特許第6271880号(P6271880)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6271880
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】連続手すりのエンドキャップと連接材
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
   E04F11/18
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-133122(P2013-133122)
(22)【出願日】2013年6月25日
(65)【公開番号】特開2015-7346(P2015-7346A)
(43)【公開日】2015年1月15日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092761
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 邦廣
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 諒
(72)【発明者】
【氏名】庄司 辰夫
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−323623(JP,A)
【文献】 実開昭55−096223(JP,U)
【文献】 実開昭57−192335(JP,U)
【文献】 特開昭58−037254(JP,A)
【文献】 特開2005−042365(JP,A)
【文献】 特開2009−275501(JP,A)
【文献】 米国特許第06270058(US,B1)
【文献】 米国特許第03930638(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
E04F 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面との間に隙間を生じない連続手すりのエンドキャップであって、前記連続手すりの手すり部材の端部を壁面に連接させる前記エンドキャップにおいて、前記エンドキャップは、第一の端面と、前記第一の端面に隣接し、かつ、前記第一の端面に対して90度の角度を成す、第二の端面と、前記第一の端面と前記第二の端面の境界に直線状に延びる稜線と、前記第一の端面に形成された手すり部材連接部と、前記第二の端面に形成された壁面連接部とを有し、前記手すり部材は、前記第一の端面から突出した連続壁を有し、前記連続壁は、前記手すり部材の端部を被うように、前記手すり部材の端部の外形に沿って延在し、前記稜線が前記壁面に沿って配置されると、前記壁面連接部は、前記壁面との間に隙間を生じないように、前記壁面に沿って延在することを特徴とする、前記連続手すりのエンドキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載したエンドキャップにおいて、前記手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した一つ又は二つ以上の位置決め用の突起を有し、前記位置決め用の突起は、前記手すり部材の端部から前記手すり部材の内部に進入するように、前記連続壁の内側に形成され、前記位置決め用の突起は、前記手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記連続壁よりも突出していることを特徴とする、前記エンドキャップ。
【請求項3】
請求項2に記載したエンドキャップにおいて、前記手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した一つ又は二つ以上の固定用の突起を有し、前記固定用の突起は方形の断面形状を有し、前記エンドキャップは、前記固定用の突起を貫通するネジによって、前記壁面に固定されることを特徴とする、前記エンドキャップ。
【請求項4】
請求項3に記載したエンドキャップにおいて、前記固定用の突起は、前記手すり部材の端部から前記手すり部材の内部に進入するように、前記連続壁の内側に形成され、前記固定用の突起は、前記手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記連続壁よりも突出していることを特徴とする、前記エンドキャップ。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載したエンドキャップにおいて、前記第二の端面に凹所を形成し、前記第二の端面の縁部と前記凹所の開口の間に帯状平面を画成し、前記帯状平面によって前記壁面連接部を構成し、前記エンドキャップの内部に空洞部を形成し、前記空洞部を前記凹所の底部に開口させたことを特徴とする、前記エンドキャップ。
【請求項6】
請求項1に記載したエンドキャップにおいて、前記エンドキャップは、前記第一の端面と前記第二の端面に隣接し、かつ、前記第一の端面と前記第二の端面の間に延在する、側面を有し、前記側面の天井部に、前記稜線に直交する平面部を形成したことを特徴とする、前記エンドキャップ。
【請求項7】
請求項1に記載したエンドキャップにおいて、前記連続手すりは、手すり部材と壁面の間に空隙を有さない、ブラケットレスの手すり又はブラケット一体型の手すりであることを特徴とする、前記エンドキャップ。
【請求項8】
壁面との間に隙間を生じない連続手すりの連接材であって、前記壁面の出隅で前記連続手すりの一対の手すり部材を連接させる前記連接材において、
前記連接材は、前記手すり部材の端部を前記壁面に連接させるためのエンドキャップを含み、前記エンドキャップは、第一の端面と、前記第一の端面に隣接し、かつ、前記第一の端面に対して90度の角度を成す、第二の端面と、前記第一の端面と前記第二の端面の境界に直線状に延びる稜線と、前記一対の手すり部材のうちの一方の手すり部材を連接させるため、前記第一の端面に形成された第一の手すり部材連接部を有し、
前記連接材は、更に、前記エンドキャップの前記第二の端面に固定された端部材を有し、前記端部材は、前記一対の手すり部材のうちの他方の手すり部材を連接させるため、第二の手すり部材連接部を有し、
前記第一の手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した連続壁を有し、前記連続壁は、前記エンドキャップの前記稜線を前記壁面の前記出隅に沿って配置したとき、前記第一の手すり部材連接部に連接される前記一方の手すり部材の端部を被うように、前記一方の手すり部材の端部の外形に沿って延在し、
前記第二の手すり部材連接部は、前記端部材から突出した連続壁を有し、前記連続壁は、前記エンドキャップの前記稜線を前記壁面の前記出隅に沿って配置したとき、前記第二の手すり部材連接部に連接される前記他方の手すり部材の端部を被うように、前記他方の手すり部材の端部の外形に沿って延在し、
前記エンドキャップの前記稜線は、前記壁面との間に隙間を生じないように、前記壁面の前記出隅に沿って延在することを特徴とする、前記連続手すりの連接材。
【請求項9】
請求項8に記載した連続手すりの連接材において、前記第一の手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した一つ又は二つ以上の位置決め用の突起を有し、前記第二の手すり部材連接部は、前記端部材から突出した一つ又は二つ以上の位置決め用の突起を有し、
前記第一の手すり部材連接部の前記位置決め用の突起は、前記一方の手すり部材の端部から前記一方の手すり部材の内部に進入するように、前記第一の手すり部材連接部の前記連続壁の内側に形成され、かつ、前記一方の手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記第一の手すり部材連接部の前記連続壁よりも突出し、
前記第二の手すり部材連接部の前記位置決め用の突起は、前記他方の手すり部材の端部から前記他方の手すり部材の内部に進入するように、前記第二の手すり部材連接部の前記連続壁の内側に形成され、かつ、前記他方の手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記第二の手すり部材連接部の前記連続壁よりも突出していることを特徴とする、前記連続手すりの連接材。
【請求項10】
請求項9に記載した連続手すりの連接材において、前記第一の手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した一つ又は二つ以上の固定用の突起を有し、前記第二の手すり部材連接部は、前記端部材から突出した一つ又は二つ以上の固定用の突起を有し、前記固定用の突起は、それぞれ、方形の断面形状を有し、前記エンドキャップは、前記固定用の突起を貫通するネジによって、前記壁面に固定されることを特徴とする、前記連続手すりの連接材。
【請求項11】
請求項10に記載した連続手すりの連接材において、
前記第一の手すり部材連接部の前記固定用の突起は、前記一方の手すり部材の端部から前記一方の手すり部材の内部に進入するように、前記第一の手すり部材連接部の前記連続壁の内側に形成され、かつ、前記一方の手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記第一の手すり部材連接部の前記連続壁よりも突出し、
前記第二の手すり部材連接部の前記固定用の突起は、前記他方の手すり部材の端部から前記他方の手すり部材の内部に進入するように、前記第二の手すり部材連接部の前記連続壁の内側に形成され、かつ、前記他方の手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記第二の手すり部材連接部の前記連続壁よりも突出していることを特徴とする、前記連続手すりの連接材。
【請求項12】
請求項8に記載した連続手すりの連接材において、前記エンドキャップの前記第二の端面に凹所を形成し、前記凹所の内壁に段差部を形成し、前記端部材を前記凹所に嵌合させると共に前記段差部に係止させ、更に、前記エンドキャップの内部に空洞部を形成したことを特徴とする、前記連続手すりの連接材。
【請求項13】
請求項8に記載した連続手すりの連接材において、前記エンドキャップは、前記第一の端面と前記第二の端面に隣接し、かつ、前記第一の端面と前記第二の端面の間に延在する、側面を有し、前記側面の天井部に、前記稜線に直交する平面部を有することを特徴とする、前記連続手すりの連接材。
【請求項14】
請求項8に記載した連続手すりの連接材において、前記連続手すりは、手すり部材と壁面の間に空隙を有さない、ブラケットレスの手すり又はブラケット一体型の手すりであることを特徴とする、前記連続手すりの連接材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
手すりと壁面の間に空隙を有さない連続手すりのエンドキャップと連接材に関するものである。更に詳細に述べると、本発明は、手すりと壁面の間に空隙を有さない連続手すりの端部を壁面に連接させるエンドキャップと、このような連続手すりの手すり部材を壁面の出隅で連接させる連接材に関するものである。
【背景技術】
【0003】
連続手すりとして、手すりと壁面の間に空隙を有さない、所謂、ブラケットレスの手すりやブラケット一体型の手すりが使用されている。これらの手すりは、壁面に密着するから、壁面からの突出量が小さい。また、手すりを支持するためのブラケットが外部に露出しないから、車椅子やストレッチャー等の運搬機器がブラケットに衝突することがない。これらのブラケットレスの手すりやブラケット一体型の手すりは、幅の狭い廊下や通路に設置されるのみでなく、患者の自損行為を誘発しにくい構造が評価されて、病院等に設置される場合がある。
【0004】
特開2001―323623号公報は、手摺端部処理部品とアタッチメントを組み合わせて連続手すりのエンドキャップを構成することが可能であり、また、手摺端部処理部品と一対のアタッチメントを組み合わせて連続手すりの出隅部のジョイントを構成することができる、手摺及び手摺端部処理ユニットを開示する。この手摺端部処理ユニットは、手摺端部処理部品とアタッチメントという二種類の部品を組み合わせることにより、連続手すりのキャップ処理と出隅部のジョイント処理を施工することができる。しかし、この手摺端部処理ユニットの手摺端部処理部品とアタッチメントの間、アタッチメントと手摺本体の端面の間、手摺端部処理部品と手摺本体の端面の間は、それぞれ、両部材を突き合わせることによって施工される、所謂、突き付け仕様であるため、笠木の切断精度が低い場合には、これらの部材の接合部に段差や隙間を生じ易い。また、壁面に不陸がある場合には、これらの部材の接合部の段差や隙間を目立たなくするために、困難な作業を要する。特に、連続手すりの出隅部でジョイント処理を行うには、手摺端部処理部品と二つのアタッチメントと二本の手摺本体を突き付け施工する必要があるため、極めて困難な作業が必要になる。
【0005】
特開2008―2216号公報は、少なくとも一端が長尺状の手摺部材に接続される手摺用コーナー接続具を開示する。このコーナー接続具は、2個の端板部と湾曲部とから構成されるフレームを備え、これらの端板部の端面にはテーパ状側壁の凹部が形成される。長尺状の手摺部材の端部には、端部板の端面に形成されたテーパ状側壁の凹部に嵌入するテーパ部を形成し、手摺部材とコーナー接続具の接合を容易にすると共に両部材間に隙間を生じにくい構造にしている。また、端部板の端面に形成されたテーパ状側壁の凹部に嵌入するテーパ部をスペーサに形成し、このスペーサを介してコーナー接続具を壁面に装着することができる構造を提案する。
【0006】
特開2011―74673号公報は、直角に屈曲した接続具本体の両端に、接続具本体の長さ方向に対して直角方向に突設された手摺り取付座と、接続具本体の長さ延長方向に突設された手摺りの端部嵌合用短筒部とから成る、手摺り取付座を設け、手摺りの端部を端部嵌合用短筒部に挿入して手摺り取付座にネジにより固定することにより、手摺りを直角に接続することができると同時に、一方の短筒部内に壁面取付用スペーサ部材を配置して、壁面に固定することができる、手摺り用接続具を開示する。
【0007】
しかし、出隅部や入隅部で、壁面と特開2008―2216号公報に記載の手摺用コーナー接続具との間には隙間を生じ、同様に、出隅部や入隅部で、壁面と特開2011―74673号公報に記載の手摺り用接続具との間にも隙間を生じる。したがって、壁面と長尺状の手摺部材や手摺りの間に隙間を生じないような施工を施した場合にも、出隅部や入隅部では、壁面と接続具の間の隙間を排除することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001―323623号公報
【特許文献2】特開2008―2216号公報
【特許文献3】特開2011―74673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、部品点数が少なく、施工が容易で、壁面との間に隙間を生じない、連続手すりのエンドキャップと、連続手すりの出隅部の連接材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のエンドキャップは、壁面との間に隙間を生じない連続手すりのエンドキャップであって、前記連続手すりの手すり部材の端部を壁面に連接させる前記エンドキャップにおいて、前記エンドキャップは、第一の端面と、前記第一の端面に隣接し、かつ、前記第一の端面に対して90度の角度を成す、第二の端面と、前記第一の端面と前記第二の端面の境界に直線状に延びる稜線と、前記第一の端面に形成された手すり部材連接部と、前記第二の端面に形成された壁面連接部とを有し、前記手すり部材は、前記第一の端面から突出した連続壁を有し、前記連続壁は、前記手すり部材の端部を被うように、前記手すり部材の端部の外形に沿って延在し、前記稜線が前記壁面に沿って配置されると、前記壁面連接部は、前記壁面との間に隙間を生じないように、前記壁面に沿って延在することを特徴とする。
【0011】
前記エンドキャップにおいて、前記手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した一つ又は二つ以上の位置決め用の突起を有し、前記位置決め用の突起は、前記手すり部材の端部から前記手すり部材の内部に進入するように、前記連続壁の内側に形成され、前記位置決め用の突起は、前記手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記連続壁よりも突出させることができる。
【0012】
前記エンドキャップにおいて、前記手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した一つ又は二つ以上の固定用の突起を有し、前記固定用の突起は方形の断面形状を有し、前記エンドキャップは、前記固定用の突起を貫通するネジによって、前記壁面に固定されるように構成することができる。
【0013】
前記エンドキャップにおいて、前記固定用の突起は、前記手すり部材の端部から前記手すり部材の内部に進入するように、前記連続壁の内側に形成され、前記固定用の突起は、前記手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記連続壁よりも突出させることができる。
【0014】
前記エンドキャップにおいて、前記第二の端面に凹所を形成し、前記第二の端面の縁部と前記凹所の開口の間に帯状平面を画成し、前記帯状平面によって前記壁面連接部を構成し、前記エンドキャップの内部に空洞部を形成し、前記空洞部を前記凹所の底部に開口させることができる。
【0015】
更に、前記エンドキャップは、前記第一の端面と前記第二の端面に隣接し、かつ、前記第一の端面と前記第二の端面の間に延在する、側面を有し、前記側面の天井部に、前記稜線に直交する平面部を形成することができる。
【0016】
更に、前記連続手すりは、手すり部材と壁面の間に空隙を有さない、ブラケットレスの手すり又はブラケット一体型の手すりによって構成することができる。
【0017】
例えば、前記手すり部材は、壁面に当接する支持面と、前記壁面から間隔を置いて前記壁面に対向する把持部とを有し、前記把持部は、前記支持面を前記壁面に当接させたとき、上方に向かって滑らかに湾曲し、かつ、全体として前記壁面から離隔する方向に突出した外形を有し、前記手すり部材は、更に、前記把持部の上縁部に形成された巻回部と、前記巻回部に連続する凹状湾曲面とを有し、前記凹状湾曲面は、前記支持面を前記壁面に当接させたとき、前記把持部と前記壁面の間に位置し、前記巻回部は、前記支持面を前記壁面に当接させたとき、前記把持部の前記上縁部で前記凹状湾曲面に向かって巻回し、前記支持面の上方で前記壁面に対向するように構成することができる。
【0018】
本発明の連続手すりの連接材は、壁面との間に隙間を生じない連続手すりの連接材であって、前記壁面の出隅で前記連続手すりの一対の手すり部材を連接させる前記連接材において、
前記連接材は、前記手すり部材の端部を前記壁面に連接させるためのエンドキャップを含み、前記エンドキャップは、第一の端面と、前記第一の端面に隣接し、かつ、前記第一の端面に対して90度の角度を成す、第二の端面と、前記第一の端面と前記第二の端面の境界に直線状に延びる稜線と、前記一対の手すり部材のうちの一方の手すり部材を連接させるため、前記第一の端面に形成された第一の手すり部材連接部を有し、
前記連接材は、更に、前記エンドキャップの前記第二の端面に固定された端部材を有し、前記端部材は、前記一対の手すり部材のうちの他方の手すり部材を連接させるため、第二の手すり部材連接部を有し、
前記第一の手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した連続壁を有し、前記連続壁は、前記エンドキャップの前記稜線を前記壁面の前記出隅に沿って配置したとき、前記第一の手すり部材連接部に連接される前記一方の手すり部材の端部を被うように、前記一方の手すり部材の端部の外形に沿って延在し、
前記第二の手すり部材連接部は、前記端部材から突出した連続壁を有し、前記連続壁は、前記エンドキャップの前記稜線を前記壁面の前記出隅に沿って配置したとき、前記第二の手すり部材連接部に連接される前記他方の手すり部材の端部を被うように、前記他方の手すり部材の端部の外形に沿って延在し、
前記エンドキャップの前記稜線は、前記壁面との間に隙間を生じないように、前記壁面の前記出隅に沿って延在することを特徴とする。
【0019】
前記連続手すりの連接材において、前記第一の手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した一つ又は二つ以上の位置決め用の突起を有し、前記第二の手すり部材連接部は、前記端部材から突出した一つ又は二つ以上の位置決め用の突起を有し、
前記第一の手すり部材連接部の前記位置決め用の突起は、前記一方の手すり部材の端部から前記一方の手すり部材の内部に進入するように、前記第一の手すり部材連接部の前記連続壁の内側に形成され、かつ、前記一方の手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記第一の手すり部材連接部の前記連続壁よりも突出し、
前記第二の手すり部材連接部の前記位置決め用の突起は、前記他方の手すり部材の端部から前記他方の手すり部材の内部に進入するように、前記第二の手すり部材連接部の前記連続壁の内側に形成され、かつ、前記他方の手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記第二の手すり部材連接部の前記連続壁よりも突出するように構成することができる。
【0020】
前記連続手すりの連接材において、前記第一の手すり部材連接部は、前記第一の端面から突出した一つ又は二つ以上の固定用の突起を有し、前記第二の手すり部材連接部は、前記端部材から突出した一つ又は二つ以上の固定用の突起を有し、前記固定用の突起は、それぞれ、方形の断面形状を有し、前記エンドキャップは、前記固定用の突起を貫通するネジによって、前記壁面に固定されるように構成することができる。
【0021】
前記連続手すりの連接材において、
前記第一の手すり部材連接部の前記固定用の突起は、前記一方の手すり部材の端部から前記一方の手すり部材の内部に進入するように、前記第一の手すり部材連接部の前記連続壁の内側に形成され、かつ、前記一方の手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記第一の手すり部材連接部の前記連続壁よりも突出し、
前記第二の手すり部材連接部の前記固定用の突起は、前記他方の手すり部材の端部から前記他方の手すり部材の内部に進入するように、前記第二の手すり部材連接部の前記連続壁の内側に形成され、かつ、前記他方の手すり部材の端部を前記連続壁の内側の所定の位置に案内するように、前記第二の手すり部材連接部の前記連続壁よりも突出するように構成することができる。
【0022】
前記連続手すりの連接材において、前記エンドキャップの前記第二の端面に凹所を形成し、前記凹所の内壁に段差部を形成し、前記端部材を前記凹所に嵌合させると共に前記段差部に係止させ、更に、前記エンドキャップの内部に空洞部を形成することができる。
【0023】
前記連続手すりの連接材において、前記エンドキャップは、前記第一の端面と前記第二の端面に隣接し、かつ、前記第一の端面と前記第二の端面の間に延在する、側面を有し、前記側面の天井部に、前記稜線に直交する平面部を有することができる。
【0024】
前記連続手すりの連接材において、前記連続手すりは、手すり部材と壁面の間に空隙を有さない、ブラケットレスの手すり又はブラケット一体型の手すりで構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のエンドキャップを手すり部材の端部に装着するとき、手すり部材の端部はエンドキャップの手すり部材連接部の連続壁の内側に挿入される。これによって、連続壁は、手すり部材の端部を被うように、手すり部材の端部の外形に沿って延在する。したがって、施工誤差によって手すり部材の端部の形状や寸法にばらつきを生じても、手すり部材の端部とエンドキャップの間に隙間は生じない。また、手すり部材を取り付ける壁面の不陸により、手すり部材がエンドキャップに対して傾斜する場合でも、手すり部材の端部が連続壁に重なっている限り、手すり部材の端部とエンドキャップの間に隙間は生じない。換言すれば、手すり部材の端部と連続壁とが重合する範囲内で、手すり部材の端部に対して、エンドキャップの位置や角度を任意に調節することができる。また、エンドキャップの壁面連接部が形成された第二の端面は、連続壁を有する第一の端面に対して90度の角度を成すから、第一の端面と第二の端面の境界に直線状に延びる稜線を、エンドキャップを取り付ける壁面に沿って配置することによって、エンドキャップの壁面連接部を壁面に沿って延在させることができる。したがって、エンドキャップを容易に位置決めすることができる。更に、本発明のエンドキャップの壁面連接部は壁面に沿って延在し、エンドキャップと壁面との間に隙間を生じないから、手すりと壁面の間に空隙を有さない、所謂、ブラケットレスの手すりやブラケット一体型の手すりのエンドキャップに、本発明のエンドキャップを使用すると、手すりからエンドキャップに至る全域で壁面と手すりとの間に隙間を生じない連続手すりを施工することができる。なお、この明細書で連接とは、二つの部材が当接して配置され又は近接して配置されて、連続することをいい、二つの部材の間の隙間が厳密な意味で零であることを意味しない。
【0026】
本発明のエンドキャップの手すり部材連接部に、連続壁よりも突出した位置決め用の突起を設け、この位置決め用の突起によって手すり部材の端部を連続壁の内側の所定の位置に案内すれば、エンドキャップの施工を更に容易にすることができる。このとき、位置決め用の突起が手すり部材の端部から手すり部材の内部に進入するように、位置決め用の突起を連続壁の内側に形成しておけば、エンドキャップの施工後に位置決め用の突起を目視することはできないから、位置決め用の突起が手すりの外観を損なうことを防止することができる。
【0027】
本発明のエンドキャップの手すり部材連接部に、方形の断面形状を有する固定用の突起を形成し、この固定用の突起を貫通するネジによって、エンドキャップを壁面に強固に固定することができる。このとき、固定用の突起を貫通するネジが手すり部材も貫通すれば、壁面に対する手すり部材の固定強度も向上する。また、固定用の突起が手すり部材の端部から手すり部材の内部に進入するように、固定用の突起を連続壁の内側に形成しておけば、エンドキャップの施工後に固定用の突起を目視することはできないから、固定用の突起が手すりの外観を損なうことはない。更に、固定用の突起が手すり部材の端部を連続壁の内側の所定の位置に案内するように、固定用の突起を連続壁よりも突出させておけば、固定用の突起に前述の位置決め用の突起の機能を持たせることができる。
【0028】
エンドキャップの第二の端面に凹所を形成することにより、第二の端面の縁部と凹所の間に帯状平面を画成し、この帯状平面によって壁面連接部を構成すれば、壁面連接部が第二の端面の縁部に沿って延在するから、壁面と第二の端面の縁部との密着度を向上させることができる。また、エンドキャップの内部に空洞部を形成すれば、エンドキャップの軽量化とエンドキャップを構成する材料の減少を図ることができる。そして、この空洞部を凹所の底部に開口させれば、空洞部の内面に後述する端部材の案内溝を形成する等によって、空洞部の有効利用を図ることができる。
【0029】
エンドキャップの第一の端面と第二の端面に隣接し、かつ、これらの端面の間に延在する、側面に、稜線に直交する平坦な天井面を形成し、手すり部材にエンドキャップを装着したとき、この天井面が水平に延在するように構成すれば、手すりの使用者はこの天井面に手を置いて体を支えることができる。なお、エンドキャップの第一の端面の形状や連続壁の形状は、エンドキャップが装着される手すり部材の端部の形態に合わせて変更される。エンドキャップの第一の端面の形状が変われば、これに連なる側面の形状が変化するから、第二の端面の形状も変化する場合がある。また、エンドキャップの中央軸線を含む水平面に関して、エンドキャップを上下対称の形状にすれば、手すり部材の右端部及び左端部に同一のエンドキャップを装着することができる。
【0030】
本発明のエンドキャップは、エンドキャップと壁面との間に空隙を形成しないから、このエンドキャップを、手すり部材と壁面の間に空隙を有さない、所謂、ブラケットレスの手すり又はブラケット一体型の手すりの端部に装着すれば、手すり部材からエンドキャップに至る手すり全長にわたって、壁面との間に空隙を有さない連続手すりを施工することができる。
【0031】
本発明の連続手すりの連接材は、本来、手すり部材の端部を壁面に連接させるためのエンドキャップをそのまま利用し、このエンドキャップの第二の端面に、手すり部材連接部を有する端部材を固定することによって、壁面の出隅で一対の手すり部材を連接させることができる。本発明の連続手すりの連接材は、連続手すりの端部に装着されるエンドキャップをそのまま利用するから、連接材を構成するための専用部品は端部材のみである。よって、連接材を容易にかつ安価に準備することができる。また、本発明の連続手すりの連接材は、連続手すりの端部を壁面に連接させるための第一の手すり部材連接部を有するエンドキャップと、第二の手すり部材連接部を有する端部材との二部品によって構成される。よって、連続手すりの出隅部に対する組み付けと位置調整は容易であり、連続手すりの施工性が向上する。更に、本発明の連接材は、エンドキャップの稜線を壁面の出隅に沿って配置するから、連接材と壁面の間に空隙を生じない。したがって、手すり部材と壁面の間に空隙を有さない、所謂、ブラケットレスの手すり又はブラケット一体型の手すりを本発明の連接材によって連接し、連続手すりの出隅部を構成すると、壁面の出隅を挟んで一方の手すり部材から他方の手すり部材に至る手すり全長にわたって、壁面との間に空隙を有さない連続手すりを施工することができる。
【0032】
本発明の連続手すりの連接材によって、連続手すりの出隅部を施工するとき、手すり部材の端部は連続壁の内側に挿入される。連続壁は、手すり部材の端部を被うように、手すり部材の端部の外形に沿って延在するから、施工誤差によって手すり部材の端部の形状や寸法にばらつきを生じても、手すり部材の端部と連接材の間に隙間は生じない。また、手すり部材が取り付けられる壁面の不陸により、手すり部材が連接材に対して傾斜する場合でも、手すり部材の端部が連続壁に重なっている限り、手すり部材の端部と連接材の間に隙間は生じない。換言すれば、手すり部材の端部と連続壁とが重合する範囲内で、手すり部材の端部に対する連接材の位置や角度を任意に調節することができる。なお、この明細書で連接とは、二つの部材が当接し又は近接して配置されて、連続することをいい、二つの部材の間の隙間が厳密な意味で零であることを意味しない。
【0033】
本発明の連続手すりの連接材の第一及び第二の手すり部材連接部に、連続壁よりも突出した位置決め用の突起を設け、この位置決め用の突起によって手すり部材の端部を連続壁の内側の所定の位置に案内するように構成すれば、連続手すりの出隅部の施工を更に容易にすることができる。このとき、位置決め用の突起が手すり部材の端部から手すり部材の内部に進入するように、位置決め用の突起を連続壁の内側に形成しておけば、エンドキャップの施工後に位置決め用の突起を目視することはできないから、位置決め用の突起が連続手すりの外観を損なうことを防止することができる。
【0034】
本発明の連続手すりの連接材の第一及び第二の手すり部材連接部に、それぞれ、方形の断面形状を有する固定用の突起を形成し、この固定用の突起を貫通するネジによって、連接材を壁面に強固に固定することができる。このとき、固定用の突起を貫通するネジが手すり部材も貫通すれば、壁面に対する手すり部材の固定強度も向上する。また、固定用の突起が手すり部材の端部から手すり部材の内部に進入するように、これらの固定用の突起を連続壁の内側に形成しておけば、連続手すりの出隅部を施工した後に手すりの外部から固定用の突起を目視することはできないから、固定用の突起が手すりの外観を損なうことはない。更に、手すり部材の端部が固定用の突起によって連続壁の内側の所定の位置に案内されるように、固定用の突起を連続壁よりも突出させておけば、固定用の突起に前述の位置決め用の突起の機能を持たせることができる。
【0035】
本発明の連続手すりの連接材を構成するエンドキャップの第二の端面に凹所を形成し、この凹所の内壁に段差部を形成し、端部材をこの凹所に嵌合させると共に段差部によって係止させれば、端部材の側面をエンドキャップの第二の端面と同一面に配置することができる。また、エンドキャップの内部に空洞部を形成すれば、エンドキャップの軽量化とエンドキャップを構成する材料の減少を図ることができる。更に、この空洞部を凹所の底部に開口させれば、空洞部の内面に端部材の案内溝を形成することにより、空洞部の有効利用を図ることができる。
【0036】
そして、本発明の連接材を構成するエンドキャップの第一の端面と第二の端面に隣接し、かつ、これらの端面の間に延在する、側面に、稜線に直交する平坦な天井面を形成し、連続手すりの出隅部でこの天井面が水平に延在するように構成すれば、手すりの使用者は、壁面の出隅で、この天井面に手を置いて体を支え、進行方向を変えることができる。
【0037】
本発明のその他の特徴は、以下の実施例に関する記述中で、図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明のエンドキャップと連接材を備えた連続手すりの平面図である。(実施例1、2)
図2図2は、図1の出隅の両側の壁面に取り付けられた一対の手すり部材のうち、出隅の右側の壁面の手すり部材と、この手摺り部材の右端部に装着された本発明の右エンドキャップの斜視図である。(実施例1)
図3図3は、図2の手すり部材と右エンドキャップの分解斜視図である。(実施例1)
図4図4は、図3の右エンドキャップを背面側から見た斜視図である。(実施例1)
図5図5は、図1の手すり部材と壁面をA―A線に沿って切断した縦断面図である。(実施例1、2)
図6図6は、図1の出隅の両側の壁面に取り付けられた一対の手すり部材のうち、出隅の左側の壁面の手すり部材と、この手摺り部材の左端部に装着された本発明の左エンドキャップの斜視図である。(実施例1)
図7図7は、図6の手すり部材と左エンドキャップの分解斜視図である。(実施例1)
図8図8は、図7の左エンドキャップを背面側から見た斜視図である。(実施例1)
図9図9は、右エンドキャップと端部材からなる本発明の連接材によって連結された手すり部材と連接材を、図1の出隅の左側の壁面側から見た斜視図である。(実施例2)
図10図10は、図9の連接材を、図1の出隅の右側の壁面側から見た斜視図である。(実施例2)
図11図11は、図9の連接材と手すり部材の分解斜視図である。(実施例2)
図12図12は、図11の連接材の分解斜視図である。(実施例2)
図13図13は、図12の端部材の斜視図である。(実施例2)
図14図14は、図11の連接材の端部材の側の端面の正面図である。(実施例2)
図15図15は、図10のB−B線に沿う断面図である。(実施例2)
図16図16は、左エンドキャップと端部材から成る本発明の連接材の分解斜視図である。(実施例2)
図17図17は、図16の連接材を端部材の側から見た分解斜視図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0039】
部品点数が少なく、施工が容易で、壁面との間に隙間を生じない、連続手すりのエンドキャップ及び連続手すりの出隅部の連接材を提供するため、エンドキャップと連接材の手すり部材連接部に、それぞれ、手すり部材の端部を被う連続壁を形成し、また、エンドキャップを連接材の一部品としてそのまま使用できるように構成した。
【実施例1】
【0040】
図1に示すように、連続手すり1を構成する手すり部材2、3、4は、中央壁W1、前方壁W2、後方壁W3の各壁面Wa、Wb、Wcに、それぞれ、取り付けられている。中央壁W1と前方壁W2の間には出隅Weが形成され、中央壁W1と後方壁W3の間には入隅Wiが形成されている。手すり部材2、3,4は、これらの手すり部材2、3、4が取り付けられる壁面Wa、Wb、Wcとの間に空隙を生じない、所謂、ブラケットレスの手すり部材又はブラケット一体型の手すり部材である。手すり部材2、3、4の断面構造及び断面寸法は同一である。手すり部材2、3、4は、壁面Wa、Wb、Wcの幅に合わせるため、長手方向の寸法のみを異にする。
【0041】
図1、2、3、5に示すように、手すり部材2は、合成樹脂材料を使用して押出し成形された手すり本体H1と、合成樹脂材料製の蓋体H2からなる。
【0042】
手すり本体H1の外殻Sは、平板部s1と、平板部s1の上縁に連続し、かつ、全体として凹状に湾曲する、大径湾曲部s2と、大径湾曲部s2に連続する小径湾曲部s3と、小径湾曲部s3に連続して凸状に湾曲し、手すり使用者が手でつかむための把持部を構成する、巻回部s4と、巻回部s4から平板部s1の下縁までほぼ平板状に延びる底板部s5と、底板部s5に形成された凹状屈曲部s6とを有する。手すり本体H1の大径湾曲部s2と小径湾曲部s3と巻回部s4と底板部s5は、平板部s1の上縁と下縁の間で、滑らかに連続する。図5に示すように、凹状屈曲部s6は、平板部s1に対して直角を成す天井部s61と、平板部s1に対して平行を成す壁部s62を有する。凹状屈曲部s6は、手すり本体H1の底板部s5に、天井部s61と壁部s62によって画成された溝部d1を形成する。溝部d1は、上縁d2と下縁d3を有し、手すり本体H1の長手方向に、手すり本体H1の全長にわたって延在する。
【0043】
手すり本体H1の内部には、補強用のリブh1、h2、h3、h4、h5によって区画された空洞部v1、v2、v3、v4、v5、v6が形成されている。これらの空洞部v1乃至v6は、それぞれ、手すり本体H1の長手方向に延在し、手すり本体H1を貫通して、手すり本体H1の長手方向の両端部に開口する。このうち、空洞部v5は、溝部d1に沿って手摺り本体H1の長手方向に延在する。手摺り本体H1は、空洞部v1乃至v6の存在によって、全体として中空体を構成する。
【0044】
蓋体H2は、手すり本体H1の溝部d1の上縁d2と下縁d3に係合して、溝部d1を閉鎖するように、手すり本体H1の長手方向の全長にわたって延在する。蓋体H2の背面には、蓋体H2を溝部d1に係合させたとき、手すり本体H1の凹状屈曲部s6の天井部s61に当接する補強リブh6が形成されている。溝部d1に係合した蓋体H2は、底板部s5の外面に凹凸を生じない。
【0045】
手すり部材3及び4は、手すり部材2と同じ構成を有する。
【0046】
図2乃至5は、連続手すり1の手すり部材2の右端部2aに装着された右エンドキャップ5を示す。この明細書において右エンドキャップ5とは、図1を参照して、手すり部材2が取り付けられた壁面Waに向かって、手すり部材2の右端部2aに装着され、手すり部材2の右端部2aを壁面Waに連接させるエンドキャップをいう。
【0047】
これに対して、図6乃至8は、連続手すり1の手すり部材3の左端部3bに装着された左エンドキャップ6を示す。この明細書において、左エンドキャップ6とは、図1を参照して、手すり部材3が取り付けられた壁面Wbに向かって、手すり部材3の左端部3bに装着され、手すり部材3の左端部3bを壁面Wbに連接させるエンドキャップをいう。
【0048】
左エンドキャップ6は、図1の連続手すり1の手すり部材4の左端部4bにも装着されているから、この明細書において、左エンドキャップ6とは、手すり部材4が取り付けられた壁面Wcに向かって、手すり部材4の左端部4bに装着され、手すり部材4の左端部4bを壁面Wcに連接させるエンドキャップであるということもできる。
【0049】
図4及び8に示すように、右エンドキャップ5と左エンドキャップ6は面対称を成す。
【0050】
図2乃至5に示すように、右エンドキャップ5は、第一の端面7と、第一の端面7に隣接し、かつ、第一の端面7に対して90度の角度を成す、第二の端面8と、第一の端面7と第二の端面8の間に延在する側面9を有する。第一の端面7と第二の端面8の境界には稜線10が直線状に延在する。
【0051】
第一の端面7は単一の平面P1によって構成される。平面P1の輪郭は、稜線10と、稜線10の上端に直交する直線部11と、直線部11から稜線10の下端まで滑らかに延びる凸状湾曲部12とから成る。凸状湾曲部12は、右エンドキャップ5が手すり部材2の右端部2aに装着されたとき、手すり部材2の外殻Sの巻回部s4の頂部付近から、底板部s5を経て、平板部s1の下縁に至る領域に沿って、手すり部材2の右端部2aよりも所定距離だけ外側に延在する。この所定距離には、右エンドキャップ5が手すり部材2の右端部2aに装着されたとき、手すり部材2の右端部2aの大径湾曲部s2と小径湾曲部s3と巻回部s4と底板部s5を覆う、手すり部材連接部100の連続壁101(後述する。)の厚さが含まれる。
【0052】
第二の端面8は、平面P1が稜線10を回転軸として90度の角度を回転したとき、この平面P1の裏面によって構成される単一の平面P2である。平面P2は平面P1の鏡像を成し、平面P2の輪郭は、稜線10と、平面P1の直線部11に対応する直線部13と、平面P1の凸状湾曲部12に対応する凸状湾曲部14とから成る。第二の端面8に凹所15を形成し、凹所15の側壁15aによって、第二の端面8に凹所15の開口部16を画成する。これにより、凹所15の開口部16と第二の端面8の縁部17との間に、縁部17に沿って環状に連続する帯状平面18を画成する。帯状平面18は、右エンドキャップ5が手すり部材2の右端部2bに装着されたとき、壁面Waに沿って延在する壁面連接部200を構成する。なお、第二の端面8の縁部17とは平面P2の輪郭を指し、具体的には、稜線10と直線部13と凸状湾曲部14である。
【0053】
右エンドキャップ5の内部に空洞部19を形成し、空洞部19を凹所15の底部に開口させる。これにより、凹所15の底部に段差部15bを形成する。段差部15bは、側壁15aに沿って環状に延在する。また、空洞部19の内壁に案内溝20、21を形成することができる。後述するように、凹所15、側壁15a、段差部15b、案内溝20、21は、右エンドキャップ5に端部材50を取り付け、壁面Waと壁面Wbの間の出隅Weで手すり部材2と手すり部材3を連接させるための連接材22を構成するとき、端部材50を所定位置に取り付けるために使用される。
【0054】
右エンドキャップ5の側面9は、第一の端面7を構成する平面P1を、稜線10を回転軸として、第二の端面8の方向に90度の角度だけ回転させたとき、平面P1の輪郭の直線部11と凸状湾曲部12の回転軌跡として把握することができる。直線部11の回転軌跡は、右エンドキャップ5の頂部に平坦部23を形成する。凸状湾曲部12の回転軌跡は、手すり部材2の外殻Sの巻回部s4の頂部付近から、底板部s5を経て、平板部s1の下縁に至る領域の形状に適合する、湾曲面を形成する。
【0055】
右エンドキャップ5の第一の端面7に形成された手すり材連接部100は、第一の端面7から突出した連続壁101を有する。連続壁101は、図5に示すように、手すり本体H1の外殻Sの大径湾曲部s2と小径湾曲部s3と巻回部s4と底板部s5を被うように、手すり部材2の右端部2aの外形に沿って延在する。また、連続壁101は、第一の端面7を構成する平面P1の輪郭のうち、凸状湾曲部12に沿って延在する湾曲壁部101aを有する。湾曲壁部101aの外側面は平面P1の凸状湾曲部12に一致するから、連続壁101の湾曲壁部101aは第一の端面7の凸状湾曲部12に滑らかに連続する。連続壁101の高さTは、手すり部材2の右端部2aと連続壁101とが重なり合う寸法を考慮して、任意の寸法に設定することができる。
【0056】
手すり部材連接部100は、更に、右エンドキャップ5の第一の端面7から突出した位置決め用の突起102及び103と固定用の突起104を有する。位置決め用の突起102及び103と固定用の突起104は、手すり部材2の右端部2aを手すり部材連接部100の連続壁101の内側に挿入するとき、手すり部材2の右端部2aから手すり部材2の内部に進入するように、第一の端面7の連続壁101によって囲繞された部分に形成する。すなわち、位置決め用の突起102は、手すり本体H1の空洞部v1に挿入可能な形状を有し、位置決め用の突起103は、手すり本体H1の空洞部v2に挿入可能な形状を有する。固定用の突起104は、方形の断面形状を有し、手すり本体H1の空洞部v5に挿入可能である。位置決め用の突起102及び103と固定用の突起104は、手すり部材2の右端部2aを連続壁101の内側の所定の位置に案内するように、連続壁101の高さTよりも突出している。
【0057】
図3に示すように、手すり部材2の右端部2aに右エンドキャップ5の第一の端面7を連接するには、手すり部材連接部100の位置決め用の突起102を手すり本体H1の空洞部v1に挿入し、位置決め用の突起103を手すり本体H1の空洞部v2に挿入し、固定用の突起104を手すり本体H1の空洞部v5に挿入する。これにより、手すり部材2の右端部2aは連続壁101の内側に挿入され、手すり部材2の右端部2aと連続壁101の間に所定の重なり代を確保することができる。また、位置決め用の突起102及び103と固定用の突起104は、手すり部材2の内部に進入するから、手すり部材2の外部から目視することはできない。手すり本体H1の空洞部v5に進入した固定用の突起104は、図5に示すように、凹状屈曲部s6の壁部s62の外側から固定ネジ24によって手すり部材2と共に中央壁W1に固定される。蓋体H2は、固定ネジ24による固定が完了した後に、手すり本体H1に取り付けられ、溝部d1を閉鎖する。手すり部材2の右端部2aに右エンドキャップ5を装着し、固定ネジ24によって壁面Waに固定すると、右エンドキャップ5の第一の端面7と第二の端面8の境界に位置する稜線10が壁面Waに沿って上下方向に延在し、第二の端面8の帯状平面18が壁面Waに沿って延在する。この帯状平面18によって、右エンドキャップ5の壁面連接部200が形成される。このように、右エンドキャップ5の第一の端面7に形成された手すり部材連接部100によって、手すり部材2の右端部2aは右エンドキャップ5に連接され、右エンドキャップ5の第二の端面8に形成された壁面連接部200によって、右エンドキャップ5の第二の端面8は壁面Waに連接されるから、手すり部材2の右端部2aは壁面Waに滑らかに連続する。
【0058】
図6乃至8は、図1の手すり部材3の左端部3bに装着された左エンドキャップ6を示す。左エンドキャップ6の構成は、右エンドキャップ5の構成に対して面対称をなすが、面対称であることを除けば、両者の構成は同じである。よって、図6乃至8に示した左エンドキャップ6の特徴を明瞭にするため、図1乃至5中で使用した参照番号と同一の番号を図6乃至8に使用した。すなわち、図6乃至8に使用された参照番号のうち、図1乃至5中の参照番号と同一の番号は、同一の機能を果たす、同一名称の構成要素である。
【0059】
図1に示すように、左エンドキャップ6は、手すり部材4の左端部4bにも取り付けられる。手すり部材4の左端部4bに取り付けられた左エンドキャップ6は、中央壁W1と後方壁W3の間の入隅Wiで、手すり部材2の右端部2aに取り付けられた右エンドキャップ5に近接して配置される。左エンドキャップ6の側面9と右エンドキャップ5の側面9の間には隙間25が形成されるが、これらの側面9は滑らかに湾曲しているから、隙間25にロープや紐等を係止させることはできない。また、左エンドキャップ6の平坦部23と右エンドキャップ5の平坦部23を近接させて配置することができるから、連続手すり1の利用者は、これらの平坦部23に順次手を置くことにより、体を支持することができる。
【実施例2】
【0060】
図9及び10は、図1の壁面Waと壁面Wbの間の出隅Weに配置された連接材22が、手すり部材2の左端部2bと手すり部材3の右端部3aを連接している状態を示す。連接材22は、実施例1に記載した右エンドキャップ5の第二の端面8に端部材50を固定して構成される。連接材22を構成する右エンドキャップ5の構成は、実施例1の右エンドキャップ5の構成と同一である。以下、実施例2の説明で使用する図面中の参照番号のうち、実施例1の説明で使用した図面中の参照番号と同一の番号は、同一の機能を果たす、同一名称の構成要素を示すこととする。
【0061】
図11に示すように、連接材22を構成する右エンドキャップ5の第一の端面7の手すり部材連接部100は、手すり部材3の右端部3aを連接するために使用される。右エンドキャップ5の第二の端面8に手すり部材2の左端部2bを連接させるために、右エンドキャップ5の第二の端面8に、図12乃至14に示すように、端部材50が固定される。端部材50は、右エンドキャップ5の凹所15に嵌合する合成樹脂製の基板51と、基板51の表面51aに一体形成された手すり部材連接部300と、基板51の裏面51bに一体形成された十字状の案内部材51c、51dと、十字状の案内部材51c、51dを囲繞するように、基板51の裏面51bの側に突設された周縁壁51eを有する。
【0062】
端部材50の表面51aは単一の平面P3によって構成され、平面P3に形成された手すり部材連接部300は、右エンドキャップ5の第一の端面7に形成された手すり材連接部100と面対称をなす。手すり材連接部300は、端部材50の表面51aから突出した連続壁301を有する。連続壁301は湾曲壁部301aを有し、図10に示すように、手すり本体H1の外殻Sの大径湾曲部s2と小径湾曲部s3と巻回部s4と底板部s5を被うように、手すり部材2の左端部2bの外形に沿って延在する。手すり部材連接部300は、また、端部材50の表面51aから突出した位置決め用の突起302及び303と固定用の突起304を有する。位置決め用の突起302及び303と固定用の突起304は、手すり部材2の左端部2bを手すり部材連接部300の連続壁301の内側に挿入するとき、手すり部材2の左端部2bから手すり部材2の内部に進入するように、端部材50の表面51aの連続壁301によって囲繞された部分に形成する。位置決め用の突起302は、手すり本体H1の空洞部v1に挿入可能な形状を有し、位置決め用の突起303は、手すり本体H1の空洞部v2に挿入可能な形状を有する。固定用の突起304は、方形の断面形状を有し、手すり本体H1の空洞部v5に挿入可能である。位置決め用の突起302及び303と固定用の突起304は、手すり部材2の左端部2bを連続壁301の内側の所定の位置に案内するように、連続壁301の高さTよりも突出するように形成される。
【0063】
端部材50は、十字状の案内部材51c、51dを右エンドキャップ5の空洞部19の内壁に形成された案内溝20、21に挿入し、案内溝20、21に案内されて、凹所15に挿入される。端部材50の周縁壁51eは、凹所15の側壁15aに嵌合し、段差部15bに当接する。このとき、連続壁301の裏面301bが、図15に示すように、右エンドキャップ5の第二の端面8の帯状平面18に対して、斜線部分Kで重なり合う。したがって、端部材50の連続壁301の外側面は右エンドキャップ5の第二の端面8の側面9の形状に一致し、右エンドキャップ5は端部材50の連続壁301に滑らかに連続する。端部材50は右エンドキャップ5の第二の端面8に形成された凹所15に嵌合し、右エンドキャップ5に接着剤で固定される。
【0064】
図16及び17に示すように、連接材22は、左エンドキャップ6と端部材60によって構成することもできる。左エンドキャップ6は、図6乃至8に示すとおりの構成を有する。これに対し、端部材60は端部材50の面対称をなす。すなわち、端部材60は、左エンドキャップ6の凹所15に嵌合する合成樹脂製の基板61と、基板61の表面61aに一体形成された手すり部材連接部400と、基板61の裏面61bに一体形成された十字状の案内部材61c、61dと、十字状の案内部材61c、61dを囲繞するように、基板61の裏面61bの側に突設された周縁壁61eを有する。端部材60の表面61aは単一の平面P4によって構成され、平面P4に形成された手すり部材連接部400は、左エンドキャップ6の第一の端面7に形成された手すり材連接部100と面対称をなす。手すり材連接部400は、端部材60の表面61aから突出した連続壁401と、端部材60の表面61aから突出した位置決め用の突起402及び403と固定用の突起404を有する。連続壁401は湾曲壁部401aを有する。湾曲壁部401aは、図12及び13の連続壁301の湾曲壁部301aに対応する。そして、端部材60は、十字状の案内部材61c、61dを左エンドキャップ6の空洞部19の内壁に形成された案内溝20、21に挿入し、案内溝20、21に案内されて、凹所15に挿入される。端部材60の周縁壁61eは、凹所15の側壁15aに嵌合し、段差部15bに当接する。このとき、連続壁401の裏面401bが左エンドキャップ6の第二の端面8の帯状平面18に対して重なり合う。端部材60は左エンドキャップ6に接着剤で固定される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
ブラケットレスの手すり又はブラケット一体型の手すりと組み合わせることにより、手すりと壁面の間に空隙を生じない連続手すりを提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 連続手すり
2、3、4 手すり部材
5 右エンドキャップ
6 左エンドキャップ
10 稜線
50、60 端部材
100、300、400 手すり部材連接部
200 壁面連接部
101、301、401 連続壁
102、302、402 位置決め用の突起
104、304、404 固定用の突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17