(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蓋体の裏面にフックが設けられる一方、該フックを引っ掛けるための凹部が前記筒状容器の内周面に設けられていて、前記蓋体が閉じられた状態のときに、前記フックの先端部が前記凹部に落ち込んで引っ掛かる構造になっていること
を特徴とする請求項1または2に記載の棒状化粧料容器。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明を適用した棒状化粧料容器(操作体がスライド上限点に位置する状態)の断面図である。また、
図2(b)は
図1(a)中のA−A線で切断した棒状化粧料容器の断面図、
図2(b)はそのA−A線で切断した筒状容器単体の断面図、
図3(a)は
図1の棒状化粧料容器における操作体をスライド上限点からスライド下限点の方向に少しスライドさせた状態の断面図、
図3(b)はその操作体を更にスライド下限点の方向にスライドさせることで、ヒンジ部が屈曲し、蓋体が開いた状態の断面図であり、
図4は
図1の棒状化粧料容器における操作体がスライド下限点までスライドした状態の断面図である。さらに、
図6(a)は
図1の棒状化粧料容器から蓋体とヒンジ部(ヒンジ基部を含む)と昇降ベルトを取り出した状態の説明図である。
【0026】
《棒状化粧料容器の概要》
図1を参照すると、同図の棒状化粧料容器1は、上端開口型の筒状容器2と、筒状容器2内で棒状化粧料K(
図4参照)の下端部を保持する保持体3と、筒状容器2の上端開口4に設けた蓋体5と、蓋体5を開閉するためのヒンジ部6と、筒状容器2の外周部に設けた操作体7と、筒状容器2の上下端方向に操作体7をスライド可能とするスライド機構部8(
図2(a)参照)と、筒状容器2の上下端方向に保持体3を昇降可能とする昇降機構部9と、操作体7のスライド動作と保持体3の昇降動作とヒンジ部6による蓋体5の開閉動作とを連動させる連動手段10と、を備えた構成になっている。
【0027】
棒状化粧料Kとしては、例えば、棒状アイブロウ、棒状アイライナー、棒状リップライナー、棒状コンシーラー、棒状口紅、棒状リップクリーム、棒状アイシャドウを採用することができる。
【0028】
《筒状容器の説明》
図2(a)(b)を参照すると、
図1の棒状化粧料容器1においては、筒状容器2の具体的な構成として、筒状容器2をその筒状の軸方向に沿って縦割り分割した2つの容器片200を作製し、これら2つの容器片200を突合わせ接合することによって一つの筒状容器2となる構成(
図1(c)参照)、および、その接合部Cにおいて筒状容器2の外周面に凹部11(以下「容器外面凹部11」という)が設けられる構成を採用している。
【0029】
《保持体の説明》
図1を参照すると、保持体3は、筒体31の内側中央付近に受け台32を設けた形状であって、その筒体31の上部から受け台32の方向に向けて棒状化粧料K(
図4参照)の下端部を挿入する形式で装填できるように構成されており、挿入装填された棒状化粧料Kは、受け板台32の底面と筒体31の内面とで安定に保持される。このような保持体3は樹脂で形成しているが、樹脂以外の素材で形成することも可能である。
【0030】
《蓋体の説明》
蓋体5は、筒状容器2の上端開口4形状に合わせて硬質の樹脂で形成しているが、これに限定されることはない。蓋体5を構成素材は必要に応じて適宜変更することができ、硬質樹脂以外の樹脂や樹脂以外の素材で蓋体5を形成することも可能である。
【0031】
蓋体5の裏面には環状突起51が形成されており、蓋体5の閉時にその
環状突起51が筒状容器2の上端開口4に没入することで、蓋体5の閉時における左右方向へのズレは効果的に防止される。そのような蓋体5のズレが生じない場合は、
環状突起51を省略してもよい。
【0032】
蓋体5を安定に閉じた状態とする固定ロック手段として、
図1の棒状化粧料容器1においては、蓋体5の裏面縁部に切欠き部52を設けるとともに、
図1のように蓋体5が閉じられている状態において、操作体7の一部、具体的には後述するスライド体71の先端部が切欠き部52に入り込むように構成してある。
【0033】
また、切欠き部52に入り込んだ操作体7の一部(具体的には、前述のスライド体71の先端部)が切欠き部52の内壁に突き当たって蓋体5を押し上げるように構成することもでき、そのような押し上げの力が作用した蓋体5は、その力の作用点に対して支点となるヒンジ部6から見て、かかる作用点とは反対側、すなわち筒状容器2の上端開口4側に押し付けられるので、蓋体5は、更に安定に閉じた状態になる。
【0034】
《ヒンジ部の説明》
ヒンジ部6は、蓋体5の裏面外周部から操作体7の方向に向けて垂下した形態の屈曲可能な樹脂板材によって形成されている。
図1の棒状化粧料容器1では、蓋体5の裏面外周部の具体的な位置として、蓋体5の外周縁から少し内側に入り込んだ位置を採用し、このような蓋体5の内側位置からヒンジ部6が垂下するように構成したことで、ヒンジ部
6が筒状容器2の外周面より出っ張らないように設定してある。
【0035】
前記のようなヒンジ部6の具体的な構成として、
図1の棒状化粧料容器1では、いわゆるPPヒンジを採用している。このPPヒンジは、短冊状のPP(ポリプロピレン)樹脂板を用意し、PP樹脂板の一端側を蓋体5の裏面外周部に取り付け固定するとともに、PP樹脂板の取付け固定端付近が他の部分に比べて比較的大きく屈曲可能なヒンジ部6として機能する構成、および、PP樹脂板全体のうちヒンジ部6以外の部分はヒンジ部6を支持するヒンジ基部61として機能する構成になっている。
【0036】
図1のように蓋体5が閉じている状態のとき、ヒンジ部6は、筒状容器2の上端2A付近に位置し、かつ、屈曲することなく蓋体5とほぼ直角の状態となるように構成されている。この状態において、筒状容器2の下端2B方向に向けてヒンジ基部61を押し下げる力が作用すると、ヒンジ部6は、筒状容器4の下端2B方向に移動しながら筒状容器4の外周面に対して反る方向に屈曲できるように構成されており(
図3(b)参照)、このようなヒンジ部6の屈曲動作によって、
図3(b)に示したように、蓋体5は開いた状態になる。
【0037】
また、前記のように蓋体5が開いた状態において、ヒンジ基部61を筒状容器4の上端2A方向に押し上げる力が作用すると、ヒンジ部6は、筒状容器2の上端2A方向に移動しながら、その弾性復元能力によって屈曲前の元の状態に戻るように構成されており、このようなヒンジ部6の弾性復元動作によって、
図1に示したように、蓋体5は閉じた状態になる。
【0038】
先に説明したPPヒンジと同等の樹脂板材、例えば、ポリエチレン樹脂板などをヒンジ部6として適用することも可能である。また、ヒンジ部6と蓋体5は別々の素材で構成することもできるし、同じ素材で一体に成形することも可能である。
【0039】
ヒンジ部6と同じ素材で蓋体5を一体成形した場合には、ヒンジ部6と蓋体5が一部品として構成されるので、部品点数の削減という利点を有する反面、蓋体5が屈曲変形し易くなるなどの不具合が想定される。この場合は、補強部材によって蓋体5を補強すればよく、かかる補強部材としては、先に説明した
環状突起51を採用してもよい。
【0040】
《操作体とそのスライド機構部の説明》
図1を参照すると、操作体7は、細長板状のスライド体71と、スライド体71の表面に設けた操作用凸部72と、を備えた構成になっている。
【0041】
前記のような構成の操作体7を筒状容器2の上下端2A、2B方向にスライド可能とするスライド機構部8(
図2(a)参照)の具体的な構成として、
図1の棒状化粧料容器1では、
図2(a)に示したように、スライド体71の左右両側にガイドレール81を設ける一方、この左右両側のガイドレール81に対応する一対のスライドガイド溝82を容器外面凹部11に設けるとともに、その左右両側のガイドレール81および一対のスライドガイド溝82が筒状容器2の上下端2A、2B方向に沿って形成される構成、および、一対のスライドガイド溝82に左右両側のガイドレール82がスライド可能に係合する構成を採用している。
【0042】
なお、
図1の棒状化粧料容器1では、筒状容器2の上端2A付近を操作体7のスライド上限点P1として設定し、筒状容器2の下端2B付近を操作体7のスライド下限点P2(
図4参照)として設定しており、これにより、操作体7は、スライド上限点P1からスライド下限点P2までの範囲(筒状容器2の上端2A付近から下端2B付近までの範囲)でスライド可能となっている。
【0043】
《昇降機構部の説明》
図1および
図2(a)(b)を参照すると、昇降機構部9は、容器外面凹部11の両内側面に設けた昇降ガイド溝91と、その昇降ガイド溝91に摺動可能に嵌め込まれた可撓性の昇降ベルト92と、を備えている。
【0044】
昇降ガイド溝91はその始端91Aから終端91Bまでの範囲が全体としてU字形状となるように形成してある。このU字形状は、具体的には、筒状容器2の上端2A付近から始まり、筒状容器2の下端2B付近91CでU字状にカーブして折り返した後、同筒状容器2の上端2A付近まで戻るような形状になっている。
【0045】
図1のように蓋体5が閉じている状態において、昇降ベルト92の先端92Aは筒状容器2の上端2A付近に位置する一方、昇降ベルト92の後端92Bは、昇降ガイド溝91のU字状カーブ(91C)を通って、筒状容器2の下端2B付近に位置するように設定してある。また、この昇降ベルト92の後端92Bは、連結部12を介して保持体3の外周面に一体に連結固定されている。
【0046】
図1のように蓋体5が閉じている状態、すなわち、昇降ベルト92の先端92Aが筒状容器2の上端2A付近に位置する状態において、昇降ベルト92の先端92Aを筒状容器2の下端2B方向へ押し下げようとする力が作用すると、昇降ベルト92の先端92Aは筒状容器2の下端2B方向に向って下降する一方、昇降ベルト92の後端92Bは、筒状容器2の上端2A方向に向って上昇するので、保持体3は昇降ベルト92の後端92Bと一緒に上昇する。
【0047】
前記のように昇降ベルト92の後端92Bと保持体3が上昇した状態において、昇降ベルト92の先端92Aを筒状容器2の上端2A方向へ押し上げようとする力が作用したときには、昇降ベルト92の先端92Aは、筒状容器2の上端2A方向に向って上昇する一方、昇降ベルト92の後端92Bは、筒状容器2の下端2B方向に向って下降するので、保持体3も昇降ベルト92の後端92Bと一緒に下降する。
【0048】
前記連結部12の具体的な構成として、
図1の棒状化粧料容器1では、昇降ベルト92の後端92B側表面に嵌合突起121を設けるとともに、この嵌合突起121が嵌め込み固定される嵌合孔122を保持体3の外周面に設ける構成を採用しているが、これ以外の別の構成によって昇降ベルト92の後端92Bと保持体3の外周面とを一体に連結してもよい。
【0049】
《連動手段の説明》
連動手段10の具体的な構成として、
図1の棒状化粧料容器1では、下記のような第1の構造と第2の構造を採用している。
【0050】
(第1の構造)
第1の構造は、昇降ベルト92の先端92A側表面に嵌合突起101を設け、この嵌合突起101に対応する嵌合孔102をヒンジ基部61に設けるとともに、嵌合突起101が嵌合孔102に嵌め込まれることで、昇降ベルト92の先端92A側とヒンジ基部61とが連結される構造(以下「連結構造部103」という)である(
図6(a)参照)。
【0051】
(第2の構造B)
第2の構造は、筒状容器2の上下端2A、2B方向に沿って縦長に形成された凹部104(以下「縦長凹部104」という)を操作体7の裏面(具体的には、スライド板71の裏面)に設けるとともに、その縦長凹部104内に連結構造部103を配置することによって、縦長凹部104の内壁後方面104Aで連結構造部103を筒状容器2の上端2A方向へ押し上げることや(
図1参照)、縦長凹部104の内壁前方面104Bで連結構造部103を筒状容器2の下端2A方向へ押し下げること(
図3(a)(b)参照)ができる構造である。
【0052】
図1のように蓋体5が閉じている状態において、操作体7は筒状容器2の上端2A付近(具体的には、スライド上限点P1)に位置し、昇降ベルト92の先端92Aも筒状容器2の上端2A付近に位置し、また、縦長凹部104の後方内壁面104Aが連結構造部103に当接した状態になっており、さらに、操作体7の一部(具体的には、スライド体71の先端部。以下同様とする)が蓋体5の切欠き部52に入り込んだ状態になっている。このような状態を以下「閉ロック状態」という。閉ロック状態の時、棒状化粧料Kは筒状容器2内に収容された状態になっている。
【0053】
前記のような閉ロック状態(
図1参照)において、
図3(a)に示したように操作体7を筒状容器2の下端2B方向に所定量スライドさせると、蓋体5の切欠き部52から操作体7の一部が離れる。
【0054】
この時、操作体7における縦長凹部104の内壁後方面104Aは
図3(a)のように連結構造部103から離れる一方、その縦長凹部104の内壁前方面104Bは連結構造部103に接近するが、操作体7のスライド開始時から所定期間、具体的には、縦長凹部104の内壁前方面104Bによる連結構造部103の押し下げ動作が開始される直前までの期間(以下「押下げ休止期間」という)内では、ヒンジ部6やヒンジ基部61は動かずに停止の状態を維持している。
【0055】
このため、蓋体5と操作体7との間には操作体7スライド分の隙間Gが生じ、かかる隙間Gによりヒンジ部6の上方が開放されることで、ヒンジ部6は所定方向、すなわち筒状容器2の外周面に対して反る方向に屈曲できる状態になる。
【0056】
そして、押下げ休止期間の後に続けて更に、
図3(b)に示したように操作体7を筒状容器2の下端2B方向に所定量スライドさせると、縦長凹部104の内壁前方面104Bによる連結構造部103の押し下げ動作が始まる。これにより、ヒンジ部6がスライド下限点P2の方向(筒状容器2の下端2B方向)に移動しならが所定方向(筒状容器2の外周面に対して反る方向)に屈曲することで、蓋体5は開いた状態になる。
【0057】
また、前記のような縦長凹部104の内壁前方面104Bによる連結構造部103の押し下げ動作により、昇降ベルト92の先端92Aが筒状容器2の下端2B方向に向って下降する一方、昇降ベルト92の後端92Bが筒状容器2の上端2A方向に向って上昇するので、保持体3は上昇する。
【0058】
前記のような保持体3の上昇によって、棒状化粧料Kは、
図4のように筒状容器2の上端開口4方向に繰り出される。
【0059】
以上の動作説明から分かるように、
図1の棒状化粧料容器1では、前記のような第1の構造および第2の構造からなる連動手段10の採用により、操作体7のスライド動作と保持体3の上昇動作とヒンジ部6による蓋体5の開動作とが連動する。
【0060】
図4を参照すると、操作体7はスライド下限点P2(筒状容器2の下端2B付近)までスライドさせることができ、操作体7と一緒に蓋体5、ヒンジ部6およびヒンジ基部61もスライド下限点P2に向って下降する。このとき、ヒンジ部6は所定方向に屈曲した状態を維持したままスライド下限点P2付近まで下降し、また、蓋体5はその裏面が筒状容器2の外周面と対向する状態を維持したままスライド下限点P2付近まで下降する。
【0061】
なお、操作体7がスライド下限点P2に到達した時点で、保持体3の上昇による棒状化粧料Kの繰出し量は最大になる。
【0062】
次に、スライド下限点P2からスライド上限点P1に向けて操作体7をスライドさせた場合の動作について説明すると、この場合は、操作体7のスライド開始直後から、縦長凹部104の内壁後方面104Aによって連結構造部103が押し上げられる。
【0063】
これにより、ヒンジ部6はスライド上限点P1の方向(筒状容器2の上端2A方向)に向って上昇する。これと同時に、昇降ベルト92の先端92Aは筒状容器2の上端2A方向に向って上昇する一方、昇降ベルト92の後端92Bは筒状容器2の下端2B方向に向って下降するので、保持体3は下降する。
【0064】
そして、操作体7がスライド上限点P1の近傍に到達すると、ヒンジ部6が筒状容器2の上端開口4に掛かり、この時点から、それまで屈曲していたヒンジ部6がその弾性復元能力によって屈曲前の元の状態に戻ることで、蓋体5は閉じ始める。
【0065】
そして、最終的に操作体7がスライド上限点P1に到達すると、操作体7と同じく昇降ベルト92の先端92Aも筒状容器2の上端2A付近に到達し、また、操作体7における縦長凹部104の後方内壁面104Aが連結構造部103に当接し、かつ、操作体7の一部が蓋体5の切欠き部51に入り込んだ状態になる。つまり、前述の閉ロック状態が再現される。
【0066】
以上の動作説明から分かるように、
図1の棒状化粧料容器1では、前述した第1の構造および第2の構造からなる連動手段10の採用により、操作体7のスライド動作と保持体3の下降動作とヒンジ部6による蓋体5の閉動作とが連動する。
【0067】
要するに、
図1の棒状化粧料容器1では、筒状容器2の上端2A付近が操作体7のスライド上限点P1として設定され、筒状容器2の下端2B付近が操作体7のスライド下限点P2として設定されていて、スライド上限点P1からスライド下限点P2に向けて操作体7をスライドさせたときには、ヒンジ部6がスライド下限点P1に向けて移動しながら筒状容器2の外周面に対して反る方向に屈曲することで、蓋体5は開いた状態になる一方、その状態から操作体7をスライド上限点P1までスライドさせたときには、ヒンジ部6がスライド上限点P1に向けて移動しながら屈曲前の元の状態に戻ることにより、蓋体5は閉じた状態になる。
【0068】
《その他の構成の説明など》
図1の棒状化粧料容器1においては、筒状容器2と保持体3との間に金属製のスリーブ13を介在させるとともに、保持体3の昇降動作とスリーブ13の昇降動作とを公知のカム機構(特許文献1を参照)によって連動させる構成を採用している。
【0069】
前記のような公知のカム機構による連動は、例えば、保持体3が筒状容器2の下端2B付近から中央付近まで上昇する区間を第1区間とし、第1区間の終りから保持体13が筒状容器2の上端2A付近まで上昇する区間を第2区間とした場合において、その第1区間では、保持体3の上昇動作に連動してスリーブ13が上昇し、棒状化粧料Kより一歩先に筒状容器2の上端開口4からスリーブ13が露出する一方、第2区間では、保持体3の上昇動作とスリーブ13の上昇動作との連動が解除され、保持体3だけが上昇することによって、上昇停止中のスリーブ13から
図4のように棒状化粧料Kが外部に露出するというものである。
【0070】
《他の実施形態(その1)》
図5は、本発明の他の実施形態(その1)の説明図である。この
図5において
図1に示された部材と同一部材には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0071】
図5の棒状化粧用容器1では、蓋体5の裏面にフック14が設けられる一方、該フック14を引っ掛けるための凹部15(以下「フック引っ掛け用凹部15」という)が筒状容器2の内周面(具体的には筒状容器2の上端開口付近)に設けられている。そして、
図5のように蓋体5が閉じられた状態のときに、当該フック14の先端部がフック引っ掛け用凹部15に落ち込んで引っ掛かる構造になっている。
【0072】
このような構造によると、閉じられた状態にある蓋体5のバタツキを効果的に防止することができるとともに、蓋体5の閉時にクリック感が得られることで、蓋体5がしっかり閉じられていることを利用者に認識させることができる等、棒状化粧用容器としての利便性が向上する。
【0073】
《他の実施形態(その2)》
図6(b)は、本発明の他の実施形態(その2)の説明図である。この
図6(b)において
図1に示された部材と同一部材には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0074】
図1の棒状化粧用容器1では、
図6(a)にも示した通り、ヒンジ部6(ヒンジ基部61も含む)と昇降ベルト92を別部品として個別に作製し、それらを後で前述の連結構造部103によって連結しているが、これとは別の実施形態(その2)として、部品点数の削減やコストダウンを図る等の観点より、例えば
図6(b)に示したように、蓋体5とヒンジ部6(ヒンジ基部61も含む)と昇降ベルト92を最初から一部品として一体に構成してもよい。
【0075】
このような構成を採用する場合には、その構成上、
図6(a)に示された連結構造部103が無くなるので、かかる連結構造部103の代わりに、凸部16を昇降ベルト92の表面に形成する。そして、凸部16が縦長凹部104内に配置されることによって、縦長凹部104の内壁後方面104Aで凸部16を筒状容器2の上端2A方向へ押し上げることや、縦長凹部104の内壁前方面104Bで凸部16を筒状容器2の下端2A方向へ押し下げることができるように構成する。
【0076】
前記のような凸部16の押し上げ動作によって、ヒンジ部6がスライド下限点P2の方向(筒状容器2の下端2B方向)に移動しならが所定方向(筒状容器2の外周面に対して反る方向)に屈曲することで、蓋体5は開いた状態になる。また、前記のような凸部16の押し下げ動作によって、ヒンジ部6がスライド上限点P1に向けて移動しながら屈曲前の元の状態に戻ることにより、蓋体5は閉じた状態になる。
【0077】
《他の実施形態(その3)および(その4)》
図7は、本発明の他の実施形態(その3)の説明図、
図8は、本発明の他の実施形態(その4)の説明図である。この
図7および
図8において
図1に示された部材と同一部材には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0078】
図1の棒状化粧用容器1では、前述の通り、操作体7をスライド上限点P1までスライドさせることによって蓋体5が閉じた状態になる。この状態において、スライド上限点P1に位置する操作体7がスライド下限点P2方向へ自然に滑落してしまうことにより、閉じている蓋体5が多少開いてしまうおそれもある。このような操作体7の自然滑落による意図しない蓋体5の開状態を防止するため、本発明の他の実施形態(その3)として、例えば、
図7に示したストッパ手段あるいは
図8に示したストッパ手段を採用することができる。
【0079】
図7のストッパ手段は、その具体的な構成として、操作体7の裏側(具体的には、筒状容器2の外面に対向している操作用凸部72の裏面)に第1の突起17Aを設ける一方、この第1の突起17Aに対向する第2の突起17Bを筒状容器2の外面におけるスライド上限点P1の直前付近に設けるとともに、操作体7がスライド上限点P1に到達する直前付近で、第1の突起17Aが第2の突起17Bを乗り越えるように構成してある。
【0080】
以上のような構成を採用した
図7のストッパ手段によると、スライド上限点P1に位置する操作体7がスライド下限点P2方向へ自然に滑落しようとしたときに、第1の突起17Aも操作体7と一緒にスライド下限点P2方向へ移動しようとするが、そのような第1の突起17Aの移動先には第2の突起17Bがストッパとして存在し、第1の突起17Aの移動は抑制されるので、操作体7がスライド上限点P1からスライド下限点P2方向に自然に滑落するような不具合は効果的に防止される。
【0081】
図8のストッパ手段は、その具体的な構成として、操作体7の側面(具体的には、ガイドレール81の面)に凹溝17Cを設ける一方、この凹溝17Cに対応する凸ダボ17Dを容器外面凹部11の底面におけるスライド上限点P1に設けるとともに、操作体7がスライド上限点P1に到達した際に、凹溝17Cが凸ダボ17Dに入り込んで係合するように構成してある。
【0082】
また、
図8のストッパ手段では、凹溝17Cの前方部にテーパ面TSを形成するとともに、このテーパ面TSを凸ダボ17Dが登って凹溝17Cに入り込むように設定することにより、凹溝17Cに対する凸ダボ17Dの入り込み動作がスムーズとなるように構成してある。
【0083】
以上のような構成を採用した
図8のような構成のストッパ手段によると、スライド上限点P1に位置する操作体7がスライド下限点P2方向へ自然に滑落しようとしても、スライド上限点P1では凹溝17Cが凸ダボ17Dに入り込んで係合した状態になっているから、そのような操作体7の自然滑落は効果的に防止される。
【0084】
以上説明した
図7および
図8のストッパ手段は一例であり、これら以外のストッパ手段によって操作体7の自然滑落を防止してもよい。
【0085】
《まとめ》
以上説明した実施形態の棒状化粧料容器1では、前記の通り「蓋体5を開閉するためのヒンジ部6として「蓋体5の裏面外周部から操作体7の方向に向けて垂下した形態の屈曲可能な樹脂板材」を採用した。このため、当該ヒンジ部6は一枚の樹脂板材で構成されるから、従来の軸ヒンジを採用したヒンジ部に比べ、部品の点数が少なく、また蓋体5の開閉構造も一枚の樹脂板材からなる簡単な構造になる点で、本実施形態の棒状化粧料容器1は、部品点数が少なく、かつシンプルな構造である。
【0086】
また、以上説明した実施形態の棒状化粧料容器1では、前述の通り、スライド上限点P1からスライド下限点P2に向けて操作体7をスライドさせたときには、ヒンジ部6がスライド下限点P2に向けて移動しながら筒状容器2の外周面に対して反る方向に屈曲することで、蓋体5は開いた状態になるように構成した。つまり、蓋体5の開時にヒンジ部6はスライド下限点P2である筒状容器2の下端2B付近まで移動し、このようなヒンジ部6の移動に伴って蓋体5もヒンジ部6と同じ方向に移動することで、蓋体5は筒状容器2の下端2B付近に配置されるから、開いた蓋体5が筒状容器2の上端開口4付近に位置する状態で残ることはなく、蓋体5がメイク作業などの邪魔にならない点で、本実施形態の棒状化粧料容器1は、使い勝手に優れたものである。
【0087】
さらに、スライド下限点P2付近まで下降した蓋体5によって筒状容器2の下端2B付近外周面には滑り止めとしての凹凸ができるので、このような凹凸による棒状化粧料容器1の脱落防止効果も期待でき、誤って棒状化粧料容器1を落してしまうようなことも少なくなるという利点がある。
【0088】
また、ヒンジ部6を構成する樹脂板材は、従来の軸ヒンジに比べ、薄くて嵩張らないので、本実施形態の棒状化粧料容器1は、棒状化粧料容器としての見栄えの向上や、棒状化粧料容器全体のスリム化を図るのに好適である。
【0089】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により多くの変形が可能である。
【0090】
例えば、前述のスリーブ13やカム機構は必要に応じて適宜省略することができる。またPP(ポリプロピレン)樹脂板と同等に機能する樹脂板を本発明のヒンジ部5として採用することも可能である。
【解決手段】棒状化粧料容器1は、上端開口型の筒状容器2と、筒状容器の上端開口4に設けた蓋体5と、蓋体を開閉するためのヒンジ部6と、筒状容器の外周部に設けた操作体7と、を具備し、ヒンジ部6は、蓋体の裏面外周部から操作体の方向に向けて垂下した形態の屈曲可能な樹脂板材によって形成され、スライド上限点P1からスライド下限点に向けて操作体をスライドさせたときには、ヒンジ部がスライド下限点に向けて移動しながら筒状容器の外周面に対して反る方向に屈曲することで、蓋体は開いた状態になる一方、その状態から操作体をスライド上限点P1までスライドさせたときには、ヒンジ部がスライド上限点に向けて移動しながら屈曲前の元の状態に戻ることにより、蓋体は閉じた状態になる。