特許第6271794号(P6271794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6271794アプリケーション層マルチキャスト配信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6271794
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】アプリケーション層マルチキャスト配信方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/6405 20110101AFI20180122BHJP
   H04N 21/4788 20110101ALI20180122BHJP
   H04N 21/266 20110101ALI20180122BHJP
   H04N 21/442 20110101ALI20180122BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
   H04N21/6405
   H04N21/4788
   H04N21/266
   H04N21/442
   G06F13/00 520C
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-98901(P2017-98901)
(22)【出願日】2017年5月18日
【審査請求日】2017年5月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501064343
【氏名又は名称】株式会社プランネット・アソシエイツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 衛
【審査官】 古川 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−186583(JP,A)
【文献】 特開2013−258657(JP,A)
【文献】 特開2012−173995(JP,A)
【文献】 特開2009−117944(JP,A)
【文献】 特開2012−175684(JP,A)
【文献】 首藤一幸,アプリケーション層マルチキャスト:基本と応用,UNIX magazine,日本,株式会社アスキー,2006年10月 1日,Vol.21, No.6,p.34-43
【文献】 久保広行 他,モバイル端末のためのオーバレイマルチキャストアーキテクチャ,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2009年 2月24日,Vol.108, No.457,p.51-56,ISSN 0913-5685
【文献】 橋本太郎 他,中継段数に着目した適応中継マルチキャストツリー再構成手法,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2005年 2月24日,Vol.104, No.689,p.211-216,ISSN 0913-5685
【文献】 KUBO, Hiroyuki et al.,Mobile Overlay Multicast Using Information on Physical Stability for Robust Video Streaming,2009 IEEE 20th International Symposium on Personal, Indoor and Mobile Radio Communications,米国,IEEE,2009年 9月13日,p.2960-2964,URL,http://ieeexplore.ieee.org/document/5450307/
【文献】 CUI, Yi et al.,oStream: Asynchronous Streaming Multicast in Application-Layer Overlay Networks,IEEE Journal on Selected Areas in Communications,米国,IEEE,2004年 1月 7日,Vol.22, Issue 1,p.91-106,ISSN 0733-8716
【文献】 Huong BUI Thi Lan et al.,A Low-delay Push-Pull Based Application Layer Multicast for P2P Live Video Streaming,2011 Third International Conference on Knowledge and Systems Engineering,米国,IEEE,2011年11月 1日,p.104-111,ISBN: 978-1-4577-1848-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 − 21/858
G06F 13/00
H04L 12/761
H04L 12/28
H04W 4/06
H04W 84/00 − 84/22
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の配信サーバから複数の端末機器へ、電気通信回線網を介して、所定のコンテンツデータを、ピアツーピア方式でアプリケーション層マルチキャスト配信する方法であって、
前記配信サーバは、複数のチェインのそれぞれにより複数のコンテンツデータを配信し、
一のチェインには複数のチャンネルが設定され、一のチャンネルには一のコンテンツデータが割り当てられたアプリケーション層マルチキャスト配信方法において、
前記配信サーバは、いずれの端末機器とも接続していない状態から、最初に配信要求を送信した端末機器に対して配信要求されたチェインのコンテンツデータを配信し、
前記配信サーバは、その後に配信要求を送信した順に前記端末機器を配信要求されたチェインにチェイン接続し、
当該チェイン接続された端末機器間において、前記ピアツーピア方式で前記コンテンツデータをアプリケーション層マルチキャスト配信し、
第1のチェインにチェイン接続された端末機器は、前記配信サーバから配信される第1のチェインのコンテンツデータをバッファリングしながら再生し、
前記配信サーバは、前記第1のチェインに接続された端末機器が、前記第1のチェインとは異なる第2のチェインのコンテンツデータの配信要求を送信した場合には、当該端末機器に対して、前記第2のチェインのコンテンツデータを配信し、
前記第1のチェインから前記第2のチェインにチェイン変更して接続された端末機器は、前記配信サーバから配信される第2のチェインのコンテンツデータをバッファリングしながら再生し、
1回以上チェイン変更した端末機器が、以前にチェイン接続していたチェインに再接続した場合に、当該端末機器は、以前にバッファリングしたコンテンツデータが存在するときは、再生中断位置から再生を開始し、以前にバッファリングしたコンテンツデータが存在しないときは、直前の端末機器からコンテンツデータを受信しながら再生するアプリケーション層マルチキャスト配信方法。
【請求項2】
前記配信サーバは、n個のチェインを含み(nは2以上の自然数)、
前記端末機器に表示される各タイトルはスワイプ処理により切り換え表示され、
第nのチェインにおいて、
第1タイトルから昇順方向にスワイプ操作した場合には、最終タイトルの次に第(n+1)のチェインの第1タイトルが表示され、前記最終タイトルから降順方向にスワイプ操作した場合には、前記第1タイトルの次に第(n−1)のチェインの最終タイトルが表示される請求項1に記載のアプリケーション層マルチキャスト配信方法。
【請求項3】
一の配信サーバから複数の端末機器へ、電気通信回線網を介して、所定のコンテンツデータを、ピアツーピア方式でアプリケーション層マルチキャスト配信する方法であって、
前記配信サーバは、複数のチェインにより前記コンテンツデータを配信し、
一のチェインには複数の端末機器がチェイン接続されるアプリケーション層マルチキャスト配信方法において、
前記配信サーバは、
1)全てのチェインのそれぞれに全ての端末機器がチェイン接続されたフル接続状態の場合に、チェイン接続された端末機器以外の第1端末機器が配信要求を送信したとき、又は、
2)現在チェイン接続している第2端末機器がノード変更又はチェイン変更の要求を送信し、現在の接続を一時的に中断している間に、前記フル接続状態になったときは、
異なる電気通信回線網を介して、前記チェインに接続不能になった前記第1端末機器又は前記第2端末機器に、前記コンテンツデータを配信するとともに、前記チェインへの端末装置の接続状況を監視し、いずれかのチェインに接続可能なノードが発生した場合には、前記異なる電気通信回線網によるコンテンツデータの配信を停止し、前記接続可能なノードに前記第1端末機器又は前記第2端末機器をチェイン接続するアプリケーション層マルチキャスト配信方法。
【請求項4】
前記第1端末機器又は前記第2端末機器は、
前記異なる電気通信回線網によるコンテンツデータの再生中断位置とバッファリング中断位置を記憶し、
前記接続可能なノードにチェイン接続された場合に、直前の端末機器に対して、前記記憶されたバッファリング中断位置からのコンテンツデータの送信を要求し、
バッファリングされたコンテンツデータの再生に連続して直前の端末機器から送信されたコンテンツデータを再生する請求項3に記載のアプリケーション層マルチキャスト配信方法。
【請求項5】
前記ピアツーピア方式のチェインによるコンテンツデータの配信から、前記異なる電気通信回線網を介したコンテンツデータの配信に切り換る場合、
前記第1端末機器又は前記第2端末機器は、
前記異なる電気通信回線網を介したコンテンツデータの受信を、当該コンテンツデータのPTSから開始し、
受信したコンテンツデータのPTSと、前記第1端末機器又は前記第2端末機器が前記チェインにより配信されバッファリングされたコンテンツデータのPTSとを比較し、
バッファリングされたコンテンツデータのPTSが前記受信したコンテンツデータのPTSに属する場合は、続けて前記異なる電気通信回線網を介してコンテンツデータを受信し、
バッファリングされたコンテンツデータのPTSが前記受信したコンテンツデータのPTSより前である場合は、バッファリングされたコンテンツデータに続くPTSからコンテンツデータを受信し、
バッファリングされたコンテンツデータのPTSが前記受信したコンテンツデータのPTSより後である場合は、現在のPTSからコンテンツデータを受信する請求項4に記載のアプリケーション層マルチキャスト配信方法。
【請求項6】
前記配信サーバは、端末機器の所有者の属性に応じたコマーシャルメッセージを前記コンテンツデータに挿入する請求項1〜5のいずれか一項に記載のアプリケーション層マルチキャスト配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーション層マルチキャスト配信方法に関し、特に一の配信サーバから複数の端末機器へ、有線回線、モバイル通信回線及び無線LANを含む電気通信回線網を介して、動画像、静止画像、音声データ、GPS情報その他のテキストデータなど所定のコンテンツデータを、ピアツーピア方式かつチェイン接続でアプリケーション層マルチキャスト配信する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配信サーバから複数のクライアントコンピュータ(端末機器)に、複数のコンテンツデータを同時送信する方法として、アプリケーション層マルチキャスト配信方法(アプリケーションレイヤーマルチキャスト配信方法ALM,又は、オーバーレイマルチキャスト配信方法とも称される)が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−272801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の配信サーバから複数のコンピュータへ、有線回線又は無線回線などを介して、所定のコンテンツデータを、ピアツーピア方式かつチェイン接続でアプリケーション層マルチキャスト配信する場合、一つのコンテンツは一つのチェインにて配信している。したがって、異なるコンテンツを選択するとチェイン変更処理を実行しなければならず、チェイン変更を頻繁に実行すると、その都度コンテンツデータのバッファリングを最初からやり直さなければならず、再生開始までに時間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、複数のチェイン間でチェイン変更した場合に再生開始が遅れるのを抑制できるアプリケーション層マルチキャスト配信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一の配信サーバから複数の端末機器へ、電気通信回線網を介して、所定のコンテンツデータを、ピアツーピア方式でアプリケーション層マルチキャスト配信する方法であって、
前記配信サーバは、複数のチェインのそれぞれにより複数のコンテンツデータを配信し、
一のチェインには複数のチャンネルが設定され、一のチャンネルには一のコンテンツデータが割り当てられたアプリケーション層マルチキャスト配信方法において、
前記配信サーバは、いずれの端末機器とも接続していない状態から、最初に配信要求を送信した端末機器に対して配信要求されたチェインのコンテンツデータを配信し、
前記配信サーバは、その後に配信要求を送信した順に前記端末機器を配信要求されたチェインとしてチェイン接続し、
当該チェイン接続された端末機器間において、前記ピアツーピア方式で前記コンテンツデータをアプリケーション層マルチキャスト配信し、
前記第1のチェインにチェイン接続された端末機器は、前記配信サーバから配信される第1のチェインのコンテンツデータをバッファリングしながら再生し、
前記配信サーバは、前記第1のチェインに接続された端末機器が、前記第1のチェインとは異なる第2のチェインのコンテンツデータの配信要求を送信した場合には、当該端末機器に対して、前記第2のチェインのコンテンツデータを配信し、
前記第1のチェインから前記第2のチェインにチェイン変更して接続された端末機器は、前記配信サーバから配信される第2のチェインのコンテンツデータをバッファリングしながら再生し、
1回以上チェイン変更した端末機器が、以前にチェイン接続していたチェインに再接続した場合に、当該端末機器は、以前にバッファリングしたコンテンツデータが存在するときは、再生中断位置から再生を開始し、以前にバッファリングしたコンテンツデータが存在しないときは、直前の端末機器からコンテンツデータを受信しながら再生するアプリケーション層マルチキャスト配信方法によって上記課題を解決する。
【0007】
また本発明は、一の配信サーバから複数の端末機器へ、電気通信回線網を介して、所定のコンテンツデータを、ピアツーピア方式でアプリケーション層マルチキャスト配信する方法であって、
前記配信サーバは、複数のチェインにより前記コンテンツデータを配信し、
一のチェインには複数の端末機器がチェイン接続されるアプリケーション層マルチキャスト配信方法において、
前記配信サーバは、
1)全てのチェインのそれぞれに全ての端末機器がチェイン接続されたフル接続状態の場合に、チェイン接続された端末機器以外の第1端末機器が配信要求を送信したとき、又は、
2)現在チェイン接続している第2端末機器がノード変更又はチェイン変更の要求を送信し、現在の接続を一時的に中断している間に、前記フル接続状態になったときは、
異なる電気通信回線網を介して、前記チェインに接続不能になった前記第1端末機器又は前記第2端末機器に、前記コンテンツデータを配信するとともに、前記チェインへの端末装置の接続状況を監視し、いずれかのチェインに接続可能なノードが発生した場合には、前記異なる電気通信回線網によるコンテンツデータの配信を停止し、前記接続可能なノードに前記第1端末機器又は前記第2端末機器をチェイン接続するアプリケーション層マルチキャスト配信方法によって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、1回以上チェイン変更した端末機器が、以前にチェイン接続していたチェインに再接続した場合に、当該端末機器は、以前にバッファリングしたコンテンツデータが存在するときは、再生中断位置から再生を開始するので、複数のチェイン間でチェイン変更した場合に再生開始が遅れるのを抑制することができる。
【0009】
また本発明によれば、複数のチェインがフル接続状態になったときは、一時的に異なる電気通信回線網を介してコンテンツデータを配信するとともに、いずれかのチェインに接続可能なノードが発生した場合には、当該接続可能なノードにその端末機器をチェイン接続するので、複数のチェイン間でチェイン変更した場合などに再生開始が遅れるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システムを示すブロック図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法で使用されるインデックステーブル(カルーセルデータ)の一例を示す図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法の基本配信ルーチンを示すフローチャートである。
図4A】本発明の他の実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システムを示すブロック図(その1)である。
図4B】本発明の他の実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システムを示すブロック図(その2)である。
図4C】本発明の他の実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システムを示すブロック図(その3)である。
図5A】本発明のさらに他の実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システムを示すブロック図(その1)である。
図5B】本発明のさらに他の実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システムを示すブロック図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、発明のアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システム1の一実施の形態を示すブロック図である。本実施形態のコンテンツの配信システム1は、リアルタイムエンコーダ11と、配信サーバ21と、無線通信携帯端末機器31と、電気通信回線網41とを備える。なお、本実施形態のコンテンツの配信システム1において、無線通信携帯端末機器31はノードともいう。また、本実施形態のコンテンツとは、動画像、静止画像、音声データ、GPS情報その他のテキストデータ、及びこれらの多重化データが含まれる。
【0012】
こうしたコンテンツデータは下記実施形態で説明するライブ映像の配信のほか、IoT(Internet of Things)機器などへの展開を想定すると、(1)IoT機器等のクライアントソフトウエアのアップデート用データ、(2)各IoT機器への制御データ又は地図情報などのグラフィックデータ等、(3)各IoT機器からの自情報データ(例えば、各IoT機器が撮影した動画や静止画データ等、車載機器のプローブデータ(位置情報、速度情報、ブレーキその他のセンサ情報、路面情報等)、GPS情報、センサ情報、テキストデータ等)がコンテンツデータとしての配信対象となり得る。以下においては、動画像をコンテンツデータの一例として本発明の実施形態を説明する。
【0013】
リアルタイムエンコーダ11は、ハードウェアとして、CPU又はMPUなどの演算器と、ソフトウェアがインストールされるROMと、入出力データが一時的に保存されるRAMと、入出力データのI/Oポートとを備えるコンピュータで構成されている。リアルタイムエンコーダ11は、ソフトウェアにより実現されるエンコード機能を備え、コンテンツデータである、例えばライブ映像(動画像)を撮影するビデオカメラから、ビデオキャプチャーボードを介して映像を取り込み、後述するアダプティブ・ビットレート方式(ABR,Adaptive Bitrate,以下、ABR方式ともいう)に対応させるために、互いに異なるビットレートでエンコードする。例えば図1に示す例では、1Mbpsの高画質データと、600bpsの中画質データと、300bpsの低画質データの3種のビットレートのコンテンツデータにエンコードされる。
【0014】
なお、画質エンコードの種類は2種以下でも、4種以上でもよい。エンコードにあたっては、H.264/MPEG−4 AVC規格やH.265/HEVC(High Efficiency Video Coding)規格でリアルタイムエンコードされ、配信サーバ21へ送信される。また、リアルタイムエンコーダ11は、ソフトウェアによりエンコードするもの以外にも、ハードウェアとしてのエンコード回路を含むエンコンーダ装置も用いることができる。また、コンテンツデータが動画像以外の、静止画像、音声データである場合には、そのデータ容量に応じてリアルタイムエンコーダ11により複数種類のビットレートデータ(画質など)にエンコードしてもよいし、これに代えて単一種類のコンテンツデータとしてもよい。
【0015】
配信サーバ21は、ハードウェアとして、CPU又はMPUなどの演算器と、ソフトウェアがインストールされるROMと、入出力データが一時的に保存されるRAMと、入出力データのI/Oポートとを備えるコンピュータで構成されている。配信サーバ21は、ソフトウェアにより実現される、リアルタイムエンコーダ11でエンコードされたコンテンツデータの配信機能と、ピアツーピア(P2P)の配信サーバ機能と、インデックステーブル(カルーセル配信されるデータ)の作成及び更新並びに送信機能と、チェインの切換え機能と、ノードの制御機能とを備える。
【0016】
配信サーバ21のコンテンツデータの配信機能は、リアルタイムエンコーダ11から送信される、互いに異なるビットレートのコンテンツデータを、ビットレート毎に一又は複数の出力ポートに割り当て、当該出力ポートに対応する複数のチェインを用意するものである。そして、各ビットレートのコンテンツデータを、配信すべきチェインに最初に接続する無線通信携帯端末機器31(ノード1)に対して配信する(ABR方式)。また、配信サーバ21は、モバイル通信回線を介してコンテンツデータを配信するチェイン群と、Wi−Fi(登録商標)などの無線LANを介してコンテンツデータを配信するチェイン群とに対応する出力ポートを用意する。図1に示す例では、モバイル回線を介して配信するチェイン群が、チェイン1(高画質)、チェイン2(高画質)、チェイン3(中画質)、チェイン4(低画質)の4つを含み、無線LANを介して配信するチェイン群が、チェイン5(高画質)、チェイン6(中画質)、チェイン7(低画質)の3つを含む状態を示している。これらのチェイン数、すなわち出力ポート数は、接続される無線通信携帯端末機器31の数に応じて増減することができる。なお、例えば駅などの公衆場所に設置されたWi−Fi(登録商標)回線は通信品質も通信速度も低いため、同一のコンテンツデータを、時間差を設けて配信し、パケットエラーが生じた場合は他方のコンテンツデータのパケットで補填するようにしてもよい。
【0017】
配信サーバ21のピアツーピア(P2P)の配信サーバ機能は、各無線通信携帯端末機器31から配信要求(接続要求ともいう)があった場合に、モバイル回線か無線LANかの回線属性を判断し、対応するチェイン群を選択するとともに、その電気通信回線網41(モバイル回線、無線LAN)の通信帯域を検出し、検出された通信帯域に応じたビットレートのチェインを切換え制御するものである。無線通信携帯端末機器31から配信要求があった場合に、その接続回線がモバイル回線か無線LANかは、無線通信携帯端末機器31側が検出し、配信サーバ21に送信する。また、その電気通信回線網41の通信帯域は配信サーバ21が検出する。
【0018】
配信サーバ21のインデックステーブルの作成及び更新並びに送信機能は、当該配信サーバ21でチェイン毎のインデックステーブルを作成及び更新し、そのチェインに接続された無線通信携帯端末機器31に当該インデックステーブルをデータカルーセル配信し、当該チェインの最後尾又は各無線通信携帯端末機器31から配信サーバへ返信させるものである。あるいはこれに代えて又はこれに加えて、配信サーバ21と各無線通信携帯端末機器31との間で、配信サーバ21にて作成したインデックステーブルを送受信してもよい。
【0019】
インデックステーブルのデータ構造の一例を図2に示す。図2の上段は、配信サーバ21から2つのチェインにインデックステーブルがデータカルーセル配信される様子を示し、図2の中段は、チェイン1のインデックステーブルのデータ構造の一例を示し、図2の下段は、チェイン2のインデックステーブルのデータ構造の一例を示す。図2に示す例では、無線通信携帯端末機器31のID、IPアドレス及び通信状態を含む情報群であるインデックステーブルが、チェイン毎に用意される。例えば、図2の中段のチェイン1のインデックステーブルは、コンテンツデータのソースノード(受信元)、ノード番号、デストノード(送信先)、クライアントID、IPアドレス、ノード情報が含まれる。ノード情報には、SIMキャリア情報、GPS信号を利用したノードの移動速度、通信遮断履歴、通信状態(通信速度又はパケットエラー)、回線属性などのノードの回線状況データが含まれる。チェイン毎に用意されたインデックステーブルは、配信するコンテンツデータに定期的に(例えば0.5秒間隔)挿入して各ノードへ送信されるか、必要に応じて配信サーバ21から直接各ノードへ送信される。
【0020】
その際に、各ノードは、受信元ノードID(IPアドレスを含む)及び送信先ノードID(IPアドレスを含む)を読み出すとともに、自機のノード情報を上書きし、送信先ノードID(IPアドレス)の無線通信携帯端末機器31及び/又は配信サーバ21へ送信する。これにより、一つのチェインを構成する各無線通信携帯端末機器31は、受信元ノードと送信先ノードのIPアドレスを定期的に把握することができ、直前ノードや直後ノードがチェインから離脱しても、インデックステーブルを参照することで新たな受信元ノードと送信先ノードのIPアドレスを把握し、即座に接続してコンテンツデータを受信し、送信することができる。また配信サーバ21は、各チェインを構成する無線通信携帯端末機器31のノード情報を定期的に把握することができ、各ノード情報に応じた適切な対処策を実行することができる。なお、各チェインの最後尾の無線通信携帯端末機器31は、インデックステーブルを配信サーバ21へ戻す。
【0021】
配信サーバ21のチェインの切換え機能及びノード制御機能は、各ノードを構成する無線通信携帯端末機器31から送信される状態遷移要求により各ノードの接続先の指定などの制御を行うものである。各ノードを構成する無線通信携帯端末機器31から送信される状態遷移要求には、例えばモバイル通信回線と無線LANの回線属性変更に関する遷移要求、通信状態の変動によるABR方式のビットレートの変更要求、接続中の無線通信携帯端末機器31が配信停止要求を送信したり通信が遮断されたりすることにより、無線通信携帯端末機器31を変更するノードチェンジ要求、通信状態の低下により一時的にチェインを離脱するアイドルモード要求などが含まれる。この機能は、無線通信携帯端末機器31の移動中などに多々生じる、モバイル回線と無線LANとの切換えや、無線通信携帯端末機器31の通信状態の変動に対応するための機能である。なお、配信サーバ21は、定置型コンピュータで構成するほか、各ノードを構成する無線通信携帯端末機器31に、以下に説明する配信サーバ21の各機能を実現するソフトウェアをインストールし、無線通信携帯端末機器自体を配信サーバ21として機能させてもよい。すなわち、本発明に係る配信サーバ21には無線通信携帯端末機器31も含まれる趣旨である。
【0022】
無線通信携帯端末機器31は、ハードウェアとして、CPU又はMPUなどの演算器と、ソフトウェアがインストールされるROMと、入出力データが一時的に保存されるRAMと、入出力データのI/Oポートとを備えるコンピュータで構成され、使用者が携帯して移動可能とされたものである。例えば、スマートフォン、ノート型又はタブレット型パーソナルコンピュータなどを用いることができる。無線通信携帯端末機器31は、ソフトウェアで実現される、ピアツーピア接続及びIPアドレス交換機能、ピアツーピアホールパンチング方式接続機能、コンテンツデータを受信した場合にパケットエラーが発生したときの再送制御機能、無線LANチェインにおける多重化されたコンテンツ(時間差を設けて配信されたコンテンツデータ)のデコード機能(特許第5159973号参照)、インデックステーブル及びコンテンツデータの受信及び中継機能、モバイル回線か無線LANかの検出機能、通信状態の検出機能、通信状態に応じたチェインの切換え要求又はノードチェンジ要求機能、コンテンツデータのバッファリング機能、後続ノードへのコンテンツの最大速転送機能、H.264/MPEG−4 AVC規格やH.265/HEVC(High Efficiency Video Coding)規格でエンコードされたコンテンツデータのデコード機能を備える。また、ディスプレイに表示されたコンテンツのタイトルをスワイプ操作により選択できるように、タッチパネル型ディスプレイを備える。
【0023】
次に、図1に示す配信システムにより実現される基本的なアプリケーション層マルチキャスト配信方法を説明する。
【0024】
《基本配信》
配信サーバ21が、いずれの無線通信携帯端末機器31とも接続していない状態から、モバイル通信回線及び無線LANを含む電気通信回線網41を介して、複数の無線通信携帯端末機器31からの配信要求を順次受信し、所定のコンテンツデータをピアツーピア方式でアプリケーション層マルチキャスト配信する基本手順を説明する。図3は、発明の一実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法の基本配信ルーチンを示すフローチャートである。コンテンツデータの一例としては、スポーツ中継やレーシング中継などのライブ画像、各種の映画が挙げられる。配信サーバ21が起動し、リアルタイムエンコーダ11によるコンテンツデータ(ストリームデータなど)のエンコードが開始すると、配信準備が完了する(ステップS1)。ここで、複数個存在する無線通信携帯端末機器31の一つであるノード1.1のアプリケーションソフトが起動し(ステップS2)、配信サーバ21へのコンテンツデータの配信要求が送信されると(ステップS3)、当該配信要求とともに、当該ノード1.1のクライアントID、IPアドレス、ノード情報が配信サーバ21に送信される。ノード情報には、SIMキャリア情報、GPS信号を利用したノードの移動速度、通信遮断履歴、通信状態、回線属性などのノードの回線状況データが含まれる。
【0025】
ノード1.1から配信要求を受信した配信サーバ21は、ノードIDを含むインデックステーブルを作成し、記憶する(ステップS4〜S5)。このノード1.1のノードIDは、例えば1.1である。図1の右側に記載した複数のチェイン1〜7を構成するノードの1.1〜1.E、2.1〜2.E…がノードIDの一例を示し、例えば最初の数字がチェインIDを意味し、次の数字がそのチェインにおける先頭からの順序を意味する。例えば、ノード4.6は、チェイン4(モバイル回線の低画質コンテンツの出力ポートに割り当てられたチェイン)の6番目の無線通信携帯端末機器31を意味する。配信サーバ21で付与されたノードIDは、ノード1.1にも送信され、ノード1.1は自機のノードIDを取得する(ステップS6)。なお、ステップS5のインデックステーブルの自機ポートは、当該無線通信携帯端末機器31の入出力ポートを意味し、入力IDは、配信元(自機に対してコンテンツデータを配信する機器)の機器のIDを意味し、出力IDは配信先(自機がコンテンツデータを配信する機器)の機器のIDを意味する。
【0026】
配信サーバ21は、作成したインデックステーブルをカルーセル配信するとともに(ステップS7)、コンテンツデータの配信を開始する(ステップS8)。ノード1.1は受信したコンテンツデータを自機のデータバッファメモリにバッファリングしつつ、再生可能となるデータ量が蓄積されたら再生を開始する(ステップS9)。なお、インデックステーブルは、配信するコンテンツデータに定期的に(例えば0.5秒間隔)挿入してカルーセル配信され(ステップS10)、インデックステーブルを受信したノード1.1は、自機の最新情報を上書きしたのち後続ノードが存在する場合は当該後続ノードへ送信し、後続ノードが存在しない場合は配信サーバ21へ戻す(ステップS11)。
【0027】
ステップS11の状態から、ノード1.1とは別の無線通信携帯端末機器31であるノード1.2のアプリケーションソフトが起動し(ステップS12)、配信サーバ21へのコンテンツデータの配信要求が送信されると(ステップS13)、当該配信要求とともに、当該ノード1.2のクライアントID、IPアドレス、ノード情報が配信サーバ21に送信される。このノード情報にも、SIMキャリア情報、GPS信号を利用したノードの移動速度、通信遮断履歴、通信状態、回線属性などのノードの回線状況データが含まれる。
【0028】
ノード1.2から配信要求を受信した配信サーバ21は、ノードIDを含むインデックステーブルを作成し、記憶する(ステップS14〜S15)。厳密には、ステップS15に示すように、ステップS5で作成したインデックステーブルにノード1.2の情報を追加する。このノード1.2のノードIDは、例えば1.2である。配信サーバ21で付与されたノードIDはノード1.2にも送信され、ノード1.2は自機のノードIDを取得する(ステップS16)。なお、ステップS15のインデックステーブルのノード1.1の出力IDがID1.2に更新され、ノード1.2の入力IDがID1.1に設定される。これにより、ノード1.2は、ノード1.1に配信されたコンテンツデータを受信することになる。
【0029】
配信サーバ21は、作成したインデックステーブルをカルーセル配信する(ステップS17)。ノード1.1は、受信したコンテンツデータを自機のデータバッファメモリにバッファリングしつつ再生を継続しているが、受信したインデックステーブルの自機のノード1.1の出力IDが、ID1.2に更新されている。したがって、ノード1.1はこれに従い、バッファリングしているコンテンツデータの、ノード1.2への送信を開始する(ステップS18)。ノード1.2は、ノード1.1から受信したコンテンツデータを自機のデータバッファメモリにバッファリングしつつ、再生可能となるデータ量が蓄積されたら再生を開始する(ステップS19)。また、インデックステーブルを受信したノード1.2は、自機の最新情報を上書きしたのち後続ノードが存在する場合は当該後続ノードへ送信し、後続ノードが存在しない場合は配信サーバ21へ戻す(ステップS20)。
【0030】
ステップ20の状態から、ノード1.1及びノード1.2とは別の無線通信携帯端末機器31であるノード1.3,1.4…のアプリケーションソフトが起動し、配信サーバ21へのコンテンツデータの配信要求が送信されると、上述したノード1.2の処理と同じ処理が実行され、ノード1.2にバッファリングされているコンテンツデータを受信し、再生可能となるデータ量が蓄積されたら再生を開始する。このようにして、一の配信サーバ21から複数の無線通信携帯端末機器31(ノード1.1〜1.E)へ、モバイル通信回線及び無線LANを含む電気通信回線網41を介して、所定のコンテンツデータを、ピアツーピア方式でアプリケーション層マルチキャスト配信することができる。
【0031】
このピアツーピア方式でアプリケーション層マルチキャスト配信する場合に、複数のノード1.1〜1.Eをツリー方式で接続したりメッシュ方式で接続したりすることもできる。しかしながら、本実施形態のように複数のノードを一つのチェインにチェイン接続すると、ツリー方式やメッシュ方式で接続する場合に比べて、各ノードの監視が容易となる。すなわち、ツリー方式やメッシュ方式で接続した場合には接続経路が多く、これらの接続経路を辿って監視する演算負荷が大きい。これに対し、チェイン方式では経路が1つのチェインを監視すればよいので、ツリー方式やメッシュ方式に比べて監視負荷が軽減される。また、ツリー方式又はメッシュ方式による接続の場合には、自機のノードが複数のノードと接続することになるため、無線通信携帯端末機器31の無線環境下における回線帯域の確保が困難になるのに対し、チェイン接続では先行ノードも後続ノードもそれぞれ一つであるため回線帯域の確保が容易になるといったメリットがある。
【0032】
ちなみに、図3に示すように、配信サーバ21に複数(同図では3つ)のノード1.1,〜1.Eが接続されている状態から、一つ又は複数のノードから配信停止要求がされた場合には、配信停止要求がされたノードに後続するノードはそれぞれ繰り上げて再接続され(ノードチェンジ)、コンテンツデータの配信は継続される。たとえば、図3において先頭のノード1.1から配信サーバ21へ配信停止要求が送信されると、配信サーバ21は、インデックステーブルのノード1.1に関する情報列を削除するとともに、これに後続するノード1.2及びノード1.3のチェイン接続をそれぞれノード1.1及びノード1.2に繰り上げる旨の情報をインデックステーブルに反映し、これを当該チェインのノードにカルーセル配信する。インデックステーブルを受信した各ノードは、自機のクライアントIDに基づいて自機の受信先ノードと配信先ノードのIPアドレスを読み出す。そして、新たな受信先ノードからは、先ほどまで受信していたコンテンツデータの最終データに続くデータの配信要求を送信し、その部分から受信する。また新たな配信先ノードに対しては、新たな配信先ノードから要求されたコンテンツデータの部分から配信を再開する。
【0033】
また、ノード間におけるコンテンツデータの配信は、以下のように実行される。すなわち、各無線通信携帯端末機器31は、受信したコンテンツデータをバッファリングしておくデータバッファメモリを備え、例えば5〜30秒程度のコンテンツデータがバッファリングされる。したがって、コンテンツデータを再生中において通信速度が低下してもバッファリングされたコンテンツデータがあるため、これを吸収することができる。ただし、バッファリング容量が大き過ぎると、スポーツの生中継のような場合に現実場面とのリアルタイム差が大きくなるので好ましくない。逆にバッファリング容量が小さすぎると、通信速度の低下を吸収できず画像停止や画像飛びなどの不具合が生じる。このため、適度なバッファリング容量とされている。以上が、基本的なアプリケーション層マルチキャスト配信方法である。
【0034】
《複数チェイン・複数チャンネル配信》
さて、一のチェインによりアプリケーション層マルチ配信されるコンテンツデータとして、スポーツ中継における複数のカメラアングル画像や、複数の映画など、複数のコンテンツを複数のチャンネルに割り当てることができる。図4A及び図4Bは、本発明の他の実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システムを示すブロック図であり、図4Aに示すように、配信サーバ21は、チェイン1に第1チャンネルから第9チャンネル、チェイン2に第10チャンネルから第18チャンネルを備え、各チャンネルに異なるコンテンツデータ(たとえば映画)が割り当てられている。なお、図示する実施形態では2つのチェインで構成したが、チェイン数に特段の制限はない。また、一つのチェインに割り当てるチャンネル数も9チャンネルに限定される趣旨ではない。
【0035】
また、チェイン1に接続された各無線通信携帯端末機器31のディスプレイには、チェイン1に設定された第1チャンネルから第9チャンネルの9つのチャンネルにて配信されるコンテンツデータのタイトル画像が表示され、ディスプレイのタッチパネルを左右方向にスワイプ操作すると、9つの各タイトル画像が切り換わる。たとえば、図4Aのチェイン1の上図の左図に示すように、第1チャンネルのタイトル画像が表示されている場合に、右から左へ向かってスワイプ操作する(以下、右スワイプ操作ともいう)と第2チャンネル、第3チャンネル、…第9チャンネルと切り換わり、さらに右から左へ向かってスワイプ操作すると、第9チャンネルの次のチャンネルである第10チャンネルのタイトル画像が表示される。このとき、そのスワイプ操作を行った無線通信携帯端末機器31は、チェイン1を離脱し、第10チャンネルのコンテンツデータを配信するチェイン2へチェイン接続される。すなわち、無線通信携帯端末機器31は、第9チャンネルから第10チャンネルへ切り換えるスワイプ操作にともない、配信サーバ21に対して、チェイン1からの離脱要求とチェイン2への接続要求を送信する。
【0036】
逆に、図4Aのチェイン1の上図の右図に示すように、第9チャンネルのタイトル画像が表示されている場合に、左から右へ向かってスワイプ操作する(以下、左スワイプ操作ともいう)と第8チャンネル、第7チャンネル、…第1チャンネルと切り換わり、さらに左から右へ向かってスワイプ操作すると、第1チャンネルの次のチャンネルである第18チャンネルのタイトル画像が表示される。このとき、そのスワイプ操作を行った無線通信携帯端末機器31は、チェイン1を離脱し、第18チャンネルのコンテンツデータを配信するチェイン2へチェイン接続される。すなわち、無線通信携帯端末機器31は、第1チャンネルから第18チャンネルへ切り換えるスワイプ操作にともない、配信サーバ21に対して、チェイン1からの離脱要求とチェイン2への接続要求を送信する。
【0037】
また同様に、図4Aのチェイン2の下図の左図に示すように、第10チャンネルのタイトル画像が表示されている場合に、右から左へ向かって右スワイプ操作すると第11チャンネル、第12チャンネル、…第18チャンネルと切り換わり、さらに右スワイプ操作すると、第18チャンネルの次のチャンネルである第1チャンネルのタイトル画像が表示される。このとき、そのスワイプ操作を行った無線通信携帯端末機器31は、チェイン2を離脱し、第1チャンネルのコンテンツデータを配信するチェイン1へチェイン接続される。すなわち、無線通信携帯端末機器31は、第18チャンネルから第1チャンネルへ切り換えるスワイプ操作にともない、配信サーバ21に対して、チェイン2からの離脱要求とチェイン1への接続要求を送信する。
【0038】
また逆に、図4Aのチェイン2の下図の右図に示すように、第18チャンネルのタイトル画像が表示されている場合に、左から右へ向かって左スワイプ操作すると第17チャンネル、第16チャンネル、…第10チャンネルと切り換わり、さらに左スワイプ操作すると、第10チャンネルの次のチャンネルである第9チャンネルのタイトル画像が表示される。このとき、そのスワイプ操作を行った無線通信携帯端末機器31は、チェイン2を離脱し、第9チャンネルのコンテンツデータを配信するチェイン1へチェイン接続される。すなわち、無線通信携帯端末機器31は、第10チャンネルから第9チャンネルへ切り換えるスワイプ操作にともない、配信サーバ21に対して、チェイン2からの離脱要求とチェイン1への接続要求を送信する。
【0039】
図4Aに示す例は、配信サーバ21が2つのチェインにて18チャンネルのコンテンツデータを配信する場合を示し、一の方向(右スワイプ操作又は左スワイプ操作)にのみスワイプ操作すれば、全てのタイトル画像が順にディスプレイに表示される。そのため、無線通信携帯端末機器31の所有者は、コンテンツデータを選択し易いという利点がある。本発明のアプリケーション層マルチキャスト配信方法においては、チェイン数とチャンネル数は特に限定されず、3チェイン以上及び/又は18チャンネル以上であってもよい。その場合においても、一の方向(右スワイプ操作又は左スワイプ操作)にのみスワイプ操作すれば、全てのタイトル画像が順にディスプレイに表示されるように構成することができる。例えば、配信サーバ21が、n個のチェインを含み(nは2以上の自然数)、第(n−1)のチェインにPチャンネルが設定されて第1タイトルから第Pタイトルの選択画面が端末機器に表示され、第nのチェインにQチャンネルが設定されて第1タイトルから第Qタイトルの選択画面が端末機器に表示され、第(n+1)のチェインにRチャンネルが設定されて第1タイトルから第Rタイトルの選択画面が端末機器に表示されるとする。この場合に、第nのチェインにおいて、第1タイトルから第Qタイトルへ向かう昇順方向にスワイプ操作した場合には、第Qタイトルの次に第(n+1)のチェインの第1タイトルが表示され、第Qタイトルから第1タイトルへ向かう降順方向にスワイプ操作した場合には、第1タイトルの次に第(n−1)のチェインの第Pタイトルが表示されるように構成する。
【0040】
次に、図4Aに示すチェイン1にチェイン接続されている30機の無線通信携帯端末機器31のうちのノード1−2の無線通信携帯端末機器31の所有者が、図4Aのチェイン1の上図の左図に示す左スワイプ操作又は右図に示す右スワイプ操作を行うことで、配信サーバ21に対して、チェイン1からの離脱要求とチェイン2への接続要求を送信したとする。上述したとおり、本実施形態のアプリケーション層マルチキャスト配信方法においては、このような場合には、図4Bに示すように、チェイン1からノード1−2の無線通信携帯端末機器31が離脱したことにともない、ノード1−2の無線通信携帯端末機器31からピアツーピア方式でコンテンツデータ等を受信していた後続のノード1−3〜1−30の無線通信携帯端末機器31がそれぞれ繰り上がるノードチェンジが実行される。
【0041】
一方、チェイン1を離脱したノード1−2の無線通信携帯端末機器31は、それまでバッファリングしていたチェイン1のコンテンツデータを保持するととともに、チェイン1を離脱したときの再生中断位置(タイムスタンプ)を記憶しつつ、図4Bに示すようにチェイン2にチェイン接続され、チェイン2のノード2−1となる。これにより、ノード2−1の無線通信携帯端末機器31は、配信サーバ21からチェイン2のコンテンツデータを受信してバッファリングを開始し、再生可能となったタイミングで選択されたチャンネルのコンテンツデータの再生を開始する。
【0042】
さらに、図4Bに示す状態から、チェイン2に接続されているノード2−1の無線通信携帯端末機器31の所有者が、図4Bのチェイン2の下図の左図に示す左スワイプ操作又は右図に示す右スワイプ操作を行うことで、配信サーバ21に対して、チェイン2からの離脱要求とチェイン1への接続要求を送信したとする。このような場合、チェイン2を離脱したノード2−1の無線通信携帯端末機器31は、チェイン1の最後尾であるノード1−30にチェイン接続されてノード1−30となるが、図4Bに示すように、当該ノード1−30となった無線通信携帯端末機器31は、以前にチェイン1に接続されていた際にバッファリングしたコンテンツデータと再生中断位置(タイムスタンプ)を記憶している。したがって、データバッファメモリにバッファリングされたコンテンツデータの再生中断位置からの再生を開始するとともに、未だ受信していないコンテンツデータを前ノードから受信してバッファリングする。これにより、チェインチェンジされても再生画像が途切れることなくスムースに視聴することができる。なお、チェインチェンジした無線通信携帯端末機器31のデータバッファメモリに新たな接続先のチェインのコンテンツデータがバッファリングされていない場合は、前ノードからコンテンツデータを受信してバッファリングしつつ、再生する。
【0043】
複数のチャンネルにより複数のコンテンツデータを配信する場合、コンテンツデータの画質との関係から一のチェインで配信するチャンネル数に上限を設けることがあるが、このようにすると、チャンネルを切り換えた場合にチェインチェンジすることも少なくない。本実施形態では、チェインチェンジした場合でも、以前にバッファリングしたコンテンツデータが存在するときは、再生中断位置から再生を開始するので、複数のチェイン間でチェイン変更した場合に再生開始が遅れるのを抑制することができる。
【0044】
《CDNを利用した配信》
図5A図5は、本発明のさらに他の実施の形態に係るアプリケーション層マルチキャスト配信方法を実現するコンテンツの配信システムを示すブロック図である。図5Aに示すシステムは、例えばマルチアングルライブ映像を、マルチアングルエンコーダに取り込み、9チャンネル(9アングル)の合成画像にエンコードしたものをコンテンツとして配信するシステムである。本例のシステムでは、n個のアプリケーション層マルチキャスト配信による配信サーバ21を含み、一つの配信サーバ21は、最大75チェインで構成され、一つのチェインに最大30ノードがチェイン接続されるものである(最大2250×nの無線通信携帯端末機器31が接続可能)。
【0045】
また本例のシステムは、同じマルチアングルライブ映像を、マルチアングルエンコーダに取り込み、9チャンネル(9アングル)のシングル映像にエンコードしたものをバックアップコンテンツデータとして保持する。この9チャンネルのシングル映像は、CDN(Contents Delivery Network)42を介して、HLS(HTTP Live Streaming)、MPEG−DASH等により配信する。なお、アプリケーション層マルチキャスト配信の配信サーバ21による配信と、CDN42を介したHLS等による配信とは、同期していない。
【0046】
本例のシステムにおいて、n個の配信サーバ21は、上述したアプリケーション層マルチキャスト配信方法により無線通信携帯端末機器31からの配信要求や離脱要求を受け付け、マルチアングルエンコーダによる9チャンネル合成映像をピアツーピア方式で配信する。ただし、全てのチェインにおいてすべてのノードがフル接続された場合に、別の無線通信携帯端末機器31から接続要求がされても、それ以上のチェイン接続は不可能である。また、いずれかのチェインに接続されていた無線通信携帯端末機器31が、一旦そのチェインから離脱し、再び接続しようとした場合であっても、その間に別の無線通信携帯端末機器31が先に接続要求を送信してチェイン接続され、その結果、フル接続となった場合も、それ以上のチェイン接続は不可能である。
【0047】
そこで、このように配信サーバ21がフル接続状態である場合に、別の無線通信携帯端末機器31から接続要求がされた場合には、複数の配信サーバ21を統括するALMマスタサーバ22は、配信サーバ21がフル接続である旨を無線通信携帯端末機器31に送信する。これを受信した無線通信携帯端末機器31は、バックアップコンテンツデータを配信するHLS配信サーバ23への接続要求を送信し、HLS配信サーバ23からCDN42を介して自機の無線通信携帯端末機器31に9チャンネルのうちの所定のシングル映像を配信する要求信号を送信する。これにより、HLS配信サーバ23は、現在の配信TS(タイムスタンプ)からその無線通信携帯端末機器31に9チャンネルのうちの所定のシングル映像の配信を開始し、無線通信携帯端末機器31は、その時点からバッファリングを開始し、所定量のコンテンツデータがバッファリングされたら再生を開始する。
【0048】
HLS配信サーバ23に一時的に接続された無線通信携帯端末機器31は、ALMマスタサーバ22との間で、各配信サーバ21の接続状態、すなわち接続可能なノードの有無に関する情報を送受信し、ALMマスタサーバ22から接続可能なノードが生じた旨の情報を受信したら、HLS配信サーバ23へ配信停止要求を送信するとともに、接続可能なノードを有する配信サーバ21へ接続要求を送信する。これにより、アプリケーション層マルチキャスト配信方法による配信サーバ21がフル接続であっても、クライアントの待ちが解消されることになる。
【0049】
一方、図5Bに示すように、無線通信携帯端末機器31がいずれかの配信サーバ21のいずれかのチェインに接続中に、ノードチェンジ又はチェインチェンジの要求を送信することで現在接続中のチェインから一時的に離脱した間に、配信サーバ21がフル接続になると、要求する配信サーバ21への再接続は不可能になる。この場合、ALMマスタサーバ22は、配信サーバ21がフル接続である旨を無線通信携帯端末機器31に送信する。これを受信したその無線通信携帯端末機器31は、データバッファメモリにバッファリングしたコンテンツデータを保持しつつ、再生中断位置を記憶する。そして、無線通信携帯端末機器31は、バックアップコンテンツデータを配信するHLS配信サーバ23への接続要求を送信し、HLS配信サーバ23からCDN42を介して自機の無線通信携帯端末機器31に9チャンネルのうちの所定のシングル映像を配信する要求信号を送信する。
【0050】
上述したとおり、この無線通信携帯端末機器31は、配信サーバ21のチェインに接続中に、データバッファメモリにコンテンツデータをバッファリングしながら再生を実行しているが、チェイン離脱時にも、データバッファメモリにバッファリングしたコンテンツデータを保持しつつ、再生中断位置を記憶している。したがって、HLS配信サーバ23へ接続された場合には、まずはデータバッファメモリに蓄積されたコンテンツデータを再生するとともに、配信サーバ21とHLS配信サーバ23は同期配信されていないことから、無線通信携帯端末機器31にて連続したい再生を実現するために、データバッファメモリに蓄積されたコンテンツデータを再生しつつ、以下の処理を実行する。
【0051】
まず、HLS配信サーバ23から現在配信中のコンテンツデータ(HLS形式等)の受信を開始する。この受信したストリームのPTS(Presentation Time Stamp,表示時刻)と、データバッファメモリに蓄積されたバッファリングの中断位置(バッファリングデータのPTS)を比較する。すなわち、図5Bに示すように、受信した主映像の現在TS n のセグメント長(たとえば10秒)において、バッファリングPTSが、当該TSnセグメントに属しているか、または、前/後いずれかのセグメントに属しているかを判定する。
【0052】
そして、バッファリングPTSが、当該TSnセグメントに属している場合は、配信サーバ21とHLS配信サーバ23との配信タイミングが一致しているので、バッファリングデータに連続するPTSからバッファリングを開始する。これに対して、バッファリングPTSが、当該TSnセグメントより前(過去)の場合には、該当するTSの主映像(例えばn−1)を再要求し、バッファリングを開始する。逆に、バッファリングPTSが、当該TSnセグメントより後(未来)の場合には、次のTSの主映像(n+1)を要求し、バッファリングを開始する。無線通信携帯端末機器31は、データバッファメモリに蓄積されたコンテンツデータの再生が終了したら、これに続けてHLS配信サーバ23から受信してバッファリングしたマルチアングルのシングル映像の再生モードに切り換え、これによりシームレス再生を実現する。
【0053】
こうしてHLS配信サーバ23に一時的に接続された無線通信携帯端末機器31は、ALMマスタサーバ22との間で、各配信サーバ21の接続状態、すなわち接続可能なノードの有無に関する情報を送受信し、ALMマスタサーバ22から接続可能なノードが生じた旨の情報を受信したら、HLS配信サーバ23へ配信停止要求を送信するとともに、接続可能なノードを有する配信サーバ21へ接続要求を送信する。これにより、アプリケーション層マルチキャスト配信方法による配信サーバ21がフル接続であっても、クライアントの待ちが解消されることになる。
【0054】
なお、HLS配信サーバ23によるコンテンツデータの配信から、本来の配信サーバ21によるコンテンツデータの配信に切り換る場合には、HLS方式で配信されていたコンテンツデータの再生中断位置およびバッファリング中断位置のPTSを保持し、配信サーバ21のチェインに接続する。そして、バッファリング中断位置のPTSをそのチェインの直前のノード(無線通信携帯端末機器31)に要求する。HLS方式でバッファリングされていたコンテンツデータの再生が終了したら、直前のノードから受信して新たにバッファリングしたマルチアングル9チャンネル合成映像の再生モードに切り換える。これにより、シームレスな再生が実現されることになる。
【0055】
《コマーシャルメッセージCMの挿入処理》
上述したアプリケーション層マルチ配信方法において、配信されるコンテンツデータの所定PTSに、動画若しくは静止画、音声又はこれらの組み合わせからなるコマーシャルメッセージCMを挿入してもよい。こうしたコマーシャルメッセージCMは、配信サーバ21のオペレータ操作などにより設定することができる。挿入するコマーシャルメッセージCMのコンテンツは特に限定されないが、コマーシャルメッセージCMの効果をより発揮させるために、無線通信携帯端末機器31の所有者の属性に応じたコマーシャルメッセージCMを挿入することがより好ましい。
【0056】
無線通信携帯端末機器31の所有者の属性としては、年齢(〜20歳代、30歳代、40歳代、50歳代〜)、性別(男性、女性)、婚姻(未婚、既婚)、ブラウザ閲覧履歴、GPS検出位置(行動範囲、行動様式)、コンテンツ視聴頻度(嗜好属性)、スワイプ頻度(性格推定)、健康属性推定などを例示することができる。
【0057】
年齢(〜20歳代、30歳代、40歳代、50歳代〜)、性別(男性、女性)、婚姻(未婚、既婚)などの所有者の属性については、これら年齢、性別、婚姻に応じたコマーシャルメッセージCMを、その所有者の無線通信携帯端末機器31に対して配信するコンテンツに挿入する。例えば、20歳代までの未婚の女性に対して配信するコマーシャルメッセージCMと、50歳代の既婚の男性に対して配信するコマーシャルメッセージCMとは、所有者の嗜好が明らかに異なるので、その属性に応じたものを配信すると効果的である。また、所有者のブラウザ閲覧履歴については、上記年齢、性別又は婚姻の属性が同じでも、所有者の嗜好に応じて閲覧履歴が相違することも少なくないので、ブラウザ閲覧履歴が多いカテゴリに相関するコマーシャルメッセージCMを配信する。これら年齢、性別、婚姻の情報は、無線通信携帯端末機器31から、配信サーバ21へ予め登録することにより取得することができる。また、ブラウザ閲覧履歴の情報は、無線通信携帯端末機器31に蓄積された履歴情報を配信サーバ21へ送信することにより取得することができる。
【0058】
GPS検出位置に関する所有者の属性は、緯度・経度位置の情報から、その地方のローカル広告を配信したり、言語コードの組合せから外国人向け観光地のコマーシャルメッセージCMやご当地の店舗のコマーシャルメッセージCMを配信したりすることができる。また、GPS検出位置から移動情報を解析し、徒歩での移動であれば周辺店舗の広告、車での移動であれば走行ロード付近の広告や高速道路のサービスエリアの広告、電車での移動であればその路線近辺の広告や駅弁・駅内ショップの広告、新幹線での移動であれば車内販売・駅弁・駅内ショップの広告などを配信すると効果的である。このとき、GPS検出位置を各種クラウドサーバーへ問合わせ連携することもできる。例えば地図情報と連携することで車/電車を区別したり、電車路線の情報を取得することができる。走行中の道路が交通規制されていたり、乗車中の電車が運転見合わせであったりした場合には、周辺ホテルのコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。また防災情報があれば防災グッズのコマーシャルメッセージCM、気象情報(雨、雪、気温)を取得することで雨具・防寒グッズ・タイヤチェーン等のコマーシャルメッセージCMを配信してもよい。
【0059】
無線通信携帯端末機器31の所有者の位置は、無線通信携帯端末機器31のGPS機能に基づくこと以外にも、Wi−FiステーションのSSIDから位置情報を取得することができる。取得されたWi−Fiステーションが、コンビニエンスストアであるときは、そのコンビニエンスストアのコマーシャルメッセージCM、コーヒーショップであるときは、そのコーヒーショップのコマーシャルメッセージCM、デパート・家電量販店・スーパーマーケットなどの店舗であるときは、その店舗のコマーシャルメッセージCM、高速道路のサービスエリアであるときは、その高速道路運営会社のコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。こうした所有者の位置情報は、無線通信携帯端末機器31から配信サーバ21へ送信し、これにより配信サーバ21は、その位置情報に応じたコマーシャルメッセージCMを配信することができる。
【0060】
コンテンツ視聴頻度の属性は、配信サーバ21にて判断することができ、それに応じたコマーシャルメッセージCMを配信することができる。例えばマルチアングルコンテンツの視聴頻度が高い所有者に対しては、アングルコンテンツの内容によりコマーシャルメッセージCMを選択することができる。すなわち、野球のライブコンテンツにおいて、天頂カメラアングルの視聴頻度が高いと守備シフトに興味が有ると判断でき、この場合はメジャーリーグベースボールに関するコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。同様に、ピッチャーアングルの視聴頻度が高いとピッチングに興味があり、自身が草野球選手であると判断できるので、スポーツ用品に関するコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。また、マルチチャンネルのコンテンツのうち視聴頻度が高いタイトルのカテゴリによりコマーシャルメッセージCMを選択することもできる。例えば、アニメ系の視聴頻度が高いときは、アニメ新番組のコマーシャルメッセージCM、邦画系の視聴頻度が高いときは、ロケ観光地のコマーシャルメッセージCM、パチスロ系の視聴頻度が高いときは、新台やパチンコ店のコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。マルチチャンネル配信において、所有者が視聴したタイトルの頻度を配信サーバ21にて視聴ログとして蓄積し、さらに所有者の嗜好を絞込み推定し、所有者の嗜好属性に合致するコマーシャルメッセージCMのみを選択してもよい。メガマルチチャンネルにおいては、単一コンテンツの視聴頻度およびコンテンツグループの視聴頻度により判断してもよい。
【0061】
スワイプ頻度の属性は、所有者の性格推定に利用することができる。例えば、スワイプ頻度が高い所有者は、せっかち型又は時間的な余裕が無いと判断できるので、ファーストフードなどのコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。これに対して、スワイプ頻度が低い所有者は、おっとり型又は一点集中型な性格であると判断できるので、例えばリゾート地に関連するコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。スワイプの中でもモーションスワイプの使用頻度が高い所有者は、ゲーム嗜好型又はせっかち型な性格であると判断できるので、ゲームに関するコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。
【0062】
健康属性推定の属性は、モーションスワイプをOFFした状態で手の震えを検出し、これにより健康属性を推定する。例えば、手の震えを検出したら、不健康・中風の疑い・動悸といった不健康な状態にあると判断できるので、病院や医薬品などのコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。これに対して、手の震えが検出されないときは、健康状態であると判断できるので、健康サプリメントなどのコマーシャルメッセージCMを配信すると効果的である。
【符号の説明】
【0063】
1…コンテンツの配信システム
11…リアルタイムエンコーダ
21…配信サーバ
22…ALMマスタサーバ
23…HLS配信サーバ
31…無線通信携帯端末機器
41…電気通信回線網
42…CDN
【要約】
【課題】複数のチェイン間でチェイン変更した場合に再生開始が遅れるのを抑制する。
【解決手段】一の配信サーバ21から複数の端末機器31へ、電気通信回線網41を介して、所定のコンテンツデータを、ピアツーピア方式でアプリケーション層マルチキャスト配信する方法であって、1回以上チェイン変更した端末機器が、以前にチェイン接続していたチェインに再接続した場合に、当該端末機器は、以前にバッファリングしたコンテンツデータが存在するときは、再生中断位置から再生を開始し、以前にバッファリングしたコンテンツデータが存在しないときは、直前の端末機器からコンテンツデータを受信しながら再生する。
【選択図】 図4C
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B