特許第6272068号(P6272068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京電力株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社東京エネシスの特許一覧

<>
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000002
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000003
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000004
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000005
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000006
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000007
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000008
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000009
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000010
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000011
  • 特許6272068-止水構造および止水施工方法 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6272068
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】止水構造および止水施工方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20180122BHJP
【FI】
   H02G3/22
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-27082(P2014-27082)
(22)【出願日】2014年2月16日
(65)【公開番号】特開2015-154619(P2015-154619A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2017年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391037814
【氏名又は名称】株式会社東京エネシス
(74)【代理人】
【識別番号】100094617
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 正浩
(72)【発明者】
【氏名】長澤 和幸
(72)【発明者】
【氏名】菱川 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】清浦 英明
(72)【発明者】
【氏名】山口 修平
(72)【発明者】
【氏名】猿樂 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】塚野 英隆
(72)【発明者】
【氏名】八津尾 邦夫
【審査官】 久保 正典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−121076(JP,A)
【文献】 特開2001−262725(JP,A)
【文献】 特開平01−255421(JP,A)
【文献】 特開2004−346657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/22
E04B 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側にケーブルを収納し縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から下階への漏水を防止する止水構造において、
床の上にケーブルトレイと離間してケーブルトレイの周囲に配置されたカーブと、このカーブと離間してケーブルトレイの周囲を覆うようにカーブの上方に配置された第1のボードと、前記第1のボードの周囲を覆うように配置された第1の板金と、前記第1のボードの下端とカーブとの間に配置されたバックアップ材と、前記第1の板金、前記バックアップ材、前記カーブ、及び、前記床を覆う止水性を有する吹付樹脂と、を備える事を特徴とする止水構造。
【請求項2】
前記吹付樹脂を覆うように配置され、前記吹付樹脂を熱から保護する第2のボードを更に備える事を特徴とする請求項1に記載の止水構造。
【請求項3】
内側にケーブルを収納し縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から下階への漏水を防止する止水構造において、
床の上にケーブルトレイと離間してケーブルトレイの周囲にカーブが配置され、このカーブと離間してケーブルトレイの周囲を覆うようにカーブの上方に第1のボードが配置され、第1のボードの周囲を覆うように第1の板金が配置され、第1のボードの下端とカーブとの間にバックアップ材が配置され、第1の板金、バックアップ材、カーブ、及び、床を覆うようにポリウレアが吹き付けられ、ポリウレアを覆うようにポリウレアを保護する第2のボードが配置され、ポリウレア及び第2のボードを覆うように第2の板金が配置されている事を特徴とする止水構造。
【請求項4】
ケーブルトレイは水平方向に離間して複数配置されており、複数のケーブルトレイを覆うように、第1のボード、第1の板金、バックアップ材、ポリウレア、第2のボード、および、第2の板金が配置されている事を特徴とする請求項に記載の止水構造。
【請求項5】
第2の板金は1枚の板金から構成されている事を特徴とする請求項またはに記載の止水構造。
【請求項6】
内部にケーブルを収納し縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から下階への漏水を防止する止水施工方法において、
床の上にケーブルトレイと離間してケーブルトレイの周囲に配置されているカーブと離間してケーブルトレイの周囲を覆うようにカーブの上方に第1のボードを配置し、
第1のボードの周囲を覆うように第1の板金を配置し、
第1のボードの下端とカーブとの間にバックアップ材を配置し、
第1の板金、バックアップ材、カーブ、及び、床を覆うようにポリウレアを吹き付け、
ポリウレアを覆うように第2のボードを配置し、第2のボードを覆うように第2の板金を構成する複数の板金を床上に配置する事を特徴とする止水施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から、下階への漏水を防止する止水構造および止水施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において、パイプシャフト内で設備配管から水漏れ事故が発生した場合でも、下階への漏水を防止することができる、パイプシャフトにおける電気ケーブルの床貫通部止水装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
この特許文献1は、パイプシャフトにおける電気ケーブルの床貫通部となる箇所に、鋼管製スリーブを床スラブコンクリート打設により設置すると共に、同鋼管製スリーブの長さを床スラブの厚さより大きくし、その上端を床スラブ面より上方へ突出させて設置してなるパイプシャフトにおける電気ケーブルの床貫通部止水装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−215155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の電気ケーブルの床貫通部止水装置では、パイプシャフト内に配置された配管設備から漏水した際に、電気ケーブルの床スラブ貫通部を伝って下階の電気盤へ水漏れし、電源接地短絡事故に波及することを防止することを目的としている。
【0006】
そのため、パイプシャフトの外からパイプシャフト内への浸水を、基本的に考慮していない。よって、パイプシャフトの外からパイプシャフト内へ浸水した際に、配管設備の床スラブ貫通部を伝って下階への漏水してしまう恐れがある。即ち、特許文献1の電気ケーブルの床貫通部止水装置では、このような事態における下階への漏水防止を考慮していないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から、下階への漏水を防止する止水構造および止水施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の止水構造に係る発明は、内側にケーブルを収納し縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から下階への漏水を防止する止水構造において、
床の上にケーブルトレイと離間してケーブルトレイの周囲に配置されたカーブと、このカーブと離間してケーブルトレイの周囲を覆うようにカーブの上方に配置された第1のボードと、前記第1のボードの周囲を覆うように配置された第1の板金と、前記第1のボードの下端とカーブとの間に配置されたバックアップ材と、前記第1の板金、前記バックアップ材、前記カーブ、及び、前記床を覆う止水性を有する吹付樹脂と、を備える事を特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の止水構造に係る発明では、第1の板金、バックアップ材、カーブ及び床を止水性を有する吹付樹脂で覆っている。このような止水構造によれば、例えば、図2図11に示すように、立面視において止水性を有する吹付樹脂が床面から上方に伸びてケーブルトレイの周囲に配置されているので、縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間への浸水を防止することができ、下階への漏水を防止することができる。また、床面や周囲に障害物がある場合に、吹付樹脂は形状の自由度が高く、適用箇所に合わせた形状とすることができ、施工の効率性が高くなる。
更に、請求項2に記載の止水構造に係る発明では、吹付樹脂を覆うように配置され、この吹付樹脂を熱から保護する第2のボードを更に備える。この構造は、耐熱・耐火の観点においても優秀である。
【0010】
上記課題を解決するために、請求項に記載の止水構造に係る発明は、例えば、図1図2示すように、内側にケーブルを収納し縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から下階への漏水を防止する止水構造において、
床の上にケーブルトレイと離間してケーブルトレイの周囲にカーブが配置され、このカーブと離間してケーブルトレイの周囲を覆うようにカーブの上方に第1のボードが配置され、第1のボードの周囲を覆うように第1の板金が配置され、第1のボードの下端とカーブとの間にバックアップ材が配置され、第1の板金、バックアップ材、カーブ、及び、床を覆うようにポリウレアが吹き付けられ、ポリウレアを覆うようにポリウレアを保護する第2のボードが配置され、ポリウレア及び第2のボードを覆うように第2の板金が配置されている事を特徴とする。
【0011】
請求項に記載の止水構造に係る発明によれば、ケーブルトレイの周囲に配置された第1の板金、バックアップ材、カーブ、及び、床を覆うように止水性を有する樹脂であるポリウレアが吹き付けられ、ポリウレアを覆うようにポリウレアを保護する第2のボードが配置され、ポリウレア及び第2のボードを覆うように第2の板金が配置されているので、縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間への浸水を防止することができ、下階への漏水を防止することができる。また、床面や周囲に障害物がある場合なども、吹付樹脂としてのポリウレアを使用するため、形状の自由度が高く、適用箇所に合わせた形状とすることができ、施工の効率性が高くなる。
更に、ポリウレアは、伸縮性に優れているため、揺れなどによる変位に対する追従性が高く、破損し難いという利点がある。
その上、ロックウール・耐火ボード等の不燃物でポリウレアを覆うことから、耐熱・耐火の観点においても優秀である。
【0012】
請求項に記載の止水構造に係る発明は、例えば、図1図11に示すように、ケーブルトレイは水平方向に離間して複数配置されており、複数のケーブルトレイを柱状に覆うように、第1のボード、第1の板金、バックアップ材、ポリウレア、第2のボードおよび、第2の板金が配置されている事を特徴とする。
【0013】
請求項に記載の止水構造に係る発明によれば、水平方向に離間して配置された複数のケーブルトレイを柱状に覆うように、第1のボード、第1の板金、バックアップ材、ポリウレア、第2のボード、および、第2の板金が配置されているので、ケーブルトレイ間から下階への漏水を防止することができる。
【0014】
請求項に記載の止水構造に係る発明は、第2の板金は1枚の板金から構成されている事を特徴とする。
【0015】
請求項に記載の止水構造に係る発明によれば、第2の板金は1枚の板金から構成されているので、接合工程を減らすことができる。
【0016】
請求項に記載の止水施工方法に係る発明は、例えば、図3図11示すように、内部にケーブルを収納し縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から下階への漏水を防止する止水施工方法において、
床の上にケーブルトレイと離間してケーブルトレイの周囲に配置されているカーブと離間してケーブルトレイの周囲を覆うようにカーブの上方に第1のボードを配置し、
第1のボードの周囲を覆うように第1の板金を配置し、
第1のボードの下端とカーブとの間にバックアップ材を配置し、
第1の板金、バックアップ材、カーブ、及び、床を覆うようにポリウレアを吹き付け、
ポリウレアを覆うように第2のボードを配置し、第2のボードを覆うように第2の板金を構成する複数の板金を床上に配置する事を特徴とする。
【0017】
請求項に記載の止水施工方法に係る発明によれば、床の上にケーブルトレイと離間してケーブルトレイの周囲に配置されているカーブと離間してケーブルトレイの周囲を覆うようにカーブの上方に第1のボードを配置し、第1のボードの周囲を覆うように第1の板金を配置し、第1のボードの下端とカーブとの間にバックアップ材を配置し、第1の板金、バックアップ材、カーブ、及び、床を覆うようにポリウレアを吹き付け、ポリウレアを覆うように第2のボードを配置し、第2の板金を床上に配置するので、ポリウレアを容易に吹き付けることができ、縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間への浸水を防止するための複数層による丈夫な防水構造を設けることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、縦方向に延設されているケーブルトレイが貫通している床とケーブルトレイの間から、下階への漏水を防止する止水構造および止水施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る止水構造の一例を示す斜視図である。
図2図1のI-I断面図である。
図3】縦方向に延設されているケーブルトレイが床を貫通している一例を示す斜視図である。
図4】本発明に係る断面L字型の長尺材をケーブルトレイを挟むように複数取り付けた例を示す斜視図である。
図5】本発明に係る断面L字型の長尺材をケーブルトレイを挟むように複数取り付けた例を示す斜視図である。
図6】本発明に係る複数のボードおよび複数の第1の板金をケーブルトレイを囲むように取り付ける一例を示す斜視図である。
図7】本発明に係るバックアップ材をボードとカーブ間に挿入する一例を示す斜視図である。
図8】本発明に係るバックアップ材をボードとカーブ間に挿入した一例を示す斜視図である。
図9】本発明に係るポリウレアを第1の板金、バックアップ材、カーブ、及び、床に吹き付ける一例を示す斜視図である。
図10】本発明に係るポリウレアを第1の板金、バックアップ材、カーブ、及び、床等に吹き付けた一例を示す斜視図である。
図11】本発明に係る第2の板金をポリウレアを覆うように取り付ける一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための一実施の形態について説明する。
【0021】
<実施の形態>
図1図2は、本発明に係る止水構造の実施の形態を示す。本発明に係る止水構造1は、内側に複数の電源ケーブル3を収納して縦方向に延設されているケーブルトレイ5が貫通している床7上で、ケーブルトレイ5の周囲に設けられる。そして、止水構造1は、床7とケーブルトレイ5の間から、下階への漏水を防止する。
【0022】
図2図3に示すように、床7の上にケーブルトレイ5と離間して、ケーブルトレイ5の周囲にカーブ9が配置されている。また、図2に示すように、カーブ9とケーブルトレイ5を繋ぐように、断面L字型の長尺材13が、カーブ9とケーブルトレイ5間を塞いでカーブ9とケーブルトレイ5の各々に面接触し配置されている。さらに、図3に示すように、ケーブルトレイ5は、断面コ字型であり、コ字型の開口内側に複数の電源ケーブル3が収納され、縦方向に配置されている複数の横板材15で電源ケーブル3が押さえられている。そして、複数のケーブルトレイ5の開口が向かい合って、水平方向に離間配置されている。
【0023】
図2図11に示すように、止水構造1は、カーブ9と離間している複数のケーブルトレイ5の周囲を1本の柱状に覆うようにカーブ9の上方に複数の第1のボード17が配置され、複数の第1のボード17の周囲を覆うように複数の第1の板金19がそれぞれ配置され、複数の第1のボード17の下端とカーブ9との間にバックアップ材21が全周に配置され、第1の板金19、バックアップ材21、カーブ9、及び、床7を覆うようにポリウレア23が吹き付けられ、ポリウレア23を覆うように熱等から保護する第2のボード25が配置され、ポリウレア23及び第2のボードを覆うように第2の板金27が床7上に配置されて構成されている。複数の第1のボード17には、高さ1200mmの耐火ボードが使用されている。
【0024】
図1図2に示すように、第2の板金27は、下部が床7に吹き付けられているポリウレア23上に配置されている。ポリウレア23は、断熱性と防水性に優れた安価な素材であり、ポリウレア23の噴き付けは2種類の溶剤を混合して行われる。ポリウレア23の硬化速度は速く、非常に短時間で乾き硬化するため、液ダレせず、つなぎ目がシームレスで厚塗りが可能である。
【0025】
図1図11に示すように、第2の板金27は、上部が柱状であり、下部がカーブ9と干渉しないように末広がりの形状をしている。そして、第2の板金27の下端部は幅を有してポリウレア23と接触している。
【0026】
次に、図1図11を参照して、本発明にかかる止水施工方法について説明する。
【0027】
図3図11は、本発明に係る止水施工方法の実施の形態を示す。本発明に係る止水施工方法は、内側に電源ケーブル3を収納し縦方向に延設されているケーブルトレイ5が貫通している床7上でケーブルトレイ5の周囲において行われる。そして、この止水施工方法により、ポリウレア23を容易に吹き付けることができ、床7とケーブルトレイ5の間から下階への漏水を防止するための複数層による丈夫な防水構造を設けることができる。
【0028】
図3に示すように、床7の上に、ケーブルトレイ5と離間してケーブルトレイ5の周囲にカーブ9が配置されている。
【0029】
始めに、図4図5に示すように、断面L字型の複数の長尺材13を各ケーブルトレイ5を水平方向に挟むように配置し、カーブ9とケーブルトレイ5にボルトおよびナットで固定する。図2に示すように、ケーブルトレイ5の外側に配置されている断面L字型の長尺材13は、カーブ9とケーブルトレイ5を繋ぐように、カーブ9とケーブルトレイ5の各々に面接触し配置される。ケーブルトレイ5は、断面コ字型であり、コ字型の開口内側に複数の電源ケーブル3が収納され、縦方向に配置されている複数の横板材15で電源ケーブル3が押さえられている。
【0030】
次に、図5に示すように、床7の上にケーブルトレイ5と離間してケーブルトレイ5の周囲に配置されているカーブ9の上方に離間してケーブルトレイ5の周囲を覆うように、断面L字型の長尺材13の上端に載せて、複数の矩形状の第1のボード17を平面視矩形に配置する。そして、ケーブルトレイ5に第1のボード17をビスおよびボンドまたは両面テープ等で適宜固定する。
【0031】
次に、図6に示すように、立面視において第1のボード17と略同じ大きさの断面コ字型の第1の板金19を、各第1のボード17を覆うように配置する。そして、第1のボード17に第1の板金19を、ビスおよびボンドまたは両面テープ等で適宜固定する。後工程で吹き付けられるポリウレア樹脂を接着するためのプライマーが、耐火ボードに付着しにくいため、第1のボード17に第1の板金19が固定される。
【0032】
次に、図7図8に示すように、第1のボード17の下端とL字型の長尺材13またはカーブ9との間に隙間ができないように、第1のボード17の下端とカーブ9との間に四方からバックアップ材21を配置する。バックアップ材21としては、グラスウールの断熱材を使用する。
【0033】
次に、図9図10に示すように、第1の板金19、バックアップ材21、カーブ9、及び、床7を覆うようにポリウレア23を隙間なく吹き付ける。床7上へのポリウレア23の吹き付けは、平面視において第2の板金の下部の形状より広く行う。
【0034】
ポリウレア23が乾燥した後に、図11に示すように、ポリウレア23を覆うように、第2のボード25を配置し、ポリウレア23及び第2のボード25を覆うように第2の板金27を床7上に配置する。
【0035】
<変形例1>
上記実施の形態においては、ケーブルトレイ5が2つの例について説明した。しかし、これに限られず、ケーブルトレイ5が、1または3以上の場合でも上記実施例と同様にケーブルトレイを1本の柱状にすることにより、本発明に係る止水構造を提供し、止水施工方法を実施することができる。
【0036】
<変形例2>
上記実施の形態においては、バックアップ材21としては、グラスウールの断熱材を使用する例について説明した。しかし、これに限られず、バックアップ材21としては、ロックウール、耐火ボード等の断熱材を使用してもよい。この場合でも、上記実施例と同様にポリウレア23を吹き付けることにより、本発明に係る止水構造を提供し、止水施工方法を実施することができる。
【0037】
<変形例3>
上記実施の形態においては、複数の第1の板金19を使用する例について説明した。しかし、これに限られず、平面視矩形の1枚の板金を使用してもよい。複数の第1の板金19を使用する場合に比べて、運搬しにくくなるが、取り付け工程を簡略化することができる。
【0038】
<変形例4>
上記実施の形態においては、2つの第2の板金27を使用する例について説明した。しかし、これに限られず、3つ以上の分割された板金からなる第2の板金を使用してもよい。2つの分割された板金第2の板金を使用する場合に比べて接合工程が増えるが、運搬が容易になる。また、1枚の板金からなる第2の板金を使用してもよい。1枚の板金とすることにより接合工程を減らすことができる。なお、接合は、はぜ折りで行われる。
【0039】
<変形例5>
上記実施の形態においては、ポリウレアを耐火ボードの上端まで吹き付けた例について説明した。しかし、これに限られず、ポリウレアを耐火ボードの上端まで吹き付けなくてもよい。この場合でも、下階への漏水を防止することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 止水構造
3 電源ケーブル
5 ケーブルトレイ
7 床
9 カーブ
13 長尺材
15 横板材
17 第1のボード
19 第1の板金
21 バックアップ材
23 ポリウレア
25 第2のボード
27 第2の板金
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11