(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6272188
(24)【登録日】2018年1月12日
(45)【発行日】2018年1月31日
(54)【発明の名称】超音波式加湿器
(51)【国際特許分類】
F24F 6/00 20060101AFI20180122BHJP
F24F 6/12 20060101ALI20180122BHJP
【FI】
F24F6/00 B
F24F6/12 101Z
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-174764(P2014-174764)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-50686(P2016-50686A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年7月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(72)【発明者】
【氏名】三成 健二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良昌
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−242072(JP,A)
【文献】
実開平02−124420(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3172728(JP,U)
【文献】
特開2009−186073(JP,A)
【文献】
実開昭53−042866(JP,U)
【文献】
実開昭55−166339(JP,U)
【文献】
特開2013−242071(JP,A)
【文献】
特開2010−203764(JP,A)
【文献】
実開平03−067828(JP,U)
【文献】
実開昭51−161768(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
F24F 6/12
B05B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水部と、
前記給水部内の水を受け取って超音波振動子によって霧化する超音波霧化部と、
前記超音波霧化部で発生した霧を外部に誘導する霧誘導部と、
前記給水部と超音波霧化部と霧誘導部とを内部に装備する加湿器筺体とを備えた超音波式加湿器であって、
前記超音波霧化部は、霧化すべき水を所定の水位で受け取る霧化水槽と、該霧化水槽の底部に設けられる複数の超音波振動子とを、備え、
前記霧誘導部は、複数の霧誘導筒と筒保持部が一体的に構成され、前記複数の超音波振動子に前記複数の霧誘導筒を対応させ、かつ、前記霧化水槽に前記筒保持部が装着され、
前記複数の霧誘導筒の上方には前記加湿器筺体の上面の蓋から斜め上方向に霧を放出する霧噴出ノズルが各々取り付けられ、
前記加湿器筺体の内部には、室内の空気を循環させるサーキュレータが、前記霧噴出ノズルに空気吹出し口を接近させて装備されていることを特徴とする超音波式加湿器。
【請求項2】
前記複数の霧噴出ノズルは連結部にて連結され、前記複数の霧噴出ノズルの複数の噴出口は、前記サーキュレータの前記空気吹出し口に指向するように位置決めされている請求項1に記載の超音波式加湿器。
【請求項3】
前記霧誘導部の前記筒保持部は、前記霧化水槽の周囲からの霧の漏れを抑制する平面部を有している請求項1又は2に記載の超音波式加湿器。
【請求項4】
前記加湿器筺体に収納部を設けた仕切板を有し、前記連結部は前記収納部の壁面に接することを特徴とする請求項3に記載の超音波式加湿器。
【請求項5】
前記収納部にスイッチ手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の超音波式加湿器。
【請求項6】
前記複数の超音波振動子を清掃する清掃ブラシを備えることを特徴とする請求項1に記載の超音波式加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水タンクから給水される水を超音波振動によって霧化し室内に放出して室内を加湿する超音波式加湿器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波式加湿器は、超音波振動子に高周波電圧を印加して発生する高周波振動エネルギーを水面に伝達して微細な霧を発生するので、他の方式に比べて動作音が静かで快適であり、近年普及している(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1による超音波式加湿器は、2つの超音波振動子7に対応させた2つの吹出口15を備え、筺体内におけるこれら部品の外側に電気部品を配設させて、吸込んだ湿度の高い空気が電気部品に触れて結露することがないようにする排水路を備えるものである。しかし、この加湿器では、上方にのみ霧を吹出すため、霧を室内全体に噴霧させることが難しく、特定箇所に霧が集中し、大きな水滴となり床面を濡らす欠点があった。
【0004】
また、特許文献2による超音波加湿器は、ダクト上部の出口近傍に、微小水滴を室内に拡散するように吹き飛ばすための送風ファンを設けるものである。しかし、この加湿器では、床面を濡らすことは少ないが、微小水滴を吹き飛ばす方向が限定されてしまう。また超音波トランスデューサ(振動子)が1つのため、加湿性能が低いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平2−124420号
【特許文献2】特表2011−513697号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、加湿量を増大させると共に、霧を室内に有効に拡散することができる超音波式加湿器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、給水部と、前記給水部内の水を受け取って超音波振動子によって霧化する超音波霧化部と、前記超音波霧化部で発生した霧を外部に誘導する霧誘導部と、前記給水部と超音波霧化部と霧誘導部とを内部に装備する加湿器筺体とを備えた超音波式加湿器であって、前記超音波霧化部は、
霧化すべき水を所定の水位で受け取る霧化水槽と、該霧化水槽の底部に設けられる複数の超音波振動子
とを、備え、前記霧誘導部は
、複数の霧誘導筒
と筒保持部が一体的に構成され、前記複数の超音波振動子に前記複数の霧誘導筒を対応させ、かつ、前記霧化水槽に前記筒保持部が装着され、前記複数の霧誘導筒の上方には前記加湿器筺体の上面の蓋から斜め上方向に霧を放出する霧噴出ノズルが各々取り付けられ、前記加湿器筺体の内部には、室内の空気を循環させるサーキュレータが、前記霧噴出ノズルに空気吹出し口を接近させて装備されていることを特徴とするものである。
【0008】
さらに本発明は、前記複数の
霧噴出ノズルは連結部にて連結され、前記複数の霧噴出ノズルの複数の噴出口は、前記サーキュレータの前記空気吹出し口に指向するように位置決めされていることを特徴とするものである。
【0009】
さらに本発明は、前記霧誘導部の前記筒保持部は、前記霧化水槽の周囲からの霧の漏れを抑制する平面部を有していることを特徴とするものである。
【0010】
さらに本発明は、前記加湿器筺体に収納部を設けた仕切板を有し、前記連結部は前記収納部の壁面に接することを特徴とするものである。
【0011】
さらに本発明は、前記収納部にスイッチ手段を備えることを特徴とするものである。
【0012】
さらに本発明は、前記複数の超音波振動子を清掃する清掃ブラシを備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数の超音波振動子に対応させて複数の霧誘導筒を設けることにより、個々の超音波振動子により発生させた水の霧を、対応させた霧誘導筒にて最大限に利用できるため、水の霧化量を促進、即ち加湿量を増大することができる。
【0014】
さらに、蓋より斜め上方向に放出するように設けられた霧噴出ノズルに接近してサーキュレータの空気吹出し口が設けられており、霧が室内の全方向に拡散されるので、室内全体を有効に加湿することができ、床濡れも防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1の加湿器の蓋を取り外した状態の斜視図である。
【
図3】
図2の状態から前カバーとサーキュレータ用蓋とを取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図2の状態から霧誘導筒と給水タンクとを取り外した状態の上面図である。
【
図5】
図2の状態から霧誘導筒と給水タンクとを取り外した状態を背面側から見た斜視図である。
【
図7】本発明に係る加湿器の霧誘導筒の斜視図である。
【
図8】
図7の霧誘導筒に霧噴出ノズルを取り付けた斜視図である。
【
図9】本発明に係る加湿器の清掃ブラシの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1〜6に示すように、本発明の一実施形態に係る超音波式加湿器1は、大きくは加湿器筺体20と、給水部30と、サーキュレータ40と、超音波霧化部50と、生成した霧を室内外部に誘導して放出する霧誘導部60とからなり、これら給水部30、サーキュレータ40、超音波霧化部50、霧誘導部60は、加湿器筺体20内に装備されている。
【0018】
加湿器筺体20は、例えば、ABSなどの樹脂製の容器22から成っており、上面視で楕円形状を有し、上部の開口部分を着脱自在に覆う蓋24を備えている。この蓋24は、給水タンク32の上面を隠ぺいし、またサーキュレータ40の空気吹出し口46を露出させるための半円形の切欠き24Hを有している。
【0019】
また、加湿器筺体20は、各種の運転切換やタイマーなどのボタン、吸水操作などを促す表示部などを有する操作パネル25を備えている。
【0020】
給水部30は、加湿器筺体20の一半部に着脱自在に装填される上面視で略H状の給水タンク32と、加湿器筺体20内にこの給水タンク32が装填された際にその直下に位置するイオン交換樹脂が充填されたフィルターカートリッジ34とで構成されている。なお、給水タンク32には片手で出し入れできるように給水タンク取手部32Aを設けられている。
【0021】
また給水タンク32は、霧化水槽52及び霧誘導筒62の位置を避けてそれら霧化水槽52と霧誘導筒62を取り囲む構造であるため、給水量を多く蓄えることができる。更に、給水タンク32の中の水の量を目視確認できるように、容器22に水位窓23を設けている。
【0022】
サーキュレータ40は、室内の空気を循環させて霧を室内に拡散させるものである。このサーキュレータ40は、主として加湿器筺体20の他半部内に配置されたプロペラファン42から成っており、このプロペラファン42は、円筒状ファンフレーム44内に配置され、ファンフレーム44は、超音波霧化部50の霧噴出ノズル64に接近して空気が上方向に吹き出す放射状開口の空気吹出し口46を有するサーキュレータ用蓋48によって覆われている(
図2および
図3参照)。また加湿器筺体20の蓋24の半円形切欠き24Hは、このサーキュレータ用蓋48の一半部の縁に相応させることで、サーキュレータ用蓋48を完全に露出させている。
【0023】
超音波霧化部50は、
図4に示すように加湿器筺体20の底部に設けられた図示しない給水通路を経て霧化すべき水を所定の水位で受け取る霧化水槽52と、この霧化水槽52の底板に取り付けられる複数の超音波振動子54とから構成される。なお、図示例では2つの超音波振動子54A、54Bからなり、各超音波振動子54は、相互に振動が干渉しない程度の間隔をあけて配置されていることが好ましい。
【0024】
霧誘導部60は、霧化水槽52の中央から立ち上がる2本の霧誘導筒62と、この霧誘導筒62の上端頭部に斜め上方向に霧を放出する霧噴出ノズル64と、霧化水槽52で発生した霧を霧誘導筒62内で上昇搬送させる空気流を発生させる霧誘導ファン66とから構成される。
【0025】
霧誘導ファン66は、サーキュレータ40のプロペラファン42の下方に配置されており、この霧誘導ファン66からの空気流は、仕切板70の図示しない切欠き部を経て霧化水槽52及び霧誘導筒62に流入される。
【0026】
ここで霧誘導筒62について説明すると、
図7に示すように2本の霧誘導筒62は、楕円状の円筒の筒保持部63と一体的に構成されている。こうすることで、霧誘導筒62の霧化水槽52への装着が1回の操作で行える。また筒保持部63は霧化水槽52の周囲からの霧の漏れを極力なくすために楕円状の平面部63Fを、さらに霧誘導ファン66からの空気流が入り込む切欠き63Hを有している。
【0027】
霧噴出ノズル64は、その先端が斜め上方向を向く噴出口64Oを有し、霧誘導筒62の上部に嵌合される。
図8に示すように、2つの霧噴出ノズル64は連結部65にて連結されているため、複数の霧噴出ノズル64の複数の霧誘導管62への装着操作が簡便になるとともに、紛失することも少なくなる。
【0028】
超音波式加湿器1の蓋24には盛り上がり部分24Rに設けられて、サーキュレータ40の空気吹出し孔46に向けて指向する開口24RH(
図1参照)を有している。連結された霧噴出ノズル64の複数の噴出口64Oは、開口24RHに一致するように位置決めされるため、霧化水槽52内に発生した霧は、効率よく霧誘導筒62を上昇して霧噴出ノズル64の噴出口64Oから噴出されて室内に放出される。
【0029】
連結部65には係止部67、その先端部にはマグネット69を設けられ、仕切板70に設けた収納部74の壁面と接触するようになっている。また、収納部74の内部には、図示しないスイッチ手段、リードスイッチやホール素子等が設けられており、連結部65に設けたマグネット69に反応することで、安全スイッチや加湿制御に利用している。なお、収納室74は、超音波霧化部50、霧誘導部60からは隔離された構造になっている。
【0030】
上記実施の形態による超音波式加湿器1は、上述したように複数の超音波振動子54の振動によって霧を多量に発生させ、この霧は、複数の霧誘導筒62内を上昇し、複数の霧噴出ノズル64により室内に噴出し、サーキュレータ40の空気吹出し口46から空気を上方向に吹き出すことにより、霧を室内の全方向に拡散させて、室内を有効に加湿することができる。
【0031】
本発明では、多くの霧を発生させるために、超音波振動子54を効率よく振動させることが必要となるが、水中のゴミや微生物などにより超音波振動子54が汚れやすくなる。そこで、
図5もしくは
図6に示すように清掃ブラシ80(
図9参照)を清掃ブラシ取付け穴70Hに備えておき、定期的にこの清掃ブラシ80を用いて超音波振動子54表面を清掃することにより、長期間にわたり霧化作用を維持することができる。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。例えば、複数の超音波振動子54の数を3つ以上にしてもよいし、また本発明の加湿器を空気清浄機、エアコンなどに応用することもできる。
【符号の説明】
【0033】
1 超音波式加湿器
20 加湿器筺体
21 取手部
22 樹脂製の容器
23 水位窓
24 蓋
24H 半円形切欠き
24R 盛り上がり部分
24RH 開口
25 操作パネル
30 給水部
32 給水タンク
32A 給水タンク取手
34 フィルターカートリッジ
40 サーキュレータ
42 プロペラファン
44 ファンフレーム
46 空気吹出し口
48 サーキュレータ用蓋
50 超音波霧化部
52 霧化水槽
54、54A、54B 超音波振動子
60 霧誘導部
62 霧誘導筒
63 筒保持部
63F 筒保持部平面部
63H 筒保持部の切欠き
64 霧噴出ノズル
64O 噴出口
65 連結部
66 霧誘導ファン
67 係止部
69 マグネット
70 仕切板
70H 清掃ブラシ取付け穴
74 マグネット
80 清掃ブラシ