プランジャロッドと、前記脱酸素剤とを封じ込めることを特徴とする請求項21に記載の注射器包装システム。
【請求項25】
前記第1の区画、前記第2の区画、および前記第3の区画は、単一の区画の一部として形成されることを特徴とする請求項21に記載の注射器包装システム。
【請求項26】
前記包装部材は、ポリエステル材料またはポリアミド材料から形成されることを特徴とする請求項21に記載の注射器包装システム。
【請求項27】
注射器包装システムであって、
注射器バレルと、
脱酸素剤と、
第1の区画および分かれている第2の区画を画成する包装部材であって、前記第1の区画および前記第2の区画は気体連通し、前記第1の区画はその中に前記注射器バレルを受け入れる構造を有し、前記第2の区画はその中に前記脱酸素剤を受け入れる構造を有する、包装部材とを備え、
前記包装部材が前記注射器バレルと前記脱酸素剤とを封じ込め、前記脱酸素剤は、前記注射器バレル内から酸素を引き出すことを特徴とする注射器包装システム。
【請求項28】
前記注射器バレルは、第1の端部と、第2の端部と、それらの間に延在し、内部を有するチャンバを画成する側壁とを備え、前記注射器バレルは前記チャンバの前記内部の中に摺動可能に配設されたストッパをさらに備えることを特徴とする請求項27に記載の注射器包装システム。
【請求項29】
前記注射器バレルの前記チャンバ内に配設された流体をさらに備えることを特徴とする請求項28に記載の注射器包装システム。
【請求項30】
前記包装部材が前記注射器バレルと前記脱酸素剤とを封じ込め、前記脱酸素剤は、前記注射器バレルの前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出すように適合されることを特徴とする請求項29に記載の注射器包装システム。
【請求項31】
前記脱酸素剤は、前記ストッパを通して前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出すように適合されることを特徴とする請求項30に記載の注射器包装システム。
【請求項32】
前記脱酸素剤は、前記注射器バレルを通して前記チャンバ内に配設された前記流体から酸素を引き出すように適合されることを特徴とする請求項30に記載の注射器包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、流体の送達のための注射器アセンブリ(syringe assembly)に関するものである。より具体的には、本開示は、プランジャロッドおよび注射器バレルが、包装筐体内の酸素の濃度が低くなるよう、および注射器バレル内に配設される流体または薬物に含まれる酸素の濃度が低くなるよう考慮して包装筐体内に留置され得る注射器アセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
注射器アセンブリ、および特に皮下注射器は、薬剤などの、流体を分注する医療分野においてよく知られている。従来の注射器は、典型的には、一端に開口部がある注射器バレルと、対向端を通して配設されるプランジャ機構とを備える。プランジャ機構は、典型的には、バレルを貫通するプランジャロッドを備え、プランジャヘッドまたはストッパが注射器バレル内のプランジャロッドの端部に配設され、プランジャロッドの他端のフィンガフランジは注射器バレルから伸長する。使用時に、プランジャロッドは、注射器バレルを通して引っ込められ、注射器バレルの後端から外に伸長するプランジャロッドにより、薬剤などの流体を吸引するか、または注射器バレルに充填する。薬剤を患者に送達するために、注射器バレルの開口部は、注射器バレルの前端部のところに装着された皮下注射針、または患者の流体管路との取り付けのため注射器バレルから伸長するルアー型フィッティングなどを通して、患者と流体連通するように適合される。力を加えてプランジャロッドおよびストッパを押し下げ注射器バレルに通し注射器バレルの前端部の方へ送った後、注射器の内容物がそれによって注射器バレルから押し出され前端部の開口部を通り患者に送達される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、皮下注射器は、「事前充填」デバイスとして包装され、注射器は、包装され患者に送達される前に薬剤を事前充填されている。このようにして、注射前に使用者がデバイスを充填する必要がなくなり、それによって、時間を節約し、送達のために一貫した体積を維持する。しかしながら、そのような事前充填された注射器の包装は、包装材内の酸素など、注射器バレル内に収容されている薬剤または薬物を劣化させる可能性があり、事前充填された注射器アセンブリの保管寿命を短くする可能性のある大気気体を含み得る。したがって、その中の酸素濃度を低減する注射器包装材が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態によれば、注射器包装システムは、注射器バレルと、プランジャロッドと、脱酸素剤と、包装部材とを備える。包装部材は、第1の区画と、第2の区画と、第3の区画とを画成し、第1の区画、第2の区画、および第3の区画は気体連通している。第1の区画は、その中に注射器バレルを受け入れる構造を有し、第2の区画は、その中にプランジャロッドを受け入れる構造を有し、第3の区画は、その中に脱酸素剤を受け入れる構造を有する。包装部材は注射器バレルと、プランジャロッドと、脱酸素剤とを封じ込め、脱酸素剤は、注射器バレル内から酸素を引き出し、包装部材の第1の区画、第2の区画、および第3の区画のうちの少なくとも1つの中に収容される酸素を吸収するように適合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第14/207,207号明細書
【0006】
いくつかの構成において、注射器バレルは、第1の端部と、第2の端部と、それらの間に延在し、内部を有するチャンバを画成する側壁とを備え、注射器バレルは、チャンバの内部の中に摺動可能に配設されたストッパも備える。プランジャロッドは、ストッパの一部と係合可能であってよい。いくつかの構成において、注射器包装システムは、注射器バレルのチャンバ内に配設された流体を備える。
【0007】
包装部材は注射器バレルと、プランジャロッドと、脱酸素剤とを封じ込め、脱酸素剤は、注射器バレルのチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出すように適合される。一構成において、脱酸素剤は、ストッパを通してチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出すように適合される。別の構成において、脱酸素剤は、注射器バレルを通してチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出すように適合される。
【0008】
包装部材は、包装部材および封止部材が注射器バレルと、プランジャロッドと、脱酸素剤とを封じ込めるように封止部材も備え得る。第1の区画、第2の区画、および第3の区画は、単一の区画の一部として形成され得る。いくつかの構成において、注射器包装システムは、包装部材内に受け入れ可能な仕切り部材も備え、仕切り部材および包装部材は第1の区画と、第2の区画と、第3の区画とを画成する。仕切り部材は、第1の区画、第2の区画、および第3の区画のうちの少なくとも2つの間を気体連通することを可能にする複数のガス孔を画成し得る。
【0009】
包装部材は、仕切り部材を受け入れるための対向するスロットを画成する側壁も備え得る。包装部材は、適宜、包装部材内に脱酸素剤を固定するように脱酸素剤を係合させるための少なくとも1つのリブを備え得る。包装部材は、包装部材内にプランジャロッドを固定するようにプランジャロッドを係合させるための支持部材も備え得る。適宜、包装部材は、包装部材内に注射器バレルを固定するように注射器バレルを係合させるための支持部材を備え得る。
【0010】
さらに他の構成において、包装部材は、包装部材内に脱酸素剤を固定するための側壁のテーパ付き部分を備え得る。包装部材は、また、第1の突起部(第1の隆起部)と第2の突起部(第2の隆起部)とを備えるものとしてよく、仕切り部材は、第1の突起部と第2の突起部との間に少なくとも部分的に受け入れ可能であるものとしてよい。包装部材は、包装部材内に脱酸素剤を固定するように脱酸素剤を係合させるためのフィンも備え得る。適宜、包装部材は、包装部材内に脱酸素剤を固定するための内壁と、開口を有する蓋とを備え、蓋は内壁に固定可能である。脱酸素剤は、ポリオレフィンベースの材料を含むものとしてよい。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、注射器包装システムは、第1の端部と、第2の端部と、それらの間に延在し、内部を有するチャンバを画成する側壁とを有する注射器バレルを備える。注射器包装システムは、また、注射器バレルのチャンバの内部に摺動可能に配設されたストッパと、注射器バレルのチャンバ内に配設された流体とを備え、注射器バレルおよびストッパのうちの少なくとも一方は、酸素透過性材料から形成される。注射器包装システムは、ストッパの一部および脱酸素剤と係合可能であるプランジャロッドも備える。注射器包装システムは、一般的に酸素不透過性である材料から形成され、第1の区画と、第2の区画と、第3の区画とを画成し、第1の区画、第2の区画、および第3の区画は気体連通している、包装部材をさらに備える。第1の区画は、その中に注射器バレルを受け入れる構造を有し、第2の区画は、その中にプランジャロッドを受け入れる構造を有し、第3の区画は、その中に脱酸素剤を受け入れる構造を有する。包装部材は注射器バレルと、プランジャロッドと、脱酸素剤とを封じ込め、脱酸素剤は、注射器バレルのチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出し、包装部材内に収容されている酸素を吸収するように適合される。
【0012】
いくつかの構成において、脱酸素剤は、ストッパを通してチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出すように適合される。他の構成において、脱酸素剤は、注射器バレルを通してチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出すように適合される。
【0013】
包装部材は、封止部材を備えるものとしてよく、包装部材および封止部材は、注射器バレルと、プランジャロッドと、脱酸素剤とを封じ込めるものとしてよい。第1の区画、第2の区画、および第3の区画は、単一の区画の一部として形成され得る。適宜、包装部材は、ポリエステル材料またはポリアミド材料から形成され得る。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態によれば、注射器包装システムは、注射器バレルと、脱酸素剤と、第1の区画および第2の区画を画成する包装部材とを備え、第1の区画および第2の区画は気体連通する。第1の区画は、その中に注射器バレルを受け入れる構造を有し、第2の区画は、その中に脱酸素剤を受け入れる構造を有する。包装部材は注射器バレルと、脱酸素剤とを封じ込め、脱酸素剤は、注射器バレル内から酸素を引き出すように適合される。
【0015】
いくつかの構成において、注射器バレルは、第1の端部と、第2の端部と、それらの間に延在し、内部を有するチャンバを画成する側壁とを備え、注射器バレルは、チャンバの内部の中に摺動可能に配設されたストッパをさらに備える。いくつかの構成において、注射器包装システムは、注射器バレルのチャンバ内に配設された流体も備える。包装部材は注射器バレルと、脱酸素剤とを封じ込め、脱酸素剤は、注射器バレルのチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出すように適合され得る。脱酸素剤は、ストッパを通してチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出すように適合され得る。他の構成において、脱酸素剤は、注射器バレルを通してチャンバ内に配設された流体から酸素を引き出すように適合され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付図面と併せてなされる本開示の態実施形態の以下の説明を参照することによって、本開示の上述のおよび他の特徴および利点、ならびにそれらを実現する方式はより明らかになり、本開示それ自体がより深く理解されるであろう。
図1】本発明の一実施形態による注射器包装システムの分解斜視図である。
図2A】本発明の一実施形態による図1の注射器包装システムの組み立て済み、斜視図である。
図2B】本発明の一実施形態による、封止部材が注射器包装システムを封止している、図1の注射器包装システムの組み立て済み、斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態による図2Aの注射器包装システムの断面図である。
図3B】本発明の一実施形態による、流体が注射器バレルのチャンバ内に配設されている、図2Aの注射器包装システムの断面図である。
図4】本発明の一実施形態による包装部材の斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による包装部材の上面図である。
図6】本発明の一実施形態による包装部材の側面図である。
図7】本発明の一態様による図6の線7−7に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図8】本発明の一実施形態による包装部材の別の側面図である。
図9】本発明の一態様による図8の線9−9に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図10】本発明の一実施形態による仕切り部材の斜視図である。
図11】本発明の一実施形態による仕切り部材の側面図である。
図12】本発明の一実施形態による仕切り部材の上面図である。
図13】本発明の一実施形態による仕切り部材の別の側面図である。
図14】本発明の一実施形態による仕切り部材の底面図である。
図15】本発明の一実施形態による注射器バレルおよびプランジャロッドの分解斜視図である。
図16】本発明の一実施形態による脱酸素剤の斜視図である。
図17】本発明の一実施形態による注射器バレル、ストッパアダプタ、およびプランジャロッドの分解斜視図である。
図18A】本発明の一実施形態による係合位置にあるプランジャロッドおよびストッパアダプタの部分断面図である。
図18B】本発明の一実施形態による係合位置にあるプランジャロッドおよびストッパアダプタならびに係合位置にあるストッパアダプタおよびストッパの部分断面図である。
図19】本発明の一実施形態による注射器バレル、ストッパ、ストッパアダプタ、およびプランジャロッドの分解図である。
図20】本発明の一実施形態による線20−20に沿って切り取られた図19の注射器バレル、ストッパ、ストッパアダプタ、およびプランジャロッドの分解断面図である。
図21】本発明の一実施形態による図17の注射器バレル、ストッパ、およびプランジャロッドの組み立て済みの、斜視図である。
図22】本発明の一実施形態による注射器アセンブリの上面図である。
図23】本発明の一態様による図22の線23−23に沿って切り取られた注射器アセンブリの断面図である。
図24】本発明の一実施形態による包装部材の斜視図である。
図25】本発明の一実施形態による包装部材の側面図である。
図26】本発明の一態様による図25の線26−26に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図27】本発明の一実施形態による包装部材の別の側面図である。
図28】本発明の一態様による図27の線28−28に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図29】本発明の一実施形態による包装部材の上面図である。
図30】本発明の一実施形態による仕切り部材および脱酸素剤の斜視図である。
図31】本発明の一実施形態による注射器包装システムの概略断面図である。
図32】本発明の一実施形態による図31の注射器包装システムの拡大部分図である。
図33】本発明の一実施形態による、仕切り部材が第1の隆起部と第2の隆起部との間に受け入れられる、図31の注射器包装システムの拡大部分断面図である。
図34】本発明の一実施形態による包装部材の斜視図である。
図35】本発明の一実施形態による包装部材の側面図である。
図36】本発明の一態様による図35の線36−36に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図37】本発明の一実施形態による包装部材の別の側面図である。
図38】本発明の一態様による図37の線38−38に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図39】本発明の一実施形態による注射器包装システムの分解斜視図である。
図40】本発明の一実施形態による蓋および脱酸素剤の側面図である。
図41】本発明の一実施形態による蓋および脱酸素剤の斜視図である。
図42】本発明の一実施形態による包装部材の上面図である。
図43】本発明の一実施形態による蓋および脱酸素剤の側面図である。
図44】本発明の一実施形態による注射器包装システムの概略断面図である。
図45】本発明の一実施形態による包装部材の斜視図である。
図46】本発明の一実施形態による包装部材の上面図である。
図47】本発明の一実施形態による包装部材の側面図である。
図48】本発明の一態様による図47の線48−48に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図49】本発明の一実施形態による包装部材の別の側面図である。
図50】本発明の一態様による図49の線50−50に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図51】本発明の一実施形態による注射器包装システムの分解斜視図である。
図52】本発明の一実施形態による図51の注射器包装システムの組み立て済み、斜視図である。
図53】本発明の一実施形態による図52の注射器包装システムの断面図である。
図54】本発明の一実施形態による包装部材の斜視図である。
図55】本発明の一実施形態による包装部材の上面図である。
図56】本発明の一実施形態による包装部材の側面図である。
図57】本発明の一態様による図56の線57−57に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図58】本発明の一実施形態による包装部材の別の側面図である。
図59】本発明の一態様による図58の線59−59に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図60】本発明の一実施形態による注射器包装システムの分解斜視図である。
図61】本発明の一実施形態による図60の注射器包装システムの組み立て済み、上面図である。
図62】本発明の一実施形態による包装部材の斜視図である。
図63】本発明の一実施形態による包装部材の上面図である。
図64】本発明の一実施形態による包装部材の側面図である。
図65】本発明の一態様による図64の線65−65に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図66】本発明の一実施形態による包装部材の別の側面図である。
図67】本発明の一態様による図66の線67−67に沿って切り取られた包装部材の断面図である。
図68】本発明の一実施形態による注射器包装システムの分解斜視図である。
図69】本発明の一実施形態による図68の注射器包装システムの組み立て済み、斜視図である。
図70】本発明の一実施形態による図69の注射器包装システムの断面図である。 対応する参照文字は、いくつかの図面全体を通して対応部分を指し示している。本明細書で述べられている例示は、本開示の例示的な実施形態を示しており、そのような例示は、いかなる形でも本開示の範囲を制限するものと解釈されるべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
これ以降の説明のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横」、「縦」という語、およびこれらの派生語は、図面中で配向されているとおりに本発明に関係するものとする。しかしながら、本発明は、明示的に反対のことが指定されていない限り、さまざまな代替的変更形態を想定することができると理解されるべきである。また、添付図面に示され、以下の明細において説明されている特定のデバイスは、単に本発明の例示的な実施形態であると理解されるべきである。したがって、本明細書で開示されている実施形態に関係する特定の寸法および他の物理的特性は、制限としてみなされるべきでない。
【0018】
次の説明では、「遠位」は、針アセンブリまたはIV接続アセンブリなどの患者と接触し、および/または別個のデバイスと係合するように適合された注射器アセンブリの端部へ一般的に向かう方向を指し、「近位」は、遠位の方向とは反対の方向、すなわち、別個のデバイスと係合するように適合された注射器アセンブリの端部から遠ざかる方向を指す。本開示の目的のために、上述の参照は、本開示による注射器アセンブリの構成要素の説明において使用される。
【0019】
図1〜23は、本開示の例示的な実施形態を示している。図1〜9および15〜23を参照すると、注射器包装システム10は、包装部材12と、注射器バレル14および脱着可能なプランジャロッド16を含む注射器アセンブリ13と、脱酸素剤18とを備えている。包装部材12は注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。本開示の注射器包装システム10は、注射器アセンブリの貯蔵スペースを縮小することもできる。
【0020】
図1〜3Bを参照すると、包装部材12は、注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18をその中に受け入れるようにサイズが決められ、適合されている。図15および17〜23を参照すると、一実施形態において、注射器アセンブリ13は、注射器バレル14と、プランジャロッド16と、ストッパ19およびストッパアダプタ21を備えるストッパアセンブリとを具備している。注射器アセンブリ13は、流体および/または採取した流体の分注および送達を行うように適合され得る。たとえば、注射器アセンブリ13は、薬剤または薬物などの流体を患者体内に注入または輸液するために使用され得る。注射器アセンブリ13は、注射器アセンブリ13を別個の針アセンブリ(図示せず)に接続することなどによって針と接続する際の使用、あるいは静脈(IV)接続アセンブリ(図示せず)との接続について企図される。本開示は、任意の種類の注射器アセンブリ、特に、貯蔵空間が限られている制御された貯蔵環境内に留置されるものとともに使用され得ることは理解され得る。これらの種類の注射器は、従来の事前充填注射器アセンブリ、定量注射器、患者から流体を、または容器から薬剤を引き出すための吸引注射器、および同様のものを含む。
【0021】
図15および17〜23を参照すると、注射器バレル14は、一般的に、第1の端部または遠位端32と第2の端部または近位端34との間に延在する側壁30を有するバレル本体部を備える。側壁30は、注射器バレル14の細長い開口または内部チャンバ36を画成する。一実施形態において、内部チャンバ36は、注射器バレル14がその全長に沿ってカニューレを挿入されるように注射器バレル14の範囲にわたるものとしてよい。一実施形態において、注射器バレル14は、皮下注射器の一般的形状で当技術分野で知られているような細長い円筒形バレルの一般的形態をとるものとしてよい。代替的実施形態において、注射器バレル14は、たとえば、細長い矩形バレルの一般的形態などの、送達用の流体を収容するための他の形態をとり得る。注射器バレル14は、ガラスから形成されるか、または当業者に知られている技術に従ってポリプロピレンおよびポリエチレンなどの熱可塑性プラスチック材料から射出成形されるものとしてよいが、注射器バレル14は、他の好適な材料から、他の適用可能な技術に従って作られ得ることは理解されるであろう。いくつかの構成において、注射器バレル14は、近位端34の少なくとも一部の周りで外向きに延在するフランジ40を備え得る。フランジ40は、本明細書でこれから説明されるように、開業医によって容易に把持できるように構成され得る。
【0022】
注射器バレル14の遠位端32は、チャンバ36と流体連通する出口開口部38(図3Aおよび3B)を備える。出口開口部38は、針アセンブリまたはIV接続アセンブリなどの、別個のデバイスと係合するようにサイズが決められ、適合されるものとしてよく、したがって、従来から知られているような係合のための機構を備え得る。たとえば、遠位端32は、それらと取り付けるためのそのような別個のデバイス(図示せず)のオプションの別個のテーパ付きルアー構造と係合するための一般的にテーパを付けられているルアー先端部を備え得る。一構成において、テーパ付きルアー先端部および別個のテーパ付きルアー構造は両方とも、注射器アセンブリ13を備え得る。そのような構成において、別個のテーパ付きルアー構造は、別個のデバイス(図示せず)との対応する係合のために、ネジ山付き係合部などの、取付機構を取り付けられ得る。別の構成において、テーパ付きルアー先端部は、別個のデバイス(図示せず)との直接的係合を行うように用意され得る。それに加えて、それらの間の係合を係止するための機構も、テーパ付きルアー先端部および/または雌ネジを備えるルアーカラーもしくはルアーロックなどの別個のテーパ付きルアー構造のうちの少なくとも1つを備え得る。そのようなルアー接続部およびルアー係止機構は、当技術分野でよく知られている。
【0023】
注射器バレル14の近位端34は、一般的に両端が開いているが、本明細書で説明されているように外部環境に対しては閉じられることが意図されている。注射器バレル14は、また、注射器バレル14の内部チャンバ36内に収容される流体のレベルまたは量に関して示すために、側壁30に配置される目盛りなどの、マーキングも備え得る。そのようなマーキングは、側壁30の外面、側壁30の内面に設けられるか、または注射器バレル14の側壁30内に一体形成されるか、もしくは他の何らかの形をとるものとしてよい。他の実施形態において、代替的に、またはそれに加えて、マーキングは、最大充填線および/または最小充填線などの、注射器の内容物の説明または当技術分野で知られ得るような他の識別情報も提供し得る。
【0024】
注射器バレル14は、事前充填注射器として有用であり得、したがって、製造者によって事前充填された、注射器バレル14の内部チャンバ36内に収容された、薬剤または薬物などの、流体F(図3B)を最終使用のため備えられ得る。このようにして、注射器バレル14は、製造され、薬剤を事前充填され、滅菌され、送達、貯蔵、および最終使用者による使用のために包装部材12などの適切な包装材で包装されるようにでき、したがって、最終使用者が使用前に別個のバイアルから薬剤を注射器に充填する必要がない。そのような一実施形態において、注射器バレル14は、注射器バレル14の内部チャンバ36内に、薬剤などの、流体Fを封止するために注射器バレル14の遠位端32に配設されたシール44を備える先端キャップまたは封止キャップ部材42を具備し得る。
【0025】
本明細書で使用されているように、「薬物」という用語は、薬理活性のある成分および薬理活性のある成分を含有する薬剤液体組成物を指す。薬剤液体組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、および同様のものなどの形態を含む。これらの薬剤液体組成物は経口でまたは注射で投与され得る。
【0026】
酸素感受性のある、すなわち、酸素に曝された結果劣化し得る、薬物は、本明細書で説明されている薬剤包装システムに組み込むのに適している。酸素感受性のある薬物は、塩もしくは遊離塩基のいずれかとしてのアミン、硫化物、アリル型アルコール、フェノール、および酸素との反応性を有し得る他の化学基を有するものを含む。酸素感受性のある薬物の非限定的な例は、モルヒネ、ヒドロモルフォン、プロメタジン、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、エステル化エストロゲン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ダノフロキサシン、エリスロマイシン、ペニシリン、シクロスポリン、メチルドペート、セチリジン、ジルチアゼム、ベラパミル、メキシレチン、クロロチアジド、カルバマゼピン、セレギリン、オキシブチニン、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、L−システイン、L−トリプトファン、および同様のものを含む。いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている薬剤包装システムの包装容器、たとえば、注射器バレル14は、モルヒネを収容する。他の実施形態において、本明細書で説明されている薬剤包装システムの包装容器は、ヒドロモルフォンを収容する。さらなる実施形態において、本明細書で説明されている薬剤包装システムの包装容器は、プロメタジンを収容する。
【0027】
本明細書で説明されている薬剤包装システム内の酸素感受性のある薬物は、周囲条件、中間条件、および加速条件を含むさまざまな貯蔵条件において安定している。本明細書で使用されているような安定性は、製剤が薬物製品のUSPまたは同等のモノグラフにおいて定義されているような(特に薬物物質の分析のために)、その特定の貯蔵寿命に沿ったすべての安定性基準および不純物に関するICH Q3Bガイダンスの現在の安定性基準を満たすことを指す。すべての重要な品質属性は、製剤の貯蔵寿命全体を通してそれらの検収範囲内に収まる必要がある。一例として、モルヒネ製剤が安定しているためには、薬物物質、すなわち、モルヒネの分析が、USPにより、およびICH Q3Bガイドラインにより[90.0%〜110.0%]範囲内にあり、シュードモルヒネ、ヒドロキシモルヒネ、ノルフィン−N−オキシド、および同様のものなどのすべての知られている、すなわち、識別された、分解生成物、さらには知られていない分解生成物は、(NMT)0.2%以下である必要がある。本明細書で説明されている薬剤包装システム内の酸素感受性のある薬物の安定性は、HPLC、UPLC、または他の知られている任意の分析方法によって評価される。
【0028】
いくつかの実施形態において、酸素感受性のある薬物は、本明細書で説明されている薬剤包装システム内に貯蔵されたときに、少なくとも12カ月、少なくとも15カ月、少なくとも18カ月、または少なくとも24カ月の間、周囲条件(たとえば、25℃/60%RH)で安定している。いくつかの場合において、酸素感受性のある薬物は、本明細書で説明されている薬剤包装システム内に貯蔵されたときに、少なくとも24カ月の間周囲条件の下で安定している。他の実施形態において、酸素感受性のある薬物は、本明細書で説明されている薬剤包装システム内に貯蔵されたときに、少なくとも6カ月、少なくとも8カ月、少なくとも10カ月、または少なくとも12カ月の間、中間条件(たとえば、30℃/65%RH)で安定している。いくつかの場合において、酸素感受性のある薬物は、本明細書で説明されている薬剤包装システム内に貯蔵されたときに、少なくとも12カ月の間中間条件の下で安定している。さらなる実施形態において、酸素感受性のある薬物は、本明細書で説明されている薬剤包装システム内に貯蔵されたときに、少なくとも4カ月、少なくとも5カ月、または少なくとも6カ月の間、加速条件(たとえば、40℃/75%RH)で安定している。いくつかの場合において、酸素感受性のある薬物は、本明細書で説明されている薬剤包装システム内に貯蔵されたときに、少なくとも6カ月の間加速条件の下で安定している。
【0029】
本明細書で説明されている薬剤包装システムは、酸素感受性のある賦形剤を含む薬剤液体組成物にも適している。薬剤組成物中の酸素感受性のある賦形剤の劣化は、組成物の変色から、組成物の能力もしくは効率の低下、および/または医薬品有効成分との有害な反応性に至る範囲のさまざまな効果を引き起こし得る。本明細書で説明されている薬剤包装システムから恩恵を受ける酸素感受性のある賦形剤の非排他的例は、ポリエチレンオキシド(PEO)またはポリエチレングリコール(PEG)およびポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む。
【0030】
一実施形態において、側壁30、遠位端32、および/または近位端34などの注射器バレル14の少なくとも一部は、以下でさらに詳しく説明されるように酸素が注射器バレル14のチャンバ36から脱酸素剤18へ通ることができるような酸素透過性部材を備える。たとえば、一実施形態において、先端キャップまたはキャップ部材42は、酸素が注射器バレル14のチャンバ36から脱酸素剤18へ通ることができるように酸素透過性材料から形成され得る。一実施形態において、キャップ部材42は、酸素透過性を有し、流体Fと接触するのに適している環状オレフィン重合体から形成され得る。さらに、キャップ部材42が、酸素を注射器バレル14のチャンバ36から脱酸素剤18へ通すことができる他の材料から形成され得ることも企図される。他の実施形態において、注射器バレル14の近位端34または側壁30は、酸素が注射器バレル14のチャンバ36から脱酸素剤18へ通ることができるように酸素透過性部材を含み、および/またはそれから形成され得る。
【0031】
図17〜23を参照すると、注射器アセンブリ13は、注射器バレル14の内部チャンバ36内に移動可能に、または摺動可能に配設され、注射器バレル14の側壁30の内面と封止するように接触しているストッパ19を備える。ストッパ19は、注射器バレル14の側壁30の内面との封止する係合をもたらすように注射器バレル14に相対的にサイズを決められる。それに加えて、ストッパ19は、ストッパ19の周上に延在する1または複数の環状リブを備え、ストッパ19と注射器バレル14の側壁30の内面との封止する係合を高める。代替的実施形態において、単一のOリングまたは複数のOリングはストッパ19の周上に配設され、注射器バレル14の側壁30の内面との封止する係合を高める。
【0032】
図17〜23を参照すると、一実施形態において、ストッパ19は、その中に形成されたストッパアダプタ受入開口55を画成し、ストッパアダプタ21をストッパ19に固定するためのネジ山付き部分57を有する第1の端部または遠位端51および第2の端部または近位端53も備える。
【0033】
図17〜23を参照すると、一実施形態において、ストッパアダプタ21は、その中に形成されたプランジャ受入開口54を画成し、ストッパアダプタ21を介してプランジャロッド16をストッパ19に固定するための固定特徴部または係合部分56を有する第1の端部または遠位端50および第2の端部または近位端52を備える。一実施形態において、図17〜23を参照すると、ストッパアダプタ21の係合部分56は、以下でさらに詳しく説明されるようにテーパ付き部分60と係止端部62とを有する突出環状リング58を備え得る。一実施形態において、突出環状リング58は、剛性のある曲がらない材料から形成される。一実施形態において、ストッパアダプタ21の第1の端部50は、ネジ山付き部分64を備える。
【0034】
一実施形態において、ストッパアダプタ21は、図18Bに示されているようにストッパアダプタ21のネジ山付き部分64をストッパ19のネジ山付き部分57に螺合させることによってストッパ19に固定され得る。他の実施形態において、ストッパアダプタ21は、ボール止め、係止タブ、バネ式係止機構、ラッチ、接着剤、または他の類似の機構を使用してストッパ19に固定され得る。すべての実施形態において、ストッパアダプタ21は、ストッパ19に係止されるか、固定されるか、または係合される、すなわち、ストッパアダプタ21とストッパ19との間の著しい相対的移動が防がれる。他の代替的実施形態において、ストッパアダプタ21およびストッパ19は、一体形成され、両方が一緒になってストッパアセンブリを形成し得る。
【0035】
他の実施形態において、ストッパアダプタ21およびストッパ19は、共押し出し法などによって同時形成され得る。代替的実施形態において、ストッパアダプタ21およびストッパ19は、ストッパアセンブリとして一体形成され得る。
【0036】
図15および17〜23を参照すると、注射器アセンブリ13は、以下でさらに詳しく説明されるようにストッパアダプタ21を介してプランジャロッド16を注射器バレル14に接続した後、出口開口部38を通して注射器バレル14の内部チャンバ36内に収容されている流体を分注するための機構を構成するプランジャロッド16をさらに備える。プランジャロッド16は、ストッパ19を送るように適合される。一実施形態において、プランジャロッド16は、以下でさらに詳しく説明されるように注射器バレル14の内部チャンバ36内で移動するようにサイズを決められ、一般的に、第1の端部または遠位端70と、第2の端部または近位端72と、第2の端部72に隣接して配設されるフランジ74と、プランジャロッド16をストッパ19に固定するための固定特徴部または係合部分76とを備える。一実施形態において、図17〜23を参照すると、プランジャロッド16の係合部分76は、弾性フィンガ80などの変形可能な拘束部材を有するプランジャロッドヘッド78と、プランジャロッドヘッド78に隣接して配設されたネック部82とを備えるものとしてよい。プランジャロッドヘッド78は、弾性フィンガ80とネック部82との間に配置された環状溝84も備える。弾性フィンガ80は、各々、テーパ付き部分86と係止端部88とを備える。プランジャロッドヘッド78は、以下でさらに詳しく説明される。
【0037】
別の実施形態において、ストッパアダプタ21の係合部分56は、ストッパアダプタ21を介してプランジャロッド16をストッパ19に固定するための変形可能な拘束部材、たとえば、弾性フィンガを備え得る。他の実施形態において、ストッパアダプタ21の係合部分56は、ネジ山付き部分、スナップ式嵌合機構、ボール止め、係止タブ、バネ式係止機構、ラッチ、接着剤、またはストッパアダプタ21を介してプランジャロッド16をストッパ19に固定するための他の類似の機構を備え得る。
【0038】
別の実施形態において、プランジャロッド16の係合部分76は、ストッパアダプタ21を介してプランジャロッド16をストッパ19に固定するための剛性のある曲がらない材料から形成されたプランジャロッドヘッド78を備え得る。他の実施形態において、プランジャロッド16の係合部分76は、ネジ山付き部分、スナップ式嵌合機構、ボール止め、係止タブ、バネ式係止機構、ラッチ、接着剤、またはストッパアダプタ21を介してプランジャロッド16をストッパ19に固定するための他の類似の機構を備え得る。
【0039】
図1〜3Bおよび16を参照すると、脱酸素剤18は、本開示の注射器包装システム10に付属する。脱酸素剤18を包装部材12内に配設することによって、脱酸素剤18は、包装部材12内の酸素濃度を低減し、注射器バレル14のチャンバ36内に配設されている流体F(図3B)に含まれる酸素を取り除くことができる。たとえば、包装部材12内に含まれる酸素は、脱酸素剤18によって吸収される。それに加えて、注射器バレル14のチャンバ36内に含まれる酸素、および/または注射器バレル14のチャンバ36内に配設された流体Fに含まれる酸素は、上で説明されているような酸素透過性部材を備える側壁30、遠位端32、および/または近位端34などの、注射器バレル14の少なくとも1つの部分を介して注射器バレル14のチャンバ36から脱酸素剤18へと流れる。包装部材12内の酸素濃度の低減は、包装部材12に含まれ、注射器バレル14のチャンバ36内に配設された流体Fに含まれる酸素などの大気気体は、事前充填注射器内の薬剤または薬物などの流体Fを劣化させ得るので、重要である。
【0040】
一実施形態において、脱酸素剤18は、ポリオレフィンベースの材料、たとえば、ポリプロピレン材料もしくはポリエチレン材料、または所望の酸素吸収速度または酸素反応速度を許す類似の材料から形成され得る。一実施形態において、脱酸素剤18は、鉄、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムなどの低分子量有機化合物、ならびに樹脂および触媒を組み込んだポリマー材料から形成され得る。さらに、脱酸素剤18が、包装部材12内に含まれる酸素を吸収し、注射器バレル14のチャンバ36内に配設された流体Fに含まれる酸素を取り除くことができる他の材料から形成され得ることも企図される。いくつかの実施形態において、脱酸素剤に適した材料は、化学結合によってそれと反応させ、一般的に金属酸化物成分を形成することによって酸素を取り除く金属ベースの物質を含む。本発明のシステムにおいて使用するのに適している例示的な脱酸素剤は、参照により本明細書に組み込まれている文献において開示されている(たとえば、特許文献1参照)。金属ベースの物質は、元素鉄、さらには、酸化鉄、水酸化鉄、炭化鉄、および同様のものを含む。脱酸素剤として使用するための他の金属は、ニッケル、スズ、銅、および亜鉛を含む。金属ベースの脱酸素剤は、典型的には、表面積を増やすために粉末の形態をとる。金属ベースの脱酸素剤の粉末形成は、限定はしないが、霧化、ミリング、粉砕、および電解を含む、知られている任意の方法によるものである。脱酸素剤のための追加の材料は、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、カテコール、およびフェノールなどの低分子量有機化合物、活性炭、ならびに樹脂および触媒を組み込んだポリマー材料を含む。薬剤包装システムのいくつかの実施形態において、脱酸素剤は、金属ベースの脱酸素剤である。薬剤包装システムのいくつかの場合において、脱酸素剤は、鉄ベースの脱酸素剤である。薬剤包装システムのさらなる場合において、脱酸素剤は、キャニスタの形態の鉄ベースの脱酸素剤である。
【0041】
一実施形態において、図1、3A、3B、および16を参照すると、脱酸素剤18は、キャニスタの形態をとる。他の実施形態において、脱酸素剤18は、パケットまたは小袋の形態などの他の形態をとり得る。いくつかの実施形態において、脱酸素剤18は、円筒形状、カプセル形状、または所望の吸収速度もしくは反応速度を許す類似の形状とすることができる。このようにして、脱酸素剤18のサイズ、形状、断面積、および/または体積、ならびに包装部材12内の脱酸素剤18の位置は、脱酸素剤18が包装部材12内に含まれる酸素を吸収するように適合され、注射器バレル14のチャンバ36内に配設された流体Fに含まれる酸素を取り除くようにも適合され、流体Fが劣化するのを防ぎ、注射器包装システム10の貯蔵寿命を延ばすように変化させてよい。
【0042】
本明細書で説明されている包装システムは、安定性を向上させ、液体形態の酸素感受性のある薬物の酸化的分解反応を防ぎ、それによって延命された製品貯蔵寿命、および長期にわたる薬物の効力または効率を維持することができる。
【0043】
「酸素感受性のある」または「酸素感受性」は、周囲温度条件(たとえば、5℃から約40℃)の下で酸素と反応する物質の能力を指す。化学反応は、酸素原子の物質への添加、物質からの水素の除去、または分子的実体からの1または複数の電子の喪失もしくは除去を伴うものとしてよく、その際に1または複数の陽子の同時喪失もしくは除去があるか、またはない。
【0044】
本明細書の薬剤包装システムの特徴は、システムのすべての成分中の酸素の吸収および除去を構成が可能にするという点である。本質的に、本明細書の薬剤包装システム内の脱酸素剤は、二次包装材、たとえば、包装部材12、一次包装材、たとえば、注射器バレル14、および一次包装材の内部の薬物における酸素の吸収および除去を引き起こす。脱酸素剤は、時間の経過とともに二次包装材を通した低酸素流入をさらに取り除く。この構成では、薬剤製造プロセスにより一次包装材および二次包装材の内部に存在する残留酸素量、さらには時間の経過とともに外部環境から包装システムに入る酸素が低減され、また排除されることすらある。
【0045】
本明細書で説明されている薬剤包装システムの別の特徴は、薬剤包装システムが、長期間にわたって一次包装容器および二次包装材内の初期酸素を取り除いた後に0%の酸素濃度を維持することである。結果として、本明細書で説明されている薬剤包装システムは、不活性雰囲気包装プロセス(たとえば、窒素雰囲気生成および/または脱気)などからの従来の包装および方法を超えて酸素感受性の薬物の貯蔵寿命の増大をもたらす。いくつかの実施形態において、本明細書で説明されている薬剤包装システムは、少なくとも約12カ月、少なくとも約15カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約24カ月、少なくとも約30カ月、少なくとも約36カ月、少なくとも約48カ月、または少なくとも約60カ月の間、一次包装材および二次包装材内で0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、本明細書で説明されている薬剤包装システムは、少なくとも12カ月の間、一次包装材および二次包装材内で0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、本明細書で説明されている薬剤包装システムは、少なくとも24カ月の間、一次包装材および二次包装材内で0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、本明細書で説明されている薬剤包装システムは、少なくとも36カ月の間、一次包装材および二次包装材内で0%の酸素濃度を維持する。
【0046】
一実施形態において、本明細書の薬剤包装システム内の脱酸素剤は、二次包装材内に存在する酸素の急速な取り込みを可能にする。周囲温度および圧力(1atm)における空気中の酸素は、約21%の濃度である。本明細書で説明されている薬剤包装システムが、周囲条件の空気下で組み立てられたとき、二次包装材の内部の環境は、最初に、21%の酸素濃度になっている。本開示の薬剤包装システムの脱酸素剤は、二次包装材内の酸素濃度を1から3日中に0%に素早く下げる。したがって、いくつかの実施形態において、脱酸素剤は、アセンブリの最初の包装後約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日、または約1日以内に二次包装材内の酸素を0%まで下げる。いくつかの実施形態において、脱酸素剤は、約1から7日以内に二次包装材内の酸素を0%まで下げる。いくつかの実施形態において、脱酸素剤は、約1から3日以内に二次包装材内の酸素を0%まで下げる。いくつかの実施形態において、脱酸素剤は、アセンブリの最初の包装後1日当たり空気中全酸素の約35%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%だけ二次包装材内の酸素を減らす。いくつかの場合において、脱酸素剤は、1日当たり約50%だけ二次包装材内の酸素を減らす。他の場合において、脱酸素剤は、1日当たり約75%だけ二次包装材内の酸素を減らす。さらなる場合において、脱酸素剤は、1日当たり約90%だけ二次包装材内の酸素を減らす。他の実施形態において、脱酸素剤は、アセンブリの最初の包装後1日当たり約35%から約75%、約50%から約80%、または約65%から約90%だけ二次包装材内の酸素を減らす。
【0047】
さらなる実施形態において、脱酸素剤は、二次包装材内で1日、atm当たり約2から約10ccの酸素、1日、atm当たり約3から約8ccの酸素、または1日、atm当たり約4から約6ccの酸素を減らす。いくつかの場合において、脱酸素剤は、二次包装材内で1日、atmあたり約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、または約10ccの酸素を減らす。いくつかの場合において、脱酸素剤は、1日、atm当たり約4ccの酸素を減らす。他の場合において、脱酸素剤は、1日、atm当たり約6ccの酸素を減らす。さらなる場合において、脱酸素剤は、1日、atm当たり約8ccの酸素を減らす。
【0048】
脱酸素剤の別の特徴は、それが、長期間にわたって二次包装材内の初期酸素を取り除いた後に0%の酸素濃度を維持することである。いくつかの実施形態において、脱酸素剤は、薬物の全貯蔵寿命の間に二次包装材内の0%の酸素濃度を維持する。いくつかの実施形態において、脱酸素剤は、少なくとも約12カ月、少なくとも約15カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約24カ月、少なくとも約30カ月、少なくとも約36カ月、少なくとも約48カ月、または少なくとも約60カ月の間、二次包装材内で0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、脱酸素剤は、少なくとも12カ月の間二次包装材内の0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、脱酸素剤は、少なくとも24カ月の間二次包装材内の0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、脱酸素剤は、少なくとも36カ月の間二次包装材内の0%の酸素濃度を維持する。
【0049】
本明細書の薬剤包装システム内の脱酸素剤の有利な特徴は、一次包装材内および液体薬物それ自体の中に存在する酸素の吸収および除去である。例示的な包装システム内の脱酸素剤が、一次包装材内および液体中の残留酸素を時間の経過とともに取り除いて0%の酸素濃度まで下げたことがわかっている。
【0050】
脱酸素剤は、また、いくつかの実施形態において、長期間にわたって一次包装材内の初期酸素を取り除いた後に0%の酸素濃度を維持する。いくつかの実施形態において、脱酸素剤は、薬物の全貯蔵寿命の間に一次包装材内の0%の酸素濃度を維持する。いくつかの実施形態において、脱酸素剤は、少なくとも約12カ月、少なくとも約15カ月、少なくとも約18カ月、少なくとも約24カ月、少なくとも約30カ月、少なくとも約36カ月、少なくとも約48カ月、または少なくとも約60カ月の間、一次包装材内で0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、脱酸素剤は、少なくとも12カ月の間一次包装材内の0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、脱酸素剤は、少なくとも24カ月の間一次包装材内の0%の酸素濃度を維持する。いくつかの場合において、脱酸素剤は、少なくとも36カ月の間一次包装材内の0%の酸素濃度を維持する。
【0051】
本明細書の薬剤包装システムの興味深い特性は、脱酸素剤によって一次包装材および二次包装材中の酸素を取り除いた後に、二次包装環境内の空気圧が大気圧より低くなり、真空効果が生じることである。
【0052】
本明細書で説明されている薬剤包装システムの脱酸素剤に対する酸素を吸収する能力は、一次包装材および二次包装材の初期酸素濃度を前の実施形態において説明されているような速度で0%の酸素濃度まで下げ、前の実施形態において説明されているような期間にわたって0%の酸素濃度を維持するのに十分な能力を包含する。酸素吸収能力は、二次包装材で使用される材料、二次包装材の表面積、ならびに二次包装材および一次包装材中の初期酸素の量に従って最適化され得る。
【0053】
図1〜9を参照すると、注射器包装システム10は、一般的に酸素不透過性である材料から形成される包装部材12と、包装部材12に取り外し可能に取り付けられ得る封止部材15(図2B)とを備える。包装部材12は、以下でさらに詳しく説明されるようにその中に注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の各々を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。
【0054】
封止部材15は、以下でさらに詳しく説明されるように注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18を包装部材12内に封止することによって包装部材12内の酸素濃度を下げるための追加の機構をもたらす。一実施形態において、封止部材15は、以下で説明されるように包装部材12との十分な封止を実現するようにアルミニウムベースの材料から形成され得る。一実施形態において、封止部材15は、一般的に酸素不透過性である材料から形成され得る。
【0055】
図1〜9を参照すると、包装部材12は、注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18をその中に受け入れるようにサイズが決められている。一実施形態において、包装部材12は、第1の区画100と、第2の区画102と、第3の区画104とを画成する。第1の区画100は、その中に注射器バレル14を受け入れるようにサイズが決められ、適合され、第2の区画102は、その中にプランジャロッド16を受け入れるようにサイズが決められ、適合され、第3の区画104は、その中に脱酸素剤18を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。第1の区画100、第2の区画102、および第3の区画104は、それらと一緒に気体連通している。このようにして、包装部材12は注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12の第1の区画100、第2の区画102、および第3の区画104内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。
【0056】
図1〜9を参照すると、包装部材12は、第1の端部または上端110と、第2の端部または下端112と、上端110と下端112との間に延在する側壁114とを備える。包装部材12は、係止リップ部116を上端110のところに備える。係止リップ部116の下に配設されるのは、段部122がそれらの間に画成されるように、上側トレイ部分118、すなわち、区画部分120の下に配設される断面よりも広い面積を有する断面を有する上側トレイ部分118である。上側トレイ部分118は、以下でさらに詳しく説明されるように注射器バレル14のフランジ40とプランジャロッド16のフランジ74とを受け入れ、支持する。図5を参照すると、一実施形態において、包装部材12の側壁114の内面115は、包装部材12の縦軸に沿って延在する対向するスロット124を画成する。図3A、5、および9を参照すると、包装部材12の側壁114の内面115は、対向する突起部または係止リブ126を備えている。
【0057】
一実施形態において、包装部材12は、一般的に酸素不透過性である材料または高酸素障壁材料、すなわち、低酸素透過性材料から形成される。たとえば、包装部材12は、ポリエステル材料もしくはその誘導体、ポリアミド材料もしくはその誘導体、またはエチレンビニルアルコールもしくは類似の材料などの極端に高い酸素障壁からのブレンドから形成され得る。一実施形態において、包装部材12は、単一障壁材料、または障壁材料もしくは複数の層を、層の1または複数が必要な障壁をもたらし、その一方で他の層が非障壁材料であり、必要な機械的特性もしくは他の材料特性をもたらすように、組み合わせたものから形成され得る。一実施形態において、包装部材12の複数の層は、全体的な包装構造内の障壁材料または非障壁材料の位置に関して、または関係せずに、ベース樹脂との活性酸素材料の共射出成形または2個取り射出成形またはブレンド、または類似のプロセスによって形成され得る。一実施形態において、包装部材12の厚さは、それが必要な機械的強度をもたらし、酸素障壁要件が満たされる限り0.2mmと薄く、また1.2mmと厚いものとしてよい。
【0058】
一実施形態において、脱酸素剤18および包装部材12用の材料の表面特性、たとえば、摩擦係数は、注射器包装システム10の構成要素のどれかに損傷を引き起こすことなく脱酸素剤18と包装部材12との間の望ましい、滑らかな移動を可能にするような特性である。
【0059】
図1〜3Bおよび10〜14を参照すると、注射器包装システム10は、包装部材12内に受け入れ可能である仕切り部材130を備えている。仕切り部材130は、第1の端部134と第2の端部136とを有する垂直壁132を備える。仕切り部材130は、垂直壁132の第2の端部136のところに配置される水平壁138も備える。一実施形態において、垂直壁132および水平壁138は一緒に、一般的にT字形状を形成する。仕切り部材130の垂直壁132の第1の端部134は、フランジ140を備える。仕切り部材130の水平壁138は、複数のガス孔142を画成する。図10〜12を参照すると、垂直壁132の幅は、水平壁138の幅よりも大きい。このようにして、垂直壁132の第1の側壁144および第2の側壁146は、図10〜12に示されているように水平壁138から外向きに延在する。
【0060】
注射器包装システム10の構成要素のすべては、任意の知られている材料から製作されるものとしてよく、望ましくは医療グレードのポリマーから製作される。
【0061】
次に、図1〜14を参照し、包装部材12内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の包装が説明される。最初に、注射器バレル14、プランジャロッド16、および包装部材12は、当業者に知られている技術に従って滅菌される。いくつかの実施形態において、注射器バレル14は、上で説明されているように事前充填され得る。
【0062】
次に、図3Aおよび3Bに示されているように、脱酸素剤18が包装部材12の下端112に隣接して包装部材12内に水平に位置決めされるように脱酸素剤18が包装部材12の区画部分120内に挿入される。
【0063】
次に、仕切り部材130は、図2A〜3Bに示されているように包装部材12内に受け入れられる。仕切り部材130を包装部材12内に固定するために、仕切り部材130の垂直壁132の第1の側壁144および第2の側壁146は、包装部材12の対向するスロット124内に各々位置決めされ、仕切り部材130は、一般的に矢印A(図1)に沿った方向に包装部材12内に挿入されるか、または軸方向移動される。図3Aおよび3Bに示されているように、追加の力が仕切り部材130に加えられ、包装部材12内で一般的に矢印Aに沿った方向に仕切り部材130を軸方向移動すると、仕切り部材130の水平壁138は、仕切り部材130の水平壁138が包装部材12の係止リブ126を超えて前進する、すなわち、係止リブ126上を摺動して通り過ぎ、仕切り部材130を包装部材12に係止するまで包装部材12の係止リブ126を外向きに変形させる。仕切り部材130の水平壁138が、包装部材12の係止リブ126の上を摺動して通り過ぎた後、係止リブ126は、図3Aおよび3Bに示されているようにそれらの変形されていないまたは元の位置に戻る。この位置において、図3Aおよび3Bを参照すると、係止リブ126は、仕切り部材130の水平壁138に当接し、接触し、または係合して、仕切り部材130を包装部材12に係止するか、または固定する。この構成は、仕切り部材130が包装部材12に固定されることを確実にし、それにより、仕切り部材130と包装部材12との間の著しい相対的移動が防がれる。このようにして、仕切り部材130および包装部材12は、第1の区画100と、第2の区画102と、第3の区画104とを画成する。第1の区画100は、その中に注射器バレル14を受け入れるようにサイズが決められ、適合され、第2の区画102は、その中にプランジャロッド16を受け入れるようにサイズが決められ、適合され、第3の区画104は、その中に脱酸素剤18を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。第1の区画100、第2の区画102、および第3の区画104は、それらと一緒に気体連通している。一実施形態において、仕切り部材130の水平壁138のガス孔142は、第3の区画104と第1の区画100と第2の区画102との間に気体連通をもたらす。このようにして、包装部材12は注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12の第1の区画100、第2の区画102、および第3の区画104内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。
【0064】
それに加えて、仕切り部材130は上で説明されているように包装部材12に固定され、それにより、仕切り部材130と包装部材12との間の著しい相対的移動が防がれ、仕切り部材130および包装部材12は、脱酸素剤18が包装部材12から取り外されることが防がれるように包装部材12内で脱酸素剤18を固定する第3の区画104を構成する。
【0065】
次に、図1〜3Bを参照すると、注射器バレル14は、注射器バレル14のフランジ40が図3Aおよび3Bに示されているように上側トレイ部分118と当接するように包装部材12の第1の区画100内に挿入されている。注射器バレル14が包装部材12の第1の区画100内に適切に挿入され、次いで、プランジャロッド16は、図3Aおよび3Bに示されているように包装部材12の第2の区画102内に挿入される。一実施形態において、包装部材12の上側トレイ部分118は、プランジャロッド16が包装部材12の第2の区画102内に挿入された状態で、プランジャロッド16のフランジ74が一方の側で注射器バレル14のフランジ40と当接し、他方の側でプランジャロッド支持部材と当接するようなプランジャロッド支持部材を備え得る。
【0066】
上で説明されているように、注射器包装システム10が、適切に滅菌された後、注射器バレル14の少なくとも一部は、包装部材12の第1の区画100内に適切に挿入されるものとしてよく、プランジャロッド16の少なくとも一部は、包装部材12の第2の区画102内に適切に挿入されるものとしてよく、脱酸素剤18の少なくとも一部は、包装部材12の第3の区画104内に適切に挿入されるものとしてよい。次に、封止部材15(図2B)は、包装部材12の第1の端部110と連携して、注射器バレル14と、プランジャロッド16と、包装部材12内の脱酸素剤18とを封止するために使用される、すなわち、封止部材15および包装部材12は一緒になって、漏れ防止および保護筐体を構成し、注射器バレル14の内容物と、プランジャロッド16と、包装部材12内に収容される脱酸素剤18とを保護し、および/または包装部材12内の封止され、滅菌された環境を維持する、実質的に不浸透性の筐体を構成する。それに加えて、封止部材15および包装部材12は一緒になって、包装部材12内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18を封止して注射器包装システム10の外部にある酸素が封止された包装部材12に入り込むのを防ぐことによって包装部材12内の酸素濃度を低減するための追加の機構を実現する。封止部材15および包装部材12は一緒になって、一定範囲の温度、圧力、および湿度レベルで十分なシールを形成する。
【0067】
前に説明されているように、脱酸素剤18を封止された包装部材12内に配設することによって、脱酸素剤18は、包装部材12内の酸素濃度を低減し、注射器バレル14のチャンバ36内に配設されている流体F(図3B)に含まれる酸素を取り除くことができる。包装部材12内に含まれる酸素は、脱酸素剤18によって吸収される。それに加えて、注射器バレル14のチャンバ36内に含まれる酸素、および/または注射器バレル14のチャンバ36内に配設された流体Fに含まれる酸素は、上で説明されているような酸素透過性部材を備える注射器バレル14の一部分を介して注射器バレル14のチャンバ36から脱酸素剤18へと流れる。包装部材12内の酸素濃度の低減は、包装部材12に含まれ、注射器バレル14のチャンバ36内に配設された流体Fに含まれる酸素などの大気気体は、事前充填注射器内の薬剤または薬物などの流体Fを劣化させ得るので、重要である。
【0068】
本開示の注射器包装システムは、注射器アセンブリの貯蔵スペースを縮小することもできる。プランジャロッド16を含む注射器アセンブリ13を注射器バレル14から分離させ、切り離すことによって、プランジャロッド16および注射器バレル14は、注射器アセンブリ13の貯蔵スペースを低減することを可能にするように包装部材12内に別々に留置され得る。たとえば、従来の事前充填された注射器は、典型的には、注射器バレル内に事前充填された流体とともに、注射器バレルの後端または近位端から引っ込められるプランジャロッドとともに包装される。したがって、そのような事前充填された注射器の包装は、出荷および貯蔵のためにはかさばり、不格好である。たとえば、従来の事前充填された注射器の包装されるべき全長は、注射器バレルの長さおよびプランジャロッドが注射器バレルから外向きに延在する長さに等しい。プランジャロッド16を含む注射器アセンブリ13を注射器バレル14から分離させ、切り離すことによって、プランジャロッド16および注射器バレル14は、注射器アセンブリ13の貯蔵スペースを低減することを可能にするように図3Aおよび3Bに示されているような包装部材12内に別々に留置され得る。このようにして、本開示の注射器アセンブリ13の包装されるべき全長は、注射器バレル14の長さに等しい。したがって、本発明による注射器アセンブリ13は、貯蔵スペースを縮小することを可能にするようにプランジャロッド16および注射器バレル14が包装されることを可能にする。
【0069】
それに加えて、本発明の注射器アセンブリによれば、包装部材12からプランジャロッド16および注射器バレル14を取り外した後、プランジャロッド16は、流体を回収し、および/または流体を送達するために注射器バレル14に素早く、容易に固定され得る。
【0070】
図3Aおよび3Bを参照すると、脱酸素剤18は、プランジャロッド16の下の包装部材12内に位置決めされる、すなわち、脱酸素剤18は、包装部材12の閉じられた下端112に隣接して位置決めされ、プランジャロッド16は、図3Aおよび3Bに示されているように脱酸素剤18の上に位置決めされる。たとえば、脱酸素剤18をその中に受け入れるようにサイズが決められ、適合された第3の区画104は、図3Aおよび3Bに示されているようにプランジャロッド16をその中に受け入れるようにサイズが決められ、適合された第2の区画102の下に配置される。このようにして、包装部材12からプランジャロッド16および注射器バレル14を取り外した後に、脱酸素剤18が包装部材12から取り外されることも防がれる。図24〜70を参照すると、本開示の他の例示的な実施形態において、脱酸素剤18は、プランジャロッド16の下の包装部材内に位置決めされる、すなわち、脱酸素剤18は、包装部材の閉じられた下端に隣接して位置決めされ、プランジャロッド16は、脱酸素剤18の上に位置決めされる。
【0071】
次に、図1〜3B、15、および17〜23を参照して、注射器バレル14およびプランジャロッド16が一緒に固定されて注射器アセンブリを形成し、注射器バレル14のチャンバ36内に収容される、薬剤などの流体を追い出すことができるように包装部材12から注射器バレル14およびプランジャロッド16を取り外すことが説明される。最初に、使用者は、注射器バレル14およびプランジャロッド16を包装部材12から取り外す。注射器バレル14およびプランジャロッド16を包装部材12から取り外すために、一実施形態において、使用者は、最初に、開封帯または他の改竄証拠部材が破られていないことをチェックして確認することができる。次に、使用者は、改竄証拠部材を取り外し、次いで、封止部材15(図2B)と包装部材12との間の上で説明されているシールを破ることができる。
【0072】
封止部材15と包装部材12との間のシールが破られると、使用者は、プランジャロッド16のフランジ74を掴んで、フランジ74を縦方向に引っ張り、プランジャロッド16を包装部材12の第2の区画102から取り外すことができる。次に、使用者は、包装部材12の上側トレイ部分118に配置されている注射器バレル14のフランジ40を掴み、フランジ40を縦方向に引っ張り、注射器バレル14を包装部材12の第1の区画100から取り外すことができる。プランジャロッド16および注射器バレル14が包装部材12から取り外されると、プランジャロッド16および注射器バレル14は一緒に固定されて、流体の分注および送達ならびに/または流体の回収を行うように適合された注射器アセンブリ13を形成することができる。
【0073】
上で説明されているように、仕切り部材130が包装部材12に固定され、それにより、仕切り部材130と包装部材12との間の著しい相対的移動が防がれ、仕切り部材130および包装部材12は、注射器バレル14およびプランジャロッド16が包装部材12から取り外されるときに脱酸素剤18が包装部材12から取り外されることが防がれるように包装部材12内で脱酸素剤18を固定する第3の区画104を構成する。
【0074】
次に、図17〜23を参照して、ストッパアダプタ21を介してプランジャロッド16を注射器バレル14に固定するように動作可能な固定特徴部の一実施形態が説明される。プランジャロッド16のプランジャロッドヘッド78がストッパアダプタ21のプランジャ受け入れ開口54に隣接して位置決めされた状態で、プランジャロッド16は一般的に矢印B(図17)に沿った方向にプランジャ受け入れ開口54内に挿入されるか、または軸方向移動され、それにより、プランジャロッドヘッド78の弾性フィンガ80はストッパアダプタ21のプランジャ受け入れ開口74内に配設される。追加の力がプランジャロッド16に加えられてプランジャ受け入れ開口54内で一般的に矢印Bに沿った方向にプランジャロッドヘッド78を軸方向移動すると、弾性フィンガ80は、突出環状リング58のテーパ付き部分60と連携し、突出環状リング58は、プランジャロッドヘッド78の弾性フィンガ80を、プランジャロッドヘッド78の弾性フィンガ80が突出環状リング58のテーパ付き部分60の上を摺動して通り過ぎ、図18Aおよび18Bに示されているようにプランジャロッド16をストッパアダプタ21に係止するまで、一般的に矢印C(図18A)に沿った方向に内向きに押すか、または圧迫する。プランジャロッドヘッド78の弾性フィンガ80が、突出環状リング58のテーパ付き部分60の上を摺動して通り過ぎた後、弾性フィンガ80は、図17および18Aに示されているようにそれらの元の位置に戻る。この位置で、図18Aを参照すると、突出環状リング58の係止端部62は、突出環状リング58がプランジャロッドヘッド78の環状溝84に隣接して配設された状態で弾性フィンガ80の係止端部88に当接し、接触し、または係合し、プランジャロッド16をストッパアダプタ21に係止するか、または固定する。この構成は、弾性フィンガ80が突出環状リング58の上に機械的に係止された状態で、プランジャロッド16がストッパアダプタ21に固定され、それにより、プランジャロッド16とストッパアダプタ21との間の著しい相対的移動が防がれることを確実にする。このようにして、プランジャロッド16は、注射器バレル14内のストッパ19を送るように適合される。
【0075】
別の実施形態において、ストッパアダプタ21の係合部分56は、変形可能な拘束部材、たとえば、弾性フィンガを備えるものとしてよく、プランジャロッド16の係合部分76は、プランジャロッド16をストッパ19に固定するための剛性のある曲がらない材料から形成されたプランジャロッドヘッド78を備え得る。別の代替的実施形態において、プランジャロッド16は、プランジャロッド16のネジ山付き部分をストッパアダプタ21のネジ山付き部分に螺合させることによってストッパアダプタ21を介して注射器バレル14に固定され得る。他の実施形態において、プランジャロッド16は、ボール止め、係止タブ、バネ式係止機構、ラッチ、接着剤、または他の類似の機構を使用してストッパアダプタ21に固定され得る。すべての実施形態において、プランジャロッド16は、ストッパアダプタ21に係止され、固定され、または係合される、すなわち、プランジャロッド16とストッパアダプタ21との間の著しい相対的移動が防がれ、プランジャロッド16の移動はストッパ19に伝えられ、注射器バレル14内の位置と位置との間でストッパ19を摺動させることができる。他の代替的実施形態において、プランジャロッド16およびストッパアダプタ21は、一体形成されるものとしてよく、両方とも、包装部材12の第2の区画102内に位置決めされたプランジャアセンブリと、包装部材12の第1の区画100内に位置決めされた別個の注射器バレル14とを形成する。
【0076】
他の実施形態において、プランジャロッド16およびストッパアダプタ21は、共押し出し法などによって同時形成され得る。代替的実施形態において、プランジャロッド16およびストッパアダプタ21は、注射器バレル14に固定可能であるプランジャアセンブリとして一体形成され得る。
【0077】
次に、図21〜23を参照すると、プランジャロッド16および注射器バレル14が一緒に固定されて注射器アセンブリ13を形成しており、使用者は、注射器バレル14の遠位端32から封止キャップ部材42を取り外すことができる。次いで、使用者は、注射器バレル14の遠位端32を別個の針アセンブリまたはIV接続アセンブリに取り付け、針アセンブリまたはIV接続アセンブリを知られている方法で注射器バレル14の遠位端32に係合して係止することができる。薬剤を分注する前に、知られている方法で注射器バレル14のチャンバ36内に閉じ込められているガスまたは空気を追い出すことができる。
【0078】
次に、図21〜23を参照して、注射器バレル14のチャンバ36内に収容される、薬剤などの流体を追い出すために注射器アセンブリ13を使用することが、説明される。プランジャロッド16のフランジ74の移動は、注射器バレル14内の位置と位置との間でストッパ19を移動するか、または摺動させるための作動手段を実現する。たとえば、フランジ74は、使用者がプランジャロッド16のフランジ74を握って、前後方向に作動させることを可能にする任意の形状を有し得る。
【0079】
注射器バレル14内に収容されている薬剤を追い出すか、または送達することが望ましいときに、注射器アセンブリ13は、プランジャロッド16のフランジ74上で使用者の親指、および注射器バレル14のフランジ40を掴み、その周りに延在する使用者の指で掴まれる。このようにして、注射器アセンブリ13は、使用者によって、従来の皮下注射器の動作に類似するよく知られている、またよく認識されているように掴まれる。次に、使用者は、プランジャロッド16のフランジ74上の親指と注射器バレル14のフランジ40を掴んでいる4本の指との間の絞る動きを引き起こし、それによって、プランジャロッド16のフランジ74を注射器バレル14の近位端34の方へ一般的に矢印D(図23)に沿った方向に移動させる。このようにして、一般的に矢印Dに沿った方向のストッパ19の移動は、注射器バレル14のチャンバ36内に収容される流体F(図3B)を出口開口部38から強制的に押し出させる、すなわち、注射器バレル14の遠位端32の方へのストッパ19の移動は、チャンバ36の容積を減らし、注射器バレル14から流体Fを押し出す。流体Fは、出口開口部38を通して注射器バレル14から送り出され患者と接触し、および/または別個の針アセンブリもしくはIVアセンブリ内に送り込まれ、患者体内に送り込まれ得る。
【0080】
次に図21〜23を参照すると、使用前に別個のバイアルから薬剤を注射器バレル14に充填するために注射器アセンブリ13を使用することが、説明される。注射器アセンブリ13が注射器バレル14の遠位端32に隣接してストッパ19が配置される位置にあり、針アセンブリが注射器バレル14の遠位端32に係止され、流体を収容するバイアル内に留置され、薬剤などの流体を注射器バレル14のチャンバ36内に吸引するか、または引っ張ることが望ましいときに、使用者は、プランジャロッド16のフランジ74を、一般的に矢印E(図23)に沿った、注射器バレル14の近位端34から遠ざかる方向に、所望の量の流体が注射器バレル14のチャンバ36内に引き込まれるまで、移動する。
【0081】
このようにして、一般的に矢印Eに沿った方向のストッパ19の移動は、注射器バレル14のチャンバ36の内部に真空を発生する。使用者が、一般的に矢印Eに沿った方向にプランジャロッド16を介してストッパ19を移動すると、使用者は、注射器バレル14のチャンバ36内の容積を能動的に増大させる。ストッパ19は、上で説明されているように、注射器バレル14の内壁との封止する係合をもたらすように注射器バレル14に相対的にサイズを決められるので、および注射器バレル14の遠位端32に係止された針アセンブリは、流体を収容するバイアル内に留置されるので、ガスまたは空気はいっさい、注射器バレル14のチャンバ36内に入ることはできず、したがって、使用者がチャンバ36内の容積を能動的に増大させると同じ数のガスまたは空気分子がチャンバ36内に配置される。これは、注射器バレル14の外の空気圧に関して注射器バレル14のチャンバ36内の圧力を減少させる。したがって、真空、すなわち、より低い空気圧の空間が発生し、薬剤などの流体を注射器バレル14のチャンバ36内に引き込む。有利には、注射器アセンブリ13は、注射器バレル14のチャンバ36内に流体を回収するか、または注射器バレル14のチャンバ36から流体を追い出すために使用され得る。
【0082】
図24〜33は、本開示の別の例示的な実施形態を示している。図24〜33を参照すると、注射器包装システム10Aは、包装部材12Aと、注射器バレル14および脱着可能なプランジャロッド16を含む注射器アセンブリ13と、脱酸素剤18と、ストッパ19とを備えている。包装部材12Aは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12A内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。本開示の注射器包装システム10Aは、注射器アセンブリの貯蔵スペースを縮小することもできる。
【0083】
図24〜33に示されている例示的な実施形態は、図1〜9に示されている実施形態に類似する構成要素を含む。簡潔にするため、これらの類似の構成要素および注射器包装システム10Aを使用する類似のステップについては、図24〜33に示されている実施形態に関してすべては説明することはしない。一実施形態において、注射器包装システム10Aは、図15〜23に示されている注射器アセンブリ13および脱酸素剤18と互換性がある。
【0084】
図24〜33を参照すると、注射器包装システム10Aは、一般的に酸素不透過性である材料から形成された包装部材12Aを備えている。一実施形態において、封止部材15(図2B)は、包装部材12Aに取り外し可能に取り付けられ得る。包装部材12Aは、以下でさらに詳しく説明されるようにその中に注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の各々を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。
【0085】
図24〜33を参照すると、包装部材12Aは、第1の区画100Aと、第2の区画102Aと、第3の区画104Aと、第1の端部もしくは上端110Aと、第2の端部もしくは下端112Aと、上端110Aと下端112Aとの間に延在する側壁114Aとを備えている。包装部材12Aは、係止リップ部116Aを上端110Aのところに備える。係止リップ部116Aの下に配設されるのは、段部122Aがそれらの間に画成されるように、上側トレイ部分118A、すなわち、区画部分120Aの下に配設される断面よりも広い面積を有する断面を有する上側トレイ部分118Aである。区画部分120Aは、隔離壁150が区画部分120Aを第1の区画100Aと第2の区画102Aとに分割するように配設された隔離壁150を備える。隔離壁150は、第1の区画100Aおよび第2の区画102Aをそれらと一緒に気体連通する状態を維持するガススロット152を画成する。第2の区画102Aは、第1の隆起部154と、第1の隆起部154から隔てて並ぶ第2の隆起部156とを備える。一実施形態において、第1の隆起部154および第2の隆起部156は、包装部材12Aの側壁114Aの内面115A上に成形される。
【0086】
図30を参照すると、注射器包装システム10Aは、包装部材12A内に受け入れ可能である仕切り部材160を備えている。仕切り部材160は、対向するノッチ162を備え、複数のガス孔164を画成する。
【0087】
注射器包装システム10Aの構成要素のすべては、任意の知られている材料から製作されるものとしてよく、望ましくは医療グレードのポリマーから製作される。
【0088】
次に、図24〜33を参照し、包装部材12A内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の包装が説明される。最初に、注射器バレル14、プランジャロッド16、および包装部材12Aは、上で説明されているように当業者に知られている技術に従って滅菌される。いくつかの実施形態において、注射器バレル14は、上で説明されているように事前充填され得る。次に、図31に示されているように、脱酸素剤18が第3の区画104A上の包装部材12Aの下端112Aに隣接して包装部材12A内に垂直に位置決めされるように脱酸素剤18が包装部材12Aの区画部分120Aの第3の区画104Aの側に挿入される。
【0089】
次に、仕切り部材160は、図31および33に示されているように包装部材12A内に受け入れられる。仕切り部材160を包装部材12A内に固定するために、仕切り部材160は、区画部分120Aの第2の区画102Aの側内に位置決めされ、仕切り部材160は、一般的に矢印A(図1)に沿った方向に包装部材12A内に挿入されるか、または軸方向移動される。一実施形態において、仕切り部材160のノッチ162は、包装部材12A内に仕切り部材160を留置する際に保持する特徴部をもたらす。図31および33に示されているように、追加の力が仕切り部材160に加えられ、包装部材12A内で一般的に矢印Aに沿った方向に仕切り部材160を軸方向移動すると、仕切り部材160は、仕切り部材160が包装部材12Aの第1の隆起部154を超えて前進する、すなわち、第1の隆起部154の上を摺動して通り過ぎ、仕切り部材160を第1の隆起部154と第2の隆起部156との間に係止するまで包装部材12Aの第1の隆起部154を外向きに変形させる。仕切り部材160が、包装部材12Aの第1の隆起部154の上を摺動して通り過ぎた後、第1の隆起部154は、その変形されていない、または元の位置に戻る。この位置において、図31および33を参照すると、第1の隆起部154および第2の隆起部156は、仕切り部材160と当接し、接触し、または係合し、図31および33に示されているように、仕切り部材160を第1の隆起部154と第2の隆起部156との間で包装部材12Aに係止するか、または固定する。この構成は、仕切り部材160が包装部材12Aに固定されることを確実にし、それにより、仕切り部材160と包装部材12Aとの間の著しい相対的移動が防がれる。このようにして、仕切り部材160および包装部材12Aは、第2の区画102Aと、第3の区画104Aとを画成する。第1の区画100Aは、その中に注射器バレル14を受け入れるようにサイズが決められ、適合され、第2の区画102Aは、その中にプランジャロッド16を受け入れるようにサイズが決められ、適合され、第3の区画104Aは、その中に脱酸素剤18を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。第1の区画100A、第2の区画102A、および第3の区画104Aは、それらと一緒に気体連通している。一実施形態において、仕切り部材160のガス孔164および隔離壁150のガススロット152は、区画100A、102A、および104Aの間に気体連通をもたらす。このようにして、包装部材12Aは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12Aの第1の区画100A、第2の区画102A、および第3の区画104A内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。
【0090】
それに加えて、仕切り部材160は上で説明されているように包装部材12Aに固定され、それにより、仕切り部材160と包装部材12Aとの間の著しい相対的移動が防がれ、仕切り部材160および包装部材12Aは、脱酸素剤18が包装部材12Aから取り外されることが防がれるように包装部材12A内で脱酸素剤18を固定する第3の区画104Aを構成する。
【0091】
次に、注射器バレル14が、上で説明されているように、包装部材12Aの第1の区画100A内に挿入される。注射器バレル14が包装部材12Aの第1の区画100A内に適切に挿入され、次いで、プランジャロッド16は、上で説明されているように包装部材12Aの第2の区画102A内に挿入される。
【0092】
上で説明されているように、注射器包装システム10Aが、適切に滅菌された後、注射器バレル14の少なくとも一部は、包装部材12Aの第1の区画100A内に適切に挿入されるものとしてよく、プランジャロッド16の少なくとも一部は、包装部材12Aの第2の区画102A内に適切に挿入されるものとしてよく、脱酸素剤18の少なくとも一部は、包装部材12Aの第3の区画104A内に適切に挿入されるものとしてよい。次に、封止部材15(図2B)は、包装部材12Aと連携して、注射器バレル14と、プランジャロッド16と、包装部材12A内の脱酸素剤18とを封止するために使用される、すなわち、封止部材15および包装部材12Aは一緒になって、漏れ防止および保護筐体を構成し、注射器バレル14の内容物と、プランジャロッド16と、包装部材12A内に収容される脱酸素剤18とを保護し、および/または包装部材12A内の封止され、滅菌された環境を維持する、実質的に不浸透性の筐体を構成する。それに加えて、封止部材15および包装部材12Aは一緒になって、包装部材12A内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18を封止して注射器包装システム10Aの外部にある酸素が封止された包装部材12Aに入り込むのを防ぐことによって包装部材12A内の酸素濃度を低減するための追加の機構を実現する。封止部材15および包装部材12Aは一緒になって、一定範囲の温度、圧力、および湿度レベルで十分なシールを形成する。
【0093】
図34〜44は、本開示の別の例示的な実施形態を示している。図15〜23および34〜44を参照すると、注射器包装システム10Bは、包装部材12Bと、注射器バレル14および脱着可能なプランジャロッド16を含む注射器アセンブリ13と、脱酸素剤18と、ストッパ19と、ストッパアダプタ21とを備えている。包装部材12Bは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12B内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。本開示の注射器包装システム10Bは、注射器アセンブリの貯蔵スペースを縮小することもできる。
【0094】
図34〜44に示されている例示的な実施形態は、図1〜9に示されている実施形態に類似する構成要素を含む。簡潔にするため、これらの類似の構成要素および注射器包装システム10Bを使用する類似のステップについては、図34〜44に示されている実施形態に関してすべて説明することはしない。一実施形態において、注射器包装システム10Bは、図15〜23に示されている注射器アセンブリ13および脱酸素剤18と互換性がある。
【0095】
図34〜44を参照すると、注射器包装システム10Bは、一般的に酸素不透過性である材料から形成された包装部材12Bを備えている。一実施形態において、封止部材15(図2B)は、包装部材12Bに取り外し可能に取り付けられ得る。包装部材12Bは、以下でさらに詳しく説明されるようにその中に注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の各々を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。
【0096】
図34〜44を参照すると、包装部材12Bは、第1の区画100Bと、第2の区画102Bと、第3の区画104Bと、第1の端部もしくは上端110Bと、第2の端部もしくは下端112Bと、上端110Bと下端112Bとの間に延在する側壁114Bとを備えている。包装部材12Bは、係止リップ部116Bを上端110Bのところに備える。係止リップ部116Bの下に配設されるのは、段部122Bがそれらの間に画成されるように、上側トレイ部分118B、すなわち、区画部分120Bの下に配設される断面よりも広い面積を有する断面を有する上側トレイ部分118Bである。区画部分120Bは、隔離壁170が区画部分120Bを第1の区画100Bと第2の区画102Bとに分割するように配設された隔離壁170を備える。隔離壁170は、第1の区画100Bおよび第2の区画102Bをそれらと一緒に気体連通する状態を維持するガススロット172を画成する。第2の区画102Bは、包装部材12Bの下端112Bに隣接する内壁または脱酸素剤チャンバ174を備える。脱酸素剤チャンバ174は、その中に脱酸素剤18を受け入れるようにサイズが決められ、適合された第3の区画104Bを形成する。一実施形態において、包装部材12Bの第1の区画100B、第2の区画102B、および第3の区画104Bは、単一の包装部材構成要素または区画として形成される。
【0097】
図39〜44を参照すると、注射器包装システム10Bは、包装部材12Bの脱酸素剤チャンバ174内に受け入れ可能である蓋176を備えている。蓋176は、開口178を画成する。一実施形態において、蓋176は、締まり嵌めによって脱酸素剤チャンバ174に固定可能であるようにサイズが決められ、適合される。蓋176の開口178は、脱酸素剤チャンバ174内に収容された脱酸素剤18を効率的に働かせるためのものであり、第1の区画100B、第2の区画102B、および第3の区画104Bをそれらと一緒に気体連通する状態に維持する。
【0098】
注射器包装システム10Bの構成要素のすべては、任意の知られている材料から製作されるものとしてよく、望ましくは医療グレードのポリマーから製作される。
【0099】
次に、図34〜44を参照し、包装部材12B内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の包装が説明される。最初に、注射器バレル14、プランジャロッド16、および包装部材12Bは、上で説明されているように当業者に知られている技術に従って滅菌される。いくつかの実施形態において、注射器バレル14は、上で説明されているように事前充填され得る。次に、脱酸素剤18は、包装部材12Bの第3の区画104B、すなわち、脱酸素剤チャンバ174内に挿入され、それにより、脱酸素剤18は、図44に示されているように脱酸素剤チャンバ174内に垂直に位置決めされる。
【0100】
次に、蓋176は、図44に示されているように締まり嵌めを使用して脱酸素剤チャンバ174に固定される。この構成は、蓋176が脱酸素剤チャンバ174に固定されることを確実にし、それにより、蓋176と脱酸素剤チャンバ174との間の著しい相対的移動が防がれる。このようにして、蓋176および脱酸素剤チャンバ174は、第2の区画102Bと、第3の区画104Bとを画成する。第1の区画100Bは、その中に注射器バレル14を受け入れるようにサイズが決められ、適合され、第2の区画102Bは、その中にプランジャロッド16を受け入れるようにサイズが決められ、適合され、第3の区画104Bは、その中に脱酸素剤18を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。第1の区画100B、第2の区画102B、および第3の区画104Bは、それらと一緒に気体連通している。このようにして、包装部材12Bは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12Bの第1の区画100B、第2の区画102B、および第3の区画104B内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。
【0101】
それに加えて、蓋176が上で説明されているように脱酸素剤チャンバ174に固定され、それにより、蓋176と脱酸素剤チャンバ174との間の著しい相対的移動が防がれ、蓋176および脱酸素剤チャンバ174は、脱酸素剤18が包装部材12Bから取り外されることが防がれるように包装部材12B内で脱酸素剤18を固定する第3の区画104Bを構成する。
【0102】
次に、注射器バレル14が、上で説明されているように、包装部材12Bの第1の区画100B内に挿入される。注射器バレル14が包装部材12Bの第1の区画100B内に適切に挿入され、次いで、プランジャロッド16は、上で説明されているように包装部材12Bの第2の区画102B内に挿入される。
【0103】
上で説明されているように、注射器包装システム10Bが、適切に滅菌された後、注射器バレル14の少なくとも一部は、包装部材12Bの第1の区画100B内に適切に挿入されるものとしてよく、プランジャロッド16の少なくとも一部は、包装部材12Bの第2の区画102B内に適切に挿入されるものとしてよく、脱酸素剤18の少なくとも一部は、包装部材12Bの第3の区画104B内に適切に挿入されるものとしてよい。次に、封止部材15(図2B)は、包装部材12Bと連携して、注射器バレル14と、プランジャロッド16と、包装部材12B内の脱酸素剤18とを封止するために使用される、すなわち、封止部材15および包装部材12Bは一緒になって、漏れ防止および保護筐体を構成し、注射器バレル14の内容物と、プランジャロッド16と、包装部材12B内に収容される脱酸素剤18とを保護し、および/または包装部材12B内の封止され、滅菌された環境を維持する、実質的に不浸透性の筐体を構成する。それに加えて、封止部材15および包装部材12Bは一緒になって、包装部材12B内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18を封止して注射器包装システム10Bの外部にある酸素が封止された包装部材12Bに入り込むのを防ぐことによって包装部材12B内の酸素濃度を低減するための追加の機構を実現する。封止部材15および包装部材12Bは一緒になって、一定範囲の温度、圧力、および湿度レベルで十分なシールを形成する。
【0104】
図45〜53は、本開示の別の例示的な実施形態を示している。図15〜23および45〜53を参照すると、注射器包装システム10Cは、包装部材12Cと、注射器バレル14および脱着可能なプランジャロッド16を含む注射器アセンブリ13と、脱酸素剤18と、ストッパ19と、ストッパアダプタ21とを備えている。包装部材12Cは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12C内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。本開示の注射器包装システム10Cは、注射器アセンブリの貯蔵スペースを縮小することもできる。
【0105】
図45〜53に示されている例示的な実施形態は、図1〜9に示されている実施形態に類似する構成要素を含む。簡潔にするため、これらの類似の構成要素および注射器包装システム10Cを使用する類似のステップについては、図45〜53に示されている実施形態に関してすべて説明することはしない。一実施形態において、注射器包装システム10Cは、図15〜23に示されている注射器アセンブリ13および脱酸素剤18と互換性がある。
【0106】
図45〜53を参照すると、注射器包装システム10Cは、一般的に酸素不透過性である材料から形成された包装部材12Cを備えている。一実施形態において、封止部材15(図2B)は、包装部材12Cに取り外し可能に取り付けられ得る。包装部材12Cは、以下でさらに詳しく説明されるようにその中に注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の各々を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。
【0107】
図45〜53を参照すると、包装部材12Cは、第1の区画100Cと、第2の区画102Cと、第3の区画104Cと、第1の端部もしくは上端110Cと、第2の端部もしくは下端112Cと、上端110Cと下端112Cとの間に延在する側壁114Cとを備えている。包装部材12Cは、係止リップ部116Cを上端110Cのところに備える。係止リップ部116Cの下に配設されるのは、段部122Cがそれらの間に画成されるように、上側トレイ部分118C、すなわち、区画部分120Cの下に配設される断面よりも広い面積を有する断面を有する上側トレイ部分118Cである。上側トレイ部分118Cは、以下でさらに詳しく説明されるように注射器バレル14のフランジ40とプランジャロッド16のフランジ74とを受け入れ、支持する。包装部材12Cの側壁114Cの内面は、包装部材12Cの縦軸に沿って延在する対向する角リブ180を備える。対向する角リブ180は、図50に示されているように頂点182を形成する。
【0108】
一実施形態において、角リブ180は、図46に示されているように区画部分120Cを第1の区画100Cと第2の区画102Cとに分割する。一実施形態において、角リブ180の頂点182は、図50に示されているように区画部分120Cを第2の区画102Cと第3の区画104Cとに分割する。第1の区画100C、第2の区画102C、および第3の区画104Cは、それらと一緒に気体連通している。一実施形態において、包装部材12Cの第1の区画100C、第2の区画102C、および第3の区画104Cは、単一の包装部材構成要素または区画として形成される。
【0109】
図45および46を参照すると、上側トレイ部分118Cは、第2の区画102Cの周上のプランジャロッド支持部材184と、第1の区画100Cの周上の注射器バレル支持部材186とを備える。プランジャロッド支持部材184は、プランジャロッド16と係合してプランジャロッド16を包装部材12Cの第2の区画102C内に固定するためのさらなる固定機構を実現する。たとえば、図51および52を参照すると、一実施形態において、プランジャロッド16が第2の区画102C内に挿入されると、プランジャロッド16のフランジ74の下側表面がプランジャロッド支持部材184と係合し、プランジャロッド16を包装部材12C内に固定し安定させている。注射器バレル支持部材186は、注射器バレル14と係合して注射器バレル14を包装部材12Cの第1の区画100C内に固定するためのさらなる固定機構を実現する。たとえば、図51および52を参照すると、一実施形態において、注射器バレル14が第1の区画100C内に挿入されると、注射器バレル14のフランジ40が注射器バレル支持部材186と係合し、注射器バレル14を包装部材12C内に固定している。一実施形態において、注射器バレル支持部材186は、フランジ40の平坦な端部が一方の方向に沿っているように注射器バレル14が包装部材12C内に位置決めされることを可能にする機構を実現する。一実施形態において、注射器バレル支持部材186は、ばら包装時にネスティング防止機構(anti-nesting mechanism)として働く。
【0110】
図45および46を参照すると、包装部材12Cの下部分または下端112Cは、第3の区画104Cから第1の区画100Cの側へテーパが付けられている。このようにして、包装部材12Cの全体的サイズが縮小される。
【0111】
注射器包装システム10Cの構成要素のすべては、任意の知られている材料から製作されるものとしてよく、望ましくは医療グレードのポリマーから製作される。
【0112】
次に、図45〜53を参照し、包装部材12C内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の包装が説明される。最初に、注射器バレル14、プランジャロッド16、および包装部材12Cは、上で説明されているように当業者に知られている技術に従って滅菌される。いくつかの実施形態において、注射器バレル14は、上で説明されているように事前充填され得る。
【0113】
次に、脱酸素剤18は、図53に示されているように、脱酸素剤18が第3の区画104C内に垂直に位置決めされるように包装部材12Cの第3の区画104C内に受け入れられる。脱酸素剤18を包装部材12Cの第3の区画104C内に固定するために、脱酸素剤18は、一般的に矢印A(図1)に沿った方向に包装部材12C内に挿入されるか、または軸方向移動される。図53に示されているように、追加の力が脱酸素剤18に加えられ、包装部材12C内で一般的に矢印Aに沿った方向に脱酸素剤18を軸方向移動すると、脱酸素剤18は、脱酸素剤18が包装部材12Cの角リブ180の頂点182を超えて前進する、すなわち、頂点182の上を摺動して通り過ぎ、脱酸素剤18を包装部材12Cの第3の区画104C内で係止するまで包装部材12Cの角リブ180の頂点182を外向きに変形させる。脱酸素剤18が、包装部材12Cの角リブ180の頂点182の上を摺動し通り過ぎると、角リブ180の頂点182は、それらの変形されていない、または元の位置に戻る。この位置で、角リブ180の頂点182は、脱酸素剤18と当接し、接触し、または係合し、脱酸素剤18を包装部材12Cの第3の区画104C内に係止するか、または固定し得る。この構成は、包装部材12Cが、脱酸素剤18が包装部材12Cから取り外されることを防がれるように脱酸素剤18を包装部材12C内に固定する第3の区画104Cを形成することを確実にする。この構成は、脱酸素剤18が第3の区画104C内に維持され、第1の区画100Cの方へ摺動することができないことも確実にする。
【0114】
注射器包装システム10Cは、脱酸素剤18が第3の区画104C内に適切に位置決めされた後、包装部材12Cと脱酸素剤18との間の干渉が最小になるか、またはまったくないシステムを備える。このようにしては、包装部材12Cおよび/または脱酸素剤18にかかる応力は非常に小さいか、またはまったくない。
【0115】
次に、注射器バレル14が、上で説明されているように、包装部材12Cの第1の区画100C内に挿入される。注射器バレル14が包装部材12Cの第1の区画100C内に適切に挿入され、次いで、プランジャロッド16は、上で説明されているように包装部材12Cの第2の区画102C内に挿入される。
【0116】
このようにして、包装部材12Cは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12Cの第1の区画100C、第2の区画102C、および第3の区画104C内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。
【0117】
上で説明されているように、注射器包装システム10Cが、適切に滅菌された後、注射器バレル14の少なくとも一部は、包装部材12Cの第1の区画100C内に適切に挿入されるものとしてよく、プランジャロッド16の少なくとも一部は、包装部材12Cの第2の区画102C内に適切に挿入されるものとしてよく、脱酸素剤18の少なくとも一部は、包装部材12Cの第3の区画104C内に適切に挿入されるものとしてよい。次に、封止部材15(図2B)は、包装部材12Cと連携して、注射器バレル14と、プランジャロッド16と、包装部材12C内の脱酸素剤18とを封止するために使用される、すなわち、封止部材15および包装部材12Cは一緒になって、漏れ防止および保護筐体を構成し、注射器バレル14の内容物と、プランジャロッド16と、包装部材12C内に収容される脱酸素剤18とを保護し、および/または包装部材12C内の封止され、滅菌された環境を維持する、実質的に不浸透性の筐体を構成する。それに加えて、封止部材15および包装部材12Cは一緒になって、包装部材12C内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18を封止して注射器包装システム10Cの外部にある酸素が封止された包装部材12Cに入り込むのを防ぐことによって包装部材12C内の酸素濃度を低減するための追加の機構を実現する。封止部材15および包装部材12Cは一緒になって、一定範囲の温度、圧力、および湿度レベルで十分なシールを形成する。
【0118】
図54〜61は、本開示の別の例示的な実施形態を示している。図15〜23および54〜61を参照すると、注射器包装システム10Dは、包装部材12Dと、注射器バレル14および脱着可能なプランジャロッド16を含む注射器アセンブリ13と、脱酸素剤18と、ストッパ19と、ストッパアダプタ21とを備えている。包装部材12Dは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12D内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。本開示の注射器包装システム10Dは、注射器アセンブリの貯蔵スペースを縮小することもできる。
【0119】
図54〜61に示されている例示的な実施形態は、図1〜9に示されている実施形態に類似する構成要素を含む。簡潔にするため、これらの類似の構成要素および注射器包装システム10Dを使用する類似のステップについては、図54〜61に示されている実施形態に関してすべて説明することはしない。一実施形態において、注射器包装システム10Dは、図15〜23に示されている注射器アセンブリ13および脱酸素剤18と互換性がある。
【0120】
図54〜61を参照すると、注射器包装システム10Dは、一般的に酸素不透過性である材料から形成された包装部材12Dを備えている。一実施形態において、封止部材15(図2B)は、包装部材12Dに取り外し可能に取り付けられ得る。包装部材12Dは、以下でさらに詳しく説明されるようにその中に注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の各々を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。
【0121】
図54〜61を参照すると、包装部材12Dは、第1の区画100Dと、第2の区画102Dと、第3の区画104Dと、第1の端部もしくは上端110Dと、第2の端部もしくは下端112Dと、上端110Dと下端112Dとの間に延在する側壁114Dとを備えている。包装部材12Dは、係止リップ部116Dを上端110Dのところに備える。係止リップ部116Dの下に配設されるのは、段部122Dがそれらの間に画成されるように、上側トレイ部分118D、すなわち、区画部分120Dの下に配設される断面よりも広い面積を有する断面を有する上側トレイ部分118Dである。上側トレイ部分118Dは、注射器バレル14のフランジ40とプランジャロッド16のフランジ74とを受け入れ、支持する。包装部材12Dの側壁114Dの内面は、包装部材12Dの縦軸に沿って延在する対向するフィン要素190を備える。対向するフィン要素190は、引き込み部分192と、上部分194と、下部分196とを備える。
【0122】
一実施形態において、フィン要素190は、図55に示されているように区画部分120Dを第1の区画100Dと第2の区画102Dとに分割する。一実施形態において、フィン要素190の上部分194および下部分196は、図57に示されているように区画部分120Dを第2の区画102Dと第3の区画104Dとに分割する。第1の区画100D、第2の区画102D、および第3の区画104Dは、それらと一緒に気体連通している。一実施形態において、包装部材12Dの第1の区画100D、第2の区画102D、および第3の区画104Dは、単一の包装部材構成要素または区画として形成される。
【0123】
図54および55を参照すると、包装部材12Dの下部分または下端112Dは、第3の区画104Dから第1の区画100Dの側へテーパが付けられている。このようにして、包装部材12Dの全体的サイズが縮小される。
【0124】
注射器包装システム10Dの構成要素のすべては、任意の知られている材料から製作されるものとしてよく、望ましくは医療グレードのポリマーから製作される。
【0125】
次に、図54〜61を参照し、包装部材12D内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の包装が説明される。最初に、注射器バレル14、プランジャロッド16、および包装部材12Dは、上で説明されているように当業者に知られている技術に従って滅菌される。いくつかの実施形態において、注射器バレル14は、上で説明されているように事前充填され得る。
【0126】
次に、脱酸素剤18は、脱酸素剤18が第3の区画104D内に垂直に位置決めされるように包装部材12Dの第3の区画104D内に受け入れられる。脱酸素剤18を包装部材12Dの第3の区画104D内に固定するために、脱酸素剤18は、一般的に矢印A(図1)に沿った方向に包装部材12D内に挿入されるか、または軸方向移動される。フィン要素190の引き込み部分192は、包装部材12D内で脱酸素剤18をガイドし、センタリングすることを助ける引き込み表面を備える。追加の力が脱酸素剤18に加えられ、包装部材12D内で一般的に矢印Aに沿った方向に脱酸素剤18を軸方向移動すると、脱酸素剤18は、脱酸素剤18が包装部材12Dのフィン要素190の上部分194を超えて前進する、すなわち、上部分194の上を摺動して通り過ぎ、脱酸素剤18を包装部材12Dの第3の区画104D内で係止するまでフィン要素190の一部を外向きに変形させる。脱酸素剤18が、包装部材12Dのフィン要素190の上部分194の上を摺動し通り過ぎると、フィン要素190は、それらの変形されていない、または元の位置に戻る。この位置で、フィン要素190は、脱酸素剤18と当接し、接触し、または係合し、フィン要素190と脱酸素剤18との間の締まり嵌めによって脱酸素剤18を包装部材12Dの第3の区画104D内に係止するか、または固定し得る。この構成は、包装部材12Dが、脱酸素剤18が包装部材12Dから取り外されることを防がれるように脱酸素剤18を包装部材12D内に固定する第3の区画104Dを形成することを確実にする。この構成は、脱酸素剤18が第3の区画104D内に維持され、第1の区画100Dの方へ摺動することができないことも確実にする。
【0127】
次に、注射器バレル14が、上で説明されているように、包装部材12Dの第1の区画100D内に挿入される。注射器バレル14が包装部材12Dの第1の区画100D内に適切に挿入され、次いで、プランジャロッド16は、上で説明されているように包装部材12Dの第2の区画102D内に挿入される。
【0128】
このようにして、包装部材12Dは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12Dの第1の区画100D、第2の区画102D、および第3の区画104D内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。
【0129】
図62〜70は、本開示の別の例示的な実施形態を示している。図15〜23および62〜70を参照すると、注射器包装システム10Eは、包装部材12Eと、注射器バレル14および脱着可能なプランジャロッド16を含む注射器アセンブリ13と、脱酸素剤18と、ストッパ19と、ストッパアダプタ21とを備えている。包装部材12Eは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12E内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。本開示の注射器包装システム10Eは、注射器アセンブリの貯蔵スペースを縮小することもできる。
【0130】
図62〜70に示されている例示的な実施形態は、図1〜9に示されている実施形態に類似する構成要素を含む。簡潔にするため、これらの類似の構成要素および注射器包装システム10Eを使用する類似のステップについては、図62〜70に示されている実施形態に関してすべて説明することはしない。一実施形態において、注射器包装システム10Eは、図15〜23に示されている注射器アセンブリ13および脱酸素剤18と互換性がある。
【0131】
図62〜70を参照すると、注射器包装システム10Eは、一般的に酸素不透過性である材料から形成された包装部材12Eを備えている。一実施形態において、封止部材15(図2B)は、包装部材12Eに取り外し可能に取り付けられ得る。包装部材12Eは、注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の各々を受け入れるようにサイズが決められ、適合される。
【0132】
図62〜70を参照すると、包装部材12Eは、第1の区画100Eと、第2の区画102Eと、第3の区画104Eと、第1の端部もしくは上端110Eと、第2の端部もしくは下端112Eと、上端110Eと下端112Eとの間に延在する側壁114Eとを備えている。包装部材12Eは、係止リップ部116Eを上端110Eのところに備える。係止リップ部116Eの下に配設されるのは、段部122Eがそれらの間に画成されるように、上側トレイ部分118E、すなわち、区画部分120Eの下に配設される断面よりも広い面積を有する断面を有する上側トレイ部分118Eである。上側トレイ部分118Eは、注射器バレル14のフランジ40とプランジャロッド16のフランジ74とを受け入れ、支持する。
【0133】
区画部分120Eは、注射器バレル容器200と、プランジャロッドと、脱酸素剤容器202とを備える。プランジャロッドおよび脱酸素剤容器202は、プランジャロッド16および脱酸素剤18をそれぞれその中に受け入れるようにサイズが決められ、適合されている第2の区画102Eと第3の区画104Eとを形成する。注射器バレル容器200は、その中に注射器バレル14を受け入れるようにサイズが決められ、適合された第1の区画100Eを形成する。一実施形態において、包装部材12Eの第1の区画100E、第2の区画102E、および第3の区画104Eは、単一の包装部材構成要素または区画として形成される。注射器バレル容器200およびプランジャロッドおよび脱酸素剤容器202は、第1の区画100Eと、第2の区画102Eと、第3の区画104Eとをそれらと一緒に気体連通している状態に維持するガススロット206を画成する。プランジャロッドおよび脱酸素剤容器202の内面は、包装部材12Eのプランジャロッドおよび脱酸素剤容器202の縦軸に沿って延在するリブ204を備える。
【0134】
注射器包装システム10Eの構成要素のすべては、任意の知られている材料から製作されるものとしてよく、望ましくは医療グレードのポリマーから製作される。
【0135】
次に、図62〜70を参照し、包装部材12E内の注射器バレル14、プランジャロッド16、および脱酸素剤18の包装が説明される。最初に、注射器バレル14、プランジャロッド16、および包装部材12Eは、上で説明されているように当業者に知られている技術に従って滅菌される。いくつかの実施形態において、注射器バレル14は、上で説明されているように事前充填され得る。
【0136】
次に、脱酸素剤18は、包装部材12Eの第3の区画104E、すなわち、プランジャロッドおよび脱酸素剤容器202内に受け入れられ、それにより、脱酸素剤18は、図70に示されているようにプランジャロッドおよび脱酸素剤容器202内に垂直に位置決めされる。脱酸素剤18を包装部材12Eの第3の区画104E内に固定するために、脱酸素剤18は、一般的に矢印A(図1)に沿った方向に包装部材12Eのプランジャロッドおよび脱酸素剤容器202内に挿入されるか、または軸方向移動される。追加の力が脱酸素剤18に加えられ、包装部材12Eのプランジャロッドおよび脱酸素剤容器202内で一般的に矢印Aに沿った方向に脱酸素剤18を軸方向移動すると、脱酸素剤18は、脱酸素剤18が包装部材12Eのプランジャロッドおよび脱酸素剤容器202の下部分へ前進するまでリブ204を外向きに変形させる。この位置で、リブ204は、脱酸素剤18と当接し、接触し、または係合し、リブ204と脱酸素剤18との間の締まり嵌めによって脱酸素剤18を包装部材12Eの第3の区画104Eのプランジャロッドおよび脱酸素剤容器202内に係止するか、または固定し得る。この構成は、包装部材12Eが、脱酸素剤18が包装部材12Eから取り外されることを防がれるように脱酸素剤18を包装部材12E内に固定する第3の区画104Eを形成することを確実にする。この構成は、脱酸素剤18が第3の区画104E内に維持され、第1の区画100Eの方へ摺動することができないことも確実にする。次に、注射器バレル14が、図70に示されているように包装部材12Eの注射器バレル容器200内に挿入される。次に、プランジャロッド16が、図70に示されているように包装部材12Eのプランジャロッドおよび脱酸素剤容器202内に挿入される。
【0137】
このようにして、包装部材12Eは注射器バレル14と、プランジャロッド16と、脱酸素剤18とを封じ込め、脱酸素剤18は、注射器バレル14から酸素を引き出し、包装部材12Eの第1の区画100E、第2の区画102E、および第3の区画104E内に収容されている酸素を吸収するように適合されている。
【0138】
例示的な実施形態が上で説明されているが、当業者であれば、請求項によって定められる本発明の範囲および精神から逸脱することなくこれらの実施形態に変更および修正が加えられ得ることを理解するであろう。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67
図68
図69
図70